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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007448
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】製函装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/78 20170101AFI20230111BHJP
   B65B 43/28 20060101ALI20230111BHJP
   B31B 50/94 20170101ALI20230111BHJP
【FI】
B31B50/78
B65B43/28 B
B31B50/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100039
(22)【出願日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021109424
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 久
【テーマコード(参考)】
3E030
3E075
【Fターム(参考)】
3E030AA02
3E030BB05
3E030BC01
3E030CA09
3E030CB01
3E030DA06
3E030GA03
3E075AA04
3E075AA28
3E075BA05
3E075CA07
3E075DC52
3E075DE18
3E075FA05
3E075FA15
3E075FA19
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】製函装置の小型化を図れる構成を提供する。
【解決手段】第1開きアーム310は、板状に折りたたまれたダンボールシートの互いに対向する一対の板状部S1、S2のうち、一方の板状部S1に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップF1、F2間の隙間G1よりも狭い厚さを有する。第1開きモータ312は、第1開きアーム310を移動させる。第1開きアーム310は、一対のフラップF1、F2間の隙間G1に挿入された状態で、一対の板状部S1、S2のうちの他方の板状部S2に設けられ、且つ、隙間G1と対向する位置にあるフラップF2に対向する。第1開きモータ312は、第1開きアーム310が他方の板状部S2に設けられたフラップF2を押して他方の板状部S2が一方の板状部S1から離れるように、第1開きアーム310を移動させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に折りたたまれたダンボールシートの互いに対向する一対の板状部のうち、一方の板状部に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップ間の隙間よりも狭い厚さを有する開きアームと、
前記開きアームを移動させる移動手段と、を備え、
前記開きアームは、前記一対のフラップ間の隙間に挿入された状態で、前記一対の板状部のうちの他方の板状部に設けられ、且つ、前記隙間と対向する位置にあるフラップに対向し、
前記移動手段は、前記開きアームが前記他方の板状部に設けられたフラップを押して前記他方の板状部が前記一方の板状部から離れるように、前記開きアームを移動させる
ことを特徴とする製函装置。
【請求項2】
内部に前記開きアームが配置され、挿入位置にダンボールシートが挿入される筐体を備え、
前記開きアームは、挿入位置を基準に前記フラップを押して他方の板状部を移動させるように配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の製函装置。
【請求項3】
前記筐体に挿入されたダンボールシートを前記挿入位置に向けて搬送する搬送ローラを備えた
ことを特徴とする、請求項2に記載の製函装置。
【請求項4】
前記搬送ローラの搬送方向に直交する方向に関して前記搬送ローラと間でダンボールシートをニップ可能な従動コロと、
前記搬送ローラと前記従動コロによるダンボールシートのニップと、前記ニップの解除とが可能なニップ解除手段と、備え、
前記ニップ解除手段は、前記搬送ローラによりダンボールシートを前記挿入位置に搬送した後に前記ニップの解除を行い、
前記移動手段は、前記ニップの解除後に前記開きアームの移動を開始する
ことを特徴とする、請求項3に記載の製函装置。
【請求項5】
前記ニップ解除手段は、前記開きアームの移動開始から所定時間経過後にダンボールシートを再びニップする
ことを特徴とする、請求項4に記載の製函装置。
【請求項6】
前記所定時間は、前記搬送ローラの回転軸線方向に関して、前記他方の板状部が前記搬送ローラから外れた位置に到達するまでの時間である
ことを特徴とする、請求項5に記載の製函装置。
【請求項7】
前記開きアームを第1開きアーム、前記一方の板状部の前記一対のフラップ間の隙間を第1隙間とした場合に、
前記他方の板状部に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップ間の第2隙間よりも狭い厚さを有する第2開きアームを備え、
前記第2開きアームは、前記第1開きアームが前記他方の板状部に設けられたフラップを押して前記他方の板状部を移動させている間は、前記第2隙間に挿入された状態で、前記一方の板状部に設けられ、且つ、前記第2隙間と対向する位置にあるフラップに当接している
ことを特徴とする、請求項1ないし6の何れか1項に記載の製函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状に折りたたまれたダンボールシートを開いてダンボール箱とする製函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状に折りたたまれたダンボールシートを開いてダンボール箱とする製函装置が従来から知られている。例えば、ダンボールシートの互いに対向する一対の板状部を吸着して、一方の板状部を移動させることでダンボールシートを開く構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-7619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、ダンボールシートの板状部を吸着して開く構成の場合、吸引力を発生させるための真空ポンプなどの吸引装置が必要となるため、製函装置が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、製函装置の小型化を図れる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の製函装置は、板状に折りたたまれたダンボールシートの互いに対向する一対の板状部のうち、一方の板状部に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップ間の隙間よりも狭い厚さを有する開きアームと、前記開きアームを移動させる移動手段と、を備え、前記開きアームは、前記一対のフラップ間の隙間に挿入された状態で、前記一対の板状部のうちの他方の板状部に設けられ、且つ、前記隙間と対向する位置にあるフラップに対向し、前記移動手段は、前記開きアームが前記他方の板状部に設けられたフラップを押して前記他方の板状部が前記一方の板状部から離れるように、前記開きアームを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製函装置の小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る製函装置の斜視図。
図2】実施形態に係る製函装置の正面図。
図3】実施形態に係る製函装置を正面側から見た断面図。
図4】実施形態に係る製函装置のダンボールシートの搬送系を中心として示す断面図。
図5】実施形態に係る製函装置のダンボールシートの挿入方向に沿った断面図。
図6】実施形態に係る開きアームに関する構成を抜き出して示す斜視図。
図7】実施形態に係る開きアームに関する構成を抜き出して示す平面図。
図8】実施形態に係る開きアームに関する構成を抜き出して、開きアームが隙間に挿入される様子を拡大して示す斜視図。
図9図8と反対側から見た斜視図。
図10】開きアームによりダンボールシートが開いていく状態を示す模式図。
図11】実施形態に係る押圧アーム及びテープユニットを、ダンボールシートが開いていく状態と共に示す平面図。
図12】実施形態に係る押圧アーム及び第1フラップ曲げアームに関する構成を抜き出して示す斜視図。
図13】実施形態に係る押圧アーム及び第1フラップ曲げアームに関する構成を抜き出して示す側面図。
図14】実施形態に係る片側の押圧アーム及び第1フラップ曲げアームに関する構成を抜き出して示す側面図。
図15】実施形態に係る押圧アーム及び規制アームに関する構成を抜き出して示す平面図。
図16】実施形態に係る押圧アーム及び規制アームによりダンボールシートを箱状に整形した状態を示す平面図。
図17】実施形態に係る第2フラップ曲げアームを抜き出して示す平面図。
図18】実施形態に係る第2フラップ曲げアームを抜き出して示す斜視図。
図19】実施形態に係る第2フラップ曲げアームによる第2フラップの折り曲げ前の状態を示す正面図。
図20】実施形態に係る第2フラップ曲げアームによる第2フラップの折り曲げ状態を示す正面図。
図21】実施形態に係る第2フラップ曲げアームによる第2フラップの折り曲げ終了時の状態を示す正面図。
図22】実施形態に係るテープユニットを抜き出して示す側面図。
図23図22と反対側から見た側面図。
図24】実施形態に係るテープユニットによるテープの貼り付け開始前の状態を示す側面図。
図25】実施形態に係るテープユニットを抜き出して示す斜視図。
図26図24と反対側から見た側面図。
図27図25と反対側から見た側面図。
図28】実施形態に係るテープユニットの待機状態を示す断面図。
図29】実施形態に係るテープユニットのテープの貼り付け開始状態を示す断面図。
図30】実施形態に係るテープユニットのテープの貼り付け途中の状態を示す断面図。
図31】実施形態に係るテープユニットのテープの貼り付け途中の状態で、第1テープ押えローラが底面から外れた状態を示す断面図。
図32】実施形態に係るテープユニットのテープの切断状態を示す断面図。
図33】実施形態に係るテープユニットのテープの切断後の状態を示す断面図。
図34】実施形態に係るテープユニットのテープの貼り付け途中の状態で、第2テープ押えローラが角部に到達した状態を示す断面図。
図35】実施形態に係るテープユニットのテープの貼り付け終了状態を示す断面図。
図36】実施形態に係るテープユニットの、(a)テープを露出させた状態を示す斜視図、(b)テープの固定板を取り除いた状態を示す斜視図。
図37図36(a)とは異なる方向から見た斜視図。
図38】実施形態に係るテープユニットからテープを取り外した状態を示す斜視図。
図39】実施形態に係るテープユニットが内壁に当たった状態を示す側面図。
図40】実施形態に係る製函装置の制御ブロック図。
図41】実施形態に係るダンボールシートの挿入から挿入位置までの制御のフローチャート。
図42】実施形態に係るダンボールシートの開函から第1フラップの曲げまでの制御のフローチャート。
図43】実施形態に係る第2フラップの曲げからテープ貼り付けまでの制御のフローチャート。
図44】実施形態に係るダンボールの取り出し準備のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について、図1ないし図44を用いて説明する。まず、図1ないし図4を用いて、本実施形態の製函装置100の全体構成について説明する。
【0010】
[製函装置の全体構成]
図1ないし図3に示すように、本実施形態の製函装置100は、筐体101、搬送機構200、開き機構300、第1押圧機構400、第1フラップ曲げ機構500、規制機構600(図15など参照)、第2フラップ曲げ機構700(図18など参照)、テープユニット800などを備える。本実施形態の製函装置100は、板状に折りたたまれたダンボールシートを挿入すると、筐体101の内部において、挿入されたダンボールシートを開いて筒状にし、筒状の片側のフラップを折り曲げてテープを貼り付けることで、筒状の他側のフラップが開いた箱状のダンボールを自動で組み立てるものである。
【0011】
以下、全体の概略構成について説明する。なお、以下の説明では、図1の紙面右手前側、図2の紙面手前側をそれぞれ装置の前側とし、特に断らない限り、前後方向及び左右方向は、装置を手前側から見た場合の方向を指すこととする。
【0012】
筐体101は、図1及び図2に示すように、操作者が操作する側を前側とした場合、前面にダンボールシートの挿入口102と、組み立てられたダンボールの取り出し口103とが形成されている。即ち、本実施形態の製函装置100では、ダンボールシートの挿入と、組み立てられたダンボールの取り出しとを同一方向から行えるように、挿入口102及び取り出し口103を装置の前面に形成している。筐体101の前面には、装置の起動ボタン、停止ボタンなどの操作部104が設けられている。操作部104には、装置の状態を表示するランプや画面などの表示部を設けても良い。
【0013】
挿入口102は、筐体101を前面から見た場合に左右方向に関して中央よりも左寄りに、上下方向の略中央から下方に亘って上下に沿って形成されたスリットである。したがって、操作者は、ダンボールシートを立てた状態で挿入口102から製函装置100に挿入することになる。なお、本実施形態の説明において、挿入口102の位置は中央よりも左寄りの配置を例に挙げて説明するが、中央よりも右寄りであっても良い。
【0014】
取り出し口103は、挿入口102の上方に挿入口102と連続して形成されており、挿入口102よりも開口面積が広い。具体的には、組み立てられたダンボールが取り出せるような開口面積を有する。また、取り出し口103は、筐体101の前面から上面に亘って開口しており、組み立てられたダンボールを取り出し易くしている。なお、取り出し口103の左側縁部は、挿入口102の左側縁部と上下方向に関して同一のライン上に形成されている。
【0015】
図3は、製函装置100の内部の構成を前面側から見た断面図である。筐体101の内部には、搬送機構200、開き機構300、第1押圧機構400、第1フラップ曲げ機構500などの各機構やユニットが配置されている。まず、ダンボールシートの挿入方向(前側から後側に向かう方向)に関して挿入口102と重なる位置には、搬送機構200が配置されている。特に、装置の下方には、後述するように挿入口102から挿入されたダンボールシートを搬送する搬送ローラ201が配置され、装置の上方には搬送ローラ201との間でダンボールシートをニップして搬送するための従動コロ202が配置されている。
【0016】
また、装置の上方で従動コロ202の下方には、ダンボールシートを開くための開き機構300が配置されている。開き機構300は、ホームポジションで挿入口102から挿入されたダンボールシートを厚さ方向から挟むように配置された第1開きアーム310と第2開きアーム320とを有する。詳しくは後述するが、第1開きアーム310及び第2開きアーム320は、ダンボールシートの上側のフラップに対向するように配置されている。
【0017】
筐体101内の左右方向略中央部には、テープユニット800が配置されている。テープユニット800は、詳しくは後述するように前後方向(ダンボールシートの挿入方向と平行な方向)に移動して、ダンボールの下側のフラップにテープを貼り付ける。テープユニット800は、左右方向の略中央部に位置するため、後述するようにダンボールシートを左右方向に開くときには、ダンボールシートと干渉しないように、前後方向の何れか(本実施形態では前側)に退避している。
【0018】
テープユニット800の右側には、第1押圧機構400及び第1フラップ曲げ機構500が配置されている。第1押圧機構400は、詳しくは後述するように、前後方向の両側に第1押圧部410(420)が配置されており、互いに近づくように前後方向に移動する。そして、開き機構300により開かれたダンボールシートの前後の側面を押圧して、ダンボールシートを筒状に整形する。
【0019】
第1フラップ曲げ機構500は、詳しくは後述するように、前後方向両側の第1押圧部410(420)の下方にそれぞれ支持された第1曲げアーム510(520)を有する。第1曲げアーム510(520)は、第1押圧部410(420)と共に前後方向に移動可能であり、第1押圧部410(420)がダンボールシートの前後の側面を押圧している際に、ダンボールシートの下側の前後の側面に繋がった第1フラップを折り曲げる。
【0020】
第1押圧機構400の上方には、開き機構300により開かれたダンボールシートの右側の側面の位置を規制する片側規制部材650が設けられている。また、片側規制部材650と対向する位置には、ダンボールシートの左側の側面の位置を規制する他側規制部材660が設けられている。他側規制部材660は、ダンボールシートが挿入口102から挿入される際には、ダンボールシートの左側の側面をガイドする。
【0021】
図3及び図4に示すように、片側規制部材650の上方には、開かれたダンボールシートの上側のフラップを押える上部フラップ押えコロ670が配置されている。上部フラップ押えコロ670は、左右方向と平行な回転軸を有する従動コロで、開かれたダンボールシートの上側のフラップを前後方向にガイド可能である。
【0022】
また、図3及び図4に示すように、第1押圧機構400及び第1フラップ曲げ機構500の下方には、すくい上げ部材671が設けられている。上述のように、筐体101内の左右方向略中央位置には、前後方向に移動するテープユニット800が配置されているため、テープユニット800が移動する範囲内には、開いている最中のダンボールシートの下端部を支える部材を配置できない。このため、すくい上げ部材671を、テープユニット800の右側で、第1押圧機構400及び第1フラップ曲げ機構500の下方に配置して、開いている最中のダンボールシートの下端部が左右方向に関してテープユニット800を通過したら、この下端部をすくい上げ部材671ですくうように支持して、ダンボールシートが傾くことを抑制している。また、すくい上げ部材671は、左側に向かう程下方に傾斜しており、開いている最中のダンボールシートの下端部が若干下方に下がっても、上方に持ち上げるように案内できるようになっている。
【0023】
筐体101内には、図1、2、4では隠れて見えないが、規制機構600(図3、15など参照)及び第2フラップ曲げ機構700(図3、18など参照)が配置されている。規制機構600は、図3の左側に配置され、後述するように、前後方向に配置された規制アーム610、620によりダンボールシートの前後の側面の位置を第1押圧部410(420)と共に規制して、ダンボールシートを筒状に整形する。第2フラップ曲げ機構700は、図3の左右方向両側にそれぞれ配置された第2曲げアーム710、720により、ダンボールシートの下側の第2フラップを折り曲げる。以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
【0024】
[ダンボールシートの挿入構成]
図4及び図5を用いてダンボールシートの挿入に関する構成について説明する。上述のように挿入口102から挿入されたダンボールシートは、搬送機構200により奥側(後側)に搬送される。搬送機構200は、搬送ローラ201、従動コロ202、第1検知センサ203、第2検知センサ204、先端ストッパ205、搬送ローラ駆動機構210、ローラ昇降機構220を有する。
【0025】
搬送ローラ201は、前後方向略中央部に配置され、挿入されたダンボールシートの下端部に当接することでダンボールシートを奥側に搬送する。搬送ローラ201は、搬送ローラ駆動機構210により回転駆動される。また、搬送ローラ201は、ローラ昇降機構220により上下方向に移動可能となっている。搬送ローラ201は、後述するように、ダンボールシートの挿入時には、従動コロ202との間でダンボールシートをニップしない退避位置(下側位置)に位置し、ダンボールシートがある程度挿入されてから搬送位置(上側位置)に移動して、従動コロ202との間でダンボールシートをニップし、奥側に搬送するようにしている。
【0026】
ここで、ダンボールシートの挿入時に搬送ローラ201を退避位置に位置させているのは、以下のような理由による。まず、ダンボールシートの挿入時に搬送ローラ201が搬送位置にあると、操作者が手動でダンボールシートを挿入した際に搬送ローラ201と接触して挿入時に邪魔になる可能性があるためである。即ち、操作者がダンボールシートの挿入時に突き当たり感などの違和感を覚える虞があるため、手動での挿入時には搬送ローラ201を退避位置に位置させている。
【0027】
また、後述するように、搬送ローラ201を退避位置から搬送位置に移動させる際には、搬送ローラ201を回転させておくが、これは、回転した状態で搬送ローラ201が持ち上がることで操作者に対して違和感を与えることなくスムーズに搬送できるためである。仮に、ダンボールシートをニップしてから搬送ローラ201を回転させると、操作者によって挿入されたダンボールシートは一旦停止し、その後、搬送がスタートすることになる。これは操作者に寄ってはダンボールシートを急に引っ張られるように感じ、やはり違和感を覚える虞がある。
【0028】
従動コロ202は、前後方向に複数(本実施形態では3つ)配置されており、挿入されたダンボールシートの上端部に当接することでダンボールシートの上端位置を規制しつつ奥側に案内する。3つの従動コロ202のうち、前後方向外側に配置された2つの従動コロ202は、前後方向に互いに間隔をあけて配置されており、前後方向に関して搬送ローラ201を挟むように配置されている。少ない部材で傾きを防ぎながらダンボールシートを搬送するためには、外側に配置された2つの従動コロ202の間に搬送ローラ201が配置される事が好ましい。
【0029】
なお、本実施形態では、製函装置100において製函されたダンボールを図5の右斜め上方向に取り出す構成としているため、図5に示す右側(前側)の従動コロ202が、若干、搬送ローラ201側に寄って配置されている。また、図5に示す3つの従動コロ202の内、中央の従動コロ202は、後述する図7に示すように、前後方向に関して第1開きアーム310と第2開きアーム320との間にある。これは、ダンボールシートの開き動作時に力が作用する部分のダンボールシート(本実施形態では、一方の板状部S1)に従動コロ202を当接させることで、開き動作時にダンボールシートが傾くことをより効率よく抑制するためである。
【0030】
このような従動コロ202は、後述するように、搬送ローラ201が搬送位置に位置した場合に、搬送ローラ201の搬送方向に直交する方向である上下方向に関して、搬送ローラ201との間でダンボールシートをニップ可能である。
【0031】
第1検知センサ203は、挿入口102の近傍(入口)に配置されており、挿入口102からダンボールシートが挿入されたことを検知する。第1検知センサ203は、例えば、ダンボールシートの搬送経路に突出、及び、搬送経路から退避可能に揺動自在に設けられたセンサフラグと、センサフラグの揺動位置を検知するセンサとから構成されている。このセンサは、例えばフォトインタラプタである。
【0032】
挿入口102からダンボールシートが挿入されると、ダンボールシートの先端がセンサフラグに当たってセンサフラグが倒れることでセンサの論理が変わる。これにより、第1検知センサ203によりダンボールシートが挿入されたことが検知される。本実施形態では、第1検知センサ203によりダンボールシートの挿入を検知したら、搬送ローラ201の駆動を開始するようにしている。
【0033】
なお、第1検知センサ203は、後述するように、搬送ローラ201の駆動停止タイミングも検知する。即ち、ダンボールシートが所定の挿入位置まで搬送されると、ダンボールシートの後端が第1検知センサ203を通過して、センサフラグが立ち上がる。すると、センサの論理が変化して、ダンボールシートの後端が第1検知センサ203を通過したことが検知される。そして、第1検知センサ203によりダンボールシートの後端が通過したことを検知したタイミングに基づいて、搬送ローラ201の駆動を停止することでダンボールシートの搬送を停止する。
【0034】
第2検知センサ204は、搬送ローラ201の搬送方向下流側近傍に配置されている。第2検知センサ204も、第1検知センサ203と同様に、例えば、ダンボールシートの搬送経路に突出、及び、搬送経路から退避可能に揺動自在に設けられたセンサフラグと、センサフラグの揺動位置を検知するセンサとから構成されている。ダンボールシートの先端がセンサフラグに当たってセンサフラグが倒れることでセンサの論理が変わる。これにより、第2検知センサ204の位置をダンボールシートが通過したことが検知される。本実施形態では、第2検知センサ204によりダンボールシートの通過を検知したら、後述するように、退避位置にある搬送ローラ201を上側位置に移動開始する。そして、搬送ローラ201をダンボールシートの下端部に当接させることで、ダンボールシートを搬送ローラ201と従動コロ202とでニップし、搬送ローラ201によるダンボールシートの搬送を開始する。
【0035】
先端ストッパ205は、第2検知センサ204よりも更に搬送方向下流側に設けられ、搬送ローラ201により搬送されたダンボールシートの先端が当接し、それ以上ダンボールシートが搬送されることを規制する。ダンボールシートが先端ストッパ205に突き当たった状態が所定の挿入位置であり、この挿入位置を基準としてダンボールシートの展開が開始される。
【0036】
搬送ローラ駆動機構210は、ローラ駆動モータ211、駆動伝達機構212を有する。ローラ駆動モータ211の駆動力は駆動伝達機構212を介して搬送ローラ201に伝達される。駆動伝達機構212は、第1プーリ213、第2プーリ214、第3プーリ215、第4プーリ216、第1ベルト217、第2ベルト218を有する。第1プーリ213はローラ駆動モータ211の駆動軸に固定され、第1プーリ213と第2プーリ214とには第1ベルト217が掛け渡されている。第3プーリ215は第2プーリ214と同軸に配置され、第2プーリ214と共に回転する。第3プーリ215と第4プーリ216とには第2ベルト218が掛け渡されている。第4プーリ216は搬送ローラ201の回転軸に固定されている。
【0037】
ローラ駆動モータ211の回転は、第1プーリ213、第1ベルト217、第2プーリ214、第3プーリ215、第2ベルト218、第4プーリ216の順に搬送ローラ201に伝達される。搬送ローラ201は、次述するように、第2プーリ214及び第3プーリ215の回転軸を揺動軸219として、上下方向に揺動可能である。本実施形態では、搬送ローラ201を上下に揺動させるべく、2つのプーリ伝達機構によりモータから搬送ローラ201に駆動を伝達するようにしている。なお、搬送ローラ201の上下の移動とモータからの駆動伝達を両立できれば、ギア機構などの他の機構により構成しても良い。
【0038】
ニップ解除手段としてのローラ昇降機構220は、搬送ローラ201と従動コロ202によるダンボールシートのニップと、ニップの解除とが可能である。このようなローラ昇降機構220は、昇降駆動モータ221、昇降アーム222、昇降カム223を有する。昇降駆動モータ221の回転駆動力は、プーリなどの駆動伝達機構により昇降カム223に伝達される。昇降カム223は、偏心カムであり、回転中心から外周面(カム面)までの距離が回転角度によって異なる。昇降アーム222は、上述の揺動軸219を中心に揺動可能に支持されており、一端側に搬送ローラ201を回転自在に支持すると共に、他端側の下面に昇降カム223が当接するように配置されている。
【0039】
昇降駆動モータ221の駆動により昇降カム223が回転すると、昇降アーム222が揺動軸219を中心に揺動して、搬送ローラ201を上下方向に移動させる。図5では、搬送ローラ201が搬送位置にある場合と退避位置にある場合の両方を重ねて示している。昇降カム223により昇降アーム222が持ち上げられると、搬送ローラ201が退避位置に下降し、昇降カム223がこの位置から回転して昇降アーム222が下がると、搬送ローラ201が搬送位置に上昇する。搬送ローラ201の昇降は、搬送ローラ昇降センサ224により検知される。搬送ローラ昇降センサ224は、例えば昇降アーム222の位置を検知する。
【0040】
[ダンボールシートの搬送動作のフロー]
次に、上述のような搬送構成によりダンボールシートを挿入位置まで搬送する動作について、図41を用いて説明する。なお、以下の動作は、後述する図40に示す制御部1000により実行される。まず、操作者がダンボールシートを挿入口102から手動で挿入開始する。第1検知センサ(入口センサ)203がダンボールシートを検知(ON)すると(S101)、搬送ローラ201の駆動を開始する(S102)。上述のように、ダンボールシートの挿入時は、搬送ローラ201は搬送路から下方に退避している(退避位置にある)。言い換えると、装置の電源を投入し各部の動作を確認する所謂イニシャル動作を行った後、搬送ローラ201は搬送路から下方に退避した位置で待機する。この位置が搬送ローラ201のデフォルト位置となる。
【0041】
ダンボールシートの挿入方向の先端が搬送ローラ201の位置を越え、第2検知センサ(搬送開始センサ)204により検知(ON)されると(S103)、昇降駆動モータ221の回転を開始し、搬送ローラ201を搬送位置に上昇させる(S104)。即ち、昇降駆動モータ221を回転させることで昇降カム223を回転させ、カム面と当接している昇降アーム222が揺動軸219を中心に揺動させる。そして、搬送ローラ201を退避位置から搬送路(搬送位置)に移動させ、ダンボールシートの下端部に当接させる。
【0042】
搬送ローラ201がダンボールシートに当接した以降は、搬送ローラ201によりダンボールシートが搬送される。この際、操作者は、ダンボールシートの挿入途中から自動でダンボールシートが搬送される操作感を感じる。そして、ダンボールシートの後端が第1検知センサ203を通過し、センサの論理が変化(OFF)してもしばらくは搬送ローラ201の回転を継続する(S105)。
【0043】
具体的には、ダンボールシートの先端が先端ストッパ205に突き当たる所定の距離分よりも長い距離に相当する時間、搬送ローラの回転を継続する。この際、ダンボールシートの先端が先端ストッパ205に当接しているのでダンボールシートは停止しており、搬送ローラ201はスリップしている。これは、ダンボールシートが確実に先端ストッパ205に当接した状態で、ダンボールシートを停止させるためである。即ち、ダンボールシートの停止位置を確定したいためである。
【0044】
第1検知センサ203のOFFから所定時間経過後(S106)、昇降駆動モータ221を駆動することで昇降アーム222を揺動させて、搬送ローラ201を退避位置に下降させる(S107)。即ち、搬送ローラ201によりダンボールシートを挿入位置に搬送した後に搬送ローラ201と従動コロ202によるニップの解除を行う。更に一定時間経過後、搬送ローラ201の回転を停止する(S108)。この状態で、ダンボールシートは筐体101内の所定の挿入位置に位置することになる。
【0045】
このように本実施形態では、ダンボールシートの搬送時は、搬送ローラ201と従動コロ202によりダンボールシートをニップし、ダンボールシートの上下方向の位置が規制されている。搬送が終わると、搬送ローラ201を退避させることで、ダンボールシートの上下方向の位置規制を解除(即ち、ニップを解除)する。これは、次述する開き動作において折り畳まれたダンボールシートを円滑に開くためである。
【0046】
[ダンボールシートの開き構成]
図6ないし図11を用いてダンボールシートの開きに関する構成について説明する。上述のように挿入位置に挿入されたダンボールシートSは、開き機構300により開かれて、断面略矩形状で略筒状に整形される。開き機構300は、第1開きアーム310、第2開きアーム320などを有する。第1開きアーム310及び第2開きアーム320は、図6及び図7に示すように、ホームポジションにおいて挿入位置にあるダンボールシートSの上側のフラップを厚さ方向に挟むように配置されている。図2図3に示すように、第1開きアーム310は他側規制部材660より左側の位置に待機させる。また、第2開きアーム320は挿入口102の右側縁部より右側の位置に待機させる。これらの待機位置により操作者によって挿入されるダンボールシートSを第1開きアーム310と第2開きアーム320の間に導くことができる。また、第1開きアーム310及び第2開きアーム320は、前後方向に互いにずれた位置に配置されている。
【0047】
言い換えれば、上述の搬送構成によりダンボールシートSが、第1開きアーム310と第2開きアーム320との間に搬送される。本実施形態の製函装置100では、挿入されるダンボールシートSの先端から後述するフラップ間の隙間(スリット)までの距離が予め規定されており、その規定された位置に第1開きアーム310と第2開きアーム320が配置されている。
【0048】
第1開きアーム310と第2開きアーム320の配置は、先端ストッパ205が基準となっている。このため、上述のように、先端ストッパ205にダンボールシートSの先端を確実に突き当てるようにしている。先端ストッパ205に確実にダンボールシートSの先端を突き当てるために、上述したように、第2検知センサ204によりダンボールシートを検知してから、ダンボールシートの先端が先端ストッパ205に突き当たる見込みのパルスもしくは距離よりも多く搬送ローラ201を回転させるようにしている。
【0049】
本実施形態の製函装置100で使用されるダンボールシートSは、箱状のダンボールとして組み立てた(製函した)状態でフラップ側から見た形状が長方形である。したがって、このダンボールを板状に折りたたんだ状態で互いに対向する一対の板状部S1、S2は、それぞれ長さ異なる一対のフラップを有する。一対のフラップは、ダンボールシートの状態で隣り合うように設けられる。長さが異なる一対のフラップは、板状部S1、S2の両端側(挿入位置における上下方向両端側)にそれぞれ設けられている。一般的に隣り合う一対のフラップ同士の間には隙間があるが、上述のようにフラップ側から見た形状が長方形のダンボールの場合、この隙間の位置は、一対の板状部S1、S2同士で異なる。
【0050】
ここで、本実施形態の製函装置100においてダンボールシートSを開いた場合に、前後方向両側に位置するフラップを第1フラップF1、左右方向両側に位置するフラップを第2フラップF2とする。また、本実施形態では、第1開きアーム310が第2開きアーム320よりもダンボールシートSの挿入方向下流側(後側)に配置されており、後述するように、第1開きアーム310を装置の右側に大きく移動させることでダンボールシートSを開くように構成している。このため、第1フラップF1の方が第2フラップF2よりも長さが短く、一対の板状部S1、S2のうち、挿入位置で左側にある一方の板状部S1に設けられた一対のフラップF1、F2の隙間(以下、第1隙間G1)は、右側にある他方の板状部S2に設けられた一対のフラップF1、F2の隙間(以下、第2隙間G2)よりも後側に位置する。
【0051】
したがって、本実施形態に製函装置100では、ダンボールの形状及びダンボールシートSの挿入方向が予め決まっており、板状に折りたたまれたダンボールシートの状態で、第1隙間G1と第2隙間G2との位置が重ならないダンボールの製函に適している。即ち、本実施形態の製函装置100は、折りたたまれたダンボールシートの状態で隙間に対向してフラップがあることを利用してダンボールシートSを開くようにしている。
【0052】
更に言えば、図6に示すように、板状部S1側の第1隙間G1に対向して板状部S2側の第2フラップF2があり、板状部S2側の第2隙間G2に対向して板状部S1側の第2フラップF2がある。そして、第1隙間G1に第1開きアーム310を挿入して第1開きアーム310を更に移動させることで対向している板状部S2の第2フラップF2を押す。同様に、第2隙間G2に第2開きアーム320を挿入して第2開きアーム320を更に移動させることで対向している板状部S1の第2フラップF2を押す。そして、本実施形態では、第1開きアーム310を大きく移動させることで、ダンボールシートSを開くようにしている。
【0053】
なお、ダンボールシートSの挿入方向を一定にすることで、挿入方向(前後方向)に関して第1隙間G1と第2隙間G2の順番は常に同じとなる。製函装置の実際の使用状態を考慮すると、ダンボールに貼られるラベル位置や印刷位置は同一種類のダンボールでほぼ同じような位置になる。このため、実際の作業では、ダンボールシートSを同じ向きで挿入することが一般的である。以下、ダンボールシートの開き構成について具体的に説明する。
【0054】
開きアームとしての第1開きアーム310は、図8に示すように、板状に折りたたまれたダンボールシートSの互いに対向する一対の板状部S1、S2のうち、一方の板状部S1に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップ間(第1フラップF1と第2フラップF2との間)の隙間(第1隙間G1)よりも狭い厚さを有する板状の部材である。第1開きアーム310の長さは、第1隙間G1の長さよりも短くしている。第1開きアーム310は、第1移動ブロック310aに固定されており、第1移動ブロック310aは、左右方向に配設された第1ガイドレール311に沿って移動可能である。
【0055】
第1開きアーム310は、図6に示すように、移動手段としての第1開きモータ(左開きモータ)312により移動させられる。具体的には、第1開きモータ312の駆動を第1開き機構313を介して第1開きアーム310に伝達して、第1開きアーム310を左右方向に移動させる。第1開き機構313は、プーリ314、プーリ315、ベルト316を有する。プーリ314は、第1開きモータ312の駆動軸とプーリ機構などの駆動伝達機構により接続されている。プーリ314とプーリ315にはベルト316が掛け渡されている。また、ベルト316には、第1移動ブロック310aが固定されている。
【0056】
第1開きモータ312が駆動されるとプーリ314が回転して、ベルト316が周回移動する。このとき、ベルト316には第1移動ブロック310aが固定されているため、ベルト316の移動により第1移動ブロック310a及び第1開きアーム310が、第1ガイドレール311に沿って移動する。
【0057】
また、本実施形態では、第1開きアーム310がホームポジションに位置することを検知する第1ホームポジション検知センサ(左開きアーム_HPセンサ)317と、第1開きアーム310が第1所定位置まで移動したことを検知する第1アーム位置検知センサ(左開きアーム位置センサ)318とを有する。これら両検知センサ317、318は、互いに対向する発光部と受光部とを有するフォトインタラプタであり、第1移動ブロック310aに設けられた第1フラグ310bが通過可能となっている。両検知センサ317、318は、第1フラグ310bの通過を検知することで、第1開きアーム310の位置を検知する。
【0058】
第2開きアーム320は、図9に示すように、板状に折りたたまれたダンボールシートSの互いに対向する一対の板状部S1、S2のうち、他方の板状部S2に互いに隣り合うように設けられた一対のフラップ間(第1フラップF1と第2フラップF2との間)の隙間(第2隙間G2)よりも狭い厚さを有する板状の部材である。第2開きアーム320の長さは、第2隙間G2の長さよりも短くしている。第2開きアーム320は、第2移動ブロック320aに固定されており、第2移動ブロック320aは、左右方向に配設された第2ガイドレール321に沿って移動可能である。
【0059】
第2開きアーム320は、図6に示すように、第2開きモータ(右開きモータ)322により移動させられる。具体的には、第2開きモータ322の駆動を第2開き機構323を介して第2開きアーム320に伝達して、第2開きアーム320を左右方向に移動させる。第2開き機構323は、プーリ324、プーリ325、ベルト326を有する。プーリ324は、第2開きモータ322の駆動軸とプーリ機構などの駆動伝達機構により接続されている。プーリ324とプーリ325にはベルト326が掛け渡されている。また、ベルト326には、第2移動ブロック320aが固定されている。
【0060】
第2開きモータ322が駆動されるとプーリ324が回転して、ベルト326が周回移動する。このとき、ベルト326には第2移動ブロック320aが固定されているため、ベルト326の移動により第2移動ブロック320a及び第2開きアーム320が、第2ガイドレール321に沿って移動する。
【0061】
また、本実施形態では、第2開きアーム320がホームポジションに位置することを検知する第2ホームポジション検知センサ(右開きアーム_HPセンサ)327と、第2開きアーム320が第2所定位置まで移動したことを検知する第2アーム位置検知センサ(右開きアーム位置センサ)328とを有する。これら両検知センサ327、328は、互いに対向する発光部と受光部とを有するフォトインタラプタであり、第2移動ブロック320aに設けられた第2フラグ320bが通過可能となっている。両検知センサ327、328は、第2フラグ320bの通過を検知することで、第2開きアーム320の位置を検知する。なお、モータのパルスなどで位置制御が可能であれば、第1アーム位置検知センサ318及び第2アーム位置検知センサ328は省略しても良い。
【0062】
上述の構成でダンボールシートSを開く際には、第1開きモータ312を駆動して第1開きアーム310を図6、7に示したホームポジションから右方向に移動させる。このとき、図10及び図11に示すように、第1開きアーム310は、他方の板状部S2に設けられた第2フラップF2を押して他方の板状部S2が一方の板状部S1から離れるように移動する。また、第1開きアーム310は、上述の挿入位置を基準に第2フラップF2を押して他方の板状部S2を移動させるように配置されている。
【0063】
上述の搬送構成によりダンボールシートSが挿入位置に挿入された状態では、ダンボールシートSが搬送ローラ201と従動コロ202によりニップされた状態である。この状態ではダンボールシートSを開きにくいため、本実施形態では、搬送ローラ201によりダンボールシートSを挿入位置に挿入した後に、ローラ昇降機構220を動作させて、搬送ローラ201と従動コロ202によるニップの解除を行う。そして、ニップの解除後に第1開きアーム310の移動を開始する。
【0064】
また、ニップを解除したままダンボールシートSを開く動作を行うと、ダンボールシートSの姿勢が安定しないため、この動作によりダンボールシートSが傾く可能性がある。したがって、本実施形態では、第1開きアーム310の移動開始から所定時間経過後にダンボールシートSを再びニップする。この所定時間は、搬送ローラ201の回転軸線方向に関して、他方の板状部S2が搬送ローラ201から外れた位置に到達するまでの時間である。即ち、再びニップ動作を行っても他方の板状部S2がニップされない位置まで他方の板状部S2を移動させておき、一方の板状部S1のみをニップするようにしている。これにより、ニップによりダンボールシートSを開く動作がしにくくなることを防ぐと共に、開き動作時にダンボールシートSが傾くなどして姿勢が乱れることを抑制できる。
【0065】
なお、所定時間は、第1開きアーム310により移動される他方の板状部S2が、テープユニット800の移動経路に到達する前の時間に設定されることが好ましい。これは、ここまで移動してしまうと、ダンボールシートが傾きやすくなるためである。
【0066】
一方、第2開きアーム320は、第1開きアーム310が他方の板状部S2に設けられた第2フラップF2を押して他方の板状部S2を移動させている間は、第2隙間G2に挿入された状態で、一方の板状部S1に設けられ、且つ、第2隙間G2と対向する位置にある第2フラップF2に当接している。即ち、第1開きアーム310が右側に移動して第1隙間G1に侵入する際に、第2開きアーム320も左側に移動して第2隙間G2に侵入して第2フラップF2に当接する。これにより、一方の板状部S1を第2開きアーム320により抑えた状態で、他方の板状部S2を第1開きアーム310により一方の板状部S1から離れる方向に移動させられる。この結果、ダンボールシートSが開かれる。
【0067】
具体的には、図11に破線で示すように、ダンボールシートSの形状が板状から平行四辺形に変形していく。ここで、図11に示す平行四辺形の4辺は、筒状のダンボールの4つの側板部D11、D12、D21、D22を構成する。このうち、長さが短い辺を側板部D11、D21、長さが長い辺を側板部D12、D22とした場合、一方の板状部S1が側板部D11と側板部D12により構成され、他方の板状部S2が側板部D21と側板部D22により構成される。短い側板部D11、D21には第1フラップF1が、長い側板部D12、D22には第2フラップF2がそれぞれ設けられる。
【0068】
第1開きアーム310が他方の板状部S2に設けられた第2フラップF2を押して他方の板状部S2を図11の上方に移動させると、一方の板状部S1の側板部D11と、他方の板状部S2の側板部D21とが図11の時計回りに立ち上がっていく。そして、他方の板状部S2の側板部D22が一方の板状部S1の側板部D12から離れていく。この際、一方の板状部S1の側板部D12に設けられた第2フラップF2が第2開きアーム320により移動が規制されているため、側板部D12は移動しない。また、他方の板状部S2に設けられたフラップ間の第2隙間G2が第2開きアーム320を通過する。第2開きアーム320の幅(図11の上下方向の長さ)は、第2隙間G2が円滑に第2開きアーム320から抜け出るような長さとしている。
【0069】
また、本実施形態では、後側にある第1開きアーム310を右側に移動させることで、図11に示すように、側板部D11、D21が時計方向に回転させるようにしてダンボールシートSを開いている。言い換えれば、一方の板状部S1が奥側から立ち上がるように変形する。これは、後述するように、テープユニット800はホームポジションにおいて筐体101内の前側に位置しており、開き動作時にもホームポジションに位置しているためである。
【0070】
即ち、ダンボールシートSの開き動作時に一方の板状部S1が前側から立ち上がるようにした場合、テープユニット800との干渉を防ぐために、テープユニット800とダンボールシートSの開き動作を行う領域とを離すことが考えられる。この場合、装置が大型化してしまう。これに対して本実施形態のように、テープユニット800のホームポジションとの関係で一方の板状部S1の立ち上がり方向を設定しておけば、開き動作時にダンボールシートSとテープユニット800との干渉を防ぎつつ、装置の小型化を図れる。なお、テープユニット800のホームポジションを筐体101内の後側として、開き動作時に一方の板状部S1を前側から立ち上がるように、即ち、側板部D11、D21が反時計方向に回転するようにしても良い。
【0071】
本実施形態では、第1開きアーム310が第1アーム位置検知センサ318により検知されるまで、即ち、第1所定位置まで移動する。この状態では、図11に示すように、ダンボールシートSは平行四辺形の状態までしか開かれていない。そして、ダンボールシートSがこの形状の状態で、第1押圧機構400を動作させる。この点については後述する。
【0072】
なお、ダンボールシートの装置への挿入方向が上述の場合とは逆の場合、それぞれの開きアームの移動方向は逆方向となる。即ち、一対の板状部に設けられたフラップ間の隙間の位置関係が上述と逆である場合、例えば、第1開きアーム310と第2開きアーム320のホームポジションにおける位置を左右逆にして、第2開きアーム320を右側に大きく移動させることでダンボールシートSを開くようにする。
【0073】
また、第1開きアーム310と第2開きアーム320の前後の位置を調整できるように構成すれば、ダンボールの形状が異なって、第1隙間G1と第2隙間G2の位置がずれたとしても対応可能である。即ち、上述した構成の場合、第1開きアーム310及び第2開きアーム320の前後方向の位置が固定されているが、ダンボールシートの搬送方向に移動可能に構成することもできる。
【0074】
この場合、ダンボールシートの先端からフラップ間の隙間までの距離を測定するためのセンサを設け、そのセンサにより検知された長さに合わせて第1開きアーム310と第2開きアーム320の少なくとも何れかの開きアームの位置をダンボールシートの搬送方向に移動させる。また、この場合においても、先端ストッパ205が突き当ての基準となる事から、先端ストッパ205に確実にダンボールシート材の先端を突き当てるために、上記と同様に、第2検知センサ204が検知してから、ダンボールシートの先端が先端ストッパ205に突き当たる見込みのパルスもしくは距離よりも多く搬送ローラ201を回転させる。
【0075】
本実施形態では、上述のように第1開きアーム310及び第2開きアーム320によりダンボールシートを開くため、例えば、ダンボールシートの側面を吸着して開く構成よりも小型化を図れる。即ち、吸着によりダンボールシートを開く場合、真空ポンプなどの吸引装置が必要になり、装置が大型化してしまう。一方、本実施形態のように開きアームを移動させることでダンボールシートを開く構成の場合、開きアームをモータの駆動により移動させることができ、真空ポンプなどを使用した構成よりも大幅な小型化を図れる。
【0076】
また、フラップの隙間に開きアームを侵入させ、隙間に対向するフラップを押圧して移動させることでダンボールシートを開く構成としているため、ダンボールが長方形であれば使用可能であるため、汎用性が高い。また、ダンボールシートを開いた後、第1開きアーム310及び第2開きアーム320は開かれたダンボールシートの内側に留まる。真空ポンプなどの吸引装置の場合、ダンボールシートの外側の側面を吸着する為、開かれたダンボールシートの外側に吸着する機構を設ける必要がある。よって、開いた後のダンボールシートの内側に第1開きアーム310及び第2開きアーム320を留まらせる本装置の構成は、真空ポンプなどの吸引装置に対し、大幅な小型化を実現する事が可能となる。また、開き動作時に無理な力がかかりにくいため、ダンボールの組み立て時にダンボールを損傷させることを抑制できる。
【0077】
[ダンボールシートの筒状整形及び第1フラップ曲げ構成]
図11ないし図14を用いてダンボールシートの筒状整形及び第1フラップF1の曲げに関する構成について説明する。上述のように、第1開きアーム310及び第2開きアーム320によるダンボールシートSの開き動作では、図11に示すように、ダンボールシートSは平行四辺形の状態までしか開かれていない。本実施形態では、ダンボールシートSがこの形状の状態で、第1押圧機構400を動作させて、ダンボールシートSをフラップ側から見た形状が矩形状となるように整形する。また、本実施形態では、第1押圧機構400の動きに連動させて第1フラップ曲げ機構500を動作させるようにしている。
【0078】
即ち、第1開きアーム310及び第2開きアーム320により展開されたダンボール箱の側面に第1押圧機構400の第1押圧部410、420を当接させ、装置内におけるダンボール箱の位置を規制する。これと共に、展開されたダンボールシートSを短形状に整形するために、第1押圧機構400の第1押圧部410、420を装置中央に向けて移動させる。この際、第1フラップ曲げ機構500が、第1押圧機構400の動作に連動して第1フラップF1を折り曲げる。
【0079】
[第1押圧機構]
第1押圧機構400は、第1押圧部410、420などを有する。図11ないし図13に示すように、第1押圧部410、420は、筐体101内の前後方向の両側で、ダンボールシートSの開き動作が行われる開き領域αを挟むように配置されている。また、第1押圧部410、420は、開き領域αに対向する面を左右方向及び上下方向と平行な面(ダンボールシートSの挿入方向に直交する面)としている。更に、第1押圧部410、420は、高さ方向の位置を側板部D11、D21と対向する位置として、ダンボールシートSの整形時に側板部D11、D21を押すようにしている。
【0080】
前側の第1押圧部410は、開き領域αに対向する側、即ち、後側の面に付勢板部440を圧縮バネ442を介して設けている。圧縮バネ442はシリンダ441内に配置されている。付勢板部440は、開き領域αに対向する押圧面440aを左右方向と平行な面としている。付勢板部440は開き領域αに向けて付勢されており、後述するように、ダンボールシートSを筒状に整形する際に、側板部D21を押し過ぎないようにしている。言い換えれば、後述するように第1押圧部410により側板部D21を押す際に付勢板部440が前後方向に若干移動することで、側板部D21及び第1押圧部410に無理な力がかからないようにしている。
【0081】
一方、後側の第2押圧部420は、開き領域αに対向する押圧面420aを左右方向と平行な面としている。第2押圧部420には上述のような付勢板部が設けられていないが、設けるようにしても良い。また、付勢板部440などを第1押圧部410ではなく第2押圧部420側に設けるようにしても良い。
【0082】
このような第1押圧部410、420は、それぞれ第1押圧部移動モータ411、421の駆動により前後方向に移動する。図11、12に示すように、左右方向(図11の上下方向)に関して開き領域αの右側(図11の上側)には、前後方向に配設された第1押圧部ガイドレール430(図12参照)、第1押圧部移動モータ411、421及び第1押圧部移動機構412、422が配置されている。即ち、開き領域αを挟んでダンボールシートSの搬送経路(搬送ローラ201と従動コロ202が配置された位置)と反対側に、第1押圧部ガイドレール430、第1押圧部移動モータ411、421及び第1押圧部移動機構412、422が配置されている。前述したように、第1押圧部410、420は、ダンボールシートSの整形時に側板部D11、D21を押すために、ダンボールシートSの挿入方向に直交する面を有している。第1押圧部410、420をダンボールシートSの搬送経路と同じ側に配置しようとした場合、装置内に挿入されるダンボールシートS(D21とD22を合わせた長さ)よりも外側に配置させなければならない。それに対し、ダンボールシートSは開かれると前後方向の長さが短く(D22だけの長さ)なる為、搬送経路の反対側では短くなったダンボールシートSの外側に第1押圧部410、420を配置することができるため、搬送路側に配置させるより装置を小型化することが可能になる。
【0083】
第1押圧部410、420は、図12及び図13に示すように、それぞれ移動ブロック431、432を介して第1押圧部ガイドレール430に前後方向に移動自在に支持されている。そして、第1押圧部410が第1押圧部移動モータ(右第1フラップ曲げ兼押圧モータ)411の駆動により、第2押圧部420が第1押圧部移動モータ(左第1フラップ曲げ兼押圧モータ)421の駆動により、それぞれ第1押圧部ガイドレール430に沿って移動する。
【0084】
第1押圧部移動モータ411、421の駆動は、第1押圧部移動機構412、422を介して第1押圧部410、420に伝達される。第1押圧部移動機構412は、プーリ412a、412b、ベルト412c、412dを有する。第1押圧部移動モータ411の駆動軸に設けられた不図示の駆動プーリとプーリ412aとにはベルト412cが掛け渡されており、プーリ412aとプーリ412bとにはベルト412dが掛け渡されている。ベルト412dには移動ブロック431が固定されている。したがって、第1押圧部移動モータ411の駆動が、ベルト412c、プーリ412a、ベルト412dに伝達され、ベルト412dが周回移動することで、ベルト412dと共に移動ブロック431及び第1押圧部410が第1押圧部ガイドレール430に沿って移動する。したがって、第1押圧部移動モータ411が正逆回転することで、第1押圧部410が前後方向両方向に移動する。
【0085】
同様に、第1押圧部移動機構422は、プーリ422a、422b、ベルト422c、422dを有する。第1押圧部移動モータ421の駆動軸に設けられた不図示の駆動プーリとプーリ422aとにはベルト422cが掛け渡されており、プーリ422aとプーリ422bとにはベルト422dが掛け渡されている。ベルト422dには移動ブロック432が固定されている。したがって、第1押圧部移動モータ421の駆動が、ベルト422c、プーリ422a、ベルト422dに伝達され、ベルト422dが周回移動することで、ベルト422dと共に移動ブロック432及び第1押圧部420が第1押圧部ガイドレール430に沿って移動する。したがって、第1押圧部移動モータ421が正逆回転することで、第1押圧部420が前後方向両方向に移動する。なお、第1押圧部410、420の駆動モータを共通にしても良いが、本実施形態では、次述するように、第1押圧部410、420の移動開始タイミングをずらしているため、互いに別のモータで駆動するようにしている。
【0086】
本実施形態では、後側の第1押圧部420の方が前側の第1押圧部410よりも先に移動を開始する。これは、上述のように、第1開きアーム310による開き動作により他方の板状部S2が後側から持ち上がるためである。即ち、持ち上がっている方からダンボールの側面を押した方が効率よくダンボールを整形できるためである。なお、前側の第1押圧部410は、後側の第1押圧部420により押されたダンボールの側面に当接することになる。例えば、ダンボールシートSのサイズのバラつきにより、整形されるダンボールより、前側の第1押圧部410、後ろ側の第1押圧部420が装置中央に移動し過ぎると、ダンボールの側面を押し込み過ぎることとなる。このため、前側の第1押圧部410には、上述のように、圧縮バネ442を介して付勢板部440を設けている。付勢板部440は、圧縮バネ442が伸びた状態でダンボールの側面に当接する。第1押圧部410の移動は圧縮バネ442が圧縮しきらない範囲で、整形されるダンボールの所定のサイズに合わせて移動する位置を設定する。これによりダンボールのサイズにバラつきがあっても、圧縮バネ442が圧縮される範囲内でそのバラつきを吸収することができ、ダンボールが変形することを抑制できる。
【0087】
[第1フラップ曲げ機構]
第1フラップ曲げ機構500は、上述のように第1押圧機構400の動きに連動して動作する。第1フラップ曲げ機構500は、第1曲げアーム510、520などを有する。第1曲げアーム510、520は、図12及び図13に示すように、第1押圧部410、420と同様に、筐体101内の前後方向の両側で、ダンボールシートSの開き動作が行われる開き領域αを挟むように配置されている。本実施形態では、第1曲げアーム510、520は、それぞれ第1押圧部410、420に支持されており、第1押圧部410、420と共に前後方向に移動する。また、本実施形態では、第1曲げアーム510、520は、それぞれ板状の部材として、開き領域αに対向する面が左右方向と平行な面としている。
【0088】
前側の第1曲げアーム510は、第1押圧部410の下端部に揺動自在に支持されている。具体的には、第1曲げアーム510は、第1押圧部410の下端部に回動自在に支持された回動軸511に固定されている。回動軸511は、回動軸線方向が左右方向と平行であり、第1曲げアーム510は、回動軸511の回動軸線を中心に前後方向に揺動可能となっている。
【0089】
同様に、後側の第1曲げアーム520は、第1押圧部420の下端部に揺動自在に支持されている。具体的には、第1曲げアーム520は、第1押圧部420の下端部に回動自在に支持された回動軸521に固定されている。回動軸521は、回動軸線方向が左右方向と平行であり、第1曲げアーム520は、回動軸521の回動軸線を中心に前後方向に揺動可能となっている。
【0090】
また、上述の回動軸511、521には、それぞれ連動アーム512、522が固定されており、連動アーム512、522も、それぞれ回動軸511、521の回動軸線を中心に揺動する。即ち、連動アーム512と第1曲げアーム510とが一体として、連動アーム522と第1曲げアーム520とが一体として、それぞれ回動軸511、521の回動軸線を中心に揺動する。
【0091】
連動アーム512、522のそれぞれの先端には、カムフォロア513、523が配置されている。カムフォロア513、523は、連動アーム512、522のそれぞれの先端に回転自在に支持されたコロである。カムフォロア513、523は、第1押圧部ガイドレール430の下方に配置されたカム部材514、524のカム面515、525に接触する。
【0092】
図13に示すように、前側のカムフォロア513に接触するカム面515は、後側に向かう程上方に傾斜した傾斜面である。後側のカムフォロア523に接触するカム面525は、前側に向かう程上方に傾斜した傾斜面である。即ち、カム面515、525は、互いに逆方向に傾斜した傾斜面である。
【0093】
カムフォロア513、523は、第1曲げアーム510、520が開き領域αから前後方向に最も離れたホームポジションに位置する場合に、カム面515、525の下側部分(本実施形態では下端部)に接触しない。この状態で、第1曲げアーム510、520は、略鉛直方向に垂れ下がった状態である。そして、第1押圧部410、420がそれぞれ開き領域αに向かって前後方向に移動すると、カムフォロア513、523がカム面515、525と接触し、カムフォロア513、523とカム面515、525との係合により、連動アーム512、522の先端が上方に移動するように連動アーム512、522がそれぞれ回動する。すると、回動軸511、521を介して連動アーム512、522に連結された第1曲げアーム510、520も、同方向に回動する。
【0094】
図14を用いて後側の第1曲げアーム520を例に説明すると、第1押圧部420が前側に移動すると、カムフォロア523がカム面525に沿って移動し、連動アーム522及び第1曲げアーム520が回動軸521の回動軸線を中心に反時計回りに回動する。同様に、前側の第1曲げアーム510は、第1押圧部410が後側に移動すると、カムフォロア513とカム面515との係合により連動アーム512と共に時計方向に回動する。このように本実施形態では、連動アーム512、522、カムフォロア513、523、カム面515、525により、第1押圧部410、420の移動に連動して第1曲げアーム510、520に曲げ動作を行わせる連動機構531、532を構成している。
【0095】
第1曲げアーム510、520は、上述のように回動軸511、521の回動軸線を中心に回動した場合に、開き機構300により開かれたダンボールの前後方向にある側板部D11、D21の下方に設けられた第1フラップF1を折り曲げる。以下の説明において、開かれたダンボールシートSをダンボールとする。なお、第1フラップF1の折り曲げ角度は、第1フラップF1が略水平となる角度、或いは、先端が下方に向かうように水平方向に対して傾斜した角度とする。本実施形態では、第1フラップF1を曲げた後に、後述するように第2フラップF2を曲げるため、第1フラップF1を水平方向となる手前まで傾斜した角度まで曲げ、第2フラップF2を曲げる際に第1フラップF1を更に曲げるようにしている。
【0096】
本実施形態では、このように第1曲げアーム510、520を第1押圧部410、420に設けているため、これらを別々に設けるよりも設置スペースを小さくでき、装置の小型化を図れる。また、第1曲げアーム510、520の回動動作は、第1押圧部410、420の移動に連動しているため、動作機構の簡略化を図れると共に、設置スペースを小さくできる。このため、装置の低コスト化及び小型化を図れる。
【0097】
また、本実施形態では、ダンボールが開ききる前に、即ち、平行四辺形の状態で第1押圧部410、420をダンボールの側板部D11、D21に突き当て、これに連動して、側板部D11、D21の下方に設けられた第1フラップF1を折り曲げるようにしている。即ち、これらの動作が1つの動作で行われるようにしている。ここで、ダンボールが開ききった後に第1フラップF1を折り曲げると、第1フラップF1の端縁F11が第2フラップF2の端縁F21(図9参照)と干渉して開きにくくなる場合がある。これに対して本実施形態のように、平行四辺形の状態で第1フラップF1を折り曲げると、第1フラップF1により第2フラップF2を押すようになるため、第1フラップF1の端縁F11と第2フラップF2の端縁F21とが干渉することなくスムーズに折り曲げることができる。
【0098】
[ダンボールの規制構成]
図15及び図16を用いてダンボールの規制に関する構成について説明する。上述のように、第1開きアーム310及び第2開きアーム320によるダンボールシートSの開き動作では、図11に示すように、ダンボールシートSは平行四辺形の状態までしか開かれていない。本実施形態では、ダンボールシートSがこの形状の状態で、規制機構600を動作させて、ダンボールシートSをフラップ側から見た形状が矩形状となるように前後方向にある側板部D11、D21の位置を規制する。
【0099】
なお、上述の第1押圧機構400と規制機構600は互いに連動して、ダンボールシートSを矩形状に整形する。この際、第1押圧機構400と規制機構600の動作の開始はどちらが先でも良いが、本実施形態では、規制機構600の動作を先に開始するようにしている。
【0100】
規制機構600は、規制アーム610、620などを有する。規制アーム610、620は、それぞれ回動軸616、626の回動軸線を中心に回動可能である。また、規制アーム610、620は、第1押圧部410、420と左右方向に関して反対側にある。本実施形態では、規制アーム610、620は、ダンボールシートSの挿入位置を挟んで、第1押圧部410、420とそれぞれ対向する位置に配置されている。
【0101】
規制アーム610、620が図15に示すように折りたたまれた状態では、ダンボールシートSの搬送経路から退避した位置にある。本実施形態では、規制機構600がダンボールシートSの搬送経路よりも左側(図15の下側)に配置され、規制アーム610、620が搬送経路から退避することで、ダンボールシートSの搬送を阻害することを防止している。
【0102】
したがって、規制アーム610、620は、ダンボールシートSを挿入口102から挿入する際に、ダンボールの側面を規制する規制面610a、620aが、ダンボールシートSの挿入方向と平行になって、搬送経路から退避している。そして、ダンボールシートSを開いて矩形状にする際には、搬送経路を跨るように回動してダンボールの側面を規制する。規制アーム610、620をこのように構成することで、ダンボールシートSが挿入される位置と、規制アーム610、620が回動してダンボールの側面を規制する位置を重複して配置することができ、装置の小型化を図れる。
【0103】
また、規制アーム610、620は、第1押圧部410、420と同様に、筐体101の前後方向両側にそれぞれ配置されている。規制アーム610、620は、それぞれ板状の部材であり、上下方向に平行な面である規制面610a、620aを有する。このような規制アーム610、620は、規制アーム駆動モータ611、621の駆動により回動軸616、626の回動軸線を中心に回動する。規制アーム駆動モータ611、621の駆動は、規制アーム駆動機構612、622を介して規制アーム610、620に伝達される。
【0104】
前側の規制アーム610に駆動を伝達する規制アーム駆動機構612は、プーリ613、614、ベルト615、ギア列617を有する。プーリ613は、規制アーム駆動モータ611の駆動軸に設けられ、ベルト615がプーリ613とプーリ614とに掛け渡されている。プーリ614と規制アーム610とはギア列617を介して接続されている。規制アーム駆動モータ611の回転は、プーリ613、ベルト615、プーリ614に伝達され、プーリ614の回転がギア列617を介して規制アーム610に伝達される。これにより、規制アーム610が回動軸616の回動軸線を中心に回動する。前側の規制アーム610の退避位置から規制位置への回動方向は、反時計方向である。
【0105】
同様に、後側の規制アーム620に駆動を伝達する規制アーム駆動機構622は、プーリ623、624、ベルト625、ギア列627を有する。プーリ623は、規制アーム駆動モータ621の駆動軸に設けられ、ベルト625がプーリ623とプーリ624とに掛け渡されている。プーリ624と規制アーム620とはギア列627を介して接続されている。規制アーム駆動モータ621の回転は、プーリ623、ベルト625、プーリ624に伝達され、プーリ624の回転がギア列627を介して規制アーム620に伝達される。これにより、規制アーム620が回動軸626の回動軸線を中心に回動する。後側の規制アーム620の退避位置から規制位置への回動方向は、時計方向である。
【0106】
また、規制アーム(右規制アーム)610の基端部には、それぞれセンサフラグ630、631が設けられている。センサフラグ630、631は、回動軸616の周りに回転方向の位相が異なる位置に設けられており、右規制アームの回転位置検知センサ632により検知される。回転位置検知センサ632は、フォトインタラプタであり、センサフラグ630又は631が通過したことを検知する。センサフラグ630は、規制アーム610が図15の退避位置に位置したことを、センサフラグ631は、規制アーム610が図16の規制位置に位置したことを、それぞれ回転位置検知センサ632により検知可能となるように設けられている。センサフラグ630によるフォトインタラプタの検知を基準とする場合、退避位置を規制アーム610のホームポジションとし、規制アーム駆動モータ611を駆動するパルス又は時間をコントロールすることにより規制位置に停止させる。また、センサフラグ631によるフォトインタラプタの検知を基準とする場合、規制位置を規制アーム610のホームポジションとし、規制アーム駆動モータ621を駆動するパルス又は時間をコントロールすることにより退避位置に停止させる。
【0107】
同様に、規制アーム(左規制アーム)620の基端部には、それぞれセンサフラグ640、641が設けられている。センサフラグ640、641は、回動軸626の周りに回転方向の位相が異なる位置に設けられており、左規制アームの回転位置検知センサ642により検知される。回転位置検知センサ642は、フォトインタラプタであり、センサフラグ640又は641が通過したことを検知する。センサフラグ640は、規制アーム620が図15の退避位置に位置したことを、センサフラグ641は、規制アーム620が図16の規制位置に位置したことを、それぞれ回転位置検知センサ642により検知可能となるように設けられている。センサフラグ640によるフォトインタラプタの検知を基準とする場合、退避位置を規制アーム620のホームポジションとし、規制アーム駆動モータ621を駆動するパルス又は時間をコントロールすることにより規制位置に停止させる。また、センサフラグ641によるフォトインタラプタの検知を基準とする場合、規制位置を規制アーム620のホームポジションとし、規制アーム駆動モータ621を駆動するパルス又は時間をコントロールすることにより退避位置に停止させる。
【0108】
また、本実施形態では、開き領域αの左右方向両側に片側規制部材650及び他側規制部材660が設けられている。右側(図15の上側)の片側規制部材650は、前後方向に関して第1押圧部410、420の間に配置されている。片側規制部材650の開き領域α側には、上下方向と平行な面である片側規制面651が設けられ、片側規制面651により矩形状に開かれたダンボールの側板部D22の位置を規制する。
【0109】
同様に、左側(図15の下側)の他側規制部材660は、前後方向に関して規制アーム610、620の間に配置されている。他側規制部材660の開き領域α側には、上下方向と平行な面である他側規制面661が設けられ、他側規制面661により矩形状に開かれたダンボールの側板部D21の位置を規制する。他側規制面661は、上述したように、ダンボールシートが挿入口102から挿入される際には、ダンボールシートSの左側の側面をガイドする機能も有する。
【0110】
規制アーム610、620は、第1開きアーム310が第1アーム位置検知センサ318により検知されると、図15の退避位置から図16の規制位置に向けて回動を開始する。そして、規制位置において、第1開きアーム310及び第2開きアーム320により平行四辺形に開いているダンボールの側板部D11、D21に規制面651、652を当接させる。この際、第1押圧部410、420と協働して側板部D11、D21を押圧して、展開途中のダンボールシートSを矩形状のダンボールに整形すると共に、ダンボールの前後方向の位置を規制する。また、この際に、ダンボールの左右方向の位置が片側規制部材650及び他側規制部材660により規制される。
【0111】
本実施形態では、ダンボールの前後方向の側面に当接し前後方向の位置を規制する部材が、異なる動作を行う。即ち、第1押圧部410、420は、ダンボールの側板部D11、D21を摺動しながら規制する。一方、規制アーム610、620は、ダンボールの側板部D11、D21を回動しながら規制する。
【0112】
また、本実施形態では、ダンボールの略対角線上に、それぞれ第1押圧部410、420と規制アーム610、620が配置されている。即ち、前側の第1押圧部410の略対角線上には後側の規制アーム620が、後側の第1押圧部420の略対角線上には前側の規制アーム610が、それぞれ配置されている。このため、これら各部材によりダンボールを整形しつつ規制する際にダンボールに作用する力を受けて、ダンボールが変形することを抑制できる。
【0113】
特に、後側の第1押圧部420は、前側の第1押圧部410よりも先にダンボールを押し始めるため、対角線上に前側の規制アーム610がないと、ダンボールを矩形状にする際の力を受けられず、ダンボールが変形してしまう虞がある。このため、少なくとも前側の規制アーム610を設けることで、このようなダンボールの変形を抑制できる。なお、後側の規制アーム620についても、前側の第1押圧部410がダンボールを押した場合の力を受けて、ダンボールの変形を抑制する役割を有する。但し、この段階ではダンボールがほぼ矩形状に整形されており、受ける力も大きくはない。このため、後側の規制アーム620については省略しても良い。但し、後側の規制アーム620があることで、ダンボールを確実に矩形状に整形できるため、ダンボールの形状を補償するためにも後側の規制アーム620を設けることが好ましい。また、後述するテープユニット800によりテープを貼り付ける際、前後方向の規制を強化できるため、後側の規制アーム620を設けることが好ましい。
【0114】
[ダンボールシートの開函及び第1フラップの曲げ動作のフロー]
次に、前述した開き機構300によるダンボールシートSの開き動作(開函)から上述の押圧機構400によるダンボールの整形及び第1フラップF1の曲げ動作までのフローについて、図42を用いて説明する。まず、ダンボールシートSが挿入位置に挿入されると、第2開きアーム(右開きアーム)320を、他方の板状部S2に設けられた第1フラップF1と第2フラップF2との間の第2隙間G2に向けて移動させる。そして、第2開きアーム320を第2隙間G2に侵入させて対向する一方の板状部S1の第2フラップF2に当接させて、一方の板状部S1を押える(S201)。第2開きアーム320は、他方の板状部S2の厚み分だけ移動して停止する。
【0115】
次に、第1開きアーム(左開きアーム)310を、一方の板状部S1に設けられた第1フラップF1と第2フラップF2との間の第1隙間G1に向けて移動させる。そして、第1開きアーム310を第1隙間G1に侵入させて対向する他方の板状部S2の第2フラップF2に当接させる(S202)。更に、第1開きアーム310を移動させて、他方の板状部S2を一方の板状部S1から離れるように移動させる。
【0116】
この際、第1開きアーム310が他方の板状部S2の第2フラップF2に当接し、右方向に移動すると、第2開きアーム320が一方の板状部S1の第2フラップF2に当接して停止しているため、見かけ上、他方の板状部S2だけが移動しながら、ダンボールシートSが展開される。ダンボールシートSの展開開始時点では、図41のS107で説明したように、搬送ローラ201が下降しており、搬送ローラ201と従動コロ202とによるニップが解除されている。
【0117】
次いで、第1開きアーム310の移動が開始されてから所定時間経過すると(S203)、搬送ローラ201の駆動を開始してから(S204)、搬送ローラ201を上昇させて、搬送ローラ201と従動コロ202とによりダンボールシートSをニップする(S205)。この所定時間は、上述したように、他方の板状部S2が搬送ローラ201から外れる位置まで移動する時間である。
【0118】
搬送ローラ201を回転させたままダンボールシート(ここでは一方の板状部S1)に当接させているため、一方の板状部S1が搬送ローラ201により後側に搬送される。本実施形態では、第1開きアーム310を移動させることでダンボールシートの開き動作を行いつつ、ダンボールシートを更に後側に搬送するようにしている。これにより、第1開きアーム310と第2フラップF2とが前後方向に相対移動する量を抑制して、円滑にダンボールシートの開き動作を行える。また、ダンボールシートを後側に搬送することで、前側にあるテープユニット800との干渉を抑制できる。
【0119】
次いで、搬送ローラ201が上昇してから一定時間経過したら(S206)、搬送ローラ201を下降させて(S207)、搬送ローラ201を停止する(S208)。この一定時間は、例えば、第1開きアーム310により移動させられている他方の板状部S2が、すくい上げ部材671に到達するまでの時間である。即ち、開いていている途中のダンボールシートがテープユニット800の搬送経路を通過している間はダンボールシートを搬送ローラ201と従動コロ202とでニップしておき、すくい上げ部材671によりその下端が支持されたら、このニップを解除する。これにより、ニップを解除しても開いている途中のダンボールシートが傾くことを抑制できる。
【0120】
次に、第1開きアーム310が第1アーム位置検知センサ(押圧移動開始センサ)318により検知されると(S209)、後側の規制アーム(左規制アーム)620の回動を開始する(S210)。その後、前側の規制アーム(右規制アーム)610の回動を開始する(S211)。後側の規制アーム620を先に回動させるのは、第1開きアーム310による開き動作によりダンボールシートが後から立ち上がるように開くため、後側の規制アーム620を先にダンボールの側面に当接させた方が、安定してダンボールの整形を行えるためである。
【0121】
次いで、前側の規制アーム610が回動を開始してから一定時間経過後(S212)、まず、後側の第1押圧部(左第1フラップ兼押圧アーム)420が前側(装置中央側)に向けて移動を開始する(S213)。後側の第1押圧部420が移動を開始してから一定時間経過後(S214)、前側の第1押圧部(右第1フラップ兼押圧アーム)410が後側(装置中央側)に向けて移動を開始する(S215)。後側の第1押圧部420を先に移動させるのは、後側の規制アーム620を先に移動させるのと同じ理由である。第1押圧部410、420が移動すると、上述のように第1曲げアーム510、520が連動して回動し、ダンボールの下側の前後にある第1フラップF1がそれぞれ内側に曲げられる。
【0122】
[第2フラップの曲げ構成]
図17ないし図21を用いて第2フラップF2の曲げに関する構成について説明する。上述のように前後方向にある第1フラップF1を折り曲げた後、第2フラップ曲げ機構700により左右方向にある第2フラップF2を折り曲げる。第2フラップ曲げ機構700は、第2曲げアーム710、720などを有する。第2曲げアーム710、720は、図17及び図18に示すように、筐体101内の左右方向両側で、ダンボールシートSの開き動作が行われる開き領域αを挟むように配置されている。また、本実施形態では、第2曲げアーム710、720は、それぞれ板状の部材として、開き領域αに対向する面が前後方向(ダンボールシートSの挿入方向)と平行な面としている。
【0123】
右側(図17の上側)の第2曲げアーム710は、回動軸711に固定されている。回動軸711は、回転軸線方向が前後方向と平行に筐体101内の不図示のフレームに回転自在に支持されている。第2曲げアーム710は、回動軸711の回動軸線を中心に左右方向に揺動可能となっている。曲げ動作を行っていない待機位置(図19の位置)では、第2曲げアーム710は、略鉛直方向に平行な状態になっており、待機位置から回動軸711の回動軸線を中心に左側に回動することで曲げ位置(図21の位置)に移動する。
【0124】
同様に、左側(図17の下側)の第2曲げアーム720は、回動軸721に固定されている。回動軸721は、回動軸線方向が前後方向と平行に筐体101内の不図示のフレームに回動自在に支持されている。第2曲げアーム720は、回動軸721の回動軸線を中心に左右方向に揺動可能となっている。曲げ動作を行っていない待機位置(図19の位置)では、第2曲げアーム720は、略鉛直方向に平行な状態になっており、待機位置から回動軸721の回動軸線を中心に右側に回動することで曲げ位置(図21の位置)に移動する。なお、左側にある第2曲げアーム720は、曲げ動作を行っていない待機位置では、規制アーム610、620と同様に、ダンボールシートSの搬送経路よりも左側に退避しており、ダンボールシートSの搬送を阻害しないようにしている。
【0125】
このような第2曲げアーム710、720は、第2曲げアーム駆動モータ712、722の駆動により回動軸711、721の回転軸線を中心に回動する。第2曲げアーム駆動モータ712、722の駆動は、第2曲げアーム駆動伝達機構713、723を介して第2曲げアーム710、720に伝達される。第2曲げアーム駆動伝達機構713、723は、それぞれプーリとベルトの機構とギア列を組み合わせて構成している。具体的には、第2曲げアーム駆動モータ712、722の駆動がプーリとベルトを介してギア列に伝達され、ギア列のギアが回動軸711、721に固定されたギアと噛み合うことで、第2曲げアーム710、720に伝達される。そして、第2曲げアーム駆動モータ712、722の正逆回転により第2曲げアーム710、720がそれぞれ左右方向に回動する。
【0126】
回動軸711、721には、それぞれセンサフラグ730、740が設けられている。また、センサフラグ730、740が通過する位置で、回動軸711、721の回転方向の位相が異なる位置に、それぞれ回転位置検知センサ731、732、741、742が配置されている。回転位置検知センサ731、732、741、742は、フォトインタラプタであり、センサフラグ730、740が通過したことを検知する。回転位置検知センサ731、741は、それぞれ第2曲げアーム710、720が待機位置に位置することを検知し、回転位置検知センサ732、742は、それぞれ第2曲げアーム710、720が曲げ位置に位置することを検知する。
【0127】
また、本実施形態の場合、第2曲げアーム710、720の先端には、回転自在にコロ714、724が支持されている。これにより、第2曲げアーム710、720により第2フラップF2を折り曲げる際に、コロ714、724が第2フラップF2に接触する。これにより、曲げ動作時の第2曲げアーム710、720と第2フラップF2との間の摩擦を軽減して、曲げ動作を円滑に行えるようにしている。
【0128】
特に本実施形態では、第2フラップF2は、第1フラップF1よりも長さが長く、曲げる際の負荷が大きい。このため、上述のように第1曲げアーム510、520の先端にはコロを設けていないが、第2曲げアーム710、720の先端にはコロ714、724を設けている。
【0129】
なお、第1曲げアーム510、520にもコロを設けても良いが、本実施形態では、以下の理由により設けていない。即ち、第1曲げアーム510、520は、第2フラップF2より先に折り曲げられる第1フラップF1を折り曲げるものであり、第2曲げアーム710、720により第2フラップF2が折り曲げられている間は、第1フラップF1を折り曲げた状態で維持している。このため、第2曲げアーム710、720により第2フラップF2が折り曲げられた状態で、第1曲げアーム510、520は、第1フラップF1と第2フラップF2とに挟まれた状態となる。
【0130】
第2フラップF2を折り曲げた後は、後述するように、テープユニット800によりダンボールの下面にテープを貼り付ける。この貼り付けの際には、第1曲げアーム510、520を第1フラップF1と第2フラップF2との間から抜き出すため、第1曲げアーム510、520は、できるだけ薄く構成することが好ましい。先端にコロを設けた場合、コロの分だけ厚さが大きくなってしまうため、第1曲げアーム510、520の先端にはコロを設けていない。第1フラップF1は、第2フラップF2よりも長さが短いため、曲げる際の負荷が小さく、第1曲げアーム510、520の先端にコロを設けなくても円滑に曲げ動作を行える。
【0131】
第2曲げアーム710、720の曲げ動作について、図19ないし図21を用いて説明する。まず、図19は、曲げ動作を行っていない待機位置であり、第2曲げアーム710、720は、上下方向に略平行となるように位置している。そして、上述のように、第1曲げアーム510、520により第1フラップF1が所定位置まで折り曲げられると、第1曲げアーム510、520はその位置で停止する。この際、ダンボールは、下面を第1曲げアーム510、520により支持され、上面は従動コロ202及び上部フラップ押えコロ670により抑えられる。従動コロ202及び上部フラップ押えコロ670は、ダンボールの上側の閉じられていないフラップ(本実施形態では第2フラップF2)に当接している。これにより、ダンボールの上下方向の位置は、第1曲げアーム510、520と従動コロ202及び上部フラップ押えコロ670により規制される。
【0132】
この状態で、図20に示すように、第2曲げアーム710、720の回動を開始し、第2フラップF2を折り曲げる。この際も、第1曲げアーム510、520は第1フラップF1を折り曲げた位置で留まり、ダンボールを支えた状態である。更に、第2曲げアーム710、720を、図21に示す曲げ位置まで回動させ、第2曲げアーム710、720の回動を停止する。
【0133】
図21に示すように、曲げ位置では、互いに対向する一対の第2フラップF2が完全に閉じていない状態である。即ち、一対の第2フラップF2が水平状態よりも先端が下がった状態である。例えば、第2曲げアーム710、720の回動を停止する位置は、第2フラップF2が水平に対して、例えば、3度、先端が下方に位置するように傾斜した位置である。この水平に対する角度は、3度に限らず、1度以上10度以下の範囲で適宜設定可能である。
【0134】
本実施形態では、このように第2フラップF2を水平状態となるまで閉じ切らずに、傾斜させることで、第2フラップF2と第1フラップF1との間に挟まれた第1曲げアーム510、520を引き抜き易くしている。また、仮に、第2フラップF2を水平状態まで閉じてしまった場合、第1曲げアーム510、520及び第1フラップF1が第2フラップF2により押し上げられてしまい、第1曲げアーム510、520が引き抜きにくいだけでなく、ダンボールを変形させてしまう虞もある。このため、本実施形態では、第2フラップF2を水平状態まで折り曲げない位置で第2曲げアーム710、720の回動を停止するようにしている。
【0135】
また、図21に示すように、第2フラップF2の先端が下がるように傾斜した位置で停止させ、一対の第2フラップF2が谷状となるような状態で、後述するテープの貼り付けを行うことで、一対の第2フラップF2の先端同士が重なることなくテープをきれいに貼り付け易くなる。
【0136】
即ち、テープユニット800によりテープが貼り付けられる一対の第2フラップF2を水平まで折り曲げた場合、一対の第2フラップF2の先端同士が重なってしまう虞がある。そして、この状態でテープが貼られると成果物としての品位が低下してしまう。一方、一対の第2フラップF2の先端が谷状になっていれば、先端同士が重なることなくテープを貼り付けやすくなり、成果物しての品位を安定して確保できる。
【0137】
図21で説明したように、第2曲げアーム710、720を曲げ位置まで回動させた後、第1曲げアーム510、520を第1フラップF1と第2フラップF2との間から引き抜く。そして、第1曲げアーム510、520を引き抜いた後、再度、第1曲げアーム510、520の曲げ動作を行って、第1曲げアーム510、520を第2フラップF2の下面に当接させる。この動作は、上述の第1押圧部410、420を前後方向に移動させることで、この移動に連動して行われる。また、ダンボールは、この状態で第1曲げアーム510、520及び第2曲げアーム710、720により下面が支持された状態となる。そして、この状態で、次述するテープユニット800によりダンボール下面にテープが貼り付けられる。
【0138】
[テープユニット]
図22ないし図39を用いて、ダンボール下面にテープの貼り付けを行うテープユニット800について説明する。前述したように、テープユニット800は、ホームポジションでは、筐体101内の前側に位置する。図22及び図23は、ホームポジションにおけるテープユニット800の位置を示しており、図22はテープユニット800を左側から、図23は右側から見た図である。図22及び図23から明らかなように、テープユニット800は、ホームポジションにおいて、上述のように下側の第1フラップF1及び第2フラップF2が閉じられたダンボールDよりも前側に位置する。
【0139】
テープユニット800は、図24ないし図27に示すように、ガイドレール880上に前後方向に移動可能に配置されている。図24ないし図27もそれぞれテープユニット800がホームポジションにある状態を示しており、図24は左側から見た平面図、図25は左後側から見た斜視図、図26は右側から見た平面図、図27は右後側から見た斜視図である。
【0140】
テープユニット800のガイドレール880上に載置される基台801の左右の両側面には、それぞれ移動ブロック802a、802bが固定されている。一方、筐体101内のテープユニット800の左右の両側には、それぞれプーリ881a、881b、882a、882b、ベルト883a、883bが配置されている。プーリ881a、882a及びベルト883aは、テープユニット800の左側に配置されており、プーリ881a、882aに掛け渡されたベルト883aは、前後方向に亙って配置されている。同様に、プーリ881b、882b及びベルト883bは、テープユニット800の右側に配置されており、プーリ881b、882bに掛け渡されたベルト883bは、前後方向に亙って配置されている。
【0141】
ベルト883a、883bにはそれぞれ移動ブロック802a、802bが固定されている。また、テープユニット800の右側には、テープユニット移動モータ(テープ貼りモータ)886が配置されており、図示しないプーリ及びベルトなどの動力伝達機構を介して、テープユニット移動モータ886の駆動が右側のプーリ881bに伝達される。右側のプーリ881bと左側のプーリ881aは、同一の回転軸により連結されており、テープユニット移動モータ886の駆動は左側のプーリ881aにも伝達される。これにより、テープユニット移動モータ886の正逆回転により、プーリ881a、881bが同期して正逆方向に回転する。
【0142】
後側のプーリ882a、882bは、従動プーリであるため互いに連結されていないが、回転軸線が同軸上となるように配置されている。これらプーリ881a、881b、882a、882bにそれぞれ掛け渡されたベルト883a、883bは、テープユニット移動モータ886の駆動によりプーリ881a、881bが回転駆動されると周回移動し、ベルト883a、883bに移動ブロック802a、802bを介して接続されたテープユニット800がガイドレール880に沿って前後方向に移動する。
【0143】
また、基台801の左右両側面には、それぞれセンサフラグ803a、803bが設けられている。一方、筐体101内の前後両側には、ホームポジションセンサ884と、停止位置センサ885とが設けられている。これらセンサ884、885はフォトインタラプタであり、センサフラグ803a又は803bの通過を検知する。本実施形態では、ホームポジションセンサ884がテープユニット800の左側に配置されており、停止位置センサ885がテープユニット800の右側に配置されている。そして、右側のセンサフラグ803aがホームポジションセンサ884を通過することで、テープユニット800がホームポジションに位置することを検知し、左側のセンサフラグ803bが停止位置センサ885を通過することで、テープユニット800が停止位置に位置することを検知する。なお、センサ884、885を左右片側にのみ配置し、センサフラグも片側にのみ配置するようにしても良い。
【0144】
次に、テープユニット800のテープTを貼り付けるための構成について、主に図28を用いて説明する。なお、図28はテープユニット800を右側から見た図である。本実施形態では、図25及び図27の斜視図から明らかなように、テープTを貼り付けるための各構成は、テープユニット800の左側に設けられたフレーム860に支持されている。このため、テープユニット800を右側から見た図28を用いて説明する。なお、各構成を支持するフレームは、右側にあっても良いし、左右両側にあっても良い。
【0145】
テープユニット800は、第1押えローラ810、第2押えローラ820、テープカッター840、フラップ押え部850、テープ保持部870などを有する。第1押えローラ810は、テープローラアーム811の先端に回動自在に支持されている。テープローラアーム811は、回動軸812に回動自在に支持されており、引っ張りバネ813により回動軸812を中心として第1押えローラ810が筐体101の前面側に回動するように付勢されている。第1押えローラ810は、テープTをダンボールに貼り付けつつ移動するローラであり、テープ保持部870に回動自在に保持されたテープ本体から引き出されたテープTが、テープガイドローラ831、832、833及び最終送り出しローラ830を介して供給される。
【0146】
また、第1押えローラ810は、ダンボールDの前側の側面からテープTを貼り付けるため、テープTの貼り付け開始時には、ダンボールDの下面よりも高い位置に位置する。そして、後述するように、ダンボールDの下面から立ち上がった前側の側面にテープTを貼り付け、第1押えローラ810は、テープユニット800の後方向への移動に伴い、引っ張りバネ813の付勢力に抗して、テープユニット800の移動方向に対して後側に倒れて、そのままダンボールDの下面に沿って移動しつつ、ダンボールDの下面にテープTを貼り付ける。
【0147】
第1押えローラ810を支持するテープローラアーム811は、このように第1押えローラ810が側面から下面に移動する際に、ダンボールDの角部と干渉しないように、折れ曲がった形状としている。即ち、テープローラアーム811は、回動軸812と第1押えローラ810とを直線状に連結しているわけではなく、第1押えローラ810が図28に示す位置にある場合に、回動軸812からテープユニット800の移動方向に対して後側に延び、上方に立ち上がって更に前側に延びるように形成されている。即ち、テープローラアーム811は、第1押えローラ810と回動軸812との間に凹み形状811aを形成している。
【0148】
第2押えローラ820は、第1押えローラ810の前側、即ち、テープTの貼り付け方向に関して上流側に配置されている。第2押えローラ820は、第2ローラアーム821の先端に支持されており、第2ローラアーム821は回動軸822に回動自在に支持されている。回動軸822の位置は、第2押えローラ820の回動中心よりも貼り付け方向下流側としている。これにより、回動軸822の位置が第2押えローラ820の回動中心よりも上流側にある場合よりも、テープユニット800の小型化を図れる。また、第2ローラアーム821は、回動軸822を介してスライド部材823に支持されており、スライド部材823はフレーム860に対して上下方向に移動自在に支持されている。
【0149】
第2ローラアーム821は、付勢バネ824により回動軸822を中心として第2押えローラ820がテープユニット800の移動方向に対して前側に移動する方向に付勢されている。また、スライド部材823は、図28に示す方向でテープユニット800の裏側に配置された図示しない付勢バネにより上方に向かうように付勢されている。また、スライド部材823は、スライド溝825に沿って上下の方向にスライドする。
【0150】
このような第2押えローラ820は、後述するように、第1押えローラ810によりダンボールDに貼り付けられたテープTを更にダンボールDに押さえつけていくと共に、ダンボールDの後側の側面にテープTを貼り付ける役目を有する。即ち、第1押えローラ810によりダンボールDの下面へのテープTの貼り付けが終わり、テープTがテープカッター840により切断された後、残りのテープTをダンボールDの下面から立ち上がった後側の側面に貼り付ける。
【0151】
テープカッター840は、テープカッターアーム841に設けられている。テープカッターアーム841は、図24及び図27に示すように、フレーム860の左側面に回動自在に支持されており、第1押えローラ810に対して独立して回動可能である。テープカッターアーム841は、テープカッターアーム841から第1押えローラ810側に突出するように設けられ、テープカッターアーム841が後述するように回動することで、第1押えローラ810によりダンボールDに貼り付けられたテープTを切断する。
【0152】
テープカッターアーム841の先端には、図24図28の状態で第1曲げアーム510よりも上方に突出するように、テープカッターアーム当接部842が設けられている。テープカッターアーム当接部842は、筐体101の前面から見て、第1曲げアーム510の回動軌道上から左側に外れた位置に配置されており、第1曲げアーム510の回動に拘わらず、テープカッターアーム841と共に回動する。テープカッターアーム841は、図24に示すように、引っ張りバネ843によりテープカッター840及びテープカッターアーム当接部842が、テープユニット800の移動方向に対して前側に移動するように付勢されている。
【0153】
フラップ押え部850は、テープカッターアーム841に設けられ、テープカッターアーム841と共に回動可能である。フラップ押え部850は、テープ貼り付け方向の先端側(下流側)に位置し、テープ貼り付けの際には、ダンボールDの下面で、一対の第2フラップF2の突き合わせ部を押えつつ移動する。フラップ押え部850の押さえ面は、水平方向に平行なフラットな面となっており、一対の第2フラップF2の突き合わせ部をこの面で押さえつけることにより、一対の第2フラップF2の先端同士が重なることなく略水平に突き当てることができる。第1テープ押えローラ810は、フラップ押え部850により一対の第2フラップF2の突き合わせ部が押さえつけられた後に、この部分にテープTを貼り付けていく。
【0154】
テープ保持部870は、図36(a)ないし図38に示すように、テープ本体部を回転自在に保持する。図36(a)は、テープ保持部870にテープ本体部を保持してテープ押え板871によりテープ本体部を抑えた状態の斜視図である。図36(b)は、テープ押え板871を外した状態の斜視図である。図37は、テープ保持部870に保持されたテープ本体からテープTがテープガイドローラ831、832、833及び最終送り出しローラ830を介して第1テープ押えローラ810まで引き出された状態を示す斜視図である。図38は、テープ保持部870にテープ本体部を保持していない状態を示す斜視図である。
【0155】
テープ保持部870は、筒状のテープ本体部を緩く外嵌可能に筒状に形成されている。また、テープ保持部870は、左側のフレーム860から右側に突出するように設けられている。このため、テープ本体部はテープ保持部870の右側から交換可能である。
【0156】
テープ保持部870の中心には、ねじ872が突出するように設けられており、テープ押え板871の中心に設けられた貫通孔にねじ872を通した後、ナット873で締め付けることで、テープ押え板871をねじ872に固定可能となっている。テープ保持部870にテープ本体部を外嵌した状態で、テープ押え板871によりテープ本体部の側面を押え、ナット873で締め付けることで、テープ本体部をテープ保持部870に回転自在に且つ脱落を防止した状態で保持できる。
【0157】
次に、図29ないし図35を用いてテープユニット800によるテープ貼り付け動作について説明する。テープユニット800を筐体101の前面から見てホームポジションから後側に向けて移動を開始する。すると、図29に示すように、フラップ押え部850がダンボールDの下面の第2フラップF2の突き合わせ部を押さえつけると共に、第1テープ押えローラ810がダンボールDの前側の側面に突き当たり、第1テープ押えローラ810に支持されたテープTの先端が前側の側面に貼り付けられる。
【0158】
更に、テープユニット800が後側に移動すると、図30に示すように、第1テープ押えローラ810が引っ張りバネ813の付勢力に抗して前側に回動し、ダンボールDの下面に侵入する。この際、第1テープ押えローラ810がダンボールDの下面と前側の側面との角部をなぞるように移動することで、この角部にもテープTが貼り付けられる。また、テープカッターアーム当接部842がダンボールDに当接することで前側に回動し、テープカッターアーム当接部842もダンボールDの下面に侵入する。更に、テープカッターアーム当接部842の回動に連動し、テープカッターアーム841に設けられたL字状の押込み部844が、スライド部材823に設けられた突起部826に当接する。テープカッターアーム当接部842がダンボールDの下面に侵入することで、さらに回動し、スライド部材823が図示しない付勢バネの付勢力に抗して下側に移動し、第2押えローラ820もダンボールDの下面に侵入する。
【0159】
この状態で更にテープユニット800が後側に移動することで、第1テープ押えローラ810によりダンボールDの下面にテープTを貼り付けると共に、第2押えローラ820により貼り付けたテープTを更に下面に押し付けていく。そして、図31に示すように、第1テープ押えローラ810がダンボールDの下面を超えても、ダンボールDの下面に貼り付けたテープTの張力により、第1押えローラ810が押し下げられたままの状態である。
【0160】
更にテープユニット800が進み、図32に示すように、テープカッターアーム当接部842がダンボールDの下面を超えると、引っ張りバネ843の付勢力により後側に回動し、テープカッターアーム841に設けられたテープカッター840がダンボールDの下面から引き出され、第1押えローラ810に張架された状態のテープTを切断する。なお、テープカッターアーム当接部842の位置を調整することで、テープTを切断する長さを調整可能である。
【0161】
テープTが切断された後の第1テープ押えローラ810は、引っ張りバネ813の付勢力により、図33に示すように、後側に回動する。この状態では、第2押えローラ820はダンボールDの下面に位置する。また、テープTはダンボールDの下面に張り付いているが後側の側面にはまだ貼り付いていない。
【0162】
更にテープユニット800が進むと、図34に示すように、第2押えローラ820がダンボールDの下面と後側の側面との角部に到達する。そして、第2押えローラ820がこの角部を超えると、図35に示すように、スライド部材823が付勢バネの付勢力により上方に移動することで、第2押えローラ820が上方に移動する。同時に、第2押えローラ820は、付勢バネ824の付勢力により前側に付勢される。このため、第2押えローラ820がダンボールDの後側の角部に沿って移動し、更に後側の側面に沿ってこの側面に付勢されつつ移動する。この際、テープカッター840により切断された残りのテープTが第2押えローラ820によりダンボールDの後側の角部及び後側の側面に貼り付けられる。
【0163】
以上により、テープユニット800によるテープTの貼り付け動作が完了する。テープユニット800は、停止位置センサ885まで到達すると移動を停止する。本実施形態の場合、テープTの貼り付けを完了すると、第1曲げアーム510、520及び第2曲げアーム710、720を戻すことでダンボールの支持を解除して、ダンボールを下方に落とす。これは、図1に示したように、ダンボールDを筐体101の前面の取り出し口103から取り出す際に、取り出し易くするためである。即ち、ダンボールDが第1曲げアーム510、520及び第2曲げアーム710、720により支持された状態では、ダンボールDが筐体101内の上方に位置し、取り出す際にダンボールDの上面が引っ掛かって取り出し口103から取り出しにくい。このため、本実施形態では、一旦、ダンボールDを下に落としてから取り出すようにしている。
【0164】
筐体101内には、ダンボールDの有無を検知するダンボール有無センサ101a(図40参照)が設けられている。したがって、ダンボールDが取り出されたことをダンボール有無センサ101aにより検知可能である。ダンボールDが取り出されたことを検知すると、テープユニット800がホームポジションに向けて移動する。
【0165】
ここで、本実施形態では、装置の小型化のために、テープユニット800がホームポジションに戻った場合に、筐体101の前側の側壁105の近くに位置する。上述のように、テープユニット800の前側には第2テープ押さローラ820が存在し、前側に向けて突出している。第2テープ押えローラ820は、第2ローラアーム821を介して回動自在に支持されている。このため、図39に示すように、テープユニット800がホームポジションに戻った際に、第2テープ押えローラ820が前側の側壁105に当接しても側壁105から逃げるように回動する。即ち、破線で示す位置から実線で示す位置に移動する。これにより、テープユニット800のホームポジションを側壁105に近づけることができ、装置の小型化を図れる。
【0166】
[第2フラップの曲げ動作からテープの貼り付け動作までのフロー]
次に、第2フラップ曲げ機構700による第2フラップF2の曲げ動作からテープユニット800によるテープ貼り付け動作までのフローについて、図43を用いて説明する。図42のフローにより第1フラップF1が折り曲げられたら、左側の第2曲げアーム(前第2フラップ曲げアーム)720を回動させる(S301)。次いで、右側の第2曲げアーム(後第2フラップ曲げアーム)710を回動させる(S302)。そして、左右両側に第2フラップF2を折り曲げる。なお、折り曲げる順番はどちらが先でも良いし、同時でも良い。
【0167】
次に、後側の第1押圧部420及び第1曲げアーム(左第1フラップ曲げアーム)520をホームポジション(第1押圧部ガイドレール430の後端)まで移動させる(S303)。第1曲げアーム520のホームポジションは、ホームポジションセンサ(左第1フラップ曲げ兼押圧アームHPセンサ)520a(図40参照)により検知される。これにより、第1曲げアーム520が第1フラップF1と第2フラップF2との間から引き抜かれる。次いで、前側の第1押圧部410及び第1曲げアーム(右第1フラップ曲げアーム)510をホームポジション(第1押圧部ガイドレール430の前端)まで移動させる(S304)。第1曲げアーム510のホームポジションは、ホームポジションセンサ(右第1フラップ曲げ兼押圧アームHPセンサ)510a(図40参照)により検知される。これにより、第1曲げアーム510が第1フラップF1と第2フラップF2との間から引き抜かれる。なお、引き抜く順番はどちらが先でも良いし、同時でも良い。
【0168】
次いで、再度、後側の第1押圧部420及び第1曲げアーム(左第1フラップ曲げアーム)520をダンボール側に移動させ、第1曲げアーム520により第2フラップF2の下面を押圧する(S305)。次いで、再度、前側の第1押圧部410及び第1曲げアーム(左第1フラップ曲げアーム)510をダンボール側に移動させ、第1曲げアーム510により第2フラップF2の下面を押圧する(S306)。これにより、第1曲げアーム510、520が第2曲げアーム710、720と共にダンボールの下面を支持する。なお、第2フラップF2を押圧するタイミングはどちらが先でも良いし、同時でも良い。
【0169】
この状態で、テープユニット800を移動させ、ダンボールの前面の立ち上がり部、下面、後面の立ち上がり部にテープの貼り付けを行う(S307)。テープユニット800が所定位置に到達すると(S308)、テープユニット800の移動速度を低速に切り替える(S309)。所定位置は、例えば、第2テープ押えローラ820がダンボールの後側の角部に到達した位置である。これ以降テープユニット800を低速に切り替えることで、第2テープ押えローラ820によりダンボールの後側の側面へのテープの貼り付けを確実に行える。
【0170】
テープユニット800が停止位置センサ885により検知されると(S310)、テープユニット800の移動を停止する(S311)。これにより、ダンボールへのテープの貼り付け動作が完了する。
【0171】
[ダンボールの取り出し準備のフロー]
引き続き、テープ貼り付け後のダンボールの取り出し準備のフローについて、図44を用いて説明する。図43のフローでテープの貼り付け動作が完了すると、後側の第1押圧部420及び第1曲げアーム(左第1フラップ曲げアーム)520をホームポジション(第1押圧部ガイドレール430の後端)まで移動させる(S401)。次いで、前側の第1押圧部410及び第1曲げアーム(右第1フラップ曲げアーム)510をホームポジション(第1押圧部ガイドレール430の前端)まで移動させる(S402)。これにより、第1曲げアーム510、520によるダンボールの下面の支持が解除される。なお、移動する順番はどちらが先でも良いし、同時でも良い。
【0172】
第1曲げアーム510、520によるダンボールの下面の支持が解除されてから一定時間経過後に(S403)、左側の第2曲げアーム(前第2フラップ曲げアーム)720をホームポジションに移動させる(S404)。次いで、右側の第2曲げアーム(後第2フラップ曲げアーム)710をホームポジションに移動させる(S405)。これにより、第2曲げアーム710、720によるダンボールの下面の支持が解除される。なお、移動する順番はどちらが先でも良いし、同時でも良い。
【0173】
更に、後側の規制アーム(左規制アーム)620をホームポジションに移動させ(S406)、次いで、前側の規制アーム(右規制アーム)610をホームポジションに移動させる(S407)。即ち、規制アーム610、620をダンボールの側面から離す。なお、移動する順番はどちらが先でも良いし、同時でも良い。これにより、ダンボールの取り出し準備が完了する。
【0174】
[制御構成]
図40を用いて、本実施形態の製函装置100の制御構成について説明する。製函装置100は、制御部1000のマイコン1001により制御される。マイコン1001には、ドライバを介して各種モータ及び各種センサが接続されており、プログラム及び各種センサの信号に基づいて各種モータを制御して、上述した図41ないし図44のフローや、上述の各種動作を実行する。制御部1000には電源1002から電力が供給されている。
【0175】
また、製函装置100は、装置の動作状況などを表示する各種表示用LEDを有し、本実施形態ではグリーン(G)、ホワイト(W)、イエロー(Y)の表示用LED1011~1013、緊急停止スイッチ表示用LED1010を備え、マイコン1001により点灯が制御されている。例えば、ダンボールの組み立てが完了すると、表示用LED1011~1013の何れかを点灯させることで、操作者に組み立て完了を知らせる。なお、図40に示す各種モータやセンサの名称は、上述した名称と一致しないが、符号が同じであれば同じものを指す。
【0176】
本実施形態では、ダンボールシートの挿入及び組み立て後のダンボールの取り出しを装置の前面から行える。このため、操作者が1つずつダンボールを組み立てる作業に適している。また、本実施形態では、上述のように各構成の配置などを工夫することで、装置の小型化を図れる。このため、本実施形態の製函装置100によれば、小さいスペースで少量のダンボールを効率的に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0177】
100・・・製函装置
101・・・筐体
201・・・搬送ローラ
202・・・従動コロ
220・・・ローラ昇降機構(ニップ解除手段)
310・・・第1開きアーム(開きアーム)
312・・・第1開きモータ(移動手段)
320・・・第2開きアーム
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