(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074319
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20230522BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61H15/00 350Z
A61H15/00 380B
A61H7/00 323J
A61H7/00 322
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187206
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 正生
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD11
4C100AE02
4C100AE07
4C100AE11
4C100AE17
4C100AF02
4C100AF03
4C100AF06
4C100AF07
4C100AF12
4C100BA02
4C100BB03
4C100BC02
4C100BC03
4C100CA06
4C100CA07
4C100CA08
4C100CA09
4C100CA20
4C100DA05
4C100DA10
4C100DA11
4C100DA20
4C100EA12
4C100EA13
(57)【要約】
【課題】被施療者の前後方向における着座位置のずれを解消する。
【解決手段】マッサージ機は、座部と、ローラと、駆動部と、持ち上げ部と、制御部と、を備える。座部は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。ローラは、左右方向に延びて、座部において左右方向を中心として回転可能に配置される。また、ローラは、被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧可能である。駆動部は、ローラを回転させる。持ち上げ部は、座部に配置され、被施療者の臀部を上側に持ち上げ可能である。制御部は、持ち上げ部及び駆動部を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、
左右方向に延びて、前記座部において左右方向を中心として回転可能に配置されるとともに、前記被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧可能なローラと、
前記ローラを回転させる駆動部と、
前記座部に配置され、前記被施療者の臀部を上側に持ち上げ可能な持ち上げ部と、
前記持ち上げ部及び前記駆動部を制御する制御部と、
を備える、マッサージ機。
【請求項2】
前記ローラは、
前記被施療者の左半身における前記少なくとも一方の部位を押圧可能な左側突出部と、
前記被施療者の右半身における前記少なくとも一方の部位を押圧可能な右側突出部と、
を有し、
前記左側突出部及び前記右側突出部は、前記ローラの外周面において径方向外方に突出する、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記ローラは、径方向中心に対して偏心した回転軸を有する、請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記座部の後端部に回転可能に支持され、前記被施療者の胴部を支持する背凭れ部をさらに備え、
前記制御部は、前記背凭れ部を前記座部に対して回転させるとともに、前記持ち上げ部により前記被施療者の臀部を上側に持ち上げて、前記ローラを回転させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御部は、前記背凭れ部を後傾させて前記被施療者を仰向けの状態にするとともに、前記持ち上げ部により前記被施療者の臀部を上側に持ち上げて、前記ローラを左側から右側を見て時計回りに回転させる、請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記被施療者の背中を施療可能な施療ユニットをさらに備え、
前記施療ユニットは、前記背凭れ部に配置されて、前記背凭れ部に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能であり、
前記制御部は、前記背凭れ部及び前記ローラを回転させる際、前記施療ユニットを前記背凭れ部に沿って移動させる、請求項4又は請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記背凭れ部は、
前記被施療者の肩部及び上腕部よりも左右方向における外側にそれぞれ配置されて、前記被施療者と左右方向に対向する一対のサイド部と、
一対の前記サイド部にそれぞれ配置され、前記被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を左右方向における外側から押圧可能な一対の押圧部と、
を有し、
前記制御部は、前記背凭れ部を回転させる際、一対の前記押圧部により前記被施療者を押圧する、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記被施療者の臀部の前後方向における位置を検出するセンサと、
所定の第1時点における前記被施療者の臀部の前後方向における第1位置を記憶する記憶部と、
をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1時点よりも後の第2時点において前記被施療者の臀部の前後方向における位置である第2位置が前記第1位置から前後方向に所定の距離以上離れていることを前記センサの検出結果に基づいて検知すると、前記持ち上げ部により前記被施療者の臀部を上側に持ち上げるとともに、前記ローラを回転させる、請求項8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記被施療者に所定の報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記被施療者の臀部が前記第1位置から前後方向に所定の距離以上離れていることを前記センサの検出結果に基づいて検知すると、前記報知部にて前記報知を行う、請求項8又は請求項9に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部に着座する被施療者をマッサージするマッサージ機が知られている。たとえば、特許文献1のマッサージ機は、座部と、座部の後部に設けられたリクライニング可能な背凭れ部と、座部に着座した被施療者の臀部及び大腿部をマッサージするマッサージ機構と、を有する。マッサージ機構は、背凭れ部の後側へのリクライニングに連動して、座部に対して上昇するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被施療者の座部への座り方が悪かったり施療中に被施療者の着座位置が前側にずれたりすると、被施療者に対するマッサージ機の施療効果を十分には発揮できないことがある。たとえば、腰部の施療効果は、被施療者が正しい着座位置で着座している場合に最も効果的である。なお、特許文献1のように、臀部及び大腿部のマッサージ機構を昇降させるだけでは、被施療者の着座位置の前側へのずれを解消することは難しい。
【0005】
上記の状況を鑑みて、本発明は、被施療者の前後方向における着座位置のずれを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機は、座部と、ローラと、駆動部と、持ち上げ部と、制御部と、を備える。前記座部は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。前記ローラは、左右方向に延びて、前記座部において左右方向を中心として回転可能に配置される。また、前記ローラは、前記被施療者の臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧可能である。前記駆動部は、前記ローラを回転させる。前記持ち上げ部は、前記座部に配置され、前記被施療者の臀部を上側に持ち上げ可能である。前記制御部は、前記持ち上げ部及び前記駆動部を制御する。
【0007】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマッサージ機によれば、被施療者の前後方向における着座位置のずれを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】椅子式マッサージ機の構成例を示す概略的な斜視図
【
図2】上側から下側を見た椅子式マッサージ機の平面図
【
図4】椅子式マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、椅子式マッサージ機100の構成例を示す概略的な斜視図である。
図2は、上側から下側を見た椅子式マッサージ機100の平面図である。なお、
図2では、座部101の表面に配置される布地などのカバーの図示を省略している。また、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称する。
【0012】
以下の説明において、後述する背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て前側(正面側)を「前側」といい、背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て後側(背面側)を「後側」という。また、背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て上側(頭側)を「上側」といい、背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て下側(脚側)を「下側」という。また、背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て右側を「右側」といい、背凭れ部102が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て左側を「左側」という。
【0013】
<1.マッサージ機100>
マッサージ機100は、座部101と、背凭れ部102と、施療ユニット103と、左右一対のベース部104と、左右一対の肘掛け部105と、オットマン106と、を備える。また、マッサージ機100は、移送ユニット1と、持ち上げ部2と、センサ3と、を備える。
【0014】
座部101は、被施療者Uの臀部及び太腿部を支持する。座部101には、移送ユニット1、持ち上げ部2、及びセンサ3が配置される。
【0015】
背凭れ部102は、座部101の後端部に回転可能に支持され、被施療者Uの頭、胴部(たとえば肩部、腰部、及び背中)などを支持する。背凭れ部102は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸(図示省略)を中心にして回転可能である。背凭れ部102は、リクライニング回転軸を中心とする回転により、後側に倒したり前側に起き上がったりすることが可能である。
【0016】
施療ユニット103は、被施療者Uの背中を施療可能である。施療ユニット103は、背凭れ部102に配置されて、背凭れ部102に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能である。たとえば、施療ユニット103は、背凭れ部102に設けられるガイドレール1031によって案内されて、背凭れ部102の長手方向に昇降できる。
【0017】
背凭れ部102は、一対のサイド部1021と、一対の押圧部1022と、を有する。一対のサイド部1021は、左右方向に並ぶ。一対のサイド部1021は、被施療者Uの肩部及び上腕部よりも左右方向における外側にそれぞれ配置されて、被施療者Uと左右方向に対向する。たとえば、左側のサイド部1021は、被施療者Uよりも左側に配置される。右側のサイド部1021は、被施療者Uよりも右側に配置される。
【0018】
一対の押圧部1022は、一対のサイド部1021にそれぞれ配置される。押圧部1022は、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を左右方向における外側から押圧可能である。本実施形態では、各々の押圧部1022は、エアバッグ1023を有する。エアバッグ1023の膨縮によって、押圧部1022は、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を押圧する。左右一対のエアバッグ1023を膨張させることにより、被施療者Uを挟持できる。また、エアバッグ1023の膨縮により、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を施療できる。なお、本実施形態の例示に限定されず、押圧部1022は、エアバッグ1023以外の部材を用いて、被施療者Uを左右方向において挟持してもよい。
【0019】
ベース部104は、座部101の左右方向の両側に立設して設けられ、肘掛け部105を支持する。
【0020】
肘掛け部105は被施療者Uの前腕部及び手を支持する。左右一対の肘掛け部105は、互いに左右対称の形状である。
【0021】
オットマン106は、座部101の前端部に回転可能に支持され、被施療者Uの下腿部及び足部を収容する。オットマン106は、座部101の前端部の下側において左右方向に沿って延びる回転軸(図示省略)を中心にして回転可能である。
【0022】
オットマン106には、エアバッグ(図示省略)が設けられる。該エアバッグの膨縮によって、被施療者Uの下腿部が施療される。
【0023】
移送ユニット1は、座部101に配置され、着座する被施療者Uの前後方向における着座位置を調整する。たとえば、移送ユニット1は、被施療者Uを前後方向に移動させることにより、被施療者Uの着座位置をより施療に適した位置に移動させる。被施療者Uの着座位置が上述の位置にある時、マッサージ機100の施療効果は十分に発揮できる。たとえば、腰部の施療効果は、被施療者Uが正しい着座位置で着座している場合に最も効果的である。以下では、この位置を「適切な施療位置」と呼ぶ。移送ユニット1の詳細は、後に説明する。
【0024】
持ち上げ部2は、座部101に配置され、被施療者Uの少なくとも臀部を上側に持ち上げ可能である。持ち上げ部2は、少なくとも上下方向に膨縮可能なエアバッグ21を有する。エアバッグ21は、少なくとも座部101の後部に配置される。後部のエアバッグ21は、着座する被施療者Uの臀部の直下に配置される。なお、後部のエアバッグ21は、
図2では2個である。但し、この例示に限定されず、後部のエアバッグ21は、単数であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
【0025】
後部のエアバッグ21は、膨張により、被施療者Uの臀部を上側に押圧する。これにより、後部のエアバッグ21は、被施療者Uの臀部を上側に持ち上げ、被施療者Uを軽く浮いた状態にする。なお、後部のエアバッグ21が収縮すると、被施療者Uの自重により臀部は下側に降下する。これにより浮いた状態は解除される。また、後部のエアバッグ21の膨縮により、被施療者Uの臀部を施療することもできる。
【0026】
このほか、エアバッグ21はさらに、着座する被施療者Uの大腿部の直下に配置されてもよく、たとえば
図2に示すように座部101の前部などに配置されてもよい。大腿部の直下のエアバッグ21は、膨張により、被施療者Uの大腿部を上側に押圧する。たとえば、大腿部の直下のエアバッグ21を後部のエアバッグ21とともに膨張させることにより、被施療者Uを浮いた状態にし易くなる。また、大腿部の直下のエアバッグ21は、膨縮により被施療者Uの臀部を施療することもできる。大腿部の直下のエアバッグ21は、後部のエアバッグ21とは独立して膨縮可能である。
【0027】
なお、本実施形態の例示に限定されず、持ち上げ部2は、エアバッグ21以外の部材を用いて、被施療者Uの少なくとも臀部を上側に持ち上げてもよい。たとえば、モータ等により上下動する機構部材を用いて被施療者Uの臀部、太腿部を上側に持ち上げてもよい。
【0028】
センサ3は、被施療者Uの臀部の前後方向における位置を検出する。センサ3には、圧力センサ、光電センサ、接触センサなどを採用できる。
【0029】
たとえば本実施形態では、センサ3は、複数の光電センサであり、たとえばベース部104もしくは肘掛け部105の左右方向に対向する内側面に配置されて前後方向に並ぶ。光電センサの発光素子は、ベース部104もしくは肘掛け部105の左側を向く内側面と右側を向く内側面とのうちの一方に配置される。光電センサの受光素子は、他方に配置され、発光素子と左右方向に対向する。
【0030】
或いは、センサ3は、座部101、背凭れ部102の下部などに配置されてもよい。
図3は、センサ3の他の配置例を示す平面図である。
図3では、センサ3は、センサ3aと、センサ3bと、を含む。たとえば、左右一対のセンサ3aは、座部101の上面に配置されて前後方向に並ぶ。センサ3aは、複数の圧力センサであって、着座する被施療者Uの臀部又は大腿部の直下に配置される。圧力センサは、被施療者Uとの接触による押圧を検出する。たとえば、被施療者Uの押圧を検出したセンサ3aの配置位置と被施療者Uの押圧を検出しないセンサ3aの配置位置とに基づいて、被施療者Uの臀部の前後方向における位置を検知できる。なお、この場合、上記センサ3aは、移送ユニット1の後述するローラ12、シャフト13、左側突出部14L、及び右側突出部14Rと、持ち上げ部2とには接触しない位置に配置される。
【0031】
センサ3bは、圧力センサであって、背凭れ部102の下部(つまり、背凭れ部102の座部101側の部分)に配置される。センサ3bが被施療者Uの押圧を検出するか否かにより、被施療者Uの臀部が背凭れ部102の下部から離れているか否かを検知できる。たとえば、被施療者Uの臀部が背凭れ部102の下部から離れていれば、臀部が適切な施療位置から前側にずれていると判定できる。
【0032】
<2,マッサージ機100の制御系>
次に、
図4を参照して、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。
図4は、マッサージ機100の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0033】
マッサージ機100は、操作部1071と、記憶部1072と、報知部1073と、制御部108と、アクチュエータ群1091と、エアポンプ1092と、電磁弁群1093と、前述の施療ユニット103と、を備える。
【0034】
操作部1071は、被施療者Uが施療パターンの選択、施療の強弱調節、後述する着座位置の調整指示などを行うための入力装置である。操作部1071はコード線を介して制御部108に接続される。操作部1071は、被施療者Uなどの操作入力を受け付け、該操作入力に基づく信号を制御部108に出力する。操作部1071は、スタンド(符号省略)に対して装着及び取り外しが可能である。スタンドは、座部101の左側に配置された肘掛け部105に固定されている。
【0035】
記憶部1072は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部1072は、たとえば、制御部108がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。このほか、記憶部1072は、センサ3の検出結果を記憶し、たとえば所定の時点における被施療者Uの臀部の前後方向における適切な位置を記憶する。こうすれば、マッサージ機100は、たとえば被施療者Uの臀部の前後方向における適切な施療位置として、所定の時点にてセンサ3により検出される位置を記憶部1072に記憶する。従って、マッサージ機100は、この時点よりも後の時点においてこの記憶を、被施療者Uの臀部の前後方向における位置の適切な施療位置に対するずれの検知に利用できる。
【0036】
報知部1073は、被施療者Uに所定の報知を行う。たとえば、報知部1073は、マッサージ機100が備えるスピーカ(図示省略)を含み、音声出力により所定の報知を行う。また、報知部1073は、マッサージ機100が備えるディスプレイ(図示省略)を含み、ディスプレイの表示により所定の報知を行う。また、報知部1073は、マッサージ機100が備える振動装置(図示省略)を含み、被施療者Uに振動を伝達することにより所定の報知を行う。
【0037】
制御部108は、たとえば座部101の下側に配置され、操作部1071から出力される信号などに基づいて、マッサージ機100の各部を制御する。たとえば、制御部108は、アクチュエータ群1091、エアポンプ1092、及び電磁弁群1093を制御する。さらに、制御部108は、移送ユニット1(たとえば後述する駆動部15)及び持ち上げ部2を制御する。
【0038】
アクチュエータ群1091は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群1091は、背凭れ部102を回転させる背凭れ部用アクチュエータ、オットマン106を回転させるオットマン用アクチュエータなどを含む。
【0039】
電磁弁群1093は、複数の電磁弁を含む。複数の電磁弁のうちの一部は、エアポンプ1092と、マッサージ機100に設けられるエアバッグ群との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。なお、エアバッグ群は、たとえば、座部101の持ち上げ部2及び背凭れ部102の押圧部1022に設けられるエアバッグ21,1023などを含む。また、複数の電磁弁のうちの他の一部は、エアバッグ群と、外部との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。
【0040】
たとえば、一部の電磁弁によりエアポンプ1092とエアバッグとが連通すると、エアポンプ1092から電磁弁を介してエアバッグに空気が供給される。これにより、エアバッグが膨張する。一方、他の一部の電磁弁の動作により外部とエアバッグとが連通すると、エアバッグ内の空気が電磁弁を介して外部に開放される。これにより、エアバッグ内の空気が開放され、エアバッグが収縮する。また、各々の電磁弁の動作により、エアバッグがエアポンプ1092とも外部とも連通しなくなると、エアバッグ内の空気量が保持される。
【0041】
<3.移送ユニット1の構成>
次に、
図2及び
図5を参照して、移送ユニット1を説明する。
図5は、移送ユニット1の構成例を示す概略的な斜視図である。なお、
図5では、移送ユニット1の内部の構成を示すため、後述する筐体11を透明にしている。
【0042】
移送ユニット1は、筐体11と、ローラ12と、シャフト13と、左側突出部14Lと、右側突出部14Rと、駆動部15と、伝達部16と、を有する。言い換えると、マッサージ機100は、これらを備える。なお、以下では、左側突出部14L及び右側突出部14Rを「突出部14」と総称することがある。
【0043】
筐体11は、ローラ12、シャフト13、突出部14、駆動部15、及び伝達部16を収容する。筐体11は、左右方向に並ぶ2つの開口部111を有する。開口部111は、筐体11の天板部分(符号省略)を上下方向に貫通する。ローラ12の一部は、開口部111を介して、筐体11の外部に露出する。
【0044】
ローラ12は、シャフト13を有する。シャフト13は、筐体11により回転可能に支持される。シャフト13は、左右方向と平行な回転軸A1,A2に沿って延び、回転軸A1,A2を中心にして回転可能である。本実施形態では、シャフト13は、第1シャフト131と、第2シャフト132と、を有する。第1シャフト131は、左右方向と平行な第1回転軸A1に沿って延び、第1回転軸A1を中心にして回転可能である。第1シャフト131の中心軸は、第1回転軸A1に一致する。第2シャフト132は、左右方向と平行な第2回転軸A2に沿って延び、第2回転軸A2を中心にして回転可能である。第2シャフト132は、第1シャフト131よりも後側に配置される。第2シャフト132の中心軸は、第2回転軸A2に一致する。
【0045】
ローラ12は、左右方向に延びて、座部101においてシャフト13の回転により左右方向を中心として回転可能に配置される。ローラ12は、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧可能である。ローラ12は、持ち上げ部2のエアバッグ21の膨張とともに、回転する。こうすれば、マッサージ機100は、被施療者Uを上側に軽く浮かせた状態で前後方向に移動させることができる。
【0046】
すなわち、持ち上げ部2は、座部101に座る被施療者Uの臀部を上側に持ち上げる。さらに、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧するローラ12が回転する。これらにより、マッサージ機100は、座部101に座る被施療者Uの前後方向における着座位置が適切な施療位置からずれていても、上述の着座位置を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。
【0047】
たとえば、マッサージ機100は、着座位置が適切な施療位置から前側にずれている場合、ローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる。これにより、マッサージ機100は、上述の着座位置を後側に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの前後方向における着座位置のずれを解消でき、被施療者Uに十分な施療を行うことができる。
【0048】
また、ローラ12は、左右一対の第1ローラ121と、左右一対の第2ローラ122と、を有する。第1ローラ121は、第1シャフト131の径方向外端部に配置され、左右方向に延びる。第1ローラ121は、第1シャフト131に保持される。左右一対の第1ローラ121は、左右方向に並び、左右方向を中心に回転可能である。
【0049】
第2ローラ122は、第2シャフト132の径方向外端部に配置され、左右方向に延びる。第2ローラ122は、第2シャフト132に保持される。左右一対の第2ローラ122は、左右方向に並び、左右方向を中心に回転可能である。
【0050】
第1ローラ121の上端部及び第2ローラ122の上端部はそれぞれ、開口部111を通じて筐体11の外部にはみ出る。これにより、第1ローラ121は、着座する被施療者Uの大腿部を押圧可能である。第2ローラ122は、着座する被施療者Uの臀部を押圧可能である。たとえば、左側に配置される第1ローラ121及び第2ローラ122はそれぞれ、着座する被施療者Uの左大腿部及び臀部の左側を押圧可能である。右側に配置される第1ローラ121及び第2ローラ122はそれぞれ、着座する被施療者Uの右大腿部及び臀部の右側を押圧可能である。
【0051】
好ましくは、シャフト13の回転軸(たとえば第1回転軸A1、第2回転軸A2)は、ローラ12の径方向中心に対して偏心する。言い換えると、ローラ12は、径方向中心に対して偏心した回転軸を有する。たとえば、第1ローラ121は、第1回転軸A1に対して偏心して取り付けられる。第1回転軸A1は、第1ローラ121の径方向中心に対して偏心する。また、第2ローラ122は、第2回転軸A2に対して偏心して取り付けられる。第2回転軸A2は、第2ローラ122の径方向中心に対して偏心する。こうすれば、マッサージ機100は、被施療者Uの上述の少なくとも一方の部位にローラ12を食い込ませることができるとともに、回転するローラ12により被施療者Uを軽く浮かせることができる。従って、マッサージ機100は、より確実に被施療者Uを前後方向に移動させることができる。但し、この例示は、第1ローラ121が第1回転軸A1に対して偏心しない構成を排除しないし、第2ローラ122が第2回転軸A2に対して偏心しない構成も排除しない。たとえば、第1ローラ121の中心軸は、第1回転軸A1に一致してもよい。また、第2ローラ122の中心軸は、第2回転軸A2に一致してもよい。
【0052】
左側突出部14L及び右側突出部14Rは、ローラ12の外周面において径方向外方に突出する。左側突出部14Lの径方向外端部及び右側突出部14Rの径方向外端部はそれぞれ、丸みを帯びた形状である。
【0053】
左側突出部14Lは、被施療者Uの左半身における上述の少なくとも一方の部位(臀部、大腿部)を押圧可能である。たとえば、ローラ12は、左側突出部14Lを有する。左側突出部14Lは、左側の第1ローラ121及び左側の第2ローラ122のそれぞれに配置される。左側の第1ローラ121の左側突出部14Lは、着座する被施療者Uの左大腿部の直下に配置される。左側の第2ローラ122の左側突出部14Lは、着座する被施療者Uの臀部の左側の直下に配置される。
【0054】
また、右側突出部14Rは、被施療者Uの右半身における上述の少なくとも一方の部位(臀部、大腿部)を押圧可能である。たとえば、ローラ12は、右側突出部14Rを有する。右側突出部14Rは、右側の第1ローラ121及び右側の第2ローラ122のそれぞれに配置される。右側の第1ローラ121の右側突出部14Rは、着座する被施療者Uの右大腿部の直下に配置される。右側の第2ローラ122の右側突出部14Rは、着座する被施療者Uの臀部の右側の直下に配置される。
【0055】
こうすれば、マッサージ機100は、座部101に座る被施療者Uの臀部の左側及び左大腿部のうちの少なくとも一方に左側突出部14Lを食い込ませることができる。また、マッサージ機100は、座部に座る被施療者Uの臀部の右側及び右大腿部のうちの少なくとも一方に右側突出部14Rを食い込ませることができる。従って、マッサージ機100は、これらの状態でローラ12を回転させることにより、より確実に被施療者Uを前後方向に移動させることができる。また、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位に対してより強い施療を施すこともできる。
【0056】
好ましくは、1個のローラ12に配置される左側突出部14Lは、複数であり、周方向に並ぶ。さらに好ましくは、1個のローラ12に配置される複数の左側突出部14Lは、周方向において等間隔に並ぶ。たとえば、本実施形態では、2つの左側突出部14Lは、シャフト13周りに180°離れて配置され、つまり、2回対称で配置される。但し、上述の例示は、1個のローラ12に配置される左側突出部14Lが単数である構成を排除しない。また、上述の構成は、1個のローラ12に配置される複数の左側突出部14Lが周方向において等間隔に配置されない構成を排除しない。
【0057】
また、好ましくは、1個のローラ12に配置される右側突出部14Rは、複数であり、周方向に並ぶ。さらに好ましくは、1個のローラ12に配置される複数の右側突出部14Rは、周方向において等間隔に並ぶ。たとえば、本実施形態では、2つの右側突出部14Rは、シャフト13周りに180°離れて配置され、つまり、2回対称で配置される。但し、上述の例示は、1個のローラ12に配置される右側突出部14Rが単数である構成を排除しない。また、上述の構成は、1個のローラ12に配置される複数の右側突出部14Rが周方向において等間隔に配置されない構成を排除しない。
【0058】
なお、本実施形態では、第1ローラ121及び第2ローラ122のそれぞれに、左側突出部14L及び右側突出部14Rが形成される。但し、この例示は、第1ローラ121が左側突出部14L及び右側突出部14Rの少なくともどちらかを有さない構成を排除しない。また、上述の例示は、第2ローラ122が左側突出部14L及び右側突出部14Rの少なくともどちらかを有さない構成を排除しない。たとえば、左側突出部14L及び右側突出部14Rのどちらかは、第1ローラ121及び第2ローラ122のどちらか一方のみに配置されてもよい。また、左側突出部14L及び右側突出部14Rは、省略されてもよく、ローラ12には配置されなくてもよい。
【0059】
次に、駆動部15は、ローラ12を回転させる。詳細には、駆動部15は、たとえばモータなどの駆動装置であり、第1シャフト131及び第2シャフト132を回転させる。駆動部15は、左右方向において、左側の第1ローラ121及び第2ローラ122と、右側の第1ローラ121及び第2ローラ122との間に配置される。
【0060】
伝達部16は、駆動部15の回転駆動力をシャフト13に伝達する。たとえば、駆動部15の回転駆動力は、伝達部16のギヤ機構(図示省略)を介して第1シャフト131に伝達される。第1シャフト131の回転駆動力は、第1プーリ(図示省略)、ベルト(図示省略)、及び第2プーリ(図示省略)を介して、第2シャフト132に伝達される。第1プーリは、第1シャフト131の左右方向における中央部に固定される。第2プーリは、第2シャフト132の左右方向における中央部に固定される。ベルトは、第1プーリから第2プーリに渡って掛かる。これにより、移送ユニット1は、同一の駆動部15により、第1ローラ121及び第2ローラ122を回転させることができる。なお、この例示は、第1ローラ121及び第2ローラ122がそれぞれ個別の駆動装置の駆動によって回転する構成を排除しない。
【0061】
<4.マッサージ機100の動作例>
次に、被施療者Uの前後方向における着座位置のずれを解消するためのマッサージ機100の動作例を説明する。
【0062】
<4-1.第1動作例>
たとえば腰部のマッサージを行う前に、制御部108は、持ち上げ部2のエアバッグ21を膨張させて、被施療者Uの少なくとも臀部を上側に持ち上げる。これにより、被施療者Uは、軽く浮いた状態となる。これにより、被施療者Uを前後方向に移動させる際、座部101及び被施療者U間に生じる摩擦力を低減できる。
【0063】
次に、制御部108は、ローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる。従って、被施療者Uから見てローラ12が手前向きに回転する。この際、被施療者Uに対するローラ12の押圧部分が後側に移動する。これにより、軽く浮いた状態の被施療者Uには、後側に向かう力が作用する。従って、被施療者Uを後側に移動させることができる。なお、これらの動作は、たとえば、被施療者Uの操作部1071への操作入力に基づいて実施できる。
【0064】
或いは、上述の動作は、センサ3の検出結果に基づいて自動的に行われてもよい。たとえば、センサ3は、被施療者Uが適切な施療位置に着座したとき(たとえば第1時点とする)、臀部の前後方向における位置(たとえば第1位置とする)を検出する。その検出結果は、適切な施療位置として、記憶部1072に記憶される。制御部108は、上述の第1時点よりも後の第2時点において被施療者Uの臀部がずれた際に臀部を適切な施療位置に戻す。すなわち、第2時点において、制御部108は、被施療者Uの臀部の前後方向における位置が上述の第1位置(つまり適切な施療位置)から前後方向に所定の距離以上離れているか否かをセンサ3の検出結果に基づいて判定する。被施療者Uの臀部が第1位置から前後方向に所定の距離以上離れていると、制御部108は、持ち上げ部により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げるとともに、ローラ12を回転させる。こうすれば、マッサージ機100は、センサ3の検出結果に基づいて、自動的に被施療者Uの臀部を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。
【0065】
たとえば、施療中の身動きによりに臀部が前側に動いた場合、臀部の前後方向における位置は、適切な施療位置から前側にずれ易い。このような場合、制御部108は、センサ3の検出結果に基づいて、被施療者Uの臀部の前後方向における位置が適切な施療位置よりも前側にずれていることを検知する。また、被施療者Uが座部に浅く腰掛けた場合、或いは、被施療者Uが小柄な場合にも、臀部の前後方向における位置は、適切な施療位置から前側にずれ易い。これらの場合にも、制御部108は、たとえば記憶部1072に記憶された最近の適切な施療位置を用いて、前方へのずれを同様に検知できる。そして、制御部108は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態で、ローラ12を左側から右側を見て時計周りに回転させることにより、被施療者Uを後側に移動させる。これにより、マッサージ機100は、自動的に、前後方向において被施療者Uの臀部を適切な施療位置に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、前後方向における着座位置のずれを解消できるので、施療効果を十分に発揮できる。
【0066】
一方、臀部の前後方向における位置が適切な施療位置から後側にずれている場合、制御部108は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態で、ローラ12を左側から右側を見て反時計周りに回転させる。これにより、マッサージ機100は、自動的に、被施療者Uを前側に移動させて、被施療者Uの臀部を適切な施療位置に戻すことができる。
【0067】
なお、この際、制御部108は、所定の報知を行ってもよい。たとえば、制御部108は、被施療者Uの臀部が上述の第1位置(つまり適切な施療位置)から前後方向に所定の距離以上離れていることをセンサ3の検出結果に基づいて検知すると、報知部1073にて所定の報知を行ってもよい。こうすれば、マッサージ機100は、たとえば、被施療者Uの臀部の前後方向における位置が適切な施療位置からずれていることを被施療者Uに報知できる。また、被施療者Uは、報知に応じて、座り直すことにより自身の着座位置を修正したり、手動操作に応じてローラ12の回転などにより自身を後側に移動させたりすることができる。
【0068】
<4-2.第2動作例>
マッサージ機100は、第1動作例での動作に他の構成部の動作を組み合わせてもよい。たとえば、制御部108は、背凭れ部102を座部101に対して回転させることによる背凭れ部102の後傾又は前傾とともに、持ち上げ部2により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げて、ローラ12を回転させる。すなわち、制御部108は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態でローラ12を回転させる際、背凭れ部102を後側に倒して被施療者Uを仰向けの状態にした後、背凭れ部102を前側に回転させて起き上がらせる。
【0069】
つまり、マッサージ機100は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態で、背凭れ部102で被施療者Uの胴部を支持しつつ、ローラ12を上述のように回転させる。これにより、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uの着座位置を前後方向に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの着座位置が適切な施療位置から前後方向にずれていても、そのずれを容易に解消できる。
【0070】
たとえば、着座位置が適切な施療位置から前側にずれていた場合、背凭れ部102が後側に倒れる動作により、被施療者Uの臀部は、胴部の後側への移動に伴って後側に引っ張られて移動する。これにより、マッサージ機100は、着座位置の前側へのずれを解消できる。
【0071】
この際、好ましくは、制御部108は、背凭れ部102を後傾させて被施療者Uを仰向けの状態にする。より好ましくは、マッサージ機100は、背凭れ部102をフルリクライニングして、背凭れ部102をほぼ水平に近い位置まで後傾させる。さらに、制御部108は、持ち上げ部2により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げ、ローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる。たとえば、マッサージ機100は、被施療者Uが横たわることができる状態(たとえば、仰向けの状態)にする。この動作により、マッサージ機100は、被施療者Uの胴部を後側に大きく移動させることができる。これに伴って、被施療者Uの臀部は、後側に引っ張られて移動する。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uを後側に移動させて、適切な施療位置に戻すことができる。但し、この例示は、マッサージ機100が背凭れ部102をフルリクライニングしない構成を排除しない。たとえば、マッサージ機100は、背凭れ部102を水平にはならない位置まで後傾させてもよい。
【0072】
また、着座位置が適切な施療位置から後側にずれていた場合、背凭れ部102が起き上がる動作により、被施療者Uの臀部は、胴部の起立に伴って前側に押されて移動する。これにより、マッサージ機100は、着座位置の後側へのずれを解消できる。
【0073】
ここで、背凭れ部102の回転動作は、ローラ12の動作と同時に行われてもよい。両者を同時に行う場合、胴部の移動に伴う臀部の移動が、ローラ12の回転による臀部の移動と連動する。そのため、マッサージ機100は、前後方向において被施療者Uの着座位置をさらに容易に移動させることができる。
【0074】
或いは、背凭れ部102の回転動作は、ローラ12の動作よりも前に行われてもよい。この場合、マッサージ機100は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態で、胴部の移動に伴って臀部を前後方向に移動できる。さらに、マッサージ機100は、被施療者Uが軽く浮くとともに臀部に前後方向の力が作用した状態で、ローラ12の回転により臀部を前後方向へと容易に移動させることができる。
【0075】
好ましくは、制御部108は、背凭れ部102及びローラ12を回転させる際、施療ユニット103を背凭れ部102に沿って移動させる。
【0076】
こうすれば、マッサージ機100は、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103で被施療者Uの胴部を移動させることにより、被施療者Uの臀部を前後方向に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uの着座位置を適切な施療位置に移動させることができる。
【0077】
たとえば、マッサージ機100は、背凭れ部102を後側に倒すとともにローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる際、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103を被施療者Uの臀部側から肩部側に向かって移動させる。これにより、マッサージ機100は、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103で被施療者Uの胴部を後側に移動させることができる。これに伴って、被施療者Uの臀部は、後側に引っ張られて移動する。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uを後側に移動させて、適切な施療位置に戻すことができる。この際、マッサージ機100は、背凭れ部102をほぼ水平に近い位置まで後傾し、被施療者Uが横たわることができる状態(たとえば、仰向けの状態)で、ローラ12を回転させる。これにより、マッサージ機100は、より効果的に被施療者Uを施療できる。
【0078】
また、マッサージ機100は、背凭れ部102を起き上がらせるとともにローラ12を左側から右側を見て反時計回りに回転させる際、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103を被施療者Uの肩部側から臀部側に向かって移動させる。これにより、マッサージ機100は、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103で被施療者Uの胴部を前側に移動させることができる。これに伴って、被施療者Uの臀部は、後側に引っ張られて移動する。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uを前側に移動させて、適切な施療位置に戻すことができる。
【0079】
但し、上述の例示は、背凭れ部102及びローラ12が回転する際に施療ユニット103を背凭れ部102に沿って移動させない構成を排除しない。
【0080】
また、好ましくは、制御部108は、背凭れ部102を回転させる際、一対の押圧部1022により被施療者Uを押圧する。こうすれば、マッサージ機100は、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を左右一対の押圧部1022で挟んだ状態で、背凭れ部102を回転させることができる。たとえば、マッサージ機100は、上述の状態のままで背凭れ部102を後側に倒すことにより、より確実に被施療者Uの胴部を後側に移動させることができる。また、マッサージ機100は、上述の状態のままで背凭れ部102を起き上がらせることにより、より確実に被施療者Uの胴部を後側に移動させることができる。従って、マッサージ機は、さらに容易に被施療者Uの着座位置を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。但し、この例示は、背凭れ部102が回転する際に一対の押圧部1022が被施療者Uを押圧しない構成を排除しない。
【0081】
<2.備考>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0082】
たとえば、上述の実施形態では、移送ユニット1のローラ12は、第1ローラ121及び第2ローラ122を有する。但し、この例示に限定されず、第1ローラ121及び第2ローラ122のどちらかは省略されてもよい。或いは、移送ユニット1は、ローラ12が第1ローラ121及び第2ローラ122とは異なる左右一対の第3ローラをさらに有する構成であってもよい。第3ローラは、第1ローラ121及び第2ローラ122と同様に構成される。
【0083】
<3.まとめ>
上述の実施形態によれば、マッサージ機100は、被施療者Uの臀部及び大腿部を支持する座部101と、左右方向に延びて、座部101において左右方向を中心として回転可能に配置されるとともに、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧可能なローラ12と、ローラ12を回転させる駆動部15と、座部101に配置され、被施療者Uの臀部を上側に持ち上げ可能な持ち上げ部2と、持ち上げ部2及び駆動部15を制御する制御部108と、を備える構成とされる。
【0084】
この構成によれば、マッサージ機100は、被施療者Uを上側に軽く浮かせた状態で前後方向に移動させることができる。たとえば、持ち上げ部2は、座部101に座る被施療者Uの臀部を上側に持ち上げる。さらに、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位を押圧するローラ12が回転する。これらにより、マッサージ機100は、座部101に座る被施療者Uの前後方向における着座位置が適切な施療位置からずれていても、上述の着座位置を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。たとえば、マッサージ機100は、着座位置が適切な施療位置から前側にずれている場合、ローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる。これにより、マッサージ機100は、上述の着座位置を後側に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの前後方向における着座位置のずれを解消でき、被施療者Uに十分な施療を行うことができる。
【0085】
上記のマッサージ機100において、被施療者Uの左半身における上述の少なくとも一方の部位を押圧可能な左側突出部14Lと、被施療者Uの右半身における上述の少なくとも一方の部位を押圧可能な右側突出部14Rと、を有し、左側突出部14L及び右側突出部14Rは、ローラ12の外周面において径方向外方に突出する構成とされてもよい。
【0086】
この構成によれば、マッサージ機100は、座部101に座る被施療者Uの臀部の左側及び左大腿部のうちの少なくとも一方に左側突出部14Lを食い込ませることができる。また、マッサージ機100は、座部101に座る被施療者Uの臀部の右側及び右大腿部のうちの少なくとも一方に右側突出部14Rを食い込ませることができる。従って、マッサージ機100は、これらの状態でローラ12を回転させることにより、より確実に被施療者Uを前後方向に移動させることができる。また、被施療者Uの臀部及び大腿部のうちの少なくとも一方の部位に対してより強い施療を施すこともできる。
【0087】
上記のマッサージ機100において、ローラ12は、径方向中心に対して偏心した回転軸A1,A2を有する構成とされてもよい。
【0088】
この構成によれば、マッサージ機100は、被施療者Uの上述の少なくとも一方の部位にローラ12を食い込ませることができるとともに、回転するローラ12により被施療者Uを軽く浮かせることができる。従って、マッサージ機100は、より確実に被施療者Uを前後方向に移動させることができる。
【0089】
上記のマッサージ機100において、座部101の後端部に回転可能に支持され、被施療者Uの胴部を支持する背凭れ部102をさらに備え、制御部108は、背凭れ部102を座部101に対して回転させるとともに、持ち上げ部2により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げて、ローラ12を回転させる構成とされてもよい。
【0090】
この構成によれば、マッサージ機100は、持ち上げ部2で被施療者Uを軽く浮かせた状態で、背凭れ部102で被施療者Uの胴部を支持しつつ、ローラ12を上述のように回転させる。これにより、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uの着座位置を前後方向に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの着座位置が適切な施療位置から前後方向にずれていても、そのずれを容易に解消できる。
【0091】
上記のマッサージ機100において、制御部108は、背凭れ部102を後傾させて被施療者Uを仰向けの状態にするとともに、持ち上げ部2により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げて、ローラ12を左側から右側を見て時計回りに回転させる構成とされてもよい。
【0092】
この構成によれば、たとえば、マッサージ機100は、背凭れ部102をほぼ水平に近い位置まで後傾し、被施療者Uが横たわることができる状態(たとえば、仰向けの状態)にする。この動作により、マッサージ機100は、被施療者Uの胴部を後側に大きく移動させることができる。これに伴って、被施療者Uの臀部は、後側に引っ張られて移動する。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uを後側に移動させて、適切な施療位置に戻すことができる。
【0093】
上記のマッサージ機100において、被施療者Uの背中を施療可能な施療ユニット103をさらに備え、施療ユニット103は、背凭れ部102に配置されて、背凭れ部102に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能であり、制御部108は、背凭れ部102及びローラ12を回転させる際、施療ユニット103を背凭れ部102に沿って移動させる構成とされてもよい。
【0094】
この構成によれば、マッサージ機100は、被施療者Uの背中に当たる施療ユニット103で被施療者Uの胴部を移動させることにより、被施療者Uの臀部を前後方向に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、より容易に被施療者Uの着差位置を適切な施療位置に移動させることができる。
【0095】
上記のマッサージ機100において、背凭れ部102は、被施療者Uの肩部及び上腕部よりも左右方向における外側にそれぞれ配置されて、被施療者Uと左右方向に対向する一対のサイド部1021と、一対のサイド部1021にそれぞれ配置され、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を左右方向における外側から押圧可能な一対の押圧部1022と、を有し、制御部108は、背凭れ部102を回転させる際、一対の押圧部1022により被施療者Uを押圧する構成とされてもよい。
【0096】
この構成によれば、マッサージ機100は、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を左右一対の押圧部1022で挟んだ状態で、背凭れ部102を回転させることができる。たとえば、マッサージ機100は、上述の状態のままで背凭れ部102を後側に倒すことにより、より確実に被施療者Uの胴部を後側に移動させることができる。また、マッサージ機100は、上述の状態のままで背凭れ部102を起き上がらせることにより、より確実に被施療者Uの胴部を後側に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、さらに容易に被施療者Uの着座位置を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。
【0097】
上記のマッサージ機100において、被施療者Uの臀部の前後方向における位置を検出するセンサ3と、所定の第1時点における被施療者Uの臀部の前後方向における第1位置を記憶する記憶部1072と、をさらに備える構成とされてもよい。
【0098】
この構成によれば、マッサージ機100は、たとえば被施療者Uの臀部の前後方向における適切な施療位置として、所定の第1時点にてセンサにより検出される第1位置を記憶部に記憶する。マッサージ機100は、第1時点よりも後の時点においてこの記憶を、被施療者Uの臀部の前後方向における位置の適切な施療位置に対するずれの検知に利用できる。
【0099】
上記のマッサージ機100において、制御部108は、上述の第1時点よりも後の第2時点において被施療者Uの臀部の前後方向における位置である第2位置が上述の第1位置(つまり適切な施療位置)から前後方向に所定の距離以上離れていることをセンサ3の検出結果に基づいて検知すると、持ち上げ部2により被施療者Uの臀部を上側に持ち上げるとともに、ローラ12を回転させる構成とされてもよい。
【0100】
この構成によれば、マッサージ機100は、センサ3の検出結果に基づいて、自動的に被施療者Uの臀部を前後方向に移動させて適切な施療位置に戻すことができる。
【0101】
上記のマッサージ機100において、被施療者Uに所定の報知を行う報知部1073をさらに備え、制御部108は、被施療者Uの臀部が上述の第1位置(つまり適切な施療位置)から前後方向に所定の距離以上離れていることをセンサ3の検出結果に基づいて検知すると、報知部1073にて報知を行う構成とされてもよい。
【0102】
この構成によれば、マッサージ機100は、たとえば、被施療者Uの臀部の前後方向における位置が適切な施療位置からずれていることを被施療者Uに報知できる。また、被施療者Uは、報知に応じて、座り直すことにより自身の着座位置を修正したり、手動操作に応じてローラ12の回転などにより自身を後側に移動させたりすることもできる。
【符号の説明】
【0103】
100 (椅子式)マッサージ機
101 座部
102 背凭れ部
1021 サイド部
1022 押圧部
1023 エアバッグ
103 施療ユニット
1031 ガイドレール
104 ベース部
105 肘掛け部
106 オットマン
1071 操作部
1072 記憶部
1073 報知部
108 制御部
1091 アクチュエータ群
1092 エアポンプ
1093 電磁弁群
1 移送ユニット
11 筐体
111 開口部
12 ローラ
121 第1ローラ
122 第2ローラ
13 シャフト
131 第1シャフト
132 第2シャフト
14L 左側突出部
14R 右側突出部
15 駆動部
16 伝達部
2 持ち上げ部
21 エアバッグ
3 センサ
U 被施療者
A1 第1回転軸
A2 第2回転軸