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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074518
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】文字認識装置及び記録媒体検査装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/12 20220101AFI20230523BHJP
【FI】
G06K9/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187451
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】岡垣内 泰成
【テーマコード(参考)】
5B064
【Fターム(参考)】
5B064AA01
5B064AB13
5B064AB17
5B064BA01
5B064CA08
5B064DA02
5B064EA02
5B064EA10
5B064FA02
5B064FA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、文字認識装置に関し、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる文字認識装置を提供することを目的とする。
【解決手段】予め、基準サンプルにおける文字のイメージデータを入力手段により入力し、オペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書に登録する、ことを特徴とするものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記文字のイメージデータを記憶する第一の画像メモリと、前記第一の画像メモリから文字の切出しを行う文字切出し部と、前記切出した文字のイメージデータを記憶する第二の画像メモリと、認識対象となる文字の基準パターンが格納された認識辞書と、前記文字切出し部からの出力文字データと前記認識辞書内の基準パターンとを比較して前記出力文字データの認識を行う認識部とを有する文字認識部及び、キーボードと、制御部と、出力装置としての表示手段とを有するホストコンピュータ部を備えた文字認識装置において、
予め、前記基準パターンを生成する為の記録媒体の基準サンプルにおける文字のイメージデータを前記入力手段により入力し、前記文字切出し部において、前記第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、前記第二の画像メモリに記憶されている前記切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、前記基準パターンとして前記認識辞書に登録する基準パターン登録部をさらに備えた、ことを特徴とする文字認識装置。
【請求項2】
前記オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の文字認識装置。
【請求項3】
前記基準パターンは、前記オペレータが選択し対応付けた文字及び、前記対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて生成された認識候補より構成される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の文字認識装置。
【請求項4】
積載された記録媒体を順次一枚ずつ給紙する給紙部と、給紙された記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される記録媒体上の文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記入力された文字のイメージデータの認識処理を行う請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の文字認識装置と、を備えることを特徴とする記録媒体検査装置。
【請求項5】
記録媒体上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記文字のイメージデータを記憶する第一の画像メモリと、前記第一の画像メモリから文字の切出しを行う文字切出し部と、前記切出した文字のイメージデータを記憶する第二の画像メモリと、認識対象となる文字の基準パターンが格納された認識辞書と、前記文字切出し部からの出力文字データと前記認識辞書内の基準パターンとを比較して前記出力文字データの認識を行う認識部とを有する文字認識部及び、キーボードと、制御部と、出力装置としての表示手段とを有するホストコンピュータ部を備えた文字認識装置の文字認識方法であって、
予め、前記基準パターンを生成する為の基準サンプルにおける文字のイメージデータを前記入力手段により入力し、前記文字切出し部において、前記第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、前記第二の画像メモリに記憶されている前記切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、前記基準パターンとして前記認識辞書に登録する、ことを特徴とする文字認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字認識装置に関し、より詳しくは、基準パターンを生成する為の基準サンプルを読取り、オペレータの選択により、使用環境に応じた適正な文字に対応付けた基準パターンを認識辞書に登録することができる基準パターン登録部を備えた文字認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的文字読取装置(文字認識装置)は、標準文字パターンが登録された認識辞書を用いているため、ユーザ側で認識率の低いフォントの字体が発生する場合がある。この場合は、製造元にてユーザ毎に辞書のメンテナンス作業を行っていた。このメンテナンス作業に際しては、追加すべき文字パターンの選択、追加文字パターン数の決定、文字カテゴリー同士の競合の調整等を行わなければならず、専門的な技術を必要としていた。ユーザ側で認識辞書を作成したいという要望があるが、ユーザ側で高精度の辞書を作成することは困難であった。
【0003】
これに対しては、以下の特許文献1には、ユーザ(オペレータ)自身が使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に登録できるカスタマイズ機能を備えた光学的文字読取装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示される技術によれば、ユーザは、学習対象の文字を記入したサンプル文書を作成し、入力操作によってそのサンプル文書に対し正解文字コードを与えた正解情報を正解情報記憶部に記憶させた後、サンプル文書を本装置に読み取らせる。制御部は、サンプル文書に対する認識結果を得た後、正解情報を基に学習文字パターンを認識辞書に登録する。
【0005】
これによれば、ユーザは学習対象の文字を記入したサンプル文書を本装置に読み取らせることにより、学習文字パターンが認識辞書に登録されるので、ユーザ自身が使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に登録することができる。
【特許文献1】特開平8-287191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示される技術では、具体的には、特許文献1における図4のフローチャートS1からS10に記載されているように、ユーザは、サンプル帳票の作成及び定義シートの作成作業を経て、一連の処理後、認識シミュレーション後の認識率によっては学習処理を行う必要がある。したがって、サンプル帳票の作成から学習文字パターンを認識辞書に登録するまでの全体的な処理工程が複雑な為、ユーザにとって処理作業が煩雑である。又、認識辞書には、標準文字パターンに加えて、前記学習文字パターンが重複して登録されている為、認識辞書に基づき帳票の認識を行う際、認識率の判定等両者の優先度の位置付けが複雑な処理となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、文字認識装置に関し、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる文字認識装置を提供することを目的とする。さらに、認識辞書に標準文字パターンと学習文字パターン(基準パターン)とを重複登録することなく、基準パターンだけをベースに自動的に認識候補のバリエーションの幅を持たせることにより、読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できると共に、文字の認識処理を簡素にできる文字認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、記録媒体上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記文字のイメージデータを記憶する第一の画像メモリと、前記第一の画像メモリから文字の切出しを行う文字切出し部と、前記切出した文字のイメージデータを記憶する第二の画像メモリと、認識対象となる文字の基準パターンが格納された認識辞書と、前記文字切出し部からの出力文字データと前記認識辞書内の基準パターンとを比較して前記出力文字データの認識を行う認識部とを有する文字認識部及び、キーボードと、制御部と、出力装置としての表示手段とを有するホストコンピュータ部を備えた文字認識装置において、
予め、前記基準パターンを生成する為の記録媒体の基準サンプルにおける文字のイメージデータを前記入力部により入力し、前記文字切出し部において、前記第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、前記第二の画像メモリに記憶されている前記切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、前記基準パターンとして前記認識辞書に登録する基準パターン登録部をさらに備えた、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の文字認識装置において、前記オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の文字認識装置において、前記基準パターンは、前記オペレータが選択し対応付けた文字及び、前記対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて生成された認識候補より構成される、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、積載された記録媒体を順次一枚ずつ給紙する給紙部と、給紙された記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される記録媒体上の文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記入力された文字のイメージデータの認識処理を行う請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の文字認識装置と、を備える記録媒体検査装置を特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、記録媒体上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する入力手段と、前記文字のイメージデータを記憶する第一の画像メモリと、前記第一の画像メモリから文字の切出しを行う文字切出し部と、前記切出した文字のイメージデータを記憶する第二の画像メモリと、認識対象となる文字の基準パターンが格納された認識辞書と、前記文字切出し部からの出力文字データと前記認識辞書内の基準パターンとを比較して前記出力文字データの認識を行う認識部とを有する文字認識部及び、キーボードと、制御部と、出力装置としての表示手段とを有するホストコンピュータ部を備えた文字認識装置の文字認識方法であって、
予め、前記基準パターンを生成する為の基準サンプルにおける文字のイメージデータを前記入力部により入力し、前記文字切出し部において、前記第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、前記第二の画像メモリに記憶されている前記切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、前記基準パターンとして前記認識辞書に登録する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、文字認識装置に関し、予め、基準パターンを生成する為の記録媒体の基準サンプルにおける文字のイメージデータを入力手段により入力し、文字切出し部において、第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、第二の画像メモリに記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書に登録する基準パターン登録部をさらに備えた為、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、前記オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である為、一文字単位で文字の切出しを行う場合に比べて作業効率が良い。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、前記基準パターンは、オペレータが選択し対応付けた文字及び、対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて生成された認識候補により一つのファイル内に構成され、認識辞書に標準文字パターンと学習文字パターン(基準パターン)とを重複登録することがない為、読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できると共に、文字の認識処理を簡素にできる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、読取り対象となる記録媒体上の文字として認識率の低いフォントの字体が発生した場合であっても、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる為、記録媒体検査装置として、搬送された記録媒体を効率良く検査できる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、文字認識装置の文字認識方法に関し、予め、基準パターンを生成する為の基準サンプルにおける文字のイメージデータを入力手段により入力し、文字切出し部において、第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、第二の画像メモリに記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書に登録することにより、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例にかかる文字認識装置のブロック図である。
図2】本発明の実施例にかかる文字認識装置のブロック図である。
図3】本発明の実施例にかかる記録媒体検査装置の概略全体構成図である。
図4】同検査装置の操作パネルの拡大図である。
図5】同検査装置の画面状態図である。
図6】同検査装置の画面状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[文字認識装置の概略構成]
以下、本発明の文字認識装置1の実施例について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の実施例にかかる文字認識装置1のブロック図である。図1は、認識辞書16内の基準パターンを生成する際の文字認識装置1のブロック図を示しており、図2は、記録媒体上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータと前記認識辞書内の基準パターンとを比較して文字のイメージデータの認識を行う際の文字認識装置1のブロック図を示している。尚、図1図2間において、共通の符号は同じ部位を示している。又、それぞれの説明に不要な部位については図示を省略している。
【0021】
本発明の文字認識装置1は、大きくは、入力手段11、文字認識部10及びホストコンピュータ部20とから構成される。
【0022】
入力手段11は、記録媒体P上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する。文字認識部10は、入力手段11から入力された記録媒体P上の文字のイメージデータを記憶する第一の画像メモリ12と、第一の画像メモリから文字の切出しを行う文字切出し部13と、切出した文字のイメージデータを記憶する第二の画像メモリ14と、認識対象となる文字の基準パターンが格納された認識辞書16と、文字切出し部13からの出力文字データと認識辞書16内の基準パターンとを比較して出力文字データの認識を行う認識部17と、第二の画像メモリ14に記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書16に登録する基準パターン登録部15とを備える。ホストコンピュータ部20は、キーボード23と、制御部21と、出力装置としての表示手段22とを備えて構成されている。
【0023】
ホストコンピュータ部20の制御部21は、後述するように、文字認識部10における各部(12、13、14、15、16)の処理を制御している。又、ホストコンピュータ部20の制御部21は、入力手段11と送受信可能に接続されており(不図示)、入力手段11の処理を制御している。
【0024】
[文字認識装置の基本動作]
次に、本発明の文字認識装置の基本動作について、以下(1)、(2)2つの場合に分けて説明する。
【0025】
(1)認識辞書内の基準パターンを生成する際の基本動作
文字認識装置は、対象となる記録媒体上の文字のイメージデータの認識を行う前に、事前準備として、予め、記録媒体の基準サンプルにより基準パターンを生成する。尚、基準サンプルは、オペレータは認識対象となる(複数の)記録媒体の中から少なくとも一枚を任意に選択する。
【0026】
図1において、先ず、入力手段11としてのCCDカメラは、記録媒体Pの基準サンプルの所定部位を撮像し、記録媒体P上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する。そして、前記文字のイメージデータを第一の画像メモリ12に記憶する。尚、入力手段11はCCDカメラに限られることなく、イメージスキャナ等を用いることもできる。
【0027】
次に、文字切出し部13は第一の画像メモリ12からオペレータの指定範囲に基づき、文字のイメージデータから1文字毎に文字の切出しを行う。そして、前記切出した文字のイメージデータを第二の画像メモリ14に記憶する。尚、オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である。又、文字の切出しは、第一の画像メモリ12に保存されている画像上の文字と文字との間に1ドット以上の間隔があれば、別の文字と見做して文字の切出しを行う。
【0028】
次に、基準パターン登録部15は、第二の画像メモリ14に記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書16に登録する。さらに、基準パターンは、オペレータが選択し対応付けた文字及び、基準パターン登録部15により対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて生成された認識候補より構成される。
【0029】
基準パターン登録部15により、第二の画像メモリ14に記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付けする際には、切出した文字はホストコンピュータ20に送られ、表示手段22(ディスプレイ)上に表示され、オペレータは表示手段22を見ながらキーボード23を操作することにより、制御部21を介して、切出した文字を意図する適正な文字に各々対応付けすることができる。
【0030】
以上によれば、文字認識装置に関し、予め、基準パターンを生成する為の記録媒体の基準サンプルにおける文字のイメージデータを入力手段により入力し、文字切出し部において、第一の画像メモリからオペレータの指定範囲に基づき文字の切出しを行い、第二の画像メモリに記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書に登録する基準パターン登録部をさらに備えた為、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる。
【0031】
(2)記録媒体上の文字のイメージデータの認識を行う際の基本動作
前述のようにして、記録媒体Pの基準サンプルにより基準パターンを生成し、認識辞書16に登録した後、文字認識装置は、対象となる記録媒体上の文字のイメージデータの認識を行う。
【0032】
図2において、先ず、入力手段11としてのCCDカメラは、記録媒体Pの基準サンプルの所定部位を撮像し、記録媒体P上の数字、アルファベット及び記号を含む文字のイメージデータを入力する。そして、前記文字のイメージデータを第一の画像メモリ12に記憶する。
【0033】
次に、文字切出し部13は第一の画像メモリ12からオペレータの指定範囲に基づき、文字のイメージデータから1文字毎に文字の切出しを行う。そして、認識部17は、文字切出し部13からの出力文字データと認識辞書16内の基準パターンとを比較して前記出力文字データの認識処理を行う。ここで行う文字データの認識処理としては、例えば、パターンマッチング法により行われる。すなわち、記録媒体のイメージから切出した文字パターンと基準パターンとを照合して類似度値を演算して求め、オペレータが予め設定した類似度の基準値との対比によりOK判定、NG判定を決定するものである。なお、ここでの文字認識処理は、パターンマッチング法に限定されず、他の方法を用いてもよい。尚、文字認識処理の結果は、ホストコンピュータ20における表示手段22(ディスプレイ)上に表示される。
【0034】
[記録媒体検査装置の概略構成]
次に、本発明の文字認識装置1を採用した記録媒体検査装置100の実施例について、図面を参照して説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施例にかかる記録媒体検査装置100の概略全体構成である。図3に示すように、記録媒体検査装置100は、積載された記録媒体Pを順次一枚ずつ給紙する給紙部2と、給紙された記録媒体Pを搬送する搬送部3と、前記搬送部3により搬送される記録媒体P上の文字のイメージデータを入力する入力手段11と、前記入力した文字のイメージデータの認識処理を行う文字認識装置1と、文字認識処理後の記録媒体Pを一枚ずつ受取り積載する紙受け部5と、を備えている。尚、給紙部2、搬送部3その他記録媒体Pを搬送する為の駆動機構については、制御用電気基板7により制御される。
【0036】
さらに具体的に説明すると、図3に示す記録媒体検査装置100は、郵便物の一例であるはがき、封筒その他各種帳票等の記録媒体における郵便番号、シーケンス番号等を対象とした文字の認識装置に関するものである。図中、Pは積載された記録媒体を指す。
【0037】
先ず、本実施例の検査装置100の給紙部2について説明する。図示したものは、積載ガイド板202で位置決めされ、給紙ベルト201の上に載置された多数の記録媒体Pに対して給紙ベルト201の送り出し作用と積載ガイド板202の捌き作用とで最下層のもののみ1枚ずつ順次に給紙する公知の給紙機構である。
【0038】
次に、給紙された後は搬送を継続するために搬送ベルトで搬送部3を構成する。電磁クラッチ(不図示)を介して搬送機構を接続することで、給紙の開始、継続、中断、あるいは停止を手動または自動で制御できる構成になっている。尚、給紙部2から搬送ベルト3への記録媒体Pの受け渡しは、センサ301により検出される。センサ301として、例えば、記録媒体Pの搬送経路を挟んで上方に発光部が配置され、下方に前記発光部に対向するように受光部が配置されている。尚、透過式光センサに替えて、反射センサを用いてもよい。
【0039】
一方、ホストコンピュータ部20(PC)に接続された文字のイメージデータを入力する入力手段11としてのCCDカメラは、撮像位置4に配置され、搬送ベルト3で搬送後の記録媒体Pを透明ガラス板403を透過して所定部位を撮像する。尚、CCDカメラ11は、ミラー401を介して記録媒体Pの所定部位を撮像できるように構成されている。又、CCDカメラ11の撮像トリガ-は、センサ-302が記録媒体Pを検出した検出信号に関連して出力される。即ち、先行して給紙された記録媒体Pの先端部がセンサ-302を通過した時、あるいは幾分か時間的または距離的調整を施してから制御用電気基板7より出力され、その瞬間に設定された速度でシャッタ-がきられて画像デ-タ(文字のイメージデータ)が文字認識部10としての文字認識基板に送信され、前述の文字認識処理が行われる。センサ302として、例えば、記録媒体Pの搬送経路を挟んで上方に発光部が配置され、下方に前記発光部に対向するように受光部が配置されている。尚、透過式光センサに替えて、反射センサを用いてもよい。
【0040】
尚、図3に示すように、本実施例の検査装置100においては、文字認識部10は文字認識基板としてホストコンピュータ部20から独立するように構成したが、文字認識基板10の機能の全部又は一部をソフトウェアによって実現し、ホストコンピュータ部20に含めて一体的に構成してもよい。
【0041】
次に、紙受け部5について説明する。紙受け機構としての紙受け部5は、撮像位置4で撮像後、排出される記録媒体Pを一枚ずつ受取り、順次積載していく。尚、撮像位置4から紙受け部5への記録媒体の受け渡しは、センサ303により検出される。センサ303として、例えば、記録媒体Pの搬送経路を挟んで上方に発光部が配置され、下方に前記発光部に対向するように受光部が配置されている。尚、透過式光センサに替えて、反射センサを用いてもよい。
【0042】
[操作パネル]
図4は、記録媒体検査装置100の操作パネル50全体の拡大図である。操作パネル50は表示部(上部の表示部51、下部の表示部55)と各種スイッチ(スタートスイッチ52、テストスイッチ53、ストップスイッチ54、プラススイッチ56、マイナススイッチ57、クリアスイッチ511)が設けられている。
【0043】
スタートスイッチ52の押下により、ホストコンピュータ部20側の検査開始後、記録媒体検査装置100の運転を開始し、記録媒体Pの一連の文字認識処理を行う。又、ストップスイッチ54の押下により、運転を停止する。尚、運転開始後、表示部51に文字認識の処理枚数が表示され、クリアスイッチ511の押下により処理枚数の表示がリセットされる。
【0044】
テストスイッチ53の押下により、記録媒体検査装置100の給紙部2に積載されている記録媒体Pからテスト的に一枚のみ給紙され、記録媒体Pの基準サンプルによる基準パターンの生成を行う。
【0045】
プラススイッチ56、マイナススイッチ57は、記録媒体検査装置100における記録媒体Pの搬送速度を増減するスイッチである。尚、現在の設定速度は表示部55に5段階で表示される。
【0046】
JOGスイッチ58の押下により、前記現在の設定速度に拘わらず、JOGスイッチ58を押下している間、記録媒体Pを低速で微動送りする。
【0047】
[記録媒体検査装置の基本動作]
次に、記録媒体検査装置100の基本動作について、図面を参照して説明する。
【0048】
(1)認識辞書内の基準パターンを生成する際の基本動作
記録媒体検査装置100は、対象となる記録媒体P上の文字のイメージデータの認識を行う前に、事前準備として、予め、記録媒体の基準サンプルにより基準パターンを生成する。尚、基準サンプルは、オペレータは認識対象となる(複数の)記録媒体Pの中から少なくとも一枚を任意に選択する。そして、基準サンプルを給紙部2における給紙ベルト201の上に、一枚又は複数の記録媒体Pの最下位に載置する。
【0049】
次に、図4に示す、テストスイッチ53の押下により、記録媒体検査装置100の給紙部2に積載されている記録媒体Pからテスト的に一枚のみ給紙され、撮像位置4に搬送されて、CCDカメラ11により記録媒体Pの所定部位が撮像される。そして、図3において、撮像された記録媒体Pの文字のイメージデータは、ホストコンピュータ部20における表示手段22(ディスプレイ)上に表示される。図5(a)は、その際の表示手段22の画面状態図である。
【0050】
次に、表示された記録媒体Pの文字のイメージデータ221に対して、オペレータにより文字の切出しを行う範囲を指定する。文字の切出し範囲の指定は、例えば、図5(a)に示すように、キーボー223の操作にて指定範囲222を動かして設定してもよい。前記のように、オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である。
【0051】
以上によれば、前記オペレータの指定範囲は、複数の文字による文字列を対象とする範囲を一括して指定可能である為、一文字単位で文字の切出しを行う場合に比べて作業効率が良い。
【0052】
次に、文字切出し部13はオペレータの指定範囲に基づき、文字のイメージデータから1文字毎に文字の切出しを行う。そして、図5(b)に示すように切出した文字のイメージデータを切出し文字表示部223に1文字単位で循環表示する。尚、循環表示の切替は、送りスイッチ225と戻しスイッチ224の押下により行う。
【0053】
次に、基準パターン登録部15は、第二の画像メモリ14に記憶されている切出した文字をオペレータの選択により適正な文字に各々対応付け、基準パターンとして認識辞書16に登録する。具体的には、切出し文字表示部223に表示されている切出した文字のイメージデータを、オペレータの選択により、1文字単位で適正な文字226に各々対応付けることにより学習させる。例えば、図5(b)に示すように、切出し文字表示部223に表示されている文字のイメージデータ“8”を、適正な文字226における“8”に対応付ける為に、登録キー2281を押下すると、両者の対応付けが完了し、登録表示部2271に表示されると共に、基準パターンとして認識辞書16に登録される。尚、登録間違い等があった場合には、削除キー229により登録をクリアすることができる。
【0054】
さらに、基準パターン登録部15は、オペレータが選択し対応付けた文字及び、対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて複数の認識候補を生成する。以上のように、撮像された記録媒体Pの文字のイメージデータから認識辞書内に基準パターンを生成する。
【0055】
以上によれば、前記基準パターンは、オペレータが選択し対応付けた文字及び、対応付けた文字を基に自動的に文字の太さ、文字のサイズ、文字の傾斜角度などのバリエーションの幅を持たせて生成された認識候補により一つのファイル内に構成され、認識辞書に標準文字パターンと学習文字パターン(基準パターン)とを重複登録することがない為、読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できると共に、文字の認識処理を簡素にできる。
【0056】
(2)記録媒体上の文字のイメージデータの認識を行う際の基本動作
前述のようにして、記録媒体Pの基準サンプルにより基準パターンを生成し、認識辞書16に登録した後、文字認識装置は、対象となる記録媒体上の文字のイメージデータの認識を行う。
【0057】
図4に示す、スタートスイッチ52の押下により、記録媒体検査装置100の運転を開始し、記録媒体Pの一連の文字認識処理を行う。尚、運転開始後、表示部51に文字認識の処理枚数が表示される。
【0058】
先ず、スタートスイッチ52の押下により、記録媒体検査装置100の給紙部2に積載されている記録媒体Pから一枚ずつ給紙され、撮像位置4に搬送されて、CCDカメラ11により記録媒体Pの所定部位が撮像される。
【0059】
次に、文字切出し部13は、撮像された記録媒体Pの文字のイメージデータから、オペレータの指定範囲に基づき、文字のイメージデータから1文字毎に文字の切出しを行う。そして、認識部17は、文字切出し部13からの出力文字データと認識辞書16内の基準パターンとを比較して出力文字データの認識処理を行う。
【0060】
出力文字データの認識処理の結果については、ホストコンピュータ部20における表示手段22(ディスプレイ)上に表示される。図6は、その際の表示手段22の画面状態図である。
【0061】
図6に示すように、表示手段22の画面上には、予めオペレータが入力した適正値としての”期待値欄”250と、認識処理の結果としての“読取値欄”251と、”期待値欄”250と“読取値欄”251とを比較した“判定欄”252が表示されている。実施例では、”期待値欄”250における「071978」と“読取値欄”251 における「071970」が照合され、不一致の為、“判定欄”351が“NG”と表示されている。これにより、記録媒体検査装置100を用いれば、例えば、シーケンス番号の通し番号が付与された記録媒体において、抜け、重複又は誤読を確認することができる。その他の両データについては一致している為、“判定欄”252が“OK”と表示されている。尚、図5図6は別の実施例を示しており、図5に示す文字のイメージデータ221に基づく基準パターンと、図6に示す文字の認識処理時における基準パターンとの関連性はない。
【0062】
以上によれば、読取り対象となる記録媒体上の文字として認識率の低いフォントの字体が発生した場合であっても、オペレータ自身が簡単な操作で、使用環境に応じた文字パターンを認識辞書に容易に登録でき、登録した認識辞書を用いて読取り対象となる記録媒体上の文字を精度良く認識できる為、記録媒体検査装置として、搬送された記録媒体を効率良く検査できる。
【0063】
本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0064】
F 搬送方向
P 記録媒体
1 文字認識装置
2 給紙部
3 搬送部
4 撮像位置
5 紙受け部
7 制御基板
10 文字認識部
11 入力手段
12 第一の画像メモリ
13 文字切出し部
14 第二の画像メモリ
15 基準パターン登録部
16 認識辞書
17 認識部
20 ホストコンピュータ部
21 表示部
22 キーボード
50 操作パネル
51 表示部
52 スタートスイッチ
53 テストスイッチ
54 ストップスイッチ
55 表示部
56 プラススイッチ
57 マイナススイッチ
58 JOGスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6