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特開2023-74442監視装置、設定支援装置、エリア設定方法、及び設定支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074442
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】監視装置、設定支援装置、エリア設定方法、及び設定支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/12 20060101AFI20230522BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20230522BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20230522BHJP
   G01S 3/02 20060101ALI20230522BHJP
   G01S 13/74 20060101ALI20230522BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01S5/12
G01S7/497
G01S17/86
G01S3/02
G01S13/74
G01S13/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187433
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】長坂 憲士朗
【テーマコード(参考)】
5J062
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J062CC14
5J062CC18
5J062GG02
5J062HH05
5J062HH09
5J070AA02
5J070AC02
5J070AC11
5J070AD06
5J070AE20
5J070BC24
5J070BC25
5J070BD10
5J084AA02
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB07
5J084AC07
5J084BA20
5J084CA70
5J084EA08
5J084EA29
5J084EA34
(57)【要約】
【課題】監視エリアを設定するエリア設定者の負担を低減できる監視装置を提供する。
【解決手段】監視エリアへの進入を監視する監視装置10であって、監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグから電波を受信する受信部と、電波に基づいて、ICタグ毎に、監視装置に対するICタグの位置を示すタグ位置情報を検出するタグ情報検出部と、ICタグ毎のタグ位置情報を含むタグ検出情報を、監視エリアの設定を支援する設定支援装置に出力する出力部と、監視エリアを設定するためのエリア設定情報を設定支援装置から受信する受信部と、エリア設定情報に基づいて、監視エリアを設定する制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアへの進入を監視する監視装置であって、
前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグから電波を受信する受信部と、
前記電波に基づいて、前記ICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を検出するタグ情報検出部と、
前記ICタグ毎の前記タグ位置情報を含むタグ検出情報を、前記監視エリアの設定を支援する設定支援装置に出力する出力部と、
前記監視エリアを設定するためのエリア設定情報を前記設定支援装置から受信する受信部と、
前記エリア設定情報に基づいて、前記監視エリアを設定する制御部と、
を備える監視装置。
【請求項2】
前記タグ情報検出部は、前記ICタグを識別するタグ識別情報を検出し、
前記タグ検出情報は、前記タグ識別情報を含む、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記タグ位置情報は、
前記監視装置と前記ICタグとの距離を示すタグ距離情報を含む、又は、
前記監視装置と前記ICタグとの距離を示すタグ距離情報及び前記監視装置に対する前記ICタグの角度を示すタグ角度情報を含む、
請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
記憶部、を更に備え、
前記受信部は、前記監視装置が配置される複数の工作機械のそれぞれに対応した複数のエリア設定情報を受信し、
前記記憶部は、複数の前記エリア設定情報を記憶する、
請求項2又は3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記タグ情報検出部により検出されたいずれかのタグ識別情報と、前記記憶部に記憶された複数のエリア設定情報に含まれるいずれかのICタグの識別情報と、が一致する場合、前記記憶部から、一致した前記ICタグの識別情報を含む前記エリア設定情報を取得し、
取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記監視エリアを設定する、
請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記タグ情報検出部により検出された前記ICタグ毎のタグ位置情報と、取得された前記エリア設定情報に含まれる前記ICタグ毎のタグ位置情報と、に基づいて、設定された前記監視エリアの形状を維持して前記監視エリアを補正する、
請求項5に記載の監視装置。
【請求項7】
前記監視装置の周囲の各検出方向に投光光を投光する投光部と、
前記投光光が対象物により反射又は散乱された検出光を受光する受光部と、
前記検出光に基づいて、前記対象物の位置を認識する認識部と、
前記監視エリア内に前記対象物が位置する場合、前記監視エリアへの前記対象物の進入を検出する進入検出部と、を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項8】
監視装置により監視される監視エリアの設定を支援する設定支援装置であって、
前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を含むタグ検出情報を受信する受信部と、
前記ICタグ毎の前記タグ検出情報に基づいて、各ICタグの位置を前記監視エリアの外周上の点とする前記監視エリアを決定する制御部と、
を備える設定支援装置。
【請求項9】
操作部と、表示部と、を更に備え、
前記ICタグ毎の前記タグ検出情報は、前記ICタグを識別するタグ識別情報を含み、
前記制御部は、
前記監視装置により検出可能な検出エリアの情報を取得し、
前記検出エリアの情報と前記タグ検出情報とに基づいて、前記監視装置に対応する仮想監視装置と、各ICタグに対応する各仮想タグと、前記検出エリアに対応する仮想検出エリアと、を仮想平面上に配置して前記表示部に表示させ、
前記操作部を介して、配置された複数の仮想タグのうち、少なくとも2つの前記仮想タグを線分で接続し、
前記線分と前記線分で接続された各仮想タグとを、閉領域の外周の少なくとも一部とする前記閉領域を生成し、
前記閉領域に基づいて、前記監視エリアを決定する、
請求項8に記載の設定支援装置。
【請求項10】
前記タグ位置情報は、前記監視装置と前記ICタグとの距離を示すタグ距離情報と、前記監視装置に対する前記ICタグの角度を示すタグ角度情報と、を含み、
前記制御部は、前記ICタグ毎の前記タグ距離情報及び前記タグ角度情報に基づいて、各仮想タグを配置し、
前記各仮想タグの位置に基づいて、前記監視エリアを決定する、
請求項9に記載の設定支援装置。
【請求項11】
前記タグ位置情報は、前記監視装置と前記ICタグとの距離を示すタグ距離情報を含み、
前記制御部は、
前記線分で接続された複数の前記仮想タグのそれぞれの間の距離を示すタグ間距離情報を取得し、
前記操作部を介して、前記仮想平面上に配置された各仮想タグのうちの少なくとも1つの前記仮想タグを、前記仮想検出エリアの外周上に配置するよう指定し、
前記タグ距離情報と、前記タグ間距離情報と、前記仮想検出エリアの外周上に配置された前記仮想タグの位置と、に基づいて、各仮想タグを配置し、
前記各仮想タグの位置に基づいて、前記監視エリアを決定する、
請求項9に記載の設定支援装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記タグ検出情報に含まれる各ICタグの個別の前記タグ位置情報に基づいて、各仮想タグの相対的な位置関係を算出し、
各仮想タグの前記相対的な位置関係に基づいて、各仮想タグの少なくとも1つの位置を補正する、
請求項9~11のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項13】
前記閉領域の外周は、前記仮想検出エリアの外周の少なくとも一部を含む、
請求項9~12のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記線分と、前記線分で接続された前記仮想タグと、前記仮想検出エリアの外周の少なくとも一部と、により前記閉領域が形成されない場合、前記線分の端部に対応し前記仮想検出エリアの外周上に位置しない仮想タグと、前記仮想検出エリアの外周上の点と、を接続する線分である外周接続線分を追加して、前記閉領域を生成する、
請求項13に記載の設定支援装置。
【請求項15】
前記監視エリアは、監視領域内に監視方式の異なる複数の監視エリアを含み、
前記制御部は、前記閉領域が複数形成された場合、複数の前記閉領域に基づいて、前記監視方式が異なる複数の監視エリアを決定する、
請求項9~14のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項16】
前記制御部により決定された前記監視エリアを設定するためのエリア設定情報を前記監視装置に出力する出力部、を更に備える、
請求項8~15のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項17】
監視エリアを設定するエリア設定方法であって、
前記監視エリアへの進入を監視する監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグから電波を受信するステップと、
前記電波に基づいて、前記ICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を検出するステップと、
前記ICタグ毎の前記タグ位置情報を含むタグ検出情報を、前記監視エリアの設定を支援する設定支援装置に出力するステップと、
前記監視エリアを設定するためのエリア設定情報を前記設定支援装置から取得するステップと、
前記エリア設定情報に基づいて、前記監視エリアを設定するステップと、
を有するエリア設定方法。
【請求項18】
監視装置により監視される監視エリアの設定を支援する設定支援方法であって、
前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を含むタグ検出情報を取得するステップと、
前記ICタグ毎の前記タグ検出情報に基づいて、各ICタグの位置を前記監視エリアの外周上の点とする前記監視エリアを決定するステップと、
を有する設定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置、設定支援装置、エリア設定方法、及び設定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャン面上の測距位置と実空間との対応関係を把握する安全スキャナが知られている(特許文献1参照)。この安全スキャナは、検出エリアに対し検出光を投光する投光手段と、上記検出エリア内の対象物からの反射光を受光して受光信号を生成する受光手段と、上記受光信号に基づいて、上記対象物までの距離を求める距離算出手段と、回転軸を中心として上記検出光を周方向に走査させる走査手段と、上記距離及び上記検出光の走査角に対応する測距情報を求める測距手段と、上記検出エリア内において保護エリアを指定するエリア指定情報を設定支援装置から受信するエリア指定情報受信手段と、上記測距情報及び上記エリア指定情報に基づいて、上記保護エリア内の侵入物を検知する侵入検知手段と、上記検出エリア内に移動可能に配置されたマーカを判別するマーカ判別手段と、上記保護エリアを決定するためのエリア生成情報として、上記マーカの測距情報を上記設定支援装置へ送信するエリア生成情報送信手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-151569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の安全スキャナでは、設定支援装置としてのPC(Personal Computer)が安全スキャンに通信ケーブルを介して接続されている。また、人がマーカの位置を持って移動することで、保護エリアの設定を支援する。そのため、特許文献1の安全スキャナを用いて保護エリアに対応する監視エリアを設定する場合には、以下のような状況が想定される。
【0005】
具体的には、監視エリアを設定するエリア設定者は、監視エリアの設定時に検出エリアにおいてマーカを持って、保護エリアが設定される現場において移動することが必要である。また、監視エリアの設定時には常時現場に所在する必要があり、監視エリアに滞在する滞在時間が長くなる傾向にある。そのため、エリア設定者の設定時の負担が大きい。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであって、監視エリアを設定するエリア設定者の負担を低減できる監視装置、設定支援装置、エリア設定方法、及び設定支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、監視エリアへの進入を監視する監視装置であって、前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグから電波を受信する受信部と、前記電波に基づいて、前記ICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を検出するタグ情報検出部と、前記ICタグ毎の前記タグ位置情報を含むタグ検出情報を、前記監視エリアの設定を支援する設定支援装置に出力する出力部と、前記監視エリアを設定するためのエリア設定情報を前記設定支援装置から受信する受信部と、前記エリア設定情報に基づいて、前記監視エリアを設定する制御部と、を備える監視装置である。
【0008】
本開示の一態様は、監視装置により監視される監視エリアの設定を支援する設定支援装置であって、前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を含むタグ検出情報を受信する受信部と、前記ICタグ毎の前記タグ検出情報に基づいて、各ICタグの位置を前記監視エリアの外周上の点とする前記監視エリアを決定する制御部と、を備える、設定支援装置である。
【0009】
本開示の一態様は、監視エリアを設定するエリア設定方法であって、前記監視エリアへの進入を監視する監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグから電波を受信するステップと、前記電波に基づいて、前記ICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を検出するステップと、前記ICタグ毎の前記タグ位置情報を含むタグ検出情報を、前記監視エリアの設定を支援する設定支援装置に出力するステップと、前記監視エリアを設定するためのエリア設定情報を前記設定支援装置から取得するステップと、前記エリア設定情報に基づいて、前記監視エリアを設定するステップと、を有するエリア設定方法である。
【0010】
本開示の一態様は、監視装置により監視される監視エリアの設定を支援する設定支援方法であって、前記監視装置により検出可能な検出エリアに固定配置されたICタグ毎に、前記監視装置に対する前記ICタグの位置を示すタグ位置情報を含むタグ検出情報を取得するステップと、前記ICタグ毎の前記タグ検出情報に基づいて、各ICタグの位置を前記監視エリアの外周上の点とする前記監視エリアを決定するステップと、を有する設定支援方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、監視エリアを設定するエリア設定者の負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態における監視システムの構成例を示す模式図
図2A】側方から見た監視装置の外観例を示す概略図
図2B】上方から見た監視装置の外観例を示す概略図
図3】監視装置の構成例を示すブロック図
図4】設定支援装置の構成例を示すブロック図
図5】生産ラインの導入時の監視エリアの第1設定例を示すシーケンス図
図6】監視装置の設置高さを加味した距離情報の導出を説明するための図
図7】タグID、タグ距離情報、及びタグ角度情報を含むタグ検出情報の一例を示す図
図8図5の監視エリア決定処理の一例を示すフローチャート
図9】仮想平面上にマッピングされた仮想監視装置と仮想タグと仮想検出エリアとの一例を示す図
図10】任意の仮想タグの間を線分で接続した例を示す図
図11】三辺測量法を説明するための図
図12】仮想検出エリアの外周に線分を追加した例を示す図
図13】閉領域の種別が決定された例を示す図
図14】生産ラインの導入時の監視エリアの第2設定例を示すシーケンス図
図15】タグID及びタグ距離情報を含むタグ検出情報の一例を示す図
図16A図14の監視エリア決定処理の一例を示すフローチャート
図16B図14の監視エリア決定処理の一例を示すフローチャート(図16Aの続き)
図17】第2設定例における初期表示の一例を示す図
図18】タグ間距離情報の一例を示す図
図19】第2設定例の監視エリアの決定例を示す図
図20】タググループに属する各仮想タグの位置が不定であることを示す図
図21】複数の工作機械間をロボット装置が移動することを示す図
図22】複数の工作機械間のロボット装置の移動時の監視エリアの簡易設定の第1例を示すフローチャート
図23図22の監視エリア決定処理の一例を示すフローチャート
図24】タグ検出情報と工作機械毎のエリア設定情報とを比較する例を示す
図25】タグ検出情報に基づく各ICタグの位置を示す配置情報と、選択されたエリア設定情報に基づく各ICタグの位置を示す配置情報と、を示すイメージ図
図26】監視エリアの位置の補正例を示す図
図27】複数の工作機械間のロボット装置の移動時の監視エリアの簡易設定の第2例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
<監視システムの概要>
図1は、第1の実施形態における監視システム5の構成例を示す模式図である。監視システム5は、監視装置10と、設定支援装置20と、を含む構成である。
【0015】
監視装置10は、光学的に監視エリアMR内を監視する。監視装置10は、例えば工場内に配置され、安全な作業がされているかどうかを監視する。監視装置10は、ライダ(LiDAR)装置であり、例えば電動光機械式のライダ装置であるが、その他の方式のライダ装置でもよい。監視装置10は、設定された監視エリアMRに従って監視する。
【0016】
監視装置10は、監視現場C1に配置される。監視現場C1には、例えば、監視装置10及びロボット装置30が配置される。図1では、監視装置10が、ロボット装置30のベース31の下方の角部に設置されているが、これに限られない。例えば、監視装置10がロボット装置30のベース31の上方に設置され、ロボット装置30のロボットアーム32の近傍に配置されてもよい。ロボット装置30は、移動せずに配置位置が固定であってもよいし、移動自在であり配置位置が可変であってもよい。
【0017】
また、監視現場C1には、工作機械70が設置されている。工作機械70は、様々な材料(例えば金属、木材、又は石材)に各種加工(例えば切断、穿孔、研削、又は折り曲げ)を行う。ロボット装置30は、工作機械70の近傍に配置され、ロボットアーム32を用いて工作機械70に対して所定の作業を行い、各種加工の補助を行う。工作機械70は、監視現場C1に1つ設置されても複数設置されてもよい。工作機械70が複数設置される場合には、ロボット装置30は、複数の工作機械70の間を移動可能であってよい。また、ロボット装置30は、1つの工作機械70に対する位置が可変であってもよい。なお、工作機械70の位置はそれぞれ固定されている。
【0018】
また、監視現場C1には、作業者H1やその他の物体が存在し得る。作業者H1には、監視エリアMRを設定するためのICタグ50を監視現場C1に設置するタグ設置者が含まれる。また、作業者H1には、例えば、監視現場C1を目視確認、ロボット装置30若しくは工作機械70の確認、又は、ロボット装置30若しくは工作機械70により製造された製造物の確認等を行う監視者が含まれ得る。その他の物体は、例えば工場内での作業に必要な物体や車両が考えられる。
【0019】
ICタグ50は、例えば工作機械70の周囲に設置される。ICタグ50は、監視エリアMRを設定するための指標となる。ICタグ50は、例えば、監視装置10がロボット装置30に設置され、ロボット装置30が工作機械70に対して所定の位置に設置された際に、監視装置10により検出可能な検出エリア内に設置される。ICタグ50は、例えばシールとしてのタグシールであってもよいし、シール以外であってもよい。ICタグ50は、工作機械70の周囲の所定の位置に固定配置されてもよいし、例えばシールの貼り替えによって異なる位置に配置されてもよい。ICタグ50は、複数設置され得る。ICタグ50は、電波を発振する送信部と、ICタグ50の識別情報(タグID)等を記憶する記憶部と、を有する。ICタグ50は、電波信号にICタグ50の識別情報(タグID)を重畳して送信する。ICタグ50は、例えばRFIDタグでもよいし、Bluetooth(登録商標)通信が可能なICタグでもよい。
【0020】
設定支援装置20は、監視エリアMRの設定を支援する装置である。設定支援装置20は、PC(Personal Computer)、携帯端末、又はタブレット端末等である。設定支援装置20は、ユーザによって操作され、ユーザ所望の監視エリアMRを決定可能である。設定支援装置20は、監視装置10との間で、有線又は無線により通信可能である。
【0021】
監視装置10と設定支援装置20とは、協働して監視エリアMRを設定する。例えば、作業者H1がロボット装置30に接近すると、ロボット装置30の動作により作業者H1に対して危険が生じ得る。そのため、例えばロボット装置30の動作可能範囲(例えばロボットアーム32が到達可能な範囲)を基に、監視エリアMRが設定され得る。ロボット装置30は、危険源の一例である。
【0022】
監視エリアMRは、複数の種別の監視エリアを含み得る。監視エリアMRは、例えば防護エリアMR1と警戒エリアMR2とを含み、その他の種別の監視エリアを含んでもよい。防護エリアMR1は、ロボット装置30から防護するために、進入が禁止されるエリアである。警戒エリアMR2は、進入しないことが推奨されるエリアである。例えば、防護エリアMR1は、例えばロボット装置30の動作可能範囲の一部又は全部を含むように形成される。警戒エリアMR2は、例えば、ロボット装置30からの距離が比較的近いために、防護エリアMR1の周囲に形成される。このように、監視エリアMRは、分割設定できる。
【0023】
監視装置10は、監視エリアMR内を監視し、監視エリアMR内に作業者H1等の物体が存在するか否かを検出する。監視エリアMRに物体が存在することが検出された場合には、監視装置10は、監視エリアに進入した物体が存在することを示す警告情報を出力(警報出力)可能である。監視装置10は、エリアスキャナ(スキャナ装置)して動作可能である。
【0024】
<監視装置の構成>
図2Aは、側方から見た監視装置10の外観例を示す概略図である。図2Bは、上方から見た監視装置10の外観例を示す概略図である。
【0025】
なお、本実施形態では、x方向、y方向及びz方向を規定している。x方向は、監視装置10が設置される設置面P1に平行なxy平面における任意の方向である。y方向は、xy平面においてx方向に垂直な方向である。z方向はxy平面に垂直な方向である。xy平面は、例えば水平方向に平行である。z方向は、例えば重力方向に平行である。z方向の正側を上とも記載し、z方向の負側を下とも記載する。この方向の規定は、他の実施形態においても同様である。
【0026】
監視装置10は、下筐体15と上筐体16とを有する。下筐体15は、例えば直方体形状(箱型形状)を有するが、その他の形状であってもよい。下筐体15は、例えば、透光性を有さず、金属により構成可能である。上筐体16は、上方から見ると円形状を有しており、監視装置10の設置面P1に近い方から設置面P1に遠い方に向けて拡径する形状を有するが、その他の形状(例えば直方体形状)であってもよい。上筐体16は、例えば樹脂により構成可能であり、少なくとも一部に透光性を有する透光窓を有する。透光窓は、例えば、監視装置10の内部から外部へ及び外部から内部へ不可視光(例えば赤外光)を透過可能であり、可視光を透過可能でもよい。また、上筐体16は、上筐体16の全体が透光性を有する場合には、透光性を有する有色又は無色のカバーであってもよい。
【0027】
図3は、監視装置10の構成例を示すブロック図である。監視装置10は、進入検出部110と、ICタグ情報処理部120と、記憶部130と、入出力部140と、回転機構部150と、を含む構成である。また、監視装置10は、回転機構部150を含んでもよい。
【0028】
進入検出部110は、投光部111と、投光制御部112と、受光部113と、距離算出部114と、測距部115と、進入検知部116と、を含む構成である。進入検出部110は、例えば、プロセッサを含み、記憶部130に保持されたプログラムを実行し又は各種情報を実行することで、制御部160としての各種機能を有する。プロセッサは、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、等を含んでよい。制御部160は、投光制御部112と、距離算出部114と、測距部115と、進入検知部116と、を含む。また、制御部160は、例えば、監視エリアMRを設定するエリア設定動作、物体検出動作、又は回転機構部150による回転動作等を制御する。
【0029】
回転機構部150は、光学系(例えば図示しないミラー、レンズ)を、回転軸を中心にxy平面に沿って回転させる。回転軸は、例えば、監視装置10のxy平面に沿う面(例えば底面)における中心を通り、z軸に平行な軸である。光学系は、回転機構部150の回転により、投光部111による投光方向及び受光部113による受光方向(検出方向)を、xy平面に沿って変更する(走査する)。つまり、光学系は、監視装置10による検出対象の物体である対象物25の検出方向を、監視装置10の周囲の全周又は全周の一部において変更する。光学系は、例えば、投光部111が投光する投光光を対象物25に向けて反射する投光ミラーと、対象物25からの検出光を入射させる受光レンズと、受光レンズを透過した検出光を受光部113に向けて反射する受光ミラーと、を含んでよい。なお、回転機構部150は、光学系とともに、又は光学系の代わりに、投光部111及び受光部113をxy平面に沿って回転させることで、検出方向を変更自在としてもよい。
【0030】
投光部111は、レーザダイオード等の発光素子を含み、所定の光を投光する。投光部111は、少なくとも不可視光(例えば赤外光)を投光し、可視光を投光してもよい。投光部111により投光される光(投光光)は、例えば、検出対象の物体により反射又は散乱され得る。投光部111は、複数設けられてもよい。
【0031】
投光制御部112は、投光部111を制御する。投光制御部112は、ロータリーエンコーダのエンコーダ信号(例えばパルス信号)に基づいて、検出光の投光タイミングを調整する。投光制御部112は、例えば、回転機構部150の光学系の回転に応じて、パルス状の投光光を一定の時間間隔で発生させる。
【0032】
受光部113は、フォトダイオード等の受光素子を含み、所定の光を受光する。受光部113は、少なくとも不可視光(例えば赤外光)を受光してもよいし、可視光を受光してもよい。受光部113により受光される光(受光光)は、例えば、投光部111により投光された投光光が、対象物25により反射又は散乱された検出光を含んでよい。受光部113は、受光光から受光信号を生成する。
【0033】
距離算出部114は、例えばTOF(Time Of Flight)方式に従って、受光部113からの受光信号に基づいて、監視装置10と対象物25との間の距離を算出する。TOF方式では、投光部111から投光された投光光が、物体で反射又は散乱されて監視装置10に戻り、受光部113により検出光として受光されるまでの時間が計算され、この時間に基づいて検出距離が計算される。この場合、距離算出部114は、ロータリーエンコーダのエンコーダ信号のタイミングに基づいて、受光信号の受光タイミングを計時してよい。
【0034】
測距部115は、距離算出部114により算出された距離(検出距離)と、投光時又は受光時のエンコーダ信号に対応する角度(検出角度)と、に対応する測距情報を算出する。測距情報により、対象物25の2次元位置が特定される。
【0035】
進入検知部116は、設定された監視エリアMRと、測距部115の測距情報に基づいて、監視エリアMR内への進入を検出する。この場合、進入検知部116は、監視エリアMR内に対象物25が所在するか否かを判定する。進入検知部116は、監視エリアMR内に対象物25が所在する場合、監視エリアMR内への対象物25の進入を検出する。進入検知部116は、監視エリアMR内に対象物25が所在しない場合、監視エリアMR内へ対象物25が進入していないことを検出する。
【0036】
進入検知部116は、監視エリアMR内への対象物25の進入を検出した場合に、対象物25の進入が検出されたことを示す進入検出信号を入出力部140に送る。また、進入検知部116は、防護エリアMR1への進入を検出し、進入検出信号として、防護エリアMR1への進入が検出されたことを示す防護検出信号を入出力部140に送ってもよい。進入検知部116は、警戒エリアMR2への進入を検出し、進入検出信号として、警戒エリアMR2への進入が検出されたことを示す警戒検出信号を入出力部140に送ってもよい。
【0037】
ICタグ情報処理部120は、ICタグ検出部121と、エリア認識部122と、データ送信部123と、を含む構成である。
【0038】
ICタグ検出部121は、ICタグ50から電波信号を受信する。ICタグ検出部121は、受信された電波信号に基づいて、ICタグ50毎に、ICタグ50を識別するタグIDと、監視装置10に対するICタグ50の位置を示すタグ位置情報と、を検出する。タグ位置情報は、監視装置10とICタグ50との距離を示すタグ距離情報を含む。タグ位置情報は、タグ距離情報とともに、監視装置10に対するICタグ50の角度を示すタグ角度情報を含んでもよい。タグ角度情報の角度は、進入検出部110により対象物25が検出される場合と同様に、エンコーダ信号に対応する角度であってよい。ICタグ検出部121により検出された情報を、タグ検出情報とも称する。タグ検出情報は、少なくとも、タグIDと、タグ位置情報と、を含む。
【0039】
ICタグ検出部121は、例えば、受信された電波信号の信号強度(RSSI:(Received Signal Strength Indicator))に基づいて、距離情報を検出してよい。ICタグ検出部121は、例えば、通信境界法によって、距離情報及び角度情報を検出してよい。また、ICタグ検出部121は、例えば、AOA(Angle Of Arrival)又はAOD(Angle Of Departure)に従って、角度情報を検出してよい。この場合、例えば、ICタグ検出部121は、電波信号を受信するアンテナを2つ以上備え、複数のアンテナにより受信される電波信号の位相差に基づいて、電波信号を発振したICタグ50の角度情報を検出してよい。
【0040】
エリア認識部122は、ICタグ50のタグIDと記憶部130に保持されたエリア設定情報内部にあるタグID情報とを比較して、監視装置10がどの工作機械70の場所に配置されているかを認識する。
【0041】
データ送信部123は、ICタグ検出部121により検出されたデータ、情報、又は信号等を入出力部140に送る。データ送信部123は、例えば、タグ検出情報を入出力部140に送る。
【0042】
記憶部130は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory))を含む。記憶部130は、二次記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))や三次記憶装置(例えば光ディスク、SDカード)を含んでよい。記憶部130は、その他の記憶装置を含んでよい。記憶部130は、各種データ、情報、又はプログラム等を記憶する。
【0043】
記憶部130は、監視エリアMRを設定するためのエリア設定情報を記憶してよい。エリア設定情報には、決定された監視エリアの形態(例えば監視装置10に対する位置、範囲、大きさ、又は形状)の情報、どの工作機械70に対して決定された監視エリアMRであるかを示す情報(工作機械70の識別情報)、等が含まれる。エリア設定情報は、入出力部140を介して設定支援装置20から取得される。記憶部130は、工作機械70毎に設定される監視エリアMRに対応して、異なる複数のエリア設定情報を記憶してよい。
【0044】
記憶部130は、タグ設定情報を記憶してよい。タグ設定情報は、ICタグ50に関する情報であり、例えばICタグ50の通信方式(例えばRFID、Bluetooth(登録商標)、使用する周波数)、給電方式(例えばICタグ50への給電有り又は給電無し)、を含んでよい。タグ設定情報は、例えば、入出力部140を介して外部機器80(例えば外部サーバ)から取得されてもよいし、記憶部130に予め記憶されていてもよい。
【0045】
入出力部140は、監視装置10の外部にある外部機器80との間で、データ、情報、又は信号等を入出力する。外部機器80は、PLC装置(Programmable Logic Controller)又は設定支援装置20等を含む。入出力部140は、例えば通信部を有し、有線又は無線によって信号を送受信してもよい。入出力部140は、例えば音響入力部(マイクロホン)又は音響出力部(スピーカ)を有し、音響によって信号を入出力してもよい。
【0046】
入出力部140は、例えば、進入検出部110から進入検出信号を取得すると、進入検出信号をPLC装置に出力する。入出力部140は、例えば、ICタグ情報処理部120から取得されたタグ検出情報を、設定支援装置20に出力する。入出力部140は、例えば、設定支援装置20からエリア設定情報を入力する。
【0047】
また、入出力部140は、進入検出部110から進入検出信号を取得すると、警告情報を含む警報出力信号を出力してよい。警報出力信号は、例えば、警報出力信号に基づいて報知可能な外部機器80(例えばディスプレイ、スピーカ、その他の報知機器)に出力されてよい。報知可能な外部機器80が警報出力信号に基づいて報知することで、作業者H1等の安全性を確保できる。
【0048】
PLC装置は、ロボット装置30の動作の制御を指示する。PLC装置は、監視装置10から進入検出信号を受信すると、進入検出信号に基づいてロボット装置30の動作を制限する信号(動作制限指示信号)をロボット装置30に送信する。ロボット装置30は、PLC装置から動作制限指示信号を受信すると、ロボット装置30の動作を制限する。ロボット装置30の動作の制限は、ロボット装置30の動作の停止、ロボット装置30の動作可能範囲の縮小、動作速度の低減、又はその他の動作の制限を含んでよい。このようにして、監視装置10は、監視エリアMR内に対象物25として作業者H1が存在する場合には、ロボット装置30等の危険源の動作を制限でき、作業者H1の安全性を確保できる。また、PLC装置は、動作制限指示信号が防護検出信号に基づく場合に、ロボット装置30の動作を停止させ、動作制限指示信号が警戒検出信号に基づく場合に、ロボット装置30の動作を停止以外で制限させてもよい。
【0049】
<設定支援装置の構成>
図4は設定支援装置20の構成例を示す図である。設定支援装置20は、制御部210、通信部220、記憶部230、操作部240、及び表示部250を備える。
【0050】
制御部210は、記憶部230に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。制御部210は、MPU、CPU、DSP、GPU、等を含んでよい。制御部210は、設定支援装置20の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。制御部210は、例えば、ICタグ50毎のタグ検出情報(少なくともタグ位置情報)に基づいて、各ICタグ50の位置を監視エリアMRの外周上の点とする監視エリアMRを決定する。
【0051】
通信部220は、各種データ又は情報等を通信する。通信部220による通信方式は、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電力線通信、赤外線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)、携帯電話用のモバイル通信等の通信方式を含んでよい。
【0052】
記憶部230は、一次記憶装置(例えばRAMやROM)を含む。記憶部230は、二次記憶装置(例えばHDDやSSD)や三次記憶装置(例えば光ディスク、SDカード)を含んでよい。記憶部230は、その他の記憶装置を含んでよい。記憶部230は、各種データ、情報、又はプログラム等を記憶する。
【0053】
操作部240は、マウス、キーボード、タッチパッド、タッチパネル、マイクロホン、又はその他の入力部を含んでよい。操作部240は、各種データ又は情報等の入力を受け付ける。表示部250は、液晶表示部、有機EL部、又はその他の表示部を含んでよい。表示部250は、各種データ又は情報等を表示する。
【0054】
<監視システムの動作>
次に、監視システム5の動作例について説明する。
【0055】
まず、生産ラインの導入時の監視エリアMRの設定例について説明する。生産ラインは、監視現場C1に配置される。生産ラインの導入時は、例えば、工作機械70や工作機械70に対して配置されるロボット装置30の導入時である。
【0056】
ICタグ50を設置するタグ設置者は、監視現場C1に出向き、ICタグ50を床面等に設置する。ICタグ50は、工作機械70に対応して配置される監視装置10による検出エリアDRの範囲内に設置される。ICタグ50は、例えば、監視予定のエリアの外周上の点(例えば頂点)に張り付けされる。例えば、図1に示した「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、及び「F」の位置に、ICタグ50が設置される。
【0057】
ここでは、生産ラインの導入時の監視エリアMRの設定例について、2つの設定例を説明する。第1設定例は、タグ検出情報に、ICタグ50の角度を示すタグ角度情報が含まれる場合の設定例である。第2設定例は、タグ検出情報に、ICタグ50の角度を示すタグ角度情報が含まれない場合の設定例である。
【0058】
図5は、生産ラインの導入時の監視エリアMRの第1設定例を示すシーケンス図である。図5の開始時には、上述した監視現場C1でのICタグ50の設置は完了している。
【0059】
まず、監視装置10は、ICタグ検出部121が、ICタグ50毎に、ICタグ50から電波信号を受信し(S11)、電波信号に基づいて、タグID、タグ距離情報、及びタグ角度情報を検出する(S12)。
【0060】
なお、ICタグ検出部121は、監視装置10の設置高さを加味すると、タグ距離情報は、水平方向に沿った監視装置10とICタグ50との距離と異なり得る。図6は、監視装置の設置高さを加味した距離情報の導出を説明するための図である。図6に示すように、監視装置10の設置高さh、タグ距離情報として得られた監視装置10とICタグ50との距離Rとすると、水平方向に沿った監視装置10とICタグ50との距離R’は、以下のように算出される。この算出は、例えばICタグ検出部121により実施される。
【0061】
【数1】
【0062】
図7は、タグID、タグ距離情報、及びタグ角度情報を含むタグ検出情報の一例を示す図である。図7に示されたラベルは、タグIDに相当する。図7に示すように、タグ検出情報は、ICタグ50毎に得られる。
【0063】
入出力部140は、データ送信部123からICタグ50毎のタグ検出情報を取得し、設定支援装置20へ出力(例えば送信)する(S13)。タグ検出情報に含まれる距離情報の距離は、距離Rであっても距離R’であってもよい。距離Rである場合には、設定支援装置20は、水平方向に沿った監視装置10とICタグ50との距離R’を監視エリアMRの決定に用いることで、平面上の領域としての監視エリアMRの決定精度を向上できる。
【0064】
設定支援装置20は、通信部220が、監視装置10からのICタグ50毎のタグ検出情報を受信(取得)する(S13)。制御部210は、取得されたICタグ50毎のタグ検出情報に基づいて、監視エリアMRを決定する監視エリア決定処理を実行する(S14)。監視エリア決定処理の詳細については後述する。監視エリア決定処理では、エリア設定情報が生成される。通信部220は、エリア設定情報を監視装置10へ送信する(S15)。
【0065】
監視装置10では、入出力部140がエリア設定情報を取得(受信)し、記憶部130がエリア設定情報を保持する(S16)。制御部160は、エリア設定情報に基づいて、監視エリアMRを設定する(S17)。進入検出部110は、投光光及び検出光を用いて、監視エリアMR内の対象物25の進入の有無を検出する(S18)。
【0066】
なお、ステップS16では、入出力部140がエリア設定情報を受信して記憶部130に保持することを例示したが、これに限られない。例えば、取り外し可能な記憶媒体としての記憶部130が、設定支援装置20により生成されたエリア設定情報を取得して保持し、監視装置10内に取り込んでもよい。このように、入出力部140及び記憶部130は、エリア設定情報を取得する取得部として動作可能である。
【0067】
図8は、図5のステップS14に示した監視エリア決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、制御部210は、監視装置10による検出エリアDRの情報を取得する(S31)。検出エリアDRは、例えば、記憶部230に記憶されており記憶部230から取得されてもよいし、通信部220を介して監視装置10から受信されてもよいし、通信部220を介して監視装置10以外のサーバから取得されてもよい。検出エリアDRは、例えば、工作機械70又はロボット装置30等の設置位置も加味して形成されている。また、制御部210は、例えば、通信部220を介して生産ラインのマッピング情報と、監視装置10による検出光を用いた検出可能距離の情報と、を取得してもよい。生産ラインのマッピング情報は、工作機械70又はロボット装置30等の設置位置を含む。そして、制御部210は、マッピング情報と検出可能距離の情報とに基づいて、検出エリアDRを算出して取得してもよい。
【0069】
制御部210は、各ICタグ50のタグ検出情報と、検出エリアDRの情報と、に基づいて、仮想平面上に、仮想監視装置10vと、仮想タグ50vと、仮想検出エリアDRvとを配置して、表示部250に表示させる(S32)。仮想タグ50vの表示では、タグIDも表示される。仮想監視装置10vは、監視現場C1における監視装置10に対応する。仮想タグ50vは、監視現場C1におけるICタグ50に対応する。仮想検出エリアDRvは、監視現場C1における検出エリアDRに対応する。つまり、仮想監視装置10vの位置を基準として、監視装置10からの距離や監視装置10に対する角度を加味して、仮想タグ50vと、仮想検出エリアDRvとがマッピングされる。よって、制御部210は、監視現場C1と仮想平面とのサイズの比によって、各距離を拡縮して調整する。よって、制御部210は、監視現場C1における監視装置10とICタグ50と検出エリアDRとの位置関係を、仮想平面上に仮想監視装置10vと仮想タグ50vと仮想検出エリアDRvとをマッピングすることによって、監視現場C1を仮想平面上に再現している。
【0070】
図9は、仮想平面上にマッピングされた仮想監視装置10vと仮想タグ50vと仮想検出エリアDRvとの一例を示す図である。仮想タグ50vの位置に示された「A」、「B」、「C」、…は、タグIDを示す。また、図9では、監視現場C1における工作機械70に対応する範囲70pと、監視現場C1におけるロボット装置30に対応する範囲30pと、についても、ここでは参照用に示されている。なお、監視現場C1において、工作機械70は絶対位置に固定設置され、ロボット装置30は工作機械70に対する相対位置に設置される。仮想平面は、例えば表示部250の画面である。
【0071】
図8に戻り、制御部210は、操作部240を介して、複数の仮想タグ50vのうち、ユーザ所望の2つの仮想タグ50v同士を、線分sbで接続する(S33)。接続された線分sbとその両端の2つの仮想タグ50vは、監視エリアMRの外周の一部に対応することになる。制御部210は、操作部240を介した様々な2つの仮想タグ50v同士の接続を、繰り返し実施してよい。制御部210は、線分sbを表示部250に表示させる。
【0072】
図10は、任意の仮想タグ50vの間を線分sbで接続した例を示す図である。図10では、タグIDが「A」と「B」である2つの仮想タグ50vが線分sbで接続され、タグIDが「B」と「C」である2つの仮想タグ50vが線分sbで接続されている。同様に、タグIDが「D」と「E」である2つの仮想タグ50vが線分sbで接続され、タグIDが「E」と「F」である2つの仮想タグ50vが線分sbで接続されている。本実施形態では、1つ以上の線分で順に(直列に)連結された一連の2つ以上の仮想タグ50vとこの線分とをまとめて、タググループTGとも称する。図10では、タググループTGAが、「A」、「B」、「C」の仮想タグ50vを含み、タググループTGBが、「D」、「E」、「F」の仮想タグ50vを含んでいる。
【0073】
なお、ステップS33の処理後に、線分sbにより接続されなかった仮想タグ50vが存在する場合、制御部210は、表示部250に警告メッセージを表示させてもよい。これにより、設定支援装置20は、仮想タグ50vに対する線分sbの接続漏れを抑制できる。
【0074】
図8に戻り、制御部210は、ステップS32で配置された各仮想タグ50vの位置(座標位置)を補正する(S34)。タグ検出情報に含まれて得られるタグ位置情報は、監視装置10に対する相対位置で示されている。また、監視現場C1におけるICタグ50の電波信号から検出される位置情報は、一般的に多少の誤差(例えば距離について±10cm程度、角度について±5度程度)を含み得る。そのため、マッピングされた仮想監視装置10v及び各仮想タグ50vのそれぞれの相対的な位置関係が不正確であり得る。これに対し、制御部210は、三辺測量法などの各種演算手法によって、各仮想タグ50vの位置を補正する。
【0075】
図11は、三辺測量法を説明するための図である。
【0076】
図11に示す第1設定例では、ICタグ50毎のタグ位置情報に、ICタグ50毎のタグ距離情報及びタグ角度情報が含まれる。図11の点Qを仮想監視装置10vの位置、点A及び点Bを例えば「A」及び「B」の仮想タグ50vの位置とする。この場合、制御部210は、ICタグ50毎のタグ距離情報及びタグ角度情報に基づいて、QA間の長さLa、QB間の長さLb、AB間の長さLc、QACの角度、QBAの角度、及びAQBの角度を全て算出可能である。よって、これらの長さ及び角度の情報は全て既知となる。図11において、QABの角度をθとし、点Qの座標を(x’、y’)、点Aの座標を(x’、0)、点Bの座標を(x’、0)とし、X’Y’座標系及びXY座標系におけるXとX’とが成す角をφとすると、以下の関係が成り立つ。
【0077】
【数2】
【0078】
制御部210は、上記の三辺測量法に従って、各仮想タグ50vの演算位置を導出してよい。そして、制御部210は、タグ位置情報に基づく各仮想タグ50vの配置位置と各仮想タグ50vの演算位置との差(位置ずれ)が小さくなるように、仮想平面上の仮想タグ50vの位置を補正してよい。この場合、制御部210は、仮想監視装置10vに対する仮想タグ50vの距離を優先して補正してもよいし、仮想監視装置10vに対する仮想タグ50vの角度を優先して補正してもよい。例えば、制御部210は、上記の仮想監視装置10vと、「A」の仮想タグ50vと、「B」の仮想タグ50vと、が三角形を構成する場合、仮想監視装置10vの位置と「A」の仮想タグ50vとに基づいて、「B」の仮想タグ50vの位置を補正してよい。このように、制御部210は、各ICタグ50について個別の位置情報である各タグ位置情報に基づいて、各仮想タグ50vの相対的な位置関係を算出し、各仮想タグ50vの相対的な位置関係に基づいて、各仮想タグ50vの少なくとも1つの位置を補正してよい。
【0079】
図8に戻り、制御部210は、タググループTG毎に、仮想検出エリアDRv内においてタググループTGが閉領域を形成しているか否かを判定する(S35)。例えば、タググループTGに含まれる仮想タグ50v及び線分sbと、仮想検出エリアDRの外周線DRlと、によって、閉領域CAが形成されたか否かが判定されてよい。閉領域CAは、例えば、タググループTGに含まれる仮想タグ50vと線分sbと仮想検出エリアDRの外周線DRlの一部とが環状に形成され、一連の接続線の始点と終点とが接続された領域である。また、閉領域CAは、仮想検出エリアDRの外周線DRlを含まずに、タググループTGに含まれる仮想タグ50vと線分sbによって形成されてもよい。
【0080】
タググループTGの仮想タグ50v及び線分sbによって閉領域が形成されていない場合、制御部210は、線分sblを追加して、閉領域CAを生成する(S36)。制御部210は、タググループTGの一連の線分sbの端部に位置する仮想タグ50vであって、仮想検出エリアDRvの外周上にない仮想タグ50vから、仮想検出エリアDRvの外周上の任意の点に向かって、線分sblを追加する。つまり、線分sblは、仮想検出エリアDRvの外周に接続する外周接続線分である。この場合、制御部210は、線分追加対象の仮想タグ50vから、仮想検出エリアDRvの外周線DRlに対して最短の長さで線分sblを追加してよい。この場合、線分sblと仮想検出エリアDRvの外周線DRlとが垂直になる。このようにして、制御部210は、線分sblによって境界補間する。
【0081】
図12は、仮想検出エリアDRvの外周に線分sblを追加した例を示す図である。図12では、2つのタググループTGA,TGBが存在しており、タググループTGの端部に位置する仮想タグ50vであって仮想検出エリアDRvの外周上にない仮想タグ50vは、「C」の仮想タグ50vと「F」の仮想タグである。図12では、「C」の仮想タグ50vから仮想検出エリアDRvに対して垂直に線分sblが追加され、タググループTGAが閉領域CAとされている。また、「F」の仮想タグ50vから仮想検出エリアDRvに対して垂直に線分sblが追加され、タググループTGBが閉領域CAとされている。
【0082】
図8に戻り、制御部210は、閉領域CA毎に、閉領域CAの種別を決定する(S37)。制御部210は、例えば操作部240を介して閉領域CAの種別を決定してもよいし、仮想監視装置10vに対する位置に基づいて、閉領域CAの種別を決定してもよい。閉領域CAの種別は、閉領域に対応する監視エリアMRに対する監視度合を示すものであり、例えば、防護と警戒とを含む。種別が防護である防護閉領域CA1は、防護エリアMR1に対応する。種別が防護である防護閉領域CA2は、防護エリアMR2に対応する。制御部210は、例えば、仮想監視装置10vから近い順に、防護閉領域CA1、警戒閉領域CA2を決定する。図13は、閉領域CAの種別が決定された例を示す図である。
【0083】
制御部210は、閉領域CAの形態(例えば位置、範囲、大きさ、又は形状)に基づいて、監視エリアMRを決定する。例えば、仮想監視装置10vと閉領域CAとの位置関係を維持しながら、閉領域CAを拡縮して、監視エリアMRを決定してよい。制御部210は、閉領域CAの種別に基づいて、監視エリアMRの種別を決定してよい。この場合、制御部210は、防護閉領域CA1に対応する監視エリアMRを防護エリアMR1とし、警戒閉領域CA2に対応する監視エリアMRを警戒エリアMR2としてよい。また、制御部210は、例えば操作部240を介して、監視現場C1での監視エリアMRの寸法を指定してもよい。また、制御部210は、例えば操作部240を介して、決定された監視エリアMRが周囲に設定される工作機械70の識別情報を指定してもよい。制御部210は、例えば操作部240を介して指定してもよいし、マッピング情報に含まれる工作機械70の識別情報を利用して指定してもよい。このようにして、制御部210は、各閉領域CAと各閉領域CAの種別に基づいて、監視エリアMRを決定してよい(S38)。
【0084】
制御部210は、決定された監視エリアMRに基づいて、エリア設定情報を生成する(S39)。エリア設定情報は、決定された監視エリアMRの形態(例えば監視装置10に対する位置、範囲、大きさ、又は形状)の情報、どの工作機械70に対して決定された監視エリアMRであるかを示す情報(工作機械70の識別情報)、監視エリアMRの種別、等が含まれる。生成されたエリア設定情報は、図5のステップS15において監視装置10に送信される。
【0085】
制御部210は、このような監視エリア決定処理を、工作機械70毎に行ってよい。監視現場C1における工作機械70の周囲は、工作機械70毎に異なる。また、工作機械70の特性も工作機械70毎に異なる。そのため、工作機械70毎に異なる監視エリアMRが設定される。よって、制御部210は、工作機械70毎に監視エリアMRを決定し、監視装置10に通知してよい。
【0086】
このような監視エリアMRの第1設定例によれば、監視装置10は、ICタグ50を用いて監視エリアMRを設定できる。また、監視装置10は、監視エリアMRの決定に必要なタグ検出情報を設定支援装置20に提供できる。また、設定支援装置20が主導して監視エリアMRを決定した場合でも、監視装置10は、設定支援装置20からエリア設定情報の提供を受けて、エリア設定情報に基づいて容易に監視エリアMRを設定できる。
【0087】
また、設定支援装置20は、画面上(仮想平面上)で容易にユーザ操作に基づいて、仮想タグ50vを所望に接続して、ユーザが所望する形態(例えば位置、範囲、サイズ、又は形状)となるように、監視エリアを自由に決定できる。また、表示部250や操作部240のようなUIを用いて設定するので、ユーザも監視エリアを直感的に理解し易い。
【0088】
図14は、生産ラインの導入時の監視エリアMRの第2設定例を示すシーケンス図である。図14の開始時には、上述した監視現場C1でのICタグ50の設置は完了している。第2設定例では、ICタグ50のうちの少なくとも1つは、検出エリアDRの外周上つまり外周線DRl上に配置される。なお、図14において、図5に示した処理と同様の処理については、同じステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0089】
まず、監視装置10は、ICタグ検出部121が、ICタグ50毎に、ICタグ50から電波信号を受信し(S11A)、電波信号に基づいて、タグID及びタグ距離情報を検出する(S12A)。なお、ICタグ検出部121は、第1設定例と同様に、水平方向に沿った監視装置10とICタグ50との距離R’を算出してもよい。
【0090】
図15は、タグID及びタグ距離情報を含むタグ検出情報の一例を示す図である。図15に示されたラベルは、タグIDに相当する。図15に示すように、タグ検出情報は、ICタグ50毎に得られる。
【0091】
入出力部140は、データ送信部123からICタグ50毎のタグ検出情報を取得し、設定支援装置20へ出力(例えば送信)する(S13A)。第1設定例と同様に、タグ検出情報に含まれるタグ距離情報の距離は、距離Rであっても距離R’であってもよい。
【0092】
設定支援装置20は、通信部220が、監視装置10からのICタグ50毎のタグ検出情報を受信する(S13A)。制御部210は、取得されたICタグ50毎のタグ検出情報に基づいて、監視エリアMRを決定する監視エリア決定処理を実行する(S14A)。監視エリア決定処理の詳細については後述する。監視エリア決定処理では、エリア設定情報が生成される。通信部220は、エリア設定情報を監視装置10へ送信する(S15)。
【0093】
監視装置10では、入出力部140がエリア設定情報を取得(受信)し、記憶部130がエリア設定情報を保持する(S16)。制御部160は、エリア設定情報に基づいて、監視エリアMRを設定する(S17)。進入検出部110は、投光光及び検出光を用いて、監視エリアMR内の対象物25の進入の有無を検出する(S18)。
【0094】
図16は、図14のステップS14に示した監視エリア決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図16において、図8に示した処理と同様の処理については、同じステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0095】
まず、制御部210は、監視装置10による検出エリアDRの情報を取得する(S31)。
【0096】
制御部210は、各ICタグ50のタグ検出情報と、検出エリアDRの情報と、に基づいて、仮想平面上に、仮想監視装置10vと、仮想タグ50vと、仮想検出エリアDRvとを配置して、表示部250に表示させる(S32A)。仮想タグ50vの表示では、タグIDも表示される。ここで、タグ検出情報にはタグ角度情報が含まれない。そのため、この段階では、仮想監視装置10vに対する各仮想タグ50vの位置は不定であり、表示部250は具体的な位置に各ICタグ50を配置しない。ステップS32Aでは、制御部210は、例えば操作部240を介して、仮想平面における仮想タグICの配置位置を大まかに指定してよい。例えば、この指定操作を行うユーザは、タグ設置者による監視現場C1での各ICタグ50の設置位置を把握しており、この各ICタグ50の設置位置に対応するように、操作部240を介して仮想タグICの配置位置を大まかに指定する。
【0097】
ステップS32Aでは、制御部210は、少なくとも1つのICタグ50が検出エリアDRの外周上に配置されたことに対応して、少なくとも1つの仮想タグ50vを仮想検出エリアDVrの外周上に配置する。
【0098】
図17は、第2設定例における初期表示の一例を示す図である。図17では、各仮想タグ50vは、表示部250に表示された画面の端部に表示されている。この表示状態から、制御部210は、操作部240を介したユーザ操作により、仮想タグICの配置位置を大まかに指定してよい。これにより、上述した図9と同様の表示状態となる。この場合、「A」の仮想タグ50vと「D」の仮想タグ50vとが、仮想エリアDVrの外周上に配置されている。
【0099】
図16に戻り、制御部210は、操作部240を介して、複数の仮想タグ50vのうち、ユーザ所望の2つの仮想タグ50v同士を、線分sbで接続する(S33)。これにより、第1設定例と同様に、1つ以上のタググループTGが形成される。
【0100】
制御部210は、接続された線分sbの両端に対応する隣り合う2つのICタグ50間の距離であるタグ間距離情報を取得する(S33A)。タグ間距離情報は、線分sb毎に得られるので、1つ以上得られる。ここで、タグ間距離情報の取得方法は、第1取得例と第2取得例とが考えられる。なお、制御部210は、線分で接続された2つのICタグ50間のタグ間距離情報だけでなく、線分で接続されていない2つのICタグ50間のタグ間距離情報も取得してもよい。
【0101】
タグ間距離情報の第1取得例は、監視現場C1において、任意の2つのICタグ50間の距離を計測可能(検出可能)である場合に採用可能である。例えば、ICタグ50は、無給電方式のICタグ50と給電方式のICタグ50とがある。給電方式のICタグ50は、他のICタグ50との間で電波信号の通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)が可能である。そのため、例えば「A」のICタグ50が、「B」のICタグ50との間で通信し、「B」のICタグ50からの電波信号に基づいて「A」のICタグ50と「B」のICタグ50との間の距離を検出し、検出された距離の情報をタグ間距離情報として監視装置10に送信してよい。入出力部140は、タグ間距離情報が含められたタグ検出情報を取得し、設定支援装置20に送信する。よって、設定支援装置20は、制御部210が、通信部220を介して監視装置10からタグ検出情報に含まれるタグ間距離情報を取得してよい。
【0102】
タグ間距離情報の第2取得例は、任意の2つのICタグ50間の距離を検出不可能であっても、タグ間距離情報を取得可能である。例えば、タグ設置者が、ICタグ50の設置時に、任意の2つのICタグ50間の距離を、メジャー等を用いて計測しておく。ユーザが、この計測情報をタグ間距離情報として、設定支援装置20に入力する。つまり、設定支援装置20は、制御部210が、操作部240を介したユーザ操作を受け付けることで、タグ間距離情報を取得してもよい。
【0103】
図18は、タグ間距離情報の一例を示す図である。図18では、例えば、「A-B」は、線分sbで接続された2つの仮想タグ50vに対応する2つのICタグ50のタグIDを示しており、「L1」は、「A」のICタグ50と「B」のICタグ50との距離がL1であることを示している。このようなタグ間距離情報が、線分sbで接続された2つのICタグ50毎に取得される。
【0104】
図16に戻り、制御部210は、ステップS32Aで配置された各仮想タグ50vの位置(座標位置)を補正する(S34A)。制御部210は、監視装置10を基準としたタグ距離情報と、タグ間距離情報と、を取得する。そのため、制御部210は、仮想監視装置10vと、線分で接続された2つの仮想タグ50vと、で構成される三角形について、3辺の長さを取得可能である。よって、制御部210は、三角形のそれぞれの内角を算出可能である。よって、制御部210は、三辺測量法等に従って、導出された3辺の長さと3つの角度とに基づいて、各仮想タグ50vの位置(座標位置)を補正してよい。三辺測量法による位置補正の方法は、第1の実施形態と同様でよい。
【0105】
制御部210は、タググループTG毎に、タググループTGの端部に位置し仮想検出エリアDRvの外周上にない仮想タグ50v(基準仮想タグ50vrとも称する)(図19参照)の配置位置を仮想平面上で固定する(S34B)。これにより、基準仮想タグ50vrは、仮想監視装置10vに対する距離及び角度が固定される。
【0106】
制御部210は、タググループTG毎に、基準仮想タグ50vrと、タググループTGに含まれる各仮想タグ50vのタグ距離情報と、に基づいて、タググループTGに含まれる各仮想タグ50vの位置を決定する(S34C)。これにより、タグ検出情報に角度情報が含まれない場合でも、基準仮想タグ50vfの配置位置を基準として、各仮想タグ50vの配置位置を決定できる。
【0107】
図16Bに進み、制御部210は、図8に示したステップS35~S39の処理を行う。これにより、図19に示すように、第1の実施形態と同様の閉領域CAを形成でき、監視エリアMRを決定できる。図19は、第2設定例の監視エリアMRの決定例を示す図である。
【0108】
第1の実施形態と同様に、監視エリア決定処理は、工作機械70毎に実施されてよく、工作機械70毎に異なる監視エリアMRが設定されてよい。よって、制御部210は、工作機械70毎に監視エリアMRを決定し、監視装置10に通知してよい。
【0109】
ここで、基準仮想タグ50vfの位置を固定する理由について考察する。
図20は、タググループTGに属する各仮想タグ50vの位置が不定であることを示す図である。
【0110】
制御部210は、各仮想タグ50vに対応する各ICタグ50のタグ距離情報とタグ間距離情報とを取得している。基準仮想タグTGの位置を固定しない場合、制御部210は、距離に関する情報のみを把握しているので、監視装置10からの距離を基準に、各仮想タグ50vの位置が定められる。この場合、仮想監視装置10vと仮想タグ50vとの距離を維持したまま角度が定まっていないので、仮想監視装置10vを中心Oとした半径の円の周囲のいずれの位置にも配置可能となる。これに対し、制御部210は、基準仮想タグ50vfの位置を固定することで、基準仮想タグ50vfの位置との位置関係により、同じタググループTGの他の各仮想タグ50vの位置を決定可能である。
【0111】
なお、ここでは、基準仮想タグ50vfの位置が仮想検出エリアDRvの外周上に位置することを例示したが、これに限られない。例えば、基準仮想タグ50vfが、仮想検出エリアDRvの範囲内の任意の位置であってもよい。例えば、図19における「B」の仮想タグ50v又は「E」の仮想タグ50v等が基準仮想タグ50vfとなって位置が固定されてもよい。この場合でも、設定支援装置20は、基準仮想タグ50vfの位置との位置関係により、同じタググループTGの他の各仮想タグ50vの位置を決定可能である。
【0112】
このような監視エリアMRの第2設定例によれば、監視装置10は、タグ角度情報を含まないタグ検出情報を設定支援装置20に提供するので、監視エリアMRの決定に必要な最小限の情報を検出すればよく、ICタグ情報処理部120の負担を低減できる。
【0113】
また、設定支援装置20は、タグ検出情報にタグ角度情報が含まれなくても、各仮想タグ50vを配置可能である。また、設定支援装置20は、仮想検出エリアDVrの外周上に配置された仮想タグ50vの配置位置が、距離情報が示す距離を半径とする円上のどこか決まらないことを抑制できる。また、1点が仮想検出エリアDVrの外周上に定まることで、線分sbで接続された他の各仮想タグ50vの位置が不定となることも抑制できる。
【0114】
<監視エリアの簡易設定>
次に、監視エリアMRの簡易設定について説明する。
【0115】
監視装置10は、生産ラインの導入時に、監視エリアMRを設定するためのエリア設定情報を記憶部130に保持する。生産ラインの導入後の任意のタイミングでは、監視装置10は、記憶部130に保持されたエリア設定情報を用いて、監視エリアMRの簡易設定を行うことができる。
【0116】
ここでは一例として、生産ラインに含まれる複数の工作機械70の間をロボット装置30が移動して使用される場合の監視エリアMRの簡易設定について主に説明する。図21は、複数の工作機械70間をロボット装置30が移動することを示す図である。
【0117】
監視エリアMRの簡易設定に際し、監視エリア決定処理は、監視装置10により実行されても設定支援装置20により実行されてもよい。
【0118】
まず、監視装置10が、監視エリア決定処理を含めて、監視エリアMRの簡易設定を行うことについて説明する。
【0119】
図22は、複数の工作機械70間のロボット装置30の移動時の監視エリアMRの簡易設定の第1例を示すフローチャートである。図22の開始時には、上述した監視現場C1でのICタグ50の設置は完了している。また、記憶部130には、工作機械70毎のエリア設定情報が保持されている。
【0120】
まず、監視装置10は、ステップS41,S42において、図14に示したステップS11,S12Aと同様の処理を実施する。なお、ICタグ検出部121は、図5に示した第1設定例と同様に、水平方向に沿った監視装置10とICタグ50との距離R’を算出してもよい。制御部160は、監視エリア決定処理を実行する(S50)。
【0121】
制御部160は、決定されたエリア設定情報を記憶部130に保持させる(S43)。制御部160は、エリア設定情報に基づいて、監視エリアMRを設定する(S44)。進入検出部110は、投光光及び検出光を用いて、監視エリアMR内の対象物25の進入の有無を検出する(S45)。
【0122】
図23は、ステップS50に示した監視エリア決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0123】
まず、エリア認識部122は、ICタグ情報処理部120から、タグID及びタグ距離情報を含むタグ検出情報を取得する(S51)。エリア認識部122は、タグ検出情報に含まれる各ICタグ50のタグIDに基づいて、1つの工作機械70に対応するエリア設定情報を判定する(S52)。この場合、エリア認識部122は、取得されたタグ検出情報に含まれるいずれかのタグIDと、記憶部130に保持された工作機械毎のエリア設定情報に含まれるいずれかのタグIDと、が一致するか否かを判定してよい。制御部160は、一致すると判定されたタグIDを含むエリア設定情報を、記憶部130から取得する。つまり、ステップS52では、エリア認識部122が、監視対象が、どの工作機械70の周囲であるかを特定しているとも言える。
【0124】
図24は、タグ検出情報I1と工作機械70毎のエリア設定情報I21,I22とを比較する例を示す図である。タグ検出情報I1は、タグIDとして「A」~「F」を有する。エリア設定情報I21は、タグIDとして「A」~「F」を有する。エリア設定情報I22は、タグIDとして「G」~「L」を有する。よって、制御部160は、例えばタグIDが一致している「A」を含むエリア設定情報I21を、記憶部130から取得する。なお、工作機械70の周囲に設置されるICタグ50のタグIDは、どの工作機械70の周囲に設置されているかを判別可能とするべく、工作機械70毎に異なっている。
【0125】
図23に戻り、制御部160は、タグ検出情報に基づいて、(今回)検出された各ICタグ50の位置(検出位置)を補正する(S53)。この補正は、前述した第2設定例における位置補正(例えば図16のステップS34A)と同様である。例えば、制御部160は、タグ間距離情報を取得し、タグ検出情報とタグ間距離情報に基づいて、三辺測量法に従って、各ICタグ50の検出位置を補正してよい。
【0126】
図25は、タグ検出情報I1に基づく各ICタグ50の位置を示す配置情報P1と、選択されたエリア設定情報I21に基づく各ICタグ50の位置を示す配置情報P21と、を示すイメージ図である。図24に示すように、タグ検出情報I1に基づく配置情報P1と、タグ検出情報I21に基づく配置情報P21とは、各ICタグ50の位置が多少異なっている。これは、例えば、ロボット装置30が工作機械70Aから工作機械70Bの位置に移動し、その後再び工作機械70Aの位置に戻る場合に、移動前に工作機械70Aに設置されていた位置から多少ずれた位置に、ロボット装置30が設置されることに起因する。
【0127】
図23に戻り、制御部160は、エリア設定情報I21に基づく各ICタグ50の位置(登録位置)と、検出された各ICタグ50の位置(検出位置)と、の位置ずれを算出する(S54)。前述したように、工作機械70に対するロボット装置30の位置が多少ずれることがある。また、ICタグ50の設置位置は、設置後には不変である。よって、各ICタグ50についての登録された位置と検出された位置とは、同様に位置ずれする。そのため、制御部160は、少なくとも1つのICタグ50の登録位置と検出位置との位置ずれを検出すればよい。
【0128】
制御部160は、算出された位置ずれに基づいて、エリア設定情報I21に含まれる監視エリアMRの形状の位置関係を維持して、監視エリアMRの位置を補正することで、新たな監視エリアMRを決定する(S55)。つまり、制御部160は、各ICタグ50の登録位置が検出位置の方向に移動するように監視エリアMRの位置を補正することで、各ICタグ50の検出位置に対応する監視エリアMRを決定する。この場合、制御部160が、例えば各ICタグ50の登録位置が検出位置に一致するように監視エリアMRの位置を補正する場合、新たな監視エリアMRの外周部に各ICタグ50の検出位置が配置されることになる。なお、制御部160は、監視エリアMRの位置の代わりに、又は監視エリアMRの位置とともに、監視エリアMRの角度を補正してもよい。
【0129】
図26は、監視エリアMRの位置の補正例を示す図である。図26は、配置情報P21が配置情報P31に補正されることを示している。配置情報P21は、図25の配置情報P21と同じである。配置情報P31は、配置情報P21に示された各ICタグ50、及び監視エリアMR(防護エリアMR1及び警戒エリアMR2)の位置が補正により移動していることを示している。これにより、監視装置10は、今回検出された監視装置10に対する各ICタグ50の位置にあった監視エリアMRを容易に決定できる。
【0130】
制御部160は、決定された新たな監視エリアMRに基づいて、新たなエリア設定情報を生成する。生成された新たなエリア設定情報は、図22のステップS43において記憶部130に保持される。
【0131】
このような監視エリアMRの簡易設定によれば、監視装置10が、今回検出されたICタグ50のタグ検出情報と、過去に生成された工作機械70毎のエリア設定情報と、を用いることで、今回の監視装置10の位置に適した監視エリアMRを容易に決定できる。また、監視装置10が具体的な監視エリア決定処理まで実施することで、1つの装置で監視エリアMRの簡易設定を完結できる。また、監視装置10は、新たな監視エリアMRの設定について、前述の第1設定例又は第2設定例のような全ての処理を行うことを不要にできる。また、監視現場C1が監視装置10の位置を工作機械70に対して移動する際に毎回正確に移動させることが不要となるので、作業者の負担を低減できる。
【0132】
次に、設定支援装置20が監視エリア決定処理を行うことで、監視装置10及び設定支援装置20が協働して監視エリアMRの簡易設定を行うことについて説明する。
【0133】
図27は、複数の工作機械70間のロボット装置30の移動時の監視エリアMRの簡易設定の第2例を示すシーケンス図である。図22の開始時には、上述した監視現場C1でのICタグ50の設置は完了している。また、記憶部130には、工作機械70毎のエリア設定情報が保持されている。なお、図27において、図22に示した処理と同様の処理については、同一のステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0134】
まず、監視装置10は、図22に示したステップS41,42の処理を行う。入出力部140は、得られたICタグ50毎のタグ検出情報と、工作機械70毎のエリア設定情報を設定支援装置20に送信する(S61)。
【0135】
設定支援装置20では、通信部220が、ICタグ50毎のタグ検出情報と、工作機械70毎のエリア設定情報と、を監視装置10から受信する(S61)。そして、制御部210が、監視エリア決定処理を実行する(S50A)。この監視エリア決定処理は、図23に示した監視エリア決定処理と比較すると、各処理の動作主体が異なっている。つまり、監視装置10の制御部160ではなく、設定支援装置20の制御部210が、監視エリア決定処理を行う。動作主体が異なること以外は、ステップS50つまりステップS51~S55と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0136】
通信部220は、監視エリア決定処理によって生成された新たなエリア設定情報を監視装置10に送信する(S62)。その後、監視装置10は、図22に示したステップS43~S45の処理を行う。
【0137】
このような監視エリアMRの簡易設定によれば、設定支援装置20が、今回検出されたICタグ50のタグ検出情報と、過去に生成された工作機械70毎のエリア設定情報と、を用いることで、今回の監視装置10の位置に適した監視エリアMRを容易に決定できる。また、監視装置10が具体的な監視エリア決定処理を行うことを不要にでき、監視装置10の負担を低減して、監視エリアMRの簡易設定を支援できる。
【0138】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0139】
上記実施形態では、監視装置10がICタグ情報処理部120を備えることを説明したが、これに限られない。監視システム5は、監視装置10とは別体で、ICタグ情報処理部120を備える情報処理装置を備えてもよい。この場合、監視装置10と情報処理装置とが通信可能に接続され、ICタグ50から得られた各種情報を監視装置10が取得できればよく、ICタグ50への各種情報を監視装置10からICタグ50へ情報処理装置を介して送信できればよい。
【0140】
上記実施形態では、座標位置の補正を行うことを例示したが、これに限られない。例えば、図8のステップS34、図16のステップS34、及び図23のステップS53の処理は省略されてもよい。
【0141】
監視エリアMRの簡易設定は、複数の工作機械70間の移動時のみに適用されるのではなく、1つの工作機械70に対する作業位置が複数個所ある場合に、それぞれの作業位置を移動する際にも適用可能である。また、図22等の動作例では、タグ検出情報にタグ角度情報が含まれないことを例示したが、図8等の第1設定例と同様に、タグ検出情報にタグ角度が含まれる場合でも適用可能である。
【0142】
上記実施形態では、CPU等のプロセッサは、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサの設計の自由度を高めることができる。プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、上記実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサを構成すると考えることができる。また、プロセッサは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。また、複数のプロセッサが1つの半導体チップで構成されてもよい。
【0143】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0144】
以上のように、上記実施形態の監視装置10は、監視エリアMRへの進入を監視する。監視装置10は、監視装置10により検出可能な検出エリアDRに固定配置されたICタグ50から電波を受信する受信部(例えばICタグ検出部121)と、電波に基づいて、ICタグ50毎に、監視装置10に対するICタグ50の位置を示すタグ位置情報を検出するタグ情報検出部(例えばICタグ検出部121)と、ICタグ50毎のタグ位置情報を含むタグ検出情報を、監視エリアMRの設定を支援する設定支援装置20に出力する出力部(例えば入出力部140)と、監視エリアMRを設定するためのエリア設定情報を設定支援装置20から受信する(取得する)受信部(例えば入出力部140)と、エリア設定情報に基づいて、監視エリアMRを設定する制御部160と、を備える。
【0145】
これにより、監視装置10は、ICタグ50を用いて監視エリアMRを設定できる。また、監視装置10は、固定配置されたICタグ50を用いて監視エリアMRの基準点となるタグ位置情報を容易に取得できるので、例えば監視エリアMRの設定時にエリア設定者が監視現場C1を移動することが不要であり、エリア設定者の負担を低減できる。
【0146】
また、タグ情報検出部は、ICタグ50を識別するタグ識別情報を検出してよく、タグ検出情報は、タグ識別情報を含んでよい。また、監視装置10とICタグ50との距離を示すタグ距離情報を含んでよい。また、監視装置10とICタグ50との距離を示すタグ距離情報と、監視装置10に対するICタグ50の角度を示すタグ角度情報と、を含んでよい。これにより、監視エリアMRの設定に必要となる情報を設定支援装置20に提供できる。
【0147】
また、監視装置10は、記憶部130を備えてよい。受信部は、監視装置10が配置される複数の工作機械70のそれぞれに対応した複数のエリア設定情報を受信してよい。記憶部130は、複数のエリア設定情報を記憶してよい。これにより、監視装置10は、工作機械70毎に異なる監視エリアを設定可能である。
【0148】
また、制御部160は、タグ情報検出部により検出されたいずれかのタグ識別情報と、記憶部130に記憶された複数のエリア設定情報に含まれるいずれかのICタグの識別情報と、が一致する場合、記憶部130から、一致したICタグ50の識別情報を含むエリア設定情報を取得し、取得されたエリア設定情報に基づいて、監視エリアMRを設定してよい。
【0149】
工作機械70毎に、周囲に配置されたICタグ50の位置は変更されていない。この場合、監視装置10は、以前に監視エリアMRが設定されていた工作機械70付近に監視装置10が配置される場合には、以前の監視エリアMRのエリア設定情報を選択することで、容易に監視エリアMRを再設定できる。
【0150】
また、制御部160は、タグ情報検出部により検出されたICタグ50毎のタグ位置情報と、取得されたエリア設定情報に含まれるICタグ50毎のタグ位置情報と、に基づいて、設定された監視エリアMRの形状を維持して監視エリアMRを補正してよい。
【0151】
これにより、監視装置10は、ICタグ50毎の検出情報(今回の検出情報)と、同じICタグ50毎の登録情報(過去の検出情報)とを比較して補正することで、例えば検出情報と登録情報との位置ずれを抑制できる。よって、監視装置10は、今回の監視装置10に対する各ICタグ50の位置に一層適した監視エリアMRを設定できる。
【0152】
また、監視装置10は、監視装置10の周囲の各検出方向に投光光を投光する投光部111と、投光光が対象物25により反射又は散乱された検出光を受光する受光部113と、検出光に基づいて、対象物25の位置を認識する認識部(例えば測距部115)と、監視エリアMR内に対象物25が位置する場合、監視エリアMRへの対象物25の進入を検出する進入検出部110と、を備えてよい。
【0153】
これにより、監視装置10は、設定された監視エリアMR内への進入を検出でき、監視エリアMR内の安全性を確保できる。
【0154】
上記実施形態の設定支援装置20は、監視装置10により監視される監視エリアMRの設定を支援する。設定支援装置20は、監視装置10により検出可能な検出エリアDRに固定配置されたICタグ50毎に、監視装置10に対するICタグ50の位置を示すタグ位置情報を含むタグ検出情報を受信する(取得する)受信部(例えば通信部220)と、ICタグ50毎のタグ検出情報に基づいて、各ICタグ50の位置を監視エリアMRの外周上の点とする監視エリアMRを決定する制御部210と、を備える。
【0155】
これにより、設定支援装置20は、ICタグ50の情報(例えばタグ位置情報)を用いて監視エリアMRを決定して、監視エリアMRの設定を支援できる。設定支援装置20は、固定配置されたICタグ50を用いて、監視エリアMRの基準点となるタグ位置情報を容易に取得できるので、例えば監視エリアMRの設定時にエリア設定者が監視現場C1を移動することが不要であり、エリア設定者の負担を低減できる。
【0156】
また、設定支援装置20は、操作部240と、表示部250と、を備えてよい。ICタグ50毎のタグ検出情報は、ICタグ50を識別するタグ識別情報を含んでよい。制御部210は、監視装置10により検出可能な検出エリアMRの情報を取得してよい。制御部210は、検出エリアDRの情報とタグ検出情報とに基づいて、監視装置10に対応する仮想監視装置10vと、各ICタグ50に対応する各仮想タグ50vと、検出エリアDRに対応する仮想検出エリアDRvと、を仮想平面上に配置して表示部250に表示させてよい。制御部210は、操作部240を介して、配置された複数の仮想タグ50vのうち、少なくとも2つの仮想タグ50vを線分sbで接続してよい。制御部210は、線分sbと線分sbで接続された各仮想タグ50vとを、閉領域CAの外周の少なくとも一部とする閉領域CAを生成し、閉領域CAに基づいて、監視エリアMRを決定してよい。
【0157】
これにより、設定支援装置20は、画面上で容易にユーザ操作に基づいて、仮想タグ50vを所望に接続して、ユーザが所望する形態(例えば位置、範囲、サイズ、又は形状)となるように、監視エリアMRを自由に決定できる。また、ユーザは、表示部250や操作部240のようなUIを用いて監視エリアMRを決定するので、監視エリアMRを直感的に理解し易い。
【0158】
また、タグ位置情報は、監視装置10とICタグ50との距離を示すタグ距離情報と、監視装置10に対するICタグ50の角度を示すタグ角度情報と、を含んでよい。制御部210は、ICタグ50毎のタグ距離情報及びタグ角度情報に基づいて、各仮想タグ50vを配置し、各仮想タグ50vの位置に基づいて、監視エリアMRを決定してよい。
【0159】
これにより、設定支援装置20は、タグ角度情報とタグ距離情報を用いることで、各仮想タグ50vの配置位置を演算によって1点に決定でき、ユーザの負担を低減できる。
【0160】
また、タグ位置情報は、監視装置10とICタグ50との距離を示すタグ距離情報を含んでよい。制御部210は、線分sbで接続された複数の仮想タグ50vのそれぞれの間の距離を示すタグ間距離情報を取得してよい。制御部210は、操作部240を介して、仮想平面上に配置された各仮想タグ50vのうちの少なくとも1つの仮想タグ50vを、仮想検出エリアDRvの外周上に配置するよう指定してよい。制御部210は、タグ距離情報と、タグ間距離情報と、仮想検出エリアDRvの外周上に配置された仮想タグ50vの位置と、に基づいて、各仮想タグ50vを配置し、各仮想タグ50vの位置に基づいて、監視エリアMRを決定してよい。
【0161】
これにより、設定支援装置20は、仮想検出エリアDRvの外周上に配置された仮想タグ50vの配置位置が、この仮想タグ50vに対応するICタグ50のタグ距離情報が示す距離に対応する長さを半径とする円上のいずれの位置であるか決まらないことを抑制できる。また、設定支援装置20は、仮想タグ50vのうちの少なくとも1点が仮想検出エリアDVrの外周上に定まることで、線分sbで接続された他の各仮想タグ50vの位置が不定となることも抑制できる。したがって、設定支援装置20は、タグ角度情報を取得しなくても、各仮想タグ50vを仮想平面上に配置可能であり、ユーザの負担を低減できる。
【0162】
また、制御部210は、タグ検出情報に含まれる各ICタグ50の個別のタグ位置情報に基づいて、各仮想タグ50vの相対的な位置関係を算出し、各仮想タグ50vの相対的な位置関係に基づいて、各仮想タグ50vの少なくとも1つの位置を補正してよい。
【0163】
これにより、設定支援装置20は、三辺測量法等の各種演算により、各仮想タグ50vの相対的な位置関係のずれを検出できる。設定支援装置20は、この相対的な位置関係のずれが低減するように、各仮想タグ50vの配置位置を補正することで、監視エリアMRの形態を一層高精度に決定できる。
【0164】
また、閉領域CAの外周は、仮想検出エリアDRvの外周の少なくとも一部を含んでよい。これにより、設定支援装置20は、仮想検出エリアDRvの外周線DRlも利用して閉領域CAを生成でき、線分sbを接続するユーザの負担を低減できる。
【0165】
また、制御部210は、線分sbと、線分sbで接続された仮想タグ50vと、仮想検出エリアDRvの外周の少なくとも一部と、により閉領域CAが形成されない場合、線分sbの端部に対応し仮想検出エリアDRvの外周上に位置しない仮想タグ50vと、仮想検出エリアDRvの外周上の点と、を接続する線分sbである外周接続線分(線分sbl)を追加して、閉領域CAを生成してよい。
【0166】
これにより、設定支援装置20は、ユーザ操作により生成された線分sbだけでは閉領域CAが形成されない場合でも、線分sbの端部にある仮想タグ50vから外周接続線分を自動追加することで、閉領域CAを生成可能である。よって、設定支援装置20は、線分sbを接続するユーザの負担を低減できる。
【0167】
また、監視エリアMRは、監視領域MR内に監視方式の異なる複数の監視エリアMR1,MR2を含んでよい。制御部210は、閉領域CAが複数形成された場合、複数の閉領域CAに基づいて、監視方式が異なる複数の監視エリアMR1,MR2を決定してよい。
【0168】
これにより、設定支援装置20は、ユーザ操作により任意の仮想タグ50v間を線分sbで接続することにより、複数の閉領域CAを生成可能である。また、設定支援装置20は、複数の閉領域CAに対して監視方式に従う監視エリアMRとして決定可能であり、様々な監視方式の監視エリアMRを容易に生成できる。
【0169】
また、設定支援装置20は、制御部210により決定された監視エリアMRを設定するためのエリア設定情報を監視装置10に出力する出力部(例えば通信部220)、を備えてよい。
【0170】
これにより、監視装置10は、設定支援装置20により決定された監視エリアMRを設定し、監視エリアMR内を監視可能である。また、設定支援装置20は、監視エリアMRの決定を主導して行うことで、監視装置10による監視エリアMRの設定に係る処理負荷を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、監視エリアを設定するエリア設定者の負担を低減できる監視装置、設定支援装置、エリア設定方法、及び設定支援方法等に有用である。
【符号の説明】
【0172】
10 監視装置
10v 仮想監視装置
20 設定支援装置
25 対象物
30 ロボット装置
31 ベース
32 ロボットアーム
50 ICタグ
50v 仮想タグ
50vf 基準仮想タグ
70,70A,70B 工作機械
80 外部機器
110 進入検出部
111 投光部
112 投光制御部
113 受光部
114 距離算出部
115 測距部
116 進入検知部
120 ICタグ情報処理部
121 ICタグ検出部
122 エリア認識部
123 データ送信部
130 記憶部
140 入出力部
150 回転機構部
160 制御部
210 制御部
220 通信部
230 記憶部
240 操作部
250 表示部
C1 監視現場
CA 閉領域
CA1 防護閉領域
CA2 警戒閉領域
DR 検出エリア
DRv 仮想検出エリア
H1 作業者
I1 タグ検出情報
I21,I22 エリア設定情報
MR 監視エリア
MR1 防護エリア
MR2 警戒エリア
P1,P21,P31 配置情報
sb,sbl 線分
TG,TGA,TGB タググループ
図1
図2A
図2B
図3
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図16A
図16B
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