(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074394
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】テープ切断装置の調整治具
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230522BHJP
B26D 1/03 20060101ALI20230522BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20230522BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H05K13/02 B
B26D1/03
B26D7/22 A
B26D3/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187342
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰行
【テーマコード(参考)】
3C021
5E353
【Fターム(参考)】
3C021HA08
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH34
5E353HH40
5E353NN12
5E353NN18
5E353PP01
5E353QQ08
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備る切断装置において、ブレードで切断する際の部品供給テープの位置決め精度を高い精度で維持する。
【解決手段】送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレード14と、キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピン48A、48Bとを備え、ブレード14および位置決めピン48A、48Bの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置の調整治具150であって、ブレード14を保持するブレード保持部150aと、ブレード保持部150aに保持されたブレード14の刃先14aに対して刃厚方向に所定の距離をあけて配置され、位置決めピン48A、48Bと係合するピン係合部150b、150cとを有する。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置の調整治具であって、
前記ブレードを保持するブレード保持部と、
前記ブレード保持部に保持された前記ブレードの刃先に対して刃厚方向に所定の距離をあけて配置され、前記位置決めピンと係合するピン係合部と、を有する、テープ切断装置の調整治具。
【請求項2】
前記ブレードが前記ブレード保持部に保持されることが可能な位置にあって且つ前記位置決めピンが前記ピン係合部に係合可能な位置にある状態のときに、前記位置決めピンに送り孔が係合している前記キャリアテープの別の送り孔が、テープ厚さ方向視で、前記ブレードの刃先にオーバーラップするように、前記所定の距離が設定されている、請求項1に記載のテープ切断装置の調整治具。
【請求項3】
前記ピン係合部が、前記位置決めピンが進入する位置決め穴である、請求項1または2に記載のテープ切断装置の調整治具。
【請求項4】
前記ブレード保持部が、前記ブレードの刃長方向に延在する溝である、請求項1から3のいずれか一項に記載のテープ切断装置の調整治具。
【請求項5】
前記位置決めピンが、前記テープ厚さ方向視で、前記ブレードの刃先を挟むようにそれぞれ設けられた第1の位置決めピンと第2の位置決めピンとを含み、
前記ピン係合部が、前記ブレード保持部を挟むようにそれぞれ配置され、前記第1の位置決めピンと係合する第1のピン係合部と前記第2の位置決めピンと係合する第2のピン係合部とを含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載のテープ切断装置の調整治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品供給テープを切断するテープ切断装置に使用される調整治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品を収容するポケット部が形成されているキャリアテープとポケット部を覆うようにキャリアテープに貼り付けられたカバーテープを備える部品供給テープを切断するテープ切断装置が開示されている。テープ切断装置は、キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンと、位置決めされた状態の部品供給テープを切断するブレードとを有する。また、テープフィーダが部品供給テープを取り扱うことができるように、テープ切断装置は、カバーテープの切断端がキャリアテープの切断端の前方に位置するように部品供給テープを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テープフィーダの種類によっては、送り孔が分断されるようにキャリアテープを切断する必要がある。
【0005】
具体的には、テープフィーダは、部品供給テープの送り手段として、キャリアテープの送り孔と係合して回転するスプロケットを有する。スプロケットがテープフィーダの内部の奥に存在する場合、部品供給テープの先端(切断端)をスプロケットに向かって作業者が手作業で送り進める必要がある。このとき、最も先行する送り孔は、分断されている方が、スプロケットの歯に係合しやすい。
【0006】
送り孔を分断するようにキャリアテープを切断するためには、テープ切断装置は、切断する際の部品供給テープの位置決め精度を高い精度で維持し続ける必要がある。
【0007】
そこで、本開示は、送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置において、ブレードで切断する際の部品供給テープの位置決め精度を高い精度で維持するための調整治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置の調整治具であって、
前記ブレードを保持するブレード保持部と、
前記ブレード保持部に保持された前記ブレードの刃先に対して刃厚方向に所定の距離をあけて配置され、前記位置決めピンと係合するピン係合部と、を有する、テープ切断装置の調整治具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置において、ブレードで切断する際の部品供給テープの位置決め精度を高い精度で維持するための調整治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る、部品供給テープが載置された状態のテープ切断装置の斜視図
【
図2】部品供給テープが切断された状態のテープ切断装置の斜視図
【
図3】部品供給テープとその部品供給テープを切断する複数のブレードとを示す斜視図
【
図8】テープ切断装置におけるテープ支持機構の斜視図
【
図9】部品供給テープが固定された状態のテープ支持機構の斜視図
【
図10】テープ保持ユニットとブレード支持ユニットとに分離された状態とテープ支持機構の分解斜視図
【
図12】第2のブレードの刃先の傾きおよび位置を調節するための偏心ピンを示す図
【
図13】テープ支持機構におけるテープ保持ユニットの分解斜視図
【
図14】テープ保持ユニットにおける昇降部材がブレード支持ユニットに支持された状態の斜視図
【
図15】部品供給テープを切断した状態のテープ支持機構の斜視図
【
図16】テープ切断装置におけるテープ押さえ機構の斜視図
【
図17】異なる視点から見た、テープ押さえ機構の斜視図
【
図18A】テープ押さえ機構の動作を示すテープ切断装置の右側面図
【
図19】テープ押さえ機構のテープ押さえ部材の接触面を示す斜視図
【
図21A】テープ保持ユニットのロック機構の動作を示す図
【
図22】テープ切断装置に位置決めされている部品供給テープを示す上面図
【
図25】調整治具が取り付けられた状態のテープ支持機構の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
以下、本開示の一実施の形態に係るテープ切断装置について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1および
図2は、本開示の一実施の形態に係るテープ切断装置の斜視図である。
図1は、部品供給テープ200が載置された状態のテープ切断装置10を示し、
図2は部品供給テープ200が切断された状態のテープ切断装置10を示している。
【0015】
図3は、部品供給テープとその部品供給テープを切断する複数のブレードとを示す斜視図である。また、
図4Aは切断前の部品供給テープの断面図であって、
図4Bは切断後の部品供給テープの断面図である。
【0016】
なお、図面にはX-Y-Z直交座標系が示されている。X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、部品供給テープ200のテープ幅方向、テープ長手方向、およびテープ厚さ方向である。X-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。
【0017】
図3に示すように、部品供給テープ200は、キャリアテープ202と、そのキャリアテープ202に貼り付けられたカバーテープ204とから構成されている。
【0018】
具体的には、キャリアテープ202は、本実施の形態の場合、例えば樹脂材料から作製され、部品(図示せず)をそれぞれ収容するエンボス部202aを備える。複数のエンボス部202aは、テープ長手方向(Y軸方向)に並んでいる。また、キャリアテープ202は、そのテープ長手方向に並び、テープフィーダのスプロケットと係合する複数の送り孔202bを備える。本実施の形態の場合、複数の送り孔202bは、テープ幅方向(X軸方向)の両端それぞれに沿って形成されている。
【0019】
カバーテープ204は、例えば樹脂材料から作製され、複数のエンボス部202aに蓋をするように、キャリアテープ202に貼り付けられている。
【0020】
本実施の形態の場合、
図3,
図4A、および
図4Bに示すように、テープ切断装置10は、キャリアテープ202とカバーテープ204の両方を切断する第1のブレード12と、キャリアテープ202を切断してカバーテープ204は切断しない第2のブレード14とを備える。詳細は後述するが、刃先12a、14aが互いに平行に且つ上方に向いた状態の第1および第2のブレード12、14に向かって部品供給テープ200が降下することにより、第1および第2のブレード12、14によって部品供給テープ200が切断される。その切断端202c、204aが、キャリアテープ202とカバーテープ204の新しい先端となる。カバーテープ204はキャリアテープ202の切断端202cを越えて延在し、その延在部分に切断端204aが形成されている。このような切断により、部品供給テープ200を部品実装装置に向かって搬送するテープフィーダが、カバーテープ204の延在部分を掴んでカバーテープ204をキャリアテープ202から剥離することができる。
【0021】
以下、このような部品供給テープ200の切断を実行するテープ切断装置10について説明する。
【0022】
図5はテープ切断装置の右側面図であって、
図6はテープ切断装置の正面図であって、
図7はテープ切断装置の左側面図である。
【0023】
図1、
図2、
図5~
図7に示すように、テープ切断装置10は、部品供給テープ200を位置決めしつつ固定した状態で支持するテープ支持機構20を有する。
【0024】
図8は、テープ切断装置におけるテープ支持機構の斜視図である。また、
図9は、部品供給テープが固定された状態のテープ支持機構の斜視図である。そして、
図10は、テープ保持ユニットとブレード支持ユニットとに分離された状態のテープ支持機構の分解斜視図である。
【0025】
図8、
図9、および
図10に示すように、テープ支持機構20は、第1および第2のブレード12、14を支持するブレード支持ユニット22と、部品供給テープ200を保持した状態でテープ厚さ方向(Z軸方向)に昇降可能なテープ保持ユニット24とを含んでいる。
【0026】
図11は、ブレード支持ユニットの分解斜視図である。
【0027】
図11に示すように、ブレード支持ユニット22は、ブロック状のブレード支持部材26を有する。ブレード支持部材26は、第1のブレード12と第2のブレード14を、テープ長手方向(Y軸方向)に間隔をあけた平行な状態で、それぞれの刃先12a、14aが上方に向いた状態で、且つ刃先12a、14aの延在方向がテープ幅方向(X軸方向)に対して平行な状態で支持している。本実施の形態の場合、第1のブレード12は、ブレード押さえ部材28を介してブレード支持部材26におけるテープ長手方向の一方の端面に固定されている。また、第2のブレード14は、ブレード押さえ部材30を介して他方の端面に固定されている。なお、ブレード支持部材26は、
図5~
図7に示すように、テープ切断装置10のベースプレート32に固定されている。
【0028】
また、
図11に示すように、ブレード支持ユニット22は、第2のブレード14の刃先14aの傾きおよび位置を調整する刃先位置調節部として、複数の偏心ピン34を備える。
【0029】
図12は、第2のブレードの刃先の傾きおよび位置を調節するための偏心ピンを示す図である。
【0030】
図11および
図12に示すように、偏心ピン34は、ブレード支持部材26に形成された円筒状穴26aに回転可能に支持される回転軸部34aと、第2のブレード14の下端14bに接触して第2のブレード14を支持する円筒状のカム部34bとを備える。回転軸部34aの回転中心線C1に対して、カム部34bの形状中心がオフセットしている。これにより、2つの偏心ピン34をそれぞれの回転中心線C1を中心にして回転させることにより、第2のブレード14の刃先14aの傾きおよび位置(テープ厚さ方向(Z軸方向)の位置)が変化する。その結果、第2のブレード14の刃先14aの傾きおよび位置を調節することができる。
【0031】
また、第2のブレード14は、部品供給テープ200のテープ幅方向(X軸方向)のサイズに合わせて交換される。すなわち、
図12に示すように、刃先14aの延在方向長さL
CEが異なる第2のブレード14に交換可能に、ブレード支持部材26が構成されている。刃先14aの延在方向長さL
CEが異なる第2のブレード14それぞれのテープ幅方向の位置を固定するブレード固定部として、テープ幅方向に移動可能であって第2のブレード14に接触するブレード固定ナット36が、ブレード支持部材26に設けられている。
【0032】
第2のブレード14の刃先14aは、理由は後述するが、
図12に示すように、偏心ピン34により、ブレード支持部材26の上面26bに対して平行になるように、またテープ厚さ方向(Z軸方向)に距離Dをあけて下方に位置するように調節される。距離Dは、例えば、カバーテープ204の厚さの0.9~1.0倍の大きさである。
【0033】
図13は、テープ支持機構におけるテープ保持ユニットの分解斜視図である。また、
図14は、テープ保持ユニットにおける昇降部材がブレード支持ユニットに支持された状態の斜視図である。
【0034】
テープ保持ユニット24は、
図10および
図13に示すように、テープ厚さ方向(Z軸方向)に昇降可能にブレード支持ユニット22に支持される昇降部材40と、テープ幅方向(X軸方向)にスライド可能に昇降部材40に支持される第1のスライド部材42と第2のスライド部材44とを含んでいる。
【0035】
図14に示すように、昇降部材40は、ブレード支持ユニット22のブレード支持部材26に、テープ厚さ方向(Z軸方向)に移動可能に装着されている。本実施の形態の場合、昇降部材40は、テープ厚さ方向視で「コ」字状であって、互いに対向する側壁部40a、40bを備える。この2つの側壁部40a、40bの間にブレード支持部材26が配置される。
【0036】
また、
図13および
図14に示すように、昇降部材40は、2つの側壁部40a、40bそれぞれに設けられたテープ位置決めブロック46を備える。テープ位置決めブロック46それぞれは、
図9に示すように、部品供給テープ200の一部分が載置されるテープ載置面46aを備える。具体的には、テープ幅方向(X軸方向)の一方側(前方側)の端とエンボス部202aとの間の部分がテープ載置面46a上に載置される。
【0037】
また、テープ位置決めブロック46それぞれは、
図9に示すように、テープ載置面46a上に載置された状態の部品供給テープ200のキャリアテープ202の送り孔202bに係合する複数の位置決めピン48を備える。キャリアテープ202がテープ位置決めブロック46それぞれのテープ載置面46a上に載置されつつその複数の送り孔202bが複数の位置決めピン48に係合することにより、部品供給テープ200が、テープ保持ユニット24に対して位置決めされる。なお、理由は後述するが、テープ位置決めブロック46は、着脱可能にテープ保持ユニット24の昇降部材40に設けられている。
【0038】
図13に示すように、第1のスライド部材42は、テープ幅方向(X軸方向)にスライド可能に、昇降部材40に支持されている。また、第1のスライド部材42は、複数のテープストッパ部42aを備える。第1のスライド部材42がスライドすることにより、
図9に示すように、複数のテープストッパ部42aが、テープ位置決めブロック46上に載置された部品供給テープ200の部分の上方の位置(テープ制止位置)に配置される。このテープストッパ部42aにより、キャリアテープ202の送り孔202bが位置決めピン48から抜けることが抑制される。その結果、部品供給テープ200がテープ保持ユニット24に位置決めされた状態で固定される。なお、
図1に示すように、第1のスライド部材42をテープ切断装置10の前方にスライドさせることにより、複数のテープストッパ部42aが位置決めブロック46の上方から退避位置に向かって前方に移動する。その結果、部品供給テープ200をテープ保持ユニット24から取り外すことが可能になる。
【0039】
本実施の形態の場合、
図13に示すように、複数のテープストッパ部42aをテープ制止位置と退避位置とで停止させるために、第1のスライド部材42は、位置決めピン50を備える。位置決めピン50は、テープ厚さ方向(Z軸方向)に延在する回転中心線C2を中心にして揺動可能に第1のスライド部材42に設けられた第1のスイング部材52の一端に設けられている。この位置決めピン50と係合するV字状の切り欠き40c、40dが昇降部材40に形成されている。一方の切り欠き40cは、テープストッパ部42aがテープ制止位置(
図9参照)に位置するときに位置決めピン50と係合する。他方の切り欠き40dは、テープストッパ部42aが退避位置(
図1参照)位置するときに位置決めピン50に係合する。なお、
図13に示すように、位置決めピン50と切り欠き40c、40dとの係合を維持するために、第1のスイング部材52の他端を付勢するスプリング54が第1のスライド部材42に設けられている。
【0040】
図13に示すように、第2のスライド部材44は、テープ幅方向(X軸方向)にスライド可能に、昇降部材40に支持されている。また、第2のスライド部材44は、
図9に示すように、部品供給テープ200の一部分が載置される複数のテープ載置面44aを備える。具体的には、テープ幅方向(X軸方向)の他方側(後方側)の端とエンボス部202aとの間の部分がテープ載置面44a上に載置される。
【0041】
第2のスライド部材44がテープ幅方向(X軸方向)にスライドすることにより、そのテープ載置面44aもテープ幅方向にスライドする。すなわち、テープ幅方向の位置が固定のテープ位置決めブロック46のテープ載置面46aとテープ幅方向の位置が変更可能な第2のスライド部材44のテープ載置面44aとにより、テープ幅方向のサイズが異なる様々な種類の部品供給テープ200を、テープ支持機構20は支持することができる。なお、テープ支持機構20は、エンボス部を備えていない部品供給テープ、すなわちカバーテープが貼り付けられる表面に部品を収納する凹状のポケット部が形成されたキャリアテープを備える部品供給テープも支持可能である。
【0042】
図13に示すように、テープ幅方向(X軸方向)のサイズが異なる部品供給テープ200にそれぞれに対応するために、第2のスライド部材44は、位置決めピン56を備える。位置決めピン56は、テープ厚さ方向(Z軸方向)に延在する回転中心線C3を中心にして揺動可能に第2のスライド部材44に設けられた第2のスイング部材58の一端に設けられている。この位置決めピン56と係合する複数のV字状の切り欠き40eが昇降部材40に形成されている。複数の切り欠き40eそれぞれが、テープ幅方向のサイズが異なる部品供給テープ200に対応する位置に設けられている。テープ幅方向のサイズが異なる部品供給テープ200それぞれは、対応する切り欠き40eが位置決めピン56に係合することにより、テープ位置決めブロック46のテープ載置面46aと第2のスライド部材44のテープ載置面44aとに適切に支持される。なお、
図13に示すように、位置決めピン56と切り欠き40eとの係合を維持するために、第2のスイング部材58の他端を付勢するスプリング60が第2のスライド部材44に設けられている。
【0043】
このようなテープ支持機構20によれば、
図4Bに示すように部品供給テープ200を切断することができる。
【0044】
図15は、部品供給テープを切断した状態のテープ支持機構の斜視図である。なお、
図15に示すテープ支持機構20は、
図2に示すテープ切断装置10の状態に対応する。
【0045】
図15に示すように、部品供給テープ200を支持した状態のテープ保持ユニット24が降下すると、ブレード支持ユニット22に支持されている第1のブレード12が部品供給テープ200に接近し、キャリアテープ202とカバーテープ204の両方をテープ幅方向(X軸方向)に切断する。それと同時に、第2のブレード14がキャリアテープ202のみをテープ幅方向に切断する。
【0046】
本実施の形態の場合、テープ保持ユニット24は、テープ厚さ方向(Z軸方向)に自由に移動可能にブレード支持ユニット22に支持されている。その一方で、テープ保持ユニット24が自由に降下しないように、
図5に示すように、テープ保持ユニット24(その昇降部材40)は、スプリング62によって上方に向かって付勢されている。しがたって、テープ保持ユニット24は、部品供給テープ200を切断するためには、スプリング62の付勢力に逆らって降下する必要がある。
【0047】
テープ切断装置10は、
図1および
図2に示すように、テープ支持機構20のテープ保持ユニット24に固定された部品供給テープ200をスプリング62の付勢力に逆らって押圧するテープ押さえ機構70を有する。
【0048】
図16は、テープ切断装置におけるテープ押さえ機構の斜視図である。また、
図17は、異なる視点から見たテープ押さえ機構の斜視図である。さらに、
図18A~
図18Cは、テープ押さえ機構の動作示すテープ切断装置の右側面図である。さらにまた、
図19は、テープ押さえ機構のテープ押さえ部材の接触面を示す斜視図である。そして、
図20は、
図19に示すA-A線に沿った断面図である。
【0049】
図16に示すように、テープ押さえ機構70は、部品供給テープ200に接触し、その部品供給テープ200を介してテープ支持機構20のテープ保持ユニット24を押し下げるテープ押さえ部材72を含んでいる。
図5~
図7に示すように、このテープ押さえ部材72は、テープ厚さ方向(Z軸方向)にブレード支持部材26に対向する。また、
図18Bおよび
図19に示すように、テープ押さえ部材72は、部品供給テープ200の上面(すなわちカバーテープ204)に接触する接触面72aを備える。
【0050】
図18Aに示す部品供給テープ200がテープ保持ユニット24に固定された状態からテープ押さえ部材72が降下すると、
図18Bに示すように、その接触面72aが部品供給テープ200に接触する。接触面72aが部品供給テープ200に接触した状態を維持しつつテープ押さえ部材72が降下すると、その部品供給テープ200が固定されているテープ保持ユニット24が降下する。本実施の形態の場合、
図2に示すように、テープ保持ユニット24の第2のスライド部材44のテープ載置面44aが部品供給テープ200介してテープ押さえ部材72に押圧されることにより、テープ保持ユニット24が降下する。
図18Cに示すように、テープ押さえ部材72は、部品供給テープ200と接触していない接触面72aの部分が
図11および
図12に示すブレード支持部材26の上面26bに接触するまで降下する。すなわち、テープ押さえ部材72とブレード支持部材26とが互いに最大に接近する。
【0051】
テープ押さえ部材72の接触面72aがブレード支持部材26の上面26bに接触すると、
図15に示すように、その接触面72aに接触している状態の部品供給テープ200の第1のブレード12と第2のブレード14とによる切断が完了する。具体的には、第1のブレード12により、キャリアテープ202とカバーテープ204との両方が切断される。また、第2のブレード14により、キャリアテープ202のみが切断される。すなわち、
図12に示すように、テープ押さえ部材72の接触面72aと接触するブレード支持部材26の上面26bが、第2のブレード14の刃先14aがテープ厚さ方向(Z軸方向)に対して距離D(カバーテープ204の厚さtの0.9~1.0倍)をあけている。そのため、第2のブレード14の刃先14aが接触面72aに接触せず、すなわち刃先14aがカバーテープ204を貫通せず、その結果としてカバーテープ204は、完全には切断されない。
【0052】
なお、
図15および
図18Cに示すように、第1のブレード12の刃先12aは、キャリアテープ202とカバーテープ204の両方と切断し、その刃先12aが部品供給テープ200の上面を通過する。この刃先12aと部品供給テープ200の上面と接触している状態のテープ押さえ部材72の接触面72aとの接触を回避するために、
図19に示すように、接触面72aには、溝72bが形成されている。この溝72bに第1のブレード12の刃先12aが進入することにより、第1のブレード12の刃先12aとテープ押さえ部材72の接触面72aとの接触とが回避される。
【0053】
図17に示すように、テープ押さえ機構70は、テープ押さえ部材72に駆動力を与えてテープ押さえ部材72を降下させる駆動機構74を備える。上述したように、テープ支持機構20のテープ保持ユニット24は、スプリング62によって上方に付勢されている。駆動機構74は、スプリング62の付勢力に逆らってテープ押さえ部材72をテープ保持ユニット24に向かって直動させることができる駆動力をテープ押さえ部材72に与える。なお、ここで言う「直動」とは、直線状の軌跡で移動することを言う。
【0054】
駆動機構74は、ユーザの手動でテープ押さえ部材72の駆動力を発生させるように構成されている。本実施の形態の場合、駆動機構74は、倍力機構の一種であるトグル機構である。
【0055】
トグル機構である駆動機構74は、
図18A~
図18Cに示すように、テープ押さえ部材72に連結された動力伝達部材76と、ユーザによって操作される操作部としてのレバー78とを含んでいる。また、駆動機構74は、ユーザによってレバー78に加えられた力を動力伝達部材76のテープ厚さ方向(Z軸方向)の駆動力に変換する動力変換部として、L型リンク80と直線リンク82とを含んでいる。さらに、駆動機構74は、動力伝達部材76とL型リンク80とを支持するベース部材84を含んでいる。ベース部材84は、ブラケット86を介して、ベースプレート32に固定されている。なお、ユーザの代わりに、外部装置がレバー78に力を加えることも可能である。
【0056】
図18Bに示すように、レバー78は、L型リンク80の一端に設けられている。また、L型リンク80の他端は、テープ長手方向(Y軸方向)に延在する回転中心線C4を中心にして回動可能にベース部材84に支持されている。直線リンク82の一端は、テープ厚さ方向(Z軸方向)に延在する動力伝達部材76の一端に、テープ長手方向に延在する回転中心線C5を中心にして回動可能に連結されている。また、直線リンク82の他端は、L型リンク80の屈曲部に、テープ長手方向に延在する回転中心線C6を中心にして回動可能に連結されている。そして、ベース部材84は、動力伝達部材76をテープ厚さ方向に移動可能に支持している。
【0057】
このような駆動機構74によれば、
図18Bに示すように、レバー78にユーザによって力Finが加わると、動力伝達部材76がテープ厚さ方向(Z軸方向)の直動し、テープ押さえ部材72に駆動力Foutが与えられる。駆動力Foutは、下記の数式1で表される。
【数1】
【0058】
数式1において、L1は力Finが作用するレバー78上の位置と回転中心線C6との間の距離であって、L2は、回転中心線C6と回転中心線C4との間の距離である。
【0059】
このような駆動機構74(すなわちトグル機構)により、ユーザは小さい力で、テープ押さえ部材72を介して、スプリング62の付勢力に逆らってテープ支持機構20のテープ保持ユニット24を降下させることができる。その結果、ユーザは、部品供給テープ200を切断することができる。また、テープ押さえ部材72が直動するので、駆動力Foutがロスなく、第1および第2のブレード12、14による部品供給テープ200の切断に使用される。
【0060】
なお、本実施の形態の場合、駆動機構74に駆動されるテープ押さえ部材72は、
図19に示すように、ガイドロッド88を介して、ブレード支持ユニット22のブレード支持部材26に向かって平行移動する。ガイドロッド88は、テープ押さえ部材72に設けられている。
図11および
図15に示すように、ブレード支持部材26には、ガイドロッド88をガイドするガイド穴26cが設けられている。
【0061】
また、本実施の形態の場合、ある程度テープ押さえ部材72がブレード支持部材26に接近すると、テープ押さえ部材72はブレード支持部材26に対して、テープ幅方向(X軸方向)およびテープ長手方向(Y軸方向)について位置決めされる。具体的には、
図11および
図15に示すように、ブレード支持部材26には、テープ厚さ方向(Z軸方向)に突出する複数の位置決めピン90が設けられている。
図19に示すように、位置決めピン90と係合する複数の位置決め穴72cがテープ押さえ部材72の接触面72aに形成されている。
【0062】
位置決めピン90と位置決め穴72cがスムーズに係合するように、駆動機構74の動力伝達部材76とテープ押さえ部材72は、弾性部材を介して連結されている。
【0063】
【0064】
図20に示すように、動力伝達部材76とテープ押さえ部材72は、介在部材92を介して、連結されている。動力伝達部材76は、介在部材92に直接的に固定されている。その介在部材92とテープ押さえ部材72との間には、複数の皿ばね94が配置されている。それにより、テープ押さえ部材72は、動力伝達部材76に対してわずかながら傾くことができ、その結果として、位置決めピン90が位置決め穴72cに進入しやすくなる。
【0065】
なお、皿ばね94は、動力伝達部材76からテープ押さえ部材72に伝達される駆動力Foutを減衰する役割もする。これにより、テープ押さえ部材72がブレード支持部材26に過剰な力を加えることが抑制される。
【0066】
さらに、本実施の形態の場合、
図17に示すように、テープ押さえ機構70は、ラチェット機構94を備える。
【0067】
図17に示すように、ラチェット機構94は、ブラケット86に設けられてテープ厚さ方向(Z軸方向)に延在するラック96と、テープ押さえ部材72に設けられてラック96と係合するラチェット爪98とから構成されている。ラチェット爪98は、
図19に示すように、テープ幅方向(X軸方向)に延在する回転中心線C7を中心にして回動可能に介在部材92に設けられている。また、ラチェット爪98は、スプリング100に引っ張られて一定の姿勢を維持している。
【0068】
ラチェット機構94は、テープ押さえ部材72が部品供給テープ200に接触してから第1および第2のブレード12、14が部品供給テープ200を切断するまでのテープ押さえ部材72の移動中において、テープ押さえ部材72の反対方向への移動を制限する。具体的には、
図18Bに示すように、テープ押さえ部材72が部品供給テープ200に接触してすぐ後に、ラック96とラチェット爪98と係合する。そして、
図18Cに示すように、接触面72aと上面26bとが接触する直前で、ラック96とラチェット爪98との係合が解除され、テープ押さえ部材72は上方への移動可能になる。すなわち、レバー78を逆方向に移動させることが可能になる。レバー78が逆方向に移動可能になることにより、ユーザは、接触面72aと上面26bとが接触したこと、すなわち部品供給テープ200の切断が完了したことを知ることができる。
【0069】
上述したように、テープ支持機構20のテープ保持ユニット24は、テープ押さえ機構70のテープ押さえ部材72に押されて降下する。それ以外の方法でテープ保持ユニット24が降下しないように、本実施の形態の場合、テープ保持ユニット24のテープ厚さ方向(Z軸方向)の移動を制限するロック機構102を、テープ切断装置10は有する。
【0070】
【0071】
図11および
図21Aに示すように、テープ保持ユニット24のロック機構102は、ブレード支持部材26にテープ長手方向(Y軸方向)に延在する回転中心線C8を中心にして回動可能に設けられたフック部材104を含んでいる。
図21Aに示すように、フック部材104がテープ保持ユニット24の昇降部材40に設けられた突起部40fに係合することにより、ロック機構102はテープ保持ユニット24のテープ厚さ方向(X軸方向)の移動を制限する。フック部材104は、突起部40fと係合するように、スプリング106に引っ張られている。
【0072】
ロック機構102は、テープ保持ユニット24のロックを解除する、すなわちフック部材104と昇降部材40の突起部40fとの係合を解除するためのロック解除部材108を含んでいる。ロック解除部材108は、テープ押さえ部材72に設けられ、ブレード支持部材26に設けられたフック部材104に向かってテープ高さ方向(Z軸方向)に延在している。
【0073】
テープ押さえ部材72がブレード支持部材26に向かって降下すると、
図21Bに示すように、ロック解除部材108の先端が、フック部材104に設けられたローラ110に接触する。その接触により、フック部材104が回動し、フック部材104と昇降部材40の突起部40fとの係合が解除される。係合の解除がテープ押さえ部材72の接触面72aと部品供給テープ200とが少なくとも接触する前に実行されるように、ロック解除部材108のテープ高さ方向(Z軸方向)のサイズが設定されている。これにより、テープ押さえ部材72の接触面72aが部品供給テープ200と接触した直後から、
図21Cに示すように、テープ押さえ部材72は、ブレード支持部材26に接触するまで、テープ保持ユニット24を押し進めることができる。
【0074】
このようなロック機構102によれば、
図8に示すように、第1のブレード12と第2のブレード14を、部品供給テープ200の切断が開始するまで、テープ保持ユニット24の昇降部材40で保護することができる。
【0075】
なお、ロック機構102のフック部材104などの構成要素は、
図1に示すようにカバー部材112によって覆われて保護されている。
【0076】
なお、ロック機構102に加えて、別のロック機構114を、テープ切断装置10は有する。
【0077】
図17に示すように、ロック機構114は、ブラケット86に回動可能に設けられたフック部材116と、テープ押さえ部材72に設けられてフック部材116に係合するポール部材118とを含んでいる。フック部材116は、テープ押さえ部材72が最もブレード支持部材26に接近しているときに、すなわちテープ押さえ部材72の接触面72aがブレード支持部材26の上面26bに接触しているときに、ポール部材118に係合可能である。このようなロック機構114により、テープ切断装置10の保管中や搬送中などに、第1および第2のブレード12、14を、テープ押さえ部材72によって保護することができる。
【0078】
上述したように、また
図4Bに示すように、テープ切断装置10により、部品供給テープ200は、カバーテープ204の切断端204aがキャリアテープ202の切断端202cの前方に位置するように切断される。また、本実施の形態の場合、キャリアテープ202の1つの送り孔202bが分断されるように、キャリアテープ202は第2のブレード14によって切断される。
【0079】
図22は、テープ切断装置に位置決めされている部品供給テープを示す上面図である。
【0080】
図22に示すように、本実施の形態の場合、部品供給テープ200は、4本の位置決めピン48(48A~48D)がキャリアテープ202の送り孔202bに係合する。これらの位置決めピン48A~48Dは、テープ厚さ方向(Z軸方向)視で、第2のブレード14の刃先14aを挟むように、テープ保持ユニット24(テープ位置決めブロック46)に設けられている。
【0081】
キャリアテープ202の1つの送り孔202bが第2のブレード14の刃先14aによって分断するためには、その1つの送り孔202bを第2のブレード14の刃先14aの上方に配置する必要がある。そのため、テープ厚さ方向(Z軸方向)視で、1つの送り孔202bが第2のブレード14の刃先14aにオーバーラップするように、2つの位置決めピン48A、48Bが、第2のブレード14の刃先14aに対して位置決めされる。そのために、位置決めピンの位置調整用の調整治具が使用される。
【0082】
図23は、テープ切断装置の調整治具の上方斜視図である。また、
図24は、テープ切断装置の調整治具の下方斜視図である。さらに、
図25は、調整治具が取り付けられた状態のテープ支持機構の斜視図である。そして、
図26は、
図25に示すB-B線に沿った断面図である。
【0083】
図23および
図24に示すように、調整治具150は、第2のブレード14を保持するブレード保持部150aと、テープ切断装置10の位置決めピン48A~48Dと係合するピン係合部150b~150eとを有する。
【0084】
本実施の形態の場合、ブレード保持部150aは、第2のブレード14の刃厚方向(すなわちテープ長手方向(Y軸方向))に保持し、刃長方向(すなわちテープ幅方向(X軸方向))に延在する溝である。本実施の形態の場合、
図26に示すように、ブレード保持部150aは、第2のブレード14を刃厚方向に支持するブレード支持部材26の一部分とともに、第2のブレード14を刃厚方向に保持する。なお、ブレード保持部150aは、溝に限らない。例えば、ブレード保持部150aは、第2のブレード14を刃厚方向に挟持することができるクリップであってもよい。
【0085】
本実施の形態の場合、ピン係合部150b~150eは、位置決めピン48A~48Dが進入する穴である。ピン係合部150b~150eは、テープ位置決めブロック46のテープ載置面46aに着座可能な着座面150fに設けられている。なお、ピン係合部150b~150eは、穴に限らない。例えば、ピン係合部150b~150eは、位置決めピン48A~48Dの外周面とテープ長手方向(Y軸方向)に接触する凸部であってもよい。
【0086】
また、
図26に示すように、ピン係合部150b、150cは、ブレード保持部150aに保持された第2のブレード14の刃先14aに対して刃厚方向(すなわちテープ長手方向(Y軸方向))に所定の距離S1、S2をあけて配置されている。この所定の距離S1、S2は、
図26に示すように、位置決めピン48A、48Bに送り孔202bが係合するキャリアテープ202の別の送り孔202bが第2のブレード14の刃先14aにオーバーラップすることが可能な、刃先14aと位置決めピン40A、40Bとの間の距離に相当する。言いかえると、第2のブレード14が調整治具150のブレード保持部150aに保持されることが可能な位置にあって且つ位置決めピン48A、48Bがピン係合部150b、150cに係合可能な位置にあるとき、その位置決めピン48A、48Bに送り孔202bが係合しているキャリアテープ202の別の送り孔202bが、テープ厚さ方向(Z軸方向)視で、第2のブレード14の刃先14aにオーバーラップする。
【0087】
図25に示すように、ブレード保持部150aが第2のブレード14を保持する前、位置決めピン48A、48B、すなわちテープ位置決めブロック46が自由に移動可能な状態にされる。本実施の形態の場合、
図22に示す位置決めブロック46を昇降部材40に固定するための固定ボルト120が外される。位置決めブロック46が自由に移動可能な状態で、第2のブレード14がブレード保持部150aに保持され、位置決めピン48A~48Dが調整治具150のピン係合部150b~150eに挿入される。
【0088】
なお、位置決めピン48C、48Dと係合するピン係合部150d、150eは、刃厚方向(すなわちテープ長手方向(Y軸方向)に長い長穴であって、位置決めピン48C、48Dの刃長方向(すなわちテープ幅方向(X軸方向))の位置のみを規制し、刃厚方向の位置は規制しない。これにより、4本の位置決めピン48A~48Dそれぞれが対応するピン係合部150b~150eに係合しやすくなる。
【0089】
このような調整治具150を用いて位置決めピン48A、48Bの第2のブレード14の刃先14aに対する位置を定期的に調整すれば、第2のブレード14の刃先14aは、キャリアテープ202の1つの送り孔202bを分断することができる。
【0090】
その結果、パーツフィーダのスプロケットの歯がキャリアテープ202の送り孔に係合しやすくなる。具体的には、スプロケットがテープフィーダの内部の奥に存在する場合、部品供給テープの先端(切断端)をスプロケットに向かって作業者が手作業で送り進める必要がある。このとき、最も先行する送り孔202bは、分断されている方が、スプロケットの歯に係合しやすい。分断された送り孔202bがスプロケットの歯に係合すると、それに続く送り孔202bがスプロケットの歯に係合しやすくなる。
【0091】
以上のような本実施の形態によれば、送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置において、ブレードで切断する際の部品供給テープの位置決め精度を高い精度で維持するための調整治具を提供することができる。
【0092】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0093】
例えば、上述の実施の形態の場合、
図22に示すように、調整治具150によって位置調整された位置決めピン48A、48Bに送り孔202bが係合するキャリアテープ202の別の送り孔202bが、第2のブレード14の刃先14aにオーバーラップする。これにより、その別の送り孔202bが第2のブレード14によって分断される。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、第2のブレード14の刃先14aが送り孔202bを分断しないように、位置決めピン48A、48Bの位置を調整することができる調整治具であってもよい。
【0094】
すなわち、本開示の実施の形態に係るテープ切断装置の調整治具は、広義には、送り孔を備えるキャリアテープを含む部品供給テープを切断するブレードと、前記キャリアテープの送り孔に係合する位置決めピンとを備え、前記ブレードおよび前記位置決めピンの少なくとも一方の位置が調整可能なテープ切断装置の調整治具であって、前記ブレードを保持するブレード保持部と、前記ブレード保持部に保持された前記ブレードの刃先に対して刃厚方向に所定の距離をあけて配置され、前記位置決めピンと係合するピン係合部と、を有する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示は、部品供給テープを切断するテープ切断装置であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
14 ブレード(第2のブレード)
14a 刃先
48A 位置決めピン
48B 位置決めピン
150 調整治具
150a ブレード保持部
150b ピン係合部
150c ピン係合部