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特開2023-74193施工管理方法、施工管理システム、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074193
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】施工管理方法、施工管理システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230522BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187013
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 寛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 三郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】増田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 秀史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】配管の接続箇所にシール材を取り付ける際の作業者の負担を軽減すること
【解決手段】施工管理方法は、工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、配管の接続部を識別するための工事対象情報を入力するステップと、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から、入力された工事対象情報と関連付けられた種類情報を取得するステップと、シール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取るステップと、取得された種類情報と、読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定するステップと、判定の結果を出力するステップと、出力された判定の結果に基づいて、シール材を配管の接続部に取り付けるステップと、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を入力するステップと、
工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から、前記入力された工事対象情報と関連付けられた種類情報を取得するステップと、
シール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取るステップと、
前記取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定するステップと、
前記判定の結果を出力するステップと、
前記出力された判定の結果に基づいて選択されたシール材を前記配管の接続部に取り付けるステップと、
を含む施工管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の施工管理方法において、
前記取得された工事対象情報と関連付けられた種類情報を表示するステップ、をさらに含み、
前記シール情報を読み取るステップでは、前記表示された種類情報に基づいて選択されたシール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取る、
施工管理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の施工管理方法において、
前記工事対象情報を入力するステップでは、前記工事の対象となる前記配管の接続部に対して付される被読取部であって、前記工事対象情報が書き込まれた被読取部を読取装置で読み取ることにより、前記工事対象情報を入力する、
施工管理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の施工管理方法において、
前記被読取部は、符号化された前記工事対象情報が印刷された部分または前記工事対象情報が書き込まれたICタグを含み、
前記工事対象情報を入力するステップでは、読取装置で前記印刷された部分または前記ICタグから工事対象情報を読み取ることにより、前記工事対象情報を入力する、
施工管理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の施工管理方法において、
前記シール情報を読み取るステップでは、前記シール材に付された、前記シール情報が書き込まれたICタグまたは符号化された前記シール情報が印刷された部分から前記シール情報を読み取る、
施工管理方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の施工管理方法において、
前記シール情報は、前記シール材のロット番号をさらに含み、
前記判定の結果を示す情報および前記ロット番号を前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させるステップをさらに含む、
施工管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の施工管理方法において、
前記記憶手段に関連付けて格納された前記ロット番号および前記工事対象情報に基づいて、クエリとして入力されるロット番号に関連付けられた工事対象情報を検索するステップをさらに含む、
施工管理方法。
【請求項8】
工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を取得する対象取得手段と、
前記取得された工事対象情報が示す配管の接続部に取り付け可能なシール材の種類情報を、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から取得する関連取得手段と、
シール材から読み取られた、当該シール材の種類情報を含むシール情報を取得するシール情報取得手段と、
前記記憶手段から取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果を出力する結果出力手段と、
を含む施工管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の施工管理システムにおいて、
前記関連取得手段は、取得された工事対象情報と関連付けられた種類情報を表示し、
前記シール情報取得手段は、前記表示された種類情報に基づいて選択されたシール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取る、
施工管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の施工管理システムにおいて、
前記結果出力手段は、前記判定の結果を示す情報を前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させる、
施工管理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の施工管理システムにおいて、
前記シール情報は、前記シール材のロット番号をさらに含み、
前記結果出力手段は、前記判定の結果を示す情報と、前記ロット番号とを、前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させる、
施工管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の施工管理システムにおいて、
前記工事対象情報と関連付けて記憶された前記ロット番号に基づいて、クエリとして入力されるロット番号に関連付けられた工事対象情報を出力する検索手段をさらに含む、
施工管理システム。
【請求項13】
工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を取得する対象取得手段、
前記取得された工事対象情報が示す配管の接続部に取り付け可能なシール材の種類情報を、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から取得する関連取得手段、
シール材から読み取られた、当該シール材の種類情報を含むシール情報を取得するシール情報取得手段、
前記記憶手段から取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定する判定手段、および、
前記判定手段による判定の結果を出力する結果出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理方法、施工管理システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスケットなど、配管を接続する箇所にシール材が取り付けられている。どの接続箇所にどのシール材を用いるかは、設計台帳で管理されており、その設計台帳に基づいて施工が行われている。
【0003】
特許文献1には、フランジにフランジ情報をバーコードで明示したフランジタグと、ガスケットにバーコードで明示されたガスケットタグとを設けること、フランジ情報はフランジを識別するフランジナンバーおよびフランジ寸法を含むこと、フランジタグからバーコードリーダーを用いてフランジ情報を取得し、ガスケットにバーコードで明示されたガスケット情報を取得し、それらが締付け情報に合致するか否かの判断による適否を表示することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、フランジに関連付けられた締付け条件情報を取得した後に、フランジタグからガスケット情報を含むフランジ情報を取得し、ガスケットタグからガスケット情報を取得し、フランジ情報に含まれるガスケット情報とガスケットから取得したガスケット情報とが適合しているか判断することが開示されている。
【0005】
特許文献3には、フランジタグからガスケット情報を含むフランジ情報を取得し、ガスケットタグからガスケット情報を取得し、フランジ情報に含まれるガスケット情報とガスケットから取得したガスケット情報とが適合しているか判断することが開示されている。
【0006】
特許文献4には、シール施工システムにおいて、施工業者に対してシール施工研修の受講指示を発行し、施工業者のシール施工研修の受講に応じて、シール施工に必要なシール材の情報を取得することが開示されている。研修サーバのシール材情報・施工情報テーブルには、シール施工の対象である施工機器を特定する情報が格納される。
【0007】
特許文献5には、物品管理システムにおいて、物品にストレージ材を付し、ストレージ材は識別データ、賞味期限、入庫時刻を記憶すること、読み出し装置がストレージ材からそれらの情報を読み出して検索を可能にすることが開示されている。
【0008】
特許文献6には、ケーブルの布設を支援するシステムが開示されている。このシステムでは、ケーブルの端部にRFIDを貼り付け、PDAがRFIDを読み取ることで得られるケーブルIDに基づいて、そのケーブルに対する作業情報を表示する。
【0009】
特許文献7には、手直しが必要な個所を示すバーコードを印刷し、ボードに貼り付けてバーコード台帳を作成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2018/180055号
【特許文献2】特許第6630437号
【特許文献3】特許第6654244号
【特許文献4】特許第6616513号
【特許文献5】特開2005-60085号公報
【特許文献6】特開2008-171186号公報
【特許文献7】特開平2-244258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
作業者にとって、配管の接続箇所に適切な種類のシール材を取り付けることは容易でない。例えば、設計台帳から接続箇所を見つけ出し、その接続箇所に用いるシール材の種類を確認し、取り付ける予定のシール材が適切であるか目視で確認する必要があった。例えば、耐熱性が異なるシール材や径が少し異なるシール材など外見から見分けることが難しいシール材が存在するため、作業者は、シール材が適切か否かを細心の注意を払って確認する必要があった。
【0012】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、配管の接続箇所にシール材を取り付ける際の負担を軽減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明にかかる施工管理方法は、工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を入力するステップと、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から、前記入力された工事対象情報と関連付けられた種類情報を取得するステップと、シール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取るステップと、前記取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定するステップと、前記判定の結果を出力するステップと、前記出力された判定の結果に基づいて選択されたシール材を前記配管の接続部に取り付けるステップと、を含む。
【0014】
本発明にかかる施工管理システムは、工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を取得する対象取得手段と、前記取得された工事対象情報が示す配管の接続部に取り付け可能なシール材の種類情報を、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から取得する関連取得手段と、シール材から読み取られた、当該シール材の種類情報を含むシール情報を取得するシール情報取得手段と、前記記憶手段から取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果を出力する結果出力手段と、を含む。
【0015】
本発明にかかるプログラムは、工事の対象となる配管の接続部に付与された工事対象情報であって、前記配管の接続部を識別するための工事対象情報を取得する対象取得手段、前記取得された工事対象情報が示す配管の接続部に取り付け可能なシール材の種類情報を、工事対象情報と種類情報とを関連付けて記憶する記憶手段から取得する関連取得手段、シール材から読み取られた、当該シール材の種類情報を含むシール情報を取得するシール情報取得手段、前記記憶手段から取得された種類情報と、前記読み取られたシール情報に含まれる種類情報とが同一であるか否かを判定する判定手段、および、前記判定手段による判定の結果を出力する結果出力手段、としてコンピュータを機能させる。
【0016】
本発明の一形態では、施工管理方法は、前記取得された工事対象情報と関連付けられた種類情報を表示するステップ、をさらに含み、前記シール情報を読み取るステップにおいて、前記表示された種類情報に基づいて選択されたシール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取ってよい。
【0017】
本発明の一形態では、前記工事対象情報を入力するステップにおいて、前記工事の対象となる前記配管の接続部に対して付される被読取部であって、前記工事対象情報が書き込まれた被読取部を読取装置で読み取ることにより、前記工事対象情報を入力してよい。
【0018】
本発明の一形態では、前記被読取部は、符号化された前記工事対象情報が印刷された部分または前記工事対象情報が書き込まれたICタグを含み、前記工事対象情報を入力するステップにおいて、読取装置で前記印刷された部分または前記ICタグから工事対象情報を読み取ることにより、前記工事対象情報を入力してよい。
【0019】
本発明の一形態では、前記シール情報を読み取るステップにおいて、前記シール材に付された、前記シール情報が書き込まれたICタグまたは符号化された前記シール情報が印刷された部分から前記シール情報を読み取ってよい。
【0020】
本発明の一形態では、前記シール情報は、前記シール材のロット番号をさらに含み、
前記判定の結果を示す情報および前記ロット番号を前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させるステップをさらに含んでよい。
【0021】
本発明の一形態では、前記記憶手段に関連付けて格納された前記ロット番号および前記工事対象情報に基づいて、クエリとして入力されるロット番号に関連付けられた工事対象情報を検索するステップをさらに含んでよい。
【0022】
本発明の一形態では、前記結果出力手段は、前記判定の結果を示す情報を前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させてよい。
【0023】
本発明の一形態では、前記関連取得手段は、取得された工事対象情報と関連付けられた種類情報を表示し、前記シール情報取得手段は、前記表示された種類情報に基づいて選択されたシール材から、当該シール材の種類情報を含むシール情報を読み取ってよい。
【0024】
本発明の一形態では、前記シール情報は、前記シール材のロット番号をさらに含み、
前記結果出力手段は、前記判定の結果を示す情報と、前記ロット番号とを、前記工事対象情報と関連付けて記憶手段に記憶させてよい。
【0025】
本発明の一形態では、前記工事対象情報と関連付けて記憶された前記ロット番号に基づいて、クエリとして入力されるロット番号に関連付けられた工事対象情報を出力する検索手段をさらに含んでよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、配管の接続箇所にシール材を取り付ける際の作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態にかかる施工管理システムおよび施工の対象を説明する図である。
図2】施工管理システムのハードウェア構成を示す図である。
図3】施工の工程を概略的に示す図である。
図4】工事管理データの一例を示す図である。
図5】接続部における作業手順の一例を示す図である。
図6】ガスケットの一例を示す図である。
図7】クライアント装置により表示される画面の一例を示す図である。
図8】施工管理システムが実現する機能を示すブロック図である。
図9】クライアント装置の処理の一例を示すフロー図である。
図10】解析部の処理の一例を示すフロー図である。
図11】ガスケットの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。以下では、ガスケットのようなシール材を配管のフランジ部分に取り付ける工事の施工を管理する施工管理システムについて説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態にかかる施工管理システムおよび施工の対象を説明する図である。施工管理システムは、管理サーバ1と、クライアント装置2と、読取装置3と、を含む。管理サーバ1は、施工に関する情報を管理するサーバコンピュータである。クライアント装置2は、例えばモバイル型のパーソナルコンピュータであり、施工の現場において施工の対象となる箇所とシール材との対応を確認する処理を実行する。読取装置3は、例えば2次元バーコードリーダまたはRFIDリーダであり、施工の対象となる箇所およびシール材としてのガスケット43に付された記録媒体から情報を読み取る。
【0030】
施工の対象となるのは、2つの配管33を接続する接続部であり、接続部は配管33の端部にあるフランジ34a,34bを含む。接続部は配管33のうちフランジ34a,34bの周囲の部分を含んでよい。ガスケット43はフランジ34a,34bの間に取り付けられる。接続部には、その接続部を識別する工事対象情報が書き込まれた札41が付されている。なお、接続部に付される札41は接続部そのものにかけられていてもよいし、接続部を指すことがわかるように接続部の周囲に配置されてもよい。
【0031】
図2は、施工管理システムのハードウェア構成を示す図である。管理サーバ1は、プロセッサ11と、ストレージ12と、通信部13と、入出力部14とを含む。クライアント装置2は、プロセッサ21と、ストレージ22と、通信部23と、入出力部24と、表示部25とを含む。
【0032】
プロセッサ11は、ストレージ12に格納されているプログラムに従って動作し、通信部13や入出力部14を制御する。プロセッサ21は、ストレージ22に格納されているプログラムに従って動作し、通信部23、入出力部24、表示部25を制御する。上記プログラムは、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【0033】
ストレージ12,22は、DRAMやフラッシュメモリ等のメモリ素子とハードディスクドライブ等の外部記憶装置とによって構成されている。ストレージ12は、上記プログラムを格納する。また、ストレージ12,22は、プロセッサ11,21や通信部13,23等から入力される情報や演算結果を格納する。
【0034】
通信部13,23は他の装置と通信するネットワークインタフェースコントローラであり、有線LAN、無線LANまたは移動体通信を構成する集積回路と、通信端子またはアンテナとを含む。通信部13,23は、ネットワークを介して他の装置と通信する機能を有する。通信部13,23は、プロセッサ11,21の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11,21やストレージ12,22に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0035】
入出力部14,24は、主に外部デバイスとデータをやりとりする入出力コントローラにより構成される。外部デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパネル、読取装置3などのうちいずれかを含む入力デバイスがある。入出力部14,24は、プロセッサ11,21の制御に基づいて、入力デバイスをユーザが操作することにより入力されるデータを取得する。
【0036】
表示部25は、いわゆるGPU(Graphic Processing Unit)、フレームバッファメモリ、および表示制御回路を含む。表示部25はさらに表示出力デバイスを含んでよい。表示部25は、画像のデータを生成し、生成された画像を表示出力デバイスに表示させる。
【0037】
図3は、施工の工程を概略的に示す図である。はじめに、管理者は、施工の対象となる配管33の接続部を識別する工事対象情報と、ガスケット情報とを含む工事管理データを用意する(ステップS101)。ガスケット情報は、接続部に取り付けるガスケット43の種類を示す品番を含む。品番はガスケット43のようなシール材の種類を示す種類情報の一種である。種類情報として、ガスケット43に付与されたシリアル番号の一部が品番の代わりに用いられてもよい。この時点で工事管理データは管理サーバ1に格納される。
【0038】
そして管理者は、工事対象情報が書き込まれた札41(被読取部)を、その接続部に付す(ステップS102)。ここで、管理者は、札41に符号化された工事対象情報を印刷することにより工事対象情報を書き込んでもよいし、札41に工事対象情報が書き込まれたICチップ(例えばRFIDチップ)または符号化された工事対象情報を印刷されたシールを貼ることにより工事対象情報を書き込んでもよい。符号化された工事対象情報は、2次元バーコードであってよい。以下では、札41のうち工事対象情報が印刷された部分およびICチップをまとめて、記録保持部とも記載する。印刷された部分およびICチップは、記録媒体の一種である。なお、接続部に札41を付すことは、接続部に札41をかけることであってよいし、記録保持部は、接続部またはその近傍に貼り付けられるシールであってもよいし、接続部またはその近傍にある符号化された工事対象情報が印刷される領域であってもよい。
【0039】
次に管理者は、接続部に取り付けるガスケット43を準備する(ステップS103)。ガスケット43には、シール情報が付されている。ガスケット43のシール情報の詳細については後述する。
【0040】
そして、管理者は、工事管理データをクライアント装置2へコピーする(ステップS104)。クライアント装置2は、工事の作業者ごとに準備され、クライアント装置2へは、作業者が担当する接続部に対する工事管理データのみがコピーされてよい。ここまでが、実際に施工の作業を開始する前の準備作業である。
【0041】
準備作業が終わると、作業者は接続部のそれぞれにガスケット43を取り付け、クライアント装置2は取り付けに関係する工事管理データを更新する(ステップS105)。この工程は接続部ごとに実施される。この工程の詳細については後述する。
【0042】
作業者が担当する接続部の工事が終わると、クライアント装置2は、更新された工事管理データをサーバへ転送する(ステップS107)。管理サーバ1は転送された工事管理データに基づいて、管理サーバ1内の工事管理データを更新する。
【0043】
そして、管理サーバ1は、接続部の施工状況に関する情報を集計または検索する(ステップS108)。管理サーバ1は、工事管理データから施工された接続部の数を集計してもよいし、作業日またはガスケット43のロット番号を含むクエリに基づいて、接続部を検索してもよい。
【0044】
図4は、工事管理データの一例を示す図である。工事管理データは、接続部ごとのレコードを含み、各レコードは、工事対象情報と、取り付けるべきガスケット43の品番と、ガスケット43の寸法と、を含む。各レコードは、さらに、取り付け作業時に格納される情報として、確認日と、確認結果と、取り付けられたガスケット43の出荷日と、そのガスケット43のロット番号とを含む。なお、図4に示される品番以外の項目のうち一部または全部は工事管理データに含まれなくてもよい。
【0045】
以下では、ステップS105の工程についてさらに説明する。図5は、接続部における作業手順の一例を示す図である。図5に示される手順は、接続部ごとに行われる。
【0046】
はじめに、作業者は、工事の対象となる配管33の接続部において、読取装置3を用いて札41から工事対象情報を読み取る(ステップS201)。より具体的には、作業者が読取装置3を記録保持部にかざし、読取装置3が札41の記録領域42から符号化された工事対象情報を読み取って復号化してもよいし、代わりに読取装置3がICチップから工事対象情報を無線経由で読み取ってもよい。
【0047】
クライアント装置2は読取装置3が読み取った工事対象情報を取得し、工事管理データから、読み取られた工事対象情報に関連付けて記憶されたガスケット43の品番を取得し、取得された品番を出力する(ステップS202)。
【0048】
作業者は、予め準備された1または複数のガスケット43から、クライアント装置2から出力される品番のガスケット43を取り出し、ガスケット43から読取装置3でガスケット情報を読み取る(ステップS203)。
【0049】
図6は、ガスケット43の一例を示す図である。ガスケット43は取り付けの前には包装47の中に配置されている。図6の例では、ガスケット43は環状の主部分と、主部分の一部から径方向に延びる延在部44とを有する。ガスケット43には、ガスケット情報が書き込まれたICタグまたは符号化されたガスケット情報が印刷されたもの(例えばシールまたは包装47)が付されている。以下ではこのICタグまたは印刷されたものを記録媒体と記載する。図6の例では、延在部44に記録媒体として印刷シール45が付されている。図11は、ガスケット43の他の一例を示す図である。図11の例では、印刷シール45が貼られた包装47が、記録媒体としてガスケット43に付されている。
【0050】
ステップS203において、より具体的には、作業者が読取装置3をガスケット43に付された記録媒体にかざし、読取装置3が記録媒体からガスケット情報を読み取る。読取装置3が符号化された工事対象情報を読み取って復号化してもよいし、読取装置3がICチップから無線通信により工事対象情報を読み取ってもよい。
【0051】
そして、クライアント装置2は、工事対象情報に紐づけられたガスケット43の品番と、読み取られたガスケット情報に含まれる品番とが同じか否か判定する(ステップS204)。紐づけられたガスケット43の品番とガスケット情報に含まれる品番とが異なる場合には(ステップS204のN)、クライアント装置2はエラーメッセージを出力し(ステップS205)、作業者は現在のガスケット43を元々収納されていた場所に戻し、ステップS203から繰り返す。
【0052】
一方、紐づけられたガスケット43の品番とガスケット情報に含まれる品番とが同じ場合には(ステップS204のY)、クライアント装置2はガスケット43が正しい旨の(正常である)メッセージを出力し、現在の日時、ガスケット情報の一部(例えばガスケット43の出荷日およびロット番号)、照合の結果(確認結果)を工事対象情報と関連付けてストレージ22に格納する(ステップS206)。なお工事対象情報と関連付けて格納される情報は、上記の一部であってもよい。そして作業者は、ガスケット43を接続部に取り付ける(ステップS207)。
【0053】
図7は、クライアント装置2により表示される画面の一例を示す図である。「工事対象」に続いて工事対象情報が表示され、表の「管理台帳」の欄には工事管理データにおけるガスケット43の品番が、「読み取り結果」の欄には読取装置3により読み取られた品番が表示される。図7では、表の下に、照合の結果が表示され、さらにその下に確認ボタンが表示されている。
【0054】
予めガスケット43に品番を含むガスケット情報を書き込んでおき、読取装置3でガスケット情報を読み取り、クライアント装置2で予め準備した工事管理データと照合することにより、接続部に取り付けるガスケット43を間違える可能性を大幅に減らすことが可能になる。また工事の対象となる接続部がどこであるかについても接続部に付された札41から読取装置3で読み取っていることにより入力ミスを減らし、接続部に取り付けるガスケット43を間違える可能性をさらに減らしている。ガスケット情報は、品番以外にも、出荷日、ロット番号を含んでおり、これらの情報を工事対象情報と関連付けて格納しておくことで、いわゆるトレーサビリティを向上させることができる。
【0055】
図6および7の例では、照合された品番が同じ場合にステップS206において、照合の結果が実質的な作業記録としてストレージ22に格納されているが、作業者がステップS207の取り付け作業をした後に、照合結果および取り付けの結果がストレージ22に格納されてもよい。この場合には、作業者が作業完了を示す入力をした場合に、照合の結果および取り付けの結果がストレージ22に格納されてよい。例えば、図7において確認ボタンが押下されると、画面に作業完了ボタンが表示され、作業者により作業完了ボタンが押下された際に照合結果等を示す情報がストレージ22に格納されてよい。
【0056】
次に、施工管理システムが実現する機能および処理について説明する。図8は、施工管理システムが実現する機能を示すブロック図である。施工管理システムは、機能的に、工事対象取得部51、種類提示部52、ガスケット情報取得部53、照合部54、照合結果出力部55、解析部58、クライアントデータベース61、サーバデータベース63を含む。工事対象取得部51、種類提示部52、ガスケット情報取得部53、照合部54、照合結果出力部55は、クライアント装置2のプロセッサ21がストレージ22に記憶される各部に対応するプログラムの命令を実行し、通信部23、入出力部24、表示部25を制御することにより実現される。解析部58は、管理サーバ1のプロセッサ11がストレージ12に記憶される各部に対応するプログラムの命令を実行し、通信部13、入出力部14を制御することにより実現される。
【0057】
クライアントデータベース61、サーバデータベース63は主にそれぞれストレージ12,22により実現される。クライアントデータベース61、サーバデータベース63は工事管理データを格納する。クライアントデータベース61、サーバデータベース63はクライアント装置2、管理サーバ1において実行されるデータベース管理システムのプログラムをプロセッサ21,11が実行し、ストレージ22,12とデータをやり取りすることにより実現されてもよい。
【0058】
工事対象取得部51は、工事の対象となる配管33の接続部に付与された工事対象情報であって、その接続部を識別するための工事対象情報を取得する。
【0059】
種類提示部52は、工事管理データから、取得された工事対象情報と関連付けて記憶されたガスケット43の品番を取得し、取得された品番を示す情報を表示出力デバイスなどに出力する。
【0060】
ガスケット情報取得部53は、ガスケット43から読み取られた、ガスケット43の種類を示す品番を含むガスケット情報を取得する。
【0061】
照合部54は、工事対象情報と品番とを関連付けて記憶するストレージ22から、工事対象取得部51が取得した工事対象情報と関連付けられた品番を取得し、その取得された品番と、取得されたガスケット情報に含まれる品番とが同一であるか否かを判定する。
【0062】
照合結果出力部55は、照合部54による判定の結果を出力する。照合結果出力部55は表示出力デバイスを介して判定の結果を出力してもよいし、音声として判定の結果を出力してもよい。照合結果出力部55は、現在日付(例えば図4の確認日)、判定の結果を示す情報(例えば図4の確認結果)およびガスケット情報の一部を工事対象情報と関連付けてストレージ22に記憶させる。ガスケット情報の一部は、ロット番号および出荷日のうち1または複数を含んでよい。照合結果出力部55は、工事対象情報と関連付けられた品番と、取得されたガスケット情報に含まれる品番とが異なる場合に、工事対象情報と品番とを関連付けて記憶するストレージ22から、ガスケット情報に含まれる品番に関連付けられた工事対象情報を取得し、その工事対象情報に応じた工事個所を示す情報を表示してもよい。
【0063】
解析部58は、工事管理データを格納するサーバデータベース63の内容を解析する。サーバデータベース63には、ステップS101において整備され、ステップS107において現在日付、判定の結果を示す情報およびガスケット情報の一部が追加更新された工事管理データが格納されている。解析部58は、工事管理データに含まれ判定の結果がOKであることを示す確認結果と関連付けられた工事対象情報の数を施工された接続部の数として集計してよい。また、解析部58は、工事管理データにおいて工事対象情報と関連付けて記憶されたロット番号または出荷日に基づいて、クエリとして入力されるロット番号または出荷日に関連付けられた工事対象情報を出力する。これにより、例えばガスケット43の製造上の問題が後で発見された場合に、確認すべき箇所を容易に判断できる。また、解析部58は工事管理データに含まれ確認日がクエリとなる基準日より前である工事対象情報を出力してもよい。これによりガスケット43の取り付けからの経過期間を容易に把握することができる。
【0064】
図9は、クライアント装置2の処理の一例を示すフロー図であり、図5に記載される工程においてクライアント装置2が実行する処理を示している。
【0065】
はじめに工事対象取得部51は、読取装置3により読み取られた工事対象情報を取得する(ステップS401)。種類提示部52は、工事管理データから、取得された工事対象情報と関連付けて記憶されたガスケット43の品番を取得する(ステップS402)。そして種類提示部52は取得された品番を表示出力デバイスなどに出力する(ステップS403)。
【0066】
品番が出力され、図5のステップS203において作業者がガスケット情報の読み取り操作をすると、ガスケット情報取得部53は読取装置3から読み取られたガスケット情報を取得する(ステップS404)。照合部54は、ステップS403で種類提示部52が出力した品番(工事管理データにおいて、工事対象取得部51が取得した工事対象情報と関連付けられた品番)と、ガスケット情報に含まれる品番とが同一であるか否かを判定する(ステップS405)。これらが異なる場合には(ステップS405のN)、照合結果出力部55は表示出力デバイス等を介して判定結果として、NGのメッセージを出力する(ステップS406)。
【0067】
ステップS406において、照合結果出力部55は、さらに、工事管理データから、ガスケット情報に含まれる品番に関連付けられた工事対象情報を検索により取得し、その工事対象情報に応じた工事個所を示す情報を表示してもよい。これにより、例えば、誤った品番のガスケット43を戻すべき箇所を容易に把握することができる。また、他の作業者が使用すべきガスケット43を誤って持ち運んでいるケースを容易に検出することができる。
【0068】
一方、種類提示部52が出力した品番とガスケット情報に含まれる品番とが同一である場合には(ステップS405のY)、照合結果出力部55は表示出力デバイス等を介して判定結果として、OKのメッセージを出力する(ステップS407)。そして照合結果出力部55は、現在日付(確認日付)、判定の結果を示す情報およびガスケット情報の一部を工事対象情報と関連付けてクライアントデータベース61に格納する(ステップS408)。照合結果出力部55は上記の情報のうち一部をクライアントデータベース61に格納してもよいし、ガスケット情報の一部は、ロット番号、出荷日を含んでよい。
【0069】
上記の処理により、クライアント装置2は工事管理データに基づいて、読み取られた工事対象情報と関連付けられた品番と読み取られた品番とを照合する。このクライアント装置2を含む施工管理システムにより、施工の際にガスケット43の種類を確認する負担が軽減され、取り付け時のミスが生じる可能性が大幅に低減される。
【0070】
OKまたはNGのメッセージの出力は、OKまたはNGを示すメッセージの表示であってもよいし、OKまたはNGを示す音声の出力であってもよい。またOKまたはNGを示すランプの点灯または点滅であってもよい。
【0071】
ステップS408の処理は、作業者により作業完了ボタンが押下された後に行われてもよい。この場合には、照合結果出力部55は、ステップS407の処理の後に、作業者が作業完了を示す入力をするまで待機する。そしてその作業完了を示す入力がされると、照合結果出力部55はステップS408の処理を行う。
【0072】
図10は、解析部58の処理の一例を示すフロー図であり、解析部58がロット番号などのクエリに基づいて工事管理データを検索する処理の図である。事前に、クライアント装置2においてクライアントデータベース61に格納された確認日付、判定の結果を示す情報およびガスケット情報の一部がサーバデータベース63に反映されているものとする。
【0073】
はじめに、解析部58は、検索条件となるクエリを取得する(ステップS501)。クエリは、ロット番号であってもよいし、確認日の期間であってもよいし、出荷日であってもよい。またクエリは管理サーバ1に接続された入力デバイスから入力されてもよいし、管理サーバ1の通信部13を介して通信接続された他のコンピュータから入力されてもよい。
【0074】
解析部58は、サーバデータベース63に格納される工事管理データから、クエリを満たすデータを検索する(ステップS502)。ここで解析部58は、クエリを満たすデータと関連付けられた工事対象情報を取得する。解析部58は、検索により取得されたデータを例えば表示出力デバイスまたはクエリを入力したコンピュータに向けて出力する(ステップS503)。
【0075】
ここに示される処理により、例えば製品に問題が発見された場合に、確認すべき箇所を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 管理サーバ、2 クライアント装置、3 読取装置、11,21 プロセッサ、12,22 ストレージ、13,23 通信部、14,24 入出力部、25 表示部、33 配管、34a,34b フランジ、41 札、42 記録領域、43 ガスケット、44 延在部、45 印刷シール、47 包装、51 工事対象取得部、52 種類提示部、53 ガスケット情報取得部、54 照合部、55 照合結果出力部、58 解析部、61 クライアントデータベース、63 サーバデータベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11