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特開2023-74496少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074496
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183095
(22)【出願日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】21208700
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ビルクナー
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・デュラー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・エテル
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・グート
(72)【発明者】
【氏名】ピウス・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・スペシャ
(72)【発明者】
【氏名】ポンフェイ・ワーン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058ED07
2G058ED15
2G058ED16
2G058GB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ピペッティング装置用のマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出方法。
【解決手段】ウェル120の底部118の検出方法は、底部118のピペッティングチップ116に対する力に応じた抵抗力を測定する力センサ124を使用して、a)ピペッティングチップ116のうちの1つが開始位置からウェル120の底部118に向かって移動する間に抵抗力を測定し、底部位置において停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、ステップと;b)底部位置を、マルチウェルプレート122内のウェル120の対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベース130に記憶するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペッティング装置(112)用のマルチウェルプレート(122)の少なくとも1つのウェル(120)の底部(118)の検出のための方法であって、前記ピペッティング装置(112)が、複数のピペッティングチップ(116)に結合されるように構成された少なくとも1つのピペッティングヘッド(114)を備え、前記方法が、前記底部(118)によって及ぼされるピペッティングチップ(116)に対する力に応じた抵抗力(150)を測定するように構成された少なくとも1つの力センサ(124)を使用することを含み、前記方法が、
a)前記ピペッティングチップ(116)のうちの1つが開始位置(154)から下流へ前記ウェル(120)の前記底部(118)に向かって移動する間に前記抵抗力(150)を測定し、前記移動を底部位置(156)において停止させるステップであって、前記底部位置(156)が、予め規定された抵抗力(158)に到達する位置である、前記抵抗力(150)を測定し、前記移動を底部位置(156)において停止させるステップと、
b)前記底部位置(156)を、前記マルチウェルプレート(122)内の前記ウェル(120)の対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベース(130)に記憶するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について、記憶された前記底部位置(156)を考慮することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、底部位置(156)が前記データベース(130)内の論理位置に対して利用可能であるかどうかを判定することを含み、底部位置(156)が利用可能である場合、前記方法が、後続のピペッティング手順に進み、そうでない場合、方法ステップa)からb)が実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
新たな消耗品および/または新たなピペッティングチップ(116)の場合、ステップa)およびb)が繰り返される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記力センサ(124)が、前記ピペッティングチップ(116)に及ぼされる前記抵抗力(150)に比例するセンサ信号を生成するように構成されたロードセル(126)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中および/または分注中に実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中に実行され、前記方法が、ステップa)の後に、前記抵抗力(150)が予め規定された残留力(160)に減少するまで前記ピペッティングチップ(116)を上方に移動させることであって、吸引および/またはすすりならびに吐出のためのその最終位置まで予め規定された距離を置いて前記ピペッティングチップ(116)を上方に移動させること、をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記力センサ(124)の監視を含み、前記力センサ(124)が、前記力センサ(124)が少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を受ける規定された位置に移動される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記力センサ(124)に2つの異なる力が加えられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数のピペッティングチップ(116)に結合されるように構成されたピペッティングヘッド(114)を備えるピペッティング装置(112)であって、前記ピペッティング装置(112)が、請求項1から9のいずれか一項に記載の、マルチウェルプレート(122)の少なくとも1つのウェル(120)の底部(118)の検出のための方法を実行するように構成され、前記ピペッティング装置(112)が、前記底部(118)によって及ぼされる前記ピペッティングチップ(116)に対する力に応じた抵抗力(150)を測定するように構成された少なくとも1つの力センサ(124)を備え、前記ピペッティング装置(112)が、少なくとも1つの制御ユニット(128)であって、
i.前記ピペッティングチップ(116)のうちの1つが開始位置(154)から下流へ前記ウェル(120)の前記底部(118)に向かって移動する間に前記抵抗力(150)を測定し、前記移動を底部位置(156)において停止させるステップであって、前記底部位置(156)が、予め規定された抵抗力(158)に到達する位置である、前記抵抗力(150)を測定し、前記移動を底部位置(156)において停止させるステップと、
ii.前記底部位置(156)を、前記マルチウェルプレート(122)内の前記ウェル(120)の対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベース(130)に記憶するステップと
を実行するように構成された、少なくとも1つの制御ユニット(128)を備える、ピペッティング装置(112)。
【請求項11】
前記制御ユニット(128)が、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について、記憶された前記底部位置(156)を考慮するように構成されている、請求項10に記載のピペッティング装置(112)。
【請求項12】
前記制御ユニット(128)が、底部位置(156)が前記データベース(130)内の論理位置に対して利用可能であるかどうかを判定するように構成され、底部位置(156)が利用可能である場合、前記制御ユニット(128)が、後続のピペッティング手順を実行するように構成され、そうでない場合、ステップi)からii)が実行される、請求項11に記載のピペッティング装置(112)。
【請求項13】
試料を処理および/または分析するための実験室機器(110)であって、前記実験室機器(110)が、ピペッティング装置(112)を参照する請求項10から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのピペッティング装置(112)を備え、前記実験室機器(110)が、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つ以上である、実験室機器(110)。
【請求項14】
前記実験室機器(110)が力制御チェックステーション(132)を備え、前記力制御チェックステーション(132)が前記力センサ(124)の監視用に構成され、前記力制御チェックステーション(132)が、前記力センサ(124)に少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力(150)を及ぼすように構成されている、請求項13に記載の実験室機器(110)。
【請求項15】
前記力センサ(124)に2つの異なる力が加えられる、請求項14に記載の実験室機器(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法およびその方法を実行するためのピペッティング装置に関する。本発明は、さらに、ピペッティング装置を備える試料を処理および/または分析するための実験室機器に関する。さらに、本発明は、本方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。本方法および装置は、具体的には、医療または化学実験室の分野、特に自動インビトロ診断(IVD)試料処理の分野において使用することができる。しかしながら、本発明の他の応用分野が可能である。
【背景技術】
【0002】
背景技術
医療または化学実験室の分野では、自動試料処理のためにピペッティング装置がしばしば使用される。具体的には、ピペッティング装置は、試料、具体的には、血液、尿、唾液、間質液または他の体液などの人体の試料、試薬または対照群を、吸引および/または分注操作によって第1の容器から第2の容器に移送するために使用することができる。この種の試料を処理するための現代の装置は、動作がほぼ完全に自動である。
【0003】
ピペッティング装置の自動動作のために、一般に、容器の検出が必要とされる場合がある。例として、欧州特許第0 223 758号、特開平01097865号、欧州特許第2 350 676号、米国特許出願公開第2019/0324050号、国際公開第2019/017964号、欧州特許出願公開第3 173 793号、国際公開第2012/129105号、米国特許出願公開第2009/0130745号、国際公開第2005/121746号、欧州特許出願公開第3 376 235号、欧州特許出願公開第2 481 481号および欧州特許出願公開第3 517 974号は、自動検出手段を用いたピペッティング装置および/またはピペッティング方法を記載している。
【0004】
公知の方法および装置によって達成される利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。例えば、自動血管検出は、特に血管位置を数回使用する場合、時間がかかる可能性がある。さらに、一般に、自動血管検出の十分な信頼性を確保するために、多数の力制御移動を実行することが必要とされる場合がある。さらに、ウェル内のデッドボリュームを最小化する場合、ウェル底部におけるピペッティングチップクロージャの潜在的なリスクが発生する場合がある。
【0005】
解決すべき課題
したがって、上述した技術的課題に少なくとも部分的に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、少なくとも1つのウェルの底部の時間的に効果的な検出を高い信頼性および精度で可能にする、少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法、ピペッティング装置および実験室機器が提案されるものとする。
【発明の概要】
【0006】
概要
この課題は、独立請求項の特徴を有する少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法、ピペッティング装置、および実験室機器によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現することができる有利な実施形態は、従属請求項ならびに明細書全体に記載されている。
【0007】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0008】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0009】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0010】
第1の態様では、ピペッティング装置用のマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法が提案される。ピペッティング装置は、複数のピペッティングチップに結合されるように構成された少なくとも1つのピペッティングヘッドを備える。本方法は、底部によって及ぼされるピペッティングチップに対する力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサを使用することを含む。
【0011】
本明細書で使用される「ピペッティング装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、液体または乾燥粉末などの他の材料の少なくとも1つの輸送および/または移送を含む少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成された装置またはシステムを指すことができる。ピペッティング装置は、吸引および/または分注などの少なくとも1つのピペッティングステップを実行するように構成することができる。ピペッティング装置は、ピペッティングヘッドおよび少なくとも1つのピペッティングチップを備えてもよく、または少なくとも1つのピペッティングチップに接続可能であってもよい。ピペッティング装置は、マルチウェルプレートに対して少なくとも1つのピペッティング手順を実行するように構成されている。本明細書で使用される「ピペッティング手順」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのピペッティングステップおよび/または一連のピペッティングステップを指すことができる。
【0012】
ピペッティング装置は、自動ピペッティング装置とすることができる。したがって、ピペッティング手順は、例えばユーザ相互作用なしに自動的に実行することができる。しかしながら、ピペッティング手順は、消耗品の装填などの手動の動作を必要とするステップを含むことができる。
【0013】
本明細書で使用される「ピペッティングヘッド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、液体または乾燥粉末などの他の材料の輸送および/または移送のために設計された少なくとも1つの機械的構成要素を指すことができる。ピペッティングヘッドは、少なくとも1つのポンプおよび/またはポンプシステムを備えることができる。例えば、ポンプは、マイクロ環状ギアポンプとすることができる。
【0014】
本明細書で使用される「ピペッティングチップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、単一のピペッティングプロセスによってのみ使用することができる使い捨てピペッティングチップ、および2つ以上のピペッティングプロセスによって使用することができる再使用可能なピペッティングチップを指すことができる。使い捨てピペッティングチップは、通常、プラスチック製であり、ピペッティングプロセス後に処分される。再使用可能なピペッティングチップは、ピペッティングニードルとして設計することができ、通常、金属またはそれぞれの液体とともに使用するのに適した任意の他の材料から作られる。
【0015】
本明細書で使用される「結合される」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、例えば結合ユニットを介したピペッティングチップのピペッティングヘッドへの解放可能な結合プロセス、ならびにピペッティングチップの結合ユニットへの恒久的な結合を指すことができる。後者の場合、ピペッティングチップは、損傷または保守目的のために引き起こされる交換を除いて、結合ユニットにねじ止めするなどして恒久的に結合することができる。ピペッティングヘッドは、使い捨てピペッティングチップを結合してもよく、またはピペッティングニードルを備えてもよく、試料処理ステップを実行するために必要な試料および/または試薬を吸引および分注することができる。ピペッティング装置は、1つの試料または試薬またはそれらの組み合わせを吸引および/または分注するための1つのピペッティングチップまたはニードルを有することができる。ピペッティング装置は、複数の試料または試薬またはそれらの組み合わせを同時に吸引および/または分注するための複数のピペッティングチップまたはニードルを有することができる。
【0016】
ピペッティング装置は、試料を処理するための少なくとも1つの実験室機器の要素とすることができる。本明細書で使用される「実験室機器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、試料または試料容器の処理ステップを行うように構成された任意の装置を指すことができる。例えば、実験室機器は、臨床診断分析装置であってもよい。ピペッティング装置は、実験室のピペッティングステーションに配置されてもよい。ピペッティング装置が配置されてもよい。実験室機器は、複数のピペッティングステーションを備えてもよい。
【0017】
実験室機器は、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つ以上とすることができる。分析前機器は、通常、試料または試料容器の予備処理に使用することができる。分析機器は、例えば、測定可能な信号を生成するために試料または試料の一部および試薬を使用するように設計することができ、それに基づいて分析物が存在するかどうか、および必要に応じてどの濃度で存在するかを判定することができる。分析後機器は、通常、試料の保管などの試料の後処理に使用することができる。実験室機器は、試料をピペッティング操作するためのピペッティング装置と、試料または試料容器を選別するための選別装置、試料容器のキャップまたはクロージャを取り外すためのキャップ除去装置、試料容器のキャップまたはクロージャを取り付けるためのキャップ取り付け装置、試料をアリコートするためのアリコート装置、試料を遠心分離するための遠心分離装置、試料を分析するための分析装置、試料を加熱するための加熱装置、試料を冷却するための冷却装置、試料を混合するための混合装置、試料の分析物を単離するための分離装置、試料を保存するための保存装置、試料を保管するための保管装置、試料容器タイプを決定するための試料容器タイプ決定装置、試料品質を決定するための試料品質決定装置などのさらなる装置とを備えることができる。
【0018】
本明細書で使用される用語「試料」は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、目的の分析物を含有すると疑われる物質を指すことができる。試料は、血液、唾液、接眼レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、細胞などを含む生理液などの任意の生物学的供給源に由来することができる。試料は、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、溶解など、使用前に前処理することができる;処理の方法は、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の添加を含むことができる。試料は、例えば、別の溶液で希釈された後、または試薬と混合された後、例えば、臨床化学アッセイ、イムノアッセイ、凝固アッセイ、核酸検査などのような1つ以上の診断アッセイを実施するために、供給源から得られたまま、または試料の特性を改変するための前処理後に直接使用することができる。したがって、本明細書で使用される「試料」という用語は、元の試料に使用されるだけでなく、ピペッティングで分注され、希釈され、試薬と混合され、濃縮され、精製され、増幅されたなど、既に処理された試料に関する。本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、検出または測定される化合物または組成物を指すことができる。
【0019】
本明細書で使用される「試料を処理する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、試料の任意の処理を指すことができる。例えば、処理は、試料を移送すること、アリコートすること、単離すること、精製すること、インキュベートすること、反応させること、または試薬を試料と組み合わせることの1つ以上を含むことができる。本明細書で使用される「試薬」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、試料の処理に必要な組成物を指すことができる。試薬は、例えば、反応を発生させるために、または検出を可能にするために、試料および/または他の試薬と順番に混合される必要がある任意の液体、例えば、溶媒または化学溶液とすることができる。試薬は、例えば、水を含む希釈液とすることができ、有機溶媒を含むことができ、洗浄剤を含むことができ、緩衝剤とすることができる。試薬はまた、例えば試料、別の試薬または希釈液によって溶解されるように適合された乾燥試薬であってもよい。用語のより厳密な意味での試薬は、例えば、試料中に存在する1つ以上の分析物に結合するまたは化学的に変換することができる反応物、典型的には化合物または薬剤を含む液体溶液とすることができる。反応物の例は、酵素、酵素基質、共役色素、タンパク質結合分子、核酸結合分子、抗体、キレート剤、プロモータ、阻害剤、エピトープ、抗原などである。
【0020】
本明細書で使用される「マルチウェルプレート」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少量の流体を永久的または一時的に貯蔵するように構成された任意のプレート状装置を指すことができる。この点における少量は、10nlから100ml、好ましくは0.1μlから10ml、さらにより好ましくは0.1μlから5mlなどのnlからmlの範囲の流体の量として理解されるべきである。基本的に、マルチウェルプレートの設計は、実験室機器のそれぞれの用途に依存することができる。マルチウェルプレートは、単一の流体試料または複数の流体試料を貯蔵するための装置として設計されてもよい。同様に、マルチウェルプレートのそれぞれの貯蔵領域の幾何学的形状は、マルチウェルプレートのそれぞれの用途に依存することができる。貯蔵領域は、ウェル、チャネル、窪み、凹部などとして設計されてもよい。例えば、マルチウェルプレートは、複数のウェルを含むことができる。本明細書で使用される「マルチウェルプレート」という用語は、小さな試験管として使用される複数の「ウェル」を有する平板を指すことができる。そのようなマルチウェルプレートは、マイクロタイタープレートとしても知られている。マイクロプレートは、分析研究および臨床診断検査室で標準的なツールになっている。非常に一般的な使用法は、ヒトおよび動物における最新の医学的診断試験の基礎である酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。マルチウェルプレートは、典型的には、2:3の矩形マトリックスに配置された6、24、96,384または1536個の試料ウェルを有する。いくつかのマイクロプレートは、3456または9600ウェルで製造されてさえおり、可撓性プラスチックテープ上にエンボス加工されたマイクロプレートの連続ストリップを提供する「アレイテープ」製品が開発されている。マイクロプレートの各ウェルは、典型的には、数十ピコリットルから数ミリリットルの液体を保持する。それらはまた、乾燥粉末を貯蔵するために、またはガラス管インサートを支持するためのラックとして使用することができる。ウェルは、円形または正方形のいずれかとすることができる。化合物貯蔵用途では、密着したシリコーンカプマットを有する正方形ウェルが好ましい。マイクロプレートは、低温で長期間保存することができ、それらのウェルからの溶媒蒸発速度を増加させるために加熱することができ、箔または透明フィルムでヒートシールすることさえできる。フィルタ材料の埋め込み層を有するマイクロプレートも開発され、今日では、濾過、分離、光学的検出、貯蔵、反応混合、細胞培養および抗菌活性の検出を含むライフサイエンス研究におけるほぼ全ての用途のためのマイクロプレートがある。例えば、マルチウェルプレートは、処理プレートであってもよい。処理プレートは、少なくとも1つの試料処理ステップを受けるように構成することができる。試料処理は、試料特異的ステップ、アリコート、加熱、冷却、磁気分離、混合、洗浄、溶出、希釈、化学反応、試料の溶解、核酸の捕捉、核酸の放出、核酸の抽出などの1つ以上を含むことができる。例えば、マルチウェルプレートは、ADプレートであってもよい。ADプレートは、後続の分析のための少なくとも1つの調製を受けるように構成することができる。調製された後、ADプレートは、少なくとも1つの試薬で最後に処理および精製された試料を含むことができる。
【0021】
マルチウェルプレートのウェルは、レセプタクルに収容された内容物を収容するように設計された少なくとも1つのレセプタクルを含むことができる。ウェルは、マルチウェルプレートの表面から下方に延在する。ウェルは、細長形状を有してもよい。ウェルは、チューブなどの円筒形状を有してもよい。しかしながら、円筒形状から逸脱した形状を有するウェルの実施形態が可能であり得る。ウェルは、底部を備える。本明細書で使用される「底部」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、レセプタクルのクロージャを指すことができる。底部は、一般に、円形の底部、例えばU底部、円錐形の底部、例えばV底部、平坦な底部、または湾曲した縁部を有する平坦な底部などの任意の形状を有することができる。他の形状も可能であり得る。
【0022】
マルチウェルプレートのウェルは、行および列を有するアレイまたはマトリックスを形成することができる。アレイまたは行列は、m行およびn列を有する長方形であってもよく、m、nは、独立して正の整数である。アレイまたは行列のエントリは、本明細書では論理位置として示される。ウェルは、マルチウェルプレート内の論理位置に配置されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「底部の検出」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ウェルの深度を決定することを指すことができる。底部の検出は、ピペッティング装置の座標系における、および/またはマルチウェルプレートの表面に対する底部の位置を決定することを含むことができる。ピペッティング装置は、互いに垂直に位置合わせされた第1の方向(x-としても示される)方向、y(y-としても示される)方向、および第3の方向(z-としても示される)方向を含む3次元直交座標系を含むことができ、第1および第2の方向(x、y)は平面にまたがり、第3の方向(z)は平面に対して垂直に位置合わせされている。第1および第2の方向(x、y)は水平面にまたがることができ、第3の方向(z)は垂直に位置合わせすることができる(落下方向)。水平面は、マルチウェルプレートの表面の平面であってもよい。底部の検出は、底部のz座標および/またはz方向に沿ったマルチウェルプレートの表面に対する相対距離を決定することを含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される「力センサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、負荷をセンサ信号とも呼ばれる電気出力信号に変換するように構成されたセンサを指すことができる。センサ信号は、生のセンサ信号または前処理されたセンサ信号であってもよい。力センサは、ピペッティングチップに及ぼされる抵抗力に比例するセンサ信号を生成するように構成されたロードセルを備えてもよい。例えば、ロードセルは、ひずみゲージのビーム配置であってもよい。力センサは、ピペッティングヘッド内に配置されてもよい。
【0025】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップを繰り返し実行することができる。
【0026】
本方法は、以下:
a)始位置から下流へウェルの底部に向かってピペッティングチップの1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップと、
b)底部位置を、マルチウェルプレート内のウェルの対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベースに記憶するステップと
を含む。
【0027】
本明細書で使用される「開始位置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ピペッティング手順を行う前のピペッティングチップの初期位置、例えば、z座標を指すことができる。本明細書で使用される「下流」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、z軸に沿った方向、例えば落下方向を指すことができる。
【0028】
ピペッティングチップの移動が停止する予め規定された抵抗力は、10から120Nの範囲、具体的には10から96Nの範囲、より具体的には20Nとすることができる。
【0029】
ピペッティングチップの移動は、少なくとも1つの制御ユニットによって制御されてもよい。本明細書で使用される「制御ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって、より好ましくは少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、指定された動作を実行するように構成された任意の装置またはシステムを指すことができる。したがって、例として、少なくとも1つの制御ユニットは、いくつかのコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが記憶された少なくとも1つのデータ処理装置を備えることができる。制御ユニットは、指定された動作のうちの1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供することができ、および/または指定された動作のうちの1つ以上を実行するために実行されるソフトウェアを1つ以上のプロセッサに提供することができる。制御ユニットは、1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラマブル装置を備えることができる。しかしながら、追加的または代替的に、制御ユニットはまた、完全にまたは部分的にハードウェアによって具現化されてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「プロセッサ」または「処理装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、コンピュータまたはシステムの基本的な動作を実行するように構成された任意の論理回路、および/または一般に、計算または論理動作を実行するように構成された装置を指すことができる。特に、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成することができる。例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算装置(ALU)、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給し、演算結果を記憶するように構成されたレジスタ、L1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを含むことができる。特に、プロセッサは、マルチコアプロセッサとすることができる。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)とすることができるか、またはそれを含むことができる。追加的または代替的に、プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるか、またはマイクロプロセッサを含むことができ、したがって、具体的には、プロセッサの要素は、1つの単一集積回路(IC)チップに含まれることができる。追加的または代替的に、プロセッサは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または1つ以上のテンソル処理ユニット(TPU)および/または専用機械学習最適化チップなどの1つ以上のチップとすることができるか、またはそれを備えることができる。プロセッサは、具体的には、ソフトウェアプログラミングなどによって、1つ以上の評価動作を実行するように構成することができる。
【0031】
底部位置は、マルチウェルプレート内のウェルの対応する論理位置とともに、少なくとも1つのデータベースに記憶される。これは、底部位置をマルチウェルプレートの論理位置にマッピングすることを可能にすることができる。本明細書で使用される用語「データベース」は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、一般に記憶され、コンピュータまたはコンピュータシステムから電子的にアクセスされるデータの組織化された集合を指すことができる。データベースは、データ記憶装置を備えてもよく、またはデータ記憶装置によって備えられてもよい。データベースは、コンピュータまたはコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを備える少なくとも1つのデータベース管理システムを備えることができ、ソフトウェアは、データベースに含まれるデータをキャプチャして分析するためなどに、ユーザ、アプリケーション、またはデータベース自体のうちの1つ以上との相互作用を可能にする。データベース管理システムは、データベースを管理するための設備をさらに含むことができる。したがって、データを含むデータベースは、データに加えて、1つ以上の関連するアプリケーションを含むデータベースシステムによって構成することができる。
【0032】
本方法は、自動的に実行されてもよい。本明細書で使用される「自動的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/または機械によって、特に手動の動作および/またはユーザとの相互作用なしに完全に実行されるプロセスを指すことができる。本方法は、コンピュータ実装されてもよい。しかしながら、本方法は、消耗品の装填などの手動動作を含むことができる。制御ユニットは、ステップa)およびb)などの本発明にかかる方法を実行するように構成されてもよい。
【0033】
本方法は、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中、特に混合中および/または分注中に実行することができる。吸引は、ウェルの内容物を吸い上げることを含むことができる。分注は、ウェルの内容物を送達することを含むことができる。「分注」という用語は、「直接分注」を指すことができる。「すすりおよび吐出」という用語は、すすりおよび吐出分注、例えば分注のための中間搬送機構を指すことができる。すすりおよび吐出は、例えば、容器から液体を吸引し、次いで液体をウェル上に放出することを含むことができる。すすりおよび吐出は、具体的には、試料、試薬などを混合する目的で行われてもよい。
【0034】
例えば、本方法は、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中に実施することができる。本方法は、ステップa)の後に、抵抗力が予め規定された残留力に減少するまでピペッティングチップを上方に移動させることであって、吸引および/またはすすりおよび吐出のためにピペッティングチップをその最終位置まで予め規定された距離だけ上方に移動させること、を含むことができる。ピペッティングチップは、ウェルの底部に接触し、抵抗力が増加し始める可能性がある。その後、ピペッティングチップおよび/またはウェルは、予め規定された抵抗力に到達するまで屈曲していてもよい。次いで、抵抗力が予め規定された残留力まで減少するまで、ピペッティングチップを上方に移動させることができる。ピペッティングチップおよび/またはウェルは、予め規定された残留力に到達するまで屈曲していなくてもよい。予め規定された残留力は、1から20Nの範囲、具体的には4から10Nの範囲であってもよい。予め規定された距離は、オフセットであってもよい。検出された底部は、将来の使用のために記憶されてもよい。最終位置は、±0.25mmの不正確さの範囲内で到達することができる。提案された方法は、>1mmとすることができるハードウェアおよび消耗品の不耐性を処理することを可能にすることができる。提案された方法は、ウェル内の残留体積を最小化しなければならない場合、例えば7μl未満の場合に有利であり得る。提案された方法はまた、ピペッティングチップが底部に接触しないこと、および液体操作のためにチップが完全に開いたままであることを保証することができる。
【0035】
例えば、本方法は、分注中に実行されてもよい。力センサは、ウェルの底部を検出するために使用されてもよい。第1のステップにおいて、ピペッティングチップは、ウェルの底部に向かって下方に移動させることができる。底部に接触すると、抵抗力が増加し始める。移動は、予め規定された抵抗力に到達すると停止される。これが分注の最終位置である。検出された底部は、将来の使用のために記憶されてもよい。提案された方法は、>1mmとすることができるハードウェアおよび消耗品の不耐性を処理することを可能にすることができる。提案された方法は、ピペッティングチップが液体操作のために底部と接触していることを保証することができる。液体動作中に泡が漏れることができないように、気密接続を有することが重要である。
【0036】
本方法は、少なくとも1つの後続のピペッティング手順について、例えば後続の吸引、分注、廃棄物分注、すすりおよび吐出のうちの1つ以上のために、貯蔵された底部位置を考慮すること、具体的には再使用することを含むことができる。本方法は、データベース内の論理位置に対して底部位置が利用可能であるかどうかを判定することを含むことができる。底部位置が利用可能である場合、本方法は、後続のピペッティング手順に進むことができ、そうでない場合、方法ステップa)からb)が実行される。吸引、および/またはすすり、ならびに吐出および/または分注のために検出されたボトムは、保存および再使用することができる。新たな消耗品、例えば新たなマルチウェルプレートおよび/またはピペッティングチップごとに、底部を再び検出することができ、消耗品が再び交換されるまで複数回使用される。保管は、底部位置が数回再使用することを可能にすることができる。これは、底部の検出が所与の位置に直接移動するよりも遅いため、時間を節約することができる。時間の節約は、液体処理操作あたり数秒とすることができる。
【0037】
例えば、ピペッティング手順について「底部検出」機能が選択された場合、制御ユニットおよび/またはユーザは、本発明にかかる方法を実行するように構成することができる。第1のステップにおいて、制御ユニットは、底部の値がデータベースにおいて既に利用可能であるかどうかを判定することができる。例えば第1の吸引のために底部の値が利用できない場合、制御ユニットおよび/またはユーザは、検出後にピペッティングチップを予め規定された距離の値でさらに移動させて底部の検出のための機能を選択することができる。次いで、要求されたコマンドは、制御ユニットによって実行されてもよい。受信された値は、論理位置のキーおよび底部の値とともにマップ内に記憶することができる。底部についての値がデータベースで利用可能である場合、マップ内で、論理位置を有するキーが見つかる。次いで、ピペッティング手順のためのコマンドは、底部値および/または底部についての値と予め規定された距離との和を使用して直接実行することができる。ピペッティングチップを下に置いた後、マップを(次の実行のために)洗浄することができる。
【0038】
本方法は、力センサの監視を含むことができる。本明細書で使用される「力センサの監視」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、特に信頼性および/または精度を確保するために、力センサの挙動を監視することを指すことができる。力センサは、力センサが少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を受ける規定された位置に移動されてもよい。例えば、力センサに2つの異なる力が加えられてもよい。例えば、力センサは、例えば27Nおよび57Nの2つの異なる力についてチェックされてもよい。監視は、約+/-10Nの精度をチェックすることを含むことができる。
【0039】
実験室機器は、力センサの監視用に構成された少なくとも1つの力制御チェックステーションを備えてもよい。実験室機器は、例えば異なるモジュールに複数の力制御チェックステーションを備えてもよい。これは、力センサの許容公差をより正確に規定することを可能にすることができる。
【0040】
力制御チェックステーションは、実験室機器に固定的に設置されてもよい。本明細書で使用される「固定的に設置される」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、実験室機器に組み込まれていること、および/またはユーザによって交換不可能であることを指すことができる。力制御チェックステーションは、実験室機器の固定位置に配置されてもよい。力制御チェックステーションは、実験室機器の作業面の一部であってもよく、および/または実験室機器の作業面の特定の要素と相互作用できるように配置されてもよい。しかしながら、追加的または代替的に、力制御チェックステーションが実験室機器の一時的に一体化された要素であってもよい実施形態が実現可能である。本明細書で使用される場合、「作業面」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、実験室機器の試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップが実行される実際の表面を表す、実験室機器内に取り付けられたプレートを指すことができる。この目的のために、作業面には、消耗品、試料処理装置、廃棄物容器、活性化装置、および試料、試料容器、試薬および/または試薬容器処理ステップを実行するために必要なラックを収容するための埋め込み区画が設けられる。作業面は、単一の部品を含んでもよく、十分な剛性を有する任意の適切な材料(例えば、金属および/またはプラスチック)から作られることができる。作業面は、実験室機器の要件を満たすために異なる形状および形態を有してもよい。
【0041】
力制御チェックステーションは、力センサに少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を及ぼすように構成されてもよい。力制御チェックステーションは、少なくとも1つの機械的ばねを備えてもよい。例えば、力制御チェックステーションは、複数の機械的ばねを備えてもよい。例えば、力制御チェックステーションは、第1の弾性特性を有する第1の複数の機械的ばねと、第2の弾性特性を有する第2の複数のばねとを備えてもよい。本明細書で使用される「機械的ばね」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、弾性特性を有する任意の形状の要素を指すことができる。弾性要素は、線形弾性特性を有することができる。弾性要素は、特に、コイルばねなどの少なくとも1つのばねであってもよい。ばねの変形は無視することができる。
【0042】
プラスチックチップの代わりに、教示ツールとも呼ばれる金属ツールが力センサの監視に使用することができる。
【0043】
力制御チェックステーションは、実験室機器の一部であってもよく、そのため、チェックは、定期的に完全に自動化されて実行することができる。周期的なチェックは、力センサの適切な機能を保証する。チップの代わりに金属ツールを使用すると、検査の精度を高めることができる。
【0044】
例えば、力制御チェックステーションは、取り付けプレートを受け入れるように構成された区画を備えてもよい。取り付けプレートは、教示ツールを受け入れるように構成された教示ツール支持体を有することができる。本明細書で使用される「区画」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、実験室機器の作業面の専用の埋め込み要素を指すことができる。取り付けプレートは、作業面に対してばね付勢されてもよい。例えば、取り付けプレートは、4つの機械的ばねを使用して作業面に対してばね付勢されてもよい。機械的ばねは、同一の弾性特性を有することができる。機械的ばねは、均一な力を教示ツールに加えることができるように配置されてもよい。力制御チェックステーションは、ばね荷重中間プレートを備えてもよい。中間プレートは、4つのさらなる機械的ばねを使用して作業面に対してばね付勢されてもよい。さらなる機械的ばねは、同一の弾性特性を有することができる。さらなる機械的ばねは、取り付けプレートの機械的ばねとは異なる弾性特性を有してもよい。さらなる機械的ばねは、均一な力を教示ツールに加えることができるように配置されてもよい。中間プレートは、取り付けプレートの下方、例えば作業面と取り付けプレートとの間に配置されてもよい。中間プレートは、一定の距離(深度)で有効になるように設計されてもよい。したがって、2つの異なる距離で2つの異なる力を教示ツールに加えることが可能であり得る。
【0045】
例えば、力制御チェックステーションでの手順は、以下のとおりであってもよい。教示ツールは、ばね荷重取り付けプレートに配置することができる(パーキング位置)。ピペッティングヘッドは、教示ツールに結合することができる。力制御チェックステーション、特にピペッティングヘッドは、抵抗力が力制御チェックステーションの1つ以上のばねを介して蓄積されるように、少なくとも1つの第1の深度値、例えば-1mmに近付くことができる。マイナス符号は、移動方向が下向きであることを示すことができる。力センサは、力を測定することができる。制御ユニットは、測定値を少なくとも1つの期待値と比較することができる。力制御チェックステーションは、中間プレートが有効になる少なくとも1/2の深度の値、例えば-2.5mmに近付くことができる。力センサは、力を測定することができる。制御ユニットは、測定値を少なくとも1つの期待値と比較することができる。
【0046】
力制御チェックステーションは、力-距離測定のための制御点を提供するように構成されてもよい。ピペッティングステーションは、ピペッティングヘッドの力-距離関数、例えば、規定の距離を有する100N、または追加の第2の規定力Nを提供するように構成することができる。上記で概説したように、監視は、2つの異なる深度に近付くことによって2つの異なる力を及ぼすことを含むことができる。制御ユニットは、第1の点(力なし)、第1の深度値、および第2の深度値を通る線を補間し、それによって曲線の良好性を決定するように構成されてもよい。
【0047】
制御ユニットは、期待値からの偏差が予め規定された許容範囲内にあるかどうかを判定するように構成されてもよい。例えば、予め規定された公差は±10%であってもよい。期待値からの偏差が予め規定された許容範囲内にある場合、力センサは、適切に動作すると考えられる。そうでなければ、力センサ、ピペッティングヘッドおよびピペッティングステーションのうちの1つ以上の機能不全が想定される。制御ユニットは、想定される誤動作の場合に少なくとも1つの動作を実行することができる。例えば、動作は、指定された構成要素のチェックを含むことができる。例えば、動作は、少なくとも1つの警告を発すること、少なくとも1つの要求、例えば必要とされるピペッティングヘッドの較正を発すること、逸脱を決定する再試行を行うこと、力センサが交換または修理されるまでピペッティング装置を停止することなどのうちの1つ以上を含むことができる。
【0048】
制御ユニットは、少なくとも1つの通信インターフェースおよび/またはユーザインターフェースを介して動作を実行するように構成されてもよい。本明細書で使用される「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指すことができる。通信インターフェースは、例えば別の装置に情報を送信または出力するなどのために、例えばコンピュータなどの計算装置から情報を転送するように構成することができる。追加的または代替的に、通信インターフェースは、情報を受信するなどのために、計算装置、例えばコンピュータに情報を転送するように構成されてもよい。通信インターフェースは、具体的には、情報を転送または交換するための手段を提供することができる。特に、通信インターフェースは、例えば、ブルートゥース(登録商標)、NFC、誘導結合などのデータ転送接続を提供することができる。例として、通信インターフェースは、ネットワークまたはインターネットポート、USBポート、およびディスクドライブのうちの1つ以上を含む、少なくとも1つのポートとすることができるか、またはそれらを含むことができる。通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースとすることができる。本明細書で使用される「ユーザインターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定されないが、データまたはコマンドの1つ以上の交換などのために、一方向または双方向に情報を交換する目的などのために、その環境と相互作用するように構成された実験室機器の特徴を指すことができる。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザと情報を共有し、ユーザによって情報を受信するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイなどのユーザと視覚的に相互作用する機能、またはユーザと音響的に相互作用話する機能であってもよい。ユーザインターフェースは、例として、以下のうちの1つ以上を含むことができる:グラフィカルユーザインターフェース、無線および/または有線データインターフェースなどのデータインターフェース。
【0049】
さらなる態様では、複数のピペッティングチップに結合されるように構成されたピペッティングヘッドを備えるピペッティング装置が開示される。ピペッティング装置は、本発明にかかるマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法を実行するように構成されている。ピペッティング装置は、底部によって及ぼされるピペッティングチップ上の力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサを備える。ピペッティング装置は、以下:
i.開始位置から下流へウェルの底部に向かってピペッティングチップの1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップと、
ii.底部位置を、マルチウェルプレート内のウェルの対応する論理位置とともに例えば制御ユニットの少なくとも1つのデータベースに記憶するステップと
を実行するように構成された少なくとも1つの制御ユニットを備える。
【0050】
詳細、オプションおよび定義については、上述した方法を参照することができる。
【0051】
制御ユニットは、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について記憶された底部位置を考慮するように構成することができる。制御ユニットは、底部位置がデータベース内の論理位置に利用可能であるかどうかを判定するように構成されてもよく、底部位置が利用可能である場合、制御ユニットは、後続のピペッティング手順を実行するように構成され、そうでない場合、ステップi)からii)が実行される。
【0052】
さらなる態様では、試料を処理および/または分析するための実験室機器が開示される。実験室機器は、本発明にかかる少なくとも1つのピペッティング装置を備える。実験室機器は、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つ以上である。詳細、選択肢および定義については、上述したピペッティング装置および方法を参照することができる。
【0053】
実験室機器は、力制御チェックステーションを備えてもよい。力制御チェックステーションは、力センサを監視するように構成されてもよい。力制御チェックステーションは、力センサに少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を及ぼすように構成されてもよい。例えば、力センサに2つの異なる力が加えられる。
【0054】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上において本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読データキャリア」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことができる。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体とすることができるか、またはそれを備えることができる。
【0056】
したがって、具体的には、上述したような方法ステップa)からb)の1つ、1つよりも多い、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行することができる。
【0057】
本明細書でさらに開示および提案されるものは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上において本発明にかかる方法を実行するためにプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0058】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行することができるデータ構造が記憶されたデータキャリアである。
【0059】
本明細書においてさらに開示および提案されるものは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行するために、機械可読キャリアに記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。本明細書において使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
【0060】
最後に、本明細書に開示および提案されるものは、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0061】
本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法のうちの1つ以上の方法ステップまたは全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行することができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行することができる。一般に、これらの方法ステップは、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0062】
具体的には、本明細書では、さらに以下が開示される:
- プロセッサが、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワーク。
【0063】
- データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造。
【0064】
- プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム。
【0065】
- コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム。
【0066】
- プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム。
【0067】
- データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体。
【0068】
- コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、この明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶することができる、または記憶媒体上に記憶することができる、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0069】
本発明にかかる方法および装置は、当該技術分野において公知の同様の方法および装置に勝る多くの利点を提供することができる。具体的には、本方法は、特に、本方法が1回だけウェルの底部を検出することを必要とし得るのと同じウェル位置を数回使用する場合、時間の節約を可能にすることができる。ウェルの検出された底部位置は、データベースに記憶することができ、後続のピペッティング手順に使用することができる。さらに、力制御チェックステーションを使用することにより、力に基づく測定の信頼性を高めることができる。したがって、力制御された動きの数が最小限に抑えられることができる。さらに、本方法は、ウェルの底部でのチップクロージャの潜在的なリスクなしにウェル内のデッドボリュームを最小化することを可能にすることができる。さらに、吸引、分注および/またはすすり、ならびに吐出手順などの実験室機器の1つ以上の機能に底部検出を適用することが可能であり得る。
【0070】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態を想定することができる:
実施形態1.ピペッティング装置用のマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法であって、ピペッティング装置が、複数のピペッティングチップに結合されるように構成された少なくとも1つのピペッティングヘッドを備え、方法が、底部によって及ぼされるピペッティングチップに対する力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサを使用することを含み、方法が、
a)開始位置から下流へウェルの底部に向かってピペッティングチップの1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップと、
b)底部位置を、マルチウェルプレート内のウェルの対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベースに記憶するステップと
を含む、方法。
【0071】
実施形態2.本方法が、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について、記憶された底部位置を考慮することを含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0072】
実施形態3.本方法が、データベース内の論理位置に対して底部位置が利用可能であるかどうかを判定することを含み、底部位置が利用可能である場合、本方法は、後続のピペッティング手順に進み、そうでない場合、方法ステップa)からb)が実行される、先行する実施形態に記載の方法。
【0073】
実施形態4.新たな消耗品および/または新たなピペッティングチップの場合、ステップa)およびb)が繰り返される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態5.力センサが、ピペッティングチップに及ぼされる抵抗力に比例するセンサ信号を生成するように構成されたロードセルを備える、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
実施形態6.方法が、吸引中、および/またはすすり中、ならびに吐出中、具体的には混合中および/または分注中に実行される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
実施形態7.本方法が、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中に実行され、本方法が、ステップa)の後に、抵抗力が予め規定された残留力に減少するまでピペッティングチップを上方に移動させることであって、吸引および/またはすすり、ならびに吐出のためのその最終位置まで予め規定された距離を置いてピペッティングチップを上方に移動させること、をさらに含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
実施形態8.予め規定された残留力が、1から20Nの範囲、具体的には4から10Nの範囲である、先行する実施形態に記載の方法。
【0078】
実施形態9.ステップa)における予め規定された抵抗力が、10から120Nの範囲、具体的には10から96Nの範囲、より具体的には20Nとすることができる、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態10.本方法が、力センサの監視を含み、力センサが、力センサが少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を受ける規定された位置に移動される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
実施形態11.力センサに2つの異なる力が加えられる、先行する実施形態に記載の方法。
【0081】
実施形態12.本方法がコンピュータ実装される、先行する方法実施形態のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施形態13.複数のピペッティングチップに結合されるように構成されたピペッティングヘッドを備えるピペッティング装置であって、ピペッティング装置が、先行する実施形態のいずれか一項に記載のマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法を実行するように構成され、ピペッティング装置が、底部によって及ぼされるピペッティングチップに対する力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサを備え、ピペッティング装置が、少なくとも1つの制御ユニットであって、
i.開始位置から下流へウェルの底部に向かってピペッティングチップの1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップと、
ii.底部位置を、マルチウェルプレート内のウェルの対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベースに記憶するステップと
を実行するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットを備える、ピペッティング装置。
【0083】
実施形態14.制御ユニットが、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について、記憶された底部位置を考慮するように構成されている、先行する実施形態に記載のピペッティング装置。
【0084】
実施形態15.制御ユニットが、底部位置がデータベース内の論理位置に対して利用可能であるかどうかを判定するように構成され、底部位置が利用可能である場合、制御ユニットが、後続のピペッティング手順を実行するように構成され、そうでない場合、ステップi)からii)が実行される、先行する実施形態に記載のピペッティング装置。
【0085】
実施形態16.試料を処理および/または分析するための実験室機器であって、実験室機器が、ピペッティング装置を参照する先行する実施形態のいずれか一項に記載の少なくとも1つのピペッティング装置を備え、実験室機器が、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つ以上である、実験室機器。
【0086】
実施形態17.実験室機器が力制御チェックステーションを備え、力制御チェックステーションが力センサの監視用に構成され、力制御チェックステーションが、力センサに少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を及ぼすように構成されている、先行する実施形態に記載の実験室機器。
【0087】
実施形態18.力センサに2つの異なる力が加えられる、先行する実施形態に記載の実験室機器。
【0088】
実施形態19.プログラムが、ピペッティング装置を参照する先行する実施形態のいずれか一項に記載のピペッティング装置によって実行されると、ピペッティング装置に、方法を参照する先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【0089】
実施形態20.プログラムが、ピペッティング装置を参照する先行する実施形態のいずれか一項に記載のピペッティング装置によって実行されると、ピペッティング装置に、方法を参照する先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【0090】
図面の簡単な説明
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
図では以下のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】試料を処理および/または分析するための実験室機器およびピペッティング装置の実施形態を概略図で示している。
図2】ピペッティング装置用のマルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルの底部の検出のための方法の実施形態のフローチャートを示している。
図3A】位置-時間図を示している。
図3B】力-時間図を示している。
図4A】力制御チェックステーションの実施形態の異なる斜視図を示している。
図4B】力制御チェックステーションの実施形態の異なる斜視図を示している。
図4C】力制御チェックステーションの実施形態の異なる斜視図を示している。
図4D】力制御チェックステーションの実施形態の異なる斜視図を示している。
図5A】力制御チェックステーションにおける手順を横断面図で示している。
図5B】力制御チェックステーションにおける手順を横断面図で示している。
図5C】力制御チェックステーションにおける手順を横断面図で示している。
図5D】力制御チェックステーションにおける手順を横断面図で示している。
図5E】力制御チェックステーションにおける手順を横断面図で示している。
図6】力センサの力線図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0092】
発明の詳細な説明
図1は、試料を処理および/または分析するための実験室機器110およびピペッティング装置112の例示的な実施形態を概略図で示している。実験室機器110は、分析前機器、分析機器、または分析後機器のうちの1つ以上である。実験室機器110は、例えば本明細書に記載の例示的な実施形態にかかる、本発明にかかる少なくとも1つのピペッティング装置112を備える。
【0093】
ピペッティング装置112は、複数のピペッティングチップ116に結合されるように構成されたピペッティングヘッド114を備える。ピペッティング装置112は、図2に示す方法の例示的な実施形態などにかかる、本発明にかかるマルチウェルプレート122の少なくとも1つのウェル120の底部118の検出のための方法を実行するように構成されている。
【0094】
ピペッティング装置112は、底部118によって及ぼされるピペッティングチップ116に対する力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサ124を備える。力センサ124は、ピペッティングチップ116に及ぼされる抵抗力に比例するセンサ信号を生成するように構成されたロードセル126を備えることができる。例えば、ロードセル126は、ひずみゲージのビーム配置であってもよい。図1に見られるように、力センサ124は、ピペッティングヘッド114内に配置することができる。
【0095】
さらに、ピペッティング装置112は、以下:
i.開始位置から下流へウェル120の底部118に向かってピペッティングチップ116の1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップであって、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させるステップと、
ii.底部位置を、マルチウェルプレート122内のウェル120の対応する論理位置とともに例えば制御ユニット128の少なくとも1つのデータベース130に記憶するステップと
を実行するように構成された少なくとも1つの制御ユニット128を備える。
【0096】
制御ユニット128は、少なくとも1回の後続のピペッティング手順について記憶された底部位置を考慮するように構成することができる。制御ユニット128は、底部位置がデータベース130内の論理位置に利用可能であるかどうかを判定するように構成されてもよく、底部位置が利用可能である場合、制御ユニット128は、後続のピペッティング手順を実行するように構成され、そうでない場合、ステップi)からii)が実行される。
【0097】
さらに、実験室機器110は、力制御チェックステーション132を備えてもよい。力制御チェックステーション132は、力センサ124を監視するように構成されてもよい。力制御チェックステーション132は、力センサ124に少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を及ぼすように構成されてもよい。例えば、力センサ124に2つの異なる力が加えられる。力制御チェックステーション132の例示的な実施形態は、以下にさらに詳細に図4Aから図5Eに記載されている。したがって、力制御チェックステーション132の説明については、図4Aから図5Eの説明を参照する。
【0098】
図2には、ピペッティング装置112用のマルチウェルプレート122の少なくとも1つのウェル120の底部118の検出のための方法の例示的な実施形態のフローチャートが示されている。ピペッティング装置112は、複数のピペッティングチップ116に結合されるように構成された少なくとも1つのピペッティングヘッド114を備え、具体的には、図1に示されるように具体化することができる。本方法は、底部118によって及ぼされるピペッティングチップ116に対する力に応じた抵抗力を測定するように構成された少なくとも1つの力センサ124を使用することを含む。
【0099】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップを繰り返し実行することができる。
【0100】
本方法は、以下:
a)(参照符号134によって示される)開始位置から下流へウェル120の底部118に向かってピペッティングチップ116の1つが移動する間に抵抗力を測定し、移動を底部位置で停止させ、底部位置が、予め規定された抵抗力に到達する位置である、停止させるステップと、
b)(参照符号136によって示される)底部位置を、マルチウェルプレート122内のウェル120の対応する論理位置とともに少なくとも1つのデータベース130に記憶するステップと
を含む。
【0101】
本方法は、(参照符号138によって示される)少なくとも1つの後続のピペッティング手順について、例えば後続の吸引、分注、廃棄物分注、すすりおよび吐出のうちの1つ以上のために、貯蔵された底部位置を考慮すること、具体的には再使用することを含むことができる。本方法は、(参照符号140によって示される)データベース130内の論理位置に対して底部位置が利用可能であるかどうかを判定することを含むことができる。底部位置が利用可能である場合(参照符号142によって示される)、本方法は、後続のピペッティング手順(参照符号144によって示される)に進むことができ、そうでない場合(参照符号146によって示される)、方法ステップa)からb)が実行される。吸引、および/またはすすり、ならびに吐出および/または分注のために検出されたボトムは、保存および再使用することができる。新たな消耗品、例えば新たなマルチウェルプレート122および/またはピペッティングチップ116ごとに、底部118を再び検出することができ、消耗品が再び交換されるまで複数回使用される。保管は、底部位置が数回再使用することを可能にすることができる。これは、底部118の検出が所与の位置に直接移動するよりも遅いため、時間を節約することができる。時間の節約は、液体処理操作あたり数秒とすることができる。
【0102】
本方法は、吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中、特に混合中および/または分注中に実行することができる。吸引中および/またはすすり中、ならびに吐出中に実行される方法の例が図3Aおよび図3Bに示される。図3Aおよび図3Bは、ピペッティング装置112用のマルチウェルプレート122の少なくとも1つのウェル120の底部118の検出のための方法のための位置-時間図(図3A)および力-時間図(図3B)を示している。具体的には、ピペッティングチップ116の1つの移動中の位置148および抵抗力150が、時間152の関数として示されている。
【0103】
上記で概説したように、本方法は、ステップa)において、ピペッティングチップ116のうちの1つが開始位置154から下流へウェル120の底部118に向かって移動する間に抵抗力150を測定し、移動を底部位置156において停止させることを含む。底部位置156は、予め規定された抵抗力158に到達する位置である。ピペッティングチップ116の移動が停止される予め規定された抵抗力158は、10から120Nの範囲内、具体的には10から96Nの範囲内、より具体的には20Nとすることができる。
【0104】
さらに、本方法は、ステップa)の後に、抵抗力150が予め規定された残留力160に減少するまでピペッティングチップ116を上方に移動させることであって、吸引および/またはすすり、ならびに吐出(図示せず)のためにピペッティングチップ116をその最終位置まで予め規定された距離だけ上方に移動させること、を含むことができる。具体的には、抵抗力150が予め規定された残留力160まで減少するまで上方に移動したピペッティングチップ116は、実際の底部位置162にあってもよい。予め規定された残留力は、1から20Nの範囲、具体的には4から10Nの範囲であってもよい。予め規定された距離は、オフセットであってもよい。検出された底部118は、将来の使用のために記憶されてもよい。最終位置は、±0.25mmの不正確さの範囲内で到達することができる。提案された方法は、>1mmとすることができるハードウェアおよび消耗品の不耐性を処理することを可能にすることができる。提案された方法は、ウェル120内の残留体積を最小化しなければならない場合、例えば<7μlである場合に有利であり得る。提案された方法はまた、ピペッティングチップ116が底部118に接触しないこと、および液体操作のためにチップ116の端部が完全に開いたままであることを保証することができる。
【0105】
図3Aおよび図3Bに見られるように、ピペッティングチップ116のうちの1つが開始位置154から下流へウェル120の底部118に向かって移動する間、ピペッティングチップ116は、第1の時点164でウェル120の底部118に接触することができ、抵抗力150は増加し始めることができる。ピペッティングチップ116および/またはウェル120は、第2の時点168で予め規定された抵抗力158に到達するまで屈曲していてもよい(参照符号166によって示される)。ピペッティングチップ116のこの移動は、「力移動の増加」170と呼ばれることがある。第3の時点172において、ピペッティングチップ116は、抵抗力150が予め規定された残留力160まで減少するまで上方に移動されてもよく、具体的には「力移動の減少」174と呼ばれる。ピペッティングチップ116および/またはウェル120は、第4の時点178において予め規定された残留力160に到達するまで屈曲していなくてもよい(参照符号176によって示される)。
【0106】
本方法は、力センサ124の監視を含むことができる。力センサ124は、力センサ124が少なくとも1つの機械的ばねから生成される少なくとも1つの抵抗力を受ける規定された位置に移動されてもよい。例えば、力センサ124に2つの異なる力が加えられてもよい。例えば、力センサ124は、例えば27Nおよび57Nの2つの異なる力についてチェックされてもよい。監視は、約+/-10Nの精度をチェックすることを含むことができる。
【0107】
上述したように、実験室機器110は、力センサ124の監視用に構成された少なくとも1つの力制御チェックステーション132を備えてもよい。図4Aから図4Dは、力制御チェックステーション132の例示的な実施形態の異なる斜視図を示している。力制御チェックステーション132は、力センサ124に少なくとも1つの機械的ばねから生成された少なくとも1つの抵抗力を及ぼすように構成されてもよい。力制御チェックステーション132は、少なくとも1つの機械的ばねを備えてもよい。例えば、以下にさらに詳細に概説されるように、力制御チェックステーション132は、複数の機械的ばねを備えてもよい。例えば、力制御チェックステーション132は、第1の弾性特性を有する第1の複数の機械的ばねと、第2の弾性特性を有する第2の複数のばねとを備えてもよい。
【0108】
図4Aは、組み立てられた力制御チェックステーション132の斜視図を示している。力制御チェックステーション132は、実験室機器110に固定的に設置されてもよい。力制御チェックステーション132は、実験室機器110の固定位置に配置されてもよい。力制御チェックステーション132は、実験室機器110の作業面179の一部であってもよく、および/または、実験室機器110の作業面179の特定の要素と相互作用できるように配置されてもよい。図4Aに見られるように、プラスチックチップの代わりに、教示ツール182とも称される金属ツール180が、力センサ124の監視のために使用されてもよい。
【0109】
図4Bは、教示ツール182を有しない力制御チェックステーション132の斜視図を示している。この例では、力制御チェックステーション132は、取り付けプレート186を受け入れるように構成された区画184を備えてもよい。取り付けプレート186は、教示ツール182を受け入れるように構成された教示ツール支持体188を有することができる。
【0110】
図4Cは、力制御ステーション132の斜視断面図を示している。取り付けプレート186は、作業面179に対してばね付勢されてもよい。例えば、取り付けプレート186は、図4Dに最もよく見られるように、4つの機械的ばね190を使用して作業面179に対してばね付勢されてもよい。機械的ばね190は、同一の弾性特性を有することができる。機械的ばね190は、均一な力を教示ツール182に加えることができるように配置されてもよい。さらに、取り付け面186は、少なくとも1つの取り付けボルト192を介して、具体的には4つの取り付けボルト192を介して、および/または少なくとも1つのセンタリングピン194を介して、具体的には2つのセンタリングピン194を介して作業面179に取り付けられてもよい。
【0111】
さらに、力制御チェックステーション132は、ばね荷重中間プレート196を備えてもよい。図4Dは、力制御チェックステーション132の中間プレート196の斜視図を示している。中間プレート196は、4つのさらなる機械的ばね198を使用して作業面179に対してばね付勢されてもよい。さらなる機械的ばね198は、同一の弾性特性を有することができる。さらなる機械的ばね198は、取り付けプレート186の機械的ばね190とは異なる弾性特性を有することができる。さらなる機械的ばね198は、均一な力を教示ツール182に加えることができるように配置することができる。中間プレート196は、取り付けプレート186の下方、例えば、作業面179と取り付けプレート186との間に配置されてもよい。中間プレート196は、一定の距離(深度)で有効になるように設計されてもよい。したがって、2つの異なる距離で2つの異なる力を教示ツール182に加えることが可能であり得る。したがって、この例では、機械的ばね190は、第1の弾性特性を有する第1の複数の機械的ばねであってもよく、さらなる機械的ばね198は、第2の弾性特性を有する第2の複数のばねであってもよい。
【0112】
図5Aから図5Eは、力制御チェックステーション132における手順を横断面図で示している。図5Aから図5Eに示す力制御チェックステーション132は、図4Aから図4Dの実施形態に対応することができる。したがって、力制御チェックステーション132の説明については、図4Aから図4Dの説明を参照する。
【0113】
図5Aに示すように、教示ツール182は、ばね荷重取り付けプレート186に配置することができる(パーキング位置)。ピペッティングヘッド114は、教示ツール182に結合することができる。機械的ばね190は、22±4Nの荷重で予荷重されてもよい。ピペッティングヘッド114は、0mmの深度値にあってもよい。
【0114】
図5Bに示されるように、力制御チェックステーション132、特にピペッティングヘッド114は、抵抗力が力制御チェックステーション132の機械的ばね190を介して蓄積されるように、少なくとも第1の深度値、例えば-1mmに近付くことができる。マイナス符号は、移動方向が下向きであることを示すことができる。力センサ124は、力を測定することができる。この構成における力は、例として、27±6Nであってもよい。制御ユニット128は、測定値を少なくとも1つの期待値と比較してもよい。図5Cに見られるように、取り付けプレート186は、力制御チェックステーション132の第1の深度値で中間プレート196から、例えば0.5mmだけ離間してもよい。
【0115】
さらに、図5Dおよび図5Eに示すように、力制御チェックステーション132は、中間プレート196が有効になる少なくとも1/2の深度の値、例えば-2.5mmに近付くことができる。取り付けプレート186が中間プレート196に接触する図5Dの深度値、例えば-1.5mmでの力測定は、公差の理由から好ましくない場合がある。したがって、力センサ124は、例えば-2.5mmの第2の深度値で力を測定することができる。機械的ばね190およびさらなる機械的ばね198からの第2の深度値における合成力は、例として、57±10Nであってもよい。教示ツール182は、第2の深度値で作業面179から例えば0.5mmだけ離れていてもよい。制御ユニット128は、測定値を少なくとも1つの期待値と比較してもよい。
【0116】
力制御チェックステーション132は、力-距離測定のための制御点を提供するように構成されてもよい。ピペッティングステーションは、ピペッティングヘッド114の力-距離関数、例えば規定の距離を有する100N、または追加の第2の規定力Nを提供するように構成することができる。上記で概説したように、監視は、2つの異なる深度に近付くことによって2つの異なる力を及ぼすことを含むことができる。制御ユニット128は、第1の点(力なし)、第1の深度値、および第2の深度値を通る線を補間し、それによって曲線の良好性を決定するように構成されてもよい。
【0117】
図6は、深度値202の関数として力センサ124を用いて測定された力200の図を示す。具体的には、この図は、(参照符号204によって示される)ピペッティング装置112上の力センサ124を用いた20個の力の測定値を示している。さらに、図6の図は、実験室機器110の力制御チェックステーション132(参照符号206によって示される)を使用することによる力測定値を示している。力制御チェックステーション132上の力測定値は、基準測定値として使用することができる。したがって、図6に見られるように、ピペッティング装置112上の力センサ124を用いた力測定値204は、力制御チェックステーション132上の力測定値206との高い対応関係を示し、力センサ124、したがって、力センサ124を用いた力測定値によるウェル120の底部118の検出のための方法の高い精度を示している。
【符号の説明】
【0118】
110 実験室機器
112 ピペッティング装置
114 ピペッティングヘッド
116 ピペッティングチップ
118 底部
120 ウェル
122 マルチウェルプレート
124 力センサ
126 ロードセル
128 制御ユニット
130 データベース
132 力制御チェックステーション
134 抵抗力を測定する
136 底部位置を記憶する
138 後続のピペッティング手順について記憶された底部位置を考慮する
140 底部位置が利用可能であるかどうかを判定する
142 底部位置が利用可能である
144 後続のピペッティング手順
146 底部位置が利用できない
148 位置
150 抵抗力
152 時間
154 開始位置
156 底部位置
158 予め規定された抵抗力
160 予め規定された残留力
162 実際の底部位置
164 第1の時点
166 ピペッティングチップおよび/またはウェル屈曲
168 第2の時点
170 力移動の増加
172 第3の時点
174 力移動の減少
176 ピペッティングチップおよび/またはウェルの非屈曲
178 第4の時点
179 作業面
180 金属ツール
182 教示ツール
184 区画
186 取り付けプレート
188 教示ツール支持体
190 機械的ばね
192 取り付けボルト
194 センタリングピン
196 中間プレート
198 さらなる機械的ばね
200 力
202 深度値
204 ピペッティング装置での力測定
206 力制御チェックステーションでの力測定
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
【外国語明細書】