(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074550
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/10 20200101AFI20230523BHJP
H05B 45/14 20200101ALI20230523BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20230523BHJP
【FI】
H05B47/10
H05B45/14
H05B45/345
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187506
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
(72)【発明者】
【氏名】山岸 香苗
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA32
3K273EA06
3K273EA24
3K273EA35
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA27
3K273FA33
3K273GA03
3K273GA12
(57)【要約】
【課題】灯具側に点消灯用スイッチを設ける構造では、灯具側のLEDを消灯させている状態でもある程度の電圧を印加して、その電圧はLEDのアノードに印加され続けることになる。このように、LEDのアノード(もしくはカソード)に電圧が印加され続けると、LEDの内部でマイグレーション現象が進行してLEDの寿命が短くなるとい不具合が生じる。
【解決手段】アノードへの配線に、このアノードへの配線の電圧が点灯電圧の場合にオンになり、消灯電圧になるとオフになるラインブレイク回路を設け、消灯時にLEDに電圧が印加されないようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源を備えた点灯用電源と、内部にLEDを備え、この点灯用電源に接続されて点灯用電源から供給される直流電力によってLEDを点灯させる灯具とからなり、灯具内に、LEDのアノード(陽極)とカソード(陰極)とに接続される配線ほかに第3の配線を設け、この第3の配線とアノードに接続される配線との間に点消灯検出用抵抗と、この点消灯検出抵抗に対して並列に接続される点消灯用スイッチとを設け、点消灯用スイッチがオン/オフすることによる上記第3の配線の電圧の変化から点灯スイッチのオン/オフ状態を検知して上記アノードへの配線の電圧を、上記LEDの順方向電圧以上の点灯電圧と、順方向電圧未満の消灯電圧とに切り替える点消灯機能を上記点灯用電源に付加したことを特徴とするLED照明装置において、上記アノードへの配線に、このアノードへの配線の電圧が上記点灯電圧の場合にオンになり、消灯電圧になるとオフになるラインブレイク回路を設けたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
上記ラインブレイク回路は、3本の端子を有するスイッチング素子であって、第2端子の電圧が所定の電圧である場合にオン状態となって第1端子から第3端子へと電流が流れることを許容するものを有し、第1端子と第2端子との間に架設された抵抗と、第2端子に接続され、第2端子の電圧が所定の電圧以上になることを防止するツェナーダイオードとを備えたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯用電源と、LEDを内蔵し、この点灯用電源に接続される灯具とからなり、灯具側に点消灯用スイッチが設けられたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の交流電力によってLEDを点灯させるLED照明装置では、外部から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、その直流電力を所定の電圧に変換してLEDに供給するように構成されている。
【0003】
このLEDに供給される直流電力の電圧は、LEDに流れる電流値が一定の値になるように定電流制御が行われている。すなわち、LEDに流れる電流値が低下すると電流値を一定に保持するため、LEDに印加する電圧を上昇させるように制御される。
【0004】
一方、LEDを消灯するためには、外部の商用電源からの交流電力の供給ラインに点消灯用スイッチを設けて、この点消灯用スイッチをオフにすることによって外部からの交流電力の供給自体を停止させる方式のほかに、LEDが内蔵されている灯具に点消灯用スイッチを設けて、この灯具側の点消灯用スイッチをオフにすることによってLEDを消灯させるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この灯具に点消灯用スイッチを設けるものでは、灯具内に、点消灯用スイッチに対して並列に抵抗を内蔵させておき、点灯用電源内にこの抵抗に対して直列に接続されて分圧抵抗となるものを設けておく。点消灯用スイッチのオンによって灯具側の抵抗が短絡されると分圧が変化するので、点灯用電源側で点消灯用スイッチがオン/オフされたことを検知することができる。
【0006】
ただし、点消灯用スイッチがオフ、すなわち灯具のLEDを消灯する際に灯具に供給される電力を完全に停止して電圧をゼロにすると、点消灯用スイッチがオンにされても分圧が変化しないので、点灯用電源側で点消灯用スイッチがオンされたことを検知できない。そのため、点消灯用スイッチがオフにされても、灯具側にはLEDが発光しない程度の電圧(順方向電圧Vf以下の電圧)を印加し続けておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-125961号公報(
図1、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、灯具側に点消灯用スイッチを設ける構造では、灯具側のLEDを消灯させている状態でもある程度の電圧を印加する必要があるので、その電圧はLEDのアノードに印加され続けることになる。このように、LEDのアノード(もしくはカソード)に電圧が印加され続けると、LEDの内部でマイグレーション現象が進行してLEDの寿命が短くなるとい不具合が生じる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、灯具側に設けた点消灯用スイッチをオフにした状態ではLEDに電圧が印加されず、従って消灯時におけるマイグレーションの進行を抑制してLEDの寿命が短くなることを防止することのできるLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、スイッチング電源を備えた点灯用電源と、内部にLEDを備え、この点灯用電源に接続されて点灯用電源から供給される直流電力によってLEDを点灯させる灯具とからなり、灯具内に、LEDのアノード(陽極)とカソード(陰極)とに接続される配線ほかに第3の配線を設け、この第3の配線とアノードに接続される配線との間に点消灯検出用抵抗と、この点消灯検出抵抗に対して並列に接続される点消灯用スイッチとを設け、点消灯用スイッチがオン/オフすることによる上記第3の配線の電圧の変化から点灯スイッチのオン/オフ状態を検知して上記アノードへの配線の電圧を、上記LEDの順方向電圧以上の点灯電圧と、順方向電圧未満の消灯電圧とに切り替える点消灯機能を上記点灯用電源に付加したことを特徴とするLED照明装置において、上記アノードへの配線に、このアノードへの配線の電圧が上記点灯電圧の場合にオンになり、消灯電圧になるとオフになるラインブレイク回路を設けたことを特徴とする。
【0011】
点消灯用スイッチがオフになっても灯具にはある程度の電圧を印加し続けないと点消灯用スイッチがオンになったことを検知できない。そこで、点消灯用スイッチがオフになってアノードへの配線の電圧が点灯電圧から消灯電圧に下がると、上記ラインブレイク回路によってアノードに消灯電圧が印加されないようにした。
【0012】
なお、具体的には、上記ラインブレイク回路は、3本の端子を有するスイッチング素子であって、第2端子の電圧が所定の電圧である場合にオン状態となって第1端子から第3端子へと電流が流れることを許容するものを有し、第1端子と第2端子との間に架設された抵抗と、第2端子に接続され、第2端子の電圧が所定の電圧以上になることを防止するツェナーダイオードとを備えたもので構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、灯具側に点消火用スイッチを設けた場合であっても消灯時に灯具内のLEDに電圧が印加されないので、LED内でのマイグレーションの発生を防止することによって、LEDの寿命が短縮されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は点灯用電源であり、この点灯用電源1には複数のLED31が内蔵された灯具3が接続されている。
【0016】
点灯用電源1は外部の商用電源2から交流電力が供給され、その供給された交流電力を次段のブロック11でノイズ成分を除去し、かつ整流平滑する。次にその整流された電力をAC/DCコンバータ12で所定の電圧の直流電力に変換して出力するが、その直流電力の電圧は出力電圧検知回路14によって検知され、出力制御回路15を介してフィードバック制御されている。LED31の明るさは電流に比例するので、一般的に定電流制御される。そのためLED31に流れる電流をLED電流検知回路13で検知して、その検知された電流値が一定になるようにAC/DCコンバータ12の出力電圧が制御される。
【0017】
なお、灯具3内には後述する抵抗33が内蔵されており、その抵抗33に対して直列に接続される分圧抵抗(図示せず)が内蔵されたSW検知回路16が設けられている。このSW検知回路16は上記抵抗33に対して並列に接続された点消灯用スイッチ32のオンオフ状態を検知する。
【0018】
この点灯用電源1と灯具3とは3本のリード線(A,B,C)からなるハーネスを介して接続されている。LED31を点灯させるための電力はリード線Aとリード線Bとを介して灯具3に供給される。リード線AはAC/DCコンバータ12のプラス側に接続されており、リード線BはLED電流検知回路13に接続されている。そして、第3のリード線CはSW検知回路16に接続されている。
【0019】
上記点消灯用スイッチ32はリード線Aとリード線Cとの間に設けられており、上記抵抗33はこの点消灯用スイッチ32と並列になるように、すなわちおなじくリード線Aとリード線Cとの間に接続されている。従って、点消灯用スイッチ32をオンにすると抵抗33が短絡されて、SW検知回路16内の分圧が上昇し、逆に点消灯用スイッチ32をオフにすると、SW検知回路16内の分圧が下降する。この分圧の上昇および下降によって点消灯用スイッチ32のオンオフ状態を検知することができる。なお、点消灯用スイッチ32がオンになるとAC/DCコンバータ12はLED31の発光に必要な電圧(例えば30ボルト程度)の直流電力を出力する。そして、点消灯用スイッチ32がオフになるとAC/DCコンバータ12の出力電圧を0ボルトまで低下させるのではなく、LED31が点灯しない電圧(例えば15ボルト程度)まで低下させる。
【0020】
灯具3内には合計20個のLED31を配置した。そして、上記点消灯用スイッチ32とLED31との間にラインブレイク回路4を設けた。このラインブレイク回路4内は3本の端子51,52,53を有するスイッチング素子5であって、第2端子52の電圧が所定の電圧である場合にオン状態となって第1端子51から第3端子53へと電流が流れることを許容するものを有し、第1端子51と第2端子52との間に架設された抵抗41と、第2端子52に接続され、第2端子52の電圧が所定の電圧以上になることを防止するツェナーダイオード42とから構成した。このスイッチング素子5は上記動作条件を満たすものであればトランジスタやリレーなどでもよいが、消費電力を低減させるという観点からFETが望ましい。
【0021】
上記構成によれば、点消灯用スイッチ32をオンにすると、リード線Aには例えば30ボルトの電圧が印加されるので、スイッチング素子5がオン状態となり、各LED31は点灯する。次に、点消灯用スイッチ32をオフにすると、リード線Aに印加される電圧が例えば15ボルト程度に低下するので、スイッチング素子5はオフ状態になり、LED31のアノードには電圧がかからない状態になり、LED31でのマイグレーションの発生を防止することができる。ただし、リード線Aの電圧は上述のように例えば15ボルト程度が印加されているので、次に点消灯用スイッチ32がオンになると、そのことをSW検知回路16が検知することができる。
【0022】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
1 点灯用電源
2 商用電源
3 灯具
4 ラインブレイク回路
5 スイッチング素子
32 点消灯用スイッチ
42 ツェナーダイオード