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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074583
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】クロロフィル類含有組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20230523BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20230523BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230523BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20230523BHJP
   C09B 61/00 20060101ALI20230523BHJP
   F24F 8/175 20210101ALI20230523BHJP
【FI】
C09B67/20 F
B01D39/16 A
A61L9/01 M
C09B67/46 A
C09B61/00 B
F24F8/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187572
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】513244753
【氏名又は名称】カーリットホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】有路 冴樹
(72)【発明者】
【氏名】梅山 晃典
【テーマコード(参考)】
4C180
4D019
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC15
4C180EB02Y
4C180EB04Y
4C180EB05Y
4C180EB06Y
4C180EB07Y
4C180EB08Y
4C180EB12Y
4C180EB13Y
4C180EB18X
4C180EB41X
4C180EB43X
4C180EC01
4C180MM03
4D019BA03
4D019BA04
4D019BA05
4D019BA12
4D019BA13
4D019BB03
4D019BB05
4D019BC06
4D019BC10
4D019DA02
(57)【要約】
【課題】長期保存によっても凝集の発生が抑制されたクロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒を含有する液状組成物を提供する。
【解決手段】クロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒、ポリウレタン樹脂を含有する長期保存によっても凝集の発生が抑制された液状組成物の提供。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロフィル類と、ポリフェノール類と、有機溶媒と、ポリウレタン樹脂とを含む液状組成物。
【請求項2】
水の含有量が5質量%以下である請求項1に記載の液状組成物。
【請求項3】
前記クロロフィル類が、銅クロロフィルである請求項1又は2に記載の液状組成物。
【請求項4】
前記ポリフェノール類が、カテキン類である請求項1~3のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒が、アルコールである請求項1~4のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項6】
前記クロロフィル類を0.01質量%~10質量%、総ポリフェノール量0.01質量%~10質量%、前記ポリウレタン樹脂を0.01質量%~10質量%含有する請求項1~5のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタン樹脂が、ポリエステル系ポリウレタン樹脂又はポリエーテル系ポリウレタン樹脂である請求項1~6のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の液状組成物を塗布する工程を含むフィルターの製造方法。
【請求項9】
銅クロロフィルと、カテキン類と、ポリウレタン樹脂を含む液状組成物用粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロフィル類を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
着色料のうちの天然着色料は、植物等から抽出された色素であり、自然ならではの色合いや合成着色料に比べて体や環境にやさしいというイメージを有するため、食品、化粧品、染料などに使用されている。天然着色料のうち、クロロフィル(葉緑素)は、植物や藻類などに含まれる緑色の天然色素として、ほうれん草やクロレラなどから抽出され、ガムや飴等の食品や染料等に利用されている。引用文献1には、笹葉よりクロロフィル類を含む抽出液を抽出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-69946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒を含有する液状組成物は、長期保存した場合に凝集が発生し、当該液状組成物をフィルター等に塗布した場合に、クロロフィル類及びポリフェノール類を均一に塗布することが困難であることが本発明者らの検討により判明した。
従って、本発明は、長期保存によっても凝集の発生が抑制されたクロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒を含有する液状組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の内容の本発明を完成した。
【0006】
[1]クロロフィル類と、ポリフェノール類と、有機溶媒と、ポリウレタン樹脂とを含む液状組成物。
[2]水の含有量が5質量%以下である請求項1に記載の液状組成物。
[3]前記クロロフィル類が、銅クロロフィルである[1]又は[2]に記載の液状組成物。
[4]前記ポリフェノール類が、カテキン類である[1]~[3]のいずれかに記載の液状組成物。
[5]前記有機溶媒が、アルコールである[1]~[4]のいずれかに記載の液状組成物。
[6]前記クロロフィル類を0.01質量%~10質量%、総ポリフェノール量0.01質量%~10質量%、前記ポリウレタン樹脂を0.01質量%~10質量%含有する[1]~[5]のいずれかに記載の液状組成物。
[7]前記ポリウレタン樹脂が、ポリエステル系ポリウレタン樹脂又はポリエーテル系ポリウレタン樹脂である[1]~[6]のいずれかに記載の液状組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の液状組成物を塗布する工程を含むフィルターの製造方法。
[9]銅クロロフィルと、カテキン類と、ポリウレタン樹脂を含む液状組成物用粉末。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒に、ポリウレタン樹脂を含有させることで長期保存によっても凝集の発生が抑制された液状組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明について説明する。
【0009】
[クロロフィル類]
本実施形態に係るクロロフィル類は、クロロフィルa又はクロロフィルb等のクロロフィル、クロロフィリン、フェオフィチン、クロロフィリド等のクロロフィル分解物、銅クロロフィル、鉄クロロフィル、又は亜鉛クロロフィル等の中心金属置換クロロフィル、銅クロロフィリンNa、鉄クロロフィリンNa、又は亜鉛クロロフィリンNa等のクロロフィリンのアルカリ塩、その他のクロロフィル誘導体等が挙げられ、銅クロロフィルが好ましい。
【0010】
[ポリフェノール類]
本実施形態に係るポリフェノール類としては、例えば、カテキン類、プロアントシアニジン類などの一次ポリフェノール、それらの酸化重合等による生成物であるテアシネンシン類、ウーロンテアニン、テアフラビン類、テアルビジン類等の二次ポリフェノール等が挙げられ、カテキン類が好ましく、カテキン類は茶葉に含まれる茶カテキンであることが好ましい。茶カテキンとしては、例えば、カテキン、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、ガロカテキン(GC)や、ガレート型のエピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、ガロカテキンガレート(GCg)、カテキンガレート(Cg)、重合カテキン、その他のカテキン類が挙げられる。
【0011】
[クロロフィル類及びポリフェノール類の製造方法]
クロロフィル類及びポリフェノール類の製造方法は特に限定されないが、茶葉と溶媒とを含む混合液を加熱することで、クロロフィル類及びポリフェノール類を溶媒中に抽出させる方法が挙げられる。
【0012】
前記抽出工程では、クロロフィル類及びポリフェノール類を抽出した抽出液と、クロロフィル類及びポリフェノール類が抽出された茶葉とを分離する工程を含む。茶葉を分離する工程では、茶葉(固形分)とクロロフィル類及びポリフェノール類を含む抽出液とが分離できれば、具体的な方法は限定されず、フィルターや金属メッシュ(金網)等を用いてもよい。これにより、クロロフィル類及びポリフェノール類を含む抽出液を得ることができる。本ステップの分離は、好ましくは加温下、例えば70℃以上で行われる。これにより、ポリフェノール類の抽出量を高めることができ、茶葉残渣と抽出液とを効率よく分離することができる。
【0013】
前記抽出工程における茶葉は、粉砕せずに用いてもよいし、粉砕処理を予め施したものでもよい。粉砕処理は、乾式粉砕でも湿式粉砕でもよい。乾式粉砕には、例えばカッターミル、ボールミル等の乾式粉砕機を用いることができる。本ステップにおける、溶媒抽出は、例えば50℃以上100℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下で行われる。これにより、クロロフィル類及びポリフェノール類を効率よく抽出することができる。混合液における溶媒の重量は、茶葉の重量の2倍以上30倍以下とすることができる。これにより、茶葉中のクロロフィル類及びポリフェノール類を溶媒中に十分に抽出することができる。
【0014】
抽出に用いられる溶媒は、特に限定されないが、水又はアルコールが好ましく、例えば、水とアルコールの混合溶媒(含水アルコール)であってもよい。水としては、純水、超純水、脱塩水、滅菌水、蒸留水、及び水道水等の任意の水であり得る。水は、緩衝液、生理食塩水、希酸、及び希アルカリ等であってもよい。アルコールとしては、一価アルコール又は多価アルコール(例えば、二価アルコール、又は三価以上のアルコール)が挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。多価アルコールとしては、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0015】
前記抽出工程における茶葉は、茶の有効成分として、クロロフィル類及びポリフェノール類を含む茶樹組織を広く意味し、「葉」に限定されず、「茎」等も含む。また、本実施形態に係る茶葉は、摘採後の生茶葉であってもよく、摘採後に熱処理や冷蔵、冷凍保存されたものであってもよい。また、茶葉は、裁断又は粉砕されたものであってもよく、その形状は特に限定されない。さらに、前記抽出工程における茶葉は、茶系飲料を抽出した後の茶殻であってもよい。茶殻には、茶葉と同様にクロロフィル類やカテキン類が含まれている。茶系飲料の製造時に大量に発生する茶殻を廃棄せず有効利用して、残存するクロロフィル類を抽出することで、省資源化を実現できる。
【0016】
クロロフィル類の中心金属(マグネシウム)を銅、鉄又は亜鉛の金属イオンに置換する中心金属置換処理を行ってもよい。中心金属置換処理では、クロロフィル類の中心金属を銅、鉄又は亜鉛の金属イオンに置換できれば、その方法は特に限定されない。例えば、クロロフィル類と硫酸銅・5水和物を反応させることで銅と置換することができる。中心金属置換処理がされるクロロフィル類は、アルカリ化処理後の水溶化したクロロフィル類(クロロフィリン等)であってもよく、茶葉に含まれる不溶性のクロロフィルであってもよい。これにより、不安定なクロロフィルに対して、より安定化した、鮮やかな青~緑色を呈するクロロフィル類、例えば、銅クロロフィル、鉄クロロフィル、亜鉛クロロフィル、銅クロロフィリンNa、鉄クロロフィリンNa、又は亜鉛クロロフィリンNa等を得ることができる。
【0017】
中心金属置換処理で用いる金属塩として、公知の有機塩、無機塩を用いることができる。具体的には、塩化物塩、硫酸塩、アセチルアセトナート、蟻酸塩、硝酸塩、乳酸塩、酢酸塩及びこれらの水和物を用いることができる。金属塩濃度は、例えば、溶媒抽出前の茶葉全量に対し、0.1~25wt%であり、好ましくは2.5~10wt%であってもよい。中心金属置換反応時の温度は、例えば、70℃~100℃であってもよい。中心金属置換処理をする時間は、例えば、0.5時間~8時間であり、好ましくは1~3時間であってもよい。これらの条件により、クロロフィル類の変色を抑制しつつ、クロロフィル類の中心金属置換処理をすることができ、発色性の良好なクロロフィル類を得ることができる。
【0018】
ポリフェノール類及びクロロフィル類を含む前記抽出液を乾燥させてもよい。本ステップの乾燥は、特に限定されないが、凍結乾燥、噴霧乾燥(スプレードライ)等の方法により行うことができる。クロロフィル類を含む溶液を乾燥させることで、クロロフィル類及びポリフェノール類を含む粉末を生成することができる。さらに、必要に応じて、前記粉末を精製することもできる。
【0019】
本発明の液状組成物に含まれるクロロフィル類は、液状組成物の凝集を抑制しつつ、液状組成物をフィルターに塗布した際にフィルターの抗菌性・消臭性・抗ウイルス性を発現させる観点から、0.01質量%~10質量%が好ましく、0.1質量%~5質量%が好ましく、0.15質量%~3質量%が特に好ましい。
本発明の液状組成物に含まれる総ポリフェノール量は、液状組成物の凝集を抑制しつつ、液状組成物をフィルターに塗布した際にフィルターの抗菌性・消臭性・抗ウイルス性を発現させる観点から、0.01質量%~10質量%が好ましく、0.1質量%~8質量%が好ましく、0.2質量%~5質量%が特に好ましい。
【0020】
[ポリウレタン樹脂]
前記ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0021】
(ポリエーテルポリオール)
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
【0022】
前記出発原料としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
(ポリカーボネートポリオール)
また、前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、4,4’-ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
(ポリエステルポリオール)
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ-ルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
(ポリイソシアネート)
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが好ましい。
【0031】
更に、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましい。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
【0032】
[ポリウレタン樹脂の製造方法]
本発明の液状組成物に用いるポリウレタン樹脂は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
【0033】
ポリウレタン樹脂の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記ポリウレタン樹脂としては、液状組成物の凝集を抑制する観点から、ポリオールの種類がポリエステルポリオールであるポリエステル系ウレタン樹脂、又はポリオールの種類がポリエーテルポリオールであるポリエーテル系ウレタン樹脂が好ましい。
【0037】
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は特に制限されないが、例えば、150000以下であればよく、100000以下であってもよく、50000以下であることが好ましく、さらに好ましくは30000以下である。
【0038】
一方、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上であることが好ましく、より好ましくは10000以上である。これによって、本発明の液状組成物の凝集が抑制され、かつ、ポリウレタン樹脂がフィルターへの良好な密着性を有するとともに、優れた耐薬品性を有することができる。
【0039】
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフによる分析によってポリスチレン換算の平均分子量を測定することで導出される。
【0040】
前記ポリウレタン樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX-485(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)、ユーコートUWS-145(ポリエステル系ウレタン樹脂)、パーマリンUA-368T(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)、パーマリンUA-200(ポリエーテル系ウレタン樹脂)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0041】
本発明の液状組成物に含まれる前記ポリウレタン樹脂は0.01質量%~10質量%が好ましく、0.1質量%~8質量%が好ましく、0.4質量%~5質量%が特に好ましい。また、本発明の液状組成物に含まれるクロロフィル類の含有量1質量部に対して、本発明の液状組成物に含まれる前記ポリウレタン樹脂は、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることが好ましく、1~3質量部であることが特に好ましい。
【0042】
クロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒に、ポリウレタン樹脂を含有させることで長期保存によっても凝集の発生が抑制された液状組成物を得ることができる。メカニズムの詳細は明らかではないが、ポリウレタン樹脂にクロロフィル類及びポリフェノール類が適度に吸着され、かつ、ポリウレタン樹脂間の立体障害や電荷による反発が機能することでクロロフィル類及びポリフェノール類を含む粒子の凝集が抑制されると推定される。
【0043】
[溶媒]
溶媒としては、有機溶媒が挙げられ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、フェニルエチルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、及びミリスチルアルコール等のアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、及びジ-n-ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、及びプロピオン酸ブチル等のエステル系溶媒;10%安息香酸デナトニウムアルコール溶液、ゲラニオール、八アセチル化ショ糖、ブルシン、リナロール、リナリールアセテート、及び酢酸等の親水性溶媒;が挙げられ、アルコール系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒としては、一価アルコール又は多価アルコール(例えば、二価アルコール、又は三価以上のアルコール)が挙げられる。
【0044】
液状組成物中における溶媒の含有量としては特に制限されないが、液状組成物中の、クロロフィル類、ポリフェノール類及びポリウレタン樹脂の合計質量に対して、溶媒の量は5~200質量部が好ましく、8~100質量部がより好ましい。また、組成物の固形分が、0.01~80質量%に調整されるのが好ましく、0.1~30質量%に調整されるのがより好ましく、1.0~20.0質量%に調整されるのが更に好ましい。
溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶媒を併用する場合、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0045】
液状組成物の凝集を抑制する観点から、液状組成物中における水の含有量としては、液状組成物の質量に対して、5質量%以下が好ましく、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0046】
[茶葉由来の成分]
本発明の液状組成物は、茶葉由来の成分を含んでいても良く、例えば、カフェイン、テアニン、フラボノール類、複合多糖類、アスコルビン酸、γ-アミノ酪酸、サポニン、ビタミンB2、食物繊維、ミネラル類等が挙げられる。
【0047】
[クロロフィル類の測定]
クロロフィル類の測定は、標準液として銅クロロフィル(日本葉緑素製 クロロンGA)を用い、銅クロロフィルの換算量として求める。試料20mgをアセトンで100mLに定容し、紫外可視吸光光度計(日立U4100形分光光度計)を用いて410nmで吸光度を測定し、クロロンGAによる検量線からクロロフィル量を求める。
【0048】
[総ポリフェノール類の測定]
総ポリフェノール量の測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求める(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、紫外可視吸光光度計(日立U4100形分光光度計)を用いて540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線から総ポリフェノール量を求める。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとする。リン酸緩衝液の調製:1/15Mリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15Mリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整する。
【0049】
[フィルター]
本発明の液状組成物を、フィルターを構成する繊維構造物に塗布後、乾燥させ、クロロフィル類及びポリフェノール類を繊維構造物に固定化することで、消臭性、抗菌性、抗ウイルス性を有するフィルターを得ることができる。
【0050】
前記フィルターを構成する繊維構造物の材質としては、任意のものが使用できるが、不織布、紙、あるいはこれらの複合物等が好ましい。特に消臭性能の観点から不織布が好ましい。また、これら繊維構造物を構成する繊維としては、合成樹脂繊維、無機繊維、天然パルプ等が挙げられる。
【0051】
不織布としては、具体的には、スパンボンド法、メルトブロー法、遠心力法、フラッシュ紡糸法、高電圧乾式紡糸法、フィルム法等の直接製布法、エアレイ法、カード法、ガーネット機(反毛機)法等の乾式法、抄紙と同様の湿式法により製造される不織布が挙げられ、繊維間の結合方法としては、接着剤法、熱融着法、超音波接着法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法等が挙げられる。
【0052】
紙としては、具体的には、薄葉紙(例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ナプキン、タオル紙)、包装紙、塗工紙(例えば、アート紙、コート紙)、非塗工紙、印刷紙、図面紙、ラミネート紙、和紙等が挙げられ、また、ダンボール構造紙、ハニカム構造紙、白板紙、黄板紙、チップボール紙、コルゲート紙、紙幣原紙及び台紙等の板紙も挙げられる。
【0053】
合成樹脂繊維としては、具体的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリスチレン繊維等が挙げられる。
【0054】
無機繊維としては、具体的には、アルミナ繊維、活性炭繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、アルミナ・シリカ繊維等が挙げられる。
【0055】
天然パルプとしては、具体的には、木材パルプ、靭皮繊維、葦パルプ、バガスパルプ、ワラパルプ、竹パルプ等が挙げられる。
【0056】
不織布、紙以外に、樹脂、金属、活性炭等のフィルム、シート等の成形品を使用することも可能である。
【0057】
本発明の液状組成物をフィルターに塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられ、ディップコート法が好ましい。
【実施例0058】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0059】
(クロロフィル類及びポリフェノール類を含有する粉末の製造)
茶葉10質量部、メタノール80質量部、水10質量部を90℃条件下で3時間混合後、
固液分離を行った。次いで、溶媒100質量部に対して硫酸銅5質量部を加え90℃条件下で3時間混合するクロロフィリン化合物の中心金属置換反応を行った後、固液分離を行い、得られた液体を濃縮乾固後、真空乾燥し、茶葉抽出液由来粉末(銅クロロフフィル:25質量%、総ポリフェノール量:40質量%)を得た。
【0060】
[実施例1]
銅クロロフィル0.2質量%、総ポリフェノール量0.3質量%、ポリウレタン樹脂(X)(三洋化成工業株式会社製、ユーコートUWS-145、ポリエステル系ウレタン樹脂)0.5質量%となるように、エタノールに前記粉末とポリウレタン樹脂を混合し、液状組成物を得た。
【0061】
[実施例2]
銅クロロフィル1.5質量%、総ポリフェノール量2.4質量%、ポリウレタン樹脂(X)2.5質量%となるように、エタノールに前記粉末とポリウレタン樹脂を混合した以外は実施例1と同様にして液状組成物を得た。
【0062】
[実施例3]
銅クロロフィル2.5質量%、総ポリフェノール量4.0質量%、ポリウレタン樹脂(X)4.0質量%となるように、エタノールに前記粉末とポリウレタン樹脂を混合した以外は実施例1と同様にして液状組成物を得た。
【0063】
[実施例4]
銅クロロフィル(日本葉緑素製 クロロンGA)0.2質量%、エピガロカテキンガレート(Skyherb製、Green Tea Extract)を総ポリフェノール量0.3質量%、ポリウレタン樹脂(X)(三洋化成工業株式会社製、ユーコートUWS-145)0.5質量%となるように、エタノールに前記銅クロロフィル、エピガロカテキンガレート及びポリウレタン樹脂を混合し、液状組成物を得た。
【0064】
[実施例5]
銅クロロフィル1.5質量%、エピガロカテキンガレートを総ポリフェノール量2.4質量%、ポリウレタン樹脂(X)2.5質量%となるように、エタノールに混合した以外は、実施例4と同様にして液状組成物を得た。
【0065】
[実施例6]
銅クロロフィル2.5質量%、エピガロカテキンガレートを総ポリフェノール量4.0質量%、ポリウレタン樹脂(X)4.0質量%となるように、エタノールに混合した以外は、実施例4と同様にして液状組成物を得た。
【0066】
[実施例7]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして液状組成物を得た。
【0067】
[実施例8]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして液状組成物を得た。
【0068】
[実施例9]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして液状組成物を得た。
【0069】
[実施例10]
銅クロロフィル0.2質量%、総ポリフェノール量0.3質量%、ポリウレタン樹脂(Y)(三洋化成工業株式会社製、パーマリンUA-200、ポリエーテル系ウレタン樹脂)0.5質量%となるように、エタノールに前記粉末と前記ポリウレタン樹脂を混合し、液状組成物を得た。
【0070】
[実施例11]
銅クロロフィル1.5質量%、総ポリフェノール量2.4質量%、ポリウレタン樹脂(Y)2.5質量%となるように、エタノールに前記粉末と前記ポリウレタン樹脂を混合した以外は実施例10と同様にして液状組成物を得た。
【0071】
[実施例12]
銅クロロフィル2.5質量%、総ポリフェノール量4.0質量%、ポリウレタン樹脂(Y)4.0質量%となるように、エタノールに前記粉末と前記ポリウレタン樹脂を混合した以外は実施例10と同様にして液状組成物を得た。
【0072】
[実施例13]
銅クロロフィル(日本葉緑素製 クロロンGA)0.2質量%、エピガロカテキンガレート(Skyherb製、Green Tea Extract)を総ポリフェノール量0.3質量%、ポリウレタン樹脂(Y)(三洋化成工業株式会社製、パーマリンUA-200)0.5質量%となるように、エタノールに銅クロロフィル、エピガロカテキンガレート及びポリウレタン樹脂を混合し、液状組成物を得た。
【0073】
[実施例14]
銅クロロフィル1.5質量%、エピガロカテキンガレートを総ポリフェノール量2.4質量%、ポリウレタン樹脂(Y)を2.5質量%となるように、エタノールに混合した以外は、実施例13と同様にして液状組成物を得た。
【0074】
[実施例15]
銅クロロフィル2.5質量%、エピガロカテキンガレートを総ポリフェノール量4.0質量%、ポリウレタン樹脂(Y)を4.0質量%となるように、エタノールに混合した以外は、実施例13と同様にして液状組成物を得た。
【0075】
[実施例16]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例13と同様にして液状組成物を得た。
【0076】
[実施例17]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例14と同様にして液状組成物を得た。
【0077】
[実施例18]
銅クロロフィルの代わりに銅クロロフィリンNa(日本葉緑素製、クロロンG)を用いたこと以外は、実施例15と同様にして液状組成物を得た。
【0078】
[比較例1]
前記ポリウレタン樹脂を混合しない以外は、実施例2と同様にして液状組成物を得た。
【0079】
[比較例2]
前記ポリウレタン樹脂を添加しない以外は、実施例5と同様にして液状組成物を得た。
【0080】
[比較例3]
前記ポリウレタン樹脂を、アクリル樹脂(DIC株式会社製、R-3380-E)に変更した以外は、実施例2と同様にして液状組成物を得た。
【0081】
[比較例4]
前記ポリウレタン樹脂を、アクリル樹脂(DIC株式会社製、R-3380-E)に変更した以外は、実施例5と同様にして液状組成物を得た。
【0082】
<液状組成物の安定性評価>
実施例、比較例の液状組成物をガラス容器に入れ密封後、25℃の恒温槽で1ヵ月間保管し、1ヵ月経過後の液状組成物に凝集や沈降が発生していないかを目視で確認した。液状組成物に凝集や沈降が発生していない場合はA、凝集や沈降が発生している場合はBと評価した。
【0083】
【表1】
【0084】
前記のとおり、実施例においては、長期保存によっても凝集の発生が抑制されたクロロフィル類、ポリフェノール類、有機溶媒を含有する液状組成物を得ることができた。
【0085】
<消臭性・抗菌性・抗ウイルス性フィルターの製造と評価>
実施例1の液状組成物をポリエステル繊維からなる不織布にディップコート後、乾燥させフィルターを製造した。製造したフィルターを用いて消臭性試験・抗菌性試験・抗ウイルス性試験を実施した。消臭性試験において、当該フィルターは悪臭(アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン)に対して消臭効果を示し、抗菌性試験において、当該フィルターは大腸菌に対して抗菌効果を示し、抗ウイルス性試験において、当該フィルターはA型インフルエンザに対して良好な抗ウイルス性を示した。