(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074465
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】ヒータユニット及びその応用品
(51)【国際特許分類】
H05B 3/14 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H05B3/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154074
(22)【出願日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2021186775
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】小久保 和弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP15
3K092QA07
3K092QB05
3K092QB20
3K092QB21
3K092QB36
3K092QC07
3K092QC19
3K092QC22
3K092QC26
3K092VV15
3K092VV22
3K092VV33
(57)【要約】
【課題】温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、且つ、発熱素子等が適切に固定されたヒータユニットと、車両用ウインドシールド装置を提供すること。
【解決手段】第一電極端子13aとPTC発熱素子11の一方の電極層、第二電極端子13bとPTC発熱素子11のもう一方の電極層とが電気的に接続し、基材15には、PTC発熱素子11の形状に適合した凹部15cが形成され、PTC発熱素子11及び第二電極端子13bが、凹部15c内に配置され、第一電極端子13aが、基材15における凹部15cを形成した面の全域を実質的に覆い、第一電極端子13aに形成された延長部13eの先端部が基材15における凹部15cを形成しない面に延出され、延長部13eが折り曲げられ第一電極端子13aと基材15とが固定されているヒータユニット10。ヒータユニット10を備えた車両用ウインドシールド装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるPTC発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、からなるヒータユニットにおいて、
上記第一電極端子と上記PTC発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続しており、上記第二電極端子と上記PTC発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続しており、
上記基材には、上記PTC発熱素子の形状に適合した凹部が形成されており、
上記PTC発熱素子及び上記第二電極端子が、上記凹部内に配置されており、
上記第一電極端子が、上記基材における上記凹部を形成した面の全域を実質的に覆っており、
上記第一電極端子には延長部が形成されており、該延長部の先端部が上記基材における凹部を形成しない面に延出されるとともに、上記延長部が折り曲げられ上記第一電極端子と上記基材とが固定されているヒータユニット。
【請求項2】
上記基材には、上記凹部を形成した面と垂直の方向に貫通孔が形成されており、該貫通孔に上記第一電極端子における上記延長部が挿通されている請求項1記載のヒータユニット。
【請求項3】
上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方が、上記PTC発熱素子を押止する方向に付勢されている請求項1または2記載のヒータユニット。
【請求項4】
請求項1~3何れか記載のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えた車両用ウインドシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両におけるカメラユニット、ウインドシールド、レーダユニット等に付着した結露、氷、霜、水滴を除去するとともに、曇り、結露、氷、霜の付着を防止するためのヒータユニット、及び、このヒータユニットが備えられたウインドシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドの車室側に取付けられて、車両前方の他車両や障害物の有無の検知に用いられる。車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドに固定されるブラケットと、ブラケットに支持されるカメラユニットまたはレーダユニットと、太陽光などの外光がカメラユニットに入射することを抑制する遮光フードを備える。ここで、車室内の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合には、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールドに付着するため、車両用ウインドシールド装置は、遮光フードを加熱するためのヒータユニットを遮光フードの裏側に備えている。このヒータユニットから発せられる熱によって、遮光フードと対向するウインドシールドに付着した曇り、結露、霜、氷などは溶融、蒸発して除去される。これにより、カメラユニットによる撮影は鮮明なものとなる。また、レーダユニットからのレーダが減衰することなく、正確な検知が可能となる(特許文献1など参照)。
【0003】
ヒータユニットとしては、例えば、加熱される面状の対象領域を均一に昇温するため、対象領域の周縁に位置する第1の線状発熱体と、対象領域の内部に位置する第2の線状発熱体とを別々に備えたものが知られている(特許文献2など参照)。また、線状発熱体としても種々のものが知られている(特許文献3など参照)。ヒータユニットとしても、種々の態様のものが知られている(特許文献4~6など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-185893公報
【特許文献2】実用新案登録第1801190号
【特許文献3】特許第6320935号
【特許文献4】特開2019-93794公報
【特許文献5】特開2019-104378公報
【特許文献6】特開2021-153036公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヒータユニットは、温度の過昇防止のためにヒューズが使用され、ショートや制御系の故障によって設計で意図しない高温の発熱が生じた場合は、このヒューズで通電が遮断され、ヒータユニットへの通電が停止されるようになっていた。しかし、ヒューズを設置する場合、部品点数が増加してしまうとともに、ヒータユニットの厚さも厚くなり、また、ヒータユニットにヒューズ形状の凹凸が生じてしまうという問題があった。また、ヒューズを使用せずに温度の過昇防止をする手段としては、ヒータ素子として正特性サーミスタ素子(PTC素子)を使用することが考えられる。PTC素子としては、セラミック系のものと有機系のものがあるが、現在、車両用ウインドシールド装置に対しては、主に有機系のPTC素子が多く検討されている。これには、被加熱対象の範囲が広く、ヒータ素子の設置スペースに余裕がないことから、フィルムのような薄い平面形状に加工しやすい有機系のPTC素子が好まれているという背景がある。しかしながら、有機系のPTC素子は、その構造上、高温環境下での劣化や経時的な劣化の課題が付きまとっており、特に自動車のような長期間の耐久性と過酷な温度環境への耐性が要求される分野では限定的な使用にとどまっている。一方、セラミック系のPTC素子は、硬く、ある程度の厚さを有するものであり、薄い平面形状への加工が困難であることから、広範囲を均等に加熱する用途に向いていないという課題もあった。また、セラミック系のPTC素子の硬く、ある程度の厚さを有するという性状は、PTC素子を保持・固定する際にも課題があった。特に、PTC素子に給電する電極端子との固定も含め、確実な固定がなされ、且つ厚さを押さえた固定方法が要求されていた。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、且つ、発熱素子等が適切に固定されたヒータユニットと、それを備えた車両用ウインドシールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明によるヒータユニットは、基材と、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるPTC発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、からなるヒータユニットにおいて、上記第一電極端子と上記PTC発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続しており、上記第二電極端子と上記PTC発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続しており、上記基材には、上記PTC発熱素子の形状に適合した凹部が形成されており、
上記PTC発熱素子及び上記第二電極端子が、上記凹部内に配置されており、
上記第一電極端子が、上記基材における上記凹部を形成した面の全域を実質的に覆っており、上記第一電極端子には延長部が形成されており、該延長部の先端部が上記基材における凹部を形成しない面に延出されるとともに、上記延長部が折り曲げられ上記第一電極端子と上記基材とが固定されているものである。
また、上記基材には、上記凹部を形成した面と垂直の方向に貫通孔が形成されており、該貫通孔に上記第一電極端子における上記延長部が挿通されていることが考えられる。
また、上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方が、上記PTC発熱素子を押止する方向に付勢されていることが考えられる。
また、本発明による応用品としての車両用ウインドシールド装置は、上記のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒータ素子としてPTC発熱素子を使用することで、温度の過昇防止を図ることが可能である。また、基材の凹部中にPTC発熱素子が配置され、また、第一電極端子により基材表面の全域が実質的に覆われることになるため、ヒータユニットとして平面化をすることができる。更にこの構成により、PTC発熱素子からの熱が第一電極端子により伝熱し、ヒータユニットにおける第一電極端子が配置される部分の全域が均一に発熱するようになる。また、第一電極端子の一部が延長され、その延長部の先端が基材の反対側で折り曲げられて固定される構造であるため、経時的劣化や熱劣化の恐れがある接着剤や、部品点数や工数の増加を招くボルト、ハトメ等の固定具が不要となり、簡易的ながらもヒータユニット各部材の確実な固定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す断面図で、
図1におけるIII-III´断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態によるヒータユニットの各構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明によるヒータユニットを使用した車両用ウインドシールド装置の概要を示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す平面図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態によるヒータユニットの構成を示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態によるヒータユニットの各構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1~
図5を参照して実施の形態を説明する。本実施の形態は、本発明によるヒータユニットを車両用ウインドシールド装置に適用することを想定した例を示すものである。
【0011】
図4はヒータユニット10の各構成を分解して示す図である。
図4に示すように、基材15は、PPS樹脂やPBT樹脂のようなエンジニアリングプラスチックからなり、全体形状としておおむね平板状の略直方体形状となっている。基材15における一方の主面においては、略中央部に凹部15cが形成されており、この凹部15cの形状は、後述するPTC発熱素子を配置し保持できる形状となっており、深さ1.4mmとなっている。また、この凹部15cと連続して、後述する第二電極端子13bを第二リード線19bまで引き出すための第二引出溝15bが形成されている。また、第二引出溝15bの隣には、隔壁を隔てて、後述する第一電極端子13aを第一リード線19aまで引き出すための第一引出溝15aが形成されている。また、基材15の周辺部には、後述する第一電極端子15aの延長部15eを挿通するための貫通孔15hが4つ形成されている。
【0012】
基材15においては、凹部15c、第二引出溝15b及び第一引出溝15aを取り囲むように周辺壁15wが形成されている。この周辺壁15wにおける第一引出溝15aが位置する箇所が切り欠かれ、リード線挿通部15rが形成されている。また、周辺壁15wにおける第二引出溝15bが位置する箇所が切り欠かれ、リード線挿通部15sが形成されている。リード線挿通部15rは、後述する第一リード線19aが配置されることになるため、第一リード線19aと適合する形状となっている。また、リード線挿通部15sは、後述する第二リード線19bが配置されることになるため、第二リード線19bと適合する形状となっている。
【0013】
PTC発熱素子11は、縦6.6mm、横35.0mm、厚さ1.2mmの略角板状に形成されたチタン酸バリウム系セラミックの正特性サーミスタ素子(PTC素子)からなり、
図4に示すように、一つの主面に銀ペーストからなる電極層が形成され、もう一方の主面にも銀ペーストからなる電極層が形成され、それぞれ電極層11a、電極層11bとされている(なお、
図4において、電極層11bは裏面に位置するため表れない)。この電極層11a,電極層11bの内の一方が+極、もう一方が-極とされる。尚、PTC発熱素子11の材料については、必要とされる発熱特性(例えば、キュリー温度等)に応じて適宜設定すればよい。
【0014】
本実施例においては、厚さ0.5mmの銅板からなる第一電極端子13aと、厚さ0.2mmのバネ弾性に優れたりん青銅板からなる第二電極端子13bが使用される。第一電極13a及び第二電極13bを
図4に示す。第一電極端子13aは、基材15における一方の主面を覆うような形状となっており、そこにリード線引出部と、4つの延長部13eが連設された形状となっている。また、第二電極13bは、基材15の凹部15c及び第二引出溝15bと略同形状となっており、凹部15cに対応する部分は縦14.0mm、横50.0mmの長方形形状となっており、そこに第二引出溝15bと対応するリード線引出部が連設された形状となっている。また、第二電極13bの一部には、幅が狭くなっている部分がある。本実施の形態においては、凹部15cと第二引出溝15bとの境界に位置する部分の幅が、凹部15cに位置する部分の幅及び第二引出溝15bに位置する部分の幅より狭くなっている。何らかの原因で何れかの箇所でショートが起こってしまった場合、この幅の狭い部分が電流ヒューズとなり断線するので、他の機器や素子を過電流から保護することができる。
【0015】
これらの構成材料の組み立てについて以下に説明する。
図1はヒータユニット10の全体構成、
図2は
図1と逆の方向から見たヒータユニット10の全体構成、
図3は、
図1におけるIII-III´断面を示す図、
図4はヒータユニット10の各構成を分解して示す図となる。まず、第二電極端子13bと第二リード線19bが、接続端子(図示しない)を介してスポット溶接によって接続される。この第二リード線19bが接続された第二電極端子13bは、基材15の凹部15c及び第二引出溝15bの底部に配置される。この際、PTC発熱素子11を押止する方向に付勢するため、中央部が凸となるように、第二電極13bを湾曲させておく。併せて、第二引出溝15b内に熱可塑性樹脂にからなる充填材17が充填され、第二リード線19bと第二電極端子13bの接続部分が外部から確実に絶縁されるようにする。次いで、基材15の凹部15c内に、電極層11bが凹部15cの底部に向き、電極層11aが凹部15cの開口部に向くよう、PTC発熱素子11が配置される。次いで、第一電極端子13aと第一リード線19aが、接続端子(図示しない)を介してスポット溶接によって接続される。併せて、第一電極端子13aにおける延長部15の根元部分が直角に折り曲げられる。このリード線19aが接続された第一電極端子13aについて、延長部13eを貫通孔15hに相通させながら、PTC発熱素子11の上に配置される。そして、第一電極端子13aとPTC発熱素子11、PTC発熱素子11と第二電極端子13bが十分密着するよう圧力をかけながら、延長部13eの先端が基材15における凹部15cを形成しない面上に沿うように折り曲げられ、第一電極端子13aと基材15が固定される。これにより、PTC発熱素子11は、第一電極端子13aと第二電極端子13bに挟持されるともに、第一電極端子13aとPTC発熱素子11の一方の電極層11aとが電気的に接続され、第二電極端子13bとPTC発熱素子11のもう一方の電極層11bとが電気的に接続されることとなる。また、第一電極端子13aによって、PTC発熱素子11及び第二電極端子13bは、凹部15bの底部側に押さえつけられることになるため、湾曲させておいた第二電極端子13bの復元力によって、PTC発熱素子11は、押止されることになる。このようにして、本実施の形態によるヒータユニット10は構成される。
【0016】
また、リード線挿通部15rにおいては、第一リード線19aが、基材15と第一電極端子13aに挟持され保持されることになる。リード線挿通部15sにおいては、第二リード線19bが、基材15と充填剤17に挟持され保持されることになる。一般的に、スポット溶接のような溶接部は、剪断方向の力には強いが、引き剥がし方向の力には弱い傾向がある。第一リード線19aが、基材15と第一電極端子13aに挟持されることで、第一リード線19aに引き剥がし方向の力が加わることを抑制できるため、第一リード線19aの接続が外れてしまうことを防止できる。また、第二リード線19bについても同様に、基材15と充填剤17に挟持されることで、第二リード線19bに引き剥がし方向の力が加わることを抑制できるため、第二リード線19bの接続が外れてしまうことを防止できる。
【0017】
上記のようにして得られた実施の形態によるヒータユニット10は、第一電極端子13aに接続された第一リード線19a、第二電極端子13bに接続された第二リード線19bにより、コネクタ(図示しない)が接続されることになる。
【0018】
このようなヒータユニット10は、車両用ウインドシールド装置内に取り付けることができる。
図5を参照して車両用ウインドシールド装置の例を説明する。
図5における右側が車両前方となり、ウインドシールド57に取付けられる車両用ウインドシールド装置は、ブラケット51、遮光フード53、センサユニット55を備える。ブラケット51は、椀状の形状を有する樹脂部材であり、遮光フード53及びセンサユニット55を収容する。ブラケット51の周縁部には接着剤が形成され、ウインドシールド57の車室側に取付けられる。なお、ウインドシールド57は、一般的に、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスと称されることがある。センサユニット55は、ブラケット内に形成された樹脂部材によって固定保持されることになる。なお、センサユニット55としては、カメラユニットやレーダユニット等が考えられる。この際、センサユニット55における受光部はウインドシールド57に向けられ、センサユニット55における受光部とウインドシールド57の間には他部材を介さないようにされる。車両用ウインドシールド装置においては、センサユニット55の受光部が受光する光の範囲を定めるものとして遮光フード53が使用されるが、本実施の形態におけるヒータユニット10は、この遮光フード53に取付けられている。また、ヒータユニット10は、基材15の形状を適宜設計することで、そのまま遮光フード53として使用することができる。
【0019】
ヒータユニット10を遮光フード53として使用する場合、ウインドシールド57と対向する側の面の最表面に、迷光防止材が形成されていることが好ましい。これにより、受光範囲以外からの外光が入射されることを抑えられるようになる。迷光防止材は、反射防止材と称されることもあり、不織布や、ナシ地加工、シボ加工、つや消し加工、植毛加工といった加工が表面になされたシートが挙げられる。また、迷光防止材を形成する一対応として、つや消し塗料を塗布することも考えられる。
【0020】
車室の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールド57に付着することがある。この曇り、結露、霜、氷などによって光が散乱し、センサユニット55による鮮明な撮影が阻害されるおそれがある。これはカメラユニットの代わりにレーダユニットを使用したときも同様である。そのため、本発明によるヒータユニット10,20が使用され、ヒータユニット10から発せられる熱によってウインドシールド57を加熱することで、曇り、結露、霜、氷が除去されることになる。また、ヒータユニット10からの熱によってブラケット51内の空気が加熱され、それによってブラケット51内の湿度が低下することにより、結露が除去されることになる。
【0021】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、PTC発熱素子11について、上記実施の形態のように1個ではなく、2個でも良いし、3個でも良いしそれ以上でも良い。複数のPTC発熱素子11を使用する場合は、それぞれキュリー温度の異なるものを使用すると、部分ごとの発熱温度を変化させたり、温度勾配を付けたりするなど温度設計も可能となる。また、基材15の形状も、平板形状に限られず、全く異なる形状でも良い。基材15に形成される凹部15cの位置、即ちPTC発熱素子11を配置する位置についても、所望とする発熱特性や使用環境に応じ、適宜設計することができる。
【0022】
基材15においては、第一電極端子13aが、有効加熱部に配置されていることになる。有効加熱部とは、発熱をさせるように設計する部分である。実施の形態においては、第一電極端子13aが配置されている部分となる。PTC発熱素子11の固定と、PTC発熱素子11、第一電極端子13a及び第二電極端子13bの電気的接続を考慮すると、有効加熱部の面積は、凹部15cの面積より大きいことが好ましい。
【0023】
特に、第一電極端子13aにより、基材における一つの面の全域が実質的に覆われていることが好ましい。ここで、全域が実質的に覆われているとは、完全に全ての領域が覆われているまでは必要なく、基材における一つの面の主要部が覆われていれば足りる。例えば、基材における一つの面の面積の80%が覆われていれば、全域が実質的に覆われていると考えられる。また、第一電極端子13aが配置される箇所が発熱箇所となるため、必要とされる発熱箇所に応じて適宜第一電極端子13aの形状を設計することが考えられる。また、第一電極端子の厚さを部分ごとに変化させることで、部分ごとの発熱温度を変化させたり、温度勾配を付けたりするなど温度設計も可能となる。
【0024】
また、基材15における凹部15cを形成する面は、平面であることが好ましいが、完全な平面である必要はない。凹凸を有していたり、曲面となっていたりしても良い。基材15における凹部15cを形成する面を平面とする場合、例えば、基材における一つの面の面積の平方根をL、凹凸や曲部の法線方向の最大値をHとしたときH/L>0.1程度であれば略平面であると考えられる。
【0025】
第一電極端子13aまたは第二電極端子13bに接続されるリード線は1本でなくてもよく、複数本を接続することができる。例えば、
図6に示すように、ヒータユニット10を2つ用意し、これらを並列接続する場合、ヒータユニット10には3本のリード線を接続することが考えられる。なお、
図6においては一部を透過して示しており、透過した部分を破線にて示している。より具体的には、一方のヒータユニット10において、第一電極端子13aに第一リード線19a及び第三リード線19cの2本を接続し、第二電極端子13bには第二リード線19bを接続する。また、一方のヒータユニット10´において、第一電極端子13a´に第二リード線19b及び第四リード線19dの2本を接続し、第二電極端子13bには第三リード線19cを接続する。また、第一リード線19aと第四リード線19dのもう一方の端は、コネクタ41に接続される。これにより、リード線同士の結線端子を使用することなく、ヒータユニット10,10´による並列回路を構成することができる。この場合のヒータユニットの各構成について
図7及び
図8に示す。PTC発熱素子11は、第一電極端子13a及び第二電極端子13bに挟持され電気的に接続される。基材15における一方の主面においては、略中央部に凹部15cが形成されており、この凹部15cにPTC発熱素子11が配置され保持される。また、この凹部15cと連続して、第二電極端子13bを第二リード線19bまで引き出すための第二引出溝15bが形成される。また、第二引出溝15bの隣には、隔壁を隔てて、第一電極端子13aを第一リード線19a及び第三リード線19cまで引き出すための第一引出溝15aが形成される。基材15の周辺壁15wにおける第一引出溝15aが位置する箇所が切り欠かれ、リード線挿通部15r及びリード線挿通部15tが形成される。また、周辺壁15wにおける第二引出溝15bが位置する箇所が切り欠かれ、リード線挿通部15sが形成される。もちろん、より多くのリード線を接続するため、リード線挿通部を4つ以上形成することも考えられる。
【0026】
また、ヒータユニット10を2つ接続するのみでなく、3つやそれ以上を接続することも考えられる。各ヒータユニットに使用されるPTC発熱素子について、それぞれキュリー温度の異なるものを使用すると、部分ごとの発熱温度を変化させたり、温度勾配を付けたりするなど温度設計も可能となる。
【0027】
また、ヒータユニット10には、PTC発熱素子11が発する熱が外部に放出されないよう、断熱材を取付けることも考えられる。また、外部からの衝撃から保護するために、緩衝材を取付けることも考えられる。断熱材も緩衝材も、種々の発泡樹脂や発泡ゴムから構成することが好ましいため、断熱材と緩衝材を兼ねた部材とすることもできる。また、断熱特性、耐熱性、衝撃吸収性、外観など、種々の特性が異なるような複数の断熱材や緩衝材を組合せて使用することもできる。また、ヒータユニット10を他部材に取付けるため、接着テープなどを適宜使用することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上詳述したように本発明によれば、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされ、且つ、発熱素子等が適切に固定されたたヒータユニットを得ることができる。このようなヒータユニットは、例えば、家庭用暖房器具、自動車内装用暖房装置、産業用加熱装置、各種除雪解氷装置、防曇装置、加熱調理器具など、各種熱源として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 ヒータユニット
11 PTC発熱素子
11a,11b 電極層
13a 第一電極端子
13b 第二電極端子
13e 延長部
15 基材
15c 凹部
15h 貫通孔
15r,15s,15t リード線挿通部
15w 周辺壁
19a 第一リード線
19b 第二リード線