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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074253
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】スライドパズル用具
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/08 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
A63F9/08 501B
A63F9/08 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187113
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】320010848
【氏名又は名称】伊藤 博
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開始前にパズル片を簡単に配置することができて、難易度を変えることができるスライドパズル用具を提供する。
【解決手段】スライドパズル用具1は、パズル領域R1、および方向転換領域R2を画定する枠体10と、9個のパズル片30を備えている。9個のパズル片30は、全ての小区画R11のそれぞれに配置されている。方向転換領域R2は、通路部R21、回動部R22、および待避部R23を有している。通路部R21はパズル片30をパズル領域R1の内外に移動させるための通路であり、1行2列目に位置する小区画R11に接続している。回動部R22は、パズル片30を回動させるための区域であり、通路部R21の先端に接続する円弧形状で画定されている。待避部R23は、パズル片30を一時的に待避させる区域であり、通路部R21の中間部に接続している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行と複数列で仕切られることで画定される複数の小区画を有するパズル領域と、
前記小区画のそれぞれに収容できる前記小区画と同数のパズル片と、
前記パズル領域に接続して、前記パズル片を収容できるとともに、前記パズル片に描かれた図柄の向きを転換できる方向転換領域と、を備え、
前記方向転換領域で不規則な向きに並べられた前記図柄の向きを揃えるとともに、前記パズル片が前記方向転換領域に収容されることで設けられる前記小区画の空所を利用して、前記パズル片を移動させる手順を繰り返すことで、前記図柄は協働して想定したパターンを再現できることを特徴とするスライドパズル用具。
【請求項2】
前記図柄は、前記パズル片の第1面に描かれた第1図柄を有し、
前記方向転換領域は、前記小区画に接続して、前記パズル片が移動できる通路部と、前記通路部に接続する待避部および回動部と、を有し、
前記待避部は、前記パズル片を収容でき、
前記回動部は、前記第1図柄を回動できることを特徴とする請求項1に記載のスライドパズル用具。
【請求項3】
前記回動部は、回動中心に設けられる軸心を有し、
前記パズル片は、前記第1面に対向する第2面に接触しない状態で前記軸心を通過できる通過凹部と、前記軸心に支持される回動凹部と、が設けられることを特徴とする請求項2に記載のスライドパズル用具。
【請求項4】
前記パズル片の対向するそれぞれの辺の一部または全部が前記通路部に接触した状態で、前記パズル片が前記通路部を移動できることを特徴とする請求項2または3に記載のスライドパズル用具。
【請求項5】
前記図柄は、前記パズル片の第1面に描かれた第1図柄と、前記第1面に対向する第2面に描かれた前記第1図柄を90°回転した図柄である第2図柄と、を有し、
前記方向転換領域は、前記パズル片が移動できる通路部と、前記通路部に接続する反転部と、を有し、
前記通路部の一端は前記小区画に接続し、他端は前記一端に接続する前記小区画と異なる小区画に接続し、
前記パズル片が前記一端から前記他端、あるいは前記他端から前記一端に移動したとき前記図柄は180°回転し、
前記パズル片が前記反転部に収容されたとき、前記パズル片は反転が誘導されて表裏が逆転できることを特徴とする請求項1に記載のスライドパズル用具。
【請求項6】
前記通路部は、外周境界と内周境界で画定され、
前記パズル片は、前記外周境界および前記内周境界と接した状態で前記通路部を移動できることを特徴とする請求項5に記載のスライドパズル用具。
【請求項7】
前記反転部は、前記パズル片の反転を誘導するための反転スロープが設けられることを特徴とする請求項5または6に記載のスライドパズル用具。
【請求項8】
前記図柄は、前記パズル片に刻まれた凹凸によって認識できることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のスライドパズル用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パズル片に表されている図柄を方向転換できるスライドパズルに用いるスライドパズル用具に関する。
【背景技術】
【0002】
脳のトレーニングを行うと、学習能力が向上するといわれている。具体的な効果として、子供の能力向上、脳の老化予防、認知症予防が期待できる。研究機関で実施した調査によると、脳のトレーニングができるパズル、例えばスライドパズルに定期的に取り組んでいる人ほど、注意力・推論力・記憶力が優れているとの結果が出ている。
【0003】
特許文献1では、六角形で駒が落ちないための縁のある盤と、3角形または6角形で角を落とし盤内で移動できるようにした駒からなるスライディングブロックパズルが提案されている。スライディングブロックパズルに駒の回転機能を付与したものである。
【0004】
特許文献2では、駒を正六面体とすることで、一つの駒に6通りの絵または文字等の印刷を可能にし、一対の箱枠の対辺に一駒分の待避場所をそれぞれ設けることで完成した図柄を四角形に構成することを可能とするパズルゲームが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-275514号公報
【特許文献2】実用新案登録第3070718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案されているパズルは、3角形の駒を盤に並べるためには、3角形の駒を所定のパターンで並べる必要がある。また、6角形の駒を盤に並べるためには、6辺の全てを他の駒に接した状態とする必要がある。すなわち、駒を並べる作業は4角形の駒を四角形の盤に並べる手順と比べて複雑となる。さらに、駒を回転させるためには、駒の角が落とされた部分を、他の駒に押し付けながら回動する必要があり操作が複雑となる。このように、操作が複雑で難易度が高すぎると、パズルをすること自体を嫌がるようになるという問題がある。
【0007】
特許文献2で提案されているパズルは、開始前に駒に表されている図柄の向きを揃える必要がある。このように、パズル開始前の段階で駒の配置作業を気軽に行うことができない場合、パズルをすること自体をためらうようになる。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、開始前にパズル片を簡単に配置することができて、難易度を変えることができるスライドパズル用具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、スライドパズル用具であって、複数行と複数列で仕切られることで画定される複数の小区画を有するパズル領域と、小区画のそれぞれに収容できる小区画と同数のパズル片と、パズル領域に接続して、パズル片を収容できるとともに、パズル片に描かれた図柄の向きを転換できる方向転換領域とを備え、方向転換領域で不規則な向きに並べられた図柄の向きを揃えるとともに、パズル片が方向転換領域に収容されることで設けられる小区画の空所を利用して、パズル片を移動させる手順を繰り返すことで、図柄は協働して想定したパターンを再現できることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、パズル領域に接続して、パズル片を収容できるとともに、パズル片に描かれた図柄の向きを転換できる方向転換領域を備えるので、開始前の準備としてパズル領域に図柄の向きを揃えてパズル片を配置することを要しない。すなわち、方向転換領域でパズル片の方向を転換して図柄の向きを揃えたのちに、従来のスライドパズルを行うことができる。パズル片の配置作業が簡単にできることから、スライドパズルの準備をためらうことなく容易に開始できる。
【0011】
好ましくは、図柄は、パズル片の第1面に描かれた第1図柄を有し、方向転換領域は、小区画に接続して、パズル片が移動できる通路部と、通路部に接続する待避部および回動部とを有し、待避部は、パズル片を収容でき、回動部は、第1図柄を回動できることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、パズル片を待避部に収容させた状態で、他のパズル片を回動させる手順を繰り返すことで第1図柄の向きを揃えることができる。
【0013】
好ましくは、回動部は、回動中心に設けられる軸心を有し、パズル片は、第1面に対向する第2面に接触しない状態で軸心を通過できる通過凹部と、軸心に支持される回動凹部とが設けられることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、回動部は、回動中心に設けられる軸心を有し、パズル片は、第1面に対向する第2面に接触しない状態で軸心を通過できる通過凹部と、軸心に支持される回動凹部とが設けられるので、パズル片は、回動部に収容された状態で、回動中心を中心として円滑に回動できる。
【0015】
好ましくは、パズル片の対向するそれぞれの辺の一部または全部が通路部に接触した状態で、パズル片が通路部を移動できることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、パズル片の対向するそれぞれの辺の一部または全部が通路部に接触した状態で、パズル片が通路部を移動できるので、パズル片が通路部を移動するとき、パズル片の自由な回動は拘束される。すなわち、パズル片は、一義的な姿勢の状態で、通路部を通過する。
【0017】
好ましくは、図柄は、パズル片の第1面に描かれた第1図柄と、第1面に対向する第2面に描かれた第1図柄を90°回転した図柄である第2図柄とを有し、方向転換領域は、パズル片が移動できる通路部と、通路部に接続する反転部とを有し、通路部の一端は小区画に接続し、他端は一端に接続する小区画と異なる小区画に接続し、パズル片が、一端から他端、あるいは他端から一端に移動したとき図柄は180°回転し、パズル片が反転部に収容されたとき、パズル片は反転が誘導されて表裏が逆転できることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、パズル片を通路部の一端から他端に移動することで図柄を180°回転できる。また、パズル片を一端から反転部に移動して反転した後、一端あるいは他端に移動させることで、図柄を時計回り、あるいは反時計回りのいずれかに回転できる。この操作を、適宜に繰り返すことで図柄の向きを揃えることができる。すなわち、第1図柄、第2図柄のいずれかを表面にしてパズル片をパズル領域に配置した場合でも、上述した操作を適宜に繰り返すことで、図柄の向きを揃えることができる。
【0019】
好ましくは、通路部は、外周境界と内周境界で画定され、パズル片は、外周境界および内周境界と接した状態で通路部を移動できることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、通路部は、外周境界と内周境界で画定され、パズル片は、外周境界および内周境界と接した状態で通路部を移動できるので、パズル片が通路部を移動するとき、パズル片の自由な回動は拘束される。パズル片は、通路部を通過するとき、通過位置での回動は拘束される。
【0021】
好ましくは、反転部は、パズル片の反転を誘導するための反転スロープが設けられることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、反転部は、パズル片の反転を誘導するための反転スロープが設けられるので、パズル片を容易に反転できる。
【0023】
好ましくは、図柄は、パズル片に刻まれた凹凸によって認識できることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、図柄は、パズル片に刻まれた凹凸によって認識できるので、目の不自由な方も図柄を指先で触って確認することでスライドパズルを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は、実施形態1におけるスライドパズル用具の平面図である。(b)は、(a)における矢視A-Aの断面図である。
図2】(a)は、実施形態1におけるパズル片の第1面の斜視図である。(b)は、同、第2面の斜視図である。
図3】(a)~(c)は、実施形態1におけるパズル片の回動手順を説明する部分平面図である。
図4】実施形態2におけるスライドパズル用具の平面図である。
図5】同、パズル片が通路部を移動するときの姿勢を説明する平面図である。
図6】同、反転部および通路部の部分断面図である。
図7】(a)は、実施形態2における第1面の平面図である。(b)は、同、第2面の平面図である。
図8】実施形態2における180°回転した図柄を揃えたい方向に揃える手順を説明する平面図である。ただし、小区画に配置されるパズル片は省略している。
図9】(a)~(d)は、実施形態2における90°回転した図柄を揃えたい方向に揃える手順を説明する平面図である。ただし、小区画に配置されるパズル片は省略している。
図10】(a)は、実施形態2における反転部の変形例を示す平面図である。(b)~(d)は、(a)における矢視B-Bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1~3を参照して、スライドパズル用具1の実施形態1を詳述する。
【0027】
図1(a)、(b)に示す通り、スライドパズル用具1(以後、スライドパズル1と称する。)は、パズル領域R1、および方向転換領域R2を画定する枠体10と、9個のパズル片30を備えている。パズル領域R1、および方向転換領域R2は外部領域R3よりも低い同一平面上に設けられている。すなわち、外部領域R3から陥没することでそれぞれの領域が画定されている。パズル領域R1は、それぞれが正方形の9個の小区画R11を有しており、小区画R11は3行3列に配置されている。また、9個のパズル片30は、全ての小区画R11のそれぞれに配置されている。本実施形態1では小区画R11は3行3列としているが、行数、列数はそれぞれ複数であればよい。すなわち2行2列でもよいし、3行3列以上であってもよい。また、行数と列数は同数である必要はない。
【0028】
方向転換領域R2は、通路部R21、回動部R22、および待避部R23を有している。通路部R21はパズル片30をパズル領域R1の外に移動させるとともに移動させたパズル片30をパズル領域R1に戻すための通路であり、1行2列目に位置する小区画R11に接続している。なお、接続位置は、1行2列に位置する小区画R11に限定されるものではない。通路部R21の幅は小区画R11の一辺の長さと同じに設定されている。これにより、パズル片30は対向する辺が通路部R21の境界に接した状態で通路部R21を移動する。
【0029】
回動部R22は、パズル片30を回動させるための区域であり、通路部R21の先端に接続する円弧形状で画定されている。回動中心O1となる位置に、軸心15が装着されている。また、円の直径はパズル片30の対角線の長さと同一、あるいは若干長く設定されている。なお、回動中心O1は、回動部R22を画定する円弧の円の中心に位置している。
【0030】
待避部R23は、パズル片30を一時的に待避させる区域であり、通路部R21の中間部に接続している。待避部R23の形状はパズル片30をずれることなく配置できて、さらに配置した状態で他のパズル片30が通路部R21を通過できる形状であることが好ましい。
【0031】
パズル片30は平面視で正方形の平板であり、9個のパズル片30が9区画の小区画R11を有するパズル領域R1に配置されている。第1面S1に図柄31~39として1~9数字のうちの一つが刻み込まれている(図2(a)参照)。すなわち、図柄31~39は、数字の部分は周囲から陥没している。凹凸を指で触ることで図柄31~39を認識できることから、目の不自由な方々もこのスライドパズル1を楽しむことができる。
【0032】
図2(b)に示す通り、第2面S2は、通過凹部41、および回動凹部42を有している。通過凹部41は、パズル片30の対向する辺の中心同士を接続する平面視が十字形状の溝である。また、溝の深さは軸心15の高さよりも深く設定されている。回動凹部42は、十字形状の溝が交差する位置に設けられている溝である。回動凹部42の溝の深さは軸心15の高さと一致する。これにより、通路部R21を通過して回動部R22に至るパズル片30は、軸心15が回動凹部42を通過して通路に沿って移動し、回動凹部42は軸心15に支持される。この状態でパズル片30に回動力を付与することでパズル片30は軸心15を中心に回動する。
【0033】
パズル片30が図柄31~39の方向を揃えることなく無秩序に小区画R11に配置されているとき、想定したパターンを再現するためのパズル片30の並べ替え手順について説明する。
【0034】
第1段階として、ランダムな方向に配置されている図柄31~39を同一方向に揃える。一例として、図3(a)に示す1行3列に位置するパネル片に描かれている図柄35を、1行1列に位置するパネル片に描かれている図柄31と同方向に揃える手順について説明する。図柄35は図柄31に対して反時計回りに90°回転した状態となっている。
【0035】
1行2列に配置されているパズル片30を、通路部R21を経由して待避部R23に移動して、待避させる。これにより1行2列に位置する小区画R11は、パズル片30が配置されていない、いわゆる空所EPとなる。図柄35が描かれたパズル片30を空所EP、および通路部R21を経由して回動部R22に移動する。このとき、通過凹部41は軸心15を通過する。通過凹部41の溝の深さは軸心15の高さより深く設定されていることから、パズル片30は軸心15と接触することなく回動部R22を移動できる。パズル片30が回動部R22の縁端に接したとき、回動凹部42は軸心15に支持された状態となる。図3(b)に示す通り、パズル片30を、軸心15を中心として、時計回りに90°回動する。これにより図柄35は図柄31と同じ方向となる。その後、図3(c)に示す通り、パズル片30を、通路部R21を経由して1行2列に位置する空所EPに配置する。このとき、1行3列の小区画R11は空所EPの状態となっている。
【0036】
空所EPを利用してパズル領域R1に配置されているパズル片30を移動させることで、図柄の方向が異なるパズル片30を1行2列の小区画R11に移動させる。図柄の方向が異なるパズル片30の移動は、空所EPを利用してパズル領域R1に配置されているパズル片30を順次移動させることで可能となる。上述した手順と同様の手順で図柄の方向が異なるパズル片30の方向を揃えることができる。
【0037】
すべてのパズル片30の図柄の方向を揃えた後、想定パターンで1行2列に配置されるパズル片30を待避部R23に待避させる。本実施形態1では図柄32が表示されるパズル片30となる。パズル片30の移動によって設けられた空所EPを利用して順次パズル片30を移動して他のパズル片30を所定の位置に配置する。その後、待避部R23に待避していたパズル片30を1行2列に位置する小区画R11に移動させる。これにより図柄は協働して想定したパターンを再現できる。
【0038】
本実施形態1では、1箇所の待避部R23を設けていたがこれに限らず2箇所以上設けてもよい。また、通路部R21を伸長して2カ所目の待避部R23として利用できるようにしてもよい。待避できるパズル片30の数を多くすることでゲーム自体は簡単となる。また、再現する想定パターンは、図1に示す通り1~9の数字が行方向に順番に並ぶものを例示するが、行列ごとに足し合わされた数字が同じとなるものであってもよい。これらは、パズル開始前に適宜に取り決めておけばよい。
【0039】
図柄は、1~9の数字としていたがこれに限られることはない。例えば、風景の一部、人物の顔、果物、または道具類の一部であってもよい。
【0040】
実施形態2について図4~9を参照して詳述する。実施形態1と実施形態2は共通する構成があることから、主に異なる構成について説明する。また、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、異なる構成については200番台の符号を付す。
【0041】
図4に示す通り、スライドパズル用具201は、パズル領域R1、および方向転換領域R202を画定させる枠体210と、9個のパズル片230を備えている。
【0042】
方向転換領域R202は、通路部R221、および反転部R222を有している。通路部R221はパズル片230をパズル領域R1の外に移動させるとともに、パズル片230を待避させるための通路であり、一端は1行1列に位置する小区画R11に接続し、他端は1行3列に位置する小区画R11に接続している。
【0043】
通路部R221は、外周境界225と内周境界226によって画定されている環状の通路である。
【0044】
外周境界225は点Pを中心として、接続点C1、C2を通過する円の一部と一致する境界である。なお、点Pは、1行2列に位置する小区画R11の中心から小区画R11の辺の長さ分だけ反転部R222の方向に移動した位置に位置する点である。また、内周境界226は、下部境界226aと上部境界226bで構成されており、上部境界226bは点Pを中心として直径が小区画R11の一辺の長さと同じ円の一部である。下部境界226aは1行2列の小区画R11の対向する辺から延びて上述した円に接する直線である。これにより、パズル片230は通路部R221を一義的な姿勢を保った状態で移動できる(図5参照)。
【0045】
通路部R221の頂点近傍に反転部R222が設けられている。反転部R222は、パズル片230が収容できて、パズル片230を収容した状態で他のパズル片230が通路部R221を通過できる形状が確保されている。また、上端部に収容されたパズル片230の反転を誘導するための反転スロープS222が設けられている。図6に示す通り、反転スロープS222は通路部R221から離れる方向に向かって上り勾配となる斜路である。パズル片230を昇り勾配となる方向に移動させることで、パズル片230の一部と枠体210は隙間を生じる。この隙間を手掛かりにしてパズル片230を把持することで、パズル片230の第1面S1と第2面S2を簡単に反転できる。
【0046】
図7(a)に示す通り、パズル片230は平面視で正方形の平板であり、それぞれの第1面S1に第1図柄231a~239aが刻まれている。第1図柄231a~239aは、1~9数字のうちの一つの数字である。第1図柄の下一桁の符号と、刻み込まれている数字は対応している。
【0047】
図7(b)に示す通り、第1面S1に対向する第2面S2には、第2図柄231b~239bが刻み込まれている。第2図柄231b~239bは第1図柄231a~239aと同じ数字が反時計回りに90°回転して刻み込まれている。
【0048】
想定パターンを再現するためのパズル片230の並べ替え手順について説明する。
【0049】
パズル領域R1にパズル片230をランダムに配置する。このとき、図柄の方向を揃える必要はない。また、第1面S1を表面としてもよいし、第2面S2を表面としてもよい。第1面S1を表面としたとき、裏面に位置する第2面S2の図柄は第1面S1の図柄を反時計回りに90°回転したものとなる。第2面S2を表面としたとき、裏面に位置する第1面S1の図柄は第2面S2の図柄を時計回りに90°回転したものとなる。
【0050】
パズル片230をランダムに配置した場合、表面に表れる図柄は、正規の方向、180°回転した方向、時計回りに90°回転した方向、反時計回りに90°回転した方向の4方向の図柄が表れる。第1段階で、パズル領域R1にランダムな方向に配置された図柄を正規の方向に揃える。
【0051】
180°回転した方向の第1図柄235aは、図8に示す通り、通路部R221の一端から他端に移動することで正規の方向にすることができる。
【0052】
時計回りに90°回転した方向、反時計回りに90°回転した図柄の向きを揃える手順について、図9(a)~(d)を例にして説明する。1行3列にはパズル片230が、第1面S1に表示される第1図柄231aが視認できる状態で配置されている。図9(a)に示す通り、第1図柄231aは、揃える方向に対して反時計回りに90°回転しており、第2面S2に表示される第2図柄231bは、第1図柄231aを反時計回りに90°回転した状態である。図9(b)に示す通り、パズル片230を通路部R221に沿って反時計回りに移動すると、反転部R222と隣接する位置において、第1図柄231aは揃える方向に対して180°回転した状態となる。図9(c)に示す通り、この状態で、反転スロープS222を利用してパズル片230の裏表を反転すると、第2面S2が表となり、時計回りに回転した第2図柄231bが視認できる状態となる。図9(d)に示す通り、通路に沿って反時計回りに移動させることで第2図柄231bは、揃えたい向きにとなる。以上説明した通り、時計回りに90°回転した方向、反時計回りに90°回転した方向の図柄は、パズル片230を、通路部R221を経由して反転部R222に移動し、反転部R222でパズル片230の裏表を反転する。その後、パズル片230を元の位置に戻す、あるいは元の位置と対向する端部の方向に移動させることとで、正規の方向とすることができる。
【0053】
上記の反転部R222の変形例を、図10(a)~(d)を参照して説明する。この変形例は、反転スロープS222-1と、これと連続する連続面S222-2と、連続面S222-2と連続するスロープR227と、これを連続する反転凹部R228から構成される。実施形態2で枠体210にパズル片230が引っかかる可能性も考慮したものである。パズル片230を反転凹部R228に押し込むと、パズル片230は傾き、反転スロープS222-1から離れる。これにより、容易にパズル片230の裏表を反転することができる。
【0054】
パズル片を12駒にすることで、使用態様を拡大することができる。例えば、干支・カレンダー(和風月名、誕生石、誕生花、誕生鳥 誕生星座等)について、所定の順番に並べるスライドパズルとすることができる。また、俳句を完成させるスライドパズルにも利用できる。具体的には、上句の5文字を表示して、中句の7文字、下句の5文字を完成させるものである。これにより、シルバー年代にも受け入れやすく、教育分野にも適用範囲を拡張できる。さらに、ゲームの初めに例えば12個のしりとりをして、そのしりとりの言葉を利用して12個の駒が作成されることもできる。これにより、幼児とのふれあいができる。例えば、民話、妖怪の物語のストーリーの分かる特徴的な言葉を12個選び、パズルが完成したとき、その物語が表示され、完成の喜びが得られる。これを応用すると、祭り・展示会・結婚式等のイベントにも発展できる。
【0055】
少なくとも1個のパズル片230を通路部R221に待避させ、パズル領域R1に空所EPを設ける。待避させるパズル片230は、想定パターンで、1行1列、あるいは1行3列に配置されるパズル片230である。
【0056】
空所EPを利用して、パズル領域R1に配置されているパズル片230を移動させて、想定される所定のパターンを再現する。その後、待避させたパズル片230をパズル領域R1に移動させる。
【0057】
待避させるパズル片230の数を多くすることで、スライドパズルの難易度を下げることができる。本実施形態2では、通路部R221に2個、反転部R222に1個、合計3個のパズル片230を対比させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のスライドパズル用具は、抵抗なく簡単にスライドパズルを開始できて、パズルの難易度も変更できる。また、目の不自由な方々もパズルを行うことができることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0059】
1、201:スライドパズル用具
10、210:枠体
15:軸心
30:パズル片
31~39:図柄
41:通過凹部
42:回動凹部
225:外周境界
226:内周境界
231a~239a:第1図柄
231b~239b:第2図柄
EP:空所
O1:回動中心
R21、R221:通路部
R22:回動部
R23:待避部
R222:反転部
S222:反転スロープ
図1
図2
図3
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図6
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図8
図9
図10