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  • 特開-通信端末および通信システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074462
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】通信端末および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H04L25/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134205
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2021186833
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒見 隼也
(72)【発明者】
【氏名】小伊勢 祥二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
(72)【発明者】
【氏名】森田 一成
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029DD24
5K029JJ08
(57)【要約】
【課題】複数の通信端末を有する通信システムにおいて、電圧信号の減衰を防止でき、且つ反射波の影響を受けにくい通信端末、および通信システムを提供する。
【解決手段】通信端末100は、所定の第1の基準電圧に電圧が重畳された電圧信号を信号線60を介して送信する。通信端末100は、所定の第1の基準電圧に電圧が重畳された電圧信号によりデータを送信する期間T0の間、通信端末100の出力インピーダンスを切替えるインピーダンス調整回路120を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1の基準電圧に電圧が重畳された電圧信号を信号線を介して送信する通信端末であって、
前記電圧信号によりデータを送信する期間、出力インピーダンスを切替えるインピーダンス調整回路を有する
通信端末。
【請求項2】
前記インピーダンス調整回路は、前記データの送信が終了した後に動作を停止する、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記インピーダンス調整回路は、前記データの送信を開始するより前から動作を開始する、
請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記インピーダンス調整回路は、前記出力インピーダンスを前記信号線の特性インピーダンスに切替える、
請求項1~3の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記インピーダンス調整回路は、
インピーダンス調整素子を有し、
前記インピーダンス調整素子は、前記信号線の一方に一端を接続され、他端をスイッチを介して前記通信端末が有する電源回路の所定の電圧に接続される、
請求項1~4の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項6】
前記インピーダンス調整回路は、前記インピーダンス調整素子に直列に接続される直流カット用のコンデンサを有する、
請求項1~5の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項7】
前記電源回路の所定の電圧は、前記第1の基準電圧と異なる電圧である、
請求項1~6の何れか一項に記載の通信端末。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の通信端末と、
前記通信端末から送信された前記データを受信する1以上の受信端末と、
を備える通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信端末および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から2線式の信号線によって負荷制御を行う通信システムが普及している。この通信システムは、中央制御装置としての親機である送信端末と、スイッチ等の通信端末を2線式の信号線で相互に接続して構成されている。この通信システムは、2線式の信号線の接続や分岐、通信端末の配置が自由であるという特徴(フリー・トポロジーと呼ばれる)を有し、フレキシブルなシステム構成が可能である。当該通信システムによれば、大規模な建物において少ない配線で通信システムが実現できる。特許文献1には、通信システムの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-204638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信システムにおいて、通信端末数の増加や高速大容量通信の要請が存在し、この対応として、送信端末から送信する信号周波数を高周波化することが考えられる。しかし、信号周波数が高周波化すると、信号線と、送信端末あるいは通信端末の間のインピーダンスの不整合によって、反射波の影響が無視できなくなる。反射波の影響により、通信端末で信号の読取の誤りが発生するようになる。
【0005】
高周波信号における反射波の抑制には、通常はインピーダンス整合が取られる。具体的には、受信端末に伝送線路の特性インピーダンスと同等のインピーダンスを接続(終端)して、反射波の影響を押さえる。しかし、通信システムは複数の受信端末を有するために、通信システムに接続される個々の機器が終端を行うと、電圧信号が減衰して、信号を読み取れないおそれがあった。
【0006】
本開示の目的は、複数の通信端末を有する通信システムにおいて、電圧信号の減衰を防止でき、且つ反射波の影響を受けにくい通信端末および通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る通信端末は、所定の第1の基準電圧に電圧が重畳された電圧信号を信号線を介して送信する。通信端末は、所定の第1の基準電圧に電圧が重畳された電圧信号によりデータを送信する期間、通信端末の出力インピーダンスを切替えるインピーダンス調整回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の通信端末によれば、複数の通信端末を有する通信システムにおいて、電圧信号の減衰が防止でき、且つ反射波の影響を受けにくい通信端末および通信システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の通信システムの構成図である。
図2】実施形態の通信端末を有する通信システムの構成図である。
図3】実施形態に係るインピーダンス調整回路の一例の回路図である。
図4】実施形態の通信端末におけるインピーダンス調整回路の動作タイミングを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。また、以下で説明する実施形態および変形例の構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0011】
初めに本開示の通信端末を使用する通信システムの全体構成と概略動作について説明する。
【0012】
図1は、通信システム10の構成図である。通信システム10は、伝送ユニット20、通信端末30としてのスイッチ31およびターミナルユニット32を備える。ターミナルユニット32には、リレー40a~40dを介して照明器具50a~50dが接続されている。照明器具50a~50dは、通信システム10における制御対象である。なお、通信システム10は、これらの機器の他にも、他のスイッチ、他のターミナルユニット、他の制御対象等が接続され得るが、図示を省略している。通信システム10は、伝送ユニット20が中心となって、通信システム10における制御対象である照明器具50a~50d等の制御が可能なシステムである。照明器具の制御とは、照明器具のオンオフ制御、調光制御、シーン制御、監視制御等である。シーン制御とは、照明器具の和室、洋室、寝室、書斎等の設置場所、朝、昼、夜、食事時間、団らん時間等の照明器具が使用される状況に応じて照明器具を調光調色制御することである。監視制御とは、照明器具の制御状態を監視することである。なお、これらの制御は、スイッチ31への操作によって行うことができる。
【0013】
通信システム10は、例えば、時分割の多重伝送方式が採用されており、信号線60は、2線式の有線で構成される。信号線60において、2線間の電位差によるパルス信号によって信号(情報)が伝送される。また、通信システム10では、例えば、サイクリック伝送方式が採用されており、伝送ユニット20から送信された信号は、信号線60に接続された全ての機器を通過していく。各機器は、当該信号の内容を確認し、内容に応じて当該信号を必要とする機器が当該信号を受信する。例えば、各機器は、当該信号に自身のアドレス情報が含まれている場合には当該信号を受信し、自身のアドレス情報が含まれていない場合には当該信号を無視する。このように、信号線60に接続された機器は、伝送ユニット20から送信された自身を宛先としない信号であっても、その内容を確認することができる。
【0014】
伝送ユニット20は、通信システム10において、中心となって動作する親機コントローラである。伝送ユニット20は、信号線60に接続されたスイッチ31からの信号をターミナルユニット32に送信する。図1におけるスイッチ31、およびターミナルユニット32は、本開示における通信端末30である。尚、伝送ユニット20は、更に上位システムと接続するアダプタ機能を有してもよい。上位システムからの信号を基に、配下の機器を制御する構成としてもよい。
【0015】
スイッチ31は、ユーザが照明器具50a~50dの制御(オン、オフ、調光等)を行うために設けられた壁スイッチ等である。例えば、スイッチ31は、図1に示されるように、4つの操作部31a~31dを有している。各操作部は例えばオン状態およびオフ状態の2つの状態を有しており、ユーザが操作することで各操作部に対応する照明器具をオンオフすることができる。
【0016】
例えば、各操作部には、アドレス情報が割り振られており、アドレス情報と照明器具が1対1に対応するように対応づけられている。
【0017】
ターミナルユニット32は、伝送ユニット20から送信された信号をリレー40a~40dへ送信する機器である。ターミナルユニット32は、複数の端子を有し、当該複数の端子にリレー40a~40dが接続されている。
【0018】
リレー40a~40dは、それぞれに接続された照明器具50a~50dへの電力供給のオンおよびオフを切り替えるスイッチである。例えば、各リレーは、ターミナルユニット32から電力供給をオンする指示を受けた場合、自身に接続された照明器具への電力供給をオンし、電力供給をオフする指示を受けた場合、自身に接続された照明器具への電力供給をオフする。なお、ターミナルユニット32とリレー40a~40dとは一体に形成されていてもよい。
【0019】
また、ターミナルユニット32とリレー40a~40dに代えて、DALI(登録商標)方式のプロトコル変換アダプタとし、プロトコル変換アダプタと複数の照明器具50a~50dを通信線を介して接続するように構成してもよい。
【0020】
照明器具50a~50dは、例えば、施設におけるフロアの天井等に設けられる。各照明器具は、例えば、伝送ユニット20からの信号によって、点灯および消灯の切り替え、並びに、調光率(明るさ)の変更が可能となっている。照明器具の光源は、LED、蛍光灯等あるが、特に限定されない。
【0021】
このような通信システム10によれば、制御対象とスイッチ31とを一対一に接続する配線が不要となる。通信システム10では、2線からなる信号線60のみでよい。これにより、例えば、大規模な建物において通信システム10における配線を少なくすることができる。
【0022】
以上、通信システム10において、制御対象を照明器具に適用した例を説明したが、制御対象は、照明器具に限らない。通信システム10は、空調設備等、他の機器を制御する様に構成してもよい。
【0023】
通信システム10において、接続端末の数を増加させる、あるいは、端末間での信号の情報を増加させる場合、システムのレスポンスを維持するために、信号の周波数を高周波化する対応がとられる。信号線で送信する電圧信号を高周波化すると、反射波による影響が顕在化してくる。
【0024】
従来は、通信システムに接続されるそれぞれの通信端末がインピーダンス整合回路を入力側に備えることで、反射波の影響を防止していた。しかし、従来の課題で説明したように、通信端末の数が増えると、伝送ユニットから送られる電圧信号が減衰し、信号が読み取れないおそれがある。本開示における通信端末は、反射波による影響を受けることなく、信号の減衰も抑制する構成を有している。
【0025】
図2に本実施形態の通信端末100を含む通信システム10の構成図を示す。以降の説明において、図1に示す通信システム10における通信端末30の内、信号を送信する端末を通信端末100とし、信号を受信する端末を受信端末300-1~300-2とし、各受信端末300-1、300-2に接続される信号線をそれぞれ伝送線路600-1、600-2として説明する。尚、図1に示した通信端末30は何れも信号を送信する場合は、通信端末100となり、信号を送信しない場合は、受信端末300-1等として動作する。本実施形態の通信端末100及び受信端末300-1、300-2は何れも、入力に終端抵抗を備えていない。これによって、従来の課題であった電圧信号の減衰を防ぐことができる。尚、受信端末は300-1、300-2のみを示しているが、更に複数の受信端末を有していても良いことはもちろんである。
【0026】
本実施形態の通信システム10においては、通信端末100の出力インピーダンスを調整することにより反射波の抑制を行うものである。但し、常にインピーダンス調整を行うことは、低いインピーダンスが常時伝送線路に接続されることになり、伝送線路へ影響を及ぼすおそれがある。そこで、本実施形態の通信システム10においては、電圧信号Vs1を送信している期間、出力インピーダンスを調整する構成を取っている。
【0027】
本実施形態の通信端末100は、送信回路110とインピーダンス調整回路120を有している。インピーダンスR1は、通信端末100の入力インピーダンスである。具体的には、インピーダンスR1は、通信端末100が備える電源回路のインピーダンスに相当し、高インピーダンスに設定されている。
【0028】
送信回路110は、電圧信号Vs1を送信するための回路である。送信回路110は、通信システム10において、伝送ユニット20、通信端末100、受信端末300-1、300-2の全てが同様の構成を備えている。
【0029】
送信回路110は、図示しない第1の基準電圧VHに電圧を重畳した電圧信号Vs1を生成し、出力インピーダンスRtxを介して、伝送線路600-3に出力する。電圧信号Vs1は、例えば、第1の基準電圧VHから負に振れる電圧を重畳した電圧信号である。出力インピーダンスRtxは、通信端末100の送信回路110の構成によって決まるインピーダンスである。
【0030】
送信回路110は、等価的に出力インピーダンスRtxとスイッチング素子Tr1の直列回路により構成されている。送信回路110が電圧信号Vs1を送信するときには、マイコン等によって生成されたシリアル信号V_Rxにより、スイッチング素子Tr1をオンオフさせることにより、シリアル信号V_Rxに同期した電圧信号Vs1が、伝送線路600-3に出力される。
【0031】
インピーダンス調整回路120は、インピーダンス調整素子Raとスイッチング素子Tr2と基準電圧Vupにより構成され、送信回路110に並列に接続されている。インピーダンス調整回路120は、通信端末100内の図示しない電源回路内の所定の基準電圧Vupからスイッチング素子Tr2を介してインピーダンス調整素子Raを送信回路110に並列に接続するための回路である。基準電圧Vupは第1の基準電圧VHと同じ値としてもよいし、通信端末100の電源回路内の別の基準電圧としてもよい。スイッチング素子Tr2は、インピーダンス調整制御信号Vaによって、電圧信号Vs1を送信する期間にオンするように構成されている。後述するように、インピーダンス調整制御信号Vaは、通信端末100の制御回路を構成するマイコン等によって、シリアル信号V_Rxとタイミングを合わせて生成される。インピーダンス調整回路120は、インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベル(高電位)のとき、アクティブ(動作状態)になり、ローレベル(低電位)のとき非アクティブ(停止状態)になる。具体的には、インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベルのときに、スイッチング素子Tr2がオンとなり、基準電圧Vupがインピーダンス調整素子Raを介して、送信回路110の一端に接続されることで、通信端末100の出力インピーダンスが調整される。
【0032】
インピーダンス調整素子Raは、インピーダンスRtxに比べて十分に大きい値に設定されている。従って、インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベルとなり、スイッチング素子Tr2がオンすると、出力端子T1には、インピーダンスRaを介して、基準電圧Vupが出力されることになる。
【0033】
インピーダンス調整素子Raは、伝送線路600-3の特性インピーダンスR0と同等であることが好ましい。各受信端末300-1、300-2からの反射波は、通信端末100に入力される。従って、インピーダンス調整素子Raを特性インピーダンスR0と合わせることにより、通信端末100は、反射波を出力しなくなるため、電圧信号Vs1を歪ませることが無く、正常なデータ送信が可能となる。但し、インピーダンス調整素子Raは、完全に特性インピーダンスR0と一致させる必要は無い。各受信端末300-1、300-2における電圧信号Vs1の読取に影響を及ぼさない程度のインピーダンスの誤差は許容される。
【0034】
本実施形態のインピーダンス調整回路120が動作状態において、通信端末100の出力インピーダンスは、スイッチング素子Tr1がオンのときには、インピーダンスRtx、Ra、R1の合成インピーダンスとなり、スイッチング素子Tr1がオフのときには、インピーダンスRaとR1の合成インピーダンスとなる。電圧信号Vs1を送信しないときは、インピーダンス調整回路120を停止状態とすることで、インピーダンス調整素子Raが切り離されるので、通信端末100の出力インピーダンスはR1となり、高インピーダンスとなる。
【0035】
図3に本実施形態の通信端末100の送信回路110とインピーダンス調整回路120の具体回路構成を示す。通信端末100は、送信回路110とインピーダンス調整回路120が、出力端子T1-T2に対して、並列的に接続されている。
【0036】
送信回路110は、通信端末100の電源回路の等価インピーダンスR1に並列に接続され、シリアル信号V_Rxと同期した電圧が重畳された電圧信号Vs1を出力する回路である。シリアル信号V_Rxは、伝送線路に出力する電圧信号Vs1と同期した信号である。シリアル信号V_Rxは、通信端末100が有するマイコン(図示しない)によって生成される。
【0037】
送信回路110は、マイコンからのシリアル信号V_Rxを受けて、オペアンプAMPで反転させた信号でトランジスタQ1(以下Q1と記す)を駆動し、出力端子T1-T2間に、第1の基準電圧VHにシリアル信号V_Rxと同期した電圧を重畳された電圧信号Vs1を出力する。送信回路110によって、インピーダンスRtxが、伝送線路への出力端子T1-T2に接続されることになる。
【0038】
インピーダンス調整回路120は、基準電圧VupにPMOSFETであるQ2(以下Q2と記す)を介して、出力端子T1に接続されるインピーダンス調整素子RaとコンデンサC1の直列回路と、Q2のオンオフを制御するNMOSFETであるQ3(以下Q3と記す)から構成されている。
【0039】
Q2のソース端子は、基準電圧Vupに接続され、Q2のドレイン端子はインピーダンス調整素子Raの一端に接続されている。Q2のゲート端子は、基準電圧Vupに一端が接続された抵抗R3の他端が接続され、更にQ3のドレイン端子が接続されている。Q3のソース端子は、回路グランドGNDに接続されている。Q3のゲート端子は、マイコンで生成されたインピーダンス調整回路120のインピーダンス調整制御信号Vaが入力される。
【0040】
インピーダンス調整回路120は、インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベルの期間に動作状態になる。即ち、インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベルになると、Q3がオンして、Q2のゲート端子が低電位となり、Q2のソース-ドレイン端子間がオンする。すると、基準電圧Vupが、インピーダンス調整素子RaとコンデンサC1を介して出力端子T1に出力されることになる。コンデンサC1は、出力端子T1から直流電圧がインピーダンス調整回路120への流入を防止する直流カット用のコンデンサである。コンデンサC1の容量値は、インピーダンス調整素子Raに対して、十分に小さなインピーダンスに設定される。
【0041】
次にインピーダンス調整回路120の動作タイミングについて説明する。図4は、インピーダンス調整制御信号Vaとシリアル信号V_Rxの動作タイミングを示している。シリアル信号V_Rxがハイレベルとローレベルを繰り返している期間T0が、電圧信号Vs1を送信する期間である。インピーダンス調整制御信号Vaがハイレベルの期間は、インピーダンス調整回路120が動作状態となり、ローレベルの期間は、インピーダンス調整回路120が停止状態となる。
【0042】
インピーダンス調整制御信号Vaは、シリアル信号V_Rxの開始(期間T0の開始)より時間Td1だけ早くハイレベルとなり、シリアル信号V_Rxの終了(期間T0の終了)より時間Td2だけ遅くローレベルとなる。従って、インピーダンス調整回路120は、電圧信号Vs1によるデータ送信を開始するより所定時間Td1だけ前に動作を開始する。また、インピーダンス調整回路120は、電圧信号Vs1によるデータ送信が終了した後、所定の時間Td2だけ後に動作を停止する。
【0043】
電圧信号Vs1によるデータ送信を開始するよりも所定の時間Td1だけ前に動作を開始する理由としては、インピーダンス調整回路120のセットアップ時間として有効なためである。インピーダンス調整回路120には、コンデンサC1が直列に接続されており、データ送信を開始するよりも前に、伝送線路の出力端子T1の電位にコンデンサC1をセットする期間として作用する。これにより、データ送信の開始直後に電位が不安定となることを防止することができる。
【0044】
電圧信号Vs1によるデータ送信を終了した後、所定の時間Td2だけ後に動作を終了する理由としては、各受信端末から返ってくる反射波が残存することを防ぐ効果がある。シリアル信号V_Rxの終了(データ送信の終了)と同時にインピーダンス調整回路120が動作を停止した場合、少なくとも最後に送信したデータに相当する電圧信号Vs1の反射波を、伝送線路の特性インピーダンスと整合していない高インピーダンスR1で受けることになる。この場合、伝送線路内に反射波が残存し、次にデータ送信を行う際に影響を及ぼすおそれがある。適切な時間Td2だけ、インピーダンス調整回路12の動作を延長させることにより、反射波が伝送線路に残存することを抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 通信システム、20 伝送ユニット、30、100 通信端末、31 スイッチ、32 ターミナルユニット、40 リレー、50 負荷(照明器具)、60 信号線(伝送線路)、110 送信回路、120 インピーダンス調整回路
図1
図2
図3
図4