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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074567
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】蓋支持具
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/00 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
B65D55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187539
(22)【出願日】2021-11-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月10日~令和3年11月12日の間にジャペル株式会社内にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】393022746
【氏名又は名称】ジェックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 周裕
(72)【発明者】
【氏名】山崎 皓也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA24
3E084AA32
3E084BA01
3E084CC03
3E084FD01
3E084JA20
(57)【要約】
【課題】蓋上方からの外力によるガタつきを抑制可能な蓋支持具を提供する。
【解決手段】蓋支持具1は、飼育容器10の側壁部11の上端に係止される係止部2と、係止部2の上方に配置され、飼育容器10を覆う蓋20を挟み込むことが可能な挟込部3と、を備え、挟込部3は、平坦面31aを有する下側片31と、平坦面31aに対し傾斜し、平坦面31aとで蓋20を挟むことが可能な傾斜面32aを有する上側片32と、を備え、上側片32は、下側片31よりも弾性変形しやすく形成され、平坦面31a及び傾斜面32aは、平面視において係止部2と重なる部分を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育容器の側壁部の上端に係止される係止部と、
前記係止部の上方に配置され、前記飼育容器を覆う蓋を挟み込むことが可能な挟込部と、を備え、
前記挟込部は、平坦面を有する下側片と、前記平坦面に対し傾斜し、前記平坦面とで前記蓋を挟むことが可能な傾斜面を有する上側片と、を備え、
前記上側片は、前記下側片よりも弾性変形しやすく形成され、
前記平坦面及び前記傾斜面は、平面視において前記係止部と重なる部分を有する、蓋支持具。
【請求項2】
前記下側片の先端面は、前記上側片の先端面と実質的に面一である、請求項1に記載の蓋支持具。
【請求項3】
前記蓋と前記側壁部との隙間を調整可能な調整手段を備える、請求項1又は2に記載の蓋支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼育容器を覆う蓋を支持するための蓋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図9(a)に示すように、飼育容器10の側壁部11の上端に係止される係止部91と、係止部91の上方に配置され、飼育容器10の蓋20を挟み込むことが可能な挟込部92と、を備える、蓋支持具90が例示されている。
【0003】
挟込部92は、水平面に対し傾斜して延びる下側片921と、水平方向に延びる上側片922と、を備えており、下側片921の先端部と上側片922の先端部との隙間は蓋20より狭くなっている。これにより、蓋20を挟込部92で挟み込むことができる。その結果、蓋20を挟込部92で挟み込んだ状態で係止部91を側壁部11の上端に係止させることによって、蓋20を飼育容器10に容易に取り付けることができる。
【0004】
ところで、挟込部92で蓋20を挟み込んだ際、蓋20は、挟込部92の先端側で挟持されている。そのため、図9(b)に示すように、蓋20に上方から外力F1が加えられた際、下側片921の先端部に下方向の力が加わり、蓋支持具90に係止部91を中心とするモーメント力が発生する。これにより、蓋支持具90が回転して、ガタつく恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-357614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、蓋上方からの外力によるガタつきを抑制可能な蓋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
蓋支持具は、飼育容器の側壁部の上端に係止される係止部と、前記係止部の上方に配置され、前記飼育容器を覆う蓋を挟み込むことが可能な挟込部と、を備え、前記挟込部は、平坦面を有する下側片と、前記平坦面に対し傾斜し、前記平坦面とで前記蓋を挟みことが可能な傾斜面を有する上側片と、を備え、前記上側片は、前記下側片よりも弾性変形しやすく形成され、前記平坦面及び前記傾斜面は、平面視において前記係止部と重なる部分を有する。
【0008】
斯かる構成によれば、蓋を挟込部で係止部の上方まで挟み込ませることができる。これにより、蓋支持具で支持した蓋が飼育容器に取り付けられた状態で上方から蓋に外力が加えられた際、蓋支持具にモーメント力が発生し難くすることができる。その結果、蓋上方からの外力による蓋支持具のガタつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る蓋支持具の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る蓋支持具の正面図である。
図3図3は、同実施形態に係る蓋支持具の側面図である。
図4図4は、同実施形態に係る蓋支持具で蓋を支持した状態を示す側面図である。
図5図5は、同実施形態に係る蓋支持具において、調整手段で蓋と側壁部との隙間を調整した状態を示す側面図である。
図6図6は、他の実施形態に係る蓋支持具の側面図である。
図7図7は、他の実施形態に係る蓋支持具の側面図である。
図8図8は、他の実施形態に係る蓋支持具の側面図である。
図9図9は、従来の蓋支持具の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る蓋支持具について、図1図5を参照しながら説明する。なお、各図(図6図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0011】
図4に示すように、本実施形態に係る蓋支持具1が支持する蓋20が取り付けられる飼育容器10は、生物を飼育するための容器である。生物としては、例えば、金魚、メダカ、熱帯魚などの観賞魚、カメなどの爬虫類、イモリなどの両生類などが挙げられる。
【0012】
飼育容器10は、底壁部(不図示)と、底壁部の外周縁から立設すると共に上端部に開口を有する側壁部11と、を備える。側壁部11の上端部は、上下方向に沿って延びている。飼育容器10は、ガラス板や樹脂製板などによって形成されている。
【0013】
蓋20は、蓋20の上方から飼育容器10内にゴミなどが入り込むことを防止する観点から、側壁部11の外周縁と同じ大きさであることが好ましい。蓋20の少なくとも四隅を蓋支持具1で支持させることによって、飼育容器10に蓋20を安定して取り付けることができる。蓋20は、ガラス板や樹脂製板などによって形成されている。
【0014】
図1図4に示すように、蓋支持具1は、弾性を有する透明な樹脂で形成されていることが好ましい。透明とすることで、蓋20を蓋支持具1で支持させて飼育容器10に取り付けた際、蓋支持具1が目立たないようにすることができる。これにより、蓋支持具1を用いることによる、飼育容器10の美観の悪化を抑えることができる。材質を樹脂とすることで、蓋支持具1を複雑な形状にすることができ、且つ、後述する蓋支持具1の挟込部3を弾性変形させて蓋20を嵌め込ませることができる。樹脂としては、例えば、PS、ABSやPCなどの合成樹脂が挙げられる。なお、蓋支持具1は、例えば、木材や金属で形成されていてもよい。
【0015】
蓋支持具1の幅W1は、15mm~40mmであることが好ましい。幅W1を15mm以上とすることによって、蓋支持具1の強度を確保することができ、幅W1を40mm以下とすることによって、挟込部3(後述する上側片32)が弾性変形しやすくなり、蓋20を挟込部3に挟み込ませる作業が容易になる。
【0016】
蓋20を蓋支持具1で支持させて飼育容器10に取り付けることによって、蓋20と側壁部11との間に隙間を設けることができる。これにより、飼育容器10内の空気を循環させることができ、飼育容器10内にカビ、コケや結露などが発生すること防止することができる。
【0017】
蓋支持具1は、飼育容器10の側壁部11の上端に係止される係止部2と、係止部2の上方に配置され、飼育容器10を覆う蓋20を挟み込むことが可能な挟込部3と、を備える。本実施形態において、係止部2は、側面視において略U字状に形成されているが、これに限られない。
【0018】
係止部2は、水平方向に沿って延びる水平部21と、水平部21の内側端から下方向に沿って延びる内側脚片22と、水平部21の外側端から下方向に沿って延びる外側脚片23と、を備える。水平部21の内側端は、係止部2を側壁部11の上端に係止させた状態において飼育容器10の内側に位置する。水平部21の外側端は、係止部2を側壁部11の上端に係止させた状態において飼育容器10の外側に位置する。
【0019】
内側脚片22及び外側脚片23は、それぞれ対向して配置されている。内側脚片22及び外側脚片23は、それぞれ水平部21と実質的に直交している。実質的に直交とは、直交であることのみを意味せず、5度以下の角度のズレを含む。
【0020】
本実施形態において、内側脚片22の上下方向の長さは、外側脚片23の上下方向の長さと実質的に同じであるが、これに限られない。例えば、内側脚片22の上下方向の長さは、外側脚片23の上下方向の長さよりも小さくてもよい。実質的に同じとは、各寸法が同じであることのみを意味せず、2mm以下の寸法差も含む。
【0021】
挟込部3は、平坦面31aを有する下側片31と、平坦面31aに対し傾斜する傾斜面32aを有する上側片32と、内側脚片22から下側片31まで延びる内側延長片33と、外側脚片23から上側片32まで延びる外側延長片34と、を備える。本実施形態において、内側延長片33は、内側脚片22から上方向に沿って延び、外側延長片34は、外側脚片23から上方向に沿って延びているが、これに限られない。下側片31及び上側片32は、それぞれ対向して配置されている。
【0022】
下側片31は、内側延長片33から突出する突出部311と、突出部311と外側延長片34とを接続する接続部312と、を備える。突出部311の上面及び接続部312の上面は、面一であり、突出部311の上面と接続部312の上面とによって、平坦面31aが形成されている。平坦面31aは、平面のみを意味せず、曲率半径が大きい面(例えば、曲率半径が1000mm以上)やそれと近似する面も含む。平坦面31aは、平面視において係止部2(水平部21)と重なる部分を有している。
【0023】
突出部311は、水平部21と実質的に平行に延びている。実質的に平行とは、平行であることのみを意味せず、5度以下の角度のズレを含む。突出部311の突出長さは、蓋20のサイズなどによって適宜設定される。
【0024】
接続部312を設けることによって、下側片31を弾性変形し難くすることができる。本実施形態において、接続部312は、リブ状に形成され、突出部311、内側延長片33、外側延長片34及び水平部21のそれぞれに接続されているが、これに限られない。接続部312をリブ状に形成することにより、内側延長片33が短い場合でも、厚肉や隙間不足による水平部21及び接続部312の成形不良を生じ難くすることができる。
【0025】
上側片32は、外側延長片34から内側延長片33(内側脚片22や突出部311)側に突出している。上側片32の突出長さは、下側片31(突出部311)の突出長さよりも長い。これにより、上側片32を下側片31(突出部311)よりも弾性変形しやすくすることができる。図4においては、弾性変形後の上側片32を実線で示し、弾性変形前の上側片32を二点鎖線で示している。
【0026】
上側片32の下面には、傾斜面32aが形成されている。傾斜面32aは、上側片32の先端部近傍から外側延長片34の近傍まで斜め上方向に延びる面である。傾斜面32aと平坦面31aとの最小隙間D1は、蓋20の厚みよりも小さい。傾斜面32aと平坦面31aとの隙間は、外側延長片34に向かって大きくなっている。これにより、上側片32を弾性変形させて、蓋20を挟込部3に挟み込むことができる。
【0027】
傾斜面32aは、平面視において係止部2と重なる部分を有している。本実施形態において、傾斜面32aは、平面であるが、これに限られない。例えば、傾斜面32aは、曲面であってもよい。
【0028】
上側片32は、蓋20の挟み込みを容易にするための案内斜面32bを備える。案内斜面32bは、傾斜面32aから上側片32の先端面32cまで延びている。案内斜面32bは、先端面32cに向かって斜め上方向に傾斜していることが好ましい。なお、上側片32は、案内斜面32bを備えない、という構成であってもよい。その場合、傾斜面32aは、上側片32の先端面32cまで延びる。
【0029】
下側片31(突出部311)の先端面31bは、上側片32の先端面32cと実質的に面一であることが好ましい。実質的に面一とは、各平面が同一平面上にあることのみを意味せず、2mm以下の段差及び5度以下の角度のズレを含む。
【0030】
図5に示すように、蓋支持具1は、蓋20と側壁部11との隙間を調整可能な調整手段4を備える。本実施形態において、調整手段4は、平板状のシリコーンゴムである。シリコーンゴムを水平部21と側壁部11との間に配置することによって、蓋20と側壁部11との隙間を調整することができる。調整手段4をシリコーンゴムとすることにより、蓋支持具1と側壁部11とがズレ難くすることができる。シリコーンゴムの厚みや枚数は、蓋20と側壁部11との必要な隙間によって適宜設定される。なお、蓋支持具1は、調整手段4を備えない、という構成であってもよい。
【0031】
以上より、本実施形態のように、蓋支持具1は、飼育容器10の側壁部11の上端に係止される係止部2と、係止部2の上方に配置され、飼育容器10を覆う蓋20を挟み込むことが可能な挟込部3と、を備え、挟込部3は、平坦面31aを有する下側片31と、平坦面31aに対し傾斜し、平坦面31aとで蓋20を挟み込むことが可能な傾斜面32aを有する上側片32と、を備え、上側片32は、下側片31よりも弾性変形しやすく形成され、平坦面31a及び傾斜面32aは、平面視において係止部2と重なる部分を有する。
【0032】
斯かる構成によれば、蓋20を挟込部3で係止部2の上方まで挟み込ませることができる。これにより、蓋支持具1で支持した蓋20が飼育容器10に取り付けられた状態で上方から蓋20に外力が加えられた際、蓋支持具1にモーメント力が発生し難くすることができる。その結果、蓋20の上方からの外力による蓋支持具1のガタつきを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る蓋支持具1のように、下側片31の先端面31bは、上側片32の先端面32cと実質的に面一である、という構成が好ましい。
【0034】
斯かる構成によれば、下側片31の先端面31bと上側片32の先端面32cとを実質的に面一とすることにより、蓋支持具1の美観を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態のように、蓋支持具1は、蓋20と側壁部11との隙間を調整可能な調整手段4を備える、という構成が好ましい。
【0036】
斯かる構成によれば、調整手段4によって蓋20と側壁部11との隙間を調整することができる。これにより、飼育容器10内の湿度を調整することができ、飼育容器10で飼育する生物によって蓋20と側壁部11との隙間を調整することができる。また、例えば、飼育容器10内に配置する器具のチューブやコードの太さなどによって蓋20と側壁部11との隙間を調整することができる。
【0037】
なお、蓋支持具1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、蓋支持具1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0038】
(1)本実施形態において、挟込部3は、内側延長片33を備える、という構成であるが、これに限られない。例えば、図6に示すように、挟込部3は、内側延長片を備えない、という構成であってもよい。斯かる構成において、突出部311は、内側脚片22から突出しており、接続部312は、水平部21と一体化されている。
【0039】
(2)本実施形態において、下側片31は、突出部311と、接続部312と、を備える、という構成であるが、これに限られない。例えば、図7に示すように、下側片31は、接続部312のみを備える、という構成であってもよい。斯かる構成において、接続部312は、水平部21と実質的に平行に延びる平板状に形成されている。
【0040】
(3)本実施形態において、調整手段4は、シリコーンゴムであるが、これに限られない。例えば、図8に示すように、調整手段4は、蓋支持具1に設けられた複数の係止部5,6であってもよい。斯かる構成において、蓋支持具1は、第1係止部5と第2係止部6とを備え、第1係止部5が備える第1水平部51は、第2係止部6が備える第2水平部61と上下方向における位置が異なっている。これにより、側壁部11に係止させる係止部5,6によって、蓋20と側壁部11との隙間を調整することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…蓋支持具、2…係止部、21…水平部、22…内側脚片、23…外側脚片、3…挟込部、31…下側片、31a…平坦面、31b…先端面、311…突出部、312…接続部、32…上側片、32a…傾斜面、32b…案内斜面、32c…先端面、33…内側延長片、34…外側延長片、4…調整手段、5…第1係止部、51…第1水平部、6…第2係止部、61…第2水平部、90…蓋支持具、91…係止部、92…挟込部、921…下側片、922…上側片、10…飼育容器、11…側壁部、20…蓋
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図4
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図6
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