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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074622
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】熱機器
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/355 20220101AFI20230523BHJP
   F24H 15/40 20220101ALI20230523BHJP
【FI】
F24H1/10 301F
F24H1/10 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187635
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐光 洋介
(57)【要約】
【課題】熱機器の設置作業をより容易に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する熱機器は、加熱部と、制御部と、通信部を備える。制御部は、単独運転仕様と、連結運転仕様を含む複数の運転仕様のうちの1つを設定可能である。制御部は、親機運転モードと、子機運転モードを含む複数の運転モードのうちの1つを設定可能である。制御部は、運転モードとして親機運転モードが設定されている場合に、第1信号を送信する。制御部は、運転モードとして子機運転モードが設定されている場合に、第2信号を送信する。制御部は、運転仕様として単独運転仕様が設定されている場合に、通信部を介して第1信号を受信しかつ第2信号を送信した場合、または、通信部を介して第1信号を送信しかつ第2信号を受信した場合に、設定された運転仕様を連結運転仕様に切り替える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機器であって、
加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と、
他の熱機器と通信可能な通信部を備えており、
前記制御部は、前記熱機器の運転仕様として、前記熱機器が単独で動作する単独運転仕様と、前記熱機器が前記他の熱機器と協調して動作する連結運転仕様を含む複数の運転仕様のうちの1つを設定可能であり、
前記制御部は、前記熱機器の運転モードとして、前記他の熱機器の管理を主体的に行う親機運転モードと、前記他の熱機器による管理に従属的に従う子機運転モードを含む複数の運転モードのうちの1つを設定可能であり、
前記制御部は、前記運転モードとして前記親機運転モードが設定されている場合に、設定された前記運転仕様に関わらず、前記通信部を介して第1信号を送信し、
前記制御部は、前記運転モードとして前記子機運転モードが設定されている場合に、設定された前記運転仕様に関わらず、前記通信部を介して第2信号を送信し、
前記制御部は、前記運転仕様として前記単独運転仕様が設定されている場合に、前記通信部を介して前記第1信号を受信しかつ前記第2信号を送信した場合、または、前記通信部を介して前記第1信号を送信しかつ前記第2信号を受信した場合に、設定された前記運転仕様を前記連結運転仕様に切り替える、熱機器。
【請求項2】
前記第1信号は、第1タイミングにアクティブ値を有する信号であり、
前記第2信号は、前記第1タイミングから時間的にオフセットした第2タイミングにアクティブ値を有する信号である、請求項1の熱機器。
【請求項3】
前記複数の運転仕様のうちの1つを示す第1フラグを記憶する、不揮発性記憶部をさらに備えており、
前記制御部は、電源が投入された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて前記運転仕様を設定し、
前記制御部は、設定された前記運転仕様を切り替える場合に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグを更新する、請求項1または2の熱機器。
【請求項4】
前記不揮発性記憶部は、前記複数の運転モードのうちの1つを示す第2フラグをさらに記憶しており、
前記熱機器は、前記運転モードを切り替える切り替え操作を入力可能な設定入力部をさらに備えており、
前記制御部は、前記設定入力部に前記切り替え操作が入力された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグを更新する、請求項3の熱機器。
【請求項5】
前記制御部は、電源が投入された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて前記運転モードを設定する、請求項4の熱機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記運転仕様として前記連結運転仕様が設定されている場合に、定期的に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて、設定されている前記運転モードを更新する、請求項5の熱機器。
【請求項7】
前記制御部は、電源が投入された時に、
前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて設定された前記運転仕様が前記連結運転仕様である場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて前記運転モードを設定し、
前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて設定された前記運転仕様が前記単独運転仕様である場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグの内容に関わらず、前記運転モードをランダムに設定し、
前記制御部は、設定された前記運転仕様を前記連結運転仕様に切り替える場合に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグと前記第2フラグの両方を更新する、請求項4の熱機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、熱機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、熱機器が開示されている。前記熱機器は、加熱部と、前記加熱部を制御する制御部と、他の熱機器と通信可能な通信部を備えている。前記制御部は、前記熱機器の運転仕様として、前記熱機器が単独で動作する単独運転仕様と、前記熱機器が前記他の熱機器と協調して動作する連結運転仕様を含む複数の運転仕様のうちの1つを設定可能である。前記制御部は、前記熱機器の運転モードとして、前記他の熱機器の管理を主体的に行う親機運転モードと、前記他の熱機器による管理に従属的に従う子機運転モードを含む複数の運転モードのうちの1つを設定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-32279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の熱機器には設定操作部が設けられており、設定操作部への操作に応じて、設定されている運転仕様が切り替えられる。このような構成では、熱機器と他の熱機器を連結運転仕様で動作させたい場合に、熱機器の設置作業を行う作業者は、それぞれの熱機器において設定操作部を操作して、運転仕様として連結運転仕様を設定する必要があり、作業の労力が大きなものとなっていた。本明細書では、熱機器の設置作業をより容易に行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する熱機器は、加熱部と、前記加熱部を制御する制御部と、他の熱機器と通信可能な通信部を備えていてもよい。前記制御部は、前記熱機器の運転仕様として、前記熱機器が単独で動作する単独運転仕様と、前記熱機器が前記他の熱機器と協調して動作する連結運転仕様を含む複数の運転仕様のうちの1つを設定可能であってもよい。前記制御部は、前記熱機器の運転モードとして、前記他の熱機器の管理を主体的に行う親機運転モードと、前記他の熱機器による管理に従属的に従う子機運転モードを含む複数の運転モードのうちの1つを設定可能であってもよい。前記制御部は、前記運転モードとして前記親機運転モードが設定されている場合に、設定された前記運転仕様に関わらず、前記通信部を介して第1信号を送信してもよい。前記制御部は、前記運転モードとして前記子機運転モードが設定されている場合に、設定された前記運転仕様に関わらず、前記通信部を介して第2信号を送信してもよい。前記制御部は、前記運転仕様として前記単独運転仕様が設定されている場合に、前記通信部を介して前記第1信号を受信しかつ前記第2信号を送信した場合、または、前記通信部を介して前記第1信号を送信しかつ前記第2信号を受信した場合に、設定された前記運転仕様を前記連結運転仕様に切り替えてもよい。
【0006】
上記の構成によれば、熱機器の運転仕様を、通信部を介した他の熱機器との通信に基づいて自動的に切り替えることができる。このような構成とすることによって、熱機器の設置作業をより容易に行うことができる。
【0007】
前記熱機器において、前記第1信号は、第1タイミングにアクティブ値を有する信号であってもよく、前記第2信号は、前記第1タイミングから時間的にオフセットした第2タイミングにアクティブ値を有する信号であってもよい。
【0008】
上記の構成によれば、第1信号が送受信されるタイミングと第2信号が送受信されるタイミングがオフセットしているので、第1信号と第2信号を同じ通信回線上で送受信することができる。
【0009】
前記熱機器は、前記複数の運転仕様のうちの1つを示す第1フラグを記憶する、不揮発性記憶部をさらに備えていてもよい。前記制御部は、電源が投入された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて前記運転仕様を設定してもよい。前記制御部は、設定された前記運転仕様を切り替える場合に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグを更新してもよい。
【0010】
上記の構成によれば、通信部を介した他の熱機器との通信に基づいて設定された運転仕様を示す第1フラグを、不揮発性記憶部に記憶しておくことができる。このため、例えば熱機器への電力供給が遮断された場合であっても、熱機器への電力供給が復旧した時に、以前に設定されていた運転仕様で熱機器を動作させることができる。
【0011】
前記熱機器において、前記不揮発性記憶部は、前記複数の運転モードのうちの1つを示す第2フラグをさらに記憶していてもよい。前記熱機器は、前記運転モードを切り替える切り替え操作を入力可能な設定入力部をさらに備えていてもよい。前記制御部は、前記設定入力部に前記切り替え操作が入力された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグを更新してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、不揮発性記憶部に記憶されている第2フラグが示す運転モードを、作業者が手動で切り替えることができる。
【0013】
前記熱機器において、前記制御部は、電源が投入された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて前記運転モードを設定してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、例えば、それぞれ単独運転仕様で動作している熱機器と他の熱機器を連結運転仕様で動作させたい場合に、それぞれの設定入力部への切り替え操作によって、熱機器の不揮発性記憶部に記憶されている第2フラグが示す運転モードを親機運転モード(または子機運転モード)とし、他の熱機器の不揮発性記憶部に記憶されている第2フラグが示す運転モードを子機運転モード(または親機運転モード)としておいて、熱機器と他の熱機器の電源の遮断と電源の再投入を行うことで、それぞれの運転仕様を連結運転仕様に容易に切り替えることができる。
【0015】
前記熱機器において、前記制御部は、前記運転仕様として前記連結運転仕様が設定されている場合に、定期的に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて、設定されている前記運転モードを更新してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、連結運転仕様が設定されている場合に、熱機器の電源の遮断と電源の再投入を行わなくても、作業者が手動で行った運転モードの設定の切り替えを、速やかに反映させることができる。
【0017】
前記熱機器において、前記制御部は、電源が投入された時に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて設定された前記運転仕様が前記連結運転仕様である場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグに基づいて前記運転モードを設定してもよく、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグに基づいて設定された前記運転仕様が前記単独運転仕様である場合には、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第2フラグの内容に関わらず、前記運転モードをランダムに設定してもよい。前記制御部は、設定された前記運転仕様を前記連結運転仕様に切り替える場合に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記第1フラグと前記第2フラグの両方を更新してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、電源投入時に、不揮発性記憶部に記憶されている第1フラグが単独運転仕様を示す場合には、運転モードがランダムに設定される。このため、運転モードがランダムに設定された結果、熱機器の運転モードと他の熱機器の運転モードが互いに異なるものに設定された場合に、熱機器と他の熱機器のそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に切り替えることができる。また、運転モードがランダムに設定された結果、熱機器の運転モードと他の熱機器の運転モードが同じものに設定された場合であっても、熱機器の運転モードと他の熱機器の運転モードが異なるものに設定されるまで、熱機器と他の熱機器の電源の遮断と電源の再投入を繰り返し行うことで、熱機器と他の熱機器のそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に切り替えることができる。上記の構成によれば、熱機器と他の熱機器のそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1,2の熱機器システム2において、第1熱機器4aと第2熱機器4bを連結して設置した状態を模式的に示す。
図2】実施例1,2の熱機器システム2において、第1熱機器4aまたは第2熱機器4bを単独で設置した状態を模式的に示す。
図3】実施例1の熱機器システム2において、第1熱機器4aのマイコン16aが実行する運転仕様の切り替え処理のフローチャートである。
図4】実施例1の熱機器システム2において、第1熱機器4aのマイコン16aが実行する運転仕様の切り替え処理のフローチャートである。
図5】実施例1,2の熱機器システム2において、親機運転モードの熱機器4が送信する第1信号と、子機運転モードの熱機器4が送信する第2信号の関係を模式的に示す図である。
図6】実施例2の熱機器システム2において、第1熱機器4aのマイコン16aが実行する運転仕様の切り替え処理のフローチャートである。
図7】実施例2の熱機器システム2において、第1熱機器4aのマイコン16aが実行する運転仕様の切り替え処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の熱機器システム2は、第1熱機器4aと、第2熱機器4bを備えている。本実施例において、第1熱機器4aと第2熱機器4bは、いずれも水を加熱する給湯器である。
【0021】
第1熱機器4aは、給水口6aと、給湯口8aと、バーナ10aと、制御回路基板12aと、リモコン14aを備えている。第1熱機器4aは、給水口6aから流入する水をバーナ10aにより所望の温度まで加熱して給湯口8aへ流出させる。なお、図示はしていないが、第1熱機器4aは、給水口6aから流入する水の温度を検出する給水温度センサ、給湯口8aから流出する水の温度を検出する給湯温度センサ、給水口6aから流入する水の流量を調整する給水サーボ等の、各種の構成要素をさらに備えている。制御回路基板12aは、第1熱機器4aの各構成要素の動作を制御する。制御回路基板12aは、CPU,ROM,RAM等を備えるマイコン16aと、EEPROM等を備える不揮発性のメモリ18aと、第1熱機器4aの設定に関連する情報を表示する設定表示部20aと、作業者による第1熱機器4aの設定に関する入力を受け入れる設定入力部22aと、通信ケーブル24と電気的に接続可能な通信IF26aと、リモコン14aと電気的に接続可能なリモコンIF28aを備えている。リモコン14aは、第1熱機器4aに関連する情報を表示するリモコン表示部30aと、ユーザによる第1熱機器4aに対する操作の入力を受け入れるリモコン入力部32aを備えている。
【0022】
第2熱機器4bは、第1熱機器4aと同様の構成を備えている。第2熱機器4bは、給水口6bと、給湯口8bと、バーナ10bと、制御回路基板12bと、リモコン14bを備えている。制御回路基板12bは、マイコン16bと、メモリ18bと、設定表示部20bと、設定入力部22bと、通信IF26bと、リモコンIF28bを備えている。リモコン14bは、リモコン表示部30bと、リモコン入力部32bを備えている。第2熱機器4bの各構成要素については、第1熱機器4aの各構成要素と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、以下の説明では、第1熱機器4aおよび第2熱機器4bを総称して、単に熱機器4ともいう。
【0023】
図2に示すように、第1熱機器4aと第2熱機器4bは、それぞれ、単独で使用することができる。例えば、第1熱機器4aは、給水口6aに給水管34を接続し、給湯口8aに給湯管36を接続することで、給水管34から供給される水を加熱して給湯管36に送り出すことができる。同様に、第2熱機器4bは、給水口6bに給水管34を接続し、給湯口8bに給湯管36を接続することで、給水管34から供給される水を加熱して給湯管36に供給することができる。以下では、図2に示すように、第1熱機器4aや第2熱機器4bが単独で使用される運転仕様を、単独運転仕様ともいう。
【0024】
図1に示すように、第1熱機器4aと第2熱機器4bは、連結して使用することもできる。例えば、第1熱機器4aの給水口6aには、給水管34から分岐した第1給水管34aが接続され、第2熱機器4bの給水口6bには、給水管34から分岐した第2給水管34bが接続される。また、第1熱機器4aの給湯口8aには、給湯管36に合流する第1給湯管36aが接続され、第2熱機器4bの給湯口8bには、給湯管36に合流する第2給湯管36bが接続される。さらに、第1熱機器4aの制御回路基板12aと、第2熱機器4bの制御回路基板12bは、通信ケーブル24を介して双方向に通信可能に電気的に接続されている。この場合、給水管34から供給される水は、第1熱機器4aおよび/または第2熱機器4bで加熱されて、給湯管36に供給される。以下では、図1に示すように、第1熱機器4aと第2熱機器4bが連結して使用される運転仕様を、連結運転仕様ともいう。なお、連結運転仕様においては、一方の熱機器4(例えば第1熱機器4a)が、熱機器システム2の全体の管理を主体的に行う親機としての役割を果たし、他方の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が、親機による管理に従属的に従う子機としての役割を果たす。以下では、第1熱機器4aや第2熱機器4bが親機として動作する運転モードを親機運転モードともいい、第1熱機器4aや第2熱機器4bが子機として動作する運転モードを子機運転モードともいう。
【0025】
(熱機器の設定切り替え)
上記したように、第1熱機器4aと第2熱機器4bは同様の構成を備えているため、以下では、第1熱機器4aを例として、単独運転仕様と連結運転仕様の間の設定の切り替え、および、親機運転モードと子機運転モードの間の設定の切り替えについて説明する。
【0026】
第1熱機器4aでは、メモリ18aに、連結/単独フラグと、親機/子機フラグが記憶されている。連結/単独フラグは、単独運転仕様と連結運転仕様を識別するフラグである。親機/子機フラグは、親機運転モードと子機運転モードを識別するフラグである。第1熱機器4aが工場から出荷される際には、メモリ18aの連結/単独フラグは単独運転仕様を示しており、メモリ18aの親機/子機フラグは親機運転モードを示している。
【0027】
設定表示部20aは、例えば、7セグメントLEDを備えており、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容と、親機/子機フラグの内容を、それぞれ表示可能である。設定入力部22aは、例えば、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を切り替えるための切り替え操作を受け入れ可能なプッシュスイッチを備えている。
【0028】
メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグは、第1熱機器4aに電源が供給されている間、設定入力部22aに切り替え操作がなされる度に、親機運転モードと子機運転モードの間で切り替わる。すなわち、第1熱機器4aに電源が投入されており、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが親機運転モードである場合に、設定入力部22aに切り換え操作がなされると、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが子機運転モードに更新される。同様に、第1熱機器4aに電源が投入されており、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが子機運転モードである場合に、設定入力部22aに切り換え操作がなされると、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが親機運転モードに更新される。
【0029】
メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグは、設定入力部22aでは切り替えることができず、第1熱機器4aに電源が供給されている間に、通信IF26aを介した信号通信の状況に応じて、単独運転仕様と連結運転仕様の間で切り替わる。以下では、図3図4を用いて、第1熱機器4aにおける単独運転仕様と連結運転仕様の間の切り替えについて説明する。第1熱機器4aのマイコン16aは、第1熱機器4aに電源が投入されると、図3の処理を開始する。
【0030】
S2では、マイコン16aは、メモリ18aから、連結/単独フラグと、親機/子機フラグの内容をそれぞれ読み出し、第1熱機器4aの運転仕様と運転モードを設定する。
【0031】
S4では、マイコン16aは、第1熱機器4aの運転仕様が連結運転仕様であるか否かを判断する。単独運転仕様である場合(NOの場合)、処理はS6へ進む。
【0032】
S6では、マイコン16aは、第1熱機器4aの運転モードが親機運転モードであるか否かを判断する。親機運転モードである場合(YESの場合)、処理はS8へ進む。
【0033】
S8では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を送信する。
【0034】
S10では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を受信するか否かを判断する。図5に示すように、本実施例の熱機器システム2では、親機運転モードである熱機器4は、通信ケーブル24上で、第1タイミングt1においてアクティブ値を有する第1信号を送信し、子機運転モードである熱機器4は、通信ケーブル24上で、第1タイミングt1よりも時間的に後の第2タイミングt2においてアクティブ値を有する第2信号を送信する。このため、第1熱機器4aが親機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)と接続しており、他の熱機器4が子機運転モードである場合には、第1熱機器4aが第1信号を送信すると、他の熱機器4から第2信号を受信して、親機と子機の間での通信が成立する。このため、S10で第2信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが親機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)と接続されており、他の熱機器4が子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS12へ進む。
【0035】
S12では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容を連結運転仕様に更新する。
【0036】
S14では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを親機運転モードで動作させる。S14の後、処理はS26(図4参照)に進む。
【0037】
S6で、子機運転モードである場合(NOの場合)、処理はS16へ進む。S16では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を受信するか否かを判断する。第1信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが子機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)と接続されており、他の熱機器4が親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS18へ進む。
【0038】
S18では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を送信する。
【0039】
S20では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容を連結運転仕様に更新する。
【0040】
S22では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを子機運転モードで動作させる。S22の後、処理はS26(図4参照)に進む。
【0041】
S10で第2信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS24へ進む。また、S16で第1信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS24へ進む。
【0042】
S24では、マイコン16aは、第1熱機器4aを単独運転仕様で動作させる。S24の後、処理はS6へ戻る。
【0043】
図3の処理において、第1熱機器4aが単独運転仕様で動作している間、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグと親機/子機フラグの内容を新たに読み出さない。このため、図3の処理を実行中に、作業者が設定入力部22aに切り換え操作を行い、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容が更新されても、更新後の親機/子機フラグの内容は図3の処理に反映されない。図3の処理においては、通信ケーブル24を介して接続されている他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)の運転モードが切り換わって親機と子機の間での通信が成立するか、第1熱機器4aの電源が遮断されて再投入されて、S2の処理でメモリ18aに記憶されている連結/単独フラグと親機/子機フラグの内容を新たに読み出されるまで、第1熱機器4aは単独運転仕様のまま動作を実行し続ける。
【0044】
S4で、連結運転仕様である場合(YESの場合)、処理は図4のS26へ進む。S26では、マイコン16aは、第1熱機器4aの運転モードが親機運転モードであるか否かを判断する。親機運転モードである場合(YESの場合)、処理はS28へ進む。
【0045】
S28では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を送信する。
【0046】
S30では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を受信するか否かを判断する。第2信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが親機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が接続されており、他の熱機器4が子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS32へ進む。
【0047】
S32では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを親機運転モードで動作させる。なお、S32の処理を実行する前に、後述するS42またはS50の処理によって、メモリ18aに記憶されたエラーフラグがオンとなっており、設定表示部20aを介してエラーが報知されている場合は、S32において、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されたエラーフラグをオフにするとともに、設定表示部20aを介したエラーの報知を終了する。
【0048】
S34では、マイコン16aは、メモリ18aから、親機/子機フラグの内容を新たに読み出し、第1熱機器4aの運転モードを新たに特定する。S34の後、処理はS26へ戻る。
【0049】
S26で、子機運転モードである場合(NOの場合)、処理はS36へ進む。S36では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を受信するか否かを判断する。第1信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが子機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が接続されており、他の熱機器4が親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS38へ進む。
【0050】
S38では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を送信する。
【0051】
S40では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを子機運転モードで動作させる。なお、S40の処理を実行する前に、後述するS42またはS50の処理によって、メモリ18aに記憶されたエラーフラグがオンとなっており、設定表示部20aを介してエラーが報知されている場合は、S40において、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されたエラーフラグをオフにするとともに、設定表示部20aを介したエラーの報知を終了する。S40の後、処理はS34へ進む。
【0052】
S30で第2信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS42へ進む。
【0053】
S42では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されたエラーフラグをオンにするとともに、設定表示部20aを介してエラーを報知する。
【0054】
S44では、マイコン16aは、メモリ18aのエラーフラグがオンになってからの経過時間が所定時間(例えば10分間)に達したか否かを判断する。経過時間が所定時間に達していない場合(NOの場合)、処理はS34へ進む。経過時間が所定時間に達した場合(YESの場合)、処理はS46へ進む。
【0055】
S46では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグを単独運転仕様に更新する。
【0056】
S48では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されたエラーフラグをオフにするとともに、設定表示部20aを介したエラーの報知を終了する。S48の後、処理は図3のS4に戻る。
【0057】
S36で第1信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS50へ進む。
【0058】
S50では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されたエラーフラグをオンにするとともに、設定表示部20aを介してエラーを報知する。S50の後、処理はS34へ進む。
【0059】
図4の処理の実行中、マイコン16aは、S34の処理を実行する度に、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を新たに読み出す。このため、図4の処理を実行中に、作業者が設定入力部22aに切り換え操作を行い、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容が更新されると、更新後の親機/子機フラグの内容が図4の処理に反映される。
【0060】
(実施例2)
本実施例の熱機器システム2は、実施例1の熱機器システム2と略同様の構成を備えている。以下では本実施例の熱機器システム2について、実施例1の熱機器システム2と相違する点について説明する。
【0061】
本実施例の熱機器システム2では、第1熱機器4aのマイコン16aは、第1熱機器4aに電源が投入されると、図3図4の処理の代わりに、図6図7の処理を実行する。
【0062】
図6のS52では、マイコン16aは、メモリ18aから、連結/単独フラグの内容を読み出し、第1熱機器4aの運転仕様を設定する。
【0063】
S54では、マイコン16aは、第1熱機器4aの運転仕様が連結運転仕様であるか否かを判断する。単独運転仕様である場合(NOの場合)、処理はS56へ進む。
【0064】
S56では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容に関わらず、運転モードをランダムに設定する。例えば、マイコン16aは、内蔵されたタイマ(図示せず)をフリーランニングさせて、S56の処理を実行する時点でのタイマ値に基づいて、運転モードを親機運転モードか子機運転モードのいずれかに設定する。
【0065】
S58では、マイコン16aは、第1熱機器4aの運転モードが親機運転モードであるか否かを判断する。親機運転モードである場合(YESの場合)、処理はS60へ進む。
【0066】
S60では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を送信する。
【0067】
S62では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を受信するか否かを判断する。第2信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが親機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が接続されており、他の熱機器4が子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS64へ進む。
【0068】
S64では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容を連結運転仕様に更新するとともに、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を親機運転モードに更新する。
【0069】
S66では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを親機運転モードで動作させる。S66の後、処理はS78(図7参照)に進む。
【0070】
S58で、子機運転モードである場合(NOの場合)、処理はS68へ進む。S68では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第1信号を受信するか否かを判断する。第1信号を受信した場合(YESの場合)、マイコン16aは、第1熱機器4aが子機運転モードであり、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が接続されており、他の熱機器4が親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が可能と判断して、処理はS70へ進む。
【0071】
S70では、マイコン16aは、通信IF26aを介して第2信号を送信する。
【0072】
S72では、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容を連結運転仕様に更新するとともに、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を子機運転モードに更新する。
【0073】
S74では、マイコン16aは、第1熱機器4aを連結運転仕様で動作させる。この際に、マイコン16aは、第1熱機器4aを子機運転モードで動作させる。S74の後、処理はS78(図7参照)に進む。
【0074】
S62で第2信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ親機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS76へ進む。また、S68で第1信号を受信しない場合(NOの場合)、マイコン16aは、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていないか、あるいは他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が第1熱機器4aと同じ子機運転モードであるから、連結運転仕様での動作が不可能であると判断して、処理はS76へ進む。
【0075】
S76では、マイコン16aは、第1熱機器4aを単独運転仕様で動作させる。S76の後、処理はS56へ戻る。
【0076】
図6の処理において、第1熱機器4aが単独運転仕様で動作している間、マイコン16aは、S56の処理を実行する度に、第1熱機器4aの運転モードを繰り返しランダムに設定する。このため、図6の処理の実行中に、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が接続されており、かつ他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)との間で親機と子機の間の通信が成立すると、マイコン16aは、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグの内容を、連結運転仕様に更新し、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を、その時点で設定されている第1熱機器4aの運転モードに更新した上で、単独運転仕様から連結運転仕様に切り換わる。また、図6の処理の実行中、通信ケーブル24を介して他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)が正常に接続されていない場合は、第1熱機器4aは単独運転仕様のまま動作を実行し続ける。
【0077】
図7に示すS78-S102の処理は、図4に示すS26-S50の処理と同様である。図7に示す処理においては、S100の後、処理は図6のS54に戻る。
【0078】
図7の処理の実行中、マイコン16aは、S86の処理を実行する度に、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容を新たに読み出す。このため、図7の処理を実行中に、作業者が設定入力部22aに切り換え操作を行い、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容が更新されると、更新後の親機/子機フラグの内容が図7の処理に反映される。従って、図7の処理を実行中に、作業者が設定入力部22aに切り換え操作を行った場合や、通信ケーブル24を介した他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)との接続が断線した場合は、エラー報知が行われる。エラー報知の際の運転モードが親機運転モードである場合、連結運転仕様から単独運転仕様に切り替えられ、エラーが解除された後、再び図6の処理が実行される。すなわち、第1熱機器4aは、再びランダムに親機運転モードまたは子機運転モードのいずれかを設定し、他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)との間で親機と子機の間の通信が成立すると、単独連結仕様から連結運転仕様に再び切り替わる。エラー報知の際の運転モードが子機運転モードである場合、連結運転仕様から単独運転仕様に切り替えられずに図7の処理が継続され、他の熱機器4(例えば第2熱機器4b)との間で親機と子機の間の通信が成立すると、エラーが解除される。
【0079】
以上のように、実施例1,2において、第1熱機器4a(熱機器の例)は、バーナ10a(加熱部の例)と、バーナ10aを制御するマイコン16a(制御部の例)と、第2熱機器4b(他の熱機器の例)と通信可能な通信IF26a(通信部の例)を備えている。マイコン16aは、第1熱機器4aの運転仕様として、第1熱機器4aが単独で動作する単独運転仕様と、第1熱機器4aが第2熱機器4bと協調して動作する連結運転仕様を含む複数の運転仕様のうちの1つを設定可能である。マイコン16aは、第1熱機器4aの運転モードとして、第2熱機器4bの管理を主体的に行う親機運転モードと、第2熱機器4bによる管理に従属的に従う子機運転モードを含む複数の運転モードのうちの1つを設定可能である。マイコン16aは、運転モードとして親機運転モードが設定されている場合に、設定された運転仕様に関わらず、通信IF26aを介して第1信号を送信する。マイコン16aは、運転モードとして子機運転モードが設定されている場合に、設定された運転仕様に関わらず、通信IF26aを介して第2信号を送信する。マイコン16aは、運転仕様として単独運転仕様が設定されている場合に、通信IF26aを介して第1信号を受信しかつ第2信号を送信した場合、または、通信IF26aを介して第1信号を送信しかつ第2信号を受信した場合に、設定された運転仕様を連結運転仕様に切り替える。
【0080】
上記の構成によれば、第1熱機器4aの運転仕様を、通信IF26aを介した第2熱機器4bとの通信に基づいて自動的に切り替えることができる。このような構成とすることによって、第1熱機器4aの設置作業をより容易に行うことができる。
【0081】
実施例1,2において、第1信号は、第1タイミングt1にアクティブ値を有する信号であり、第2信号は、第1タイミングt1から時間的にオフセットした第2タイミングt2にアクティブ値を有する信号である。
【0082】
上記の構成によれば、第1信号が送受信されるタイミングと第2信号が送受信されるタイミングがオフセットしているので、第1信号と第2信号を同じ通信回線上で送受信することができる。
【0083】
実施例1,2において、第1熱機器4aは、複数の運転仕様のうちの1つを示す第1フラグを記憶する、メモリ18a(不揮発性記憶部の例)をさらに備えている。マイコン16aは、電源が投入された時に、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグ(第1フラグの例)に基づいて運転仕様を設定する。マイコン16aは、設定された運転仕様を切り替える場合に、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグを更新する。
【0084】
上記の構成によれば、通信IF26aを介した第2熱機器4bとの通信に基づいて設定された運転仕様を示す連結/単独フラグを、メモリ18aに記憶しておくことができる。このため、例えば第1熱機器4aへの電力供給が遮断された場合であっても、第1熱機器4aへの電力供給が復旧した時に、以前に設定されていた運転仕様で第1熱機器4aを動作させることができる。
【0085】
実施例1,2において、メモリ18aは、複数の運転モードのうちの1つを示す親機/子機フラグ(第2フラグの例)をさらに記憶している。第1熱機器4aは、運転モードを切り替える切り替え操作を入力可能な設定入力部22aをさらに備えている。マイコン16aは、設定入力部22aに切り替え操作が入力された時に、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグを更新する。
【0086】
上記の構成によれば、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが示す運転モードを、作業者が手動で切り替えることができる。
【0087】
実施例1において、マイコン16aは、電源が投入された時に、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグに基づいて運転モードを設定する。
【0088】
上記の構成によれば、例えば、それぞれ単独運転仕様で動作している第1熱機器4aと第2熱機器4bを連結運転仕様で動作させたい場合に、それぞれの設定入力部22a、22bへの切り替え操作によって、第1熱機器4aのメモリ18aに記憶されている親機/子機フラグが示す運転モードを親機運転モード(または子機運転モード)とし、第2熱機器4bのメモリ18bに記憶されている親機/子機フラグが示す運転モードを子機運転モード(または親機運転モード)としておいて、第1熱機器4aと第2熱機器4bの電源の遮断と電源の再投入を行うことで、それぞれの運転仕様を連結運転仕様に容易に切り替えることができる。
【0089】
実施例1において、マイコン16aは、運転仕様として連結運転仕様が設定されている場合に、定期的に、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグに基づいて、設定されている運転モードを更新する。
【0090】
上記の構成によれば、連結運転仕様が設定されている場合に、第1熱機器4aの電源の遮断と電源の再投入を行わなくても、作業者が手動で行った運転モードの設定の切り替えを、速やかに反映させることができる。
【0091】
実施例2において、マイコン16aは、電源が投入された時に、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグに基づいて設定された運転仕様が連結運転仕様である場合には、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグに基づいて運転モードを設定する。メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグに基づいて設定された運転仕様が単独運転仕様である場合には、メモリ18aに記憶されている親機/子機フラグの内容に関わらず、運転モードをランダムに設定する。マイコン16aは、設定された運転仕様を連結運転仕様に切り替える場合に、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグと親機/子機フラグの両方を更新する。
【0092】
上記の構成によれば、電源投入時に、メモリ18aに記憶されている連結/単独フラグが単独運転仕様を示す場合には、運転モードがランダムに設定される。このため、運転モードがランダムに設定された結果、第1熱機器4aの運転モードと第2熱機器4bの運転モードが互いに異なるものに設定された場合に、第1熱機器4aと第2熱機器4bのそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に切り替えることができる。また、運転モードがランダムに設定された結果、第1熱機器4aの運転モードと第2熱機器4bの運転モードが同じものに設定された場合であっても、第1熱機器4aの運転モードと第2熱機器4bの運転モードが異なるものに設定されるまで、第1熱機器4aと第2熱機器4bの電源の遮断と電源の再投入を繰り返し行うことで、第1熱機器4aと第2熱機器4bのそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に切り替えることができる。上記の構成によれば、第1熱機器4aと第2熱機器4bのそれぞれの運転仕様を連結運転仕様に容易に切り替えることができる。
【0093】
(変形例)
上記の実施例において、図4のS42(または図7のS94)でエラーを報知してから、図4のS48(または図7のS100)でエラーが解除されるまでの間、マイコン16aは、例えばバーナ10aを消火し、および/または水量サーボの流量をゼロとすることで、第1熱機器4aの動作を停止させてもよい。
【0094】
上記の実施例において、図4のS36でNOの場合(または図7のS88でNOの場合)に、図4のS42(または図7のS94)に進んでもよい。すなわち、エラー報知の際の運転モードが子機運転モードである場合に、エラー報知の際の運転モードが親機運転モードである場合と同様の処理を実行してもよい。
【0095】
上記の実施例では、親機運転モードである熱機器4が送信する第1信号が時間的に先行しており、子機運転モードである熱機器4が送信する第2信号が時間的に遅れている構成について説明した。これとは異なり、子機運転モードである熱機器4が送信する第2信号が時間的に先行しており、親機運転モードである熱機器4が送信する第1信号が時間的に遅れていてもよい。
【0096】
上記の実施例では、第1熱機器4aの通信IF26aと第2熱機器4bの通信IF26bが、通信ケーブル24を介した有線通信によって互いに通信可能である構成について説明した。これとは異なり、第1熱機器4aの通信IF26aと第2熱機器4bの通信IF26bは、赤外線通信やBluetooth(登録商標)通信、Wi-Fi(登録商標)通信などの無線通信によって互いに通信可能である構成としてもよい。
【0097】
上記の実施例では、第1熱機器4aと第2熱機器4bの制御回路基板12a、12bに、設定表示部20a、20bと設定入力部22a、22bが設けられている構成について説明した。これとは異なり、第1熱機器4a、第2熱機器4bのリモコン14a、14bに、設定表示部20a、20bと設定入力部22a、22bが設けられている構成としてもよい。
【0098】
上記の実施例では、第1熱機器4aと第2熱機器4bが、ガスを利用するバーナ10a、10bを加熱部として備える構成について説明した。これとは異なり、第1熱機器4aおよび/または第2熱機器4bは、電気を利用するヒータを加熱部として備える構成としてもよい。
【0099】
上記の実施例では、第1熱機器4aと第2熱機器4bが、水を加熱する給湯器である構成について説明した。これとは異なり、第1熱機器4aと第2熱機器4bは、室内の空気を加熱する暖房機である構成としてもよい。
【0100】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0101】
2 :熱機器システム
4 :熱機器
4a :第1熱機器
4b :第2熱機器
6a :給水口
6b :給水口
8a :給湯口
8b :給湯口
10a :バーナ
10b :バーナ
12a :制御回路基板
12b :制御回路基板
14a :リモコン
14b :リモコン
16a :マイコン
16b :マイコン
18a :メモリ
18b :メモリ
20a :設定表示部
20b :設定表示部
22a :設定入力部
22b :設定入力部
24 :通信ケーブル
26a :通信IF
26b :通信IF
28a :リモコンIF
28b :リモコンIF
30a :リモコン表示部
30b :リモコン表示部
32a :リモコン入力部
32b :リモコン入力部
34 :給水管
34a :第1給水管
34b :第2給水管
36 :給湯管
36a :第1給湯管
36b :第2給湯管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7