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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074476
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20230522BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230522BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230522BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20230522BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230522BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H01L27/32
H05B33/10
G09F9/30 365
G09F9/30 309
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171644
(22)【出願日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158288
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロ, ビョンギュ
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC29
3K107CC33
3K107DD89
3K107EE49
3K107FF14
3K107FF15
3K107GG37
3K107HH05
5C094AA31
5C094BA27
5C094DA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】向上した効率及び寿命特性を具現するために複数の発光部(または発光構造)の積層を利用する表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置は、複数のサブ画素が定義された基板110、複数のサブ画素の間に配置されたバンク116、複数のサブ画素の間に配置され、バンク116の上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン114、バンク116上に、開始剤を利用した化学気相堆積(iCVD)方式でトレンチパターン114の内面を覆うように堆積されるバッファ層155、及びバッファ層115上に配置された封止層150を含む。従って、トレンチ内の封止層150の成膜不良を防止することで信頼性を向上させ、明暗斑や輝点等の表示品質不良を防止して表示品質を向上させることができる表示装置及びその製造方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブ画素が定義された基板;
前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク;
前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン;
前記バンク上に、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式で前記トレンチパターンの内面を覆うように堆積されたバッファ層;及び
前記バッファ層上に配置された封止層を含む、表示装置。
【請求項2】
前記複数のサブ画素それぞれに配置されたアノード;
前記複数のアノード上に配置された有機層;及び
前記有機層上に配置されたカソードをさらに含み、
前記有機層及び前記カソードは、前記トレンチパターンで隣り合うサブ画素間において互いに断線されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バッファ層は、開始剤と少なくとも2個のアクリル系列モノマーの共重合で形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記開始剤は、tert-ブチルペルオキシド(Tert-Butyl Peroxide、TBPO)を含み、
前記モノマーは、グリシジルメタクリレート(Glycidyl Methacrylate;GMA)のモノマー1及び2-ヒドロキシエチルアクリル酸(2-Hydroxyethyl Acrylate;HEA)のモノマー2を含み、
前記モノマー1と前記モノマー2の分率によって前記トレンチパターンが共形的にまたは流動性に堆積されている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記モノマー1とモノマー2の分率は、1.6:1~2:1に設定され、
前記バッファ層は、前記トレンチパターンの内部形状に沿って前記トレンチパターンの内面を覆うように、共形的に堆積されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記モノマー1とモノマー2の分率は、3:1~4:1に設定され、
前記バッファ層は、前記トレンチパターンの内部を含めて前記トレンチパターンの上部を覆うように流動性に堆積されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記バンクの上部に異物が配置されており、前記バッファ層は、隙間なしに前記異物の逆テーパ部分を全て覆うように堆積されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記封止層は、
前記バッファ層上に配置された1次保護膜;
前記1次保護膜上に配置された有機膜;及び
前記有機膜上に配置された2次保護膜を含み、
前記バッファ層は、前記基板の非表示領域まで延びて配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記非表示領域に配置された複数のダムをさらに含み、
前記有機膜は、前記複数のダムの前まで延びて配置されている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記バッファ層は、前記複数のダムの屈曲に沿って前記複数のダム上に堆積されている、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記有機膜は、前記iCVD方式で前記1次保護膜上に堆積されており、
前記有機膜は、前記非表示領域の一部まで延びている、請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記非表示領域の一部まで延びた前記有機膜の外側にダムが存在しない、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数のサブ画素の間の前記バンク上に配置された少なくとも一つのスペーサーをさらに含む、請求項8に記載の表示装置。
【請求項14】
前記バッファ層は、前記スペーサーの屈曲に沿って前記スペーサー上に堆積されている、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記スペーサーは、逆テーパ形態を有し、
前記バッファ層は、前記スペーサーの逆テーパ部分を隙間が形成されないように全て覆うように堆積されている、請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
前記バッファ層上に堆積されている前記1次保護膜は、前記スペーサーの逆テーパ部分に隙間を有する、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記バッファ層が流動性に堆積されており、前記1次保護膜は、前記スペーサーの逆テーパ部分に隙間を有しないように前記バッファ層上に堆積されている、請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
複数のサブ画素が定義された基板;
前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク;
前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン;
前記複数のサブ画素の間において、前記バンク上に配置された少なくとも一つのスペーサー;
開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式で、前記トレンチパターンの内部形状及び前記スペーサーの屈曲に沿って前記トレンチパターンの内面及び前記バンクと前記スペーサー上に堆積されたバッファ層;及び
前記バッファ層上に配置された封止層を含む、表示装置。
【請求項19】
前記バンクの上部に異物が配置されており、前記バッファ層は、隙間なしに前記異物の逆テーパ部分を全て覆うように堆積されている、請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記スペーサーは、逆テーパ形態を有し、
前記バッファ層は、前記スペーサーの逆テーパ部分を隙間が形成されないように全て覆うように堆積されている、請求項18に記載の表示装置。
【請求項21】
基板の上部に配置された複数のサブ画素;
前記基板の上部に配置されたバンク;
前記複数のサブ画素の間の前記バンク内に形成された少なくとも一つのトレンチパターン;
前記少なくとも一つのトレンチパターン内に異方性化学気相堆積方式で堆積されたバッファ層;及び
前記バッファ層の上部に配置された封止層を含む、表示装置。
【請求項22】
前記バッファ層は、前記少なくとも一つのトレンチパターン内に共形的に堆積されており、
前記異方性化学気相堆積方式は、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式を含む、請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記バッファ層は、前記少なくとも一つのトレンチパターンの内部表面を覆う、請求項21に記載の表示装置。
【請求項24】
前記少なくとも一つのトレンチパターンは、前記バンクの一部が部分的に除去された部分に対応する、請求項21に記載の表示装置。
【請求項25】
前記少なくとも一つのトレンチパターン内に配置された有機層をさらに含み、
前記バッファ層は、前記有機層の上部に配置されている、請求項21に記載の表示装置。
【請求項26】
前記バンクの上部に配置された有機層をさらに含み、
前記少なくとも一つのトレンチパターン内に形成された前記有機層の第1部分が、前記バンクの上部表面に形成された前記有機層の第2部分と断絶されている、請求項21に記載の表示装置。
【請求項27】
前記基板の上部に配置されたアノード;
前記アノード上に配置された有機層;及び
前記有機層上に配置されたカソードをさらに含み、
前記バッファ層は、前記カソードの上部に配置されており、
前記少なくとも一つのトレンチパターン内に形成された前記有機層の第1部分は、前記アノード上に形成された前記有機層の第2部分と断絶されており、
前記少なくとも一つのトレンチパターン内に形成された前記カソードの第1部分は、前記アノードの上部に形成された前記カソードの第2部分と断絶されている、請求項21に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関し、より詳細には、複数の発光素子で発光された光が混色されることを改善できる表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、本格的な情報化時代に入るに伴い、電気的情報信号を視覚的に表示する表示装置分野が急速に発展しており、様々な表示装置に対して、薄型化、軽量化及び低消費電力化等の性能を開発させるための研究が続いている。
【0003】
このような多様な表示装置のうち、有機発光表示装置は、自体発光型表示装置であって、液晶表示装置とは異なり別途の光源が不要であり、軽量薄型に製造可能である。また、有機発光表示装置は、低電圧駆動により消費電力の側面で有利であるだけではなく、色相具現、応答速度、視野角、明暗対比比にも優れており、次世代のディスプレイとして適用されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、向上した効率及び寿命特性を具現するために複数の発光部(または発光構造)の積層を利用するマルチスタック構造を適用した表示装置及びその製造方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、トレンチ構造を適用してマルチスタック構造の表示装置の駆動時、漏れ電流を削減および/または最小化できる表示装置及びその製造方法を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとするまた他の課題は、トレンチ内の封止層の成膜不良を防止して信頼性を向上させ、表示品質を改善した表示装置及びその製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【0008】
本発明の一実施例に係る表示装置は、複数のサブ画素が定義された基板、前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク、前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン、前記バンク上に、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式で前記トレンチパターンの内面を覆うように堆積されるバッファ層、及び前記バッファ層上に配置された封止層を含むことができる。
【0009】
本発明の他の一実施例に係る表示装置は、複数のサブ画素が定義された基板、前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク、前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン、前記複数のサブ画素の間に、前記バンク上に配置される少なくとも一つのスペーサー、iCVD方式で、前記トレンチパターンの内部形状及び前記スペーサーの屈曲に沿って前記トレンチパターンの内面及び前記バンクと前記スペーサー上に堆積されるバッファ層、及び前記バッファ層上に配置された封止層を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施例に係る表示装置の製造方法は、複数のサブ画素が定義された基板を提供すること、前記複数のサブ画素の間にバンクを配置すること、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターンを、前記複数のサブ画素の間に配置すること、前記バンク上に、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式で前記トレンチパターンの内面を覆うようにバッファ層を堆積すること、及び前記バッファ層上に封止層を配置することを含むことができる。
【0011】
本発明の他の一実施例に係る表示装置の製造方法は、複数のサブ画素が定義された基板を提供すること、前記複数のサブ画素の間にバンクを配置すること、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターンを、前記複数のサブ画素の間に配置すること、前記複数のサブ画素の間において、前記バンク上に、少なくとも一つのスペーサーを配置すること、iCVD方式で、前記トレンチパターンの内部形状及び前記スペーサーの屈曲に沿って、前記トレンチパターンの内面及び前記バンクと前記スペーサー上にバッファ層を堆積すること、及び前記バッファ層上に封止層を配置することを含むことができる。
【0012】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【0013】
本発明は、マルチスタック構造の発光素子を適用することで高い効率を示すことができ、低電流駆動が可能で発光素子の寿命が向上し得る。
【0014】
本発明は、トレンチ構造を適用して複数の発光素子の共通層を通して電流が漏れることを改善することができる。
【0015】
本発明は、封止層の成膜前に気相堆積方法でバッファ層を形成してトレンチ内の封止層の成膜不良を防止することで信頼性を向上させ、明暗斑や輝点等の表示品質不良を防止して表示品質を向上させることができる。
【0016】
本発明は、安定して有機層の断線構造を確保することができ、収率及び工程性が向上し得る。
【0017】
本発明に係る効果は、以上において例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施例に係る表示装置の概略的な構成図である。
図2図1の表示装置のサブ画素の回路図である。
図3図1の表示装置の一つの画素構造を示す平面図である。
図4図3のA-A’線に沿った断面図である。
図5図1の表示装置の外郭部を示す断面図である。
図6】iCVDバッファ層の工程条件を示す表である。
図7a】iCVDバッファ層の表面特性を示す写真である。
図7b】iCVDバッファ層の表面特性を示す写真である。
図7c】iCVDバッファ層の表面特性を示す写真である。
図7d】iCVDバッファ層の表面特性を示す写真である。
図8a】iCVDバッファ層の表面特性を示す他の写真である。
図8b】iCVDバッファ層の表面特性を示す他の写真である。
図8c】iCVDバッファ層の表面特性を示す他の写真である。
図8d】iCVDバッファ層の表面特性を示す他の写真である。
図9】異物の上部に堆積された封止層の成膜状態を示す写真である。
図10a】異物の上部に堆積されたiCVDバッファ層の成膜状態を示す写真である。
図10b】異物の上部に堆積されたiCVDバッファ層の成膜状態を示す写真である。
図10c】異物の上部に堆積されたiCVDバッファ層の成膜状態を示す写真である。
図10d】異物の上部に堆積されたiCVDバッファ層の成膜状態を示す写真である。
図11】本発明の第2実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
図12図11の表示装置の外郭部を示す断面図である。
図13】本発明の第3実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
図14】本発明の第4実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
図15】本発明の第5実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
図16】本発明の第6実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
【0020】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、面積、比率、角度、個数等は、例示的なものであるので、本発明は、図示された事項に制限されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本発明上において言及された「含む」、「有する」、「なされる」等が使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が加えられ得る。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0021】
構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0022】
位置関係についての説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」等と二部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない以上、二部分の間に一つ以上の他の部分が位置してもよい。
【0023】
素子または層が他の素子または層の「上(on)」と称されるものは、他の素子のすぐ上または中間に他の層または他の素子を介在した場合をいずれも含む。
【0024】
また、第1、第2等が多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0025】
明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。
【0026】
図面で示された各構成の面積及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成の面積及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0027】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立して実施可能であってもよく、関連関係で共に実施してもよい。
【0028】
以下においては、添付の図面を参照して、本発明の多様な実施例を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施例に係る表示装置の概略的な構成図である。
【0030】
図1を参照すると、表示装置100は、複数のサブ画素SPを含む表示パネルPN、表示パネルPNに各種の信号を供給するゲートドライバGDとデータドライバDD及びゲートドライバGDとデータドライバDDを制御するタイミングコントローラTCを含むことができる。
【0031】
ゲートドライバGDは、タイミングコントローラTCから提供された複数のゲート制御信号GCSによって複数のスキャン配線SLに複数のスキャン信号を供給できる。複数のスキャン信号は、第1スキャン信号SCAN1及び第2スキャン信号SCAN2を含むことができる。
【0032】
データドライバDDは、タイミングコントローラTCから提供された複数のデータ制御信号DCSによってタイミングコントローラTCから入力される映像データRGBを基準ガンマ電圧を利用してデータ信号Vdataに変換できる。そして、データドライバDDは、変換されたデータ信号Vdataを複数のデータ配線DLに供給できる。
【0033】
タイミングコントローラTCは、外部から入力された映像データRGBを整列してデータドライバDDに供給し、外部から入力される同期信号SYNCを利用してゲート制御信号GCS及びデータ制御信号DCSを生成できる。
【0034】
図2は、図1の表示装置のサブ画素の回路図である。
【0035】
図2を参照すると、複数のサブ画素SPそれぞれの画素回路は、第1乃至第6トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6及びキャパシタCstを含むことができる。
【0036】
第1トランジスタT1は、第2スキャン配線と連結され、第2スキャン配線を通して供給される第2スキャン信号SCAN2により制御され得る。第1トランジスタT1は、データ信号Vdataを供給するデータ配線とキャパシタCstとの間に電気的に連結され得る。
【0037】
第2トランジスタT2は、高電位電源信号EVDDが供給される高電位電源配線と第5トランジスタT5との間に電気的に連結され得る。そして、第2トランジスタT2のゲート電極は、キャパシタCstと電気的に連結され得る。
【0038】
また、第3トランジスタT3は、第1スキャン配線を通して供給される第1スキャン信号SCAN1により制御され得、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償でき、第3トランジスタT3は、補償トランジスタと称され得る。
【0039】
第4トランジスタT4は、キャパシタCstと初期化信号Viniが供給される初期化信号配線に電気的に連結され得る。そして、第4トランジスタT4は、発光制御信号配線を通して供給される発光制御信号EMにより制御され得る。
【0040】
また、第5トランジスタT5は、第2トランジスタT2と発光素子120との間に電気的に連結される一方、発光制御信号配線を通して供給される発光制御信号EMにより制御され得る。
【0041】
第6トランジスタT6は、初期化信号Viniが供給される初期化信号配線と発光素子120のアノードとの間に電気的に連結され、第1スキャン配線を通して供給される第1スキャン信号SCAN1により制御され得る。
【0042】
以上においては、複数のサブ画素SPそれぞれの画素回路が第1乃至第6トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6及びキャパシタCstを含んで構成される場合を例に説明しているが、前述したように、本発明は、これに制限されるものではない。
【0043】
以下において図3乃至図5を参照して、本発明の第1実施例に係る表示装置100の画素構造をより詳細に説明する。
【0044】
図3は、図1の表示装置の一つの画素構造を示す平面図である。
【0045】
図4は、図3のA-A’線に沿った断面図である。
【0046】
図5は、図1の表示装置の外郭部を示す断面図である。
【0047】
図4は、図3の画素構造で一つのサブ画素の断面を例に示す。
【0048】
図3乃至図5を参照すると、本発明の第1実施例の表示装置100は、基板110、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113、パッシベーション層114、平坦化層115、バンク116、高電位電源配線、スキャン配線、データ配線、初期化信号配線、発光制御信号配線、第5トランジスタT5、発光素子120、スペーサー160、バッファ層155及び封止層150を含むことができる。
【0049】
図3においては、説明の便宜のために、発光素子120の構成のうちアノード121及びバンク116だけを示した。バンク116は、開口部OP及びトレンチパターン140により露出される領域を除く残りの領域に配置され得る。また、図4においては、説明の便宜のために、サブ画素SPの画素回路の複数のトランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6及びキャパシタCstのうち第5トランジスタT5だけを示した。
【0050】
図3を参照すると、複数のサブ画素SPは、光を発光する個別単位であり、複数のサブ画素SPそれぞれには発光素子120が配置され得る。複数のサブ画素SPは、互いに異なる色相の光を発光する第1サブ画素SP1、第2サブ画素SP2及び第3サブ画素SP3を含むことができる。例えば、第1サブ画素SP1は青色サブ画素であり、第2サブ画素SP2は緑色サブ画素であり、第3サブ画素SP3は赤色サブ画素であってよい。ただし、本発明は、これに制限されるものではない。
【0051】
複数の第1サブ画素SP1は、複数の列をなして配置され得る。即ち、複数の第1サブ画素SP1は、同じ列に配置され得る。そして、複数の第2サブ画素SP2及び複数の第3サブ画素SP3は、複数の第1サブ画素SP1が配置された複数の列それぞれの間に配置され得る。例えば、一つの列に複数の第1サブ画素SP1が配置され、隣り合う列に第2サブ画素SP2及び第3サブ画素SP3が共に配置され得る。そして、複数の第2サブ画素SP2と複数の第3サブ画素SP3は、同じ列で交互に配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではない。
【0052】
また、本発明において複数のサブ画素SPが第1サブ画素SP1、第2サブ画素SP2及び第3サブ画素SP3を含むものと説明したが、複数のサブ画素SPの配置、個数及び色相組み合わせは、設計によって多様に変更され得、これに制限されない。
【0053】
図2乃至図5を参照すると、複数のサブ画素SPの間に列方向に延びた高電位電源配線PLが配置され得る。複数の高電位電源配線PLは、複数のサブ画素SPそれぞれに高電位電源信号EVDDを伝達する配線である。複数の高電位電源配線PLそれぞれは、第1サブ画素SP1と第2サブ画素SP2との間及び第1サブ画素SP1と第3サブ画素SP3との間に配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではない。
【0054】
複数の高電位電源配線PLと同じ列方向に延びた複数のデータ配線DLが配置され得る。複数のデータ配線DLは、複数のサブ画素SPそれぞれにデータ信号Vdataを伝達する配線である。例えば、複数のデータ配線DLそれぞれは、第2サブ画素SP2と高電位電源配線PLとの間及び第3サブ画素SP3と高電位電源配線PLとの間に配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではなく、複数のデータ配線DLは、複数の高電位電源配線PLと第1サブ画素SP1との間に配置されてもよい。
【0055】
また、行方向に延びた複数のスキャン配線SLが配置され得る。複数のスキャン配線SLは、複数のサブ画素SPそれぞれにスキャン信号SCAN1、SCAN2を伝達する配線である。複数のスキャン配線SLは、第1スキャン配線及び第2スキャン配線を含むことができる。第1スキャン配線は、第2サブ画素SP2と第3サブ画素SP3との間で行方向に延びて配置され、第2スキャン配線は、第3サブ画素SP3を横切って行方向に延びて配置され得る。
【0056】
また、複数のサブ画素SPの間に複数のスキャン配線SLと同一に行方向に延びた複数の初期化信号配線ISLが配置され得る。複数の初期化信号配線ISLは、複数のサブ画素SPそれぞれに初期化信号Viniを伝達する配線である。複数の初期化信号配線ISLそれぞれは、第2サブ画素SP2と第3サブ画素SP3との間に配置され得る。複数の初期化信号配線ISLは、第1スキャン配線と第2スキャン配線との間に配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではない。
【0057】
複数のスキャン配線SLと同一に行方向に延びた複数の発光制御信号配線ESLが配置され得る。複数の発光制御信号配線ESLは、複数のサブ画素SPそれぞれに発光制御信号EMを伝達する配線である。複数の発光制御信号配線ESLは、複数の第2スキャン配線と隣り合うように配置され得る。また、複数の発光制御信号配線ESLは、第3サブ画素SP3を横切って行方向に延びて配置され得る。複数の発光制御信号配線ESLと複数の初期化信号配線ISLとの間に第2スキャン配線が配置され得る。
【0058】
複数の配線は、直流信号を伝達する直流配線と交流信号を伝達する交流配線に分類することもできる。複数の配線のうち、直流信号である高電位電源信号EVDDまたは初期化信号Viniを伝達する高電位電源配線PLと初期化信号配線ISLは、直流配線に含まれ得る。また、複数の配線のうち、交流信号であるスキャン信号SCAN1、SCAN2、データ信号Vdata等を伝達するスキャン配線SL及びデータ配線DLは、交流配線に含まれ得る。
【0059】
複数のサブ画素SPの間に複数のスペーサー160が配置され得る。複数のサブ画素SPに発光素子120を形成するとき、堆積マスクであるFMM(Fine metal mask)を使用することができる。このとき、堆積マスクと接触して発生し得る損傷を防止し、堆積マスクと基板110との間の一定の距離を維持するために、複数のスペーサー160が配置され得る。
【0060】
また、複数のサブ画素SPの間に複数のトレンチパターン140が配置され得る。複数のトレンチパターン140は、バンク116の上部厚さの一部が除去されて形成され得るが、本発明は、これに制限されるものではなく、バンク116の厚さ全部が除去されて形成されてもよい。図4においては、例えば、複数のサブ画素SPの間に一つのトレンチパターン140が配置された場合を示しているが、本発明は、これに制限されるものではない。
【0061】
トレンチパターン140により隣り合うサブ画素SPの間の有機層122及びカソード123が一部断線され得る。図3においては、例えば、トレンチパターン140がサブ画素SPを囲む形態に複数に分離された場合を示しているが、本発明は、これに制限されるものではない。
【0062】
例として、複数のトレンチパターン140は、第1部分141及び第2部分142を含むことができる。第1部分141は、複数のサブ画素SPの間で列方向に延びた部分である。第1部分141は、第1サブ画素SP1と第2サブ画素SP2との間、第1サブ画素SP1と第3サブ画素SP3との間で列方向に延びた部分であってよい。第1部分141は、列方向に複数に分離され得るが、これに制限されるものではない。第1部分141が複数に分離される場合、カソード123の抵抗を下げることができ、電圧降下現象による輝度偏差を低減できる。
【0063】
第1部分141の少なくとも一部は、配線のうち列方向に延びた直流配線と交流配線との間に配置され得る。例えば、第1部分141は列方向に延びて、少なくとも一部が高電位電源配線PLとデータ配線DLとの間に配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではなく、第1部分141の少なくとも一部は、高電位電源配線PLやデータ配線DLに重畳されてもよい。
【0064】
第2部分142は、複数のサブ画素SPの間で行方向に延びた部分である。第2部分142は、第1サブ画素SP1と第1サブ画素SP1との間で行方向に延びた部分であってよい。このとき、第2部分142は、第1部分141から行方向に延びてもよく、第1部分141と分離されて配置されてもよい。第2部分142の少なくとも一部は、配線のうち行方向に延びた直流配線や交流配線に重畳し得る。一方、第2部分142は、第2サブ画素SP2と第3サブ画素SP3との間にも配置され得る。
【0065】
このようなトレンチパターン140は、マルチスタック(multi stack)構造で発生する側面漏れ電流を削減および/または最小化でき、これについて図4及び図5を参照してより詳細に説明する。
【0066】
図3乃至図5を参照すると、基板110は、表示装置の他の構成要素を支持するための支持部材であり、絶縁物質からなり得る。
【0067】
例えば、基板110は、ガラスまたは樹脂等からなり得る。また、基板110は、高分子またはポリイミド(Polyimide;PI)等のプラスチックからなってもよく、可撓性(flexibility)を有する物質からなってもよい。
【0068】
基板110は、表示領域AA及び非表示領域NAに区分できる。
【0069】
表示領域AAは、映像が表示される領域である。
【0070】
表示領域AAには、複数の画素を構成する複数のサブ画素SP及び複数のサブ画素SPを駆動するための回路が配置され得る。複数のサブ画素SPは、表示領域AAを構成する最小単位であり、複数のサブ画素SPそれぞれに表示素子が配置され得、複数のサブ画素SPは画素を構成できる。例えば、サブ画素SPそれぞれには、アノード121、有機層122及びカソード123を含む発光素子120が配置され得るが、これに制限されない。また、複数のサブ画素SPを駆動するための回路には、駆動素子及び配線等が含まれ得る。例えば、回路は、薄膜トランジスタT5、ストレージキャパシタ、ゲート配線、データ配線等からなり得るが、これに制限されない。
【0071】
非表示領域NAは、映像が表示されない領域である。
【0072】
非表示領域NAには、表示領域AAの発光素子120を駆動するための多様な配線及び回路等が配置され得る。図示していないが、例えば、非表示領域NAには、表示領域AAのサブ画素SP及び回路に信号を伝達するためのリンク配線またはゲートドライバIC、データドライバICのような駆動IC等が配置され得るが、これに制限されない。
【0073】
基板110上にバッファ層111が配置され得る。バッファ層111は、基板110を通した水分または不純物の浸透を低減できる。バッファ層111は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層または複層で構成され得るが、これに制限されない。ただし、バッファ層111は、基板110の種類やトランジスタの種類によって省略されてもよく、これに制限されない。
【0074】
バッファ層111上に第5トランジスタT5が配置され得る。
【0075】
第5トランジスタT5は、アクティブ層ACT、ゲート電極GE、ソース電極SE及びドレイン電極DEを含むことができる。
【0076】
アクティブ層ACTは、酸化物半導体、非晶質シリコンまたはポリシリコン等のような半導体物質からなり得るが、これに制限されない。アクティブ層ACTが酸化物半導体で形成された場合、アクティブ層ACTは、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域からなり、ソース領域及びドレイン領域は、導体化された領域であってよいが、これに制限されない。
【0077】
アクティブ層ACT上にゲート絶縁層112が配置され得る。
【0078】
ゲート絶縁層112は、アクティブ層ACTとゲート電極GEを絶縁させるための絶縁層であり、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層または複層で構成され得るが、これに制限されない。
【0079】
ゲート絶縁層112上にゲート電極GEが配置され得る。
【0080】
ゲート電極GEは、導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれに対する合金で構成され得るが、これに制限されない。
【0081】
ゲート電極GE上に層間絶縁層113が配置され得る。
【0082】
層間絶縁層113には、ソース電極SE及びドレイン電極DEそれぞれがアクティブ層ACTに接続するためのコンタクトホールが形成され得る。層間絶縁層113は、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層または複層で構成され得るが、これに制限されない。
【0083】
層間絶縁層113上にソース電極SE及びドレイン電極DEが配置され得る。互いに離隔されて配置されたソース電極SE及びドレイン電極DEは、アクティブ層ACTと電気的に連結され得る。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれに対する合金で構成され得るが、これに制限されない。
【0084】
層間絶縁層113上に高電位電源配線及びデータ配線が配置され得る。高電位電源配線及びデータ配線は、ソース電極SE及びドレイン電極DEと同じ層に配置され、同じ導電性物質からなり得るが、これに制限されない。例えば、高電位電源配線及びデータ配線は、導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれに対する合金で構成され得るが、これに制限されない。
【0085】
高電位電源配線、データ配線、ソース電極SE及びドレイン電極DE上にパッシベーション層114が配置され得る。パッシベーション層114は、パッシベーション層114の下部の構成を保護するための絶縁層である。例えば、パッシベーション層114は、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)の単一層または複層で構成され得るが、これに制限されない。また、パッシベーション層114は、実施例によって省略されてもよい。
【0086】
パッシベーション層114上に平坦化層115が配置され得る。平坦化層115は、基板110の上部を平坦化する絶縁層である。平坦化層115は、有機物質で構成され得るが、例えば、ポリイミドまたはフォトアクリル(Photo Acryl)の単一層または複層で構成され得るが、これに制限されない。
【0087】
平坦化層115上に複数のサブ画素SPには複数の発光素子120が配置され得る。発光素子120は、アノード121、有機層122及びカソード123を含むことができる。一方、有機層122は、発光領域に配置された発光層と発光領域を含んで基板110の前面に配置された共通層で構成され得るが、これに制限されない。
【0088】
平坦化層115上にアノード121が配置され得る。
【0089】
アノード121は、第5トランジスタと電気的に連結され、画素回路の駆動電流の供給を受けることができる。アノード121は、発光層に正孔を供給するので、仕事関数の高い導電性物質からなり得る。アノード121は、例えば、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)等のような透明導電性物質で形成され得るが、これに制限されない。
【0090】
一方、表示装置100は、トップエミッションまたはボトムエミッション方式で具現され得る。トップエミッション方式である場合、発光層から発光された光がアノード121に反射して上部方向、即ち、カソード123側に向かうように、アノード121の下部に反射効率に優れた金属物質、例えば、アルミニウム(Al)または銀(Ag)のような物質からなる反射層が加えられ得る。逆に、表示装置100がボトムエミッション方式である場合、アノード121は、透明導電性物質のみからなり得る。以下においては、本発明の第1実施例に係る表示装置100がトップエミッション方式であると仮定して説明する。
【0091】
一方、複数のサブ画素SPの間に少なくとも一つのトレンチパターン140が配置され得る。
【0092】
トレンチパターン140は、バンク116に形成され得る。即ち、トレンチパターン140は、バンク116の上部厚さの一部が除去されて形成され得る。このとき、図示していないが、トレンチパターン140の内部の少なくとも一側にアンダーカット構造が形成されてもよい。
【0093】
前述したように、本発明の発光素子120は、アノード121、有機層122及びカソード123を含むことができる。
【0094】
有機層122は、アノード121とカソード123との間に配置され得る。
【0095】
有機層122は、アノード121及びカソード123から供給された電子と正孔の結合により光が発光する領域である。
【0096】
本発明の第1実施例に係る有機層122は、複数のサブ画素SPそれぞれに配置される発光層及び複数のサブ画素SPに共通して配置される共通層を含むことができるが、これに制限されない。
【0097】
即ち、有機発光表示装置の品質及び生産性の向上のために発光素子の効率、寿命向上及び消費電力低減等のための多様な構造が提案されている。
【0098】
これによって、一つのスタック、即ち、一つの発光ユニットを適用する発光素子構造だけではなく、向上した効率及び寿命特性を具現するために複数のスタック、即ち、複数の発光ユニットの積層を利用するタンデム構造の発光素子が提案されている。
【0099】
このようなタンデム構造、即ち、第1発光ユニットと第2発光ユニットの積層を利用した2スタック構造の発光素子は、電子と正孔の再結合を通して発光が起こる発光領域が第1発光ユニットと第2発光ユニットそれぞれに位置し、第1発光ユニットの第1発光層と第2発光ユニットの第2発光層でそれぞれ発光する光が補強干渉を起こしながら単一スタック構造の発光素子に対比して高い輝度を提供できる。
【0100】
また、発光素子において一つの画素を構成する複数のサブ画素間の距離は、有機発光表示装置が高解像度へ行くほど小さくなるが、発光層(emission layer:EML)を除く正孔注入層(EIL)、正孔輸送層(HTL)、電荷生成層(CGL)、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)等のような補助有機層は、共通マスク(Common Mask)を利用して複数個のサブ画素全てに対応するように堆積されて共通層(common layer)に形成され、それぞれ異なる波長の光を発生させる複数のサブ画素内の発光層は、ファインメタルマスクを利用してそれぞれのサブ画素に対応するように個別的に堆積されて形成され得る。
【0101】
前記のような発光素子の場合、アノードとカソードとの間に電圧が印加されるとき、前記のように発光素子内に形成された共通層を通して発光素子の水平方向に水平漏れ電流(lateral leakage current)が発生しながら、発光が要求されるサブ画素だけではなく隣接して位置する所望しないサブ画素が発光しながら現れる混色不良が発生している。
【0102】
前記のような混色不良は、単一スタック構造の発光素子に対比して光の補強干渉を利用する第1発光ユニットと第2発光ユニットの積層を利用した2スタック構造の発光素子においてさらに激しく現れ得る。
【0103】
そこで、本発明においては、図3及び図4に示されたように、複数のサブ画素SPの間に複数のトレンチパターン140を形成して隣り合うサブ画素SP間の共通層及びカソード123を一部断線させることで、マルチスタック構造の表示装置の駆動時、漏れ電流を削減および/または最小化することを特徴とする。
【0104】
また図3乃至図5を参照すると、アノード121及び平坦化層115上にバンク116が配置され得る。バンク116は、複数のサブ画素SPを区分するために、複数のサブ画素SPの間に配置された絶縁層である。
【0105】
バンク116は、アノード121の一部を露出させる開口部OPを含むことができる。バンク116は、アノード121のエッジまたは縁部分を覆うように配置された有機絶縁物質であってよい。バンク116は、例えば、ポリイミド、アクリルまたはベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene:BCB)系樹脂からなり得るが、これに制限されるものではない。
【0106】
バンク116上に少なくとも一つのスペーサー160が配置され得る。
【0107】
スペーサー160は、発光素子120を形成するとき、堆積マスクと一定の距離を維持するためにバンク116上に配置され得る。即ち、スペーサー160により堆積マスクとスペーサー160の下のバンク116及びアノード121は堆積マスクと一定の距離を維持でき、接触による損傷を防止することができる。スペーサー160は、堆積マスクと接触する面積を削減および/または最小化するように、上部へ行くほど幅が狭くなる形態、例えば、テーパ形状になされ得る。
【0108】
アノード121及びバンク116上に有機層122が配置され得る。このとき、有機層122は、トレンチパターン140の底には形成されるが、側面には形成されず、トレンチパターン140により隣り合うサブ画素SPの間に有機層122が一部断線され得る。
【0109】
有機層122は、複数のサブ画素SPそれぞれに配置される発光層及び複数のサブ画素SPに共通して配置される共通層を含むことができる。発光層は、特定色相の光を発光するための有機層であり、第1サブ画素SP1、第2サブ画素SP2及び第3サブ画素SP3それぞれに互いに異なる発光層が配置され得る。ただし、本発明は、これに制限されるものではなく、全てのサブ画素SPそれぞれに複数の発光層を備えて白色を発光してもよい。
【0110】
共通層は、発光層の発光効率を改善するために配置される有機層である。共通層は、複数のサブ画素SPにわたって一つの層に形成され得る。即ち、複数のサブ画素SPそれぞれの共通層は、互いに連結されて一体になされ得る。このとき、共通層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷生成層等を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0111】
有機層122上にカソード123が配置され得る。
【0112】
カソード123は、有機層122に電子を供給するので、仕事関数の低い導電性物質からなり得る。カソード123は、複数のサブ画素SPにわたって一つの層に形成され得る。即ち、複数のサブ画素SPそれぞれのカソード123は、互いに連結されて一体になされてもよい。このとき、カソード123は、例えば、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide;IZO)等のような透明導電性物質またはイッテルビウム(Yb)合金で形成され得、金属ドーピング層がさらに含まれてもよく、これに制限されない。一方、図面に示されてはいないが、カソード123は、低電位電源配線と電気的に連結されて低電位電源信号の供給を受けることができる。
【0113】
一方、前述したように、複数の発光素子120の共通層は、複数のサブ画素SP全体にわたって一つの層に形成され得る。複数のサブ画素SPの発光素子120が共通層を共有する構造に形成されることで、特定サブ画素SPの発光素子120を発光させるとき、隣り合うサブ画素SPの発光素子120に電流が流れる現象、即ち、電流漏れ現象が発生し得る。電流漏れ現象は、意図しない他のサブ画素SPの発光素子120が発光するようになって、複数のサブ画素SP間の混色を誘発し、消費電力を増加させ得る。また、漏れ電流により色異常及び斑等が視認されて表示品質が低下し得る。例えば、複数のサブ画素SPのうち第1サブ画素SP1のみが発光する場合に、第1サブ画素SP1の発光素子120を駆動するために供給された電流のうち一部が共通層を通して隣接した第2サブ画素SP2および/または第3サブ画素SP3に漏れ得る。
【0114】
そこで、本発明の第1実施例に係る表示装置100においては、複数のサブ画素SPの間にトレンチパターン140を配置して発光素子120の共通層を通した漏れ電流を削減および/または最小化することを特徴とする。まず、複数のサブ画素SPの間に複数のトレンチパターン140が形成され、複数のトレンチパターン140に沿って共通層及びカソード123が堆積されるので、漏れ電流が流れる経路の長さを増加させることができる。漏れ電流の経路となる共通層が複数のトレンチパターン140及びバンク116に沿って形成されるので、共通層の長さが既存より伸び得、漏れ電流の経路の長さが増加し得る。従って、漏れ電流が流れる経路の長さを増加させて抵抗を増加させることができ、漏れ電流が隣接したサブ画素SPの発光素子120に流れることを減少させることができる。
【0115】
また、本発明の第1実施例に係る表示装置100は、トレンチパターン140により隣り合うサブ画素SPの間の共通層及びカソード123が少なくとも一部で断線され得る。従って、隣り合うサブ画素SPに流れる漏れ電流が削減および/または最小化され得る。
【0116】
一方、表示装置100の外郭部には、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113及びパッシベーション層114が非表示領域NAまで延びて、形成され得る。
【0117】
また、その上に平坦化層115及びバンク116が非表示領域NAの一部まで形成され得る。
バンク116は、平坦化層115を覆うように形成され得るが、これに制限されない。
【0118】
図示していないが、カソード123が形成された基板110の上部にポリマー等の有機物質からなるキャッピング層が形成され得る。ただし、本発明は、これに制限されず、必要に応じてキャッピング層を形成しなくてもよい。
【0119】
キャッピング層は、有機物質や無機物質で形成することができ、熱堆積方式で形成されるため、厚さが比較的に薄く、トレンチパターン140により隣り合うサブ画素SPの間で少なくとも一部で断線され得る。例えば、キャッピング層は、約0.1μmの厚さを有し得る。
【0120】
キャッピング層は、トップエミッション方式の場合、特定屈折率となっており、光を集めて光の放出を向上させる役割を果たすことができ、ボトムエミッション方式の場合、発光素子120のカソード123に対する緩衝の役割を果たす。
【0121】
キャッピング層は、一つの光学調節層の役割を果たすこともできる。キャッピング層は、外部との屈折率差を調節することで、キャッピング層と外部の境界面で反射率を増加させることができる。このような反射率の増加を通して、キャッピング層は、特定波長でのマイクロキャビティ効果を具現することもできる。このとき、キャッピング層は、サブ画素SP1、SP2、SP3別に異なる厚さに形成されてもよい。
【0122】
キャッピング層上には、本発明に係るバッファ層155が形成され、その上に多層に構成された封止層150が形成され得る。
【0123】
参考までに、発光素子を含めて有機物を使用する素子は、大気中の気体、特に水分または酸素に非常に脆弱であり、熱に対しても耐久性が弱く、徹底した封止工程が要求される。
【0124】
仮に、適切な封止工程が伴わない場合、素子寿命が急激に低下し、素子内に黒点(dark spot)が形成されて製品の欠陥につながり得る。逆に、素子作製過程で適切な封止工程が適用される場合、素子の信頼性を確保することができ、高品質な素子の生産が可能である。
【0125】
通常、このような封止過程は、大きく2種類の方式に区分される。
【0126】
一つは、ガラスや金属の蓋内に吸湿剤(getter)を貼り付けた後、これを低い透水性を有する接着剤を利用して素子に貼り付ける蓋方式がある。もう一つは、様々な種類の膜を積層して発光素子に貼り付けるか、発光素子上に直接に膜を堆積する薄膜方式がある。
【0127】
この中で薄膜方式で使用される膜は、優れた酸素遮断及び水蒸気遮断特性を有する物質が主に使用され、堆積のために化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition;CVD)、プラズマ促進化学堆積(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)、原子層堆積(Atom Layer Deposition;ALD)方式等が使用され得る。
【0128】
封止層150を具体的に説明すると、発光素子120が形成された基板110の上面にキャッピング層が形成され、その上に1次保護膜150aと有機膜150b及び2次保護膜150cが順に形成され、封止手段である封止層150を構成する。ただし、封止層150を構成する無機膜と有機膜の数は、これに制限されない。
【0129】
1次保護膜150aの場合、無機絶縁膜からなっており、下部段差によってスタックカバレッジがよくないが、有機膜150bが平坦化の役割を果たすため、2次保護膜150cは、下部膜による段差に影響を受けない。また、ポリマーからなる有機膜150bの厚さが十分に厚いため、異物によるクラックも補完できる。
【0130】
2次保護膜150cを含む基板110の前面には、封止のために多層になされた保護フィルムが対向して位置し得、封止層150と保護フィルムとの間には、透明で接着特性を有する粘着剤が介在され得る。
【0131】
保護フィルム上には外部から入射した光の反射を防ぐための偏光板が貼り付けられ得る。
【0132】
一方、本発明の第1実施例の場合、有機膜150bは、インクジェット方式で形成され得る。そこで、外郭部の非表示領域NAには、ポリマーからなる有機膜150bの流れを制御するために複数のダム170a、170b、170cが備えられ得る。また、ダム170a、170b、170cは、外部からの水分浸透を遮断する役割を果たすことができる。
【0133】
そこで、1次保護膜150aは、ダム170a、170b、170cの上部を含めて非表示領域NAの一端まで延びて、形成され得るが、有機膜150bは、ダム170a、170b、170cの前までのみ形成され得、2次保護膜150cが有機膜150bを覆って保護することができる。
【0134】
一方、サブ画素SP間の漏れ電流を防止するためにサブ画素SPの間にトレンチパターン140を形成しているが、封止層150の1次保護膜150aがトレンチパターン140内に完全に堆積されず、信頼性の評価で不良が発生するようになる。即ち、無機膜の1次保護膜150aをトレンチパターン140上に直に堆積するようになれば、トレンチパターン140の中央に空間(void)が生じて堆積され、ステップカバレッジがよくなくなる。この場合、1次保護膜150aがきちんと堆積されず、信頼性不良を誘発するようになる。また、これによって明暗斑や輝点等の表示品質不良が発生するようになる。
【0135】
特に、1次保護膜150aの無機膜は、異物を完全に覆うように堆積されず、封止層150の成膜不良を引き起こす。即ち、1次保護膜150aが異物の逆テーパ部分を完全に覆うことができず、逆テーパ部分に隙間(seam)が形成されるようになる。
【0136】
そこで、本発明は、封止層150の成膜前に、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式でトレンチパターン140内にバッファ層155を堆積することを特徴とする。iCVD方式のバッファ層155は、トレンチパターン140の内面を覆うように堆積され得、バッファ層155の厚さが十分に薄ければトレンチパターン140の内部形状に沿って堆積され得る。ただし、本発明は、これに制限されず、堆積条件によってトレンチパターン140内を完全に満たすように堆積されてもよい。
【0137】
また、本発明のバッファ層155は、スペーサー160の屈曲に沿ってスペーサー160上に堆積され得る。
【0138】
本発明の第1実施例のバッファ層155は、0.3μm-1.0μmの厚さを有し得、1次保護膜150aと有機膜150b及び2次保護膜150cは、それぞれ0.3μm-1.0um、1.0μm-11.0um及び0.3μm-1.0μmの厚さを有し得る。
【0139】
このとき、バッファ層155は、約1.45-1.60の屈折率を有し、1次保護膜150a及び2次保護膜150cは、約1.4-1.9の屈折率を有し得る。
【0140】
バッファ層155は、外郭部の非表示領域NAまで延びて、形成され得る。
【0141】
非表示領域NAまで延びて、形成されたバッファ層155は、複数のダム170a、170b、170cの屈曲に沿って複数のダム170a、170b、170c上に堆積され得る。
【0142】
特に、iCVD方式で形成されたバッファ層155は、その上部の1次保護膜150aの無機膜と反応せず、1次保護膜150aが円滑に堆積され得る。
【0143】
iCVD方式は、液相工程と知られたフリーラジカルを利用した連鎖重合反応を利用することであり、開始剤及びモノマーを気化させて気相で高分子反応がなされるようにすることで、高分子薄膜を基板の表面に堆積させる方式である。このとき、開始剤及びモノマーは、単純に混合する場合、重合反応が起こらないが、気相反応器内に位置した高温のフィラメントにより開始剤が分解されてラジカルが生成されると、それによるモノマーが活性化されて連鎖重合反応がなされ得る。
【0144】
iCVD方式は、有機溶媒またはその他の添加物なしにもモノマー及びラジカルだけを利用して反応を起こすため、既存の液相工程を通した高分子合成法より高い純度の薄膜を生成できる。即ち、iCVD方式は、有機溶媒を使用しないので各種の不純物による問題が発生せず、乾燥工程であるので多様な種類の基板に堆積が可能であり、常温で進行するため熱による発光素子に対する損傷がない長所がある。
【0145】
このように本発明の第1実施例は、1次保護膜150aの下部にiCVD方式のバッファ層155を堆積してトレンチパターン140の内面を覆うことで封止層150の成膜不良を防止できるようになる。そこで、表示装置100の信頼性を向上させ、明暗斑や輝点等の表示品質不良を防止して表示品質を向上させることができるようになる。
【0146】
そして、iCVD方式のバッファ層155は、インクジェット方式の有機膜150bとは異なり、工程条件によって共形的に、または平坦に堆積され得る。また、iCVD方式のバッファ層155は、工程条件によって流動性に堆積されてもよい。
【0147】
図6は、iCVDバッファ層の工程条件を示す表である。
【0148】
図7a乃至図7dは、iCVDバッファ層の表面特性を示す写真である。
【0149】
図8a乃至図8dは、iCVDバッファ層の表面特性を示す他の写真である。
【0150】
図6は、開始剤とモノマーの種類を含めてiCVDバッファ層の工程条件を例に挙げて示す表である。
【0151】
図7a乃至図7dは、1μmの深さのトレンチパターン上に堆積されたiCVDバッファ層の表面特性を例に示すSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【0152】
図8a乃至図8dは、5μmの深さのトレンチパターン上に堆積されたiCVDバッファ層の表面特性を例に示すSEM写真である。
【0153】
図7a乃至図7dは、トレンチパターンの縦横比(aspect ratio)が1:5の場合であり、図8a乃至図8dは、トレンチパターンの縦横比が5:5の場合である。
【0154】
図7aと図8aが図6の#1に従って堆積されたバッファ層の表面特性を示し、図7bと図8bが図6の#2に従って堆積されたバッファ層の表面特性を示している。図7cと図8cが図6の#3に従って堆積されたバッファ層の表面特性を示し、図7dと図8dが図6の#4に従って堆積されたバッファ層の表面特性を示している。
【0155】
図6を参照すると、iCVDバッファ層の堆積に、例としてtert-ブチルペルオキシド(Tert-Butyl Peroxide、TBPO)の開始剤を使用する一方、グリシジルメタクリレート(Glycidyl Methacrylate;GMA)のモノマー1または2-ヒドロキシエチルアクリル酸(2-Hydroxyethyl Acrylate;HEA)のモノマー2を使用した。ただし、これに制限されるものではなく、モノマーとしてエチレングリコールジアクリレート(Ethylene Glycol Diacrylate;EGDA)を使用してもよい。本発明に使用されるモノマーは、アクリル系列以外にスチレン系列またはシロキサン系列等がある。この場合、iCVDバッファ層は、厚さ0.5μm基準に約1.50~1.51の屈折率を有し得、厚さが増加しても大きな変化はないことが分かる。また、iCVDバッファ層は、モノマーの材料と関係なく可視光線領域で透過率が約100%であり、インクジェット方式のバッファ層と等しいことが分かる。
【0156】
開始剤とモノマー2の流量、開始剤とモノマー1、2の温度及び圧力等の条件は同一に設定した状態でモノマー1の流量を変更して、堆積されたiCVDバッファ層の表面特性を観察した。
【0157】
このとき、開始剤とモノマー2の流量は、それぞれ30sccmと28sccmであり、開始剤とモノマー1、2の温度は、それぞれ30℃、30℃及び45℃であり、フィラメントとステージ及びチャンバーの温度は、それぞれ140℃と30℃及び70℃であり、チャンバーの圧力は、200mTorrであってよい。
【0158】
この状態でモノマー1の流量を45sccm、56sccm、84sccm及び112sccmに変更した。
【0159】
その結果、図7a乃至図7d及び図8a乃至図8dを参照すると、図6の#1、#2の場合、流動性に堆積され、#3、#4の場合、共形的に堆積されたことが分かる。ただし、#1でトレンチパターンの縦横比が1:5の場合には、図7aのように流動性に堆積されたことが分かるが、トレンチパターンの縦横比が5:5の場合には、図8aのように薄膜がトレンチパターンを完全に覆うことはできないことが分かる。薄膜が共形的に堆積されるか流動性に堆積されるかは、モノマーの分率により決定され得る。一例として、モノマー1とモノマー2の分率が約1.6:1~2:1の場合に薄膜が流動性に堆積され得、約3:1~4:1の場合に薄膜が共形的に堆積され得るが、これに制限されない。
【0160】
ここで、モノマー1がメインモノマーとして使用され得、モノマー2がサブモノマーとして使用され得るが、これに制限されず、2種類以上のモノマーの共重合で分率によって薄膜が共形的に堆積されるか流動性に)堆積され得る。
【0161】
図9は、異物の上部に堆積された封止層の成膜状態を示す写真である。
【0162】
図10a乃至図10dは、異物の上部に堆積されたiCVDバッファ層の成膜状態を示す写真である。
【0163】
図9は、基板の上部に既存のように無機膜の1次保護膜を直に堆積した場合であり、図10a乃至図10dは、基板の上部にiCVDバッファ層を堆積した後に1次保護膜を堆積した場合である。
【0164】
図9を参照すると、1次保護膜の無機膜は異物の逆テーパ部分を完全に覆うことができず、逆テーパ部分に隙間(seam)が形成されることが分かる。
【0165】
これに対して、図10a乃至図10dを参照すると、基板の上部にiCVDバッファ層を堆積した後に1次保護膜を堆積した場合は、異物の形態に関係なくiCVDバッファ層及び無機膜が異物の逆テーパ部分を完全に覆うように堆積されることが分かる。その結果、iCVDバッファ層は、異物の形態と関係なく異物上に隙間(seam)なしに堆積可能であることが分かる。即ち、iCVDバッファ層は、逆テーパ部分に隙間(seam)なしに堆積することができる。
【0166】
参考までに、異物は、キャッピング層の上部に形成される可能性が大きいが、発光素子からキャッピング層までは一つの真空チャンバーで進行し得るが、封止層は、他の工程チャンバーで進行することで、キャッピング層の上部に異物が形成される可能性が大きい。
【0167】
一方、本発明の有機膜もiCVD方式で堆積することができ、それを次の図11及び図12を参照して詳細に説明する。
【0168】
図11は、本発明の第2実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【0169】
図12は、図11の表示装置の外郭部を示す断面図である。
【0170】
図11及び図12の表示装置は、前述した図4及び図5の表示装置100と比較して封止層250の有機膜250bの構成のみが異なるだけで、他の構成は実質的に同一であるので、重複した説明は省略する。同じ構成に対しては、同じ図面符号を使用する。
【0171】
図11及び図12を参照すると、本発明の第2実施例に係る表示装置は、前述した図4及び図5の表示装置と実質的に同一に基板110、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113、パッシベーション層114、平坦化層115、バンク116、高電位電源配線、スキャン配線、データ配線、初期化信号配線、発光制御信号配線、第5トランジスタT5、発光素子120、スペーサー160、バッファ層255及び封止層250を含むことができる。
【0172】
図11においては、説明の便宜のために、一つのサブ画素の画素回路の複数のトランジスタ及びキャパシタのうち第5トランジスタT5だけを示した。
【0173】
複数のサブ画素は、光を発光する個別単位であり、複数のサブ画素それぞれには、発光素子120が配置され得る。
【0174】
複数のサブ画素の間に複数のスペーサー160が配置され得る。
【0175】
また、複数のサブ画素の間に複数のトレンチパターン140が配置され得る。複数のトレンチパターン140は、バンク116の上部厚さの一部が除去されて形成され得るが、本発明は、これに制限されるものではなく、バンク116の厚さ全部が除去されて形成されてもよい。
【0176】
トレンチパターン140により隣り合うサブ画素の間の有機層122及びカソード123が一部断線され得る。
【0177】
このようなトレンチパターン140は、マルチスタック構造で発生する側面漏れ電流を削減および/または最小化することができる。
【0178】
即ち、アノード121及びバンク116上に有機層122及びカソード123が配置され得る。このとき、有機層122及びカソード123は、トレンチパターン140の底には形成されるが、側面には形成されず、隣り合うサブ画素の間に有機層122及びカソード123が少なくとも一部で断線され得る。従って、隣り合うサブ画素に流れる漏れ電流が削減および/または最小化され得る。
【0179】
一方、表示装置の外郭部には、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113及びパッシベーション層114が非表示領域NAまで延びて、形成され得る。
【0180】
また、その上に平坦化層115及びバンク116が非表示領域NAの一部まで形成され得る。
【0181】
図示していないが、カソード123が形成された基板110の上部にポリマー等の有機物質からなるキャッピング層が形成され得る。
【0182】
キャッピング層上には本発明に係るバッファ層255が形成され、その上に多層に構成された封止層250が形成され得る。
【0183】
本発明に係る封止層250は、バッファ層255上に形成される1次保護膜250a、1次保護膜250a上に形成される有機膜250b及び有機膜250b上に形成される2次保護膜250cを含んで構成され得るが、これに制限されない。
【0184】
1次保護膜250a及び2次保護膜250cは、無機絶縁膜からなり得、有機膜250bは、iCVDの有機絶縁膜からなり得る。
【0185】
この場合、前述した本発明の第1実施例とは異なり、外郭部の非表示領域NAに複数のダムを備える必要がなく、ベゼル幅が減少する効果を提供する。即ち、ダムは、液相工程であるインクジェット工程でインクが硬化される時に広がって溢れることを防止する物理的構造物であるが、iCVD工程は気相堆積であるため、インクのように広がって溢れる問題が発生しない。そこで、ダムを除去でき、その結果、ベゼル幅が前述した第1実施例よりWだけ減少する効果を提供する。
【0186】
そこで、1次保護膜250aは、非表示領域NAの一端まで延びて、形成されるのに対し、有機膜250b及び2次保護膜250cは、非表示領域NAの一部までのみ延びて、形成され得、2次保護膜250cが有機膜250bを覆って保護することができる。
【0187】
併せて、湿式工程であるインクジェット方式は、高解像度ヘッドと粘度の低い材料を使用しても1μm以下の厚さを具現しにくいが、iCVD工程は乾式工程であり、厚さを堆積時間で調節できて1μm以下の厚さを具現でき、1μm前後の厚さも安定して具現できる。
【0188】
そこで、表示領域AAでも封止層250の厚さを薄くすることができ、素子の内部で全反射する光量を減らし、高解像度パネルでの色視野角改善及び混色防止等が可能な利点がある。即ち、高解像度パネルでは画素のピッチ、即ち、画素間の距離が減るが、既存の厚さの封止層を使用する場合、光経路が隣り合う画素を侵して混色が発生するか色視野角が小さくなり得る。
【0189】
一方、前述したように、本発明は、封止層250の成膜前に、iCVD方式でトレンチパターン140内にバッファ層255を堆積することを特徴とする。iCVD方式のバッファ層255は、トレンチパターン140の内面を覆うように共形的に堆積され得、堆積条件によってトレンチパターン140内を完全に満たすように堆積されてもよい。
【0190】
また、本発明のバッファ層255は、スペーサー160の屈曲に沿ってスペーサー160上に堆積され得る。
【0191】
バッファ層255は、外郭部の非表示領域NAの一端まで延びて、形成され得る。
【0192】
非表示領域NAまで延びて、形成されたバッファ層255上に1次保護膜250aが堆積され得る。
【0193】
特に、iCVD方式で形成されたバッファ層255は、その上部の1次保護膜250aの無機膜と反応せず、1次保護膜250aが円滑に堆積され得る。
【0194】
本発明の第2実施例のバッファ層255は、0.3μm-1.0μmの厚さを有し得、1次保護膜250aと有機膜250b及び2次保護膜250cは、それぞれ0.3μm-1.0um、0.3μm-1.5um及び0.3μm-1.0μmの厚さを有し得る。この場合、全体厚さは1.2μm-4.5μmであり、前述した第1実施例の1.9μm-14.0μmに比して減ったことが分かる。
【0195】
このとき、バッファ層255は、約1.45-1.60の屈折率を有し、1次保護膜250a及び2次保護膜250cは、約1.4-1.9の屈折率を有し得る。
【0196】
このように本発明の第2実施例は、1次保護膜250aの下部にiCVD方式でバッファ層255を堆積してトレンチパターン140の内面を覆うことで封止層250の成膜不良を防止できるようになる。
【0197】
また、本発明の第2実施例は、工程中に異物が発生しても、iCVD方式のバッファ層255が異物の逆テーパ部分を完全に覆うように堆積されることを特徴とする。これによって、異物の上部にバッファ層255及び1次保護膜250aが隙間(seam)なしに堆積され得る。
【0198】
一方、本発明のiCVDバッファ層は、トレンチパターンの内部を含めてトレンチパターンを完全に覆うように流動性に堆積され得、それを次の図13を参照して詳細に説明する。
【0199】
図13は、本発明の第3実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【0200】
図13の本発明の第3実施例の表示装置は、前述した図11の表示装置と比較してiCVDバッファ層355が流動性に堆積されることのみが異なるだけで、他の構成は実質的に同一であるので、重複した説明は省略する。同じ構成に対しては、同じ図面符号を使用する。
【0201】
図13を参照すると、本発明の第3実施例に係る表示装置は、前述した図11の表示装置と実質的に同一に基板110、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113、パッシベーション層114、平坦化層115、バンク116、高電位電源配線、スキャン配線、データ配線、初期化信号配線、発光制御信号配線、第5トランジスタT5、発光素子120、スペーサー160、バッファ層355及び封止層250を含むことができる。
【0202】
図13においては、説明の便宜のために、一つのサブ画素の画素回路の複数のトランジスタ及びキャパシタのうち第5トランジスタT5だけを示した。
【0203】
複数のサブ画素は、光を発光する個別単位であり、複数のサブ画素それぞれには、発光素子120が配置され得る。
【0204】
複数のサブ画素の間に複数のスペーサー160が配置され得る。
【0205】
また、複数のサブ画素の間に複数のトレンチパターン140が配置され得る。
【0206】
トレンチパターン140により隣り合うサブ画素の間の有機層122及びカソード123が一部断線され得る。
【0207】
このようなトレンチパターン140は、マルチスタック構造で発生する側面漏れ電流を削減および/または最小化することができる。
【0208】
図示していないが、カソード123が形成された基板110の上部にポリマー等の有機物質からなるキャッピング層が形成され得る。
【0209】
キャッピング層上には、本発明に係るバッファ層355が形成され、その上に多層に構成された封止層250が形成され得る。
【0210】
本発明に係る封止層250は、バッファ層355上に形成される1次保護膜250a、1次保護膜250a上に形成される有機膜250b及び有機膜250b上に形成される2次保護膜250cを含んで構成され得るが、これに制限されない。
【0211】
1次保護膜250a及び2次保護膜250cは、無機絶縁膜からなり得、有機膜250bは、iCVDの有機絶縁膜からなり得る。
【0212】
この場合、前述した本発明の第2実施例と同一に外郭部の非表示領域に複数のダムを備える必要がなく、ベゼル幅が減少する効果を提供する。
【0213】
本発明の第3実施例のバッファ層355は、0.3μm-5.0μmの厚さを有し得、1次保護膜250aと有機膜250b及び2次保護膜250cは、それぞれ0.3μm-1.0um、0.3μm-1.5um及び0.3μm-1.0μmの厚さを有し得る。この場合、全体厚さは、1.2μm-8.5μmであり、前述した第1実施例の1.9μm-14.0μmに比して減ったことが分かる。第2実施例とは、バッファ層355の厚さのみが異なるだけで、封止層250の厚さは同一であり得る。
【0214】
このとき、バッファ層355は、約1.45-1.60の屈折率を有し、1次保護膜250a及び2次保護膜250cは、約1.4-1.9の屈折率を有し得る。
【0215】
一方、本発明の第3実施例は、封止層250の成膜前に、iCVD方式でバッファ層355をトレンチパターン140の内部を含めてトレンチパターン140を完全に覆うように流動性に堆積することを特徴とする。
【0216】
バッファ層355は、外郭部の非表示領域の一端まで延びて、形成され得る。
【0217】
非表示領域まで延びて、形成されたバッファ層355上に1次保護膜250aが堆積され得る。
【0218】
特に、iCVD方式で形成されたバッファ層355は、その上部の1次保護膜250aの無機膜と反応せず、トレンチパターン140を完全に覆うように流動性に堆積されることで1次保護膜250aが円滑に堆積され得る。その結果、封止層250の成膜不良を防止できるようになる。
【0219】
また、工程中に異物が発生しても、iCVD方式のバッファ層355が異物を含めてトレンチパターン140を完全に覆うように流動性に堆積されることでバッファ層355及び1次保護膜250aが隙間(seam)なしに堆積され得る。併せて、バッファ層355が流動性に堆積されることで素子の段差が緩和され得る。そこで、封止層250を緩和された素子の段差の上部に形成することで、その厚さをさらに薄く形成することができ、純粋封止機能を強化することに利点がある。
【0220】
一方、本発明は、スペーサーが逆テーパに形成された場合にも適用可能であり、それを次の図14乃至図16を参照して詳細に説明する。
【0221】
図14は、本発明の第4実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【0222】
図15は、本発明の第5実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【0223】
図16は、本発明の第6実施例に係る表示装置の一部の断面図である。
【0224】
図14乃至図16の本発明の第4、第5及び第6実施例の表示装置は、それぞれ本発明の第1、第2及び第3実施例に係る表示装置と比較してスペーサー460が逆テーパに形成されたことのみが異なるだけで、他の構成は実質的に同一であるので、重複した説明は省略する。同じ構成に対しては、同じ図面符号を使用する。
【0225】
図14乃至図16を参照すると、本発明の第4、第5及び第6実施例に係る表示装置は、前述した第1、第2及び第3実施例に係る表示装置と実質的に同一に基板110、バッファ層111、ゲート絶縁層112、層間絶縁層113、パッシベーション層114、平坦化層115、バンク116、高電位電源配線、スキャン配線、データ配線、初期化信号配線、発光制御信号配線、第5トランジスタT5、発光素子120、スペーサー460、バッファ層455、655及び封止層150、550を含むことができる。
【0226】
図14乃至図16においては、説明の便宜のために、一つのサブ画素の画素回路の複数のトランジスタ及びキャパシタのうち第5トランジスタT5だけを示した。
【0227】
複数のサブ画素は、光を発光する個別単位であり、複数のサブ画素それぞれには、発光素子120が配置され得る。
【0228】
複数のサブ画素の間に複数のスペーサー460が配置され得る。本発明の第4、第5及び第6実施例のスペーサー460は、逆テーパ形態を有することを特徴とする。即ち、スペーサー460の下辺の長さが上辺の長さより短いことを特徴とする。
【0229】
また、複数のサブ画素の間に複数のトレンチパターン140が配置され得る。
【0230】
トレンチパターン140により隣り合うサブ画素の間の一部の有機層122及びカソード123が断線され得る。
【0231】
このようなトレンチパターン140は、マルチスタック構造で発生する側面漏れ電流を削減および/または最小化することができる。
【0232】
図示していないが、カソード123が形成された基板110の上部にポリマー等の有機物質からなるキャッピング層が形成され得る。
【0233】
キャッピング層上には、本発明に係るバッファ層455、655が形成され、その上に多層に構成された封止層150、550が形成され得る。
【0234】
本発明に係る封止層150、550は、バッファ層455、655上に形成される1次保護膜150a、550a、1次保護膜150a、550a上に形成される有機膜150b、550b及び有機膜150b、550b上に形成される2次保護膜150c、550cを含んで構成され得るが、これに制限されない。
【0235】
このとき、1次保護膜150a、550a及び2次保護膜150c、550cは、無機絶縁膜からなり得る。また、第4実施例の有機膜150bは、インクジェット方式の有機絶縁膜からなり、第5、第6実施例の有機膜550bは、iCVDの有機絶縁膜からなり得る。
【0236】
有機膜550bがiCVDの有機絶縁膜からなる場合、前述した本発明の第2、第3実施例と同一に外郭部の非表示領域に複数のダムを備える必要がなく、ベゼル幅が減少する効果を提供する。
一方、本発明の第4、第5及び第6実施例は、封止層150、550の成膜前に、iCVD方式でバッファ層455、655を堆積することを特徴とする。
【0237】
このとき、本発明の第4、第5実施例に係るバッファ層455は、トレンチパターン140の内面を覆うように共形的に堆積され得、バッファ層455の厚さが十分に薄ければトレンチパターン140の内部形状に沿って堆積され得る。ただし、この場合、その上に堆積される1次保護膜150a、550aがスペーサー460の逆テーパ部分を完全に覆うことができず、逆テーパ部分に隙間(seam)(図14及び図15に点線で示す)が形成され得る。しかし、この場合にも、バッファ層455がスペーサー460の逆テーパ部分を隙間(seam)が形成されないように完全に覆うように堆積され得る。
【0238】
一方、第6実施例に係るバッファ層655は、トレンチパターン140の内部を含めてトレンチパターン140を完全に覆うように流動性に堆積され得る。この場合、バッファ層655がスペーサー460の逆テーパ部分を十分な厚さに覆うように堆積されることで、その上に1次保護膜550aが隙間(seam)が形成されないように堆積され得る。バッファ層455、655は、外郭部の非表示領域の一端まで延びて、形成され得る。
【0239】
非表示領域まで延びて、形成されたバッファ層455、655上に1次保護膜150a、550aが堆積され得る。
【0240】
特に、iCVD方式で形成されたバッファ層455、655は、その上部の1次保護膜150a、550aの無機膜と反応せず、トレンチパターン140の内面を覆うかトレンチパターン140を完全に覆うように堆積されることで1次保護膜150a、550aが円滑に堆積され得る。その結果、封止層150、550の成膜不良を防止できるようになる。
【0241】
また、工程中に異物が発生しても、iCVD方式のバッファ層455、655が異物の逆テーパ部分を完全に覆うように堆積されることを特徴とする。これによって、異物の上部にバッファ層455、655及び1次保護膜150a、550aが隙間(seam)なしに堆積され得る。
【0242】
本発明の実施例に係る表示装置は、下記のように説明され得る。
【0243】
本発明の一実施例に係る表示装置は、複数のサブ画素が定義された基板、前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク、前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン、前記バンク上に、開始剤を利用した化学気相堆積(Initiated Chemical Vapor Deposition;iCVD)方式で前記トレンチパターンの内面を覆うように堆積されるバッファ層、及び前記バッファ層上に配置された封止層を含むことができる。
【0244】
本発明の他の特徴によれば、表示装置は、前記複数のサブ画素それぞれに配置されたアノード、前記複数のアノード上に配置された有機層、及び前記有機層上に配置されたカソードをさらに含み、前記有機層及び前記カソードは、前記トレンチパターンで隣り合うサブ画素間に互いに断線され得る。
【0245】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バッファ層は、開始剤と少なくとも2個のアクリル系列モノマーの共重合で形成され得る。
【0246】
本発明のまた他の特徴によれば、前記開始剤は、tert-ブチルペルオキシド(Tert-Butyl Peroxide、TBPO)を含み、前記モノマーは、グリシジルメタクリレート(Glycidyl Methacrylate;GMA)のモノマー1及び2-ヒドロキシエチルアクリル酸(2-Hydroxyethyl Acrylate;HEA)のモノマー2を含み、前記モノマー1と前記モノマー2の分率によって前記トレンチパターンが共形的にまたは流動性に堆積され得る。
【0247】
本発明のまた他の特徴によれば、前記モノマー1とモノマー2の分率は、1.6:1~2:1に設定され、前記バッファ層は、前記トレンチパターンの内部形状に沿って前記トレンチパターンの内面を覆うように共形的に堆積され得る。
【0248】
本発明のまた他の特徴によれば、前記モノマー1とモノマー2の分率は、3:1~4:1に設定され、前記バッファ層は、前記トレンチパターンの内部を含めて前記トレンチパターンの上部を覆うように流動性に堆積され得る。
【0249】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バンクの上部に異物が配置される場合、前記バッファ層は、隙間(seam)なしに前記異物の逆テーパ部分を全て覆うように堆積され得る。
【0250】
本発明のまた他の特徴によれば、前記封止層は、前記バッファ層上に配置される1次保護膜、前記1次保護膜上に配置される有機膜、及び前記有機膜上に配置される2次保護膜を含み、前記バッファ層は、前記基板の非表示領域まで延びて、配置され得る。
【0251】
本発明のまた他の特徴によれば、前記非表示領域に配置される複数のダムをさらに含み、前記有機膜は、前記複数のダムの前まで延びて、配置され得る。
【0252】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バッファ層は、前記複数のダムの屈曲に沿って前記複数のダム上に堆積され得る。
【0253】
本発明のまた他の特徴によれば、前記有機膜は、前記iCVD方式で前記1次保護膜上に堆積され、前記有機膜は、前記非表示領域の一部まで延び得る。
【0254】
本発明のまた他の特徴によれば、前記非表示領域の一部まで延びた前記有機膜の外側にダムが存在しなくてよい。
【0255】
本発明のまた他の特徴によれば、表示装置は、前記複数のサブ画素の間の前記バンク上に配置される少なくとも一つのスペーサーをさらに含むことができる。
【0256】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バッファ層は、前記スペーサーの屈曲に沿って前記スペーサー上に堆積され得る。
【0257】
本発明のまた他の特徴によれば、前記スペーサーは、逆テーパ形態を有し、前記バッファ層は、前記スペーサーの逆テーパ部分を隙間(seam)が形成されないように全て覆うように堆積され得る。
【0258】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バッファ層上に堆積される前記1次保護膜は、前記スペーサーの逆テーパ部分に隙間(seam)を有し得る。
【0259】
本発明のまた他の特徴によれば、前記バッファ層が流動性に堆積される場合、前記1次保護膜は、前記スペーサーの逆テーパ部分に隙間(seam)を有しないように前記バッファ層上に堆積され得る。
【0260】
本発明の他の一実施例に係る表示装置は、複数のサブ画素が定義された基板、前記複数のサブ画素の間に配置されたバンク、前記複数のサブ画素の間に配置され、前記バンクの上面厚さの一部が除去された少なくとも一つのトレンチパターン、前記複数のサブ画素の間に、前記バンク上に配置される少なくとも一つのスペーサー、iCVD方式で、前記トレンチパターンの内部形状及び前記スペーサーの屈曲に沿って前記トレンチパターンの内面及び前記バンクと前記スペーサー上に堆積されるバッファ層、及び前記バッファ層上に配置された封止層を含むことができる。
【0261】
本発明の他の特徴によれば、前記バンクの上部に異物が配置される場合、前記バッファ層は、隙間(seam)なしに前記異物の逆テーパ部分を全て覆うように堆積され得る。
【0262】
本発明のまた他の特徴によれば、前記スペーサーは、逆テーパ形態を有し、前記バッファ層は、前記スペーサーの逆テーパ部分を隙間(seam)が形成されないように全て覆うように堆積され得る。
【0263】
以上、添付の図面を参照して、本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を外れない範囲内で多様に変形実施され得る。従って、本明細書に開示された実施例は、本発明の技術思想を制限するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が制限されるものではない。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものと理解すべきである。本発明の保護範囲は、下記の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
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