(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074562
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】気送子、及び取出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 51/04 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
B65G51/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187529
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】304011795
【氏名又は名称】株式会社日本シューター
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 武
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅美
(72)【発明者】
【氏名】島田 克哉
(57)【要約】
【課題】搬送中において管状容器を安定して保持する。
【解決手段】気送管システムAに用いられる気送子1であって、筒状の本体部10と、本体部10の端部開口10a及び10bに対してそれぞれ設けられ、閉鎖位置と開放位置とを取り得る一対の蓋11a及び11bと、本体部10内に収容され、採血管Tを収容するパイプ12cを有する収容部12と、パイプ12cの内周面に取り付けられ、採血管Tを付勢して摩擦力によって採血管Tを保持するブラシ13と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気送管システムに用いられ、管状容器を収容して搬送する気送子であって、
長手方向の両端部に内部空間に連通する端部開口がそれぞれ形成された筒状の本体部と、
前記本体部の前記両端部の前記端部開口のそれぞれに対して設けられ、前記端部開口を閉じる閉鎖位置と前記端部開口を開放する開放位置とを取り得る一対の蓋と、
前記内部空間に収容され、前記本体部の前記長手方向に沿って延在するとともに前記管状容器を内部に収容可能なパイプを有する収容部と、
前記パイプの内周面に取り付けられ、前記パイプ内に収容された前記管状容器を前記パイプの延在方向に交差する方向に付勢して摩擦力によって前記管状容器を保持する摩擦部材と、を備える気送子。
【請求項2】
前記摩擦部材は、前記パイプの前記内周面において周方向の1箇所にのみ取り付けられている、請求項1に記載の気送子。
【請求項3】
前記パイプは複数本設けられるとともに互いに並行となるように集められ、
前記摩擦部材は、前記パイプの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本の前記パイプの集合体の中央側に向って前記管状容器を付勢する、請求項2に記載の気送子。
【請求項4】
前記摩擦部材は、前記パイプの内周面から内側に向って延びる樹脂製のブラシである、請求項1~3のいずれか一項に記載の気送子。
【請求項5】
前記パイプは、複数の前記管状容器を一列に並べて内部に収容可能であり、
前記摩擦部材は、前記パイプの延在方向の全長にわたって設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の気送子。
【請求項6】
前記請求項1~5のいずれか一項に記載の前記気送子から前記管状容器を取り出す取出装置であって、
一対の前記蓋をそれぞれ前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる蓋移動機構と、
前記本体部の一方の前記端部開口が上方を向き他方の前記端部開口が下方を向くように前記気送子が支持され且つ一対の前記蓋がそれぞれ前記開放位置に位置する状態で、前記パイプ内に上から押出棒を挿入して前記管状容器を下向きに押し出す押出機構と、を備える取出装置。
【請求項7】
前記パイプは複数本設けられるとともに互いに並行となるように集められており、
前記押出機構は、複数の前記パイプのそれぞれに挿入される複数の前記押出棒と、複数の前記押出棒を一体として上下させる一つの駆動源と、を備える、請求項6に記載の取出装置。
【請求項8】
複数の前記押出棒の少なくともいずれかは、下端部の高さ位置が他の前記押出棒の下端部の高さ位置と異なっている、請求項7に記載の取出装置。
【請求項9】
前記取出装置の下部には、前記気送子から取り出された前記管状容器を搬送するコンベヤ装置が設けられており、
前記押出棒の下端部の高さ位置は、前記コンベヤ装置の搬送方向下流側の方が搬送方向上流側よりも下方に位置している、請求項8に記載の取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気送管システムに用いられる気送子、及び気送子から管状容器を取り出す取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採血管等の管状容器を気送子に収容し、気送管内で空気の力によって気送子を搬送先まで搬送する気送管システムがある。このような気送管システムが、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した気送管システムでは、気送管内での気送子の搬送中において、破損等することなく管状容器を保持することが求められる。そこで、本発明は、搬送中において管状容器を安定して保持可能な気送子、及び気送子から管状容器を取り出す取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る気送子は、気送管システムに用いられ、管状容器を収容して搬送する気送子であって、長手方向の両端部に内部空間に連通する端部開口がそれぞれ形成された筒状の本体部と、本体部の両端部の端部開口のそれぞれに対して設けられ、端部開口を閉じる閉鎖位置と端部開口を開放する開放位置とを取り得る一対の蓋と、内部空間に収容され、本体部の長手方向に沿って延在するとともに管状容器を内部に収容可能なパイプを有する収容部と、パイプの内周面に取り付けられ、パイプ内に収容された管状容器をパイプの延在方向に交差する方向に付勢して摩擦力によって管状容器を保持する摩擦部材と、を備える。
【0006】
この気送子では、管状容器を付勢する摩擦部材により、摩擦力によって管状容器を保持することができる。これにより、気送子は、気送管システムにおける搬送中において管状容器を安定して保持できる。
【0007】
上記の気送子において、摩擦部材は、パイプの内周面において周方向の1箇所にのみ取り付けられていてもよい。この場合、気送子は、摩擦部材とパイプ内周面とによって管状容器を挟み込んで保持することができる。
【0008】
上記の気送子において、パイプは複数本設けられるとともに互いに並行となるように集められ、摩擦部材は、パイプの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプの集合体の中央側に向って管状容器を付勢してもよい。この場合、パイプの延在方向に沿って見たときに、管状容器は端部開口の中央位置に寄った状態となる。これにより、気送子では、閉鎖位置から開放位置に向って蓋が移動を開始して端部開口が端の方から徐々に開き始めたときに、端部開口から管状容器が露出し始めるタイミングを遅くすることができる。これにより、気送子は、例えば摩擦部材による管状容器の保持力が弱まっている場合であっても、蓋が開き始めたときに管状容器がパイプから即座に落下することを抑制できる。
【0009】
上記の気送子において、摩擦部材は、パイプの内周面から内側に向って延びる樹脂製のブラシであってもよい。この場合、気送子は、ブラシによって管状容器を容易に保持できる。
【0010】
上記の気送子においてパイプは、複数の管状容器を一列に並べて内部に収容可能であり、摩擦部材は、パイプの延在方向の全長にわたって設けられていてもよい。この場合、気送子は、パイプ内に複数の管状容器が一列に並べて収容される場合であっても、これらの管状容器を摩擦部材によって保持できる。
【0011】
本発明に係る取出装置は、上記の気送子から管状容器を取り出す取出装置であって、一対の蓋をそれぞれ閉鎖位置から開放位置に移動させる蓋移動機構と、本体部の一方の端部開口が上方を向き他方の端部開口が下方を向くように気送子が支持され且つ一対の蓋がそれぞれ開放位置に位置する状態で、パイプ内に上から押出棒を挿入して管状容器を下向きに押し出す押出機構と、を備える。
【0012】
この取出装置は、パイプ内において摩擦力によって保持された管状容器を、押出棒によって押し出すことができる。これにより、取出装置は、押出機構によって、気送子のパイプ内から管状容器を取り出すことができる。
【0013】
上記の取出装置において、パイプは複数本設けられるとともに互いに並行となるように集められており、押出機構は、複数のパイプのそれぞれに挿入される複数の押出棒と、複数の押出棒を一体として上下させる一つの駆動源と、を備えていてもよい。この場合、取出装置は、気送子が複数本のパイプを備える場合であっても、複数の押出棒を一体として上下させることによって、複数のパイプ内から管状容器を容易に取り出すことができる。
【0014】
上記の取出装置において、複数の押出棒の少なくともいずれかは、下端部の高さ位置が他の押出棒の下端部の高さ位置と異なっていてもよい。これにより、取出装置は、気送子のパイプ内から管状容器を押し出すタイミングを制御することができる。
【0015】
上記の取出装置において、取出装置の下部には、気送子から取り出された管状容器を搬送するコンベヤ装置が設けられており、押出棒の下端部の高さ位置は、コンベヤ装置の搬送方向下流側の方が搬送方向上流側よりも下方に位置していてもよい。この場合、取出装置は、複数本のパイプ内から管状容器を押し出してコンベヤ装置上に落下させる際に、コンベヤ装置の搬送方向下流側から先に管状容器を落下させ、コンベヤ装置上において先に搬送させることができる。これにより、取出装置は、複数本のパイプ内から管状容器をコンベヤ装置上に落下させたときに、コンベヤ装置上おいて管状容器をばらけさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送中において管状容器を安定して保持可能な気送子、及び気送子から管状容器を取り出す取出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る気送管システムの取出装置の内部の概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の気送管システムの取出装置の内部の概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、本体部の一部を破断して示す気送子の正面図である。
【
図4】
図4(a)は、蓋が閉鎖位置から開放位置に移動した状態を示す、気送子の一方の側の端部を示す図である。
図4(b)は、蓋が開放位置から閉鎖位置に移動した状態を示す、気送子の一方の側の端部を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、蓋が閉鎖位置から開放位置に移動した状態を示す、気送子の他方の側の端部を示す図である。
図5(b)は、蓋が開放位置から閉鎖位置に移動した状態を示す、気送子の他方の側の端部を示す図である。
【
図6】
図6は、気送子の本体部から収容部が取り出された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、気送子の係合機構が収容部に係合した状態示す、係合機構周りの断面図である。
【
図8】
図8は、気送子の係合機構と収容部との係合が解除された状態を示す、係合機構周りの断面図である。
【
図9】
図9(a)は、昇降機構が搬送機構から第1位置へ気送子を移動させる様子を示す、昇降機構周りの側面図である。
図9(b)は、昇降機構が気送子を回転させる様子を示す、昇降機構周りの側面図である。
【
図10】
図10は、第1位置の気送子を移動機構が把持した状態を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図11】
図11は、蓋開閉機構の配置位置を示す、気送子の移動経路周りの正面図である。
【
図12】
図12(a)は、上側蓋開ブロックが蓋当接位置に位置している状態を示す上側蓋開部の概略図である。
図12(b)は、上側蓋開ブロックが退避位置に位置している状態を示す上側蓋開部の概略図である。
図12(c)は、上側蓋開部の上側蓋開ブロックを示す上面図である。
【
図14】
図14は、気送子から採血管が押し出されている様子を示す、押出機構周りの側面図である。
【
図15】
図15は、気送子から採血管が押し出された様子を示す、押出機構周りの側面図である。
【
図16】
図16は、上側蓋開ブロック及び下側蓋開ブロックによって蓋が開けられる様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図17】
図17は、上側蓋開ブロック及び下側蓋開ブロックによって蓋が開けられる様子を示す、気送子の移動経路周りの正面図である。
【
図18】
図18は、上側蓋開ブロック及び下側蓋開ブロックによって蓋が開けられ始めた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図19】
図19は、下側蓋開ブロックによって蓋が開けられ始めた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図20】
図20は、上側蓋開ブロック及び下側蓋開ブロックによって蓋が開放位置に移動させられた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図21】
図21は、下側蓋開ブロックによって蓋が開放位置に移動させられた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図22】
図22は、蓋が開けられることにより下側の端部開口から採血管が落下する場合の落下開始のタイミングを説明する図である。
【
図23】
図23は、上側蓋閉ブロック及び下側蓋閉ブロックによって蓋が閉じられる様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図24】
図24は、下側蓋閉ブロックによって蓋が閉じられる様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図25】
図25は、上側蓋閉ブロック及び下側蓋閉ブロックによって蓋が閉鎖位置に移動させられた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図26】
図26は、下側蓋閉ブロックによって蓋が閉鎖位置に移動させられた様子を示す、気送子の移動経路周りの上面図である。
【
図27】
図27は、上側蓋開ブロック及び下側蓋開ブロックが退避位置に移動させられる様子を示す、気送子の移動経路周りの正面図である。
【
図28】
図28は、変形例に係るブラシを備える気送子の一方の側の端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1及び
図2に示される気送管システムAは、一例として、病院等の施設内に設置され、患者から採取した血液を収容する採血管(管状容器)T(
図3参照)を搬送する。また、気送管システムAは、検査室等に設置された取出装置2を備えている。気送管システムAは、採血管Tの搬送元となるステーション(不図示)から取出装置2へ、採血管Tを収容する気送子1を気送管3を介して空気の力によって搬送する。なお、空気の力によって気送子1を搬送する機構としては、周知の機構を採用することができる。取出装置2は、搬送された気送子1から採血管Tを取り出す。以下、気送管システムAが備える気送子1及び取出装置2を中心に説明する。
【0020】
まず、気送子1について説明する。
図3に示されるように、気送子1は、気送管システムAにおいて採血管Tの搬送に用いられる。気送子1は、複数本の採血管Tを収容して搬送することができる。気送子1は、本体部10、蓋11a、蓋11b、収容部12、ブラシ(摩擦部材)13(
図4(a)等参照)、及び係合機構14を備えている。なお、
図3は、本体部10の内部の収容部12を示すため、本体部10の一部が破断された状態となっている。
【0021】
本体部10は、円筒状を呈し、採血管Tを収容可能な内部空間Rを有している。また、本体部10は、円筒の延在方向の長さが、円筒の直径よりも長い。つまり、本体部10には、長手方向の両端部に、内部空間Rに連通する端部開口10a及び端部開口10bがそれぞれ形成されている(
図4(a)及び
図4(b)参照)。なお、本体部10の形状は、円筒状に限定されず、筒状を呈していればよい。本体部10の外周面のうち長手方向の両端部近傍には、搬送時に気送管3の内周面に摺動可能に当接する摺動部10d及び摺動部10eがそれぞれ設けられている。
【0022】
1対の蓋11a及び11bは、本体部10の両端部の端部開口10a及び10bのそれぞれに対して設けられている。蓋11aは、
図4(a)に示されるように端部開口10aを開放する開放位置と、
図4(b)に示されるように端部開口10aを閉じる閉鎖位置とを取り得る。ここでは、蓋11aは、本体部10の端部開口10a側の端部に設けられた揺動軸Saに対して揺動可能に取り付けられている。揺動軸Saは、本体部10の長手方向に沿って延在している。これにより、蓋11aは、本体部10の長手方向に沿って延在する揺動軸Sa周りに揺動することにより、閉鎖位置と開放位置との間を移動することができる。
【0023】
図4(a)に示されるように気送子1を蓋11a側から見た場合、蓋11aは、閉鎖位置から開放位置に移動させられるときに、揺動軸Sa周りに右周りに移動させられる。なお、蓋11aは、閉鎖位置に位置するときに、揺動軸Sa周りに左周りに移動できないようにストッパ等で移動が規制されている。また、
図4(b)に示されるように気送子1を蓋11a側から見た場合、蓋11aは、開放位置から閉鎖位置に移動させられるときに、揺動軸Sa周りに左周りに移動させられる。なお、蓋11aは、開放位置に位置するときに、揺動軸Sa周りに右周りに移動できないようにストッパ等で移動が規制されている。
【0024】
このように、閉鎖位置に位置する蓋11aは、気送子1を本体部10の長手方向に沿って蓋11a側から見たときに、揺動軸Sa周りに右回りに移動させる力が加えられることにより、開放位置に向って移動する。また、開放位置に位置する蓋11aは、気送子1を本体部10の長手方向に沿って蓋11a側から見たときに、揺動軸Sa周りに左回りに移動させる力が加えられることにより、閉鎖位置に向って移動する。
【0025】
同様に、蓋11bは、
図5(a)に示されるように端部開口10bを開放する開放位置と、
図5(b)に示されるように端部開口10bを閉じる閉鎖位置とを取り得る。ここでは、蓋11bは、本体部10の端部開口10b側の端部に設けられた揺動軸Sbに対して揺動可能に取り付けられている。揺動軸Sbは、本体部10の長手方向に沿って延在している。これにより、蓋11bは、本体部10の長手方向に沿って延在する揺動軸Sb周りに揺動することにより、閉鎖位置と開放位置との間を移動することができる。
【0026】
図5(a)に示されるように気送子1を蓋11b側から見た場合、蓋11bは、閉鎖位置から開放位置に移動させられるときに、揺動軸Sb周りに右周りに移動させられる。なお、蓋11bは、閉鎖位置に位置するときに、揺動軸Sb周りに左周りに移動できないようにストッパ等で移動が規制されている。また、
図5(b)に示されるように気送子1を蓋11b側から見た場合、蓋11bは、開放位置から閉鎖位置に移動させられるときに、揺動軸Sb周りに左周りに移動させられる。なお、蓋11bは、開放位置に位置するときに、揺動軸Sb周りに右周りに移動できないようにストッパ等で移動が規制されている。
【0027】
このように、閉鎖位置に位置する蓋11bは、気送子1を本体部10の長手方向に沿って蓋11b側から見たときに、揺動軸Sb周りに右回りに移動させる力が加えられることにより、開放位置に向って移動する。また、開放位置に位置する蓋11bは、気送子1を本体部10の長手方向に沿って蓋11b側から見たときに、揺動軸Sb周りに左回りに移動させる力が加えられることにより、閉鎖位置に向って揺動する。
【0028】
本体部10の長手方向に沿って見たときに、揺動軸Saと揺動軸Sbとは本体部10の中央位置を挟んで対向している。これにより、
図3に示されるように、蓋11a及び11bは、それぞれ開放位置とされたときに、本体部10から互いに逆側に位置している。なお、気送子1の蓋11a及び11bは、気送管3内で搬送されているときには、閉鎖位置に位置している。取出装置2において気送子1から採血管Tが取り出される際に、蓋11a及び11bは閉鎖位置から開放位置に移動させられる。
【0029】
図3及び
図6に示されるように、収容部12は、本体部10の内部空間Rに収容される。収容部12は、採血管Tを内部に収容可能な複数本のパイプ12cを有している。パイプ12cは、本体部10の長手方向に沿って延在している。パイプ12cは、複数の採血管Tを一列に並べて内部に収容することができる。
【0030】
複数本のパイプ12cは、互いに並行となるように集められている。パイプ12cは、本実施形態においては、9本設けられている(
図4(a)等参照)。また、9本のパイプ12cは、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、縦方向に3本、横方向に3本が並ぶように集められている。複数本のパイプ12cは、本実施形態においては、パイプ12cの一方の端部に設けられた端部板12aと、パイプ12cの他方の端部に設けられた端部板12bとによって互いに固定されている。
【0031】
収容部12は、端部開口10aを介して本体部10に抜き差し可能であり、端部開口10bを介して本体部10に抜き差し可能である。
【0032】
図6に示されるように、収容部12は、係合凸部12dを更に備えている。係合凸部12dは、詳しくは後述する係合機構14の係合部14aに解除可能に係合する。係合凸部12dは、複数本のパイプ12cの集合体の側面に取り付けられている。本実施形態において、係合凸部12dは、2つ設けられ、複数本のパイプ12cの集合体の一方の側面と、一方の側面に対して反対側の他方の側面とにそれぞれ取り付けられている。このように、係合機構14の係合部14aに解除可能に係合する係合凸部12dが複数取り付けられていることにより、収容部12を本体部10に挿入するときの収容部12の向きの制約を抑制できる。
【0033】
図4(a)に示されるように、ブラシ13は、パイプ12cの内周面に取り付けられている。ブラシ13は、複数のパイプ12cのそれぞれに対して設けられている。ブラシ13は、パイプ12cの内周面から内側に向って延びている。ブラシ13は、パイプ12cの内周面において、周方向の1箇所にのみ取り付けられている。ブラシ13は、パイプ12cの延在方向の全長にわたって設けられている。
【0034】
複数のブラシ13は、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢する。つまり、複数のブラシ13は、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、各パイプ12cの内周面から、9本のパイプ12cの集合体の中央位置C側に向ってそれぞれ延びている。なお、
図4(a)では、ブラシ13を示すためにパイプ12c内に収容される採血管Tが省略されている。パイプ12cの端部が示される他の図(
図5(a)等)においても、パイプ12c内の採血管Tが省略される場合がある。
【0035】
ブラシ13は、パイプ12c内に収容された採血管Tをパイプ12cの延在方向に交差する方向に付勢して、摩擦力によって採血管Tをパイプ12c内で保持する。ブラシ13は、弾性変形可能な部材である。本実施形態において、ブラシ13は、弾性変形可能な樹脂製のブラシである。ブラシ13は、弾性力により、採血管Tをパイプ12cの内周面に向けて付勢して保持することができる。ここでは、ブラシ13は、パイプ12cが縦方向に配置されたときにパイプ12c内から採血管Tが自重で落下しないように、採血管Tを付勢している。
【0036】
図3に示されるように、係合機構14は、本体部10内に収容された収容部12と解除可能に係合する。係合機構14が収容部12と係合することにより、収容部12は本体部10に対して保持された状態となる。収容部12は、係合機構14との係合が解除された状態で、端部開口10a又は10bを介して本体部10に抜き差し可能となる。
【0037】
図7に示されるように、係合機構14は、一対の係合部14a、側面蓋(解除力伝達部)14b、及びブラケット14cを備えている。ここで、本体部10の外周面のうち、長手方向の略中央位置には、内部空間Rに連通する側面開口10fが設けられている。係合機構14は、本体部10の側面開口10f周りに設けられる。
【0038】
一対の係合部14aは、ブラケット14cによって本体部10の内周面にそれぞれ取り付けられている。係合部14aは、ピン14dを軸として揺動することができる。係合部14aの一方の端部は、収容部12に設けられた係合凸部12dの端部に解除可能に係合する。係合部14aの他方の端部は、本体部10の側面開口10fの近傍まで延びている。一対の係合部14aは、ピン14dを軸として揺動することにより、係合凸部12dに係合した状態と、係合が解除された状態とを取り得る。なお、係合部14aは、図示しないねじりバネ等の付勢部材によって、係合凸部12dと係合した状態が維持されるように付勢されている。一対の係合部14aは、係合凸部12dと係合することにより、収容部12を保持することができる。
【0039】
側面蓋14bは、係合部14aに対し、収容部12の係合凸部12dとの係合を解除するための外からの解除操作力を伝達する。解除操作力は、気送子1の本体部10から収容部12を取り出す作業者によって、側面蓋14bに対して付与される。側面蓋14bは、側面開口10fを介して、本体部10の外側から係合部14aに解除操作力を伝達する。
【0040】
側面蓋14bは、本体部10の側面開口10fを閉鎖する蓋となっている。側面蓋14bは、例えばゴム等の可撓性を有する部材によって形成されている。側面蓋14bは、側面開口10fを閉鎖するように、側面蓋14bの縁部が側面開口10fの縁部に嵌め込まれていてもよい。また、側面蓋14bは、側面開口10fを覆うように本体部10の外周面に取り付けられていてもよい。
【0041】
図8に示されるように、側面蓋14bは、本体部10の外部から作業者によって内側に向って解除操作力が加えられることによって変形し、解除操作力を一対の係合部14aの他方の端部に伝達する。解除操作力が伝達されると、一対の係合部14aは、ピン14dを軸として揺動し、係合凸部12dとの係合が解除される。一対の係合部14aと係合凸部12dとの係合が解除されることにより、
図6に示されるように、本体部10から収容部12の取り出しが可能となる。
【0042】
本体部10の端部開口10a及び10bは、それぞれ作業者の手を挿通可能な開口面積を有している。これにより、作業者は、端部開口10a及び10bを介して本体部10内に手を入れ、クリーニング等の作業を行うことができる。
【0043】
なお、気送子1から採血管Tを取り出すために、係合機構14による係合を解除して本体部10から収容部12を取り出す必要はない。収容部12の取り出しは、クリーニング等の作業を行う場合に行われる。
【0044】
また、
図3に示されるように、本体部10の外周面には、マーク15が設けられている。マーク15は、昇降機構30に設けられたセンサ33が、気送子1の回転位置を検出するための基準となる。マーク15は、例えば、反射材等であってもよい。
【0045】
次に、取出装置2の内部の概略構成について説明する。
図1及び
図2に示されるように、取出装置2は、気送管3を介して気送子1を受け取り、気送子1から採血管Tを取り出す。取出装置2は、採血管Tを取り出した後の気送子1を、気送管3を介して所定のステーションへ送り出す。また、取出装置2の下部には、気送子1から取り出された採血管Tを搬送するコンベヤ装置4が設けられている。取出装置2は、取り出した採血管Tをコンベヤ装置4上に排出する。
【0046】
なお、気送子1は、本体部10の長手方向が鉛直方向と一致する状態で、取出装置2内において移動させられ、及び採血管Tの取り出しが行われる。つまり、気送子1は、蓋11aが上方を向き且つ蓋11bが下方を向く状態、又は蓋11bが上方を向き且つ蓋11aが下方を向く状態で、取出装置2内において移動させられ、及び採血管Tの取り出しが行われる。また、気送子1の本体部10の長手方向が鉛直方向と一致する状態を、「気送子1が縦にされた状態」というように、「縦」の語句を用いて気送子1の向き(状態)を表すことがある。
【0047】
取出装置2は、搬送機構20、昇降機構30、移動機構40、蓋開閉機構(蓋移動機構)50、及び押出機構60を備えている。取出装置2が備える搬送機構20~押出機構60は、取出装置2のフレームに取り付けられている。また、取出装置2は、搬送機構20~押出機構60を覆うカバーを備えていてもよい。
図1及び
図2は、取出装置2の内部の概略構成を示すため、カバー及びフレーム等の図示が省略され、要部のみが示されている。他の図においても同様とする。
【0048】
搬送機構20は、気送管3を介して搬送されてきた気送子1を受け取る。また、搬送機構20は、採血管Tが取り出された後の気送子1を、気送管3を介して所定のステーションへ送り出す。
【0049】
昇降機構30は、搬送機構20の下方位置に設定された第1位置P1と、搬送機構20との間で気送子1を昇降させる。ここで、取出装置2内には、第1収容部R1、及び第2収容部R2が設けられている(
図1参照)。第1収容部R1及び第2収容部R2は、それぞれ気送子1を収容可能な空間を有している。また、第1収容部R1と第2収容部R2とは、気送子1を受け渡し可能(移動可能)に連通している。本実施形態において、第1収容部R1と第2収容部R2とは、平面視で互いに位置がずれている。また、第1収容部R1と第2収容部R2とは、水平方向に隣接している。
【0050】
第1収容部R1は、搬送機構20の下部に設けられている。昇降機構30は、第1収容部R1内に設定された第1位置P1と、搬送機構20との間で気送子1を昇降させる。つまり、第1収容部R1の上部が気送子1の投入口となり、搬送機構20から第1位置P1へ昇降機構30によって気送子1が移動させられる。
【0051】
第2収容部R2は、コンベヤ装置4の上方位置に設けられている。後述するように、第2収容部R2内で気送子1から採血管Tが取り出され、コンベヤ装置4上に排出される。つまり、第2収容部R2の下部が採血管Tの排出口となり、第2収容部R2から採血管Tが排出される。
【0052】
移動機構40は、取出装置2内において気送子1を移動させる。移動機構40は、第1収容部R1内の第1位置P1から、第2収容部R2内に設定された第2位置P2との間で気送子1を移動させる。なお、第2収容部R2内に設定された第2位置P2とは、気送子1から採血管Tの取り出しが行われる位置である。また、移動機構40は、第2位置P2から、気送子1の蓋11a及び11bを閉じるための第3位置P3へも気送子1をさらに移動させることができる。
【0053】
本実施形態において、第1位置P1、第2位置P2、及び第3位置P3は、水平方向に延在する同一直線状に並んでいる。第2位置P2は、第1位置P1と第3位置P3との間に位置している。移動機構40は、第1位置P1から第2位置P2へ気送子1を移動させ、第2位置P2から第3位置P3へ気送子1を移動させ、第3位置P3から第2位置P2を介して第1位置P1へ気送子1を移動させることができる。
【0054】
蓋開閉機構50は、移動機構40による気送子1の移動に伴って、気送子1の蓋11a及び11bを開閉する。蓋開閉機構50は、第2位置P2において気送子1から採血管Tを取り出し可能なように、気送子1の移動に伴って蓋11a及び11bを開ける。蓋開閉機構50は、採血管Tが取り出された後、気送子1の移動に伴って蓋11a及び11bを閉じる。
【0055】
押出機構60は、第2位置P2に位置する気送子1に押出棒61を挿入し、気送子1からコンベヤ装置4上に採血管Tを押し出す。コンベヤ装置4上に押し出された(排出された)採血管Tは、コンベヤ装置4によって検査装置等に向けて搬送される。
【0056】
次に、取出装置2内の各部の構成の詳細について説明する。
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、昇降機構30は、テーブル31、昇降部32、及びセンサ33を備えている。テーブル31には、縦にされた状態の気送子1が載置される。また、テーブル31は、載置された気送子1を、鉛直方向に沿った軸を回転軸として回転させることができる。昇降部32は、テーブル31を昇降させ、搬送機構20と第1位置P1との間で気送子1を移動させる。昇降部32におけるテーブル31を昇降させる構成については、特に限定されない。
【0057】
センサ33は、気送子1の回転位置を検出するセンサである。ここでの回転位置とは、気送子1の長手方向(ここでは鉛直方向)を軸とする回転方向の位置(向き)である。本実施形態において、センサ33は、気送子1の回転位置を検出するため、気送子1の外周面に取り付けられたマーク15を検出する。テーブル31は、センサ33によるマーク15の検出結果に基づいて、予め定められた回転位置となるように気送子1を回転させる。センサ33によるマーク15の検出及びテーブル31による気送子1の回転は、昇降部32による気送子1の降下中に行われる。
【0058】
図1及び
図10に示されるように、移動機構40は、縦にされた状態の気送子1の外周面を側方から把持し、気送子1を縦にされた状態のまま第1位置P1、第2位置P2、及び第3位置P3の各位置に移動させる。ここで以下では、説明の都合上、
図1に示されるように取出装置2を正面から見たときの取出装置2の手前側を「手前側」、取出装置2の奥側を「奥側」という(
図2及び
図10参照)。
【0059】
蓋11a及び11bの開閉動作の説明の都合上、
図10に示されるように気送子1は、蓋11aが上側且つ蓋11bが下側となるように縦にされた状態とする。但し、気送子1の上下の向きが逆の場合であっても、以下で説明する開閉動作と同様に蓋11a及び11bの開閉が行われる。また、昇降機構30によって第1位置P1に移動させられた気送子1は、蓋11aの揺動の軸となる揺動軸Saが手前側、蓋11bの揺動の軸となる揺動軸Sbが奥側に位置している。つまり、昇降機構30のテーブル31は、上述した予め定められた回転位置として、揺動軸Saが手前側且つ揺動軸Sbが奥側に位置するように気送子1を回転させる。
【0060】
移動機構40は、把持部41、駆動部42、及びガイドレール43を備えている。把持部41は、昇降機構30によって第1位置P1に配置されたテーブル31上の気送子1の外周面を側方から把持する。また、把持部41は、気送子1が第3位置P3から第1位置P1に到達した場合、気送子1の把持を解除し、気送子1を昇降機構30のテーブル31に載置する。
【0061】
ガイドレール43は、第1位置P1、第2位置P2、及び第3位置P3の並び方向に沿って直線的に水平に延在している。駆動部42は、ガイドレール43に沿って把持部41を移動させ、気送子1を第1位置P1、第2位置P2、及び第3位置P3の各位置に移動させる。なお、移動機構40は、駆動部42及びガイドレール43を用いて気送子1を移動させたが、気送子1を移動させる機構については特に限定されない。
【0062】
図10及び
図11に示されるように、蓋開閉機構50は、気送子1の蓋11a及び11bを、それぞれ閉鎖位置から開放位置に移動させる及び開放位置から閉鎖位置に移動させる。なお、
図10及び
図11では、説明に必要な構成要素のみが示され、他の要素については一部省略されている。他の図についても、説明に必要な構成要素のみが示されている場合がある。
【0063】
蓋開閉機構50は、移動機構40による第1位置P1から第2位置P2への気送子1の移動に伴って、蓋11a及び11bを閉鎖位置から開放位置に移動させる。つまり、気送子1の蓋11a及び11bは、気送子1が第1位置P1から第2位置P2に到着したときに開放位置に位置している。また、蓋開閉機構50は、移動機構40による第2位置P2から第3位置P3への気送子1の移動に伴って、蓋11a及び11bを開放位置から閉鎖位置に移動させる。
【0064】
より詳細には、蓋開閉機構50は、上側蓋開部51、下側蓋開部52、上側蓋閉ブロック(蓋閉ブロック)53、及び下側蓋閉ブロック(蓋閉ブロック)54を備えている。上側蓋開部51及び下側蓋開部52は、気送子1の蓋11a及び11bを閉鎖位置から開放位置に移動させる機構である。上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54は、気送子1の蓋11a及び11bを開放位置から閉鎖位置に移動させる機構である。
【0065】
まず、上側蓋開部51及び下側蓋開部52について説明する。上側蓋開部51(上側蓋開ブロック511)及び下側蓋開部52(下側蓋開ブロック521)は、第1位置P1から第2位置P2へ移動する気送子1の移動経路の途中に設けられている。なお、移動経路の途中に設けられていることとは、移動中の気送子1の蓋11a及び11bに、上側蓋開部51(上側蓋開ブロック511)及び下側蓋開部52(下側蓋開ブロック521)がそれぞれ当接可能な状態をいう。上側蓋開部51は、下側蓋開部52よりも上方の位置に設けられ、気送子1の蓋11aに当接することができる。下側蓋開部52は、気送子1の蓋11bに当接することができる。
【0066】
図12(a)~
図12(c)に示されるように、上側蓋開部51は、上側蓋開ブロック(蓋開けブロック)511、上側ブラケット512、圧縮バネ513、ロッド514、ストッパ515、及び揺動軸516を備えている。上側蓋開ブロック511は、移動機構40によって移動させられる気送子1の蓋11aに当接することにより、蓋11aを閉鎖位置から開放位置に移動させる。上側蓋開部51の上側蓋開ブロック511が、第1位置P1から第2位置P2へ移動する気送子1の移動経路の途中に設けられている。
【0067】
上側ブラケット512は、図示しない取出装置2のフレーム等に取り付けられ、揺動軸516周りに揺動可能に上側蓋開ブロック511を支持する。上側ブラケット512は、上側蓋開ブロック511における第2位置P2側の端部を揺動可能に支持している(
図11参照)。上側蓋開ブロック511は、揺動軸516周りに上下方向に揺動することができる。
【0068】
圧縮バネ513は、上側蓋開ブロック511と上側ブラケット512との間に配置されている。圧縮バネ513は、上側蓋開ブロック511を下方に向って付勢する。ロッド514の一方の端部は上側蓋開ブロック511の上面に取り付けられている。ロッド514の他方の端部は、上側ブラケット512に設けられた孔に通されている。また、ロッド514の他方の端部には、ストッパ515が取り付けられている。これにより、ロッド514及びストッパ515は、圧縮バネ513が上側蓋開ブロック511を下方に向って付勢するときの上側蓋開ブロック511の揺動の下方側の範囲を規定する。
【0069】
ここで、
図12(a)に示されるように、圧縮バネ513によって付勢され且つロッド514及びストッパ515によって揺動が規制されたときの上側蓋開ブロック511の位置を、蓋当接位置という。また、
図12(b)に示されるように、上側蓋開ブロック511が押し上げられたとき(圧縮バネ513が縮むように揺動したとき)の上側蓋開ブロック511の位置を、退避位置という。上側蓋開ブロック511は、蓋当接位置と退避位置との間で移動(揺動)することができる。
【0070】
なお、
図17に示されるように、上側蓋開ブロック511が蓋当接位置に位置している場合、上側蓋開ブロック511の第1位置P1側の端部(当接面511a)が気送子1の蓋11aに側方から当接することができる。また、
図27に示されるように、上側蓋開ブロック511が退避位置に位置している状態とは、上側蓋開ブロック511の下方の空間を気送子1が通過可能な状態である。すなわち、上側蓋開ブロック511が退避位置に位置している状態とは、気送子1が通る空間から退避した状態である。
【0071】
図12(a)に示されるように、上側蓋開ブロック511の下面のうち、第2位置P2側の部分は、第2位置P2側に近づくに従って高さが高くなる傾斜面511bとなっている。後述するように、傾斜面511bには、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の蓋11aが当接する。蓋11aが傾斜面511bに当接することにより、上側蓋開ブロック511が蓋当接位置から退避位置に揺動する。
【0072】
このように、
図11に示されるように傾斜面511bは、第3位置P3から第2位置P2を介して第1位置P1へ移動する気送子1の移動方向(
図11において右方向)と蓋11aの揺動軸Saの延在方向(
図11において上下方向)とに直交する方向(
図11の紙面手前から紙面奥側方向)に沿って見たときに、第3位置P3から第2位置P2を介して第1位置P1へ移動する気送子1の移動方向に対して傾斜している。
【0073】
図10に示されるように、上側蓋開ブロック511は、気送子1の蓋11aの揺動の軸となる揺動軸Saよりも奥側に設けられている。なお、
図10では、上側蓋開部51として、上側蓋開ブロック511の第1位置P1側の部分のみが示されている。
図10及び
図12(c)に示されるように、上側蓋開ブロック511における第1位置P1側の側面のうち、蓋11aに当接する当接面511aは、湾曲している。
【0074】
より詳細には、上側蓋開ブロック511において第1位置P1から第2位置P2へ移動する気送子1の蓋11aに当接する面(当接面511a)は、蓋11aの揺動軸Saの延在方向に沿って見たときに、第1位置P1から第2位置P2への気送子1の移動方向に対して湾曲している。すなわち、当接面511aは、第1位置P1から第2位置P2へ近づくに従って、手前側(揺動軸Sa側)に位置するように円弧状に湾曲している。
【0075】
図11に示されるように、下側蓋開部52は、下側蓋開ブロック(蓋開ブロック)521、下側ブラケット522、圧縮バネ523、ロッド524、ストッパ525、及び揺動軸526を備えている。下側蓋開部52は、上側蓋開部51の上下の向きを逆にしたものである。下側蓋開部52が備える下側蓋開ブロック521、下側ブラケット522、圧縮バネ523、ロッド524、ストッパ525、及び揺動軸526は、上側蓋開部51が備える上側蓋開ブロック511、上側ブラケット512、圧縮バネ513、ロッド514、ストッパ515、及び揺動軸516と同じであり、共通部分については説明を省略する。
【0076】
下側蓋開部52の下側蓋開ブロック521が、第1位置P1から第2位置P2へ移動する気送子1の移動経路の途中に設けられている。下側蓋開ブロック521は、上側蓋開ブロック511と同様に、蓋当接位置と退避位置との間で揺動(移動)することができる。
図11に示される下側蓋開ブロック521の位置が、蓋11bに側方から当接可能な当接位置である。
図11に示される下側蓋開ブロック521の状態から下方に揺動したときの下側蓋開ブロック521の位置が、退避位置である(
図27参照)。
【0077】
図11に示されるように、下側蓋開ブロック521は、上側蓋開ブロック511の傾斜面511bと同様に傾斜面521bを有している。傾斜面521bは、第2位置P2側に近づくに従って高さが低くなっている。後述するように、傾斜面521bには、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の蓋11bが当接する。蓋11bが傾斜面521bに当接することにより、下側蓋開ブロック521が蓋当接位置から退避位置に揺動する。
【0078】
このように、
図11に示されるように傾斜面521bは、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の移動方向(
図11において右方向)と蓋11bの揺動軸Sbの延在方向(
図11において上下方向)とに直交する方向(
図11の紙面手前から紙面奥側方向)に沿って見たときに、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の移動方向に対して傾斜している。
【0079】
図10に示されるように、下側蓋開ブロック521は、気送子1の蓋11bの揺動の軸となる揺動軸Sbよりも手前側に設けられている。なお、
図10では、下側蓋開部52として、下側蓋開ブロック521の第1位置P1側の部分のみが示されている。
図10に示されるように、下側蓋開ブロック521における第1位置P1側の側面のうち、蓋11bに当接する当接面521aは、湾曲している。
【0080】
より詳細には、下側蓋開ブロック521において第1位置P1から第2位置P2へ移動する気送子1の蓋11bに当接する面(当接面521a)は、蓋11bの揺動軸Sbの延在方向に沿って見たときに、第1位置P1から第2位置P2への気送子1の移動方向に対して湾曲している。すなわち、当接面521aは、第1位置P1から第2位置P2へ近づくに従って、奥側(揺動軸Sb側)に位置するように円弧状に湾曲している。
【0081】
次に、上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54について説明する。
図10に示されるように、上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54は、第2位置P2から第3位置P3へ移動する気送子1の移動経路の途中に設けられている。上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54は、図示しない取出装置2のフレーム等に固定的に取り付けられている。
【0082】
なお、移動経路の途中に設けられていることとは、移動中の気送子1の蓋11a及び11bに、上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54がそれぞれ当接可能な状態をいう。上側蓋閉ブロック53は、下側蓋閉ブロック54よりも上方の位置に設けられ、気送子1の蓋11aに当接することができる。下側蓋閉ブロック54は、気送子1の蓋11bに当接することができる。
【0083】
上側蓋閉ブロック53は、気送子1の蓋11aの揺動の軸となる揺動軸Saよりも手前側に設けられている。上側蓋閉ブロック53は、気送子1が第2位置P2から第3位置P3へ移動させられることに伴って、開放位置に位置する蓋11aに当接する。そして上側蓋閉ブロック53は、気送子1の移動に伴って、揺動軸Sa周りに蓋11aを揺動させ、蓋11aを閉鎖位置に移動させる。このように、上側蓋閉ブロック53は、移動機構40によって移動させられる気送子1の蓋11aに当接することにより、蓋11aを開放位置から閉鎖位置に移動させる。
【0084】
上側蓋閉ブロック53における第2位置P2側の側面のうち、蓋11aに当接する当接面53aは、湾曲している。より詳細には、上側蓋閉ブロック53において第2位置P2から第3位置P3へ移動する気送子1の蓋11aに当接する面(当接面53a)は、蓋11aの揺動軸Saの延在方向に沿って見たときに、第2位置P2から第3位置P3への気送子1の移動方向に対して湾曲している。すなわち、当接面53aは、第2位置P2から第3位置P3へ近づくに従って、奥側(揺動軸Sa側)に位置するように円弧状に湾曲している。
【0085】
下側蓋閉ブロック54は、気送子1の蓋11bの揺動の軸となる揺動軸Sbよりも奥側に設けられている。下側蓋閉ブロック54は、気送子1が第2位置P2から第3位置P3へ移動させられることに伴って、開放位置に位置する蓋11bに当接する。そして下側蓋閉ブロック54は、気送子1の移動に伴って、揺動軸Sb周りに蓋11bを揺動させ、蓋11bを閉鎖位置に移動させる。このように、下側蓋閉ブロック54は、移動機構40によって移動させられる気送子1の蓋11bに当接することにより、蓋11bを開放位置から閉鎖位置に移動させる。
【0086】
下側蓋閉ブロック54における第2位置P2側の側面のうち、蓋11bに当接する当接面54aは、湾曲している。より詳細には、下側蓋閉ブロック54において第2位置P2から第3位置P3へ移動する気送子1の蓋11bに当接する面(当接面54a)は、蓋11bの揺動軸Sbの延在方向に沿って見たときに、第2位置P2から第3位置P3への気送子1の移動方向に対して湾曲している。すなわち、当接面54aは、第2位置P2から第3位置P3へ近づくに従って、手前側(揺動軸Sb側)に位置するように円弧状に湾曲している。
【0087】
図1及び
図13に示されるように、押出機構60は、第2位置P2の上方位置に設けられている。押出機構60は、第1位置P1から第2位置P2に移動させられた気送子1に対し、気送子1の複数のパイプ12c内に上から複数の押出棒61をそれぞれ挿入して、パイプ12c内の採血管Tを下向きに押し出す。なお、第1位置P1から第2位置P2に移動させられた気送子1は、本体部10の端部開口10a(一方の端部開口)が上方を向き、本体部10の端部開口10b(他方の端部開口)が下方を向くように、移動機構40によって支持されている。また、気送子1の蓋11a及び11bは、それぞれ開放位置に位置している。このため、押出機構60は、気送子1のパイプ12c内に押出棒61を挿入し、採血管Tを押し出すことができる。
【0088】
より詳細には、押出機構60は、複数の押出棒61、保持部62、及び昇降部63を備えている。複数の押出棒61は、上下方向に沿って延在するように配置され、気送子1の複数のパイプ12c内にそれぞれ挿入される。複数の押出棒61は、本実施形態では、パイプ12cと同じ本数である9本設けられている。押出棒61の上端部は、保持部62によって保持されている。つまり、複数の押出棒61は、保持部62によって一体化されている。複数の押出棒61は、気送子1に設けられた複数のパイプ12cのそれぞれに挿入可能なように配置されている。
【0089】
また、押出棒61の下端部の太さは、パイプ12cの内周面と採血管Tとの隙間の長さよりも大きい。これにより、押出棒61は、パイプ12c内に挿入されたときに、採血管Tをより確実に押し出すことができる。押出棒61の下端部は、パイプ12c内に容易に挿入可能なように、下端部に進むに従って径が小さくなるテーパ形状を呈していてもよい。
【0090】
昇降部63は、保持部62を上下方向に移動させる一つの駆動源63aを備えている。これにより、押出機構60は、一つの駆動源63aを備えることによって、複数の押出棒61を一体として上下させることができる。
【0091】
図13、
図14、及び
図15に示されるように、押出機構60は、押出棒61を下方に徐々に移動させる。これにより、押出機構60は、第2位置P2に位置する気送子1のパイプ12c内から、採血管Tを下方に向けて押し出し、コンベヤ装置4上に排出することができる。ここでは、昇降部63は、パイプ12c内で採血管Tを保持するためにブラシ13によって付与された摩擦力に打ち勝つように、押出棒61を移動させる。
【0092】
押出棒61の長さは、パイプ12c内の採血管Tを全て押し出し可能な長さとなっている。また、複数の押出棒61の少なくともいずれかは、下端部の高さ位置が他の押出棒61の下端部の高さ位置と異なっている。つまり、複数の押出棒61の下端部の高さ位置は、互いに同じではない。
【0093】
本実施形態において、複数の押出棒61の下端部の高さ位置は、コンベヤ装置4における採血管Tの搬送方向下流側の方が搬送方向上流側よりも下方に位置している。すなわち、本実施形態において、押出棒61の長さは、コンベヤ装置4における採血管Tの搬送方向下流側の方が搬送方向上流側よりも長い。
【0094】
昇降部63は、パイプ12c内の採血管Tを全て下方に押し出すことができる高さ位置まで、複数の押出棒61(保持部62)を下方に移動させる。なお、上述したように、押出棒61の下端部の太さは、パイプ12cの内周面と採血管Tとの隙間よりも大きい。このため、昇降部63が、全ての採血管Tを下方に押し出すことができる高さ位置まで押出棒61を下方に移動させた場合、パイプ12c内には採血管Tが残っていない。
【0095】
つまり、押出機構60は、全ての採血管Tを下方に押し出すことができる高さ位置まで押出棒61を下方に移動させることにより、パイプ12c内に採血管Tが残存していないと判定することができる。これにより、押出機構60は、パイプ12c内に採血管Tが残存しているか否かを検出するための別途のセンサが不要となる。
【0096】
次に、取出装置2に搬送された気送子1から採血管Tを取り出し、採血管Tが取り出された後の気送子1を搬出する処理を行うときの取出装置2の各部の一連の動きについて説明する。ここでは、採血管Tを収容した気送子1が、気送管3を介して取出装置2の搬送機構20に到着したところから説明する。
【0097】
搬送機構20に気送子1が到着すると、昇降機構30は、
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、搬送機構20内の気送子1を第1位置P1に移動させる。その際、昇降機構30は、気送子1の回転位置が予め定められた回転位置となるように、テーブル31を回転させる。
【0098】
つぎに、
図10に示されるように、移動機構40は、第1位置P1に位置する気送子1の本体部10の側面を把持し、第1位置P1から第2位置P2へ向かって気送子1の移動を開始する。この第1位置P1から第2位置P2への移動の途中において、
図16及び
図17に示されるように、上側蓋開ブロック511の当接面511aが気送子1の蓋11aに当接し、下側蓋開ブロック521の当接面521aが気送子1の蓋11bに当接する。
【0099】
移動機構40が気送子1の本体部10を第2位置P2に向ってさらに移動させると、
図18に示されるように、蓋11aは、上側蓋開ブロック511に押し当てられることによって、揺動軸Sa周りに閉鎖位置から開放位置に向って移動する。同様に、蓋11bは、
図19に示されるように、下側蓋開ブロック521に押し当てられることによって、揺動軸Sb周りに閉鎖位置から開放位置に向って移動する。なお、
図19は、蓋11bを示すため、蓋11bより上方に位置する本体部10及び蓋11a等の部材の図示が省略されている。蓋11bの揺動の様子を示す他の図においても同様とする。
【0100】
なお、蓋当接位置に位置している状態において上側蓋開ブロック511は、当接面511aに蓋11aが当接しても揺動せず、蓋当接位置に位置している状態を維持する。同様に、蓋当接位置に位置している状態において下側蓋開ブロック521は、当接面521aに蓋11bが当接しても揺動せず、蓋当接位置に位置している状態を維持する。これにより、上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521は、それぞれ蓋11a及び11bに当接し続け、蓋11a及び11bを揺動軸Sa及びSb周りにそれぞれ揺動させることができる。
【0101】
移動機構40がさらに気送子1の本体部10を移動させ、気送子1(本体部10)が第2位置P2に到達すると、
図20及び
図21に示されるように、蓋11a及び11bが開放位置まで移動した状態(完全に開いた状態)となる。このように、移動機構40は、第1位置P1から第2位置P2へ気送子1を移動させることにより、上側蓋開部51及び下側蓋開部52を用いて蓋11a及び11bを閉鎖位置から開放位置に移動させることができる。
【0102】
なお、上述したように、上側蓋開ブロック511の当接面511aが円弧状に湾曲している。このため、上側蓋開ブロック511は、湾曲する当接面511aに沿って、蓋11aを閉鎖位置から開放位置に滑らかに移動させることができる。また、上側蓋開ブロック511は、湾曲する当接面511aの形状を適宜に設計すれば、蓋11aが開く速度を開く途中で変更することができる。
【0103】
同様に、下側蓋開ブロック521の当接面521aが円弧状に湾曲している。このため、下側蓋開ブロック521は、湾曲する当接面521aに沿って、蓋11bを閉鎖位置から開放位置に滑らかに移動させることができる。また、下側蓋開ブロック521は、湾曲する当接面521aの形状を適宜に設計すれば、蓋11bが開く速度を開く途中で変更することができる。
【0104】
上側蓋開ブロック511は、蓋11aを開放位置まで移動させた後は、蓋11aに当接しない。同様に、下側蓋開ブロック521は、蓋11bを開放位置まで揺動させた後は、蓋11bに当接しない。これにより、気送子1は、第1位置P1から第2位置P2への移動の途中で上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521によって蓋11a及び11bが開放位置まで移動させられた後、第2位置P2まで移動できる。このように、第2位置P2に到着した気送子1は、蓋11a及び11bが開放位置に移動させられた状態となっている。
【0105】
なお、採血管Tは、ブラシ13によってパイプ12cの内周面に付勢されることにより、摩擦力によってパイプ12c内に保持されている。このため、気送子1の下方の蓋11bが閉鎖位置から開放位置に移動しても、採血管Tは落下しない。しかしながら、ブラシ13の付勢力が低下した等の理由により、気送子1が縦にされた状態で下方の蓋11bが開放位置となったときに、自重によって採血管Tがパイプ12c内から落下することも考えられ得る。本実施形態の取出装置2は、コンベヤ装置4上に設けられた第2位置P2に到達する前に蓋11bを開け始める。このため、採血管Tが自重で落下する状態であっても、コンベヤ装置4上に落下するようにできるだけ遅く採血管Tを落下させることができるとよい。
【0106】
本実施形態における気送子1は、上述したように、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢する。つまり、採血管Tは、パイプ12c内において複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って偏っている。このため、
図22に示されるように、気送子1の下端部の蓋11bが開き始めた直後においても、採血管Tが中央側に偏っているために即座に落下しない(なお、
図22では採血管Tが省略されているが、採血管Tは、複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って偏っている)。このように、気送子1は、万が一採血管Tが自重で落下する状態になっていたとしても、蓋11bが開き始めた直後に採血管Tが落下することを抑制し、できるだけコンベヤ装置4上で採血管Tを落下させることができる。
【0107】
なお、ここでは蓋11bが下方に位置している場合を例に説明したが、蓋11aが下方に位置している場合であっても同様に、気送子1は、蓋11aが開き始めた直後に採血管Tが落下することを抑制できる。また、取出装置2は、自重で落下する採血管Tをコンベヤ装置4上に誘導するための誘導板等を備えていてもよい。
【0108】
気送子1が第2位置P2に到着すると、
図13~
図15を用いて説明したように押出機構60は、押出棒61を下方に移動させて気送子1のパイプ12c内に挿入し、パイプ12c内から採血管Tを下向きに押し出す。これにより、押し出された採血管Tは、コンベヤ装置4上に落下し、コンベヤ装置4によって搬送される。採血管Tの押し出し後、押出機構60の昇降部63は、保持部62を上昇させる。これにより、パイプ12c内から押出棒61が上側に引き抜かれる。
【0109】
採血管Tが取り出された後、移動機構40は、
図23及び
図24に示されるように、気送子1を第2位置P2から第3位置P3へ移動させる。この第2位置P2から第3位置P3への移動の途中において、上側蓋閉ブロック53の当接面53aが気送子1の蓋11aに当接し、下側蓋閉ブロック54の当接面54aが気送子1の蓋11bに当接する。
【0110】
移動機構40が気送子1の本体部10を第3位置P3に向ってさらに移動させると、蓋11aは、上側蓋閉ブロック53に押し当てられることによって、揺動軸Sa周りに開放位置から閉鎖位置に向って移動する。同様に、蓋11bは、下側蓋閉ブロック54に押し当てられることによって、揺動軸Sb周りに開放位置から閉鎖位置に向って移動する。
【0111】
移動機構40がさらに気送子1の本体部10を移動させ、気送子1が第3位置P3に到達すると、
図25及び
図26に示されるように、蓋11a及び11bが閉鎖位置まで移動した状態となる。このように、移動機構40は、第2位置P2から第3位置P3へ気送子1を移動させることにより、上側蓋閉ブロック53及び下側蓋閉ブロック54を用いて蓋11a及び11bを開放位置から閉鎖位置に移動させる(完全に閉じた状態にする)ことができる。
【0112】
なお、上述したように、上側蓋閉ブロック53の当接面53aが円弧状に湾曲している。このため、上側蓋閉ブロック53は、湾曲する当接面53aに沿って、蓋11aを開放位置から閉鎖位置に滑らかに移動させることができる。また、上側蓋閉ブロック53は、湾曲する当接面53aの形状を適宜に設計すれば、蓋11aが閉じる速度を閉じる途中で変更することができる。
【0113】
同様に、下側蓋閉ブロック54の当接面54aが円弧状に湾曲している。このため、下側蓋閉ブロック54は、湾曲する当接面54aに沿って、蓋11bを開放位置から閉鎖位置に滑らかに移動させることができる。また、下側蓋閉ブロック54は、湾曲する当接面54aの形状を適宜に設計すれば、蓋11bが閉じる速度を閉じる途中で変更することができる。
【0114】
気送子1が第3位置P3に到着すると、移動機構40は、気送子1を第3位置P3から第2位置P2を介して第1位置P1へ移動させる。ここで、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の移動経路の途中には、上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521が設けられている。
【0115】
図27に示されるように、第2位置P2から第1位置P1への移動の途中において、気送子1の蓋11aは、上側蓋開ブロック511の傾斜面511bに当接する。そして、蓋11aは、移動機構40がさらに気送子1を移動させることに伴って、上側蓋開ブロック511を蓋当接位置か退避位置に押し上げる(移動させる)。このように、上側蓋開ブロック511は、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の蓋11aに当接し、蓋11aによって付勢されることにより、蓋当接位置から退避位置に移動させられる。
【0116】
同様に、第2位置P2から第1位置P1への移動の途中において、気送子1の蓋11bは、下側蓋開ブロック521の傾斜面521bに当接する。そして、蓋11bは、移動機構40がさらに気送子1を移動させることに伴って、下側蓋開ブロック521を蓋当接位置から退避位置に押し下げる(移動させる)。このように、下側蓋開ブロック521は、第2位置P2から第1位置P1へ移動する気送子1の蓋11bに当接し、蓋11bによって付勢されることにより、蓋当接位置から退避位置に移動させられる。
【0117】
なお、
図4(a)及び
図5(a)を用いて説明したように、蓋11a及び11bは、閉鎖位置から開放位置へ向かって一方向にしか移動(揺動)できない。第2位置P2から第1位置P1へ気送子1が移動させられる際に、傾斜面511bに当接することによって蓋11aが付勢される向きは、蓋11aが開き方向に移動できない向き(移動が規制されている向き)である。このため、蓋11aは、傾斜面511bに当接したときに開き方向に移動することなく、傾斜面511bの傾斜に沿って上側蓋開ブロック511を退避位置に押し上げることができる。
【0118】
同様に、第2位置P2から第1位置P1へ気送子1が移動させられる際に、傾斜面521bに当接することによって蓋11bが付勢される向きは、蓋11bが開き方向に移動できない向き(移動が規制されている向き)である。このため、蓋11bは、傾斜面521bに当接したときに開き方向に移動することなく、傾斜面521bの傾斜に沿って下側蓋開ブロック521を退避位置に押し下げることができる。上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521がそれぞれ退避位置に移動させられた状態で、気送子1は、上側蓋開部51と下側蓋開部52との間を通過することができる。
【0119】
気送子1が第1位置P1に到着すると、移動機構40は、気送子1の把持を解除し、気送子1を昇降機構30のテーブル31に載置する。このとき、テーブル31は気送子1を回転させ、気送子1のマーク15をセンサ33に対向させても構わない。昇降機構30は、テーブル31を上昇させて気送子1を搬送機構20に搬送する。その後、気送子1は、気送管3を介して搬送元のステーションへ戻される。
【0120】
このように、取出装置2は、搬送された気送子1内から採血管Tを自動で取り出し、採血管Tが取り出された後の気送子1を、搬送元のステーションへ戻すことができる。
【0121】
以上のように、気送管システムAに用いられる気送子1は、採血管Tを付勢するブラシ13により、摩擦力によって採血管Tを保持することができる。これにより、気送子1は、気送管システムAにおける搬送中において採血管Tを安定して保持できる。
【0122】
気送子1においてブラシ13は、パイプ12cの内周面において周方向の1箇所にのみ取り付けられている。この場合、気送子1は、ブラシ13とパイプ12cの内周面とによって採血管Tを挟み込んで保持することができる。
【0123】
ブラシ13は、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢している。この場合、採血管Tは、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、本体部10の端部開口10a及び10bの中央位置に寄った状態となる。これにより、気送子1では、蓋11a及び11bが鎖位置から開放位置に向って移動を開始して端部開口10a及び10bが端の方から徐々に開き始めたときに、端部開口10a及び10bから採血管Tが露出し始めるタイミングを遅くすることができる。これにより、気送子1は、例えばブラシ13による採血管Tの保持力(付勢力)が弱まっている場合であっても、蓋11a及び11bが開き始めたときに採血管Tがパイプ12cから即座に落下することを抑制できる。
【0124】
気送子1は、パイプ12cの内周面から内側に向って延びる樹脂製のブラシ13によって採血管Tを容易に保持することができる。
【0125】
ブラシ13は、パイプ12cの延在方向の全長にわたって設けられていている。この場合、気送子1は、パイプ12c内に複数の採血管Tが一列に並べて収容される場合であっても、これらの採血管Tをブラシ13によって保持できる。
【0126】
取出装置2は、パイプ12c内に上から押出棒61を挿入して採血管Tを下向きに押し出す押出機構60を備えている。これにより、取出装置2は、パイプ12c内において摩擦力によって保持された採血管Tを押出棒61によって押し出し、パイプ12c内から採血管Tを取り出すことができる。
【0127】
気送子1は、複数本のパイプ12cを備えている。押出機構60は、複数のパイプ12cのそれぞれに挿入される複数の押出棒61と、複数の押出棒61を一体として上下させる昇降部63とを備えている。この場合、取出装置2は、気送子1が複数本のパイプ12cを備える場合であっても、複数の押出棒61を一体として上下させることによって、複数のパイプ12c内から採血管Tを容易に取り出すことができる。
【0128】
取出装置2おいて、複数の押出棒61の少なくともいずれかは、下端部の高さ位置が他の押出棒61の下端部の高さ位置と異なっている。これにより、取出装置2は、気送子1のパイプ12c内から採血管Tを押し出すタイミングを制御することができる。
【0129】
本実施形態において、押出棒61の下端部の高さ位置は、コンベヤ装置4の搬送方向下流側の方が搬送方向上流側よりも下方に位置している。この場合、取出装置2は、複数本のパイプ12c内から採血管Tを押し出してコンベヤ装置4上に落下させる際に、コンベヤ装置4の搬送方向下流側から先に採血管Tを落下させ、コンベヤ装置4上において先に搬送させることができる。これにより、取出装置2は、複数本のパイプ12c内から採血管Tをコンベヤ装置4上に落下させたときに、コンベヤ装置4上おいて採血管Tをばらけさせることができる。
【0130】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図28に示されるように、複数のブラシ13のうちの一部のブラシ(ここでは、ブラシ13Aとする)が、本体部10の外側に向って延びていてもよい。
図28では、図中の右下及び左上のブラシ13Aが、それぞれ本体部10の外側を向いている。ブラシ13Aは、本体部10の外側に向って採血管Tを付勢する。なお、上述した「複数のブラシ13は、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢する。」こととは、複数のブラシ13のうちの半分以上のブラシが、中央側に向って採血管Tを付勢する構成であればよい。つまり、
図28に示されるように、ブラシ13として外側を向くブラシ13Aを2つ備える場合であっても、全体の半分以上のブラシ13がパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢する。このため、
図28に示される構成は、「複数のブラシ13は、パイプ12cの延在方向に沿って見たときに、集められた複数本のパイプ12cの集合体の中央側に向って採血管Tを付勢する。」構成に含まれる。
【0131】
上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521は、蓋当接位置から退避位置へ移動するときに上下方向に移動したが、上下方向に移動することに限定されない。例えば、上側蓋開ブロック511及び下側蓋開ブロック521は、それぞれ蓋11a及び11bに付勢されることによって鉛直方向に沿って延在する揺動軸周りに揺動することにより、蓋当接位置から退避位置へ移動してもよい。
【0132】
気送子1は、ブラシ13によって採血管Tを付勢することに限定されない。気送子1は、パイプ12cの内周面から内側に突出する弾性変形可能な保持部材(摩擦部材)によって採血管Tを付勢し、摩擦力によって保持してもよい。このように、気送子1は、採血管Tを付勢して摩擦力によって保持することができれば、ブラシ13以外の種々の部材(摩擦部材)を用いることができる。
【0133】
気送子1において、収容部12と係合する係合機構14の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、係合機構14は、側面蓋14bを用いることに限定されず、押下されることによって移動し、解除操作力を係合部に伝達する押しボタン状の部材(解除力伝達部)であってもよい。
【0134】
気送子1は、採血管Tを収容することに限定されず、採血管T以外の管状容器を収容することもできる。
【0135】
上側蓋開ブロック511の当接面511a、下側蓋開ブロック521の当接面521a、上側蓋閉ブロック53の当接面53a、及び下側蓋閉ブロック54の当接面54aの湾曲の形状は、気送子1の移動に伴う蓋11a及び11bの開閉速度等に応じて適宜設定されればよい。
【符号の説明】
【0136】
1…気送子、2…取出装置、4…コンベヤ装置、10…本体部、10a、10b…端部開口、11a,11b…蓋、12…収容部、12c…パイプ、13…ブラシ(摩擦部材)、50…蓋開閉機構(蓋移動機構)、60…押出機構、61…押出棒、63a…駆動源、A…気送管システム、R…内部空間、T…採血管(管状容器)。