(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074551
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20230523BHJP
B01D 33/00 20060101ALI20230523BHJP
B01D 33/29 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
E02B5/08 102B
B01D33/00 D
B01D33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187515
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】野村 章夫
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA10
4D116BB35
4D116BC03
4D116BC05
4D116DD04
4D116EE02
4D116EE11
4D116FF11B
4D116QB03
4D116QB11
4D116QB22
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR14
4D116UU20
4D116VV10
(57)【要約】
【課題】ガイドレールに沿って転動するローラを備えるキャリングチェーンにおいて、ローラの保守点検などの作業が容易な除塵装置を提供すること。
【解決手段】本発明の除塵装置1は、それぞれが無端状であり鉛直方向Vに沿って配置される一対のキャリングチェーン11と、一対のキャリングチェーン11の間に設けられる、水流WFによって運ばれてくる塵芥を捕捉するスクリーン17と、キャリングチェーン11がその上端側において巻き掛けられるスプロケットホイール13と、一対のキャリングチェーン11のそれぞれにおける幅方向Wの外側に回転可能に支持される複数の第2ローラ27と、一対のキャリングチェーン11の下端側において下向きに突をなす、第2ローラ27が転動する第2ガイド15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが無端状であり鉛直方向に沿って配置される一対のキャリングチェーンと、
一対の前記キャリングチェーンの間に設けられる、水流によって運ばれてくる異物を捕捉するスクリーンと、
前記キャリングチェーンがその上端側において巻き掛けられるスプロケットホイールと、
一対の前記キャリングチェーンのそれぞれにおける幅方向の外側に回転可能に支持される複数の第2ローラと、
一対の前記キャリングチェーンの下端側において下向きに突をなす、前記第2ローラが転動する第2ガイドと、
を備えることを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
一対の前記キャリングチェーンのそれぞれは、
幅方向Wに並行に配置され、その長手方向で連結される一対のリンクプレートと、
一対の前記リンクプレートの両端において、隣接する一対の前記リンクプレートとの接続を担う一対の連結ピンと、
前記連結ピンに回転可能に支持される第1ローラと、を備え、
前記第1ローラは、前記第2ローラよりも幅方向の内側に配置され、下向きに突をなす第1ガイドを転動する、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
鉛直方向を基準にして、前記第2ガイドにおける下向きの第2走行面が前記第1ガイドの上向きの第1走行面より上方に設けられ、
前記第2ローラは、前記第2走行面を走行し、
前記第1ローラは、前記第1走行面を走行する、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記第2ローラは、
一対の前記連結ピンの間において、単数または複数が設けられる、
請求項2または請求項3に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記第2ローラは、
前記リンクプレートに前記スクリーンを固定する固定ピンに回転可能に設けられる、
請求項2または請求項3に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記第2ローラは、
一対の前記リンクプレートの両端において、隣接する一対の前記リンクプレートとの接続を担う一対の前記連結ピンであって、前記連結ピンに回転可能に支持される前記第1ローラと同軸上に回転可能に設けられる、
請求項2または請求項3に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば海や河川より取水するときに、水中の塵芥等の異物を除去する除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に火力発電所などの発電プラントにおいて、例えば海から冷却水として海水を取り込む取水路が配置されている。しかし、取水した水の中には塵芥や水生生物が含まれていることがあり、そのまま使用することができないため、取水路に水中の塵芥や水生生物などを捕捉する働きをする除塵装置が設置されている。
除塵装置は、取水路の幅方向を横切るように配置されており、取水量の多い発電所では、塵芥などを捕捉するためのスクリーンを連続的に周回移動させて水上に引き上げる連続式のトラベリングスクリーンが利用されている。
この除塵装置は、駆動装置から上下および左右のスプロケットホイールを介して、左右一対の無端状のキャリングチェーンを周回移動させており、このキャリングチェーンに、網枠が接合されたスクリーンが取水路を横切るように設けられている。上部のスプロケットホイールは地上にある上部回転軸に、下部のスプロケットホイールは水路の底にある下部回転軸に固定されている。これら左右一対の上下部のスプロケットホイールにおいて、取水路を挟み込むようにして左右のスプロケットホイールが設置されており、左右のスプロケットホイールの間に水路を横切るように上部回転軸と下部回転軸が備えられている。
【0003】
以上の除塵装置が設置される領域が狭い場合、下部回転軸における回転半径または屈曲半径を抑える必要がある。この下部回転軸における回転半径を抑えることができるキャリングチェーンが特許文献1に開示されている。
特許文献1のキャリングチェーンは、各リンクプレートの長手方向の両端に端部ローラを設けるのに加えて、二つの端部ローラの間に中間ローラを設ける。これらローラおよび中間ローラは、並行して配置される一対のリンクブレートの間に配置される。これにより、特許文献1によれば、端部ローラ、中間ローラ、端部ローラが順次、ガイドレールの溝部の外周側内壁面、内周側内壁面、外周側内壁面に接する状態で転動するため、キャリングチェーンは、屈曲半径が小さいガイドレールにおいてもスムーズにターンできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のキャリングチェーンにおいて、端部ローラおよび中間ローラは、並行して配置されかつ連結される一対のリンクブレートの間に配置される。端部ローラおよび中間ローラの保守点検、または、修理をする場合には、一対のリンクプレートの連結を解く必要がある。
【0006】
以上より、本発明は、ガイドレールに沿って転動するローラを備えるキャリングチェーンにおいて、ローラの保守点検などの作業が容易な除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の除塵装置は、それぞれが無端状であり鉛直方向に沿って配置される一対のキャリングチェーンと、一対のキャリングチェーンの間に設けられる、水流によって運ばれてくる異物を捕捉するスクリーンと、キャリングチェーンがその上端側において巻き掛けられるスプロケットホイールと、一対のキャリングチェーンのそれぞれにおける幅方向の外側に回転可能に支持される複数の第2ローラと、一対のキャリングチェーンの下端側において下向きに突をなす、第2ローラが転動する第2ガイドと、を備える。
【0008】
本発明の除塵装置において、好ましくは、一対のキャリングチェーンのそれぞれは、幅方向Wに並行に配置され、その長手方向で連結される一対のリンクプレートと、一対のリンクプレートの両端において、隣接する一対のリンクプレートとの接続を担う一対の連結ピンと、連結ピンに回転可能に支持される第1ローラと、を備え、第1ローラは、第2ローラよりも幅方向Wの内側に配置され、下向きに突をなす第1ガイドを転動する。
【0009】
本発明の除塵装置において、好ましくは、鉛直方向を基準にして、第2ガイドにおける下向きの第2走行面が第1ガイドの上向きの第1走行面より上方に設けられ、第2ローラは、第2走行面を走行し、第1ローラは、第1走行面を走行する。
【0010】
本発明の除塵装置において、第2ローラは、好ましくは、一対の連結ピンの間において、単数または複数が設けられる。
【0011】
本発明の除塵装置において、第2ローラは、好ましくは、リンクプレートにスクリーンを固定する固定ピンに回転可能に設けられる。
【0012】
本発明の除塵装置において、第2ローラは、好ましくは、一対のリンクプレートの両端において、隣接する一対のリンクプレートとの接続を担う一対の連結ピンであって、連結ピンに回転可能に支持される第1ローラと同軸上に回転可能に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の除塵装置によれば、第2ローラがキャリングチェーンよりも幅方向Wの外側に設けられているので、ガイドレールに沿って転動するローラを備えるキャリングチェーンにおいて、ローラの保守点検などの作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る除塵装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る除塵装置を構成するキャリングチェーンを部分的に示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る除塵装置を構成するキャリングチェーンを部分的に示す正面図である。
【
図4】本実施形態に係る除塵部の第1ガイドおよび第2ガイドの近傍を
図2の矢印Aの向きから示す図である。
【
図5】本実施形態に係るスクリーン構造体の下端側における周回移動を示す側面図である。
【
図6】本実施形態に係るスクリーン構造体の変形例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るスクリーン構造体の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る除塵装置1は、スクリーン構造体20を連続的に周回移動させて水上に引き上げる連続式のトラベリングスクリーンが適用され、例えば海や河川より取水するときに、水中の塵芥等の異物を除去する。除塵装置1は、キャリングチェーン11の上端側はスプロケットホイール13で周回移動ができるように支持されている。しかし、キャリングチェーン11の下端側はキャリングチェーン11に設けられる第1ローラ25および第2ローラ27がそれぞれ第1ガイド14および第2ガイド15に案内されながら周回移動ができるように支持されている。この下端側のキャリングチェーン11の後述する支持構造により、除塵装置1の保守点検などの作業が容易とされる。以下、除塵装置1について、構成、動作および効果の順に説明する。
【0016】
[除塵装置1の全体構成:
図1]
除塵装置1は、
図1に示すように、例えば海、河川などの水路WWに設けられ、水中を運ばれてくる塵芥などの異物を捕捉するスクリーン構造体20により除塵を担う除塵部10と、除塵部10の動作を担う駆動部30と、を備える。また、除塵装置1は、スクリーン構造体20で捕捉された異物を17から取り除く洗浄部40を備える。
除塵部10は、水路WWの水面WSよりも上の水上OWと水面WSよりも下の水中UWとに跨って設けられ、水中UWをスクリーン構造体20が周回移動する際に塵芥などを水流WFから取り除く。
駆動部30は、地上AGに設けられており、スプロケットホイール13を回転駆動させることで、キャリングチェーン11を周回移動させる。
洗浄部40もまた地上AGに設けられ、洗浄水をスクリーン構造体20に向けて噴射することにより、スクリーン構造体20のスクリーン17から異物を取り除く。
【0017】
[除塵部10の構成:
図1,
図2,
図3,
図4]
除塵部10は、
図1に示すように、鉛直方向Vに沿って周回移動する無端状のキャリングチェーン11と、キャリングチェーン11を上端で支持するスプロケットホイール13と、水中UWにおいてキャリングチェーン11を下端で支持する第1ガイド14および第2ガイド15と、を備える。キャリングチェーン11、スプロケットホイール13、第1ガイド14および第2ガイド15は、鉄系、その他系の金属材料から構成される。また、キャリングチェーン11、スプロケットホイール13および第2ガイド15は、必要な強度を有していれば、樹脂材料から構成されてもよい。
【0018】
キャリングチェーン11は、スプロケットホイール13で支持される上端側11Aおよび第2ガイド15で支持される下端側11Cが円弧状をなしている。キャリングチェーン11において上端側11Aと下端側11Cとを繋ぐ中間部分11Bは、水流WFを基準にして上流側に配置される上流側11B1と下流側に配置される下流側11B2とが平行に並ぶ。キャリングチェーン11は周回移動するので、上端側11Aに位置していたキャリングチェーン11の部分は、下流側11B2、下端側11Cおよび上流側11B1を通って上端側11Aに戻る。キャリングチェーン11は、水流WFに交差する幅方向W(
図3)に間隔を空けて一対設けられる。一対のキャリングチェーン11,11の間に複数のスクリーン構造体20が設けられる。キャリングチェーン11の具体的な構成例は後述される。また、キャリングチェーン11にはスクリーン構造体20が支持されているが、これについても具体的な構成例は後述される。
【0019】
スプロケットホイール13は、その回転軸13Aは図示が省略されかつ位置が固定される軸受に回転可能に支持されるとともに、回転軸13Aには円盤状のプーリ13Bが同軸上に固定されている。プーリ13Bには駆動部30の無端状の作動ベルト35が掛け回されており、この作動ベルト35を周回移動させることにより、スプロケットホイール13が例えば
図1において時計回りに回転し、キャリングチェーン11が周回移動する。
【0020】
第1ガイド14は、
図2および
図4に示すように、第1ローラ25がその下面側の第1走行面14Aを備える。第1ガイド14は、一例として、キャリングチェーン11の下端側11Cよりも外側(下側)に設けられるJ字状の形態を有し下向きに突をなしており、キャリングチェーン11の周回移動を下端側11Cから上流側11B1にかけて案内する。
【0021】
第2ガイド15は、
図2および
図4に示すように、第2ローラ27がその上面側の第2走行面15Aを備える。第2ガイド15は、一例として、キャリングチェーン11の下端側11Cよりも内側(上側)に設けられる円弧状の形態を有している。鉛直方向Vを基準にして、下向きの第2走行面15Aは第1ガイド14の第1走行面14Aよりも上方に設けられ、下向きに突をなす。
【0022】
図3および
図4に示すように、第2ローラ27は第1ローラ25よりも幅方向Wの外側に配置されており、第2ローラ27は第1ローラ25よりも外側に配置されている第2ガイド15の下向きの第2走行面15Aを走行する。また、第1ローラ25は第2ローラ27よりも幅方向Wの内側に配置されており、第1ローラ25は第2ローラ27よりも内側において第1ガイド14の上向きの第1走行面14Aを走行する。このように、第1ローラ25と第2ローラ27は、第1ガイド14と第2ガイド15が重複している領域において、第1ガイド14と第2ガイド15の間に挟み込まれながらキャリングチェーン11の周回移動に伴って走行する。
【0023】
[キャリングチェーン11の具体例:
図1,
図3,
図4]
次に、キャリングチェーン11の構成例について、
図1、
図3および
図4を参照して説明する。
キャリングチェーン11は、
図3に示すように、幅方向Wに並行に配置された1対のリンクプレート21A,21Bと、リンクプレート21A,21Bの上下の両端部を隣接するリンクプレート21A,21Bとをそれぞれ連結する連結ピン23,23と、を備えている。また、キャリングチェーン11は、リンクプレート21Aとリンクプレート21Bの間であって、連結ピン23,23に回転可能に支持され第1ローラ25,25を備える。第1ローラ25は、キャリングチェーン11の下端側11Cにおいて、第1ガイド14の第1走行面14Aに沿って転動しながら走行する。なお、スクリーン構造体20を基準にして幅方向Wの内側に配置される方をリンクプレート21Aとし、外側に配置される方をリンクプレート21Bとする。
【0024】
キャリングチェーン11は、リンクプレート21A,21B、連結ピン23,23および第1ローラ25,25を備えるチェーン要素がその長手方向に連続的に連なることで、
図1に示すように上端側11A、中間部分11Bおよび下端側11Cが連なる無端状のチェーンを構成する。また、
図3に示すように、一対のキャリングチェーン11,11は幅方向Wに所定の間隔を隔てて配置され、この間隔の間にスクリーン構造体20が固定される。
【0025】
キャリングチェーン11は、
図3および
図4に示すように、スクリーン構造体20を基準にして、リンクプレート21Bよりも幅方向Wの外側に第2ローラ27が設けられている。本実施形態における一例として、上下で一対の連結ピン23,23の間に一対(二つ)の第2ローラ27,27が設けられている。つまり、一対のリンクプレート21A,21Bについて、その延長方向に間隔を空けて一対の第2ローラ27,27が設けられている。それぞれの第2ローラ27は、リンクプレート21Aからリンクプレート21Bを貫通して設けられる固定ピン29に回転可能に設けられている。第2ローラ27は、キャリングチェーン11の下端側11Cにおいて、第2ガイド15の第2走行面15Aに沿って転動しながら走行する。
【0026】
[スクリーン構造体20について:
図2,
図3]
それぞれのスクリーン構造体20は、スクリーン17と、スクリーン17を固定、保持するスクリーンフレーム18と、スクリーン17に捕捉された異物を捕集する異物サポート19と、を備える。
【0027】
複数のスクリーン17は、
図2および
図3に示すように、スクリーンフレーム18を介して一対のキャリングチェーン11,11により周回移動しながら、水中UWにおいて異物を捕捉することで、通過する水流WFから異物を除去する。そのために、少なくとも水中UWにおいて、スクリーン17は水中UWにおいて水流WFに交差、典型的には直交するように配置される。この配置はキャリングチェーン11の配置に基づいている。
なお、
図3には一対のキャリングチェーン11,11の間、つまり幅方向Wについて一つのスクリーン17だけが設けられる例が示されている。しかし、本発明においては、一対のキャリングチェーン11,11の間に複数のスクリーン17を幅方向Wに並べて配置することもできる。
【0028】
スクリーン17は、除去したい塵芥の大きさに応じた網目(メッシュ)の大きさを有する部材、典型的には平面視して矩形の金網またはパンチングメタルから構成される。この金網は、一例として耐食性の高い金属材料、例えばステンレス鋼製の線材を織り込んだ網状の部材からなる。ただし、ステンレス鋼製のスクリーン17はあくまで一例であり、他の耐食性の高い金属材料、例えばチタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などを用いることもできる。また、スクリーン17は、金属材料に限らず、樹脂材料、例えば繊維強化プラスチックから構成されてもよい。
【0029】
それぞれのスクリーン17は、
図3に示すように、その周縁がスクリーンフレーム18により支持されている。それぞれのスクリーンフレーム18は、幅方向Wの両側において、第1ローラ25,25の間で2本の固定ピン29,29によりリンクプレート21Aに固定される。このように、固定ピン29は、第2ローラ27を回転可能に支持するのに加えて、スクリーン17をリンクプレート21に固定する二つの機能を奏する。
【0030】
スクリーンフレーム18は、一例として内側に空隙が設けられる額縁状の形態を有しており、図示を省略するボルトなどの締結具によりスクリーン17が空隙を覆うように取り付けられる。スクリーンフレーム18もスクリーン17と同様の材料により構成される。
【0031】
スクリーンフレーム18には、スクリーン17で捕捉される異物を保持するための異物サポート19が設けられている。異物サポート19で保持される異物は、
図1に示される異物容器34に回収される。
【0032】
異物サポート19は、
図2および
図3に示すように、上部サポート19A、側部サポート19Bおよび下部サポート19Cの三つの要素を基本構成としている。これら三つの要素は、スクリーン17と同様の金属材料、樹脂材料から構成される。これら三つの要素の外に、上部サポート19A、側部サポート19Bおよび下部サポート19Cの組付け状態を維持するためのリブを設けることもできる。
スクリーン17が水流WFの向きを基準にして上流側を移動する際、つまりスクリーン17が異物を捕捉する状態において、スクリーン17の上部に上部サポート19Aが取り付けられている。上部サポート19Aは、一例として幅方向Wに連なり、側面の断面視において概ね直線状に形成されている。上部サポート19Aは、その先端が上向きになるように傾斜して設けられている。
【0033】
スクリーン17の幅方向Wの両側のそれぞれには側部サポート19Bが取り付けられている。側部サポート19Bは、その上部が上部サポート19Aに接続され、その下部が下部サポート19Cに接続されている。側部サポート19Bは、一例として五角形の形態をなしている。
スクリーン17の下部には下部サポート19Cが取り付けられている。下部サポート19Cは側面の断面視においてへの字状(またはL字状)に形成されている。
【0034】
スクリーン17が異物を捕捉する状態において、上部サポート19A、一対の側部サポート19Bおよび下部サポート19Cは、スクリーン17よりも前方を取り囲む捕捉領域19Eを構成する。スクリーン17で捕捉された異物は、この捕捉領域19Eにおいて主に上部サポート19Aおよび一対の側部サポート19Bに捉えられる。捉えられた異物は、40洗浄部40まで搬送された後に、噴射ノズル41からの洗浄剤を受けて異物容器43に回収される。
【0035】
[駆動部30:
図1]
駆動部30は、
図1に示すように、例えば電動モータからなる駆動源31と、駆動源31により回転動作される回転軸33と、回転軸33と除塵部10のプーリ13Bとに巻き回される作動ベルト35と、を備える。図示を省略する制御装置を介して駆動源31を回転動作させると、回転軸33、作動ベルト35を介してスプロケットホイール13が例えば時計回りに回転される。これにより、キャリングチェーン11,11が時計回りに周回移動される。より詳しくは、次の除塵装置1の動作の項で説明する。
【0036】
[洗浄部40:
図1]
洗浄部40は、
図1に示すように、キャリングチェーン11の周回軌道の内側からスクリーン17に向けて洗浄水を噴射する噴射ノズル41と、洗浄水の噴射によりスクリーン17および異物サポート19から取り除かれた異物を回収する異物容器43と、を備える。回収された異物は、定期的にまたは適時に異物容器43から外部へと搬送された後に処理される。
【0037】
[除塵装置1の動作:
図1,
図5]
次に、除塵装置1の動作について、
図1および
図5を参照しながら説明する。
図1において、駆動部30の駆動源31が回転駆動されると、キャリングチェーン11,11が時計回りに周回移動される。これに伴って、複数のスクリーン17も上端側11Aから下流側11B2、下端側11Cおよび上流側11B1を順次通過して上端側11Aに戻る周回移動を繰り返す。上流側11B1を鉛直方向Vの上向きに移動する過程で、スクリーン17は水流WFに含まれる塵芥などの異物を捕捉する。捕捉された異物は、スクリーン17に捕捉されたままでスクリーン17とともに上端側11Aに移動することもあるし、異物サポート19に収容されて上端側11Aに移動することもある。スクリーン17および異物サポート19の一方または双方に捕捉された異物は、当該スクリーン17が上端側11Aを通過した後に、洗浄部40の噴射ノズル41から噴射される洗浄液を受けて異物容器43に回収される。
【0038】
スクリーン17が下流側11B2から下端側11Cを通って上流側11B1に移動する過程において、
図5(a),(b),(c)に示すように、第1ローラ25が第1ガイド14に沿って走行するとともに、第2ローラ27が第2ガイド15に沿って走行する。
この過程において
図2に示すように、側面視すると、第2ガイド15とリンクプレート21が干渉している。しかし、
図4に示すように、第1ローラ25が設けられる位置、つまりリンクプレート21が設けられる位置よりも幅方向Wの外側に離れて設けられているので、リンクプレート21が第2ガイド15に干渉することはない。
また、仮に第2ローラ27を設けることなく、かつ第2ガイド15を第1ローラ25に対応する位置に設け、第1ローラ25を第2ガイド15に沿って走行させようとすることも一応想定できる。しかしこの場合は、第2ガイド15とリンクプレート21の干渉がより顕著となり、キャリングチェーン11の周回移動はできない。したがって、本実施形態によれば、スプロケットホイールを設けることなく、下端側11Cにおいてキャリングチェーン11を円滑に周回移動させることができる。
【0039】
[効 果]
以下、本実施形態に係る除塵装置1の効果を説明する。
本実施形態に係る除塵装置1において、第2ローラ27がリンクプレート21よりも幅方向Wの外側に設けられている。
ここで、仮にリンクプレート21Aとリンクプレート21Bの間に第2ローラ27が設けられているとすれば、第2ローラ27の保守探検などの作業の際に、リンクプレート21Aとリンクプレート21Bの締結を解く必要がある。ところが、除塵装置1によれば、第2ローラ27がリンクプレート21Aとリンクプレート21Bの間にではなく、リンクプレート21よりも幅方向Wの外側に設けられている。したがって、第2ローラ27の保守点検を行う際の作業が容易である。
【0040】
また、第2ローラ27がリンクプレート21よりも幅方向Wの外側に設けられていれば、前述したように、リンクプレート21が第2ガイド15に接触することがないので、キャリングチェーン11の円滑な周回移動を担保できる。
さらに、第2ローラ27がリンクプレート21よりも幅方向Wの外側に設けられていれば、上端側11Aに設けられるスプロケットホイール13に第2ローラ27が干渉することがない。したがって、スプロケットホイール13についても、第1ローラ25だけが用いられていた当時のものを踏襲して用いることができる。
【0041】
次に、第2ローラ27は、リンクプレート21にスクリーンフレーム18を固定するための固定ピン29を利用して取り付けられている。したがって、本実施形態によれば、リンクプレート21に設けられる一対の第1ローラ25,25の間の構造を変えることなく、かつ、第2ローラ27を取り付けるための専用のピン類を固定ピン29の他に用意する必要がない。
【0042】
以上、本発明における好ましい実施形態を説明したが、第2ローラ27をリンクプレート21の外側に設けるという本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、一つのスクリーン構造体20に設けられる第2ローラ27の個数は2個に限るものではなく、スクリーン構造体20の構造・寸法などに応じて、例えば
図6(a),(b),(c)に示すように、1個、3個または4個などにできる。
図6(c)の4個の場合の例においては、
図6(d)および
図7に示すように、第1ローラ25の連結ピン23を利用してその先端に第2ローラ27を設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 除塵装置
3 駆動ベルト
10 除塵部
11 キャリングチェーン
11A 上端側
11B 中間部分
11B1 上流側
11B2 下流側
11C 下端側
13 スプロケットホイール
13A 回転軸
13B プーリ
14 第1ガイド
15 第2ガイド
20 スクリーン構造体
17 スクリーン
18 スクリーンフレーム
19 異物サポート
19A 上部サポート
19B 側部サポート
19C 下部サポート
19E 捕捉領域
21,21A,21B リンクプレート
23 連結ピン
25 第1ローラ
27 第2ローラ
29 固定ピン
30 駆動部
31 駆動源
33 回転軸
35 作動ベルト
40 洗浄部
41 噴射ノズル
43 異物容器
OW 水上
UW 水中
WF 水流
WS 水面
WW 水路
V 鉛直方向
W 幅方向