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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074380
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】エレベータ装置および報知制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/00 L
B66B3/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187315
(22)【出願日】2021-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】玉置 亜由美
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303BA05
3F303CB22
3F303CB24
3F303CB31
3F303DC25
(57)【要約】
【課題】後ろ向きに乗車または降車する利用者に後方の状況を報知する態様を多様化するエレベータ装置を提供する。
【解決手段】エレベータ装置(1)は、乗場およびかご(2)内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラ(10,21)から撮像データを取得する取得部(31)と、取得部(31)によって取得された撮像データに基づき、乗場およびかご(2)内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部(32)と、認識部(32)によって認識された検出対象物体の存在を利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部(33)と、生成部(33)によって生成された報知データに基づき報知情報を出力する報知部(4)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知部と、を備える、エレベータ装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記カメラによって撮像された前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の撮像画像の時間変化によって前記検出対象物体が前記利用者に近づいていることを認識し、
前記生成部は、前記利用者に近づいている前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記認識部は、前記乗場または前記かご内の前記撮像データに基づき、前記利用者が乗降口の枠に近づいていることを認識し、
前記生成部は、前記利用者が前記枠に近づいていることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記認識部は、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の前記撮像データに基づき、前記利用者が前記乗場において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある移動領域に前記検出対象物体が存在していることを認識し、
前記生成部は、前記移動領域に前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項5】
前記認識部は、前記乗場および前記かご内の前記撮像データによって、1または複数の前記利用者の背後に前記検出対象物体が存在していることを認識し、
前記生成部は、前記かご内において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第1報知データを生成するとともに、前記乗場において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第2報知データを生成し、前記利用者の位置に応じて、前記第1報知データおよび前記第2報知データの出力形態を異ならせる、請求項1から4のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
前記利用者が前記かご内、または前記乗場における乗降口付近の所定領域にいる場合、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項7】
前記かごが前記利用者により指定された行先階に到着した場合のみ、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項8】
前記かごの扉が開き始めてから閉じ終わるまでの間、または、前記扉が開き始めてから前記利用者が乗車または降車を完了するまでの間に、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項9】
前記報知データの前記報知部への出力を制御する出力制御部をさらに備え、
前記認識部は、前記利用者付随体として車椅子を認識するとともに、前記車椅子を伴う前記利用者の乗車の向きおよび降車の向きを認識し、
前記出力制御部は、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに乗車したことが認識された場合、および、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに降車することが認識された場合の少なくともいずれか一方、前記報知データを前記報知部に出力する、請求項1から8のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記報知情報を表示する表示装置である、請求項1から9のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を強調して表示するための報知データを生成する、請求項10に記載のエレベータ装置。
【請求項12】
前記報知部は、前記報知情報を音で出力するスピーカを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項13】
前記報知部は、前記報知情報を、前記利用者に所持される端末装置に送信する、請求項1から12のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項14】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識ステップと、
前記認識ステップによって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知ステップと、を含む、報知制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置および報知制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子、ベビーカー、台車等を伴ってエレベータを利用する場合、二人がかりで荷物を運ぶ者がエレベータを利用する場合など、前向きに乗車したときに前向きに降車できるようにエレベータの狭いかご内で向きを変えることは困難である。例えば特許文献1には、このようなエレベータの利用者が後ろ向きに降車するときに周囲の状況を確認するために、乗場を撮影する複数台のカメラ、カメラの撮影画像を表示するモニタなどを備えたエレベータ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-178935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1には、乗降口に近づいてくる人の位置を報知すること、利用者がエレベータの扉に近づいてぶつかりそうになったときに報知することなどの、危険回避のための報知機能については開示されていない。例えば、上記のエレベータ装置では、乗場で動いている人をモニタに表示することはできるが、走りながら乗り込んでくる人をモニタに表示しても、後ろ向きに降車する人には伝わりにくい。
【0005】
本発明の一態様は、後ろ向きに乗車または降車する利用者に後方の状況を報知する態様を多様化するエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係るエレベータ装置は、乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部と、前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、利用者の背後の所定領域に検出対象物体が存在する場合に、それが検出されて利用者に所定の態様で報知されるので、利用者は自分では気付きにくい検出対象物体の存在を認識することができる。よって、利用者は、背後方向への移動をより安全に実行することができる。
【0008】
本発明の態様2に係るエレベータ装置は、上記態様1において、前記認識部は、前記カメラによって撮像された前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の撮像画像の時間変化によって前記検出対象物体が前記利用者に近づいていることを認識し、前記生成部は、前記利用者に近づいている前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための前記報知データを生成してもよい。
【0009】
上記の構成によれば、後ろ向きに降車する利用者が、乗場において乗降口に近づいてくる検出対象物体に気付きやすくすることができる。また、乗場から後ろ向きに乗車する利用者が、かご内で乗降口に近づいてくる検出対象物体に気付きやすくすることができる。これにより、利用者は当該検出対象物体との衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0010】
本発明の態様3に係るエレベータ装置は、上記態様1において、前記認識部は、前記乗場または前記かご内の前記撮像データに基づき、前記利用者が乗降口の枠に近づいていることを認識し、前記生成部は、前記利用者が前記枠に近づいていることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成してもよい。
【0011】
上記の構成によれば、後ろ向きに乗車または降車する利用者が乗降口の枠に近づいていることを気付きやすくすることができる。これにより、利用者は枠との衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0012】
本発明の態様4に係るエレベータ装置は、上記態様1において、前記認識部は、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の前記撮像データに基づき、前記利用者が前記乗場において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある移動領域に前記検出対象物体が存在していることを認識し、前記生成部は、前記移動領域に前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、後ろ向きに降車する利用者が、乗場において後ろ向きに移動する一定の移動領域に乗客等が存在していることを気付きやすくすることができる。これにより、乗場で後ろ向きに移動する利用者は、移動先の乗客等との衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0014】
本発明の態様5に係るエレベータ装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記認識部は、前記乗場および前記かご内の前記撮像データによって、1または複数の前記利用者の背後に前記検出対象物体が存在していることを認識し、前記生成部は、前記かご内において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第1報知データを生成するとともに、前記乗場において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第2報知データを生成し、前記利用者の位置に応じて、前記第1報知データおよび前記第2報知データの出力形態を異ならせてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、例えば、後ろ向きに降車する一人の利用者に対し、かご内で降車前の位置にいる状態では、かご内で利用者の背後に検出対象物体が存在することを報知することができる。また、後ろ向きに降車する一人の利用者に対し、降車時に乗降口に近づいた位置にいる状態では、乗場で利用者の背後に検出対象物体が存在することを報知することができる。しかも、後ろ向きに降車する複数の利用者が存在する場合、乗降口に近い利用者に対して、乗場で利用者の背後に検出対象物体が存在することを優先して報知するというようなこともできる。
【0016】
本発明の態様6に係るエレベータ装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記利用者が前記かご内、または前記乗場における乗降口付近の所定領域にいる場合、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備えてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、かご内に前記利用者がいないときに報知を行わないようにすることができる。これにより、不要な報知を回避することができる。
【0018】
本発明の態様7に係るエレベータ装置は、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記かごが前記利用者により指定された行先階に到着した場合のみ、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備えてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、かごが利用者の行先階に到着していないときに報知を行わないようにすることができる。これにより、不要な報知を回避することができる。
【0020】
本発明の態様8に係るエレベータ装置は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記かごの扉が開き始めてから閉じ終わるまでの間、または、前記扉が開き始めてから前記利用者が乗車または降車を完了するまでの間に、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備えてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、少なくとも利用者が乗車または降車する可能性のある期間以外に報知を行わないようにすることができる。これにより、不要な報知を減らすことができる。
【0022】
本発明の態様9に係るエレベータ装置は、上記態様1から8のいずれかにおいて、前記報知データの前記報知部への出力を制御する出力制御部をさらに備え、前記認識部は、前記利用者付随体として車椅子を認識するとともに、前記車椅子を伴う前記利用者の乗車の向きおよび降車の向きを認識し、前記出力制御部は、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに乗車したことが認識された場合、および、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに降車することが認識された場合の少なくともいずれか一方、前記報知データを前記報知部に出力してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、かご内で向きを変えることが難しい車椅子利用者が、後ろ向きに乗車した場合、および、後ろ向きに降車する場合の少なくともいずれか一方以外に報知を行わないようにすることができる。これにより、不要な報知を減らすことができる。
【0024】
本発明の態様10に係るエレベータ装置は、上記態様1から9のいずれかにおいて、前記報知部は、前記報知情報を表示する表示装置であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、報知情報を視覚的に利用者に提供することができる。
【0026】
本発明の態様11に係るエレベータ装置は、上記態様10において、前記生成部は、前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を強調して表示するための報知データを生成してもよい。
【0027】
上記の構成によれば、検出対象物体の存在を強調して表示することができる。これにより、利用者は、背後における検出対象物体の存在により気付きやすくなる。
【0028】
本発明の態様12に係るエレベータ装置は、上記態様1から11のいずれかにおいて、前記報知部は、前記報知情報を音で出力するスピーカを含んでもよい。
【0029】
上記の構成によれば、報知情報を音として利用者に提供することができる。
【0030】
本発明の態様13に係るエレベータ装置は、上記態様1から12のいずれかにおいて、前記報知部は、前記報知情報を、前記利用者に所持される端末装置に送信してもよい。
【0031】
上記の構成によれば、後方の状況を利用者の手元にある端末装置から報知することができる。よって、後方の状況をより確実に利用者に伝えることができる。
【0032】
本発明の態様14に係る報知制御方法は、乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識ステップと、前記認識ステップによって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成ステップと、前記生成ステップにおいて生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様によれば、後ろ向きに乗車または降車する利用者に後方の状況を報知する態様を多様化するエレベータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の構成を示すブロック図である。
図2】上記エレベータ装置のかごが乗場の位置にある状態を示す図である。
図3】上記利用者の背後の所定領域にその存在が認識された検出対象物体の存在を強調して示すように上記表示装置に表示される報知画像を示す図である。
図4】上記エレベータ装置の利用者が乗場において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある領域に検出対象物体が存在していることを示すように上記表示装置に表示される報知画像を示す図である。
図5】上記利用者の位置に応じて検出対象物体が存在していることを示すように表示される報知画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータ装置1の構成を示すブロック図である。図2は、エレベータ装置1のかご2が乗場100の位置にある状態を示す図である。
【0036】
<エレベータ装置1の構成>
図1に示すエレベータ装置1は、かご2と、制御装置3と、報知部4とを備えている。
【0037】
かご2には、カメラ21と、操作盤22とが設けられている。操作盤22は、行先階の指定、扉2aの開閉操作などを行うために設けられている。
【0038】
図2に示すように、カメラ21は、かご2の奥壁における上方に設置される。また、カメラ21は、乗場100をかご2の内部から撮像するように、かご2のトランサムに設置されている。乗場100を監視するために、トランサムに設置されたカメラ21の代わりに、乗場100にカメラ10が設けられていてもよい。カメラ10は、各階の乗場100における乗降口の枠100aの上方の天井に近い位置に設置されている。ただし、かご2のトランサムにカメラ21を設置することにより、各階のカメラ10を省略することができる。
【0039】
制御装置3は、かご2を駆動する駆動系(図示せず)を制御することにより、かご2の動作を制御する。また、制御装置3は、エレベータ装置1の図2に示す利用者Uの背後に検出対象物体Oが存在することを報知する制御を行う。制御装置3は、当該制御を行うために、取得部31と、認識部32と、生成部33と、出力制御部34とを有している。
【0040】
取得部31は、乗場100に設置されたカメラ10およびかご2内に設置されたカメラ21の少なくともいずれか一方から撮像データを取得する。取得部31は、当該撮像データを受け入れる部分であって、例えば、カメラ10,21の撮像データを伝送するケーブルが接続される画像インターフェースを含んでいる。
【0041】
認識部32は、取得部31によって取得された撮像データに基づき、図2に示すように、乗場100において、車椅子U1(利用者付随体)とともに乗車した利用者Uの背後の所定領域に存在する検出対象物体Oを認識する。図2では、検出対象物体Oが乗場100の所定領域に存在する例を示しているが、認識部32は、撮像データに基づき、乗場100およびかご2内の少なくともいずれか1つにおいて、利用者Uの背後の所定領域に存在する検出対象物体Oを認識する。
【0042】
検出対象物体Oは、利用者Uが後ろ向きに降車する進路上で障害となる物体である。検出対象物体Oは、人だけでなく、乗場100に置かれているもの(植木、置物など)、かご2の扉2a、乗降口の枠100a、扉2aの周辺の壁などが該当する。
【0043】
利用者付随体は、利用者Uに付随することによって前向きにかご2へ乗車する利用者Uが後ろ向きに降車するようなものである。利用者付随体は、車椅子U1以外に、ショッピングカート、ベビーカー、台車、移動式ベッドなどの、認識部32が認識可能な所定の種類のものである。また、二人がかりで荷物を運ぶ際に、前側の運搬作業員から先にかご2へ乗車し、後側の運搬作業員が後にかご2へ乗車する場合、後側の運搬作業員が後ろ向きに降車することから、荷物も利用者付随体に該当する。
【0044】
生成部33は、認識部32によって認識された検出対象物体Oの存在を利用者Uに報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する。報知データが表現される態様としては、音(警告音、アナウンスのような音声など)、表示など、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
出力制御部34は、利用者の位置、所定の期間、所定の場合などの所定の条件が満たされたときに、生成部33によって生成された報知データを報知部4へ出力するように報知データの出力を制御する。
【0046】
報知部4は、生成部33によって生成された報知データに基づき報知情報を出力する。報知部4は、報知のための機器として、スピーカ41と、表示装置42と、通信部43とを有している。
【0047】
スピーカ41は、音により報知情報を出力するために設けられている。図2に示すように、スピーカ41は、例えばかご2の天井に設置されている。表示装置42は、画像の表示により報知情報を出力するために設けられている。図2に示すように、表示装置42は、例えばかご2の奥壁に設置されている。なお、スピーカ41が設置される場所は、天井に限らず側壁であってもよい。また、表示装置42が設置される場所は、利用者Uが見やすい場所であればよく、奥壁に限らず側壁であってもよい。また、報知情報を出力する機器は、プロジェクタであってもよい。プロジェクタにより、乗場100の床や壁に向けて報知情報を投影してもよい。
【0048】
通信部43は、利用者Uに所持される機器である端末装置20と通信する。通信部43は、報知情報を端末装置20に送信する。端末装置20は、携帯型の通信機能を有する装置であり、スマートフォン、タブレットなどの装置である。
【0049】
<エレベータ装置1の報知動作>
続いて、制御装置3による報知制御方法にしたがって実行されるエレベータ装置1の報知動作について説明する。
【0050】
図3は、利用者Uの背後の所定領域にその存在が認識された検出対象物体Oの存在を強調して示すように表示装置42に表示される報知画像200を示す図である。図4は、利用者Uが乗場100において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある移動領域Aに検出対象物体Oが存在していることを示すように表示装置42に表示される報知画像201を示す図である。図5は、利用者Uの位置に応じて検出対象物体Oが存在していることを示すように表示装置42に表示される報知画像202を示す図である。
【0051】
図2に示すように、利用者Uが前向きにかご2へ乗車して、目的とする階で降車する場合、乗場100に検出対象物体Oが存在しているものとする。この場合、カメラ10,21の少なくともいずれか一方が検出対象物体Oを撮像して、検出対象物体Oの撮像画像を撮像データとして出力する。
【0052】
制御装置3において、取得部31は、カメラ10,21からの撮像データを取得する(取得ステップ)。認識部32は、撮像データに基づいて撮像画像における利用者Uおよび検出対象物体Oを認識する(認識ステップ)。認識部32は、公知の物体認識技術を用いて検出対象物体Oを認識する。このような物体認識技術としては、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いた物体認識技術などが挙げられる。
【0053】
認識部32は、撮像画像における人の特徴を抽出するとともに、人以外の特徴として車椅子U1の特徴を抽出すると、当該人が車椅子U1とともに乗車した利用者Uであることや、利用者Uの向きを認識する。また、認識部32は、撮像画像において検出対象物体Oの存在を認識すると、検出対象物体Oの位置情報などの検出対象物体Oの存在を示す情報を出力する。この情報には、利用者Uと検出対象物体Oとの位置関係を示す情報も含まれる。
【0054】
認識部32によって、撮像画像において後ろ向きに降車する利用者Uの背後の所定領域に検出対象物体Oが存在していることが認識されると、生成部33は、認識部32からの情報に基づき報知データを生成する(生成ステップ)。生成部33は、音の態様で報知データを生成する場合、警告音のデータ、後ろ向きに降車する利用者Uの背後の所定領域に検出対象物体Oが存在していることをアナウンスする音声データなどを生成する。あるいは、生成部33は、上記の警告音のデータや音声データを生成することに代えて、エレベータ装置1が備える図示しない記憶装置に予め記録されたこれらのデータを当該記憶装置から読み出してもよく、このようなデータの読み出しをデータの生成としてもよい。また、生成部33は、画像の態様で報知データを生成する場合、後ろ向きに降車する利用者Uの背後の所定領域に検出対象物体Oが存在していることを示す画像を報知データとして生成する。生成部33は、例えば、利用者Uと扉2a等との相対的な位置関係を示すイラストを生成してもよいし、撮像画像に対して報知に係るマーク(例えば、後述するフレームF(図3参照)や移動領域A(図4参照))を付加する画像を生成してもよい。
【0055】
出力制御部34は、報知データの報知部4への出力を制御する。具体的には、出力制御部34は、所定の条件が満たされた場合、生成部33からの報知データを報知部4に出力する。このような条件については、後に詳しく説明する。また、出力制御部34は、必要に応じて、生成部33から出力されるデジタルの報知データをアナログの報知信号に変換してもよい。
【0056】
報知部4において、スピーカ41は、音の報知データが入力されると、当該報知データを音の報知情報として出力する(報知ステップ)。また、表示装置42は、報知画像の報知データが入力されると、報知画像を報知情報として表示する。また、通信部43は、報知データを送信信号に変調して端末装置20に送信する。
【0057】
端末装置20は、図示はしないが、報知部4と同様にスピーカおよび表示装置を備える他、端末装置20を振動させる振動装置を備えている。それゆえ、スピーカにより音の報知情報を出力するとともに、表示装置により報知画像を表示するだけでなく、振動装置によって端末装置20を振動させることで報知情報を出力することができる。
【0058】
以上のように、エレベータ装置1は、取得部31、認識部32、生成部33および出力制御部34を有する制御装置3と、報知部4とを備えている。これにより、利用者Uの背後の所定領域に検出対象物体Oが存在する場合に、それが検出されて利用者Uに所定の態様で報知される。それゆえ、利用者Uは自分では気付きにくい検出対象物体Oの存在を認識することができる。よって、利用者Uは、背後方向への移動をより安全に実行することができる。
【0059】
報知部4は、報知情報を音で出力するスピーカ41を含む。これにより、報知情報を音として利用者Uに提供することができる。また、報知部4は、報知情報を表示する表示装置42を含む。これにより、報知情報を視覚的に利用者Uに提供することができる。そして、スピーカ41および表示装置42によって併せて報知情報を出力することにより、多様な態様で報知情報を利用者Uに提供することができる。
【0060】
表示装置42に報知情報を表示する場合、生成部33は、認識部32によって認識された検出対象物体Oの存在を強調して表示するための報知データを生成してもよい。表示装置42は、このような報知データにより、図3に示すような報知画像200を表示する。報知画像200には、乗場100において検出対象物体Oが存在している位置を示す図形(例えば円)と、検出対象物体Oを取り囲むように配置されたフレームFとが示されている。
【0061】
これにより、検出対象物体Oの存在を強調して表示することができる。よって、利用者Uは、背後における検出対象物体Oの存在に、より気付きやすくなる。なお、検出対象物体Oの存在を強調して示す形態は、上記のフレームFに限らず、矢印を検出対象物体Oの付近に示すといった他の形態であってもよい。
【0062】
また、報知部4は、報知情報を端末装置20に送信する通信部43を含む。これにより、後方の状況を利用者Uの手元にある端末装置20から報知することができる。よって、後方の状況をより確実に利用者Uに伝えることができる。
【0063】
ところで、上述した例では、検出対象物体Oが静止状態にある場合が想定される。これに対し、制御装置3は、移動する検出対象物体O、具体的には利用者Uに近づいてくる検出対象物体Oの存在を報知する報知データを出力してもよい。
【0064】
利用者Uに近づいてくる検出対象物体Oの存在を報知する場合、認識部32は、カメラ10,21によって撮像された乗場100およびかご2内の少なくともいずれか一方の撮像画像の時間変化によって検出対象物体Oが利用者Uに近づいていることを認識する。認識部32は、連続した2つ以上の撮像画像間の変化に基づき、検出対象物体Oの移動方向および移動速度を、オプティカルフロー、フレーム間差分法などを利用した移動物体の認識手法によって判定する。また、認識部32は、連続した2つ以上の撮像画像間における、検出対象物体Oの代表点(例えば中心)の座標値の差に基づき、検出対象物体Oの移動方向および移動速度を判定してもよい。
【0065】
生成部33は、利用者Uに近づいている検出対象物体Oの存在を利用者Uに報知するための報知データを生成する。生成部33は、近づいている検出対象物体Oの位置および速度の少なくともいずれか一方に応じて報知の有無を決定してもよい。
【0066】
生成部33は、音の態様で表現した報知データを生成する場合、近づいてくる検出対象物体Oの位置および速度の少なくともいずれか一方に応じて報知音が異なるように報知データを生成してもよい。例えば、生成部33は、検出対象物体Oが近づくに連れて報知音を大きくしたり、検出対象物体Oが近づくに連れて報知音を出力する長さを長くしたりしてもよい。
【0067】
生成部33は、画像の態様で表現した報知データを生成する場合、検出対象物体Oが利用者Uに近づいている状態をアニメーション表示する表示データや、当該状態を静止画像の切り替えによって表示する表示データを生成する。また、生成部33は、検出対象物体Oが利用者Uに近づいていることを警告する警告メッセージを表示する表示データを生成してもよい。また、生成部33は、検出対象物体Oを取り囲むように配置されたフレームFが点滅するか、またはフレームFの色が変化するように、上述した報知画像200を生成してもよい。
【0068】
これにより、後ろ向きに降車する利用者Uが、乗場100において乗降口に近づいてくる検出対象物体Oに気付きやすくすることができる。また、乗場100から後ろ向きに乗車する利用者Uが、かご2内で乗降口に近づいてくる検出対象物体Oに気付きやすくすることができる。したがって、利用者Uは検出対象物体Oとの衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0069】
また、制御装置3は、利用者Uが、乗場100から後ろ向きに乗車するとき、または、かご2から後ろ向きに降車するときに、乗降口の枠100aに接近していることを利用者Uに報知する報知データを出力してもよい。この場合、認識部32は、乗場100またはかご2内を撮像した撮像データに基づき、枠100aを検出対象物体Oとして認識するとともに、利用者Uが枠100aに近づいていることを認識する。
【0070】
生成部33は、利用者Uが枠100aに近づいていることを利用者Uに報知するための報知データを生成する。生成部33は、利用者Uが枠100aに近づいていく度合に応じて報知の有無を決定してもよい。
【0071】
生成部33は、音の態様で表現した報知データを生成する場合、枠100aに近づいていく度合に応じて報知音が異なるように報知データを生成してもよい。例えば、生成部33は、上記度合が大きくなるに連れて報知音を大きくしたり、上記度合が大きくなるに連れて報知音を出力する長さを長くしたりしてもよい。
【0072】
生成部33は、画像の態様で表現した報知データを生成する場合、利用者Uが枠100aに近づいている状態をアニメーション表示する表示データや、当該状態を静止画像の切り替えによって表示する表示データを生成する。また、生成部33は、利用者Uが枠100aに近づいていることを警告する警告メッセージを表示する表示データを生成してもよい。
【0073】
これにより、後ろ向きに降車する利用者Uが枠100aに近づいていることを気付きやすくすることができる。したがって、利用者Uは枠100aとの衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0074】
また、制御装置3は、利用者Uが乗場100において移動する移動領域における検出対象物体Oの存在を報知する報知データを出力してもよい。この場合、認識部32は、乗場100およびかご2内の少なくともいずれか一方を撮像した撮像データに基づき、利用者Uが乗場100において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある移動領域に検出対象物体Oが存在していることを認識する。
【0075】
生成部33は、移動領域に検出対象物体Oが存在していることを利用者Uに報知するための報知データを生成する。生成部33は、画像の態様で表現した報知データとして生成する場合、利用者Uが後ろ向きに進む移動領域と、移動領域における検出対象物体Oの位置とを明示する表示データを報知データとして生成する。
【0076】
なお、複数人の利用者Uが降車する場合、生成部33は、利用者Uのそれぞれの後ろに移動領域を示す報知データを生成してもよい。
【0077】
表示装置42は、このような報知データに基づき、図4に示すような報知画像201を表示する。報知画像201には、後ろ向きに降車する利用者Uと、利用者Uが乗場100において後ろ向きに移動する一定の移動領域Aと、移動領域Aにおいて検出対象物体Oが存在する位置とが示されている。
【0078】
これにより、利用者Uは、自分が移動する先に検出対象物体Oが存在していることを気付きやすくなる。したがって、乗場100で後ろ向きに移動する利用者Uは、移動先の乗客等との衝突を回避する行動をとりやすくなる。
【0079】
制御装置3は、利用者Uの位置に応じて異なる報知データを出力してもよい。この場合、認識部32は、乗場100およびかご2内の撮像データによって、利用者Uの背後に検出対象物体Oが存在していることを認識する。利用者Uは、一人に限らず複数人であってもよい。
【0080】
生成部33は、利用者Uの位置に応じて、第1報知データおよび第2報知データの出力形態を異ならせるように報知データを生成する。具体的には、利用者Uがかご2内にいて、かご2内で利用者Uの背後の所定領域に検出対象物体Oが存在する場合、生成部33は、かご2内において検出対象物体Oが存在していることを利用者Uに報知するための報知データとして第1報知データを生成する。また、利用者Uが降車時に乗降口に近づいて、乗場100において検出対象物体Oが存在する場合、生成部33は、乗場100において検出対象物体Oが存在していることを利用者Uに報知するための報知データとして第2報知データを生成する。
【0081】
生成部33は、利用者Uの位置に応じて、第1報知データから第2報知データに切り替えるように報知データを生成してもよい。また、生成部33は、画像の態様で表現した報知データとして生成する場合、画像としての第1報知データおよび第2報知データをつなぎ合せた報知データを生成してもよい。
【0082】
表示装置42は、生成部33から出力制御部34を経て出力された第1報知データおよび第2報知データによる画像の報知データを受けて、図5に示すような報知画像202を表示する。報知画像202には、利用者Uがかご2内の位置P1にいるとき、第1報知データに基づいて、かご2内で利用者Uおよび検出対象物体Oが示される(第1表示状態)。また、利用者Uが乗降口の敷居2bに達した位置P2にいるとき、第2報知データに基づいて、乗降口付近に利用者Uが示され、乗場100に検出対象物体Oが示される(第2表示状態)。
【0083】
なお、利用者Uが乗場100における位置P3にまで移動した状態では、報知画像202には検出対象物体Oが示されない。
【0084】
図5では、便宜上、上記の第1表示状態と第2表示状態とが同時に表示されるように示されているが、第1表示状態と第2表示状態とは、報知画像202においてそれぞれ個別に示される。また、図5において、利用者Uの位置P3が便宜上示されているが、報知画像202には示されないものとする。
【0085】
これにより、利用者Uは、自分の位置に応じて検出対象物体Oの存在を認知することができる。
【0086】
なお、複数人の利用者Uが降車する場合、生成部33は、上記の報知画像202を2分割して、一方をかご2内の状態を表示する画面とし、他方を乗場100の状態を表示する画面として表示する報知データとして生成してもよい。このような報知データは、例えば、ピクチャーインピクチャーのような2画面の画像として生成される。
【0087】
また、生成部33は、当該報知データについて、報知の優先度が高い利用者U、例えば乗降口より近い利用者Uに見せる情報を大きい画面に表示し、報知の優先度が低い利用者Uに見せる情報を小さい画面に表示するように加工してもよい。あるいは、生成部33は、当該報知データについて、報知の優先度に関わらず、画面を均等に分割するように加工してもよい。
【0088】
制御装置3は、上述のように、所定の条件を満たした場合に報知データを報知部4に出力してもよい。以下に、その例について詳しく説明する。
【0089】
例えば、制御装置3は、利用者Uが、かご2内、または乗場100における乗降口付近の所定領域にいる場合に報知データを出力する。所定領域は、例えば、図4に示す利用者Uの位置を含む敷居2bの幅に設定されている。認識部32は、利用者Uが、かご2内、または上記の所定領域にいることを認識すると、その認識結果を出力制御部34に通知する。出力制御部34は、当該認識結果に基づき、報知データの出力を制御する。
【0090】
このように、利用者Uが、かご2内または上記の所定領域にいなくなったときに報知を行わないようにすることができる。したがって、不要な報知を回避することができる。
【0091】
また、出力制御部34は、かご2が利用者Uにより操作盤22で指定された行先階に到着した場合のみ、報知データを報知部4に出力してもよい。
【0092】
これにより、かご2が利用者Uの行先階に到着していないときに報知を行わないようにすることができる。したがって、不要な報知を回避することができる。なお、例えば、利用者Uが操作盤22を操作したことをカメラ21の撮像データから判定し、当該判定時に登録された行先階を、利用者Uが指定した行先階としてもよい。また、かご2内に車椅子用操作盤を含む複数の操作盤が設けられている場合には、車椅子用操作盤で登録された行先階を、利用者Uが指定した行先階としてもよい。
【0093】
あるいは、出力制御部34は、認識部32が画像認識によって降りようとする利用者Uを認識すると、報知データを報知部4に出力してもよい。また、出力制御部34は、かご2における扉2a付近に設けられたマルチビームのようなセンサ(図示せず)によって利用者のシルエット(形)が検出されている間に、報知データを報知部4に出力してもよい。また、制御装置3が端末装置20によって利用者Uの行先階の予約を受け付けることができる場合、出力制御部34は、かご2が利用者Uの予約した行先階に到達したときに報知データを出力してもよい。
【0094】
また、出力制御部34は、かご2の扉2aが開き始めてから閉じ終わるまでの間、または、扉2aが開き始めてから利用者Uが乗車または降車を完了するまでの間に、報知データを報知部4に出力してもよい。出力制御部34は、扉2aの開閉を検知する開閉センサ(図示せず)からの検知情報に基づいて扉2aの開閉を判断する。
【0095】
なお、出力制御部34は、報知データを出力する上記の期間以外には、かご2が停止する予定の階、かご2の運転方向などの運転情報、公告、ニュースなどの汎用情報といった各種の情報を報知部4に出力してもよい。このような情報は、例えば、制御装置3に設けられた情報生成部(図示せず)によって生成される。また、出力制御部34は、認識部32によって利用者Uが乗場100にいることが認識されると、カメラ21によってかご2内の様子が撮像された画像を表示装置42に出力してもよい。
【0096】
これにより、少なくとも利用者Uが乗車または降車する可能性のある期間以外に報知を行わないようにすることができる。したがって、不要な報知を減らすことができる。
【0097】
また、出力制御部34は、利用者Uの後ろ向き乗車および後ろ向き降車時に報知データを出力してもよい。このため、認識部32は、利用者付随体として車椅子U1を認識するとともに、車椅子U1を伴う利用者Uの乗車の向きおよび降車の向きを認識する。
【0098】
出力制御部34は、認識部32によって利用者Uが車椅子U1とともに後ろ向きに乗車したことが認識された場合、および、認識部32によって利用者Uが車椅子U1とともに後ろ向きに降車することが認識された場合の少なくともいずれか一方、報知データを報知部4に出力する。
【0099】
これにより、かご2内で向きを変えることが難しい利用者Uが、後ろ向きに乗車した場合、および、後ろ向きに降車する場合の少なくともいずれか一方以外に報知を行わないようにすることができる。これにより、不要な報知を減らすことができる。なお、利用者Uが車椅子U1とともに後ろ向きに乗車した場合、利用者Uに、かご2内での利用者Uの背後における検出対象物体Oの存在を報知することができる。
【0100】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ装置1における制御装置3の機能は、制御装置3としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、制御装置3の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムにより実現することができる。
【0101】
この場合、制御装置3は、制御プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの演算処理装置(例えばプロセッサ)と、少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)とを有するコンピュータを備えている。この演算処理装置と記憶装置とにより上記制御プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0102】
制御プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、制御装置3が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、制御プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して制御装置3に供給されてもよい。
【0103】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0104】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AIに実行させてもよい。この場合、AIは制御装置3で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0105】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1 エレベータ装置
2 かご
4 報知部
10,21 カメラ
20 端末装置
22 操作盤
31 取得部
32 認識部
33 生成部
34 出力制御部
41 スピーカ
42 表示装置
43 通信部
100 乗場
100a 枠
U 利用者
U1 車椅子(利用者付随体)
O 検出対象物体
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知部と、を備え
前記認識部は、前記カメラによって撮像された前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の撮像画像の時間変化によって前記検出対象物体が移動しながら前記利用者に近づいていることを認識し、
前記生成部は、前記利用者に近づいている前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、エレベータ装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記乗場または前記かご内の前記撮像データに基づき、前記利用者が乗降口の枠に近づいていることを認識し、
前記生成部は、前記利用者が前記枠に近づいていることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知部と、を備え、
前記認識部は、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の前記撮像データに基づき、前記利用者が前記乗場において現在位置から後ろ向きに所定距離だけ移動する可能性のある移動領域に前記検出対象物体が存在していることを認識し、
前記生成部は、前記移動領域に前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、エレベータ装置。
【請求項4】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知部と、を備え、
前記認識部は、前記乗場および前記かご内の前記撮像データによって、1または複数の前記利用者の背後に前記検出対象物体が存在していることを認識し、
前記生成部は、前記かご内において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第1報知データを生成するとともに、前記乗場において前記検出対象物体が存在していることを前記利用者に報知するための前記報知データとして第2報知データを生成し、前記利用者の位置に応じて、前記第1報知データおよび前記第2報知データの出力形態を異ならせる、エレベータ装置。
【請求項5】
前記利用者が前記かご内、または前記乗場における乗降口付近の所定領域にいる場合、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
前記かごが前記利用者により指定された行先階に到着した場合のみ、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項7】
前記かごの扉が開き始めてから閉じ終わるまでの間、または、前記扉が開き始めてから前記利用者が乗車または降車を完了するまでの間に、前記報知データを前記報知部に出力する出力制御部をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項8】
前記報知データの前記報知部への出力を制御する出力制御部をさらに備え、
前記認識部は、前記利用者付随体として車椅子を認識するとともに、前記車椅子を伴う前記利用者の乗車の向きおよび降車の向きを認識し、
前記出力制御部は、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに乗車したことが認識された場合、および、前記認識部によって前記利用者が前記車椅子とともに後ろ向きに降車することが認識された場合の少なくともいずれか一方、前記報知データを前記報知部に出力する、請求項1からのいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項9】
前記報知部は、前記報知情報を表示する表示装置である、請求項1からのいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記認識部によって認識された前記検出対象物体の存在を強調して表示するための報知データを生成する、請求項に記載のエレベータ装置。
【請求項11】
前記報知部は、前記報知情報を音で出力するスピーカを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項12】
前記報知部は、前記報知情報を、前記利用者に所持される端末装置に送信する、請求項1から11のいずれか1項に記載のエレベータ装置。
【請求項13】
乗場およびかご内の少なくともいずれか一方を撮像するカメラから撮像データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記撮像データに基づき、前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか1つにおいて、所定の種類の利用者付随体とともに乗車した利用者の背後の所定領域に存在する検出対象物体を認識する認識ステップと、
前記認識ステップによって認識された前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための所定の態様で表現した報知データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成された前記報知データに基づき報知情報を出力する報知ステップと、を含み、
前記認識ステップにおいて、前記カメラによって撮像された前記乗場および前記かご内の少なくともいずれか一方の撮像画像の時間変化によって前記検出対象物体が移動しながら前記利用者に近づいていることを認識し、
前記生成ステップにおいて、前記利用者に近づいている前記検出対象物体の存在を前記利用者に報知するための前記報知データを生成する、報知制御方法。