(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074627
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ブースター
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20230523BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H04B1/38
H05K7/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187644
(22)【出願日】2021-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 将和
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡志
【テーマコード(参考)】
4E352
5K011
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB04
4E352BB10
4E352CC04
4E352CC08
4E352CC53
4E352DD05
4E352DR02
4E352DR05
4E352DR14
4E352DR34
4E352GG12
5K011AA03
5K011AA08
5K011AA16
5K011DA02
5K011DA12
5K011DA29
5K011JA09
5K011KA12
(57)【要約】
【課題】ブースターから引き出される電源ケーブルの配線作業を容易にする。
【解決手段】ブースターは、高周波信号を増幅して出力する増幅部と、増幅部に電力を供給する電源部と、電源部に接続される電源ケーブルと、増幅部および電源部を収容する筐体と、を備え、筐体は、電源ケーブルが通される通し部を有し、電源ケーブルは、通し部を介して、筐体の外部に引き出され、通し部は、互いに異なる位置に配置される第1通し部および第2通し部を含み、電源ケーブルは、第1通し部および第2通し部のいずれかから選択的に引き出される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を増幅して出力する増幅部と、
前記増幅部に電力を供給する電源部と、
前記電源部に接続される電源ケーブルと、
前記増幅部および前記電源部を収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記電源ケーブルが通される通し部を有し、
前記電源ケーブルは、前記通し部を介して、前記筐体の外部に引き出され、
前記通し部は、互いに異なる位置に配置される第1通し部および第2通し部を含み、
前記電源ケーブルは、前記第1通し部および前記第2通し部のいずれかから選択的に引き出される、ブースター。
【請求項2】
前記筐体は、筐体本体を含み、
前記筐体本体は、
ベース部と、
前記ベース部から第1方向に立設し、前記第1方向と直交する第2方向に延びる第1壁部と、
前記ベース部から前記第1方向に立設し、前記第2方向に延び、前記第1壁部に対して前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に対向する第2壁部と、を有し、
前記筐体本体は、前記第1壁部と前記第2壁部との前記第3方向間の領域を前記電源部の収容領域として有し、
前記筐体本体は、前記第1壁部を前記第3方向に貫通する部分を前記第1通し部として有するとともに、前記第2壁部を前記第3方向に貫通する部分を前記第2通し部として有する、請求項1に記載のブースター。
【請求項3】
前記第1通し部は、前記第1壁部の一部を前記ベース側とは反対側から前記ベース側に向かう方向に切り欠いた部分であり、
前記第2通し部は、前記第2壁部の一部を前記ベース側とは反対側から前記ベース側に向かう方向に切り欠いた部分である、請求項2に記載のブースター。
【請求項4】
前記電源ケーブルは、被固定部を一方端側に有し、
前記筐体本体は、前記被固定部を固定するケーブル固定部を前記収容領域に有し、
前記ケーブル固定部は、前記被固定部を前記第3方向と平行に固定する、請求項2または3に記載のブースター。
【請求項5】
前記筐体は、電源カバーを含み、
前記収容領域は、前記第2方向における一方側の領域である第1領域と他方側の領域である第2領域とに仕切られ、
前記ケーブル固定部は、前記第1領域に配置され、
前記第1通し部は、前記第1壁部のうち前記第2領域を区画する部分に形成されるとともに、前記第2通し部は、前記第2壁部のうち前記第2領域を区画する部分に形成され、
前記第1領域は、前記電源カバーによって前記筐体の外部に露出しないように塞がれる一方、前記第2領域は、前記筐体の外部に露出する、請求項4に記載のブースター。
【請求項6】
前記筐体本体は、前記第2領域にケーブル保持部を有し、
前記ケーブル保持部は、前記第2領域において、前記電源ケーブルを前記第3方向に延びた状態で保持する、請求項5に記載のブースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブースターは、増幅部および電源部を備える。このようなブースターは、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
たとえば、ブースターの電源部には、電源ケーブルが接続される。電源ケーブルは、ブースターの筐体から外部に引き出され、商用電源(コンセント)に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブースターの取付位置は様々である。ブースターの取付位置により、ブースターとコンセント(電源ケーブルの接続先)との位置関係が変わる。電源ケーブルの引き出し方向の先にコンセントがあれば、電源ケーブルの配線作業を容易に行うことができる。しかし、電源ケーブルの引き出し方向の先にコンセントがあるとは限らない。場合によっては、電源ケーブルを複雑に引き回さなければならない。言い換えると、電源ケーブルをコンセントに接続するため、電源ケーブルを何回も屈曲させなければならない。この場合には、電源ケーブルの配線作業が困難になる。
【0006】
本発明は、ブースターから引き出される電源ケーブルの配線作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によるブースターは、高周波信号を増幅して出力する増幅部と、増幅部に電力を供給する電源部と、増幅部に接続される電源ケーブルと、増幅部および電源部を収容する筐体と、を備える。筐体は、電源ケーブルが通される通し部を有する。電源ケーブルは、通し部を介して、筐体の外部に引き出される。通し部は、互いに異なる位置に配置される第1通し部および第2通し部を含む。電源ケーブルは、第1通し部および第2通し部のいずれかから選択的に引き出される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、ブースターから引き出される電源ケーブルの配線作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係るブースターの前面カバーを省略した斜視図である。
【
図3】実施形態に係るブースターの電源カバーを省略した斜視図である。
【
図4】実施形態に係るブースターの筐体の分解斜視図である。
【
図5】実施形態に係るブースターの収容領域を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係るブースターの収容領域を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係るブースターの電源カバーを省略して後方から見た場合の平面図である(電源ケーブルを上方に引き出す場合の図)。
【
図8】実施形態に係るブースターの電源カバーを省略して後方から見た場合の平面図である(電源ケーブルを下方に引き出す場合の図)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図8を参照し、本実施形態のブースター100について説明する。以下の説明では、図中のX方向を左右方向と定義し、Y方向を上下方向と定義し、Z方向を前後方向と定義する。また、X方向のうち、+X方向を右方(一方)と定義し、-X方向を左方(他方)と定義する。Y方向のうち、+Y方向を上方(一方)と定義し、-Y方向を下方(他方)と定義する。Z方向のうち、+Z方向を前方(一方)と定義し、-Z方向を後方(後方)と定義する。なお、X方向は「第2方向」に相当し、Y方向は「第3方向」に相当し、Z方向は「第1方向」に相当する。
【0011】
<ブースターの概略構成>
図1~
図3に示すように、ブースター100は、増幅部1および電源部2を備える。また、ブースター100は、筐体3を備える。筐体3は、板金製の部材および金属ダイカスト製の部材などで構成される。増幅部1および電源部2は、筐体3の内部に収容される。
【0012】
増幅部1は、テレビアンテナで受信した高周波信号(テレビ信号)を増幅する。増幅部1は、増幅回路を含む増幅基板11を備える。増幅基板11には、入力端子および出力端子を含む複数の端子12が接続される。複数の端子12は、筐体3の内部から、筐体3の外部に突出する。複数の端子12は、下向きに突出する。すなわち、複数の端子12の突出方向は、上下方向である。
【0013】
電源部2は、増幅部1に電力を供給する。電源部2は、電源回路を含む電源基板21を備える。電源基板21は、交流電源(商用電源)から供給される電力を直流に変換し、増幅部1への供給電力を生成する。
【0014】
ブースター100は、電源ケーブル20を備える。電源ケーブル20の一方端は、電源基板21に接続される。すなわち、電源ケーブル20は、電源部2に接続される。
【0015】
図示しないが、電源ケーブル20は、他方端にプラグを有する。当該プラグは、コンセントに差し込まれる。すなわち、電源ケーブル20の他方端は、交流電源(商用電源)に接続される。電源基板21は、電源ケーブル20を介して供給される電力を直流に変換する。
【0016】
<筐体の構成>
図4に示すように、筐体3は、筐体本体30を含む。また、筐体3は、前面カバー31および電源カバー32を含む。前面カバー31および電源カバー32は、筐体本体30に取り付けられる。前面カバー31は、筐体本体30の前面側に配置される。電源カバー32は、筐体本体30の後面側に配置される。
【0017】
筐体本体30は、
図5および
図6に示すように、ベース部310を有する。ベース部310は、前後方向から見て、略矩形状に形成され、ベース部310の長手方向が左右方向となり、ベース部310の短手方向が上下方向となる。
【0018】
増幅部1および電源部2は、ベース部310を挟んで前後方向に重なる。具体的には、増幅部1は、ベース部310の前面側に配置され、電源部2は、ベース部310の後面側に配置される(
図2および
図3参照)。すなわち、増幅基板11は、ベース部310の前面側に配置され、電源基板21は、ベース部310の後面側に配置される。
【0019】
ベース部310の前面側には、前面カバー31が取り付けられる。ベース部310の前面側は、前面カバー31で覆われる。増幅基板11は、前面カバー31により、筐体3の外部に露出しないように覆われる。
【0020】
ベース部310の後面側には、電源カバー32が取り付けられる。ベース部310の後面側は、少なくとも一部が電源カバー32で覆われる。少なくとも電源基板21は、電源カバー32により、筐体3の外部に露出しないように覆われる。
【0021】
また、筐体本体30は、ベース部310の外縁から後方(すなわち、第1方向)に立設する外壁部を有する。筐体本体30の外壁部は、第1壁部311および第2壁部312を含む。第1壁部311は、左右方向に延びる。第2壁部312は、左右方向に延び、第1壁部311に対して上下方向に対向する。
【0022】
筐体3は、筐体本体30のベース部310と外壁部とで囲われた領域300を電源部2の収容領域として有する。言い換えると、筐体3は、第1壁部311と第2壁部312との上下方向間の領域300を電源部2の収容領域として有する。電源ケーブル20は、収容領域300から、筐体3の外部に引き出される。
【0023】
収容領域300は、左右方向における左側の領域(一方側の領域)である第1領域3Lと右側の領域(他方側の領域)である第2領域3Rとに仕切られる。たとえば、ベース部310は、後方に立設する壁部である仕切り部313を有する。仕切り部313は、収容領域300を左右2つに仕切るように上下方向に延びる。第1領域3Lは、仕切り部313の左側の領域であり、第2領域3Rは、仕切り部313の右側の領域である。
【0024】
電源基板21は、第1領域3Lに配置される。なお、電源基板21には、電源ケーブル20の一方端が接続される。このため、第1領域3Lにおいて、電源ケーブル20の一方端側を固定する必要がある。そこで、電源ケーブル20は、被固定部20aを有する(
図3参照)。また、筐体3は、ケーブル固定部320を収容領域300に有する。ケーブル固定部320は、第1領域3Lに配置される。ケーブル固定部320は、電源ケーブル20の被固定部20aを固定する。電源ケーブル20は、被固定部20aがケーブル固定部320に固定された状態で、電源基板21に接続される。
【0025】
<電源ケーブルの引き出し>
筐体3は、通し部330を有する。通し部330には、電源ケーブル20が通される。電源ケーブル20は、通し部330を介して、筐体3の内部、すなわち、収容領域300から、筐体3の外部に引き出される(
図3参照)。
【0026】
通し部330は、
図5および
図6に示すように、第1通し部331および第2通し部332を含む。第1通し部331および第2通し部332は、互いに異なる位置に配置される。そして、電源ケーブル20は、第1通し部331および第2通し部332のいずれかから選択的に引き出される。第1通し部331を使用する場合には、電源ケーブル20が上方に引き出される。第2通し部332を使用する場合には、電源ケーブル20が下方に引き出される。
【0027】
電源ケーブル20が上方に引き出された状態を
図7に示し、電源ケーブル20が下方に引き出された状態を
図8に示す。以下、
図7および
図8を参照し、電源ケーブル20の引き出し構造について詳細に説明する。なお、
図7および
図8は、収容領域300を後方から見た平面図であるため、左右が逆となる。
【0028】
筐体本体30は、第1壁部311を上下方向(すなわち、第1壁部311の板厚方向)に貫通する部分を第1通し部331として有する。また、筐体本体30は、第2壁部312を上下方向(すなわち、第2壁部312の板厚方向)に貫通する部分を第2通し部332として有する。
【0029】
第1通し部331は、第1壁部311の一部を前後方向の後方から前方(ベース部310側とは反対側からベース部310側)に向かって切り欠いた部分であり、第2通し部332は、第2壁部312の一部を前後方向の後方から前方(ベース部310側とは反対側からベース部310側)に向かって切り欠いた部分である。すなわち、第1通し部331および第2通し部332は、それぞれ、電源ケーブル20を後方から挿入可能な形状を有する。
【0030】
通し部330を切り欠き形状とすることにより、筐体3の内部から外部への電源ケーブル20の引き出し作業(電源ケーブル20を通し部330に通す作業)が容易になる。具体的には、通し部330に対して後方から電源ケーブル20を挿入する(嵌め込む)だけで、通し部330に電源ケーブル20が通された状態にできる。
【0031】
また、第1通し部331は、第1壁部311のうち第2領域3Rを区画する部分に形成される。第2通し部332は、第2壁部312のうち第2領域3Rを区画する部分に形成される。電源ケーブル20を上方に引き出す場合および電源ケーブル20を下方に引き出す場合のいずれであっても、電源ケーブル20は、第2領域3Rから引き出される。
【0032】
ここで、ケーブル固定部320は、第1領域3Lにおいて、電源ケーブル20の被固定部20aを左右方向と平行(略平行を含む)となるよう固定する。これにより、電源ケーブル20は、ケーブル固定部320から左右方向に延ばされ、第1領域3Lから第2領域3Rに引き出される。
【0033】
この構成では、電源ケーブル20は、第2領域3Rにおいて、上下方向に延びるように曲げられる。第1通し部331を使用する場合には、第2領域3Rにおいて、電源ケーブル20は上方に曲げられる。第2通し部332を使用する場合には、第2領域3Lにおいて、電源ケーブル20は下方に曲げられる。
【0034】
なお、図示しないが、たとえば、第1領域3Lにおいて、電源ケーブル20の被固定部20aが上下方向と平行となるよう固定されているとする。この構成では、場合によっては、電源ケーブル20を通し部330から引き出すとき、電源ケーブル20を収容領域300内で大きく屈曲させる必要がある。一例として、第1領域3Lにおいて、電源ケーブル20が下方に延びる方向に固定されている場合、電源ケーブル20を上方から引き出すには、電源ケーブル20を収容領域300内で逆向きに屈曲させる必要があり、収容領域300内での電源ケーブル20の配線作業が困難になる。
【0035】
一方で、第1領域3Lにおいて、電源ケーブル20の被固定部20aが左右方向と平行となるよう固定されていれば、上向きおよび下向きのいずれにも電源ケーブル20を屈曲させ易い。このため、収容領域300内での電源ケーブル20の配線作業が容易になる。
【0036】
電源ケーブル20を上方および下方のいずれに引き出すかは、ブースター100の取付位置によって変わる。たとえば、ブースター100の取付作業者は、ブースター100の取付位置とコンセント(電源ケーブル20の接続先)との位置関係を確認し、電源ケーブル20の引き出し方向を変える。ブースター100の取付位置に対しコンセントが上方に位置する場合には、電源ケーブル20を上方に引き出すことが好ましい。ブースター100の取付位置に対しコンセントが下方に位置する場合には、電源ケーブル20を下方に引き出すことが好ましい。
【0037】
このように、電源ケーブル20の引き出し方向は、ブースター100の取付位置に応じて、取付作業者によって任意に変えられる。仮に、第1領域3Lおよび第2領域3Rを含む収容領域300の全領域が電源カバー32によって塞がれていれば、電源ケーブル20の引き出し方向を変えるとき、電源カバー32を取り外す作業が必要となる。電源カバー32を省略すれば、電源カバー32の取り外し作業が不要となるが、電源基板21が筐体3の外部に露出してしまう。
【0038】
そこで、電源基板21が配置される第1領域3Lは、電源カバー32によって筐体3の外部に露出しないように塞がれる。一方で、第2領域3Rは、筐体3の外部に露出する。なお、第2領域3Rは、電源基板21が配置されない領域である。第2領域3Rは、電源ケーブル20だけが配置される領域(電源ケーブル20の引き出し方向を調整するための領域)である。このため、第2領域3Rが筐体3の外部に露出していても、不都合は生じない。
【0039】
たとえば、ケーブル固定部320は、第1領域3Lにおいて、第1壁部311側寄り(上下方向の一方側寄り)に配置される。この構成において、第1通し部331を使用する場合、電源ケーブル20を第2領域3Rで引き回さなくても、電源ケーブル20を上方に曲げるだけで、電源ケーブル20を第1通し部331から引き出せる。一方で、第2通し部332を使用する場合、電源ケーブル20を第2領域3Rで下方に曲げた後、電源ケーブル20を下方に向けて引き回し、電源ケーブル20を第2通し部332から引き出さなければならない。
【0040】
このため、第2通し部332を使用する場合には、第2領域3Rにおいて、電源ケーブル20が動かないよう電源ケーブル20を保持することが好ましい。そこで、筐体本体30は、ケーブル保持部333を第2領域3Rに有する。ケーブル保持部333は、第2領域3Rにおいて、電源ケーブル20を上下方向に延びた状態で保持する。言い換えると、ケーブル保持部333は、第2領域3Rにおいて、上方から下方に延びる電源ケーブル20を保持する。また、ケーブル保持部333は、第2領域3Rのうち上下方向の略中央に配置される。これにより、第2通し部332を使用する場合、第2領域3Rにおいて、電源ケーブル20が動くことを抑制できる。
【0041】
たとえば、筐体本体30は、第2領域3Rのうち上下方向の略中央から後方に突出する壁部(以下、第2領域壁部と称する)を有する。第2領域壁部は、第2領域3Rを上下2つに仕切るように左右方向に延びる。また、第2領域壁部は、後方から前方に向かって切り込まれ、かつ、上下方向に貫通する切欠き部を有する。ケーブル保持部333は、当該切欠き部を有する第2領域壁部によって構成される。第2通し部332を使用する場合、電源ケーブル20は、第2領域3Rにおいて、第2領域壁部の切欠き部に嵌め込まれる。
【0042】
なお、ケーブル固定部320は、第1領域3Lにおいて、第2壁部312側寄り(上下方向の他方側寄り)に配置されてもよい。この構成では、第1通し部331を使用する場合、下方から上方に延びる電源ケーブル20を保持できる。
【0043】
本実施形態では、上記のように、電源ケーブル20を筐体3の外部に引き出すための通し部330として、第1通し部331および第2通し部332が筐体本体30に設けられる。第1通し部331および第2通し部332は、互いに異なる位置に配置される。そして、電源ケーブル20は、第1通し部331および第2通し部332のいずれかから選択的に引き出される。
【0044】
この構成では、ブースター100の取付位置に対してコンセント(電源ケーブル20の接続先)がいずれの方向にあるかに応じて、筐体3からの電源ケーブル20の引き出し方向を変えることができる。これにより、ブースター100から引き出される電源ケーブル20の配線作業を容易にできる。
【0045】
たとえば、筐体3からの電源ケーブル20の引き出し方向が上向きに固定されている構成において、ブースター100の取付位置よりも下方にコンセントが配置されている場合には、電源ケーブル20を上向きから下向きに大きく屈曲させなければならない。仮に、ブースター100の取付位置の周辺に他の機器が設置されている場合には、電源ケーブル20の配線作業が困難になる。
【0046】
一方で、この例の場合、本実施形態では、筐体3から下方に電源ケーブル20を引き出せばよい。これにより、ブースター100の取付位置の周辺において電源ケーブル20を大きく屈曲させる必要がないので、電源ケーブル20の配線作業が容易になる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、筐体本体30は、第1壁部311を上下方向に貫通する部分を第1通し部331として有するとともに、第2壁部312を上下方向に貫通する部分を第2通し部332として有する。これにより、電源ケーブル20を上方に引き出すこともできるし、電源ケーブル20を下方に引き出せることもできる。
【0048】
なお、電源ケーブル20を左右方向に引き出せてもよい。たとえば、筐体本体30の外壁部のうち、第2領域3Rを区画する右側の壁部は、左右方向に貫通する貫通部301(
図7および
図8参照)を一部に有する。これにより、上下方向に加え、右方向にも、電源ケーブル20を引き出すことができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、第1通し部331は、第1壁部311の一部を後方から前方に向かって切り欠いた部分であり、第2通し部332は、第2壁部312の一部を後方から前方に向かって切り欠いた部分である。これにより、容易に、電源ケーブル20を第1通し部331に通すことができ、電源ケーブル20を第2通し部332に通すことができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、電源ケーブル20の被固定部20aは、収容領域300(第1領域3L)において、ケーブル固定部320により、左右方向と平行に固定される。これにより、収容領域300内で電源ケーブル20を逆向き(略180°)に屈曲させなくても、すなわち、収容領域300内で電源ケーブル20を大きく屈曲させなくても、容易に、電源ケーブル20を上方に引き出すこともできるし、電源ケーブル20を下方に引き出すこともできる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、第1領域3Lは、電源カバー32によって筐体3の外部に露出しないように塞がれる。一方で、第2領域3Rは、筐体3の外部に露出しない。すなわち、第2領域3Rは、第1領域3Lと異なり、電源カバー32で塞がれていない。これにより、電源カバー32を取り外さなくても、第2領域3Rにおいて電源ケーブル20の配線作業を行うことができる。作業者にとっては、電源ケーブル20の配線作業を効率良く行うことができるので、利便性が良い。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、筐体本体30は、第2領域3Rにケーブル保持部333を有する。この構成では、電源ケーブル20を第2通し部332から引き出す場合、たとえば、電源ケーブル20のうち第2領域3Rに位置する部分が貫通部301から筐体3の外部にはみ出ることを抑制できる。
【0053】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 増幅部
2 電源部
3 筐体
3L 第1領域
3R 第2領域
20 電源ケーブル
20a 被固定部
30 筐体本体
32 電源カバー
100 ブースター
300 収容領域
310 ベース部
311 第1壁部
312 第2壁部
320 ケーブル固定部
330 通し部
331 第1通し部
332 第2通し部
333 ケーブル保持部
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を増幅して出力する増幅部と、
前記増幅部に電力を供給する電源部と、
前記電源部に接続される電源ケーブルと、
前記増幅部および前記電源部を収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記電源ケーブルが通される通し部を有し、
前記電源ケーブルは、前記通し部を介して、前記筐体の外部に引き出され、
前記通し部は、互いに異なる位置に配置される第1通し部および第2通し部を含み、
前記筐体は、ベース部を有する筐体本体を含み、
前記増幅部は、前記ベース部の第1方向の一方側に配置され、
前記電源部は、前記ベース部の前記第1方向の他方側に配置され、
前記筐体本体は、前記ベース部の外縁から前記第1方向の他方側に立設する外壁部を有するとともに、前記ベース部と前記外壁部とで囲われた領域を前記電源部の収容領域として有し、
前記外壁部は、
前記第1方向と直交する第2方向に延びる第1壁部と、
前記第2方向に延び、前記第1壁部に対して前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に対向する第2壁部と、を含み、
前記収容領域は、前記第2方向における一方側の領域である第1領域と他方側の領域である第2領域とに仕切られ、
前記第1通し部は、前記第1壁部のうち前記第2領域を区画する部分を前記第3方向に貫通する部分であり、前記第2通し部は、前記第2壁部のうち前記第2領域を区画する部分を前記第3方向に貫通する部分であり、
前記電源ケーブルに接続される前記電源部の電源基板は、前記第1領域に配置され、
前記電源ケーブルは、前記第1領域から前記第2領域に引き出され、前記第2領域において前記第3方向に延びるように曲げられ、前記第1通し部および前記第2通し部のいずれかから選択的に引き出される、ブースター。
【請求項2】
前記第1通し部は、前記第1壁部の一部を前記ベース部側とは反対側から前記ベース部側に向かう方向に切り欠いた部分であり、
前記第2通し部は、前記第2壁部の一部を前記ベース部側とは反対側から前記ベース部側に向かう方向に切り欠いた部分である、請求項1に記載のブースター。
【請求項3】
前記電源ケーブルは、被固定部を一方端側に有し、
前記筐体本体は、前記被固定部を固定するケーブル固定部を前記収容領域に有し、
前記ケーブル固定部は、前記被固定部を前記第3方向と平行に固定する、請求項1または2に記載のブースター。
【請求項4】
前記筐体は、電源カバーを含み、
前記ケーブル固定部は、前記第1領域に配置され、
前記第1領域は、前記電源カバーによって前記筐体の外部に露出しないように塞がれる一方、前記第2領域は、前記筐体の外部に露出する、請求項3に記載のブースター。
【請求項5】
前記筐体本体は、前記第2領域にケーブル保持部を有し、
前記ケーブル保持部は、前記第2領域において、前記電源ケーブルを前記第3方向に延びた状態で保持する、請求項4に記載のブースター。