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特開2023-74410降水帯の表示装置、表示方法、およびプログラム
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  • 特開-降水帯の表示装置、表示方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074410
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】降水帯の表示装置、表示方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20230522BHJP
   G01S 13/95 20060101ALI20230522BHJP
   G01S 7/12 20060101ALI20230522BHJP
   G01S 7/20 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01W1/10 T
G01S13/95
G01S7/12
G01S7/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187365
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】末澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉見 和紘
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AD10
5J070BA01
5J070BE03
5J070BG06
5J070BG11
(57)【要約】
【課題】 災害リスクを、ユーザが迅速に、容易に、かつ正確に理解できるような形式で表示すること。
【解決手段】 実施形態によれば、表示装置は、降水帯を含む範囲を示す表示を、降水帯の移動方向を示す表記とともに、地図上に配置した表示画像を作成する表示画像作成部と、表示画像を、ディスプレイから表示させる表示制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す表記とともに、地図上に配置した表示画像を作成する表示画像作成部と、
前記表示画像を、ディスプレイから表示させる表示制御部とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記表示画像作成部は、前記表記を、前記表示の一部に配置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表記は、矢印である、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示画像作成部はさらに、前記表示画像に、前記降水帯の諸元を配置する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示画像作成部は、前記諸元を、前記降水帯を含む範囲を示す表示上に配置しない、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記諸元は、前記降水帯の雲頂高度、前記移動方向を示す文字情報、前記降水帯による地上降水強度のうちの少なくとも何れかを含む、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示画像は、2Dビュー表示画像または3Dビュー表示画像である、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す表記とともに、地図上に配置した表示画像を作成し、
前記表示画像を、ディスプレイから表示させる、表示方法。
【請求項9】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す表記とともに、地図上に配置した表示画像を作成する機能と、
前記表示画像を、ディスプレイから表示させる機能とをプロセッサに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、線状降水帯のような降水帯の表示装置、表示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパラボラ型の気象レーダで得られるデータは、2次元の平面的なデータの集合であり、鉛直方向に疎なものである。そのため、降水をもたらす雲(降水雲)やその集合体(降水システム)の3次元的な特徴を高い確度で解析することは困難であった。
【0003】
また、3次元的に降水雲や降水システムを解析するために必要なレーダデータを得るためには、例えば5分~10分の時間を要し、時々刻々と変化する降水雲や降水システムの特徴を連続的に捉えることも困難であった。
【0004】
現在では、フェーズドアレイ気象レーダによって、凡そ30秒周期で、その時点における風向、風速分布を3次元方向に連続的に解析することができる。したがって、この風向データおよび風速データと、降雨強度のデータなどとを組み合わせることで、線状降水帯の特徴を、より高頻度かつ高確度に判定できるようになった。
【0005】
ところで、河川の氾濫や大規模な斜面崩壊によって甚大な被害をもたらす豪雨災害は、しばしば線状の形態を持つ降水雲の集合体(以下、「線状降水帯」と称する)が、長時間(たとえば3時間以上)停滞することで引き起こされる。
【0006】
特許文献1には、線状降水帯が停滞するか否かを高確度かつ高頻度で解析し、線状降水帯による災害リスクを、災害発生前に判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2018/168165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したように、フェーズドアレイ気象レーダによれば、風向や風速分布に関する3次元データを連続的に取得できる。このため、フェーズドアレイ気象レーダによって得られたデータを用いれば、従来よりも、精度も高く、かつ情報量も多い災害リスクを導出することができる。
【0009】
このように情報量の多い災害リスクを通知する場合、表示方法が適切でないと、通知を受け取ったユーザは、災害リスクの内容を正しく把握できず、通知が意味をなさなくなるという恐れもある。
【0010】
したがって、情報量が多い場合であっても、災害リスクを、ユーザが迅速に、容易に、かつ正確に理解できるように、グラフィック的に工夫して表示する技術が望まれている。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、災害リスクを、ユーザが迅速に、容易に、かつ正確に理解できるような形式で表示することが可能な表示装置、表示方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態の表示装置は、降水帯を含む範囲を示す表示を、降水帯の移動方向を示す表記とともに、地図上に配置した表示画像を作成する表示画像作成部と、表示画像を、ディスプレイから表示させる表示制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、フェーズドアレイ気象レーダからのレーダデータを解析するレーダデータ解析装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、降水帯タイプ判別装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、降水帯タイプの判別基準および特徴の一例を示す表である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る表示方法が適用された表示装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
図5図5は、表示画像作成プログラムによって作成される3Dビュー表示画像の一例を示す図である。
図6図6は、表示画像作成プログラムによって作成される2Dビュー表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
本発明の実施形態の表示方法が適用された表示装置は、例えばフェーズドアレイ気象レーダによって取得されたデータに基づいて導出された、情報量が多い災害リスクを、ユーザが迅速に、容易に、かつ正確に理解できる工夫されたグラフィック形式で、スマートフォンのようなユーザ端末から表示させることが可能な装置である。
【0016】
このような表示装置の説明をする前にまず、気象データの取得について説明する。
【0017】
図1は、フェーズドアレイ気象レーダからのレーダデータを解析するレーダデータ解析装置1の構成例を示すブロック図である。
【0018】
レーダデータ解析装置1の外部には、フェーズドアレイ気象レーダ7と、レーダ信号処理部8とが配置されている。
【0019】
フェーズドアレイ気象レーダ7は、凡そ30秒周期で、その時点におけるレーダデータを取得し、取得したレーダデータを、レーダ信号処理部8へ出力する。
【0020】
レーダ信号処理部8は、フェーズドアレイ気象レーダ7から出力されたレーダデータを取得部8aにおいて取得すると、取得したレーダレーダを、レーダデータ解析装置1へ出力する。
【0021】
レーダデータ解析装置1は、通信インターフェース(通信I/F)2、RAWデータ処理部3、RAWデータ格納部4、レーダデータ解析演算部5、および解析データ格納部6を備えている。
【0022】
通信I/F2は、レーダ信号処理部8に接続されており、レーダ信号処理部8から出力されたレーダデータを受信し、受信したレーダデータを、RAWデータ処理部3へ出力する。
【0023】
RAWデータ処理部3は、通信I/F2から出力されたレーダデータから、3次元気象データ(以下、「RAWデータ」と称する)を生成し、生成したRAWデータを、RAWデータ格納部4に格納する。
【0024】
レーダデータ解析演算部5は、RAWデータ格納部4に格納されたRAWデータに対してレーダデータ解析を行う。例えば、レーダデータ解析演算部5は、レーダデータ解析のために、フェーズドアレイ気象レーダから得られるレーダ反射強度データおよびドップラー速度データを用いて、各メッシュにおける風向データおよび風速データを算出する。この風向データおよび風速データの算出には、VAD法、VVP法、Gal-Chen法、Dual-Doppler法などを用いてよい。また、すべてのメッシュで風向データおよび風速データが得られない場合は、平均値や代表値を用いてもよい。
【0025】
レーダデータ解析演算部5は、このようなレーダ解析による解析結果として、降水強度、風向値、および風速値などの解析データを算出し、算出した解析データを、解析データ格納部6に格納する。
【0026】
このようにして、RAWデータ格納部4に1周期分のRAWデータが格納されると、レーダデータ解析演算部5が起動し、レーダデータ解析を実行し、レーダ解析の結果得られた解析データを、解析データ格納部6に格納する。
【0027】
解析データ格納部6に格納された解析データは、図2に示す降水帯タイプ判別装置50による災害リスク判定のために使用される。
【0028】
図2は、降水帯タイプ判別装置の構成例を示すブロック図である。
【0029】
降水帯タイプ判別装置50は、レーダデータ解析装置1の解析データ格納部6に格納された解析データを用いて、災害リスクを導出する装置であって、降水帯タイプ判別部51と災害リスク導出部52とを備えている。
【0030】
降水帯タイプ判別部51は、解析データ格納部6から解析データを取得し、取得した解析データを用いて、メッシュ毎に降水帯タイプを判別し、判別結果であるメッシュ毎の降水帯タイプを、災害リスク導出部52へ出力する。
【0031】
このとき、降水帯タイプ判別部51は、外部から取得可能な、例えば、数値気象予測モデルの出力結果、地上気象観測データ、リモートセンシング気象測器データ等のいずれか1つ、あるいは任意の組み合わせを、解析データとともに考慮することによって、メッシュ毎に降水帯タイプを判別してもよい。
【0032】
降水帯タイプとしては、限定される訳ではないが、例えば、(1)バックビルディング型線状降水帯(以降、「B型」と称する)と、(2)バックアンドサイドビルディング型線状降水帯(以降、「BS型」と称する)と、(3)スコールライン型線状降水帯(以降、「S型」と称する)との3タイプを含むことができる。
【0033】
図3は、これら降水帯タイプの判別基準および特徴の一例を示す表である。
【0034】
例えば、降水帯タイプは、図3の(i)に例示するように、下層風と中層風との風向の関係に基づいて、下層風と中層風との風向が「同方向」であれば、(1)B型、「直交方向」であれば(2)BS型、「逆方向」であれば(3)S型と判別することができる。
【0035】
なお、下層風とは、例えば高度1.5kmにおける風、中層風とは、例えば高度4.5kmにおける風とすることができる。
【0036】
そして、例えば、下層風と中層風との風向の差が、±45°以内である場合を「同方向」、±45°~135°である場合を「直交方向」、±135°~180°である場合を「逆方向」とすることができる。
【0037】
降水帯の下層風は、図3の(ii)に例示するように、例えば、(1)B型の場合は、中層風の風向と一致し、(2)BS型の場合は、中層風の風向きとほぼ一致し、(3)S型の場合は、中層風の風向に直交するという具合に、降水帯タイプに応じた走行挙動を有している。
【0038】
さらには、図3の(iii)に例示するように、例えば、(1)B型の場合は「停滞」し、(2)BS型の場合は「停滞」し、(3)S型の場合は「移動」するという具合に、降水帯タイプは、それぞれの特徴を有している。
【0039】
なお、降水帯タイプの判別は、図3の(i)に例示するような、下層風と中層風との風向の関係に基づく場合に限定されず、例えば、下層風と中層風とのベクトル差の大きさを高度差で除した値(鉛直シアー)や、下層風の風速値や、中層風の風速値のうちの何れか1つ、あるいは、任意の組合せに基づいて行っても良い。
【0040】
災害リスク導出部52は、降水帯タイプ判別部51から出力されたメッシュ毎の降水帯タイプの判別結果に応じて、災害リスクを導出する。
【0041】
災害リスク導出部52は、災害リスクを導出する際に、外部から取得可能な、例えば、数値気象予測モデルの出力結果、地上気象観測データ、リモートセンシング気象測器データ、土地利用データ、地形データ、河川流域データ、地質データ等のうちのいずれか1つ、あるいは任意の組み合わせを、降水帯タイプ判別部51からの判別結果に加えて考慮してもよい。
【0042】
一例として、災害リスク導出部52は、降水帯タイプごとの危険度と、地上降水強度との積に基づいて、災害リスクを導出することができる。このとき想定される危険度としては、降水帯が停滞する特徴を有し、同じ地点に長時間降水をもたらすB型およびBS型に対しては、高い危険度を設定し、中層風の風向によって移動する特徴を有し、同じ地点に断続的に降水をもたらすことはないS型に対しては、低い危険度を設定することができる。
【0043】
また、災害リスク導出部52は、災害リスクを導出する際に、降水帯タイプごとの危険度と、地上降水強度との積に加えて、例えば、数値気象予測モデルの出力データ、地上気象観測データ、リモートセンシング気象測器データ等の気象情報や、土地利用データ、地質データ、地形データ、河川流域データ等の地表情報をも考慮してもよい。
【0044】
災害リスク導出部52は、災害リスクを導出する際さらに、考慮するデータや情報を数値化し、加減乗除算によって数値的に得られた結果に基づいてもよいし、確率予測モデルや学習型モデルを用いてもよい。また、加減乗除算の際に、例えば、降水帯の進行方向や、停滞領域のような重要な因子に対して、重み付けを適用するなどを行ってもよい。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係る表示方法が適用された表示装置について説明する。
【0046】
図4は、本発明の実施形態に係る表示方法が適用された表示装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【0047】
表示装置10の電子回路は、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
【0048】
メモリ20は、表示画像作成プログラム21、および表示制御プログラム22を記憶している。これらプログラム21~22は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれて記憶されたものであってもよい。これらプログラム21~22は、書き換えできないようになっている。
【0049】
メモリ20には、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア29が確保されている。
【0050】
CPU12は、コンピュータであって、メモリ20に記憶されている各プログラム21~22に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、以下に説明するように動作する。
【0051】
通信部15は、通信ネットワーク40を介して、表示装置10が、降水帯タイプ判別装置50や、SNS等の公衆サーバと通信するための通信インターフェースとして機能する。
【0052】
記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなる。
【0053】
表示画像作成プログラム21は、降水帯タイプ判別装置50の災害リスク導出部52によって導出された災害リスクを、降水帯タイプ判別装置50から、通信ネットワーク40を介して、通信部15によって取得し、取得した災害リスクに基づいて、災害リスクを表示するための、2Dビュー表示画像または3Dビュー表示画像を作成する。
【0054】
図5は、表示画像作成プログラム21によって作成される3Dビュー表示画像の一例を示す図である。
【0055】
図6は、表示画像作成プログラム21によって作成される2Dビュー表示画像の一例を示す図である。
【0056】
表示画像作成プログラム21は、降水帯タイプ判別装置50から取得した災害リスクに基づいて、図5に例示するような3Dビュー表示画像aや、図6に例示するような2Dビュー表示画像Aを作成することができる。
【0057】
例えば、表示画像作成プログラム21は、図5に例示するような3Dビュー表示画像aを作成する場合、降水帯b(図5の例では、2つの降水帯b1、b2が示されている)の範囲を楕円等により示す3Dビュー表示を、3Dビュー地図m上に配置する。
【0058】
表示画像作成プログラム21はさらに、降水帯bの表示の一部に、降水帯bに関連する表記cを配置する。表記cは、例えば降水帯bの移動方向を示す矢印とすることができ、図5は、降水帯b1、b2の雲頂部分に、矢印である表記c1、c2を配置した例を示している。
【0059】
表示画像作成プログラム21はさらに、降水帯bの持続時間に応じて、この表記cの太さを変えて表示することができる。これによって、例えば、持続時間の長い降水帯bについては、太い矢印で移動方向を示し、持続時間の短い降水帯bについては、細い矢印で移動方向を示すことによって、1つの表記cに、移動方向と持続時間との2つの情報を含めることもできる。
【0060】
表示画像作成プログラム21はさらに、表示画像aの中に、降水帯bの諸元dを配置することもできる。諸元dは、例えば、降水帯の雲頂高度d1、移動方向を示す文字情報d2、および、降水帯による地上降水強度d3を含むことができるが、これらに限定されず、解析データから得られる他の任意の情報を含むことができる。
【0061】
なお、表示画像作成プログラム21は、表示画像aの中に諸元dを配置する場合、降水帯bの上を覆わないように配置する。これによって、表示画像aから得られる情報量が減らないようにしている。
【0062】
一方、表示画像作成プログラム21は、図6に例示するような2Dビュー表示画像Aを作成する場合、降水帯b(図4の例では、3つの降水帯b3、b4、b5が示されている)の範囲を、2Dビュー地図M上に配置する。
【0063】
表示画像作成プログラム21はさらに、降水帯bに関連する表記cを、対応する降水帯bの近傍に配置する。表記cは、例えば降水帯bの移動方向を示す矢印とすることができ、図6は、降水帯b3の移動方向における先頭近傍に、移動方向を示す矢印である表記c3を、降水帯b4の移動方向における先頭近傍に、移動方向を示す矢印である表記c4を、降水帯b5の移動方向における先頭近傍に、移動方向を示す矢印である表記c5をそれぞれ配置した例を示している。
【0064】
表示画像作成プログラム21さらには、降水帯b内の各メッシュを、風速範囲に応じて色分け表示することもできる。さらに、風速範囲と色との関係を示す凡例eを、地図Mの外側に配置することもできる。
【0065】
表示画像作成プログラム21は、このように作成した表示画像を、記憶装置30に記憶させることができる。
【0066】
表示制御プログラム22はまた、図5図6に例示するような表示画像を、通信部15から、通信ネットワーク40を介して、例えば一般向けのアプリケーションソフトや、SNS等により配信する。これによって、同時に多くの人が、図5図6のような表示画像を見て、災害リスクを、迅速に、容易に、かつ正確に把握することが可能となる。
【0067】
なお、表示制御プログラム22は、記憶装置30に記憶されている表示画像を取り出して、表示部17から表示することができる。これによって、オペレータが、過去の表示画像と現在の表示画像を比較することも可能となる。
【0068】
上述したように、本発明の実施形態の表示方法が適用された表示装置によれば、例えば線状降水帯のような降水帯に関する多くの情報量を含む災害リスクの内容を、工夫したグラフィック表示で、SNS等によって多くのユーザに同時に伝えることができる。
【0069】
これによって、甚大な災害をもたらし得る豪雨のリスクに関する情報を、多くのユーザが同時に、迅速に、容易に、かつ正確に把握できるので、被害の拡大防止に大いに寄与することができる。
【0070】
このように、本発明の実施形態の表示方法が適用された表示装置は、一般市民への注意喚起、避難喚起の一助となることが期待される。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1・・レーダデータ解析装置、2・・通信インターフェース、3・・RAWデータ処理部、4・・RAWデータ格納部、5・・レーダデータ解析演算部、6・・解析データ格納部、7・・フェーズドアレイ気象レーダ、8・・レーダ信号処理部、8a・・取得部、10・・表示装置、11・・バス、12・・CPU、13・・外部記録媒体、14・・記録媒体読取部、15・・通信部、17・・表示部、20・・メモリ、21・・表示画像作成プログラム、22・・表示制御プログラム、29・・書込可能データエリア、30・・記憶装置、40・・通信ネットワーク、50・・降水帯タイプ判別装置、51・・降水帯タイプ判別部、52・・災害リスク導出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す矢印とともに、地図上に配置した3Dビュー表示画像を作成する表示画像作成部と、
前記3Dビュー表示画像を、ディスプレイから出力させる表示制御部とを備え、
前記表示画像作成部はさらに、前記矢印を、前記表示の一部に配置し、
前記表示画像作成部はさらに、前記3Dビュー表示画像に、前記降水帯の諸元を配置する、表示装置。
【請求項2】
前記表示画像作成部は、前記諸元を、前記降水帯を含む範囲を示す表示上に配置しない、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記諸元は、前記降水帯の雲頂高度、前記移動方向を示す文字情報、前記降水帯による地上降水強度のうちの少なくとも何れかを含む、請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す矢印とともに、地図上に配置した3Dビュー表示画像を作成し、前記矢印は、前記表示の一部に配置され、
前記3Dビュー表示画像に、前記降水帯の諸元を配置し、
前記3Dビュー表示画像を、ディスプレイから出力させる、表示方法。
【請求項5】
降水帯を含む範囲を示す表示を、前記降水帯の移動方向を示す矢印とともに、地図上に配置した3Dビュー表示画像を作成する機能と、
前記矢印を、前記表示の一部に配置する機能と、
前記3Dビュー表示画像に、前記降水帯の諸元を配置する機能と、
前記3Dビュー表示画像を、ディスプレイから出力させる機能とをプロセッサに実現させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
実施形態の表示装置は、降水帯を含む範囲を示す表示を、降水帯の移動方向を示す矢印とともに、地図上に配置した3Dビュー表示画像を作成する表示画像作成部と、3Dビュー表示画像を、ディスプレイから出力させる表示制御部とを備え、表示画像作成部はさらに、矢印を、表示の一部に配置し、表示画像作成部はさらに、3Dビュー表示画像に、降水帯の諸元を配置する