(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007444
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電力ケーブルの絶縁システムの修復のための方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/14 20060101AFI20230111BHJP
H02G 1/16 20060101ALI20230111BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20230111BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G1/16
H05B6/36 E
H05B6/36 Z
H01R4/70 K
H01R4/70 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099444
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】21182074
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グスタヴソン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アントニシュキ, ヨルン
【テーマコード(参考)】
3K059
5G355
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AD04
3K059AD05
3K059AD34
3K059CD76
3K059CD79
5G355AA03
5G355BA02
5G355BA12
5G355CA15
5G355CA17
5G355CA35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誘導加熱システムを使用して電力ケーブルの絶縁システムを修復する方法を提供する。
【解決手段】電力ケーブルの絶縁システムを修復する方法であって、誘導加熱システムが、電力ケーブルを受けるように構成された第1の高周波HFコイルと、第1のHFコイルを冷却するように構成された水冷システムと、第1のHFコイルに電力供給するように構成された電力供給システムと、を備え、a)導体の周りに配置構成された修復用絶縁システム層を有する電力ケーブルの周りに加圧加熱デバイスを配置することと、b)第1のHFコイルを開けて加圧加熱デバイスに隣接して電力ケーブルの周りに配置することと、c)第1のHFコイルを閉じることと、d)加圧加熱デバイスの内部における修復用絶縁システム層の外側加熱及び導体内に電流を誘導する電力供給システムからの電流を第1のHFコイルに送ることにより、修復用絶縁システム層を加熱する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル(16)の絶縁システムを修復するために前記電力ケーブル(16)の導体を加熱するための誘導加熱システム(1)を使用して、前記電力ケーブル(16)の導体の周りの絶縁システムを修復する方法であって、前記誘導加熱システム(1)が、前記電力ケーブル(16)を受けるように構成された第1の高周波HFコイル(5)、前記第1のHFコイル(5)を冷却するように構成された水冷システム(9)、および、前記第1のHFコイル(5)に電力供給するように構成された電力供給システム(3)、を備え、前記第1のHFコイル(5)が、開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成され、前記方法が、
a)前記導体の周りに配置構成された修復用絶縁システム層(23)を有する前記電力ケーブルの周りに加圧加熱デバイス(21)を配置することと、
b)前記第1のHFコイル(5)を開けて前記加圧加熱デバイス(21)に隣接して前記電力ケーブル(16)の周りに配置することと、
c)前記第1のHFコイル(5)を閉じることと、
d)前記加圧加熱デバイス(21)の内部における前記修復用絶縁システム層(23)の外側加熱により、および、前記導体内に電流を誘導する前記電力供給システム(3)からの電流を前記第1のHFコイル(5)に送ることにより実現される前記修復用絶縁システム層の内側加熱により、前記修復用絶縁システム層(23)を加熱することと
を含み、
前記方法が、複数の修復用絶縁システム層の各々においてステップa)~d)を実施することを含む、
方法。
【請求項2】
e)結合作業を実施した後で前記第1のHFコイル(5)を開けて、前記電力ケーブルから前記第1のHFコイルを取り外すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)で、前記外側加熱および前記内側加熱が同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のHFコイル(5)が、第1の端部(5c)を有する第1のコイル部分(5a)と、第1の端部(5e)を有する第2のコイル部分(5b)とを備え、前記第1のコイル部分(5a)の前記第1の端部(5c)が前記第2のコイル部分(5b)の前記第1の端部(5e)に接続されるように構成され、前記第1のコイル部分(5a)の前記第1の端部(5c)が前記第2のコイル部分(5b)の前記第1の端部(5e)から機械的に脱着可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコイル部分(5a)が、前記第1のコイル部分(5a)および前記第2のコイル部分(5b)の前記第1の端部(5c、5e)が互いから脱着されるときに、前記第2のコイル部分(5b)から離すように前記第1のコイル部分(5a)を回転させるのを可能にするための枢動接続装置(11a)を有する第2の端部(5d)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のHFコイル(5)が、前記第1のコイル部分(5a)の前記第1の端部(5c)を前記第2のコイル部分(5b)の前記第1の端部(5e)にロックするように構成されたラッチ(5g)を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のコイル部分(5a)および前記第2のコイル部分(5b)が中空であり、前記水冷システム(9)が、前記第1のコイル部分(5a)および前記第2のコイル部分(5b)を通して水を流すための、前記第1のコイル部分(5a)に接続された第1の給水管(9a)および前記第2のコイル部分(5b)に接続された第2の給水管(9b)を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のコイル部分(5a)が第2の端部(5d)を有し、前記第2のコイル部分(5b)が第2の端部(5f)を有し、前記水冷システム(9)が、前記第1の給水管(9a)を前記第2の給水管(9b)に接続する第1の中間給水管(9e)を備え、前記第1の中間給水管(9e)が前記第1のコイル部分(5a)の前記第2の端部(5d)と前記第2のコイル部分(5b)の前記第2の端部(5f)との間に延在し、前記第1のコイル部分(5a)の中空内部を第2のコイル部分(5b)の中空内部に接続する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記誘導加熱システム(1)が前記電力ケーブル(16)を受けるように構成された第2のHFコイル(7)を備え、前記電力供給システム(3)が前記第2のHFコイル(7)に電力供給するように構成され、前記第2のHFコイル(7)が開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記水冷システム(3)が前記第2のHFコイル(7)を冷却するように構成され、前記第2のHFコイル(7)が、第3のコイル部分および第4のコイル部分を有し、前記第3のコイル部分および前記第4のコイル部分の各々が、個別の第1の端部を有し、前記第3のコイル部分の前記第1の端部が、前記第4のコイル部分の前記第1の端部に接続されるように構成され、前記第3のコイル部分の前記第1の端部が、前記第4のコイル部分の前記第1の端部から機械的に脱着可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のHFコイル(7)が、前記第3のコイル部分の前記第1の端部を前記第4のコイル部分の前記第1の端部にロックするように構成されたラッチを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第3のコイル部分および第4のコイル部分が中空であり、前記水冷システムが、前記第3のコイル部分および前記第4のコイル部分を通して水を流すための、前記第3のコイル部分に接続された第3の給水管(9c)および前記第4のコイル部分に接続された第4の給水管(9d)を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のHFコイル(7)を開けて前記加圧加熱デバイス(21)に隣接して前記電力ケーブル(16)の周りに配置することであって、前記第1のHFコイル(5)が導体結合部(17a)の第1の側に配置され、前記第2のHFコイル(7)が前記導体結合部(17a)の第2の側に配置される、前記第2のHFコイル(7)を開けて配置することと、前記第2のHFコイル(7)を閉じることと、を含み、ステップd)が、前記電力供給システム(3)からの電流を前記第2のHFコイル(7)に送ることを伴う、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電力ケーブルの結合および当該電力ケーブルの結合のための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルの製造中、2つのケーブル長さ区間(cable length)を結合することが必要となる可能性がある。これは例えば、工場で生産され得る最大限に連続するケーブル長さ区間に関しての制限の結果である可能性があるかまたは意図されないケーブルの切断を原因とする可能性がある。
【0003】
2つのケーブル長さ区間が工場で接合されるとき、ケーブル端部のところにある導体まですべてのケーブル層が取り外される。次いで、導体端部が例えば溶接により接合され、それにより導体結合部が形成される。導体結合部の周りの絶縁システムがレイヤーバイレイヤーにより再構築される。これは、通常、テープをレイヤーバイレイヤーで巻くことによって行われる。2つのケーブル端部の絶縁システムが結合絶縁システム(joint insulation system)に接続される。この再構築プロセスが開始される前、ケーブル端部の絶縁システムが鉛筆形状にされ(pencil)得、つまり、導体結合部の方に向かって円錐の先細形状となるように成形され得る。取り扱い中にケーブルがダメージを受けて、修理することが必要であるような事例でも同じ手法で、絶縁システムが修復される。
【0004】
結合絶縁システムのテープ層またはダメージを受けたケーブルの修復された絶縁システムを相互連結する(cross-link)ためのデバイスが使用され得る。結合絶縁システムがこの事例ではデバイスの内部に配置され、圧力下で加熱され、その結果、テープ層内の材料が一斉に融解し、空隙を形成することなく相互連結状態となる。
【発明の概要】
【0005】
この種類のデバイスを使用することにおける1つの欠点は、導体がヒートシンクとして働くことである。したがって、絶縁層がデバイスによって加熱されるときの加熱が一様ではなくなる。
【0006】
本開示の一般的な目的は、従来技術の問題を解決するかまたは少なくとも軽減する、誘導加熱システムを使用して電力ケーブルの絶縁システムを修復する方法を提供することである。
【0007】
したがって、本開示に第1の態様によると、電力ケーブルの絶縁システムを修復するために電力ケーブルの導体を加熱するための誘導加熱システムを使用して、電力ケーブルの導体の周りの絶縁システムを修復する方法が提供され、誘導加熱システムが、電力ケーブルを受けるように構成された第1の高周波HFコイルと、第1のHFコイルを冷却するように構成された水冷システムと、第1のHFコイルに電力供給するように構成された電力供給システムと、を備え、第1のHFコイルが、開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成され、本方法が、a)導体の周りに配置構成された修復用絶縁システム層(restoration insulation system layer)を有する電力ケーブルの周りに加圧加熱デバイスを配置することと、b)第1のHFコイルを開けて加圧加熱デバイスに隣接して電力ケーブルの周りに配置することと、c)第1のHFコイルを閉じることと、d)加圧加熱デバイスの内部における修復用絶縁システム層の外側加熱(outer heating)により、および、導体内に電流を誘導する電力供給システムからの電流を第1のHFコイルに送ることにより実現される修復用絶縁システム層の内側加熱(inner heating)により、修復用絶縁システム層を加熱することと、を含み、本方法が、複数の修復用絶縁システム層の各々においてステップa)~d)を実施することを含む。
【0008】
誘導加熱システムは、第1のHFコイルの内部に電力ケーブルが配置されているときに導体の中への電流を誘導し、電力供給システムが交流電流を生成する。したがって、導体が誘導電流によって加熱される。この加熱が、導体の周りに配置構成された未硬化(uncured)の修復用絶縁システム層の融解および相互接続、または、導体の周りに配置構成された熱可塑性の修復用絶縁システム層の融解を促進する。したがって、導体がヒートシンクとして働くことがなく、下部または内側から、修復用絶縁システム層を加熱する。
【0009】
加圧加熱デバイスは、外側から、修復用絶縁システム層を加熱することができる。加圧加熱デバイスは、デバイスに一体化されるか、あるいは、デバイスの内部に配置構成されるようにまたはデバイスの内部に嵌め込まれるように構成された、ヒーターを備えることができる。したがって、修復用絶縁システム層が加圧加熱デバイスにより外側から、および、誘導加熱システムにより内側から、加熱され得る。したがって、加熱/相互連結が径方向においてより一様となり得る。
【0010】
「相互連結」および「硬化(cure)」という用語は本明細書で置換可能に使用される。したがって、「相互連結された」および「硬化された」という用語も置換可能である。
【0011】
「分割可能」は、第1のHFコイルが2つの部品または3つ以上の部分(例えば、少なくとも3つの部分または少なくとも4つの部分)へと分解されるように構成される、ことを意味する。したがって、第1のHFコイルが電力ケーブルの周りに組み立てられ得、複数の部分へと分解され得、それにより、電力ケーブルから第1のHFコイルを取り外すことが可能となる。これらの部分は、この事例では、例えばこれらの部分を一体の保持するねじまたはボルトを取り外すことにより、互いから完全に分解されるように構成され得る。
【0012】
一実施形態が、e)結合作業を実施した後で第1のHFコイルを開けて、電力ケーブルから第1のHFコイルを取り外すことを含む。
【0013】
一実施形態によると、ステップd)で、外側加熱および内側加熱が同時に実施される。
【0014】
一実施形態によると、第1のHFコイルが、第1の端部を有する第1のコイル部分と、第1の端部を有する第2のコイル部分とを備え、第1のコイル部分の第1の端部が第2のコイル部分の第1の端部に接続されるように構成され、第1のコイル部分の第1の端部が第2のコイル部分の第1の端部から機械的に脱着可能である。
【0015】
一実施形態によると、第1のコイル部分が、第1のコイル部分および第2のコイル部分の第1の端部が互いから脱着されるときに、第2のコイル部分から離すように第1のコイル部分を回転させるのを可能にするための枢動接続装置を有する第2の端部を有する。
【0016】
一実施形態によると、第1のHFコイルが、第1のコイル部分の第1の端部を第2のコイル部分の第1の端部にロックするように構成されたラッチを備える。
【0017】
一実施形態によると、第1のコイル部分および第2のコイル部分が中空であり、水冷システムが、第1のコイル部分および第2のコイル部分を通して水を流すための、第1のコイル部分に接続された第1の給水管および第2のコイル部分に接続された第2の給水管を備える。
【0018】
一実施形態によると、第1のコイル部分が第2の端部を有し、第2のコイル部分が第2の端部を有し、水冷システムが、第1の給水管を第2の給水管に接続する第1の中間給水管を備え、第1の中間給水管が第1のコイル部分の第2の端部と第2のコイル部分の第2の端部との間に延在し、第1のコイル部分の中空内部を第2のコイル部分の中空内部に接続する。
【0019】
一実施形態によると、誘導加熱システムが電力ケーブルを受けるように構成された第2のHFコイルを備え、電力供給システムが第2のHFコイルに電力供給するように構成され、第2のHFコイルが開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成される。
【0020】
一実施形態によると、水冷システムが第2のHFコイルを冷却するように構成され、第2のHFコイルが、第3のコイル部分および第4のコイル部分を有し、第3のコイル部分および第4のコイル部分の各々が、個別の第1の端部を有し、第3のコイル部分の第1の端部が、第4のコイル部分の第1の端部に接続されるように構成され、第3のコイル部分の第1の端部が、第4のコイル部分の第1の端部から機械的に脱着可能である。
【0021】
一実施形態によると、第2のHFコイルが、第3のコイル部分の第1の端部を第4のコイル部分の第1の端部にロックするように構成されたラッチを備える。
【0022】
一実施形態によると、第3のコイル部分および第4のコイル部分が中空であり、水冷システムが、第3のコイル部分および第4のコイル部分を通して水を流すための、第3のコイル部分に接続された第3の給水管および第4のコイル部分に接続された第4の給水管を備える。
【0023】
一実施形態が、第2のHFコイルを開けて加圧加熱デバイスに隣接して電力ケーブルの周りに配置することであって、第1のHFコイルが導体結合部の第1の側に配置され、第2のHFコイルが導体結合部の第2の側に配置される、第2のHFコイルを開けて配置することと、第2のHFコイルを閉じることと、を含み、ステップd)が、電力供給システムからの電流を第2のHFコイルに送ることを伴う。
【0024】
本開示の第2の態様によると、電力ケーブルの絶縁システムを修復するための、電力ケーブルの導体を加熱するための誘導加熱システムが提供され、誘導加熱システムが、電力ケーブルを受けるように構成された第1の高周波HFコイルと、第1のHFコイルを冷却するように構成された水冷システムと、第1のHFコイルに電力供給するように構成された電力供給システムと、を備え、第1のHFコイルが、開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成される。
【0025】
一実施形態によると、第1のHFコイルが、第1の端部を有する第1のコイル部分と、第1の端部を有する第2のコイル部分とを備え、第1のコイル部分の第1の端部が第2のコイル部分の第1の端部に接続されるように構成され、第1のコイル部分の第1の端部が第2のコイル部分の第1の端部から機械的に脱着可能である。それにより、第1のHFコイルが、開けられ得るようになるか、または、分解され得るようになるか、あるいは、電力ケーブルの周りに組み立てられ得るようになる。
【0026】
第1のコイル部分が第1のコイルセクションであってよい。第2のコイル部分が第2のコイルセクションであってよい。
【0027】
第1のコイル部分および第2のコイル部分が、第1のHFコイルの第1のループを形成することができる。したがって、第1のHFコイルが、第1のコイル部分および第2のコイル部分によって形成され得る。別法として、第1のHFコイルが、互いから脱着され得る3つ以上のコイル部分を備えてもよい。
【0028】
第1のHFコイルが、第2のコイル部分の第1の端部から第1のコイル部分の第1の端部を脱着することにより開けられるように構成される。
【0029】
第1のHFコイルが、第1のコイル部分の第1の端部を第2のコイル部分の第1の端部に接続することにより、閉じられ得る。
【0030】
第1のHFコイルが、開けられているとき、硬化または加熱前に電力ケーブルの周りに配置され得る。次いで、第1のHFコイルが電力ケーブルの周りで閉じられ得、それにより、第1のHFコイル内を電流が流れるのを可能にする。最後に、第1のHFコイルが、硬化後、単純な手法で開けられて電力ケーブルから取り外され得る。
【0031】
一実施形態によると、第1のコイル部分が、第1のコイル部分および第2のコイル部分の第1の端部が互いから脱着されるときに、第2のコイル部分から離すように第1のコイル部分を回転させるのを可能にするための枢動接続装置を有する第2の端部を有する。
【0032】
第2のコイル部分の第2の端部が、第1のコイル部分および第2のコイル部分の第1の端部が互いから脱着されるときに、第1のコイル部分から離すように第2のコイル部分を回転させるのを可能にするための枢動接続装置を有することができる。
【0033】
一実施形態によると、第1のHFコイルが、第1のコイル部分の第1の端部を第2のコイル部分の第1の端部にロックするように構成されたラッチを備える。したがって、第1のHFコイルが、第1のHFコイルの使用時に閉じられた状態を維持するようにロックされ得る。
【0034】
一実施形態によると、第1のコイル部分および第2のコイル部分が中空であり、水冷システムが、第1のコイル部分および第2のコイル部分を通して水を流すための、第1のコイル部分に接続された第1の給水管および第2のコイル部分に接続された第2の給水管を備える。
【0035】
したがって、冷却水が、効率的な冷却のために、第1のHFコイルの内側表面に直接に接触することができる。
【0036】
別法として、水冷システムが、第1のHFコイルおよび第2のHFコイルを冷却するための、第1のHFコイルおよび第2のHFコイルの外部表面上に配置構成されるように構成された冷却管要素を備えることができる。
【0037】
水冷システムが、第1のコイル部分および第2のコイル部分を橋絡する、第1のコイル部分の第2の端部および第2のコイル部分の第2の端部に接続された第1の中間給水管を備えることができる。
【0038】
別法として、第1のコイル部分および第2のコイル部分が別個の水流を有することもできる。この事例では、第1の水流が第1のコイル部分を通過し、別個の第2の水流が第2のコイル部分を通過する。したがって、冷却がより効率的となり得る。その理由は、両方のコイル部分が、等しい温度または同等の温度の新しい冷水を受け取ることになるからである。
【0039】
一実施形態が、電力ケーブルを受けるように構成された第2のHFコイルを備え、電力供給システムが第2のHFコイルに電力供給するように構成され、第2のHFコイルが、開放可能となるようにまたは少なくとも2つの部分へと分割可能となるように構成される。
【0040】
電力供給システムが1つまたは複数の電力供給装置を備えることができる。一実施例によると、単一の電力供給装置が、第1のHFコイルおよび第2のHFコイルの両方に電力供給するように構成され得る。別の実施例によると、第1のHFコイルが第1の電力供給装置によって電力供給され、第2のHFコイルが第2の電力供給装置によって電力供給される。
【0041】
一実施形態によると、水冷システムが第2のHFコイルを冷却するように構成され、第2のHFコイルが第3のコイル部分および第4のコイル部分を有し、第3のコイル部分および第4のコイル部分の各々が個別の第1の端部を有し、第3のコイル部分の第1の端部が、第4のコイル部分の第1の端部に接続されるように構成され、第3のコイル部分の第1の端部が、第4のコイル部分の第1の端部から機械的に脱着可能である。それにより、第2のHFコイルが、開けられ得るようになるか、または、分解され得るようになるか、あるいは、電力ケーブルの周りに組み立てられ得るようになる。
【0042】
第3のコイル部分が第3のコイルセクションであってよい。第4のコイル部分が第4のコイルセクションであってよい。
【0043】
したがって、第1のHFコイルおよび第2のHFコイルが導体結合部のそれぞれの側に配置構成され得、それにより、より一様な加熱および硬化を達成する。
【0044】
第2のHFコイルが、第3のコイル部分の第1の端部を第4のコイル部分の第1の端部から脱着することによって開けられるように構成される。
【0045】
第2のHFコイルが、第3のコイル部分の第1の端部を第4のコイル部分の第1の端部に接続することによって閉じられ得るように構成される。
【0046】
一実施形態によると、第3のコイル部分の第2の端部が、第3のコイル部分および第4のコイル部分の第1の端部が互いから脱着されるときに、第4のコイル部分から離すように第3のコイル部分を回転させるのを可能にするための枢動接続装置を有する。
【0047】
第4のコイル部分の第2の端部が、第3のコイル部分および第4のコイル部分の第1の端部が互いから脱着されるときに、第3のコイル部分から離すように第4のコイル部分を回転させるのを可能にするための枢動接続装置を有することができる。
【0048】
一実施形態によると、第2のHFコイルが、第3のコイル部分の第1の端部を第4のコイル部分の第1の端部にロックするように構成されたラッチを備える。
【0049】
一実施形態によると、第3のコイル部分および第4のコイル部分が中空であり、水冷システムが、第3のコイル部分および第4のコイル部分を通して水を流すための、第3のコイル部分に接続された第3の給水管および第4のコイル部分に接続された第4の給水管を備える。
【0050】
水冷システムが、第3のコイル部分および第4のコイル部分を橋絡する、第3のコイル部分の第2の端部および第4のコイル部分の第2の端部に接続された第2の中間給水管を備えることができる。
【0051】
別法として、第3のコイル部分および第4のコイル部分が別個の水流を有することもできる。この事例では、第3の水流が第3のコイル部分を通過し、別個の第4の水流が第4のコイル部分を通過する。
【0052】
一実施形態によると、電力供給システムが、キロヘルツの範囲内の周波数を有する交流電流を生成ように構成される。
【0053】
本開示の第3の態様によると、第2の態様の誘導加熱システムを使用して、電力ケーブルの導体の周りの絶縁システムを修復する方法が提供され、本方法が、a)導体の周りに配置構成された修復用絶縁システム層を有する電力ケーブルの周りに加圧加熱デバイスを配置することと、b)第1のHFコイルを開けて加圧加熱デバイスに隣接して電力ケーブルの周りに配置することと、c)第1のHFコイルを閉じることと、d)加圧加熱デバイスの内部における修復用絶縁システム層の外側加熱により、および、導体内に電流を誘導する電力供給システムからの電流を第1のHFコイルに送ることにより実現される修復用絶縁システム層の内側加熱により、修復用絶縁システム層を加熱することと、を含む。
【0054】
それにより、外側加熱および内側加熱の両方によって実現される、修復用絶縁システム層の加熱の達成可能な効果がより一様になる。それにより、硬化もより一様になり得る。
【0055】
第1のHFコイルが加圧加熱デバイスの一方の側に配置構成される。通常、第1のHFコイルが、導体結合部から1~2m(例えば、導体結合部から0.8~1m)など、導体結合部から最大2~2.5mのところに配置構成される。
【0056】
一実施形態が、e)ステップd)の後で第1のHFコイルを開けて、電力ケーブルから第1のHFコイルを取り外すことを含む。
【0057】
一実施形態が、第2のHFコイルを開けて加圧加熱デバイスに隣接して電力ケーブルの周りに配置することであって、第1のHFコイルおよび第2のHFコイルが加圧加熱デバイスのそれぞれの側に配置構成される、第2のHFコイルを開けて配置することを含み、ステップd)が、電力供給システムからの電流を第2のHFコイルに送ることを伴う。
【0058】
通常、第2のHFコイルが、導体結合部から1~2m(例えば、導体結合部から0.8~1m)など、導体結合部から最大2~2.5mのところに配置構成される。
【0059】
導体が導体結合部の両側から加熱され、未硬化の絶縁システム層が導体結合部から両方向に軸方向に延在することを理由として、軸方向におけるより一様な加熱が達成され得る。
【0060】
一実施形態が、複数の修復用絶縁システム層の各々においてステップa)~d)を実施することを含む。
【0061】
通常、導体結合部にわたって、または、ダメージを受けたケーブルの絶縁システムの修復の事例においては通常は導体結合部を用いずに導体の1セクションにわたって、導体に適用される第1の修復用絶縁システム層が、内側半導体層となる。ダメージを受けたケーブルの絶縁システムの修復の事例では、絶縁システムの修復の開始前の結合中と同様に導体まで絶縁システムが剥ぎ取られる。内側半導体層がポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリマーおよびカーボンブラックなどの導電性粒子を含む。内側半導体層が導体の上に巻き付けられるテープで作られ得、その結果、導体が、結合されている各々の2つのケーブル長さ区間の内側半導体層と重なるようになるか、または、ダメージを受けた電力ケーブルの修復の事例では剥ぎ取られた状態の絶縁システムの両側において内側半導体層と重なるようになる。テープが架橋剤を含むことができる。次いで、ステップa)~d)が実施される。
【0062】
次いで、第1の絶縁システム層が加熱されて冷やされた後、加圧加熱デバイスの開放後に第2の修復用絶縁システム層が内側半導体層の上に適用される。第2の修復用絶縁システム層は、接合されている各々の2つのケーブル長さ区間の絶縁層と重なるように適用されるかまたはダメージを受けた電力ケーブルの修復の事例では剥ぎ取られた状態の絶縁システムの両側において絶縁層と重なるように適用される絶縁層である。絶縁層がポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリマーを含む。絶縁層が、通常、テーピングによって適用される。テープが架橋剤を含むことができる。次いで、ステップa)~d)が実施される。
【0063】
最後に、第2の絶縁システム層が加熱されて冷やされた後、加圧加熱デバイスの開放後に第3の修復用絶縁システム層が絶縁層の上に適用される。第3の修復用絶縁システム層が外側半導体層である。外側半導体層がポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリマーおよびカーボンブラックなどの導電性粒子を含む。外側半導体層が絶縁層の上に巻き付けられるテープで作られ得、その結果、絶縁層が、結合されている各々の2つのケーブル長さ区間の外側半導体層と重なるようになるか、または、ダメージを受けた電力ケーブルの修復の事例では剥ぎ取られた状態の絶縁システムの両側において外側半導体層と重なるようになる。次いで、ステップa)~d)が実施される。このようにして、電源ケーブルの絶縁システムが再構築される。
【0064】
テーピングの代わりに、修復用絶縁システム層が例えば射出成形によって形成されてもよい。
【0065】
一実施形態によると、ステップd)で、外側加熱および内側加熱が同時に実施される。したがって、加熱/硬化が径方向においてより一様となり得る。
【0066】
概して、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書において特に明記しない限り、当技術分野での通常の意味に従って解釈されるものである。a/an/theを付した要素、装置、構成要素、手段などのすべての言及は、本明細書において特に明記しない限り、これらの要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を非限定的に言及するものとして解釈されるものである。
【0067】
次に、添付図面を参照して本発明の概念の特定の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】誘導加熱システムの実施例を示す概略図である。
【
図3】加圧加熱デバイス内に配置構成された電力ケーブル結合部を備える電力ケーブルの長手方向の一部を示す概略図である。
【
図4】電力ケーブルの絶縁システムを修復する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
次に、例示の実施形態を示す添付図面を参照して、以下で本発明の概念をより完全に説明する。しかし、本発明の概念は多くの多様な形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示を徹底的かつ完全なものとするように、および、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供されるものである。本記述の全体を通して同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0070】
図1は、誘導加熱システム1の実施例を描く。誘導加熱システム1が、電力ケーブルの絶縁システムを修復するときに電力ケーブルの導体を加熱するように適合される。
【0071】
誘導加熱システム1が電力供給システム3を備える。電力供給システム3が、キロヘルツの範囲内の周波数を有する交流電流を生成ように構成される。電力供給システム3が、例えば、1~500kHzまたは5~300kHzの範囲内の周波数を有する交流電流を生成ように構成され得る。
【0072】
誘導加熱システム1が第1のHFコイル5を備える。
【0073】
電力供給システム3が第1のHFコイル5に接続され、第1のHFコイル5に電力供給するように構成される。電力供給システム3が、第1のHFコイル5に交流電流を送るように構成される。
【0074】
第1のHFコイル5が開放可能である。第1のHFコイル5が、第1のHFコイル5の内部に電力ケーブルを配置するのを可能にするように開けられるように構成される。
【0075】
誘導加熱デバイス1が第2のHFコイル7を備える。
【0076】
電力供給システム3が第2のHFコイル7に接続され、第2のHFコイル7に電力供給するように構成される。電力供給システム3が、第2のHFコイル7に交流電流を送るように構成される。
【0077】
第2のHFコイル7が開放可能である。第2のHFコイル7が、第2のHFコイル7の内部に電力ケーブルを配置するのを可能にするために開けられるように構成される。
【0078】
本実施例の誘導加熱システム1が2つのHFコイル5、7を備えるが、いくつか実施例では、誘導加熱システムが1つのHFコイルのみを備えてもよいことが考えられる。
【0079】
誘導加熱システム1が、第1のHFコイル5を冷却するように構成された水冷システム9を備える。水冷システム9が、第2のHFコイル7を冷却するように構成される。
【0080】
水冷システム9が、第1のHFコイル5および第2のHFコイルを冷却するように構成された単一の冷却システムを備えることができる。別法として、水冷システム9が、第1のHFコイル5を冷却するように構成された第1の副冷却システムと、第2のHFコイル7を冷却するように構成された別個の第2の副冷却システムとを備えることができる。
【0081】
第1のHFコイル5が中空である。水冷システム9が、中空の第1のHFコイル5に接続されるように構成された第1の給水管9aおよび第2の給水管9bを備える。水冷システム9が、第1の給水管9aおよび第2の給水管9bにより第1のHFコイル5の内部に水を流すように構成される。第1の給水管9aが入口管であってよく、第2の給水管9bが出口管であってよい。
【0082】
第2のHFコイル7が中空である。水冷システム9が、中空の第2のHFコイル7に接続されるように構成された第3の給水管9cおよび第4の給水管9dを備える。水冷システム9が、第3の給水管9cおよび第4の給水管9dにより第2のHFコイル7の内部に水を流すように構成される。第3の給水管9cが入口管であってよく、第4の給水管9dが出口管であってよい。
【0083】
図2は、第1のHFコイル5の拡大側面図を示す。第2のHFコイル7が、説明される特徴に関しては、第1のHFコイル5と同じ概略の構造を有する。
【0084】
第1のHFコイル5が第1のコイル部分5aおよび第2のコイル部分5bを有する。本実施例では、第1のコイル部分5aが第1のHFコイル5の一方の半体を形成し、第2のコイル部分5bが第1のHFコイル5のもう一方の半体を形成する。
【0085】
第1のコイル部分5aが第1の端部5cおよび第2の端部5dを有する。第2のコイル部分5bが第1の端部5eおよび第2の端部5fを有する。
【0086】
第1のコイル部分5aが第1の端部5cと第2の端部5dとの間で中空であってよい。第1の端部5cおよび第2の端部5dのところの端面が閉じられていてよい。
【0087】
第2のコイル部分5bが第1の端部5eと第2の端部5fとの間で中空であってよい。第1の端部5eおよび第2の端部5fのところの端面が閉じられていてよい。
【0088】
第1のコイル部分5aの第1の端部5cが、第2のコイル部分5bの第1の端部5eに接続されるように構成される。第1のコイル部分5aの第1の端部5cが、第2のコイル部分5bの第1の端部5eから脱着可能である。したがって、第1のコイル部分5aの第1の端部5cが、第2のコイル部分5bの第1の端部5eに接続されたり第2のコイル部分5bの第1の端部5eから脱着されたりされ得る。したがって、第1のHFコイル5が、第2のコイル部分5bの第1の端部5eから第1のコイル部分5aの第1の端部5cを脱着することにより、開けられ得る。
【0089】
誘導加熱システム1が、電力供給システム3に接続された剛体の第1の電気伝導体13aを備えることができる。第1のコイル部分5aが第1の電気伝導体13aに枢動可能に接続され得る。第1のコイル部分5aの第2の端部5dが、第1の電気伝導体13aとの枢動接続装置11aを有することができる。
【0090】
誘導加熱システム1が、電力供給システム3に接続された剛体の第2の電気伝導体13bを備えることができる。第2のコイル部分5bが第2の電気伝導体13bに枢動可能に接続され得る。第2のコイル部分5bの第2の端部5fが、第2の電気伝導体13bとの枢動接続装置11bを有することができる。
【0091】
別法として、第1のコイル部分のみが枢動するように構成されてもよい。
【0092】
第1の電気伝導体が、別法として、第1または第2のコイル部分の任意のポイントに枢動可能にまたは剛体的に接続され得る。第2の電気伝導体が、別法として、第1または第2のコイル部分の任意のポイントに枢動可能にまたは剛体的に接続され得る。
【0093】
第1のコイル部分5aの第2の端部5dが、第1の電気伝導体13aを介して電力供給システム3の一方の端子に接続される。第2のコイル部分5bの第2の端部5fが、第2の電気伝導体13bを介して電力供給システム3の別の端子に接続される。したがって、交流電流の各半周期において、電流が、そのときに対応するコイル部分5a、5bに沿って一方の端子から第2の端部5d、5fの一方まで流れ、機械的に接続された第1の端部5c、5eを通過し、もう一方のコイル部分およびその第2の端部5d、5fを介して電力供給システムに戻る。
【0094】
第1のHFコイル5がラッチまたはロック部材5gを備える。ラッチ5gが、第1のコイル部分5aの第1の端部5cを第2のコイル部分5bの第1の端部5eにロックするように構成される。ラッチ5gが機械式のラッチであり、2つの第1の端部5cおよび5eを互いにロックした状態で維持する任意の種類であってよい。ラッチ5gが、第1の端部5cおよび5eを互いにロックするロック位置と、第1のコイル部分5aおよび第2のコイル部分5bをロック解除するロック解除位置と、の間で操作され得、それにより、第1のHFコイル5を開けるために第2のコイル部分5bに対しての第1のコイル部分5aの移動を可能にする。この移動が、枢動接続装置11aおよび11bによって実現される回転運動であってよい。
【0095】
第1のHFコイルの開放可能な構成の代わりに、別法として、第1のHFコイルが2つ以上の部分へと分割可能であってもよい。
【0096】
第1のコイル部分5aが中空である。第1の給水管9aが第1のコイル部分5aの中空内部に接続される。第1の給水管9aが第1の端部5cのところで第1のコイル部分5aに接続される。本実施例では、第1の給水管9aが入口管である。第1の給水管9aが、管接続具により、第1のコイル部分5aに接続され得る。
【0097】
第2のコイル部分5bが中空である。第2の給水管9bが第2のコイル部分5bの中空内部に接続される。第2の給水管9bが第1の端部5eのところで第2のコイル部分5bに接続される。本実施例では、第2の給水管9bが出口管である。第2の給水管9bが、管接続具により、第2のコイル部分5bに接続され得る。
【0098】
水冷システム9が、第1の給水管9aを第2の給水管9bに接続する第1の中間給水管9eを備える。第1の中間給水管9eが第1のコイル部分5aの第2の端部5dと第2のコイル部分5bの第2の端部5fとの間に延在し、第1のコイル部分5aの中空内部を第2のコイル部分5bの中空内部に接続する。第1の中間給水管9eが可撓性ホースなどの可撓性管であってよい。
【0099】
実施例によると、冷却中、水が第1の給水管9aを介して第1のコイル部分5aの中へ流れる。次いで、水が第1のコイル部分5aに沿って流れ、第1の中間給水管9eを介してその第2の端部5dのところで第1のコイル部分5aから外へ流れる。次いで、水が第1の中間給水管9eからのその第2の端部5fのところで第2のコイル部分5bの中へ流れ、第2のコイル部分5bに沿って流れる。次いで、水が、第2の給水管9bを介して、その第1の端部5eのところで第2のコイル部分5bから外に出る。
【0100】
一変形形態によると、第1のコイル部分5aおよび第2のコイル部分5bが別個の水流によって冷却されてもよい。この事例では、第1の水流が、例えば第1のコイル部分5aの第1の端部のところで、中に入り、第1のコイル部分5aの第2の端部のところで、外に出る。第2の水流が、例えば第2のコイル部分5bの第1の端部のところで、中に入り、第2のコイル部分5bの第2の端部のところで、外に出る。水流は、
図2に示される実施例のようには直列接続されない。
【0101】
別の変形形態によると、水流の方向が反対であってよい。この場合、第1の給水管および第2の給水管がそれぞれの第2の端部に接続され、第1の中間給水管が2つの第1の端部に接続され得る。あるいは、別法として、2つの別個の水流が提供されてもよい。
【0102】
別の変形形態によると、第1の給水管が第1のHFコイルの任意のポイントに沿って接続され得、第2の給水管が第2のHFコイルの任意のポイントに沿って接続され得る。さらに、構成によっては、2つ以上の中間給水管が、第1のHFコイルから第2のHFコイルの間の水流を接続するのに使用され得る。
【0103】
次に、
図3および4を参照して、誘導加熱システム1を使用して電力ケーブルの絶縁システムを修復する方法を説明する。
【0104】
下記の実施例では、修復は結合の文脈におけるものである。しかし、本方法は、ダメージを受けた電力ケーブルの絶縁システムを修復する事例でも同じステップを伴う。さらに、本実施例では、絶縁システムが加熱によって硬化されるが、本方法はポリプロピレンなどの熱可塑性材料を使用する場合も正常に機能する。
【0105】
図3は、結合されるプロセスにある2つのケーブル長さ区間15aおよび15bを備える電力ケーブル16を概略的に示す。
図3に示されるように、2つのケーブル長さ区間15aおよび15bの導体17aおよび17bが結合されており、したがって導体結合部17cが形成されている。したがって、2つの導体17a、17bが単一の導体を形成する。
【0106】
導体17a、17bの結合は、例えば、溶接、ろう付けにより、または、機械的コネクタを使用することにより、実施され得る。
【0107】
各ケーブル長さ区間15a、15bが、導体結合部17cに隣接して円錐形に成形された絶縁システム19a、19bを有する。円錐形状の絶縁システム19a、19bおよび導体結合部17cを含む領域が電力ケーブル結合部となる。
【0108】
こうすることで、結合絶縁システム、つまり、導体結合部17cの周りにありかつ絶縁システム19aおよび19bの円錐形状の端部の間にある絶縁システムが、レイヤーバイレイヤーにより、再構築される。
【0109】
未硬化である第1の修復用絶縁システム層23が導体結合部17cの周りに提供され、絶縁システム19a、19bの円錐形状の端部のところで絶縁システム19a、19bの対応する絶縁層と重なるように配置構成される。第1の修復用絶縁システム層23が、例えば、露出した導体の周りに巻き付けられたテープによって形成され得る。
【0110】
図3は、加圧加熱デバイス21を描く。加圧加熱デバイス21が、開けられたり閉じられたりされ得る2つの部分21aおよび21bを備える。
【0111】
加圧加熱デバイス21が、電力ケーブル結合部を受けるように構成された、2つの部分21aおよび21bによって形成された加熱チャンバ25を有する。加熱チャンバ25が、4バールよりも高いが15バール未満(例えば、10バール未満)などの、複数のバール値まで加圧され得る。
【0112】
硬化中、導体結合部17cの上に絶縁システムを再構築しながら酸化を防止するために、加熱チャンバ25に希ガスが充填され得る。希ガスが加圧され得る。
【0113】
加圧加熱デバイス21が、加熱チャンバ25を所定の温度まで加熱するように構成された加熱デバイスを備えることができる。加熱デバイスが、例えば加熱コイルまたは同様の手段により、加熱チャンバを直接に加熱するように構成され得る。別法としてまたは加えて、希ガスが、加圧加熱デバイス21の中まで流れる前に加熱され得る。
【0114】
結合作業中、ステップa)で、第1の修復用絶縁システム層23が導体結合部17cの周りに提供された後、加圧加熱デバイス21が電力ケーブル結合部の周りに配置される。
【0115】
ステップb)で、第1のHFコイル5および第2のHFコイル7が開けられ、2つのケーブル長さ区間15aおよび15bによって形成された電力ケーブルの周りに配置される。第1のHFコイル5および第2のHFコイル7が加圧加熱デバイス21の両側に配置構成される。第1のHFコイル5および第2のHFコイル7は、導体結合部17cから等しい軸方向距離に配置構成され得る。
【0116】
ステップc)で、第1のHFコイル5および第2のHFコイル7が閉じられる。
【0117】
ステップb)およびc)がステップa)の前にまたはステップa)の後で実施され得ることに留意されたい。
【0118】
ステップd)で、修復用絶縁システム層23が、加圧加熱デバイス21の内部における外側加熱により、および、導体内に電流を誘導する電力供給システムからの電流を第1のHFコイル5および第2のHFコイル7に送ることにより実現される修復用絶縁システム層23の内側加熱により、加熱される。それにより、修復用絶縁システム層23が硬化される。
【0119】
ステップd)で、通常、外側加熱および内側加熱が同時に実施される。
【0120】
一変形形態によると、本方法が、ステップd)を実施した後で、かつ、次の修復用絶縁システム層を第1の修復用絶縁システム層23上に提供してステップa)~d)を再び実施する前に、絶縁システム層23を冷やすステップを含む。
【0121】
ステップe)で、電力ケーブル結合部の絶縁システムが修復された後で、第1のHFコイル5および第2のHFコイル7が開けられる。次いで、第1のHFコイル5および第2のコイル7が電力ケーブルから取り外される。
【0122】
ステップa)~d)は、通常、例えば初期状態において各々が未硬化であった、電力ケーブル結合部の複数の修復用絶縁システム層の各々に対して実施される。
【0123】
上記では、主として、少数の実施例を参照して本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者には容易に認識されるであろうが、上で開示した実施形態以外の他の実施形態も同様に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の範囲内で可能である。
【外国語明細書】