IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンファ精密機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子部品実装システム 図1
  • 特開-電子部品実装システム 図2
  • 特開-電子部品実装システム 図3
  • 特開-電子部品実装システム 図4
  • 特開-電子部品実装システム 図5
  • 特開-電子部品実装システム 図6
  • 特開-電子部品実装システム 図7
  • 特開-電子部品実装システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074360
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】電子部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187286
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】519231500
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深川 貴弘
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC17
5E353EE54
5E353EE62
5E353JJ02
5E353JJ26
5E353JJ29
5E353JJ45
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】リカバリー実装の実装位置精度を向上させることのできる電子部品実装システムを提供する。
【解決手段】複数の部品吸着具を有する実装ヘッドによって電子部品の供給部から複数の電子部品をピックアップし基板に実装する実装装置、部品認識装置、部品位置検査装置及び制御装置を備える電子部品実装システムにおいて、制御装置は、電子部品が吸着されておらず電子部品が欠落している部品吸着具のパターンである欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、及び当該リカバリー実装経路における電子部品の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶している。更に制御装置は、部品認識装置から出力された欠落パターンに対応するリカバリー実装経路を選択し、かつ当該リカバリー実装経路における前記位置補正データに基づいてリカバリー実装を実行するように実装装置の動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品吸着具を有する実装ヘッドによって電子部品の供給部から複数の電子部品をピックアップし基板に実装する電子部品実装装置と、
前記複数の部品吸着具に電子部品が吸着されているか否かを認識すると共に、電子部品が吸着されておらず電子部品が欠落している部品吸着具のパターンである欠落パターンを出力する部品認識装置と、
基板に実装された電子部品の位置を検出し位置検出結果を部品位置データとして出力する部品位置検査装置と、
前記電子部品の供給部、前記部品認識装置及び前記部品位置検査装置と連携して前記前記電子部品実装装置の動作を制御する制御装置であって、前記複数の部品吸着具に吸着されている電子部品を先に基板に実装し、欠落している電子部品については前記実装の終了後、前記電子部品の供給部からピックアップし前記部品認識装置を経由して前記基板にリカバリー実装するように前記電子部品実装装置を動作させる制御装置と、を備える電子部品実装システムにおいて、
前記制御装置は、前記欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、及び当該リカバリー実装経路における電子部品の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶しており、前記部品認識装置から出力された欠落パターンに対応するリカバリー実装経路を選択し、かつ当該リカバリー実装経路における前記位置補正データに基づいてリカバリー実装を実行するように前記電子部品実装装置の動作を制御する、電子部品実装システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記部品認識装置から出力された欠落パターンが前記メモリに記憶されていない場合、当該欠落パターンを前記メモリに記憶すると共に、当該欠落パターンにおいて前記電子部品実装装置が実行したリカバリー実装経路を前記メモリに記憶し、更に当該リカバリー実装経路によってリカバリー実装された電子部品の部品位置データを前記部品位置検査装置から取得し、当該部品位置データに基づいて当該電子部品の実装位置に関する位置補正データを求め、当該位置補正データを当該リカバリー実装経路と対応付けて前記メモリに記憶する、請求項1に記載の電子部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に実装する電子部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化や実装密度の高度化に伴って、基板に電子部品を実装する際の実装位置精度に関する要求も高度化している。その要求に応えるため特許文献1では、電子部品実装装置の後段に、基板に実装された電子部品の位置を検出し位置検出結果を部品位置データとして出力する部品位置検査装置を設置し、その部品位置データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御する制御パラメータ、すなわち電子部品の実装位置に関する位置補正データを求め、その位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御する電子部品実装システムが提案されている。
【0003】
電子部品実装装置は、一般的に複数の部品吸着具を有する実装ヘッドによって電子部品の供給部から複数の電子部品をピックアップし、その複数の電子部品を順次基板に実装する。また、電子部品のピックアップミス、すなわち部品吸着具による電子部品の吸着ミスにより、電子部品が吸着されておらず電子部品が欠落している部品吸着具があったとしても、部品吸着具に吸着されている電子部品を先に基板に実装し(以下、この実装を「通常実装」ともいう。)、欠落している電子部品については通常実装の終了後にリカバリー実装するようにしている。そして従来はリカバリー実装時にも、通常実装時の位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-134899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが種々の実装位置データを解析した結果、リカバリー実装時に通常実装時の位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御した場合、リカバリー実装の実装位置精度が低下することが判明した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、リカバリー実装の実装位置精度を向上させることのできる電子部品実装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、リカバリー実装時に通常実装時の位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御した場合にリカバリー実装の実装位置精度が低下する原因について検討した結果、通常実装時とリカバリー実装時とで実装経路が異なることが原因であることがわかった。すなわち、実装経路が異なると、電子部品実装装置のXY方向の位置ずれ量や部品吸着具の振動量などが変動する。そのため、リカバリー実装時に通常実装時の位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御した場合、リカバリー実装の実装位置精度が低下する。
そこで本発明者らは、リカバリー実装時にはそのリカバリー実装経路に応じた位置補正データに基づいて電子部品実装装置の動作を制御するとの発想を得、本発明を想到するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の一観点によれば、次の電子部品実装システムが提供される。
複数の部品吸着具を有する実装ヘッドによって電子部品の供給部から複数の電子部品をピックアップし基板に実装する電子部品実装装置と、
前記複数の部品吸着具に電子部品が吸着されているか否かを認識すると共に、電子部品が吸着されておらず電子部品が欠落している部品吸着具のパターンである欠落パターンを出力する部品認識装置と、
基板に実装された電子部品の位置を検出し位置検出結果を部品位置データとして出力する部品位置検査装置と、
前記電子部品の供給部、前記部品認識装置及び前記部品位置検査装置と連携して前記前記電子部品実装装置の動作を制御する制御装置であって、前記複数の部品吸着具に吸着されている電子部品を先に基板に実装し、欠落している電子部品については前記実装の終了後、前記電子部品の供給部からピックアップし前記部品認識装置を経由して前記基板にリカバリー実装するように前記電子部品実装装置を動作させる制御装置と、を備える電子部品実装システムにおいて、
前記制御装置は、前記欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、及び当該リカバリー実装経路における電子部品の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶しており、前記部品認識装置から出力された欠落パターンに対応するリカバリー実装経路を選択し、かつ当該リカバリー実装経路における前記位置補正データに基づいてリカバリー実装を実行するように前記電子部品実装装置の動作を制御する、電子部品実装システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品実装システムによれば、リカバリー実装の実装位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である電子部品実装システムの構成を示すブロック図。
図2】実装ヘッドの一例を示す斜視図。
図3】通常実装時の実装経路の一例を示す模式図。
図4】通常実装時の位置補正データのデータ構造例を示す概念図。
図5】リカバリー実装経路の一例を示す模式図。
図6図5に示したリカバリー実装経路における位置補正データのデータ構造例を示す概念図。
図7】リカバリー実装経路の他の例を示す模式図。
図8図7に示したリカバリー実装経路における位置補正データのデータ構造例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明の一実施形態である電子部品実装システムの構成をブロック図で示している。図1に示す電子部品実装システムは、電子部品の供給部(図1では単に「供給部」と表記し、以下の説明でも単に「供給部」という。)、部品認識装置、電子部品実装装置(図1では単に「実装装置」と表記し、以下の説明でも単に「実装装置」という。)、及び部品位置検査装置をこの順に備えると共に、供給部、部品認識装置及び部品位置検査装置と連携して実装装置の動作を制御する制御装置を備え、これらは通信ネットワークによって相互通信可能に接続されている。
【0012】
実装装置は、複数の複数の部品吸着具を有する実装ヘッドを含むものである。かかる実装ヘッドとしては、例えば特開2016-86095号公報に開示されているロータリーヘッド式の実装ヘッドを用いることができる。図2に、特開2016-86095号公報に開示されている実装ヘッド10を示している。
同図に示す実装ヘッド10はロータリーヘッド式の実装ヘッドであり、固定的に配置されたヘッド本体20に、ロータリーヘッド30が鉛直軸周りのR方向に回転可能に取り付けられている。このロータリーヘッド30には、その周方向に沿って等間隔で複数本のスピンドル31が配置され、各スピンドル31の下端に部品を吸着保持する部品吸着具としてノズル32が装着されている。
ロータリーヘッド30は、ヘッド本体20に設置されたRサーボモータ21の駆動によりR方向に回転する。また、各スピンドル31は、ヘッド本体20に設置されたTサーボモータ22の駆動により、その軸線周りのT方向に回転する。更に、ヘッド本体20には、特定位置にあるスピンドル31a(ノズル32)を軸線方向に沿ったZ方向に昇降させるための第1昇降手段としてZサーボモータ23が配置されている。
この実装ヘッド10は、図示しないXY移動機構によりXY方向に移動自在である。
【0013】
実装装置は、上述のような複数の部品吸着具を有する実装ヘッドによって供給部から複数の電子部品をピックアップする。その後、部品認識装置を経由して、ピックアップした複数の電子部品を基板に実装する。そして通常実装時には上述の通り、電子部品のピックアップミス、すなわち部品吸着具による電子部品の吸着ミスにより、電子部品が吸着されておらず電子部品が欠落している部品吸着具があったとしても、部品吸着具に吸着されている電子部品を先に基板に実装し、欠落している電子部品については通常実装の終了後にリカバリー実装する。
【0014】
図3に、通常実装時の実装経路の一例を模式的に示している。なお、実際の実装ヘッドは図2にも示しているように10個以上の部品吸着具を有するが、以下の説明では便宜上、5個の部品吸着具を有し、供給部から部品1~5の5個の電子部品をピックアップし部品認識装置を経由して基板上の所定位置(実装位置)に順次実装するものとする。各部品の設計上の実装位置は、予め制御装置のメモリに生産データとして記憶させておく。そして図3では、部品4が吸着ミスにより欠落している場合における通常実装時の実装経路を示している。ここで、本発明において「実装経路」とは、図3に矢印で示しているように、部品認識装置を起点として電子部品を基板に実装する経路(ルート)のことをいう。
【0015】
図3は部品4が欠落している場合であるから、通常実装時の実装経路は、「部品認識装置→部品1→部品2→部品3→部品5」となる。ここで、部品4が欠落していることは部品認識装置が認識し、部品4が欠落している部品吸着具のパターンである欠落パターンを出力し、その欠落パターンを制御装置が受信することにより部品4が欠落していることを認識することができる。言い換えれば、制御装置は部品認識装置から出力された欠落パターンにより部品4が欠落していることを認識し、その認識に基づいて通常実装時には図3に示した実装経路で各部品を基板に実装するように実装装置の動作を制御する。
【0016】
実装装置の後段には部品位置検査装置が設置されている。部品位置検査装置は、基板に実装された電子部品の位置を検出し位置検出結果を部品位置データとして出力する。具体的には、例えば上述の特許文献1にも開示されているように、基板をカメラによって撮像して画像認識することにより、電子部品毎に基板平面上のXY座標位置(X位置,Y位置)を検出し位置検出結果を部品位置データとして出力する。また、本実施形態では、XY座標位置(X位置,Y位置)に加え、電子部品の実装高さを表すZ位置と、電子部品の実装方向を表す角度θも検出し、その位置検出結果をX位置及びY位置と共に部品位置データとして出力する。
【0017】
制御装置は、上述のような通常実装により実装された電子部品の部品位置データを部品位置検査装置から取得し、当該部品位置データに基づいて当該電子部品の実装位置に関する位置補正データを求め、当該位置補正データを通常実装時の位置補正データとしてメモリに記憶する。本実施形態では、部品1~5の5個の電子部品を実装するから、部品1~5毎に通常実装時の位置補正データが得られ、制御装置はそれぞれの位置補正データをメモリに記憶する。図4に、通常実装時の位置補正データのデータ構造例を概念的に示している。同図に示すように、本実施形態において位置補正データは、X位置補正量、Y位置補正量、Z位置補正量及び角度補正量の4つの補正量からなる。ここで、補正量とは、上述のように予め制御装置のメモリに生産データとして記憶させている各部品の設計上の実装位置(X位置、Y位置、Z位置及び角度θ)に対する補正量である。なお、図3に例示した通常実装では部品4は実装されないが、部品4が実装される通常実装もあるので、図4に示したように部品4についても通常実装時の位置補正データが得られる。
また、制御装置は、通常実装時に部品位置検査装置から逐次得られる部品毎の部品位置データに基づいて、各部品の位置補正データをインラインで更新する機能を有する。
【0018】
次に、リカバリー実装について説明する。
まず、図3に示した通常実装後のリカバリー実装について説明する。図3では部品4が欠落しているから、リカバリー実装では部品4の実装を行う。ここで、制御装置のメモリには、予め発生しやすい欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、及び当該リカバリー実装経路における電子部品の実装位置に関する位置補正データを記憶しておく。本実施形態では、部品4が欠落している欠落パターン(以下「欠落パターンA」という。)に対応するリカバリー実装経路(以下「欠落パターンA」という。)、及びリカバリー実装経路Aにおける電子部品の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶している。
【0019】
図5に、欠落パターンAに対応するリカバリー実装経路Aを模式的に示している。このリカバリー実装経路Aは、部品4が欠落している欠落パターンAにおいて、図3に示した通常実装の終了後、部品4を供給部からピックアップし部品認識装置を経由して基板にリカバリー実装するときの実装経路であり、リカバリー実装経路Aとしては図5に矢印で示しているように「部品認識装置→部品4」である。
ここで、通常実装により部品4を基板に実装するときの実装経路は「部品認識装置→部品1→部品2→部品3→部品4」であり、リカバリー実装経路Aとは実装経路が異なることになる。すなわち上述の通り、通常実装時とリカバリー実装時とで実装経路が異なることから、リカバリー実装時に通常実装時の位置補正データ(図4)に基づいて実装装置の動作を制御した場合、リカバリー実装の実装位置精度が低下する。
【0020】
そこで本発明では、リカバリー実装時にはそのリカバリー実装経路に応じた位置補正データに基づいて実装装置の動作を制御するようにした。具体的に本実施形態ではリカバリー実装経路Aにおける電子部品(部品4)の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶している。このリカバリー実装経路Aにおける電子部品(部品4)の実装位置に関する位置補正データは、実際の実装装置を用いてリカバリー実装経路Aによって部品4をリカバリー実装した基板について、後段の部品位置検査装置にて部品4の位置を検出して得られる部品位置データに基づいて得ることができる。
【0021】
図6に、リカバリー実装経路Aにおける位置補正データのデータ構造例を概念的に示している。同図に示すように、リカバリー実装経路Aにおける位置補正データは、図4に示した通常実装時の位置補正データと同様に、X位置補正量、Y位置補正量、Z位置補正量及び角度補正量の4つの補正量からなるが、その補正量の絶対値は同じではない。そのため、図6においてリカバリー実装経路Aにおける各補正量には「(A)」を付して通常実装時の補正量と区別している。
【0022】
次に、部品4が欠落している欠落パターンA以外の欠落パターンの例として、部品2及び部品4が欠落している欠落パターン(以下「欠落パターンB」という。)について説明する。
図7に、欠落パターンBに対応するリカバリー実装経路Bを模式的に示している。このリカバリー実装経路Bは、部品2及び部品4が欠落している欠落パターンBにおいて、部品2及び部品4以外の部品(部品1及び部品3)の通常実装の終了後、部品2及び部品4を供給部からピックアップし部品認識装置を経由して基板にリカバリー実装するときの実装経路であり、リカバリー実装経路Bとしては図7に矢印で示しているように「部品認識装置→部品2→部品4」である。
【0023】
本実施形態では上述のリカバリー実装経路Aにおける場合と同様に、リカバリー実装経路Bにおける電子部品(部品2及び部品4)の実装位置に関する位置補正データをメモリに記憶している。このリカバリー実装経路Bにおける電子部品(部品2及び部品4)の実装位置に関する位置補正データは、実際の実装装置を用いてリカバリー実装経路Bによって部品2及び部品4をリカバリー実装した基板について、後段の部品位置検査装置にて部品2及び部品4の位置を検出して得られる部品位置データに基づいて得ることができる。
【0024】
図8に、リカバリー実装経路Bにおける位置補正データのデータ構造例を概念的に示している。同図に示すように、リカバリー実装経路Bにおける位置補正データは、図4に示した通常実装時の位置補正データ及び図6に示したリカバリー実装経路Aにおける位置補正データと同様に、X位置補正量、Y位置補正量、Z位置補正量及び角度補正量の4つの補正量からなるが、その補正量の絶対値は同じではない。そのため、図8においてリカバリー実装経路Bにおける各補正量には「(B)」を付して通常実装時及びリカバリー実装経路Aにおける補正量と区別している。
【0025】
電子部品が欠落している部品吸着具のパターンである欠落パターンは、理論的には上述の欠落パターンA及びB以外に多数の欠落パターンが想定されるが、想定される全ての欠落パターンについて、予めリカバリー実装経路及びそのリカバリー実装経路における位置補正データを準備することは現実的でない。そのため現実的には、過去の実装実績データ等から発生しやすい欠落パターンをいくつか選出し、その欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、及びそのリカバリー実装経路における位置補正データを予めメモリに記憶しておく。そして本実施形態では便宜上、上述の欠落パターンA及びBについて予めリカバリー実装経路及び位置補正データをメモリに記憶しているものとする。
【0026】
以上の構成と前提のもと制御装置は、部品認識装置から出力された欠落パターンに対応するリカバリー実装経路を選択し、かつ当該リカバリー実装経路における位置補正データに基づいてリカバリー実装を実行するように実装装置の動作を制御する。例えば部品認識装置から出力された欠落パターンが欠落パターンAの場合、制御装置は、図5に示したリカバリー実装経路Aを選択し、かつ図6に示したリカバリー実装経路Aにおける位置補正データに基づいて部品4のリカバリー実装を実行するように実装装置の動作を制御する。また、部品認識装置から出力された欠落パターンが欠落パターンBの場合、制御装置は、図7に示したリカバリー実装経路Bを選択し、かつ図8に示したリカバリー実装経路Bにおける位置補正データに基づいて部品2及び部品4のリカバリー実装を実行するように実装装置の動作を制御する。
【0027】
一方、制御装置は、部品認識装置から出力された欠落パターンがメモリに記憶されていない場合、当該欠落パターンをメモリに記憶すると共に、当該欠落パターンにおいて実装装置が実行したリカバリー実装経路をメモリに記憶する。なお、欠落パターン及びその欠落パターンに対応するリカバリー実装経路がメモリに記憶されていなくとも、制御装置又は実装装置自身の自律的な制御により実装装置はその欠落パターンに対応するリカバリー実装経路を見つけて、そのリカバリー実装経路にてリカバリー実装を実行する。その後、制御装置は、当該リカバリー実装経路によって実装された電子部品の部品位置データを部品位置検査装置から取得し、当該部品位置データに基づいて当該電子部品の実装位置に関する位置補正データを求め、当該位置補正データを当該リカバリー実装経路と対応付けてメモリに記憶する。これにより、新たな欠落パターン、及びその欠落パターンに対応するリカバリー実装経路、並びにそのリカバリー実装経路における位置補正データがメモリに記憶され、次回以降、制御装置はメモリに記憶されているそのリカバリー実装経路における位置補正データに基づいてリカバリー実装を実行する。
なお、制御装置は、各リカバリー実装経路によるリカバリー実装時に部品位置検査装置から逐次得られる部品毎の部品位置データに基づいて、各リカバリー実装経路おける各部品の位置補正データをインラインで更新する機能を有する。
【0028】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変形や変更が可能であることは当業者に自明である。例えば、本実施形態において位置補正データは、X位置補正量、Y位置補正量、Z位置補正量及び角度補正量の4つの補正量からなるが、少なくともX位置補正量及びY位置補正量の2つの補正量があればよい。
【符号の説明】
【0029】
10 実装ヘッド
20 ヘッド本体
21 Rサーボモータ
22 Tサーボモータ
23 Zサーボモータ(第1昇降手段)
30 ロータリーヘッド
31,31a スピンドル
32 ノズル(部品吸着具)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8