(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074385
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20230522BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20230522BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230522BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20230522BHJP
F24F 8/192 20210101ALN20230522BHJP
【FI】
E04H1/12 A
F24F8/80 110
F24F8/80 120
F24F8/80 210
F24F8/80 232
F24F7/06 B
A47C7/74 C
E04H1/12 302Z
F24F8/192
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187324
(22)【出願日】2021-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日: 令和3年10月28日~令和3年10月29日 ウェブサイトのアドレス:https://sites.google.com/kokuyo.com/v-tube-site/event/2022fair/fair_2022_03 公開者: コクヨ株式会社 (2)公開日: 令和3年11月1日~11月2日 公開場所: コクヨ株式会社 東京ショールーム、コクヨ株式会社品川ライブオフィス(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者: コクヨ株式会社 (3)公開日: 令和3年11月1日~11月2日 公開場所: コクヨ株式会社 東京ショールーム、コクヨ株式会社品川ライブオフィス(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者 コクヨ株式会社 (4)開催日: 令和3年11月4日~令和3年12月3日 展示会名: 2022 KOKUYO FAIR 開催場所: コクヨ株式会社 東京ショールーム、コクヨ株式会社品川ライブオフィス(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者: コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228028
【氏名又は名称】株式会社トルネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】日下 篤
(72)【発明者】
【氏名】村上 利造
(72)【発明者】
【氏名】浦田 浩作
(72)【発明者】
【氏名】黒田 健介
【テーマコード(参考)】
3B084
3L058
【Fターム(参考)】
3B084JA07
3B084JG06
3L058BE08
(57)【要約】
【課題】下肢空間等が狭くなる不具合を伴うことなく、ブースの内部に空気清浄機等を設置できるようにする。
【解決手段】外部空間OSから隔離された内部空間ISを形成するブースBにおいて、内部空間ISの下側を塞ぐ底盤1と、内部空間ISの周囲を囲む周壁である前壁、側壁3及び背壁4と、内部空間ISの上方を閉塞する天井と、内部空間IS内に配置され内部に空気清浄機9を内蔵した椅子7とを備えるとともに、空気清浄機9から吐出される清浄な空気を着座者の前側に排出するための排出口7aと、その排出された空気を前記着座者の背後において吸引し前記空気清浄機9に戻すための給気口7bとを具備してなる構成を採用する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間から隔離された内部空間を形成するブースであって、
前記内部空間の下側を塞ぐ底盤と、前記内部空間の周囲を囲む周壁と、前記内部空間の上方を閉塞する天井と、前記内部空間内に配置され内部に空気清浄機を内蔵した椅子とを備えるとともに、前記空気清浄機から吐出される清浄な空気を着座者の前側に排出するための排出口と、その排出された空気を前記着座者の背後において吸引し前記空気清浄機に戻すための給気口とを具備してなるブース。
【請求項2】
前記排出口及び前記給気口の少なくとも一方が前記椅子に設けられている請求項1記載のブース。
【請求項3】
前記椅子が、座の下側に前記空気清浄機を収めた装置収容室を有する椅子本体と、この椅子本体上に配された背凭れとを備えたものであり、
前記背凭れ側に前記給気口が設けられている請求項1又は2記載のブース。
【請求項4】
前記椅子が、座の下側に前記空気清浄機を収めた装置収容室を有する椅子本体と、この椅子本体上に配された背凭れとを備えたものであり、
前記椅子本体側に前記排出口が設けられている請求項2又は3記載のブース。
【請求項5】
前記椅子が、前記周壁の内面に添設されたものであり、
前記周壁が、前記給気口から導入される空気を前記空気清浄機に導くための空気流路として利用されている請求項4記載のブース。
【請求項6】
前記座が、前記装置収容室を閉塞する閉止姿勢と、前記装置収容室を上方に開放する開成姿勢とを選択的に採り得るように構成されている請求項3又は4記載のブース。
【請求項7】
前記外部空間から前記装置収容室に導入され前記排出口から前記内部空間に導かれる外気供給用の空気流路と、前記給気口から前記空気清浄機に供給され前記排出口から前記内部空間に導かれる空気循環用の空気流路とが前記装置収容室内に相互に隔離した状態で並設されている請求項2、3、4、5又は6記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、執務や打ち合わせ等に使用されるブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部の騒音や人声の侵入を抑制し、内部空間での集中度を高めることができるブースが知られている。
【0003】
かかるブースには、内部空間の温度や湿度を調整するための空調装置が設けられる場合がある(特許文献1参照)。また、最近では、会話時に発生する唾液の飛沫を補足して内部空間を浄化したいという要望が強く、空気清浄機能を有した空調装置を設けることも検討されている。
【0004】
ところが、かかる空気清浄機等をブース内に増設する場合、その装置のスペースが内部空間内に必要となり、その結果、下肢空間等が狭くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、下肢空間等が狭くなる不具合を伴うことなく、ブースの内部に空気清浄機を設置できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るブースは、外部空間から隔離された内部空間を形成するものであって、前記内部空間の下側を塞ぐ底盤と、前記内部空間の周囲を囲む周壁と、前記内部空間の上方を閉塞する天井と、前記内部空間内に配置され内部に空気清浄機を内蔵した椅子とを備えるとともに、前記空気清浄機から吐出される清浄な空気を着座者の前側に排出するための排出口と、その排出された空気を前記着座者の背後において吸引し前記空気清浄機に戻すための給気口とを具備してなるものである。
【0008】
請求項2記載の発明に係るブースは、請求項1記載のものであって、前記排出口及び前記給気口の少なくとも一方が前記椅子に設けられているものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係るブースは、請求項1又は2記載のものであって、前記椅子が、座の下側に前記空気清浄機を収めた装置収容室を有する椅子本体と、この椅子本体上に配された背凭れとを備えたものであり、前記背凭れ側に前記給気口が設けられているものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係るブースは、請求項2又は3記載のものであって、前記椅子が、座の下側に前記空気清浄機を収めた装置収容室を有する椅子本体と、この椅子本体上に配された背凭れとを備えたものであり、前記椅子本体側に前記排出口が設けられているものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係るブースは、請求項4記載のものであって、前記椅子が、前記周壁の内面に添設されたものであり、前記周壁が、前記給気口から導入される空気を前記空気清浄機に導くための空気流路として利用されているものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係るブースは、請求項3又は4記載のものであって、前記座が、前記装置収容室を閉塞する閉止姿勢と、前記装置収容室を上方に開放する開成姿勢とを選択的に採り得るように構成されているものである。
【0013】
請求項7記載の発明に係るブースは、請求項2、3、4、5又は6記載のものであって、前記外部空間から前記装置収容室に導入され前記排出口から前記内部空間に導かれる外気供給用の空気流路と、前記給気口から前記空気清浄機に供給され前記排出口から前記内部空間に導かれる空気循環用の空気流路とが前記装置収容室内に相互に隔離した状態で並設されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下肢空間等が狭くなる不具合を伴うことなく、ブースの内部に空気清浄機を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】同実施形態に係るブースの天井及び前壁を省略した分解斜視図。
【
図11】同実施形態に係るダクト及び空気清浄器を示す斜視図。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る椅子の説明図。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る椅子の説明図。
【
図15】本発明の他の実施形態に係る椅子の説明図。
【
図16】本発明の他の実施形態に係る椅子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図12を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を4人用のブースBに適用した場合のものである。
【0018】
このブースBは、
図1~
図4に示すように、内部空間ISの下面を塞ぐ底盤1と、内部空間ISの周囲を囲む周壁(前壁2、側壁3、背壁4)と、内部空間ISの上面を塞ぐ天井5とを備えたものであり、その内部空間ISにテーブル6の天板と椅子7が配設されている。
【0019】
底盤1は、
図1~
図4に示すように、下面にキャスタ17と、アジャスタ18と、固定具19とを備えてなるものである。キャスタ17は、当該ブースBを建築床面Fに沿って移動させるためのものであり、アジャスタ18は移動後に当該ブースBの四隅の高さを調整するためのものであり、固定具19は四隅の高さ調整後に当該ブースBを図示しないアンカーボルト等を用いて建築床面に固定するためのものである。
【0020】
詳述すれば、
図3に示すように、底盤1は、左のベース本体パネル1Aと、中央のベース本体パネル1Bと、右のベース本体パネル1Cとを連結金具11等を介して連結したなるもので、各ベース本体パネル1A~1Cの上面には、前後に延びる縦補強材12と、左右に延びる横補強材13が剛結されている。また、中央のベース本体パネル1Bには、後述するテーブル6の脚ベース63を載置するための脚受け部材15が固設されている。底盤1の上面には、脚受け部材15を避けるようにして床板14が敷設されており、この床板14とベース本体パネル1A~1Cとの間には底盤内空間1sが形成されている。16は、外気A2を後述する椅子7内を通して内部空間ISに導入するための換気扇であり、床板14には、これら換気扇16を通して導入される外気A2を当該床板14上に案内する通気窓14aが形成されている。
【0021】
周壁たる前壁2は、内部空間ISの前面を塞ぐもので、
図1及び
図2に示すように、左の前面パネル2Aと、中央のドアパネル2Bと、右の前面パネル2Cとを備えている。左、右の前面パネル2A、2Cは、例えば、合わせガラス21A、21Cの縁部を枠体22A、22Cにより補強したものである。ドアパネル2Bは、例えば、合わせガラス21B及びその縁部に配したドア縁部材22Bを主体に構成されたものであり、左の前面パネル2Aの枠体22Aにヒンジ23を介して開閉可能に蝶持されている。図中24は取手である。
【0022】
周壁たる側壁3は、
図3、
図5及び
図12に示すように、外側板31と、この外側板31の上半部内側に配された内装用の吸音パネル35とを具備してなるもので、外側板31の下半部内側には、後述する椅子7が密に添設されている。具体的には、外側板31は、ブースBの側面の全域を覆う面積を有した板金製のもので、上下縁に天井5に止着される上鍔311及び底盤1に止着される下鍔312がそれぞれ内部空間IS側に向けて延設されているとともに、前後縁に前壁2に止着される前鍔313及び背壁4に止着される後鍔314がそれぞれ内部空間IS側に向けて延設されている。そして、外側板31の内面には、例えば4本の水平姿勢をなす水平補強材32と、2本の鉛直姿勢をなす竪補強材33とが溶接等により剛結されている。水平補強材32と竪補強材33とは、それぞれ側壁3の厚み寸法に相当する厚み方向寸法を備えたものであり、これら水平補強材32と竪補強材33とにより囲繞される領域には、水平方向に延びる複数本の補強リブ34が突設されている。補強リブ34は、横断面三角形状のもので、その厚み方向寸法は、水平補強材32及び竪補強材33の厚み方向寸法よりも小さな値に設定されている。
【0023】
側壁3における外側板31と吸音パネル35との間には、
図12に示すように、上部の空気流路3Fが形成されており、吸音パネル35の上縁には、内部空間IS内の空気(導入した外気A2と循環空気A1の一部)とをその空気流路3Fを介して後述する天井5の空気流路5Fに導くための切欠部35aが形成されている。また、側壁3における外側板31と後述する椅子7の椅子本体71及び背凭れ72との間には、下部の空気流路3Eが形成されている。
【0024】
周壁たる背壁4は、
図3、
図4及び
図5に示すように、例えば、左の背面パネル41と、中央の支柱42と、右の背面パネル43とを備えている。左、右の背面パネル41、43は、例えば、合わせガラス411、431の縁部を枠体412、432により補強したものである。
【0025】
天井5は、
図3及び
図4に示すように、内部空間ISと外部空間OSとを区成する天井板51と、この天井板51の下に空気流路5Fを介して配された内装天井板56とを備えた二重壁構造のものである。天井板51は、例えば、板金製のもので、その下面には、左右に延びる横補強材52が溶接等により剛結されている。内装天井板56は、例えば、吸音パネル561を利用して形成したものである。天井板51と内装天井板56との間には空気A1、A2が流通可能な空気流路5Fが形成されている。天井板51には、この空気流路5F内の空気A1、A2を外部空間OSに放出するための通気口57が設けられている。空気流路5Fは、側壁3の上部の空気流路3Fと連通しているとともに、内装天井板56の左右両端部の下面に当接する吸音パネル35の切欠部35aを通して内部空間ISに連通している。天井板51には、内部空間IS内で火事が発生した場合に自動的に感知して消火剤をノズルから噴射する下方放出型の自動消火装置58が支持されており、この自動消火装置58の熱感知器を備えた消火剤噴射ノズル581は、内装天井板56を貫通して内部空間ISに臨ませてある。この自動消火装置58は、通常のものであるため説明を省略する。また、内装天井板56には、内部空間IS内を照明するためのダウンライト59等が設けられている。580は、自動消火装置58を上方から被覆する消火装置カバーである。
【0026】
以上説明したブースBの内部空間ISには、テーブル6が前述した背壁4の支柱42に関連させて設けられているとともに、そのテーブル6の両側に本発明にかかる椅子7がそれぞれ配置されている。
【0027】
テーブル6は、
図1、
図3及び
図4に示すように、一面側を室IS内に臨ませた支柱42に固設される天板受け64と、この天板受け64に下面を支持させて室内に配される天板61とを具備してなる。
【0028】
天板受け64は、例えば、
図3及び
図4に示すように、底板641と、底板641の前縁から起立させた前板642と、底板641の左右の両側縁から起立させた側板643と、底板641の後縁から起立させた後板644とを備えたボックス状のものであり、板金素材により一体に形成されている。そして、この天板受け64上に天板61をねじにより止着している。
【0029】
この天板受け64は、内部にコード案内空間に連通する配線用空間64sを有したものである。この実施形態における内部空間ISは、
図1及び
図3に示すようにテーブル6の両側に椅子7を配してなる複数人用のものであり、具体的には、2人掛けの椅子7を天板6を介して対面配置した4人用ものである。そのため、この天板受け64は、想定される最大使用人数分(4人分)のコンセント要素Tを収容可能な容量の配線空間である配線用空間64sを備えている。配線用空間64sに収容されたコンセント要素T等は、天板61の図示しないアクセス窓を開閉することによって、個別に天板61の上面61bに出し入れすることができるようになっている。
【0030】
天板61は、例えば木製のものであり、
図3及び
図4に示すように、後端側を天板受け64に支持させるとともに、前端側を脚支柱62を介して脚ベース63に支持させた状態で、周壁すなわち前壁2、側壁3及び背壁4の内側に形成された室IS内に配されている。
【0031】
かかるテーブル6の両側に配された椅子7は、
図3及び
図4に示すように、それぞれ、座73を有する椅子本体71と、空気清浄機9とを具備してなる。そして、空気清浄機9から吐出される空気A1を座73に着座した着座者Pの前面側に流通させるための排出口7aと、この排出口7aから排出されて着座者Pの前方を通過した空気A1の一部を空気清浄機9に戻して循環させるための給気口7bとを備えている。
【0032】
すなわち、各椅子7は、座73の下に空気清浄機9が収容された装置収容室71sを備えてなる椅子本体71と、この椅子本体71上に配された背凭れ72とを具備し、排出口7aが椅子本体71に設けられているとともに、給気口7bが背凭れ72に設けられている。なお、この椅子7の説明においては、ブースB全体の説明とは異なり、着座者Pを基準にして前後左右の方向表示を行うこととする。
【0033】
詳述すれば、この椅子7は、
図3~
図7に示すように、ブースBの底盤1上に載置された座73を有する椅子本体71と、この椅子本体71上に設けられた背凭れ72と、この背凭れ72及び椅子本体71の背面に添設された板状体(周壁を構成する側壁3)とを具備してなるもので、椅子本体71内に空気清浄機9が収容されている。
【0034】
椅子本体71は、
図3~
図10に示すように、内部に装置収容室71sを形成する下方に開放された箱体75と、この箱体75をブースBの底盤1上に位置決め配置するためのベース枠76とを備えたものである。箱体75は、上面側に座73が形成された上板751と、この上板751の前縁から垂下させた前板752と、上板751の後縁から垂下させた後板753と、前板752及び後板753の側縁部間を連結する側板754とを備えたものである。一方、ベース枠76は、箱体75の前板752を支持する前枠材761と、箱体75の後板753を支持する後枠材762と、箱体75の側板754を支持する側枠材763とを備えた環状のもので、前枠材761には、左右両端部を除く中間領域に凹陥部764が形成されている。この凹陥部764は、箱体75の前板752よりも後方に凹陥しており、この凹陥部764によって箱体75の内外を連通させる出口空間76sが形成されている。箱体75の前板752には、当該箱体75の内外を連通させる入口窓75aが形成されている。空気清浄機9は、吸込窓9aから導入された空気A1を電気集塵器91により清浄化し、その空気A1をファン92により吹出窓9bから逐次排出するようにした通常のものである。93は電気集塵器91にアクセスするためのメンテナンス扉、94は電気集塵器91やファン92に電力を供給するための電源コード、95は周壁の壁面に設けた図示しないスイッチに接続するための電源コードである。
【0035】
空気清浄機9の吸込窓9aは、
図7、
図8及び
図11に示すように、入口側のダクト77を介して箱体75の入口窓75aに接続されており、空気清浄機9の吹出窓9bは、出口側のダクト78を介して箱体75の内外を連通させる前述した出口空間76sに接続されている。入口側のダクト77は、始端開口部77aを箱体75の入口窓75aに対応する後板753の内面にビス等により止着するとともに、終端開口部77bをガスケット771を介して空気清浄機9の吸込窓9aに対応する面に密に当接させている。出口側のダクト78は、始端開口部78aをガスケット782を介して空気清浄機9の吹出窓9bに対応する面に密に当接させている。出口側のダクト78は、始端開口部78aを空気清浄機9の正面に位置させた姿勢で箱体75の前板752内面にビス等により止着されており、その終端側は、例えば、右方向(ブースBの奥方向)に延出させてある。そして、出口側のダクト78の延出端部下面には、下方に向けて開放された角柱状をなす終端開口部781が形成されている。この終端開口部781は当該椅子7の排出口7aに相当するものであり、空気清浄機9により浄化された空気A1を椅子本体71の下縁部における一端近傍部分から下向きに排出し得るようになっている。すなわち、この実施形態における排出口7aは、着座者Pに排出直後の空気A1の流れである空気流が直接当たり難い態様で設けられている。
【0036】
一方、背凭れ72は、
図3~
図7及び
図10に示すように、椅子本体71上における後縁部分に配設されたもので、下端面を隙間を介して椅子本体71の座73に対向させてブースBの側壁3の内面に装着された下クッション部722と、この下クッション部722の上に位置させて側壁3の内面に装着された上クッション部721と具備してなるもので、下クッション部722の下面に給気用ダクト723が止着されている。給気用ダクト723は、左右に延びる角柱パイプ状のものであり、前面に給気口7bを構成するスリット状の空気導入孔7b1が多数形成されているとともに、背面に長方形状をなす空気導出孔724が形成されている。給気用ダクト723は、背凭れ72の左右方向寸法に対応する長さを有するものであり、左右両端は閉塞されている。この給気用ダクト723の前面は、背凭れ72と椅子本体71との隙間に位置しており、この前面に形成された給気口7bが椅子7の前方に臨ませてある。しかして、この椅子7においては、着座者Pの前面から背面側に回り込んだ空気A1を吸い込んで空気清浄機9に供給するための給気口7bが、背凭れ72の前面下縁部における椅子7の幅方向の一端から他端に至る帯状領域に配されている。
【0037】
そして、この椅子7では、前述したように椅子本体71及び背凭れ72の背面に中空の板状体が添設されており、給気口7bから導入される空気A1を空気清浄機9に導くための空気流路が板状体を利用して形成されている。具体的に説明すれば、この実施形態においては、
図6に示すように、椅子本体71及び背凭れ72の背面が添接されているブースBの側壁3が板状体を兼ねており、この側壁3内に空気流路3Eが形成されている。すなわち、椅子本体71及び背凭れ72の背面と側壁3の外側板31との間には、水平補強材32と竪補強材33とによって囲繞された密閉空間が形成されており、この密閉空間が背凭れ7に設けられた給気用ダクト723の空気導出孔724と椅子本体71の後板753に開設された入口窓75aとを連通させる空気流路3Eとしての機能を担っている。
【0038】
また、このブースBには、かかる椅子7に関連させて、外気を内部空間ISに取り入れて天井5から排出するための換気システムも併設されている。この換気システムは、底盤1に設けられた換気扇16を介して外部空間OSの空気A2を内部空間ISに導入し、天井5の通気口57を介して内部空間ISの空気A2(及び浄化された空気A1の一部)を外部空間OSに排出するものである。
【0039】
次いで、この実施形態の椅子7に関連した作動を説明する。
【0040】
空気清浄機9を作動させて浄化した空気A1を吹出窓9bから連続的に吐出させると、その清浄な循環空気A1は出口側のダクト78を通過して排出口7aに導かれ、この排出口7aから内部空間ISに逐次排出される。内部空間ISに放出された浄化後の空気A1は、着座者Pの前面側に供給されつつ上昇するが、着座者Pの背面側は背凭れ7に設けた給気口7bからの吸引作用により前面側よりも気圧が若干低くなる傾向がみられ、前面側の空気A1の一部は着座者Pの頭頂や肩或いは脇腹などを回りこんで背面側に案内され、給気口7bから吸引されて空気清浄機9に戻されることになる。すなわち、給気口7bから給気用ダクト723に導入された空気A1は、このダクト723の空気導出孔724を通過して下部の空気流路3Eに導かれ、椅子本体71の入口窓75aに案内される。そして、この空気A1は、入口側のダクト77を通して空気清浄機9の吸込窓9aに導かれて循環することになる。そのため、着座者Pの前面側を通過する際に捕捉した唾液の飛沫等を空気清浄機9により浄化して循環させることができることになり、当該ブースBの内部空間ISを衛生的な環境に維持することが可能となる。
【0041】
一方、底盤1に設けられた換気扇16に給電して換気システムを作動させると、外気A2が換気扇16を通して椅子本体71の箱体75内に導入され、箱体75と枠体76との隙間すなわち箱体75の内外を連通させる出口空間76sを通してブースBの内部空間ISに案内される。そして、内部空間IS内の空気A1、A2は、側壁3の内装用の吸音パネル35の切り欠き35a及び側壁3の上部の空気流路3Fを通して天井5の空気流路5Fに導かれ、天井5の通気口57を介して外部空間OSに排出される。
【0042】
換気システムは、空気清浄機9を通して空気A1を浄化する浄化システムが停止している状態で運転してもよいが、浄化システムと同時に運転してもよい。換気システムを浄化システムと同時に運転する場合でも、飛沫を含んだ一定量の空気A1が空気清浄機9を通して浄化され続けるため、内部空間IS内の環境を良好な状態に維持する作用は発揮される。
【0043】
なお、本実施形態では、装置収容室71s内において、外気供給用の空気流路、換言すれば上述した換気システムを運転させることにより下方の外部空間OSから当該装置収容室71sに導入され、出口空間76sから内部空間ISに導かれる空気A2の流路と、空気循環用の空気流路、換言すれば浄化システムを運転させることにより給気口7bから空気清浄機9に供給され排出口7aから内部空間ISに導かれる空気A1の流路とは、相互に隔離した状態で並設されている。
【0044】
ここで、
図1は本実施形態のブースBの斜視図である。
図2は同ブースBの正面図であり、
図3は同ブースBの正断面図である。
図4は
図2におけるA-A線に沿った断面図である。
図5は同ブースBの天井5及び前壁2を省略した分解斜視図である。
図6は
図4における要部を拡大して示す図であり、
図7は
図6における要部をさらに拡大して示す図である。
図8は
図7におけるX-X線に沿った断面図であり、
図9は
図7におけるY-Y線に沿った断面図である。なお、
図8及び
図9において、椅子7の枠体76は薄く着色してある。
図10は
図7におけるZ矢視図である。
図11は、本実施形態に係る入口側のダクト77、空気清浄器9、出口側のダクト78及び枠体76を示す斜視図である。
図12は、
図3における天井5の空気流路5F付近を拡大して示す図である。なお、以上の説明において、浄化システムを作動させることによりブースB内を循環しつつ空気清浄器9内に導かれる流れの空気には符号A1を付しており、図中では一点鎖線により示している。また、換気システムを作動させることによりブースB下方の外部空間OSから内部空間ISに取り込まれブースB上方の外部空間OSに排出される流れの空気には符号A2を付しており、図中では二点鎖線により示している。
【0045】
このような構成のブースBであれば、次のような作用効果を奏するものである。
【0046】
このブースBは前述したように、外部空間OSから隔離された内部空間ISを形成するものであって、内部空間ISの下側を塞ぐ底盤1と、内部空間ISの周囲を囲む周壁(前壁2、側壁3、背壁4)と、内部空間ISの上方を閉塞する天井5と、内部空間IS内に配置され内部に空気清浄機9を内蔵した椅子7とを備えるとともに、空気清浄機9から吐出される清浄な空気A1を着座者Pの前側に排出するための排出口7aと、その排出された空気A1を着座者Pの背後において吸引し空気清浄機9に戻すための給気口7bとを具備してなるものである。このように空気清浄機9を椅子7内に収容しておけば、内部空間ISを狭くすることなくブースBに空気清浄機能を付加することが可能となる。また、排出口7aと給気口7bを前述のように配置しておけば、着座者Pの前面側から当該着座者の頭頂や両側を回り込んで背中側に流れる空気A1の流れである空気流を生成することができる。そのため、大掛かりなダクトを用いて平面的なエアカーテン等を形成する場合に比べて、コンパクトな設備で飛沫拡散抑制機能を付加することが可能となる。
【0047】
すなわち、排出口7a及び給気口7bの少なくとも一方を椅子7に設けておけば、椅子7からダクトを延出させる必要性を低減させることができる。特に、この実施形態のように排出口7aと給気口7bの両方を椅子7に設けておけば、空気清浄機9を内蔵した椅子7からダクトを延出させる必要性が全くなくなる。よって、この点からも、内部空間ISが狭くなるのを有効に防止することが可能となる。
【0048】
また、椅子7が、座73の下側に空気清浄機9を収めた装置収容室71sを有する椅子本体71と、この椅子本体71上に配された背凭れ72を備えたものにしておけば、装置収容室71sに空気清浄機9を収めることによって、空気清浄機9から発せられる騒音が内部空間ISに漏洩するのを有効に抑制することができる。
【0049】
しかも、背凭れ72側に給気口7bを設けておけば、着座者Pの背面側を前面側に比べて無理なく減圧化することができる。そのため、飛沫を除去するための円滑な空気A1の流れを形成することが容易となる。また、空気清浄機9を収めた装置収容室71sを有する椅子本体71側に排出口7aを設ければ、空気清浄機9から吐出される浄化後の空気A1を最短距離で内部空間ISに放出することができ、ダクトの複雑化を防止してスペースの有効利用を図ることができる。
【0050】
また、この実施形態では、椅子7の椅子本体71及び背凭れ72の背面に添接される板状体をブースBの側壁3に兼ねさせておき、その側壁3の内部を給気口3bから導入される空気A1を空気清浄機9に導くための空気流路3Eとして利用しているので、部品点数を少なくし構造の簡略化を図ることができる。
【0051】
そして、外部空間OSから装置収容室71sに空気A2が導入され排出口7aから内部空間ISに導かれる外気供給用の空気流路と、給気口7bから空気清浄機9に空気A1が供給され前記排出口7aから内部空間ISに導かれる空気循環用の空気流路とが装置収容室71s内に相互に隔離した状態で並設されているので、外気供給用の空気流路と空気循環用の空気流路とを装置収容室71s内で合流させた場合の不具合、すなわち空気清浄機9のファン92が吸い込むのが換気用ファンからの外気のみとなり、外気A2を清浄して天井5から排気するのみとなり、ブースB内で空気A1を循環させる流れを作ることができないという不具合の発生を防ぐことができる。
【0052】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、給気口を椅子の背凭れの下端部に設けているとともに、排出口を椅子本体の下端部に設けているが、給気口及び排出口を椅子とは離れた位置に設けたり、給気口を椅子とは離れた位置に設けるとともに排気口を椅子に設けたり、給気口を椅子に設けるとともに排気口を椅子とは離れた位置に設けるようにしてもよい。給気口の位置の他の例として、着座者の肩付近に対応する部位、すなわち、背凭れの上端部や周壁の内装ボード等が挙げられる。排気口の位置の他の例として、床板等が挙げられる。この場合には、空気清浄機から排出された浄化後の空気を底盤内に設けられた空気流路を介して排気口に導くことが考えられる。加えて、本発明のブースに備えられる椅子は背凭れを有しないものであってもよい。この場合、椅子本体の後端部の上面に吸気口を設けるとよい。なお、背凭れを有しない椅子本体のみからなる椅子の形状は、角柱状、円柱状、切頭角錐状、切頭円錐状等、任意のものを採用してよい。
【0054】
さらに、上述した実施形態では、椅子を周壁の内面に添設させており、その周壁を、給気口から導入される空気を空気清浄機に導くための空気流路として利用しているが、例えば、椅子の座を貫通し給気口と空気清浄機を収めた装置収容室とを連通する通路を設け、この通路を介して給気口から導入される空気を空気清浄機に導くようにしてもよい。
【0055】
また、
図1~
図12を参照しつつ上述した実施形態では椅子の座が固定されているが、
図13~
図16に示す椅子A7のように、座A73を、装置収容室A71sを閉塞する閉止姿勢(C)と、装置収容室A71sを上方に開放する開成姿勢(O)とを選択的に採り得るものをブースの内部空間に配するとなおよい。
【0056】
この椅子A7は上述した実施形態の椅子7と概ね同様の構成を有し、以下に述べるような点で異なる。
【0057】
詳述すると、この椅子A7は、
図13~
図16に示すように、座A73の下側に空気清浄機A9を収めた装置収容室A71sを有する椅子本体A71と、この椅子本体A71上に配された背凭れA72とを有する。また、椅子本体A71及び背凭れA72の背面には板状体A3(この椅子A7を内部に配したブースの側壁)を添設させている。椅子本体A71側には、空気清浄機A9から吐出される清浄な空気を着座者の前側に排出するための排出口A7aが設けられている。背凭れA72側には、排出口A7aから排出された空気を着座者の背後において吸引し空気清浄機に戻すための給気口A7bが設けられている。A93は、空気清浄機A9内部の図示しない電気集塵器にアクセスするためのメンテナンス扉である
椅子本体A71は、
図13~
図16に示すように、内部に装置収容室A71sを形成する上方及び下方に開放された箱体A75と、閉止姿勢(C)において装置収容室A71sを上方から閉塞する座A73と、この箱体A75を位置決め配置するためのベース枠A76とを備えたものである。箱体A75は、上面側に座A73を載置可能であるとともに装置収容室A71sを上方に向けて開放するための開口A75bを有する上板751と、この上板751の前縁から垂下させた前板752と、上板751の後縁から垂下させた図示しない後板と、前板752及び後板の側縁部間を連結する側板754とを備えたものである。その上で、前述したように、座A73は、箱体A75に載置され装置収容室A71sを閉塞する閉止姿勢(C)と、箱体A75から離間し装置収容室A71sを上方に開放する開成姿勢(O)とを選択的に採り得るように構成されている。なお、箱体A75の上板A751と座A73の間には、これらの間の位置決めを行うべく図示しない凹凸係合部が設けられている。
【0058】
背凭れA72は、
図1~
図12を参照しつつ上述した実施形態の背凭れ72と略同様の構成を有する。すなわち、下端面を隙間を介して閉止姿勢にある座A73(C)に対向させて板状体A3の前面に装着された下クッション部A722と、この下クッション部A722の上に位置させて板状体A3の前面に装着された上クッション部A721と具備してなるもので、下クッション部A722の下面に給気用ダクトA723が止着されており、給気用ダクトA723に給気口A7bが設けられている。下クッション部A722は、その下端両角部A726が下方に突出して閉止姿勢にある座A73(C)に当接ないし近接しており、それら両角部A726間に給気用ダクトA723を収納するダクト収納窓A725が設けられている。給気用ダクトA723の前面には給気口A7bが設けられており、その長手方向両端は下クッション部A722の下端部により閉塞されている。
【0059】
空気清浄器A9を運転させた状態では、空気が給気口A7bから給気用ダクトA723内に導かれ、給気用ダクトA723の背面に設けた図示しない空気導出孔、板状体A3内に形成され空気導出孔に連通する空気流路、及び箱体A75の背面に設けられ空気流路に連通する図示しない入口窓を経て装置収容室A71s内に配された空気清浄器A9に導かれ清浄化される。箱体A75及びベース枠A76は、上述した実施形態の椅子7における箱体75及びベース枠76と同様の構成を有しているので、清浄化された空気は箱体A75とベース枠A76との間に設けられた隙間から椅子A7の前方に導かれる。この椅子A7においては、箱体A75とベース枠A76との間に設けられた隙間が排気口A7aとして機能する。
【0060】
ここで、
図13は椅子A7を示す全体斜視図であり、
図14は椅子A7を示す右側面図である。
図15は椅子A7の座A73の着脱の態様を示す分解斜視図である。
図16は椅子A7の座A73の着脱の態様を示す右側面図である。
図13及び
図14では、座A73が閉止姿勢(C)にある状態のみを示している。
図15及び
図16では、座A73が開成姿勢(O)にある状態を実線で示しており、閉止姿勢(C)にある座A73を想像線で示している。
【0061】
このようなものであれば、本発明の主な効果を得ることができる上に、必要に応じて座A73を開成姿勢(O)とし、装置収容室A71s内部の空気清浄機A9等のメンテナンスを行うようにすることができる。
【0062】
そして、上述した実施形態では、外部空間から前記装置収容室に導入され前記排出口から前記内部空間に導かれる外気供給用の空気流路と、前記給気口から前記空気清浄機に供給され前記排出口から前記内部空間に導かれる空気循環用の空気流路とが前記装置収容室内に相互に隔離した状態で並設されているが、外気供給用の空気流路は省略してもよい。また、上述した実施形態のように空気循環用の空気流路と外気供給用の空気流路とを並設する場合には、外気供給用の換気扇と空気循環用のファンを有する空気清浄機とを選択的に運転させるようにしてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0064】
B…ブース
1…底盤
2…周壁(前壁)
3…周壁(側壁)
3E…空気流路
4…周壁(背壁)
5…天井
7、A7…椅子
71、A71…椅子本体
71s、A71s…装置収容室
72、A72…背凭れ
73、A73…座
7a、A7a…排出口
7b、A7b…給気口
9…空気清浄機
IS…内部空間
OS…外部空間
P…着座者
(C)…閉止姿勢
(O)…開成姿勢