(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074481
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】嗅覚刺激を特徴付けるための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230522BHJP
A61B 5/0533 20210101ALI20230522BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230522BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20230522BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61B10/00 X
A61B5/0533
A61B5/02 310A
A61B5/113
A61B5/16 130
A61B5/16 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180498
(22)【出願日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2112153
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506377259
【氏名又は名称】ロベルテ ソシエテ アノニム
(71)【出願人】
【識別番号】522440625
【氏名又は名称】ユニヴェアシテ コート ダジュール
(71)【出願人】
【識別番号】508071375
【氏名又は名称】ソントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・サイエンティフィーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メレキ イノ
(72)【発明者】
【氏名】ペガール アントニー
(72)【発明者】
【氏名】トパン ジェレミ
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA18
4C017BC21
4C038PP03
4C038PP05
4C038PR00
4C038PS01
4C038VA04
4C038VB19
4C038VB28
4C038VB33
4C127AA07
4C127DD00
4C127DD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】嗅覚刺激を特徴付ける方法を提供する。
【解決手段】嗅覚刺激を特徴付けるための方法に関し、それぞれテーマに関連付けられた視覚刺激ステップ(20)と、第1の生理学的記録を取得するために、第1の視覚刺激ステップ中に連続的に実行される生理学的変数を記録する第1のステップ(21)とを含み、各第1の生理学的記録は、第1の視覚刺激ステップに関連付けられたテーマに関連付けられ、第2の嗅覚刺激ステップ(30)と、第2の生理学的記録を取得するために第2の嗅覚刺激ステップ中および後に連続的に実行される生理学的変数の値を記録する第2のステップ(31)と、第2の生理学的記録に近い第1の生理学的記録を分離するために第1の生理学的記録を第2の生理学的記録と比較するステップ(40)と、比較ステップ中に分離される第1の生理学的記録に関連するテーマを決定するステップ(50)とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嗅覚刺激を特徴付けるための方法であって、
複数の第1の視覚刺激ステップ(20)であって、各前記第1の視覚刺激ステップ(20)が、視覚刺激を実行することを備え、各前記視覚刺激は、少なくとも1つの識別されたテーマに関連付けられる、複数の第1の視覚刺激ステップ(20)と、
生理学的変数の値を記録する複数の第1の記録ステップ(21)であって、各前記第1の記録ステップが、第1の生理学的記録を得るために、前記複数の第1の視覚刺激ステップ(20)のうちの1つの第1の視覚刺激ステップ(20)中に連続的に実行され、その結果、複数の前記第1の生理学的記録を取得し、各前記第1の生理学的記録は、前記第1の視覚刺激ステップに関連付けられた識別されたテーマに対応する識別されたテーマに関連する、生理学的変数の値を記録する複数の第1の記録ステップ(21)と、
第2の嗅覚刺激ステップ(30)であって、嗅覚刺激を実行することを備える第2の嗅覚刺激ステップ(30)と、
生理学的変数の値を記録する第2のステップ(31)であって、前記第2の嗅覚刺激ステップ(30)の間および後に連続的に実施され、その結果、第2の生理学的記録を得る、生理学的変数の値を記録する第2のステップ(31)と、
比較ステップ(40)であって、少なくとも1つの第1の生理学的記録を分離するために、前記第1の生理学的記録を前記第2の生理学的記録と比較するステップを備え、分離された少なくとも1つの前記第1の生理学的記録は前記第2の生理学的記録に近い、比較ステップ(40)と、
決定ステップ(50)であって、少なくとも1つの識別されたテーマを決定するステップを備え、前記識別されたテーマは、前記比較ステップ(40)中に分離された少なくとも1つの前記第1の視覚刺激ステップ(20)に関連する識別されたテーマである、決定ステップ(50)と、を備える嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項2】
基準測定値を記録する第1のステップ(18)を含み、基準測定値を記録する前記第1のステップ(18)は、前記刺激ステップのうちのいずれか1つのステップの前に実行され、第1の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える、請求項1に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項3】
基準測定値を記録する第2のステップ(19)を含み、基準測定値を記録する前記第2のステップ(19)は、前記刺激ステップのうちのいずれか1つのステップの後またはステップ中に実行され、第2の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える、請求項2に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項4】
前記生理学的記録が、中指の末節骨に配置されたフォトプレチスモグラムを使用して作成された記録を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項5】
前記生理学的記録は、人差し指および薬指の中節骨上で2つの皮膚電気コンダクタンス電極を使用して作成された記録を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項6】
前記生理学的記録は、小指の末節骨上で皮膚温度センサを使用して作成された記録を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項7】
前記生理学的記録は、呼吸量の記録を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項8】
前記呼吸量の記録は、吸気量および呼気量だけでなく呼吸リズムを含む、請求項7に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項9】
前記呼吸量の記録は、胸部または腹部の膨張および収縮を測定し、呼吸量の変動に対応する呼吸波を発生させることを可能にする腹部ベルトを使用して行われる、請求項7または8に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項10】
各前記第1の視覚刺激ステップ(20)は、前記視覚刺激の後に実行される第1の休止サブステップを含み、前記第1の休止サブステップは、第1の所定の時間の刺激を実行しない、請求項1~9のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項11】
各前記第2の嗅覚刺激ステップ(30)は、前記嗅覚刺激の後に実行される第2の休止サブステップを含み、前記第2の休止サブステップは、第2の所定の時間の刺激を実行しない、請求項1~10のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項12】
前記生理学的記録は、分割され、フィルターされる、請求項1~11のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項13】
心拍変動が、周波数および時間領域において計算される、請求項4~12のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項14】
相動性および持続性の皮膚コンダクタンスが計算され、皮膚電気反応の測定値を表す、請求項1~13のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【請求項15】
基準統計分析ステップ(39)が、生理学的変数の値を記録する異なるステップに由来する生理学的記録の平均値を比較することによって実施される、請求項1~14のいずれか1項に記載の嗅覚刺激を特徴付けるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嗅覚刺激を特徴付けるための方法に関し、より詳細には、識別されたテーマを使用する嗅覚刺激の特徴付けに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の方法として、米国特許出願公開第2012/0220857号明細書は、嗅覚刺激に従って放出されるドーパミンを検出する方法に関する。この方法は、ドーパミンの放出の有無に基づいてフレグランスを特徴付けることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの解決策は完全に満足できるものではない。
【0004】
実際に、米国特許出願公開第2012/0220857号明細書に開示された特徴付けの方法は、ドーパミンの放出のみに基づいてフレグランスを特徴付けるため、ドーパミンを放出するフレグランスとそうでないフレグランスの2つのカテゴリーのみを表す。
【0005】
本発明は、上記欠点の全部または一部を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、嗅覚刺激を特徴付ける方法に関し、
複数の第1の視覚刺激ステップであって、各第1の視覚刺激ステップは、視覚刺激を実行することを備え、各視覚刺激は、少なくとも1つの識別されたテーマに関連付けられる、複数の第1の視覚刺激ステップと、
生理学的変数の値を記録する複数の第1の記録ステップであって、第1の生理学的記録を得るために、各第1の記録ステップは、複数の第1の視覚刺激ステップのうちの1つの第1の視覚刺激ステップ中に連続的に実行され、その結果、生理学的変数の値を記録する複数の前記記録ステップは、複数の第1の生理学的記録を取得し、各第1の生理学的記録は、第1の視覚刺激ステップに関連付けられた識別されたテーマに対応する識別されたテーマに関連する、生理学的変数の値を記録する複数の第1の記録ステップと、
第2の嗅覚刺激ステップであって、嗅覚刺激を実行することを備える前記第2の嗅覚刺激ステップと、
生理学的変数の値を記録する第2の記録ステップであって、前記第2の嗅覚刺激ステップの間および後に連続的に実施され、その結果、第2の生理学的記録を得る、生理学的変数の値を記録する前記第2の記録ステップと、
比較ステップであって、少なくとも1つの第1の生理学的記録を分離するために、前記第1の生理学的記録を前記第2の生理学的記録と比較することを備え、分離された少なくとも1つの前記第1の生理学的記録は、前記第2の生理学的記録に近い、前記比較ステップと、
決定ステップであって、少なくとも1つの識別されたテーマを決定することを備え、前記識別されたテーマは、前記比較ステップの間に分離された前記少なくとも1つの第1の視覚刺激ステップに関連する識別されたテーマである、前記決定ステップと、を備える。
【0007】
本発明の文脈において、複数の第1の視覚刺激ステップとは、各第1の視覚刺激ステップが視覚刺激を実行することを備え、少なくとも1つの識別されたテーマに関連づけられる各視覚刺激は、複数の第1の刺激ステップであり、各第1の刺激ステップは視覚刺激を実行することを備え、各視覚刺激は、少なくとも1つの識別されたテーマに関連付けられる。
【0008】
本発明の文脈において、第2の嗅覚刺激ステップについて、嗅覚刺激を実行することを備える第2の嗅覚刺激ステップが第2の刺激ステップであり、第2の刺激ステップは、嗅覚刺激を実行することを備える。
【0009】
本発明の文脈において、特定されたテーマとは、例えば、感情のタイプ、または、映画のジャンルのようなあらゆる種類のものであり得る。
【0010】
一実施形態によれば、視覚刺激ステップとは、ビデオをユーザーに示すステップである。このような構成は、より良好な視覚刺激を可能にする。
【0011】
一実施形態によれば、ビデオとは仮想現実ビデオである。このような構成は、より没頭させることを可能にし、その結果、より良好な視覚刺激を可能にする。
【0012】
一実施形態によれば、各視覚刺激は30秒間継続する。このような構成は、生理学的変数の値を記録するステップをより良好な精度で実施することを可能にする。これにより、例えば、低周波数だけでなく高周波数でも心拍変動の計算を実施することができる。本発明の文脈では、低周波数は、0.04Hz~0.15Hzの範囲を含む。本発明の文脈では、高周波数は、0.15Hzより大きく、0.4Hzより小さい。
【0013】
一実施形態によれば、識別されたテーマは、少なくとも1人のユーザーによって識別されたテーマである。言い換えれば、それは、識別されたどのテーマが各視覚刺激に関連付けられるかを選択する少なくとも1人のユーザーを含むユーザーの組である。したがって、それは各ユーザーに固有のものである。このような構成は、嗅覚刺激の良好な特徴付けを可能にする。好ましい実施形態によれば、識別されたテーマは、ユーザーの少なくとも50%によって有効であると識別される。
【0014】
一実施形態によれば、第2の嗅覚刺激ステップの間、視覚が制限される。このような構成は、自然な視覚刺激のような外乱を制限し、したがって、より良好な嗅覚刺激を得ることを可能にする。
【0015】
一実施形態によれば、第2の嗅覚刺激ステップは、匂いの感覚を生成する要素をユーザーの鼻に約4センチメートル近づけることを備える。このような構成は、良好な嗅覚刺激を可能にする。本発明の文脈において、約4センチメートルとは、3.5センチメートルから4.5センチメートルの間を意味する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、第2の嗅覚刺激ステップは、匂いの感覚を生成する要素をユーザーの上唇に近づけることを備える。
【0017】
一実施形態によれば、その要素は、ボトル内または吸い取り紙上に含まれる。本発明の文脈において、吸い取り紙は、あらゆる種類のものであってよく、吸い取り紙は、例えば、紙またはスポンジなど液体で浸漬され得るものである。
【0018】
第2の記録ステップは、第2の生理学的記録を得るために、第2の嗅覚刺激ステップの間および後に連続的に実行され、嗅覚刺激をより正確に特徴付けるために、第2の嗅覚刺激ステップの間に記録される第2の生理学的記録の第1の要素を、第2の生理学的記録の第2の要素と比較することを可能にする。
【0019】
一実施形態によれば、決定ステップは、例えば、昇順階層分類などの任意の方法を使用して、および/または主成分分析を使用して、および/または動的クラスタリング方法を使用して実行される。
【0020】
生理学的変数は、以下のようなあらゆる種類のものであってもよい。生理学的変数は、交感神経系と副交感神経系のバランスを決定するための高周波数と低周波数における心拍数や、例えば覚醒状態またはストレス状態を明らかにするためのガルバニック皮膚反応、および、生理学的状態を明らかにするため、および他の生理学的変数または派生物によって推定される状態を確認するための呼吸リズムであってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、本方法は、基準測定値を記録する第1のステップを含み、基準測定値を記録する第1のステップは、刺激ステップのうちのいずれか1つのステップの前に実行され、第1の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える。
【0022】
一実施形態によれば、本方法は、基準測定値を記録する第2のステップを含み、基準測定値を記録する第2のステップは、刺激ステップのうちのいずれか1つのステップの後またはステップ中に実行され、第2の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える。
【0023】
一実施形態によれば、生理学的記録は、中指の末節骨、好ましくはユーザーの利き手でない方の中指の末節骨上に配置されたフォトプレチスモグラムを使用して作成された記録を含む。このような構成は、正確な測定値を得ることを可能にする。利き手でない方の中指の末節骨上に配置されたフォトプレチスモグラムは、ユーザーが実施しなければならない任意の操作を容易にすることができる。実際、ユーザーは、利き手を使用することができる。
【0024】
一実施形態によれば、生理学的記録は、親指の末節骨、および好ましくはユーザーの利き手でない方の手に配置されたフォトプレチスモグラムで行われた記録を含む。このような構成は、中指の末節骨が小さすぎる場合に正確な測定値を得ることを可能にする。利き手でない方の親指の末節骨上に配置されたフォトプレチスモグラムは、ユーザーが実施しなければならない任意の操作を容易にすることを可能にする。実際、ユーザーは、利き手を使用することができる。
【0025】
一実施形態によれば、生理学的記録は、人差し指および薬指の中節骨、好ましくはユーザーの利き手でない方の指骨上で2つの皮膚電気コンダクタンス電極を使用して作成された記録を含む。このような構成は、正確な測定値を得ることを可能にする。その皮膚電気コンダクタンス電極を人差し指および薬指の中節骨に配置すれば、ユーザーが実施しなければならない任意の操作を容易にすることができる。実際、ユーザーは、利き手を使用することができる。
【0026】
一実施形態によれば、生理学的記録は、小指の末節骨、好ましくはユーザーの利き手でない方の末節骨上で皮膚温度センサを使用して作成された記録を含む。このような構成は、正確な測定値を得ることを可能にする。利き手でない方の中指の末節骨に配置された温度センサは、ユーザーが実施しなければならない任意の操作を容易にすることを可能にする。実際、ユーザーは、利き手を使用することができる。
【0027】
一実施形態によれば、各生理学的記録の2つの要素のそれぞれについての皮膚温度の平均化が実行される。
【0028】
一実施形態によれば、生理学的記録は、呼吸量の記録を含む。
【0029】
このような構成により、呼吸リズムを推定することができる。
【0030】
一実施形態によれば、呼吸量の記録は、吸気量および呼気量だけでなく呼吸リズムを含む。
【0031】
このような構成により、ユーザーの生理学的状態を正確に推定することができる。換言すれば、これは、ユーザーが、例えば、リラックス状態にあるか、興奮状態にあるかを推定することを可能にする。
【0032】
一実施形態によれば、呼吸量の記録は、ユーザーの胸部または腹部の膨張および収縮を測定し、その結果、呼吸量の変動に対応する呼吸波を生成することを可能にする腹部ベルトを使用して行われる。
【0033】
このような構成は、より正確な呼吸量の記録を得ることを可能にする。
【0034】
一実施形態によれば、腹部ベルトが胸骨に配置される。このような構成は、より正確な呼吸量の記録を得ることを可能にする。
【0035】
一実施形態によれば、各第1の視覚刺激ステップは、視覚刺激の後に実行される第1の休止サブステップを含み、第1の休止サブステップは、第1の所定時間のための刺激をもはや実行しない。
【0036】
一実施形態によれば、第1の所定時間は、ユーザーの呼吸数に基づいて計算され、第1の所定サイクル数に対応する。このような構成は、ユーザーの呼吸数にかかわらず、嗅覚刺激を特徴付けるための正確な方法を得ることを可能にする。
【0037】
一実施形態によれば、基準測定値を記録する第2のステップは、休止サブステップ中に実行される。このような構成は、第2のより信頼性の高い基準記録を得ることを可能にする。
【0038】
一実施形態によれば、第1の所定時間は40秒である。このような構成は、30秒間継続する第1の視覚刺激ステップを実行し、ユーザーに10秒の間、落ち着かせるおよび/または何か不快感を表すことを与えることを可能にする。
【0039】
一実施形態によれば、各第2の嗅覚刺激ステップは、嗅覚刺激の後に実行される第2の休止サブステップを含み、第2の休止サブステップは、第2の所定時間のための刺激をもはや実行しない。
【0040】
そのような構成は、ユーザーに落ち着かせ、および/または何か不快感を表すための第2の所定時間を与えることを可能にする。
【0041】
一実施形態によれば、第2の所定時間は30秒である。このような構成は、生理学的変数の値を記録するより長い第2のステップを得ることを可能にし、これは、より高い精度で生理学的変数の値を使用していくつかの計算を実行することを可能にする。例えば、ユーザーの心拍変動をより正確に算出することが可能である。
【0042】
一実施形態によれば、生理学的記録は、分割およびフィルターされる。
【0043】
一実施形態によれば、生理学的記録は、複数の段階に分割され、各段階は、方法の1つまたはいくつかのステップに対応する。好ましい実施形態によれば、第1段階は、生理学的変数の値を記録する複数の第1のステップだけでなく、複数の第1の視覚刺激ステップに対応し、第2段階は、生理学的変数の値を記録する第2のステップだけでなく、第2の嗅覚刺激ステップに対応する。
【0044】
一実施形態によれば、生理学的記録は、例えば、「スムージング」またはアーチファクト補正機能など、あらゆる種類のフィルターをすることができる。このような構成は、より質の高い生理学的記録を得ることを可能にする。
【0045】
一実施形態によれば、心拍変動は、周波数および時間領域で計算される。
【0046】
一実施形態によれば、心拍変動は、心拍間の時間からフーリエ変換を使用して周波数領域において計算される。次いで、周波数領域での電力計算が実行される。このような構成は、生理学的記録のいくつかの特徴を強調し、したがって、より正確な嗅覚刺激の特徴付けを得ることを可能にする。
【0047】
一実施形態によれば、相動性(phasic)および持続性(tonic)皮膚コンダクタンスが計算され、皮膚電気反応の測定値を表す。
【0048】
このような構成は、皮膚電気反応の測定に基づいて、交感神経系の活性を推定することを可能にする。
【0049】
本発明の文脈において、皮膚コンダクタンスという用語は、ガルバニック皮膚反応を意味する。
【0050】
一実施形態によれば、基準統計分析ステップは、生理学的変数の値を記録する異なるステップに由来する生理学的記録の平均値を比較することによって実行される。
【0051】
このような構成は、刺激間の異なる知覚を強調し、したがって、特徴付けられた刺激をグループ化することを可能にする。
【0052】
一実施形態によれば、嗅覚刺激を特徴付けるための方法は、刺激間で実行される統計分析ステップも含む。統計分析ステップは、刺激の前後の変動を正規化することによって実行される。正規化は、例えば、以下の式に従って、あらゆる種類のものを行うことができる。
【0053】
【0054】
上記式中、Vnは、生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの正規化された変動を示し、Xは、刺激後の生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの値を示し、Yは、刺激前の生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの値を示す。
【0055】
異なる刺激を比較するために、生理学的変数およびその導関数の各々について統計的研究を実施する。
【0056】
一実施形態によれば、統計的研究は、分散分析などの統計的方法の使用を含む。
【0057】
一実施形態によれば、統計的研究は、スチューデント試験などの統計試験の使用を含む。
【0058】
上記で定義された様々な互換性のある態様は、組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、本発明による嗅覚刺激を特徴付ける方法のシーケンス図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、添付の図面を参照して以下に記載される詳細な説明からさらによく理解される。
【0061】
図1は、嗅覚刺激を特徴付ける方法のステップを表す。前記方法は、複数の第1の視覚刺激ステップ20を含み、各第1の視覚刺激ステップ20は、ユーザーにビデオを示すことによって視覚刺激を実施することを備える。このような構成は、より良好な視覚刺激を可能にする。好ましい実施形態によれば、ビデオは仮想現実ビデオであり、そのような構成は、より没頭させ、したがって、より良好な視覚刺激を可能にする。
【0062】
各視覚刺激は、少なくとも1つの識別されたテーマに関連付けられる。識別されたテーマは、例えば、感情のタイプ、または、映画ジャンルなどのあらゆる種類のものとすることができる。識別されたテーマは、ユーザーによって識別されたテーマである。言い換えれば、どの識別されたテーマが各視覚刺激に関連付けられているかを選択するのはユーザーである。したがって、それは各ユーザーに固有のものである。このような構成は、嗅覚刺激の良好な特徴付けを可能にする。
【0063】
各第1の視覚刺激ステップ20は、視覚刺激の後に実行される第1の休止サブステップを含み、第1の休止サブステップは、第1の所定時間のための刺激をもはや実行しない。第1の所定時間は、ユーザーの呼吸数に基づいて計算され、第1の所定のサイクル数に対応する。このような構成は、ユーザーの呼吸数にかかわらず、嗅覚刺激を特徴付けるための正確な方法を得ることを可能にする。有利には、第1の所定時間は40秒である。このような構成は、第1の視覚刺激ステップ20を30秒間継続して実行し、仮想現実に慣れるために10秒をユーザーに与えることを可能にする。
【0064】
この方法は、生理学的変数の値を記録する複数の第1の記録ステップ21を含み、各第1の記録ステップは、第1の生理学的記録を取得するために、複数の第1の視覚刺激ステップのうちの1つの第1の視覚刺激ステップ20中に連続的に実行され、生理学的変数の値を記録する複数のステップの結果、複数の第1の生理学的記録を取得し、各第1の生理学的記録は、第1の視覚刺激ステップ20に関連する識別されたテーマに対応する識別されたテーマに関連する。
【0065】
各視覚刺激は30秒間続く。このような構成は、生理学的変数の値を記録するステップをより高い精度で実施することを可能にする。これにより、例えば、低周波数だけでなく高周波数での心拍変動を計算することができる。本発明の文脈では、低周波数は、0.04Hz~0.15Hzの範囲である。本発明の文脈では、高周波数は、0.15Hzより大きく、0.4Hzより小さい。
【0066】
本方法は、第2の嗅覚刺激ステップ30も含み、第2の嗅覚刺激ステップ30は、嗅覚刺激を実行することを備える。第2の嗅覚刺激ステップは、匂いの感覚を生成する要素をユーザーの鼻に約4センチメートル近づけることを備える。このような構成は、良好な嗅覚刺激を可能にする。前記要素は、ボトルまたは吸い取り紙上に収容される。本発明の文脈において、吸い取り紙は、あらゆる種類のものであってもよく、吸い取り紙は、例えば、紙またはスポンジなどの液体で浸漬され得るものである。第2の嗅覚刺激ステップ30の間、視覚は制限される。このような構成は、自然な視覚刺激のような外乱を制限し、したがって、より良好な嗅覚刺激を得ることを可能にする。
【0067】
次に、生理学的変数の値を記録する第2のステップ31が実行される。生理学的変数の値を記録する第2の記録ステップ31は、第2の嗅覚刺激ステップ30の間および後に連続的に実施され、その結果、第2の生理学的記録を得る。第2の記録ステップは、第2の嗅覚刺激ステップ30の間および後に連続的に実施され、第2の生理学的記録を得る。これにより、第2の嗅覚刺激ステップ30の間に記録される第2の生理学的記録の第1の要素を第2の生理学的記録の第2の要素と比較し、嗅覚刺激をより正確に特徴付けることができる。
【0068】
各第2の嗅覚刺激ステップ30は、嗅覚刺激の後に実行される第2の休止サブステップを含み、第2の休止サブステップは、第2の所定の時間の刺激を実行しない。このような構成は、生理学的変数の値を記録するより長い第2のステップ31を得ることを可能にし、これは、より高い精度で生理学的変数の値を使用していくつかの計算を実行することを可能にする。例えば、ユーザーの心拍変動をより正確に算出することが可能である。一実施形態によれば、第2の所定時間は30秒である。このような構成は、生理学的変数の値を記録するより長い第2のステップ31を得ることを可能にし、これは、より高い精度で生理学的変数の値を使用していくつかの計算を実行することを可能にする。例えば、ユーザーの心拍変動をより正確に算出することが可能である。
【0069】
生理学的変数は、以下のようなあらゆる種類のものであってもよい。生理学的変数は、交感神経系と副交感神経系のバランスを決定するための高周波数と低周波数における心拍数や、例えば覚醒状態またはストレス状態を明らかにするためのガルバニック皮膚反応、および、生理学的状態を明らかにし、他の生理学的変数または派生物によって推定される状態を確認するための呼吸リズムであってもよい。
【0070】
生理学的記録は、中指の末節骨および/または親指の末節骨に配置されたフォトプレチスモグラムを使用して作成された記録を含む。このような構成は、中指の末節骨が小さすぎる場合に正確な測定値を得ることを可能にする。
【0071】
生理学的記録は、人差し指および薬指の中節骨上で2つの皮膚電気コンダクタンス電極を使用して作成された記録を含む。このような構成は、正確な測定値を得ることを可能にする。
【0072】
生理学的記録は、小指の末節骨上で皮膚温度センサを使用して作成された記録を含む。このような構成は、正確な測定値を得ることを可能にする。各生理学的記録の2つの要素のそれぞれについての皮膚温度の平均化も行われる。
【0073】
生理学的記録は、呼吸量の記録を含む。このような構成により、呼吸リズムを推定することができる。1.呼吸量の記録は、吸気量および呼気量だけでなく呼吸リズムを含む。このような構成により、ユーザーの生理学的状態を正確に推定することができる。換言すれば、これは、ユーザーが、例えば、リラックス状態にあるか、興奮状態にあるかを推定することを可能にする。呼吸量の記録は、胸部または腹部の膨張および収縮を測定し、呼吸量の変動に対応する呼吸波を発生させることを可能にする腹部ベルトを用いてなされる。このような構成は、呼吸量のより正確な記録を得ることを可能にする。好ましくは、腹部ベルトは、ユーザーの胸骨に配置され、より具体的には、腹部ベルトの測定ケースがユーザーの胸骨に配置されるように配置される。このような構成は、呼吸量のより正確な記録を得ることを可能にする。
【0074】
次いで、生理学的記録は、段階ごとに分割またはフィルターされ、各段階は、本方法の1つ以上の工程に対応する。有利には、生理学的変数の値を記録する複数の第1のステップ21および複数の第1の視覚刺激ステップ20に対応する第1段階と、生理学的変数の値を記録する第2のステップ31および第2の嗅覚刺激ステップ30に対応する第2段階とがある。生理学的記録は、例えば、「スムージング」またはアーチファクト補正機能など、あらゆる種類のフィルターをされる。このような構成は、より質の高い生理学的記録を得ることを可能にする。
【0075】
心拍変動は、心拍間の時間からフーリエ変換を使用して、周波数および時間領域において計算される。次いで、周波数領域における電力計算が実行される。このような構成は、生理学的記録のいくつかの特徴を強調し、したがって、より正確な嗅覚刺激の特徴付けを得ることを可能にする。
【0076】
相動性(phasic)および持続性(tonic)皮膚コンダクタンスを計算し、皮膚電気反応の測定値を表す。このような構成は、皮膚電気反応の測定に基づいて、交感神経系の活性を推定することを可能にする。本発明の文脈において、皮膚コンダクタンスという用語は、ガルバニック皮膚反応を意味する。
【0077】
基準統計分析ステップ39は、生理学的変数の値を記録する異なるステップに由来する生理学的記録の平均値を比較することによって実行される。このような構成は、刺激間で異なる知覚を強調し、したがって、特徴付けられた刺激をグループ化することを可能にする。
【0078】
嗅覚刺激を特徴付けるための方法はまた、表示されず、刺激間で実行される統計分析ステップを含む。統計分析ステップは、刺激の前後の間の変動を正規化することによって実行される。正規化は、例えば、以下の式に従って、あらゆる種類のものを行うことができる。
【0079】
【0080】
上記式中、Vnは、生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの正規化された変動を示し、Xは、刺激後の生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの値を示し、Yは、刺激前の生理学的変数のいずれか1つまたはその導関数のいずれか1つの値を示す。
【0081】
異なる刺激を比較するために、生理学的変数およびその導関数の各々について統計的研究を実施する。統計的研究は、例えばスチューデント検定のような統計的検定の使用と同様に、分散分析のような統計的方法の使用を含む。
【0082】
本方法はまた、比較ステップ40を含み、比較ステップ40は、少なくとも1つの第1の生理学的記録を分離するために、第1の生理学的記録を第2の生理学的記録と比較することからなり、分離された少なくとも1つの第1の生理学的記録は、第2の生理学的記録に近い。
【0083】
本方法は、最後に、決定ステップ50を含み、決定ステップ50は、少なくとも1つの識別されたテーマを決定するステップであって、識別されたテーマは、比較ステップ40中に分離される少なくとも1つの第1の視覚刺激ステップ20に関連する識別されたテーマである。決定ステップ50は、例えば、昇順階層分類などの任意の方法を使用して、および/または主成分分析を使用して、および/または例えば動的クラスタリング方法を使用して実行される。
【0084】
好ましい実施形態によれば、この方法は、基準測定値を記録する第1のステップ18を含む。基準測定値を記録する第1のステップ18は、刺激ステップのうちいずれか1つのステップの前に実行され、第1の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える。この方法はまた、基準測定値を記録する第2のステップ19を備え、基準測定値を記録する第2のステップ19は、刺激ステップのうちのいずれか1つのステップの後またはステップ中に実行され、第2の基準記録を得るために生理学的変数の値を連続的に測定することを備える。基準測定値を記録する第2のステップ19は、休止サブステップ中に実行される。このような構成は、より信頼性の高い第2の基準記録を得ることを可能にする。
【0085】
当然のことながら、本発明は、本明細書において上記で表され記載された実施形態に限定されるものではなく、逆に、そのすべての変形を包含する。
【外国語明細書】