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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074328
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】電力線通信システム及びキュービクル
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20230522BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20230522BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20230522BHJP
   H02B 1/04 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H04B3/54
H02B1/42
H02B1/40 A
H02B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187220
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508047071
【氏名又は名称】株式会社ブルーマウステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 啓幸
(72)【発明者】
【氏名】平下 英里
(72)【発明者】
【氏名】三浦 武
【テーマコード(参考)】
5G016
5G211
5K046
【Fターム(参考)】
5G016CD32
5G211AA07
5G211DD01
5G211DD04
5G211DD21
5G211DD35
5K046AA03
5K046BA05
5K046BB05
5K046CC01
5K046PS06
5K046PS21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】狭帯域電力線通信において、適切な通信品質を確保することができる電力線通信システム及びキュービクルを提供する。
【解決手段】設備システム101において、電力線通信システム100は、電圧を変更するトランス31と電路W6、電路W7によって電気的に接続され、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部6と、発信部と電気的に接続され信号を受信する受信部4と、電路W6のトランス31の直下に設けられ、発信部6から受信部4への信号の流れを促進する促進部33と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を変更するトランスと第1電路によって電気的に接続され、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部と、
前記発信部と電気的に接続され、前記信号を受信する受信部と、
前記第1電路の前記トランスの直下に設けられ、前記発信部から前記受信部への前記信号の流れを促進する促進部と、
を備える、電力線通信システム。
【請求項2】
前記受信部は、前記発信部と第2電路によって電気的に接続され、
前記促進部は前記第2電路のインピーダンスより前記第1電路のインピーダンスが大きくなるように調整する、請求項1に記載の電力線通信システム。
【請求項3】
前記トランスと前記発信部との間の前記第1電路に設けられる主幹ブレーカを収容する分電盤をさらに備え、
前記促進部は、前記分電盤の外部であって、前記トランスと前記分電盤との間の前記第1電路に設けられる、請求項1又は2に記載の電力線通信システム。
【請求項4】
前記信号の周波数は、10kHz以上450kHz以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の電力線通信システム。
【請求項5】
前記促進部は、3相に分かれている前記第1電路のうち、少なくとも1相の電路に設けられる、請求項1~4の何れか一項に記載の電力線通信システム。
【請求項6】
狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部及び前記信号を受信する受信部を備える電力線通信システムに接続されるキュービクルであって、
前記電力線通信システムと第1電路によって電気的に接続され、電圧を変更するトランスと、
前記トランスの直下に設けられ、前記トランスとは反対側への前記信号の流れを促進する促進部と、
を備える、キュービクル。
【請求項7】
前記キュービクルは、前記トランスと前記第1電路によって電気的に接続され、前記トランスと前記発信部との間に設けられる複数のブレーカを有し、
前記促進部は、前記トランスと前記ブレーカとの間に設けられる、請求項6に記載のキュービクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力線通信システム及びキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、信号を電力線に重畳させて伝送する電力線通信(PLC(Power LineCommunication))が知られている。特許文献1には、電力線に接続され電力線を介して通信可能な1つ以上の通信装置で構成されている電力線通信装置が開示されている。特許文献1には、電力線に接続して電力線通信を行うプリンタ本体と、当該電力線を介してプリンタ本体と電力線通信を行うPC本体とが開示されている。プリンタ本体は、PC本体と電力線通信を行う電力線通信部と接続し、電力線通信部と制御線を介して当該信号を送受信する。PC本体は、PCIボードを備える。電力線通信部及びPCIボードは、それぞれ電力線通信の信号を送受信するドライバレシーバを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-165950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力線通信において、信号の発信部から信号を受信する受信部に向けて信号を伝送するとき、一部の信号が発信部から受信部側とは反対の電源側に伝送されてしまい、発信部から受信部側に伝送されにくい場合がある。例えば、特許文献1の構成では、PC本体から出力されたプリンタ本体への信号がプリンタ本体へ適切に伝送されないおそれがある。この場合、発信部からの信号が受信部に到達しにくくなるため、通信の品質を適切に担保することができない。
【0005】
本開示は、狭帯域電力線通信において、適切な通信品質を確保することができる電力線通信システム及びキュービクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電力線通信システムは、電圧を変更するトランスと第1電路によって電気的に接続され、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部と、発信部と電気的に接続され、信号を受信する受信部と、第1電路のトランスの直下に設けられ、発信部から受信部への信号の流れを促進する促進部と、を備える。
【0007】
この電力線通信システムでは、トランスと発信部とが電気的に接続され、発信部と受信部とが電気的に接続されている。促進部は、トランスの直下に設けられるため、発信部より上流の第1電路において、発信部から受信部への信号の流れを促進することができる。これにより、受信部は、発信部からの信号を適切に取得することができる。よって、この電力線通信システムは、適切な通信品質を確保することができる。
【0008】
一実施形態に係る電力線通信システムにおいて、受信部は、発信部と第2電路によって電気的に接続され、促進部は第2電路のインピーダンスより第1電路のインピーダンスが大きくなるように調整してもよい。この場合、促進部の調整により、第1電路のインピーダンスが第2電路のインピーダンスより大きくなるため、発信部からの信号は第1電路よりも第2電路に流れやすくなる。よって、促進部は、発信部から受信部への信号の流れを促進することができ、適切な通信品質を確保することができる。
【0009】
一実施形態に係る電力線通信システムは、トランスと発信部との間の第1電路に設けられる主幹ブレーカを収容する分電盤をさらに備え、促進部は、分電盤の外部であって、トランスと分電盤との間の第1電路に設けられてもよい。この場合、促進部は、分電盤の外部であってトランスの直下に設置される。この電力線通信システムは、分電盤ごとに促進部を設置する工数を削減し、各分電盤に対して一括で信号の流れを促進することができる。
【0010】
一実施形態に係る電力線通信システムにおいて、信号の周波数は、10kHz以上450kHz以下であってもよい。
【0011】
一実施形態に係る電力線通信システムにおいて、促進部は、3相に分かれている第1電路のうち、少なくとも1相の電路に設けられてもよい。この場合、例えば、促進部は、少なくとも発信部及び受信部が接続されている電路に設けられれば信号の流れを促進する作用を発揮することができる。よって、この電力線通信システムは、促進部の設置数を最低限に抑えることができ、促進部の設置及びメンテナンス等を容易にすることができる。
【0012】
本開示の他の形態によれば、キュービクルが提供される。キュービクルは、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部及び信号を受信する受信部を備える電力線通信システムに接続されるキュービクルであって、電力線通信システムと第1電路によって電気的に接続され、電圧を変更するトランスと、トランスの直下に設けられ、トランスとは反対側への信号の流れを促進する促進部と、を備える。
【0013】
このキュービクルでは、トランスと電力線通信システムとが第1電路によって電気的に接続されている。促進部は、トランスの直下に設けられるため、発信部より上流のキュービクルにおいて、発信部から受信部への信号の流れを促進することができる。これにより、受信部は、発信部からの信号を適切に取得することができる。よって、このキュービクルは、適切な通信品質を確保することができる。また、例えば、キュービクルに接続される分電盤ごとに促進部を設ける必要がなくなる。キュービクルに設けられた促進部によって、キュービクルの下流の電路における信号の流れを一括で促進することができる。
【0014】
一実施形態に係るキュービクルにおいて、キュービクルは、トランスと第1電路によって電気的に接続され、トランスと発信部との間に設けられる複数のブレーカを有し、促進部は、トランスとブレーカとの間に設けられてもよい。この場合、各ブレーカの下流において促進部の設置及びメンテナンスをする場合に比べて、トランスとブレーカとの間に促進部を設置することで促進部を設置する工数及びメンテナンスをする工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る電力線通信システム及びキュービクルによれば、狭帯域電力線通信において、適切な通信品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る電力線通信システムを示すブロック構成図である。
図2図2(a)は検出子機のブロック構成図、図2(b)は受信部のブロック構成図、図2(c)は発信部のブロック構成図である。
図3】一実施形態に係る電力線通信システム及びキュービクルの一例を示す概略構成図である。
図4】分電盤の構成を示す概略構成図である。
図5】一実施形態に係るキュービクルの構成を示す概略構成図である。
図6】変形例に係るキュービクルの構成を示す概略構成図である。
図7】変形例に係る電力線通信システムを示す概略構成図である。
図8図8の(a)は、比較例に係る電力線通信システムにおけるトランス及び促進部の設置前の回路図である。図8の(b)は、トランス及び促進部の設置前の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。
図9図9の(a)は、比較例に係る電力線通信システムにおけるトランスの設置後であって促進部の設置前の回路図である。図9の(b)は、トランスの設置後であって促進部の設置前の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。
図10図10の(a)は、実施例に係る電力線通信システムにおけるトランス及び促進部の設置後の回路図である。図10の(b)は、トランス及び促進部の設置後の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る電力線通信システム100を示すブロック構成図である。図1に示されるように、電力線通信システム100は、信号を電力線に重畳させて伝送する電力線通信(PLC:Power Line Communication)によって機器間の情報伝達を行うシステムである。電力線通信は、例えば、商用周波数の電力波形に商用周波数と異なる周波数の通信信号を重畳して送信すると共にこの電力波形から異なる周波数の通信信号を分離して受信することによって、電力線を用いて通信信号を送受信する通信方式である。なお、電力線通信は、その周波数帯域により、電波法の適用を受ける場合がある。ただし、本実施形態に係る電力線通信システム100は、10kHz以上450kHz以下の周波数帯の信号を電力線に重畳させて伝送する狭帯域電力線通信(低速PLC)を実行可能なシステムである。電力線通信システム100では、屋内及び屋外でも使用でき、なおかつ、ある程度のまとまったデータ転送を実現するために、狭帯域電力線通信を用いる。以下、狭帯域電力線通信による通信で伝送される信号を単に信号という。また、狭帯域電力線通信を用いるとして、その変調方式も特に限定されず、OFDM方式が採用されてもよいし、DCSK方式が採用されてもよい。
【0019】
電力線通信システム100は、検出器1と、検出子機2と、制御対象設備3と、受信部4と、発信部6と、を備える。例えば、電力線通信システム100は、例えば、複数の階層F1~F3を有する建物BD1に対して適用されてよい(図3参照)。
【0020】
電力線通信システム100において、検出器1と検出子機2とは配線W1で接続される。検出子機2と発信部6とは電力線W2で接続される。制御対象設備3と受信部4とは配線W3で接続される。受信部4と発信部6とは電力線W4で接続される。電力線は、主目的として、商用周波数の交流電力を供給するための配線であり、電力線通信を行うに当たってはその伝送路となる。具体的に、検出子機2及び受信部4と、発信部6との間では電力線通信が行われる。検出器1と検出子機2との間、及び制御対象設備3と受信部4との間では電力線通信が行われる。電力線通信では、AC100VやAC200Vなどの交流配電に対して通信信号を重畳するだけではなく、直流配電においても交流同様に通信信号を重畳できる。検出器1が、例えば人感センサであったり、照度計であるとき、それらの検出器1からの信号は、いったん発信部6を経由し、発信部6の判断によって受信部4へ電力線通信が行われる場合もある。ただし、発信部6のプログラムによっては、検出子機2が電力線通信を使って発信部6を経由せずに受信部4へコマンドのやり取りを行うことも可能である。
【0021】
検出器1は、各種情報を検出する機器であり、計測器やセンサなどによって構成される。検出器1としては、例えば、人の存在を検出する人感センサ、室内の明るさを検出する照度計、及び電流値を検出する電流計などが採用される。検出器1は、配線W1を介して、検出情報を検出子機2へ出力する。なお、検出器1は、上述の機器に限定されず、他の計測器やセンサを採用してもよい。例えば、太陽電池などの再生エネルギーに係る発電量を監視する計測器を検出器1として採用してもよい。また、固定蓄電池や車搭載の蓄電池などのパワーコントローラに装置された、電池残量データ出力部を検出器1としてもよい。また、二酸化炭素検出器、一酸化炭素検出器、ダスト検出器などを検出器1としてもよい。
【0022】
検出子機2は、検出器1に対して設けられた子機である。検出子機2は、検出器1から受信した検出情報を電力線通信の信号に変換し、電力線W2を介して発信部6へ出力する。検出子機2は、一つの検出器1に対して、一対一の対応関係にて設けられる。例えば、フロア内に複数の検出器1が存在している場合、各検出器1に対して一個ずつ検出子機2が設けられる。例えば、電流計に対して専用の検出子機2が設けられ、人感センサに対して専用の検出子機2が設けられ、照度計に対して専用の検出子機2が設けられる。人感センサが複数存在している場合、それぞれの人感センサに対して、一個ずつ専用の検出子機2が設けられる。検出子機2は、対象となる検出器1に近接する位置に設けられる。検出子機2は、対象となる検出器1に接続された電力線上に設けられることで、対象となる検出器1との間で、物理的に一対一の関係が成り立っている。なお、検出子機2と検出器1とは、一つの機器として構築されていてもよい。この場合、一つの機器の中に、検出子機2として機能するユニットと、検出器1として機能するユニットが設けられている。また、両者が、一つの機器内で配線W1で接続される。検出器1と検出子機2とを接続する配線W1は、信号線によって構成される。なお、検出子機2と検出器1は必ずしも一対一の関係でなくともよく、例えば、複数の検出器1から一つの検出子機2へ情報を送信する構成が採用されてもよい。
【0023】
図2(a)を参照して、検出子機2の詳細なブロック構成について説明する。図2(a)は検出子機のブロック構成図である。検出子機2は、通信部11と、処理部12と、記憶部13と、を備える。通信部11は、発信部6及び検出器1と通信を行うユニットである。通信部11は、検出器1からの検出情報を受信する回路を有する。また、通信部11は、検出器1からの検出情報を発信部6に対する電力線通信の信号に変換するための回路を有する。処理部12は、検出子機2全体の動作を制御するユニットである。処理部12は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。
【0024】
記憶部13は、検出子機2の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部13は、例えばROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶素子、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの書換え可能な不揮発性の記憶素子、及び、ワーキングメモリとなる例えばRAM (Random Access Memory)などの揮発性の記憶素子を備えて構成される。例えば、記憶部13は、建物BD1内における検出子機2の位置を示すアドレスを記憶している。
【0025】
図1に示される制御対象設備3は、電力線通信システム100による制御の対象となる設備である。制御対象設備3としては、例えば、室内の照度を調整可能な照明(LED照明など)、及び室内の温度を調整する空調、または放電や充電の調整が行われる蓄電池などが採用される。制御対象設備3は、配線W3を介して、受信部4から制御情報を受信する。なお、制御対象設備3は、上述の機器に限定されず、他の設備を採用してもよい。
【0026】
受信部4は、制御対象設備3に対して設けられた子機である。受信部4は、発信部6と電気的に接続され、信号を受信する。受信部4は、発信部6から受信した電力線通信の信号による制御情報を制御対象設備3で処理可能な信号に変換し、配線W3を介して制御対象設備3へ出力する。受信部4は、一つの制御対象設備3に対して、一対一の対応関係にて設けられる。例えば、フロア内に複数の制御対象設備3が存在している場合、各制御対象設備3に対して一個ずつ受信部4が設けられる。図3に示される例では、複数の照明に対してそれぞれ専用の受信部4が一個ずつ設けられる。受信部4は、対象となる制御対象設備3に近接する位置に設けられる。受信部4は、対象となる制御対象設備3に接続された電力線上に設けられることで、対象となる制御対象設備3との間で、物理的に一対一の関係が成り立っている。なお、受信部4と制御対象設備3とは、一つの機器として構築されていてもよい。例えば、子機付きのLED照明などが採用されてよい。この場合、一つの機器の中に、受信部4として機能するユニットと、制御対象設備3として機能するユニットが設けられている。また、両者が、一つの機器内で配線W3で接続される。受信部4は、対象となる制御対象設備が接続されたものと同一の電力線上に設けられてよく、この場合、配線W3は、電力線によって構成される。あるいは、受信部4は、対象となる制御対象設備とは別の電力線に接続されてよく、この場合、配線W3は、信号線によって構成される。なお、受信部4と制御対象設備3は必ずしも一対一の関係でなくともよく、例えば、複数の制御対象設備3が一つの受信部4から制御情報を受信する構成が採用されてもよい。
【0027】
受信部4は、発信部6からの制御情報に基づいて、制御対象設備3の出力の強弱を調整する。例えば、受信部4は、照明の照度の強弱を調整するように、照明に対する指令信号を生成することができる。受信部4は、空調の出力の強弱を調整するように、空調に対する指令信号を生成することができる。
【0028】
図2(b)を参照して、受信部4の詳細なブロック構成について説明する。図2(b)は受信部のブロック構成図である。受信部4は、通信部14と、処理部16と、記憶部17と、を備える。通信部14は、発信部6及び制御対象設備3と通信を行うユニットである。通信部14は、発信部6からの電力線通信の信号による制御情報を受信する回路を有する。また、通信部14は、発信部6からの電力線通信の信号を制御対象設備3で処理可能な信号に変換するための回路を有する。処理部16は、受信部4全体の動作を制御するユニットである。処理部16は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。記憶部17は、受信部4の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部17は、記憶部13で例示したものと同様な記憶素子を備えてよい。例えば、記憶部17は、建物BD1内における受信部4の位置を示すアドレスを記憶している。
【0029】
図1に示される発信部6は、検出子機2から検出情報を受信し、当該検出情報に基づいて受信部4へ制御情報(制御信号)を送信する機器である。発信部6は、検出子機2及び受信部4に対する親機である。発信部6は、電力線通信の信号による検出情報を、電力線W2を介して検出子機2から受信する。発信部6は、狭帯域電力線通信における信号を発信する。発信部6は、電力線通信の信号による制御情報を、電力線W4を介して受信部4へ出力する。発信部6は、予め設定された設定内容、及び検出器1で検出された検出情報の少なくともいずれかに基づいて、各制御対象設備3の制御情報を演算する。
【0030】
図2(c)を参照して、発信部6の詳細なブロック構成について説明する。図2(c)は発信部のブロック構成図である。発信部6は、通信部21と、処理部22と、記憶部23と、を備える。通信部21は、検出子機2、及び受信部4と通信を行うユニットである。通信部21は、検出子機2及び受信部4と電力線通信を行う回路を有する。また、通信部21は、外部の通信機器とクラウドを用いた遠隔通信を行う回路を有する。すなわち、発信部6の通信部21は、検出子機2と受信部4との電力線通信をつかさどるPLC通信部と、クラウド側とのネットワーク通信をつかさどる、LTEなどの無線通信部を含む。処理部22は、発信部6全体の動作を制御するユニットである。処理部22は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。処理部22は、各照明及び空調のON/OFFの切替、及び出力の強弱の調整などを制御するための制御情報を演算する。
【0031】
記憶部23は、発信部6の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部23は、記憶部13で例示したものと同様な記憶素子を備えてよい。例えば、記憶部23は、建物BD1内における発信部6、各検出子機2、及び各受信部4の位置を示すアドレスを互いに紐付けた状態で記憶している。
【0032】
ここで、図1に示される発信部6は、当該発信部6による制御範囲内における複数の受信部4、及び検出子機2に対する電路の基点となる配電設備50に設置される。配電設備50は、発信部6による制御対象範囲に存在する複数の受信部4、及び検出子機2に対して電力を分配して供給する設備である。配電設備50は、複数の受信部4、及び検出子機2に対して電力を供給する電力供給部51を有する。配電設備50の電力供給部51は、発信部6による制御範囲内における複数の受信部4、及び検出子機2に対する電路の基点となる電力供給部に該当する。当該電力供給部51に対して、発信部6が設けられる。発信部6は、検出子機2及び受信部4より電力供給部51寄りに設けられる。このような配電設備50は、例えば、建物BD1に対して設けられた分電盤である。また、このような電力供給部51として、分電盤の主幹ブレーカなどが挙げられる。電路の基点とは、制御範囲内における複数の受信部4、及び検出子機2を存在する電力線の配線ネットワークのうち、電力の流れの最も上流となる箇所である。すなわち、当該配線ネットワークの中途位置に他の分電盤が存在していても、当該分電盤は、電路の基点には該当しない。
【0033】
発信部6が配電設備50に設置されている状態とは、配電設備50の電力線の配線構造内に発信部6が組み込まれている状態である。また、電力供給部51に発信部6が設けられている状態とは、発信部6が、電力供給部51から引き出された電力線に対して電気的に接続された状態である。配電設備50が複数本に分岐された状態で筐体から外部へ引き出される電力線を有する場合、発信部6は、分岐された各電力線へ電力線通信の信号を重畳することができる態様にて、各電力線へ接続される。このような電気的な接続関係が成り立っている場合、発信部6の発信部本体の配置は特に限定されない。具体的に、発信部6の発信部本体が、配電設備50の筐体(例えば、後述の分電盤10の筐体)の内部に配置された状態で、且つ、発信部6が配電設備50の筐体内部の配線構造内に接続されてよい。あるいは、発信部6の発信部本体が、配電設備50の筐体の外部に配置された状態で、且つ、発信部6が配電設備50の筐体内部の配線構造内に接続されてよい。この場合、発信部6の発信部本体が、配電設備50の扉面や側面の外側に貼り付けられており、筐体に形成された穴部から配線が挿入され、配電設備50の筐体内部の配線構造に接続されてよい。
【0034】
次に、図3を参照して、電力線通信システム100の一例について説明する。図3は、一実施形態に係る電力線通信システム及びキュービクルの一例を示す概略構成図である。図3は、複数の階層F1~F3を有する建物BD1の設備システム101に対して、電力線通信システム100が採用された場合の例を示す。なお、図3では、検出器1及び検出子機2が省略されている。電力線通信システム100が適用される建物BD1は、例えば、集合住宅、事務所、店舗、工場及び病院等の施設である。電力線通信システム100は、受信部4と、発信部6と、を備える。電力線通信システム100は、促進部33をさらに備える。電力線通信システム100は、電源7と、分電盤10A,10B,10Cと、キュービクル20とをさらに備える。電源7は、発電所等の高圧電流の生成源である。図3に示す設備システム101は、建物BD1の外にキュービクル20を備える。また、設備システム101は、各階層F1,F2,F3に分電盤10A,10B,10Cを備える。
【0035】
キュービクル20は、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部6及び信号を受信する受信部4と電力線W7によって接続される。キュービクル20は、発電所からの高い電圧を施設で使える電圧に変換する機器を収めた設備である。キュービクル20は、電圧を変更するトランス31と、過電流を遮断する複数(ここでは三個)のブレーカ32と、トランス31と複数のブレーカ32との間に設けられる促進部33と、その他の機器によって構成される。トランス31は、電源7からの高圧電流が流れる電力線W5に接続される。また、トランス31は、キュービクル20の筐体内で、一つの促進部33及び三つのブレーカ32と電力線W6を介してそれぞれ接続される。三つのブレーカ32に接続された三つの電力線W6は、それぞれキュービクル20の筐体から引き出され、建物BD1内へ延びて、各階の分電盤10A,10B,10Cに接続される。一階用のブレーカ32は、階層F1の分電盤10Aと電力線W7を介して接続される。二階用のブレーカ32は、階層F2の分電盤10Bと電力線W7を介して接続される。三階用のブレーカ32は、階層F3の分電盤10Cと電力線W7を介して接続される。トランス31は、発信部6と電力線W6及び電力線W7(第1電路の一例)によって電気的に接続される。
【0036】
分電盤10A,10B,10Cは、電力線W7により送られてきた電力をフロア内に設けられた負荷回路へと分岐する電気設備である。分電盤10A,10B,10Cは、内部に配線用遮断器や漏電遮断器などが集合して取り付けられ、配線された構造を有する。一階の分電盤10Aは、複数(ここでは二つ)の電力線W8に分岐させて電力を供給する。各電力線W8には、複数の受信部4及び制御対象設備3(図3では照明)が接続されている。なお、一部の電力線W8には、受信部4が設けられていない負荷設備が接続されてもよい。階層F2,F3は、階層F1と同趣旨の電力線W8、受信部4,制御対象設備3、及び負荷設備の配線構造を有する。
【0037】
図3に示す例では、発信部6は、建物BD1の所定の階層(ここでは階層F1)内に設けられた受信部4を制御範囲としている。ここでは、建物BD1の階層F1に対する分電盤10Aが、電路の基点となる。すなわち、分電盤10Aが、電路の基点となる配電設備50に該当し、当該分電盤10Aに設けられた主幹ブレーカ52が、電路の基点となる電力供給部51に該当する。従って、発信部6は、電路の基点となる電力供給部51に設けられる。発信部6は、例えば、主幹ブレーカ52の下流に設けられる。ここでの下流とは、電源7に近い電力線W5から見て、電力が供給される制御対象設備3と接続している電力線W8側を指す。以上より、発信部6は、キュービクル20のトランス31と、電力線W6及び電力線W7(第1電路の一例)によって電気的に接続されている。また、受信部4及び制御対象設備3は、発信部6と電力線W8(第2電路の一例)と電気的に接続されている。
【0038】
次に、図4を参照して、分電盤10Aの内部構成について説明する。図4に示されるように、分電盤10Aには、主幹ブレーカ52、分岐ブレーカ53A,53B及び発信部6が設けられる。図4では、分電盤10Aの構成要素のうち、制御対象設備3として照明を制御するための構造が示されている。分電盤10B,10Cは、分電盤10Aと同様の構成を有する。
【0039】
主幹ブレーカ52は、分岐ブレーカ53A,53Bに対して電力を供給するブレーカである。また、主幹ブレーカ52は、電流値を監視し、電流値が所定の値を超えると、電力供給を遮断する。主幹ブレーカ52は、単相3線式のブレーカであり、L1相の端子に電力線W20Aが接続され、L2相の端子に電力線W20Bが接続され、接地側のN相の端子に電力線W20Cが接続される。分岐ブレーカ53Aは、L1相の電力線W20A、及びN相の電力線W20Cに接続される。分岐ブレーカ53Bは、L2相の電力線W20B、及びN相の電力線W20Cに接続される。分岐ブレーカ53Aは、階層F1内における電力線W8Aに接続された各受信部4及び制御対象設備3へ電力を供給する(図3参照)。分岐ブレーカ53Bは、階層F1内における電力線W8Bに接続された各受信部4及び制御対象設備3へ電力を供給する(図3参照)。これにより、主幹ブレーカ52は、三本の電力線W20A,W20B,W20Cを介して受信部4及び制御対象設備3に対して電力を供給する。
【0040】
これに対し、発信部6は、主幹ブレーカ52における「L2相-N相」の組み合わせ(第1の組み合わせ)に係る電力線W20B,W20Cに接続されることで、主幹ブレーカ52に設けられる。具体的に、発信部6の発信部本体25は、電線W30を介してL2相の電力線W20Bに接続され、電線W31を介してN相の電力線W20Cに接続される。これにより、「L2相-N相」の組み合わせに係る電力線W20B,W20Cには、発信部6の信号が通る。
【0041】
ここで、図3に示されるキュービクル20内に設けられる促進部33の構成及び機能について説明する。促進部33は、例えばフェライトコア又はフィルタである。本実施形態に係る促進部33は、2つのフェライトコアを有する。促進部33は、電力線W6のトランス31の直下に設けられる。促進部33がトランス31の直下に設けられるとは、トランス31と発信部6との間の電力線上に設けられ、トランス31と促進部33とを結ぶ電力線においてインピーダンスを所定の値以上上昇させる構成が存在しないことを指す。所定の値とは、例えば、0.01Ωである。所定の値とは0.01Ω以上0.1Ω以下であってもよい。所定の値は、上述したインピーダンスの値に限定されない。促進部33がトランス31の直下に設けられるとは、例えば、トランス31と促進部33とを結ぶ電力線において電気的に介在する構成が存在しないことであってもよい。
【0042】
促進部33は、分電盤10A,10B,10Cの外部に設けられており、トランス31と、分電盤10A,10B,10Cとの間の電路(電力線W6及び電力線W7のいずれか)に設けられる。例えば、促進部33は、電力線W6において、トランス31とブレーカ32との間に設けられる。具体的に、促進部33が、キュービクル20の筐体の内部に配置された状態で、且つ、促進部33がキュービクル20の筐体内部の配線構造(電力線W6)内に接続されてよい。あるいは、促進部33が、キュービクル20の筐体の外部に配置された状態で、且つ、促進部33がキュービクル20の筐体内部の配線構造(電力線W6)内に接続されてよい。この場合、促進部33が、キュービクル20の扉面又は側面の外側に貼り付けられており、キュービクル20の筐体に形成された穴部から配線が挿入され、キュービクル20の筐体内部の配線構造(電力線W6)に接続されてよい。また、促進部33は、キュービクル20の筐体の外面に貼り付けられなくてもよく、キュービクル20の筐体内部の配線構造(電力線W6)内に接続されていてもよい。
【0043】
図5は、一実施形態に係るキュービクルの構成を示す概略構成図である。図5に示されるように、キュービクル20のトランス31は、単相3線式であり、L1相の端子に電力線W60Aが接続され、L2相の端子に電力線W60Bが接続され、接地側のN相の端子に電力線W60Cが接続される。各ブレーカ32は、L1相の電力線W60A、及びN相の電力線W60Cに接続される。各ブレーカ32は、各電力線W60A,W60B,W60Cに接続される。これにより、各ブレーカ32は、三本の電力線W60A,W60B,W60Cを介して分電盤10A,10B,10Cに対して電力を供給する。
【0044】
促進部33は、発信部6からの信号の流れを促進する対象の受信部4が接続されている電力線(相)に応じて設けられる。例えば、L2相及びN相から延在する各電力線に設けられている受信部4を対象として発信部6からの信号の流れを促進することを目的とする場合、促進部33は、トランス31における「L2相-N相」の組み合わせ(第4の組み合わせ)に係る電力線W60B,W60Cに設けられ、トランス31の直下に設けられる。なお、この場合、発信部6は、例えばL2相及びN相から延在する各電力線W20B,W20Cに設けられている(図4参照)。促進部33のうち一方のフェライトコアは、L2相の電力線W60Bの延在方向に沿って設けられる。促進部33のうち他方のフェライトコアは、N相の電力線W60Cの延在方向に沿って設けられる。これらのフェライトコアは、例えば、各電力線W60B,W60Cの径方向の外側において、各電力線W60B,W60Cの周囲を囲むように設けられる。
【0045】
促進部33は、発信部6から受信部4への信号の流れを促進する(図3参照)。すなわち、促進部33は、トランス31とは反対側(下流側)への信号の流れを促進する。促進部33は、狭帯域の信号のうち、高周波のノイズに限らず、通信用の周波数の信号もトランス31側(上流側)に流れることを抑制する。
【0046】
上述した信号の流れを促進するため、促進部33は、電力線W8のインピーダンスより電力線W6及び電力線W7のインピーダンスが大きくなるように調整する。本実施形態の促進部33は、トランス31と促進部33との間の電力線W6のインピーダンスが、発信部6と受信部4との間の電力線W8のインピーダンスより大きくなるように調整する。電力線W6におけるインピーダンスの値と電力線W8におけるインピーダンスの値との差は、例えば、0.01Ωであってもよく、0.01Ω以上0.1Ω以下であってもよい。当該インピーダンスの値の差は、上述した値に限定されない。これにより、電力線W6のうち、上述した第4の組み合わせ、第5の組み合わせ、及び第6の組み合わせの少なくともいずれかの組み合わせによって促進部33が接続された電力線を含む回路においてインピーダンスを上昇させることができる。電力線W6のインピーダンスが電力線W8のインピーダンスより大きいことで、発信部6から出力される信号が、発信部6の上流側に流れることを抑制することができる。すなわち、上流側に向かおうとしていた信号が、発信部6の下流側へ流れるように促進することができる。ここでの上流側とは、電力が供給される制御対象設備3と接続している電力線W8から見て、電源7に近い電力線W5側を指す。
【0047】
次に、本実施形態に係る電力線通信システム100の作用・効果について説明する。
【0048】
本実施形態に係る電力線通信システム100では、トランス31と発信部6とが電気的に接続され、発信部6と受信部4とが電気的に接続されている。促進部33は、トランス31の直下に設けられるため、発信部6より上流の電力線W6(第1電路の一例)において、発信部6から受信部4への電力線W8における信号の流れを促進することができる。ここで、従来の電力線通信システムでは、発信部から下流(受信部側)へ信号が十分に流れず、上流(電源側)へ一部又は全部の信号が流れてしまい、受信部が必要十分な情報を取得できず、取得すべき情報の一部又は全部に欠損が生じるおそれがあった。本実施形態の電力線通信システム100では、トランス31の直下において促進部33が接続されている電力線に接続されている発信部と受信部との間で信号の流れを促進することができる。これにより、受信部4は、発信部6からの信号を適切に取得することができる。よって、この電力線通信システム100は、適切な通信品質を確保することができる。また、促進部33がトランス31の直下に設けられることで、分電盤10A,10B,10Cの外部にそれぞれ促進部を設ける必要がなくなり、トランス31に接続されている電力線において一括で信号の流れを促進することができる。
【0049】
電力線通信システム100において、受信部4は、発信部6と電力線W8(第2電路の一例)によって電気的に接続され、促進部33は電力線W8のインピーダンスより電力線W6のインピーダンスが大きくなるように調整している。この場合、促進部33の調整により、電力線W6のインピーダンスが電力線W8のインピーダンスより大きくなるため、発信部6からの信号は電力線W6よりも電力線W8に流れやすくなる。すなわち、発信部6から上流の電力線W6及び電力線W7に向かって信号が流れることを抑制できる。よって、促進部33は、発信部6から受信部4への信号の流れを促進することができ、適切な通信品質を確保することができる。
【0050】
電力線通信システム100は、トランス31と発信部6との間の電力線W7に設けられる主幹ブレーカ52を収容する分電盤10A,10B,10Cをさらに備え、促進部33は、分電盤10A,10B,10Cの外部であって、トランス31と分電盤10A,10B,10Cとの間の電力線W6又は電力線W7に設けられる。この場合、促進部33は、分電盤10A,10B,10Cの外部であってトランス31の直下に設置される。分電盤10A,10B,10Cに促進部がそれぞれ設けられる場合、トランス側のインピーダンスが判明した後に当該インピーダンスに応じて各分電盤において調整する手間がかかる。例えば、分電盤内に促進部が設けられることで、信号が分電盤の外部に流れることを抑制できるものの、分電盤ごとに促進部を設ける必要があるため、設置及びメンテナンス等に工数がかかる。ここで、狭帯域電力線通信では、広帯域電力線通信(2MHz以上30MHz以下の周波数帯域の電力線通信)と異なり、電波法の規制上、発信部から分電盤の外部に信号が漏出しないように調整する必要がない。すなわち、狭帯域電力線通信において、促進部を設置する位置には制限がかからない。よって、この電力線通信システム100では、分電盤10A,10B,10Cそれぞれに促進部を設ける必要がなくなり、トランス31直下に促進部33を設けることによって、一括で信号の流れを促進することができる。上述のように分電盤10A,10B,10Cの外部に促進部33が設けられる場合、発信部6の上流の回路の一部である電力線W6(又は電力線W7)のインピーダンスが判明した時点で一括で設置及び調整することができる。なお、電力線W6のインピーダンスが電力線W8のインピーダンスより大きく調整される時点で、発信部6から下流への信号の流れを促進することができ、分電盤10A,10B,10Cの上流の外部に信号が流れることを抑制できる。よって、この電力線通信システム100は、トランス31の下流における設備の種類、接続状況及び数に応じて、促進部33を容易に設置及びメンテナンスをすることができる。この電力線通信システム100は、分電盤10A,10B,10Cそれぞれに促進部を設置する工数及びメンテナンスする工数を削減し、各分電盤10A,10B,10Cに対して一括で信号の流れを促進することができる。
【0051】
電力線通信システム100において、信号の周波数は、10kHz以上450kHz以下である。
【0052】
電力線通信システム100において、促進部33は、3相に分かれている電力線W6のうち、少なくとも1相の電路に設けられる。本実施形態では、促進部33は、少なくともL2相及びN相に接続されている受信部4及び発信部6において信号の流れを促進する作用を発揮することができる。受信部4及び発信部6が接続されている電力線の相に応じて、促進部33を設ける場所を変更又は増設することができる。よって、この電力線通信システム100は、促進部33の設置数を最低限に抑えることができ、促進部33の設置及びメンテナンス等を容易にすることができる。また、1相に対してフェライトコアが設けられる場合に比べて、本実施形態のように2相に対してフェライトコアが設けられる場合、電力線通信システム100は、当該2相に接続されている受信部4及び発信部6に対して、より強力に信号の流れを促進できる。
【0053】
キュービクル20では、トランス31と受信部4及び発信部6を有する電力線通信システム100とが電力線W6及び電力線W7によって電気的に接続されている。促進部33は、トランス31の直下に設けられるため、発信部6より上流のキュービクル20において、発信部6から受信部4への信号の流れを促進することができる。これにより、受信部4は、発信部6からの信号を適切に取得することができる。よって、このキュービクル20は、適切な通信品質を確保することができる。また、キュービクル20に接続される分電盤10A,10B,10Cそれぞれに促進部を設ける必要がなくなる。キュービクル20に設けられた促進部33によって、キュービクル20の下流の電路(電力線W8)における信号の流れを一括で促進することができる。
【0054】
キュービクル20は、トランス31と電力線W6によって電気的に接続され、トランス31と発信部6との間に設けられる複数のブレーカ32を有し、促進部33は、トランス31とブレーカ32との間に設けられる。この場合、各ブレーカの下流において促進部の設置及びメンテナンスをする場合、ブレーカの数に応じて促進部を設置する工数及びメンテナンスをする工数が増減する。一方で、本実施形態では、トランス31と複数のブレーカ32との間であって、複数のブレーカ32に分岐する手前の上流に促進部33が設置されるため、各ブレーカの下流に設置する場合に比べて促進部33を設置する工数及びメンテナンスをする工数を削減することができる。
【0055】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、図3に示される各階の制御対象設備3、受信部4、発信部6、促進部33及び負荷設備の配置、位置及び数は特に限定されず、適宜変更されてよい。
【0057】
例えば、発信部6が接続される電力線の組み合わせは限定されない。発信部6は、主幹ブレーカ52における「L1相-N相」の組み合わせ(第2の組み合わせ)に係る電力線W20A,W20Cに接続されることで、主幹ブレーカ52に設けられてもよい。これにより、「L1相-N相」の組み合わせに係る電力線W20A,W20Cには、発信部6の信号が通る。発信部6は、主幹ブレーカ52における「L1相-L2相」の組み合わせ(第3の組み合わせ)に係る電力線W20A,W20Bに接続されることで、主幹ブレーカ52に設けられてもよい。これにより、「L1相-L2相」の組み合わせに係る電力線W20A,W20Bには、発信部6の信号が通る。
【0058】
また、発信部6の発信部本体25の数は限定されない。分電盤10A内に複数の発信部本体25が設けられ、上述した第1の組み合わせ、第2の組み合わせ、及び第3の組み合わせのうち複数の組み合わせに係る電力線にそれぞれ接続されていてもよい。これにより、発信部6から出力される信号を各電力線に接続された受信部4に送信することができる。
【0059】
また、促進部33が接続される電力線の組み合わせは限定されない。例えば、L1相及びN相から延在する各電力線に設けられている受信部4を対象として発信部6からの信号の流れを促進することを目的とする場合、促進部33は、トランス31における「L1相-N相」の組み合わせ(第5の組み合わせ)に係る電力線W60A,W60Cに設けられ、トランス31の直下に設けられてもよい。なお、この場合、発信部6は、例えばL1相及びN相から延在する各電力線に設けられている。促進部33のうち一方のフェライトコアは、L1相の電力線W60Aの延在方向に沿って設けられる。促進部33のうち他方のフェライトコアは、N相の電力線W60Cの延在方向に沿って設けられる。
【0060】
例えば、L1相及びL2相から延在する各電力線に設けられている受信部4を対象として発信部6からの信号の流れを促進することを目的とする場合、促進部33は、トランス31における「L1相-L2相」の組み合わせ(第6の組み合わせ)に係る電力線W60A,W60Bに設けられ、トランス31の直下に設けられてもよい。なお、この場合、発信部6は、例えばL1相及びL2相から延在する各電力線に設けられている。促進部33のうち一方のフェライトコアは、L1相の電力線W60Aの延在方向に沿って設けられる。促進部33のうち他方のフェライトコアは、L2相の電力線W60Bの延在方向に沿って設けられる。
【0061】
また、促進部33のフェライトコアの数は限定されない。促進部33のフェライトコアの数は、トランス31の各相から延在する電力線の数に応じて設定されてもよい。例えば、L1相、L2相及びN相の3相それぞれに対して、キュービクル20内に1つずつの(計3つの)フェライトコアが設けられてもよい。これにより、上述した第4の組み合わせ、第5の組み合わせ、及び第6の組み合わせのいずれにも対応可能となる。すなわち、促進部33は、L1相の電力線W60Aの延在方向に沿って設けられるフェライトコアと、L2相の電力線W60Bの延在方向に沿って設けられるフェライトコアと、N相の電力線W60Cの延在方向に沿って設けられるフェライトコアとを備えていてもよい。この場合、L1相、L2相及びN相のいずれかに接続した受信部4及び発信部6に対して、一括で信号の流れを促進することができる。
【0062】
例えば、L1相、L2相及びN相の3相に対して、キュービクル20内に1つのフェライトコアが設けられてもよい。この場合、促進部33のフェライトコアは、発信部6からの信号の流れを促進する対象の受信部4が接続されている2本の電力線(2相)のうち1本の電力線(1相)に対して設けられる。この形態は、例えば、受信部4及び発信部6が接続される相が既に決まっている場合等に適用される。この場合、複数の相に対してフェライトコアを設ける場合に比べて、容易に促進部33を設けることができ、容易に信号の流れを促進することができる。
【0063】
図6は、変形例に係るキュービクルの構成を示す概略構成図である。図6に示されるように、キュービクル20には端子台34が設けられていてもよい。トランス31のL1相の電力線W60Aは、端子台34の端子35Aに接続され、L2相の電力線W60Bは、端子台34の端子35Bに接続され、接地側のN相の電力線W60Cは、端子台34の端子35Cに接続される。各階層F1,F2,F3に対するブレーカ32は、L1相の端子35A、L2相の端子35B、及びN相の端子35Cにそれぞれ接続される。これにより、トランス31は、三本の電力線W60A,W60B,W60Cを介して、各階層F1,F2,F3における制御対象設備3及び受信部4に対して電力を供給する。各電力線W60A,W60B,W60Cに対する促進部33Aの接続対象は、図5に示すものと同趣旨である。促進部33Aは、例えば、トランス31と端子台34との間に設けられる。この場合、促進部が端子台の下流又は複数のブレーカの下流に配置される場合に比べて、促進部33Aを設置可能な対象の電力線の本数を少なくすることができるため、設置の工数及びメンテナンスの工数を削減することができる。なお、促進部33Aは、例えば、端子台34と複数のブレーカ32との間に設けられてもよい。この場合、促進部が複数のブレーカの下流に配置される場合に比べて、促進部33Aを設置可能な対象の電力線の本数が少なくすることができるため、設置の工数及びメンテナンスの工数を削減することができる。
【0064】
発信部6は、キュービクル20に設けられてもよい。この場合、促進部33は、トランス31と発信部6との間に設けられる。
【0065】
図7は、変形例に係る電力線通信システムを示す概略構成図である。図7に示されるように、電力線通信システム100Aは、キュービクルを備えなくてもよい。電力線通信システム100Aは、電圧を変更するトランス31Aと電力線W6及び電力線W7によって電気的に接続され、狭帯域電力線通信における信号を発信する発信部6Aと、発信部6Aと電力線W8によって電気的に接続され、信号を受信する受信部4Aと、電力線W6のトランス31Aの直下に設けられ、発信部6Aから受信部4Aへの信号の流れを促進する促進部33Aと、を備える。受信部4Aは、制御対象設備3A(図7では照明)に対して設けられた子機である。トランス31Aは、電力線W5を介して電源7と電気的に接続されている。発信部6は、トランス31Aに電気的に接続された分電盤10Dに設けられている。促進部33Aは、トランス31Aと分電盤10Dとの間に設けられている。すなわち、促進部33Aは、トランス31Aの直下において、分電盤10Dの上流に設けられる。本変形例において、符号のみが異なり、上述の実施形態と同一名称の装置及び構成は、同一の作用及び同一の効果を発揮する。
【0066】
図7に示される電力線通信システム100Aが適用される建物BD2は、例えば、戸建住宅等の施設であってもよい。受信部4及び発信部6が設けられる建物BD2が戸建住宅等の場合、例えば、トランス31Aはキュービクルに設けられない。トランス31Aは、例えば、建物BD2の外部の電柱に設けられる。トランス31Aは、電力線W7を介して建物BD1内の分電盤10Dに電気的に接続される。このような構成を有する電力線通信システム100Aであっても、電力線通信システム100と同一の作用及び同一の効果を発揮することができる。
【実施例0067】
トランスの直下に促進部が設けられることによる受信部の信号強度を検出し、促進部の作用及び効果を検証した。
【0068】
[比較例1]
図8の(a)は、比較例に係る電力線通信システムにおけるトランス及び促進部の設置前の回路図である。図8の(a)に示されるように、比較例1に係る電力線通信システム100Pは、制御対象設備3Pと、受信部4Pと、発信部6Pと、を備える。制御対象設備3Pと、受信部4Pと、発信部6Pとはそれぞれ電気的に並列に接続されている。各構成は、図示しない電源によって稼働する。発信部6Pは、制御対象設備3P及び受信部4Pに向かって100kHz以上400kHz以下の電力線通信の信号(PLC信号)を連続的に出力する。制御対象設備3Pとは、負荷の一例である。受信部4Pは、例えばスペクトルアナライザである。受信部4Pは、50Ωの抵抗値を有し、回路の終端に接続されている。受信部4Pは、発信部6Pからの信号を検出する。
【0069】
図8の(b)は、トランス及び促進部の設置前の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。図8の(b)に示されるように、受信部4Pにおいて、周波数が100kHz以上400kHz以下の範囲において、-20dBm程度の信号が検出された。また、発信部6Pから出力される信号の周波数帯域である100kHz以上400kHz以下の範囲において、受信部4Pにおいて略一定の強度で信号が検出されることが示された。さらに、発信部6Pから出力されていない他の周波数帯域、例えば50kHz以上100kHz未満及び400kHz超1000kHz以下では、-70dBm程度の信号が検出された。
【0070】
[比較例2]
図9の(a)は、比較例に係る電力線通信システムにおけるトランスの設置後であって促進部の設置前の回路図である。図9の(a)に示されるように、比較例2に係る電力線通信システム100Qは、制御対象設備3Qと、受信部4Qと、発信部6Qと、を備える。電力線通信システム100Qは、トランス31Qをさらに備える。制御対象設備3Qと、受信部4Qと、発信部6Qと、トランス31Qとはそれぞれ電気的に並列に接続されている。発信部6Qは、トランス31Qと制御対象設備3Q及び受信部4Qとの間に設けられる。制御対象設備3Q、受信部4Q及び発信部6Qは、トランス31Qを介して供給される電力によって稼働する。トランス31Qは、図示しない電源から電力の供給を受ける。発信部6Qは、制御対象設備3Q及び受信部4Qに向かって100kHz以上400kHz以下の電力線通信の信号を連続的に出力する。制御対象設備3Qとは、負荷の一例である。受信部4Qは、例えばスペクトルアナライザである。受信部4Qは、50Ωの抵抗値を有し、回路の終端に接続されている。受信部4Qは、発信部6Qからの信号を検出する。トランス31Qは、上述の実施形態におけるトランス31と同様の機能を有する。
【0071】
図9の(b)は、トランスの設置後であって促進部の設置前の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。図9の(b)に示されるように、受信部4Qにおいて、周波数が100kHz以上400kHz以下の範囲において、-80dBm以上-55dBm以下の範囲の信号が検出された。また、周波数が100kHz以上400kHz以下の範囲において、周波数が大きくなれば大きくなるほど検出強度が上昇することが確認された。さらに、発信部6Qから出力されていない他の周波数帯域、例えば50kHz以上100kHz未満及び400kHz超1000kHz以下では、-90dBm程度の信号が検出された。
【0072】
[実施例]
図10の(a)は、実施例に係る電力線通信システムにおけるトランス及び促進部の設置後の回路図である。図10の(a)に示されるように、実施例に係る電力線通信システム100Rは、制御対象設備3Rと、受信部4Rと、発信部6Rと、促進部33Rとを備える。電力線通信システム100Rは、トランス31Rをさらに備える。制御対象設備3Rと、受信部4Rと、発信部6Rと、トランス31Rとはそれぞれ電気的に並列に接続されている。発信部6Rは、トランス31Rと制御対象設備3R及び受信部4Rとの間に設けられる。制御対象設備3R、受信部4R及び発信部6Rは、トランス31Rを介して供給される電力によって稼働する。トランス31Rは、図示しない電源から電力の供給を受ける。発信部6Rは、制御対象設備3R及び受信部4Rに向かって100kHz以上400kHz以下の電力線通信の信号を連続的に出力する。制御対象設備3Rとは、負荷の一例である。受信部4Rは、例えばスペクトルアナライザである。受信部4Rは、50Ωの抵抗値を有し、回路の終端に接続されている。受信部4Rは、発信部6Rからの信号を検出する。トランス31Rは、上述の実施形態におけるトランス31と同様の機能を有する。促進部33Rは、発信部6Rと接続する2本の電力線のそれぞれに設けられる。促進部33Rは、例えば、フェライトコアである。
【0073】
図10の(b)は、トランス及び促進部の設置後の受信部における信号スペクトルを示す実験結果のグラフである。図10の(b)に示されるように、受信部4Rにおいて、周波数が100kHz以上400kHz以下の範囲において、-20dBm程度の範囲の信号が検出された。また、発信部6Pから出力される信号の周波数帯域である100kHz以上400kHz以下の範囲において、受信部4Pにおいて略一定の強度で信号が検出されることが示された。さらに、発信部6Rから出力されていない他の周波数帯域、例えば50kHz以上100kHz未満及び400kHz超1000kHz以下では、-70dBm程度の信号が検出された。
【0074】
比較例1の結果と実施例の結果とを比べることで、トランス31Rが電力線通信システム100Pに接続されたとしても、受信部4P,4Rにおいて検出される信号強度は、周波数帯域に関わらず略同一となることが明らかとなった。一方で、比較例1と比較例2との結果とを比べることで、トランス31Qが電力線通信システム100Pに接続されると、受信部4P,4Qにおいて検出される信号強度は、各周波数帯域において小さくなる。また、発信部6P,6Q,6Rから出力される信号の周波数帯域である100kHz以上400kHz以下の範囲において、比較例1及び実施例では受信部4P,4Rにおいて検出される信号強度は周波数に関わらず一定である一方で、当該周波数帯域の範囲において、比較例2では受信部4Qにおいて検出される信号強度は周波数ごとに異なる。これらの結果から、制御対象設備、受信部及び発信部の回路にトランスが接続される場合であっても、促進部が設けられることで、受信部において適切に発信部からの信号を検出することができることが明らかとなった。
【0075】
図9の(a)に示されるように発信部6Qに直接トランス31Qが接続された場合、発信部6Qから出力される信号が受信部4Q側(下流側)だけでなく、トランス31Q側(上流側)にも流れてしまったため、比較例2に係る受信部4Qにおいて検出される信号強度が小さくなってしまったと推定される。一方、図10の(a)に示されるように発信部6Rに促進部33Rを介してトランス31Rが接続された場合、発信部6Rから出力される信号が、トランス31R側(上流側)に流れることが抑制され、受信部4Q側(下流側)に流れることが促進されたため、実施例に係る受信部4Pにおいて検出される信号強度と同様の信号強度が受信部4Rにおいて検出されたと推定される。したがって、トランスと発信部との間に促進部を設けることによって、電力線通信システムは、発信部と受信部との間の適切な通信品質を確保することができる。
【符号の説明】
【0076】
3,3P,3Q,3R…制御対象設備、4,4A,4P,4Q,4R…受信部、6,6A,6P,6Q,6R…発信部、7…電源、10A,10B,10C,10D…分電盤(配電設備)、20…キュービクル(配電設備)、31,31A,31Q,31R…トランス(電力供給部)、32…ブレーカ、33…促進部、50…配電設備、51…電力供給部、52…主幹ブレーカ、100…電力線通信システム。
図1
図2
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図8
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図10