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特開2023-7465摺動ボールジョイントを含む乗籠ガイド構造を備えた観覧車設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007465
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】摺動ボールジョイントを含む乗籠ガイド構造を備えた観覧車設備
(51)【国際特許分類】
   A63G 27/02 20060101AFI20230111BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20230111BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A63G27/02
F16C23/04 E
F16C11/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100946
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2107098
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・ミュニエ
【テーマコード(参考)】
3J012
3J105
【Fターム(参考)】
3J012AB01
3J012BB03
3J012DB02
3J012FB04
3J105AA25
3J105AA37
3J105AB03
3J105AC10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】観覧車のホイールリムと乗籠との境界部の領域で発生する応力を抑えることが可能な観覧車設備を提供する。
【解決手段】観覧車設備(10)は、少なくとも1つの軸受(20)を含むガイド構造(16)を介してホイールリム構造(12)に連結された少なくとも1つの乗籠(14)を備える。軸受(20)の少なくとも2つの対向軌道面のうち、第1の軌道面(26)は乗籠(14)に強固に連結されており、第2の軌道面(28)は支持体(32)に強固に連結されている。支持体(20)は、2つの摺動ボールジョイント(42)によってホイールリム構造(12)に連結されており、2つの摺動ボールジョイント(42)の摺動軸心(200)同士が、互いに平行であり且つ互いに離れている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の公転軸心回りに回転可能なホイールリム構造(12)と、
ガイド構造(16)を介して前記ホイールリム構造(12)に連結された少なくとも1つの乗籠(14)と、
を備え、
前記ガイド構造(16)が、自転軸心(100)を形成する少なくとも1つの軸受(20)を含み、
前記軸受が、当該軸受(20)の前記自転軸心(100)回りに回転するように相対的に案内される少なくとも2つの対向軌道面(26,28)を有し、
前記2つの軌道面のうちの第1の軌道面(26)が前記乗籠(14)に強固に連結されており、前記2つの軌道面のうちの第2の軌道面(28)が支持体(32)に強固に連結されている、観覧車設備(10)において、
前記支持体(20)は、2つの摺動ボールジョイント(42)によって前記ホイールリム構造(12)に連結されており、当該2つの摺動ボールジョイント(42)の摺動軸心(200)同士が、互いに平行であり且つ互いに離れていることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の観覧車設備(10)において、前記軸受(20)の前記自転軸心(100)は、正中基準位置にて、前記摺動ボールジョイント(42)の各前記摺動軸心(200)と平行であることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の観覧車設備(10)において、前記軸受(20)の前記自転軸心(100)は、前記正中基準位置にて、各前記摺動軸心(200)から等距離であることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の観覧車設備(10)において、前記ガイド構造(16)は、前記軸受(20)に強固に連結された第1の対応ストッパ(58)と対向して前記ホイールリム構造(12)に強固に連結された少なくとも1つの第1のストッパ(56)を有するストッパ装置(54)を含み、前記第1のストッパ(56)と前記第1の対応ストッパ(58)は、第1の接触位置にて、前記ホイールリム構造(12)に対する前記軸受(20)の、第1の並進方向への前記摺動軸心(200)と平行な並進運動を規制するように第1の接触領域(Z)に応じて接触することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項5】
請求項4に記載の観覧車設備(10)において、前記第1の接触領域(Z)の中心が、各前記摺動軸心(200)を含む平面(P)から10cm未満および/または2つの前記摺動軸心(200)間の正中平面(S)から10cm未満に位置していることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項6】
請求項4または5に記載の観覧車設備(10)において、前記ストッパ装置が、前記軸受(20)に強固に連結された第2の対応ストッパ(58)と対向して前記ホイールリム構造(12)に強固に連結された少なくとも1つの第2のストッパ(56)を有し、前記第2のストッパ(56)と前記第2の対応ストッパ(58)は、第2の接触位置にて、前記ホイールリム構造(12)に対する前記軸受(20)の、前記第1の並進方向とは逆方向である第2の並進方向への前記摺動軸心(200)と平行な並進運動を規制するように接触することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項7】
請求項6に記載の観覧車設備(10)において、前記ストッパ装置(54)が、前記ホイールリム構造(12)に対する前記軸受(20)の、当該軸受の前記自転軸心(100)と平行な軸心方向並進を可能にし、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との間に軸心方向クリアランスを有することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項8】
請求項6に記載の観覧車設備(10)において、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置が一致しており、前記ストッパ装置(54)は、前記ホイールリム構造(12)に対する前記軸受(20)の、当該軸受の前記自転軸心(100)と平行な軸心方向並進を阻止することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の観覧車設備(10)において、前記ガイド構造(16)が、自転軸心(100)を形成する少なくとも1つのさらなる軸受(20)を含み、当該さらなる軸受(20)は、前記軸受(20)から、当該軸受の前記自転軸心(100)と平行な距離で1メートル超離れており、前記さらなる軸受(20)が、当該さらなる軸受の前記自転軸心回りに回転するように相対的に案内される少なくとも2つのさらなる対向軌道面を有し、前記2つのさらなる軌道面のうちの第1の軌道面が前記乗籠(14)に強固に連結されており、前記2つのさらなる軌道面のうちの第2の軌道面が、前記さらなる摺動ボールジョイントによって前記ホイールリム構造に連結された支持体(32)に強固に連結されていることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の観覧車設備(10)において、前記さらなる軸受(20)が、2つのさらなる摺動ボールジョイント(42)によって前記ホイールリム構造(12)に連結されており、当該2つのさらなる摺動ボールジョイント(42)の摺動軸心(200)同士が、互いに平行であり且つ互いに離れていることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の観覧車設備(10)において、前記2つのさらなる摺動ボールジョイント(42)の各前記摺動軸心(200)が、前記さらなる軸受(20)の前記自転軸心(100)と平行であることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項12】
請求項10または11に記載の観覧車設備(10)において、前記ガイド構造(16)が、前記さらなる軸受(20)に強固に連結された第1のさらなる対応ストッパ(58)と対向して前記ホイールリム構造(12)に強固に連結された少なくとも1つの第1のさらなるストッパ(56)を有するさらなるストッパ装置(54)を含み、前記第1のさらなるストッパ(56)と前記第1のさらなる対応ストッパ(58)は、第1の接触位置にて、前記ホイールリム構造(12)に対する前記さらなる軸受(20)の、第1の並進方向への前記摺動軸心(200)と平行な並進運動を規制するように接触することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の観覧車設備(10)において、前記さらなるストッパ装置(54)は、前記ホイールリム構造(12)に対する前記さらなる軸受(20)の、当該さらなる軸受(20)の前記自転軸心(100)と平行な軸心方向並進を可能にしていることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項14】
請求項12に記載の観覧車設備(10)において、前記さらなるストッパ装置(54)は、前記ホイールリム構造(12)に対する前記さらなる軸受(20)の、当該さらなる軸受(20)の前記自転軸心(100)と平行な軸心方向並進を阻止することを特徴とする、観覧車設備(10)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の観覧車設備(10)において、前記軸受(20)のピッチ円直径が、1.5メートル超、好ましくは2メートル超であることを特徴とする、観覧車設備(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向の公転軸心回りに回転可能なホイールリム構造と、少なくとも1つの乗籠(ゴンドラ)であって、前記ホイールリム構造の前記公転軸心と平行で且つ前記ホイールリム構造の前記公転軸心から離れた自転軸心回りに前記ホイールリム構造に対して回転することで、ほとんどの場合、ホイールリム回転中の前記乗籠の姿勢を維持するように、ガイド構造を介して前記ホイールリム構造に連結された少なくとも1つの乗籠と、を備える観覧車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗籠を取り囲む大径の軸受によって各乗籠が観覧車のホイールリムに対して回転するように案内される、この種の設備が記載されている。
【0003】
特許文献2には、このような設備に用いられる乗籠の取付装置が記載されている。同装置は、観覧車のホイールリムに強固に連結される外側環状体と、乗籠に強固に連結される回転側の内側環状体と、を備える。これら2つの環状体は、スペーサ軸受によって相対的に回転し得る。外側環状体は、同一平面上に角度方向に互いに離れた3つの突起を有していることで、乗籠をホイールリムに確実に支持する。
【0004】
多数の乗員の収容を目的とした大型の設備については、例えば特許文献3に記載されているように、互いに離設された2つの大型の同軸軸受によって、乗籠をホイールリムに対して回転案内することが可能である。
【0005】
乗籠のこのような軸受を観覧車のホイールリムに複数の固定点で連結する場合、乗籠の自転軸心が観覧車のホイールリムの公転軸心に対してずれる恐れや、2つの軸受で乗籠を案内するものである場合には、当該2つの軸受の自転軸心同士がずれる恐れがある。このようなずれは、応力や摩耗の原因となって設備の寿命に悪影響を及ぼす。しかし、観覧車のホイールリムへの乗籠の設置時にこのようなずれを補正しようとすると、装置の大きさもあって、時間がかかるだけでなく、極めて慎重を要するものになる。
【0006】
設備の改装時に乗籠の設置を想定している場合、それまでの稼働期間で問題にならなかったような観覧車の既存のホイールリムの仕様が同乗籠の仕様と寸法公差の関係で必ず合致するとは限らず、このような難点が、なおいっそう際立つことになる。
【0007】
また、設置後にも、例えば観覧車のホイールリムの経時的な変形等によって、そうした変形が永久的なもので経年劣化に起因するものであるか、特に熱膨張に起因するような、周期的なものであるか否かにかかわらず、ずれが生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第476892号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/140330号
【特許文献3】仏国特許発明第3088014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これを背景に、本発明の目的は、観覧車のホイールリムと乗籠との境界部の領域で発生する応力を抑えることが可能な技術的解決手段を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、水平方向の公転軸心回りに回転可能なホイールリム構造と、少なくとも1つの軸受を含むガイド構造を介して前記ホイールリム構造に連結された少なくとも1つの乗籠と、を備えた、本発明に係る観覧車設備によって達成される。同ガイド構造は、前記ホイールリム構造の前記公転軸心と平行又は略平行で且つ前記ホイールリム構造の前記公転軸心から離れた自転軸心回りに前記乗籠が前記ホイールリム構造に対して回転することを可能にするものである。
【0011】
本発明によれば、前記軸受は、2つの摺動ボールジョイントによって前記ホイールリム構造に連結されており、当該2つの摺動ボールジョイントの摺動軸心同士が、互いに平行であり且つ互いに離れている。摺動ボールジョイントとは、回転3自由度および並進1自由度をもたらす接続部のことを意味する。前記摺動ボールジョイントによって、前記ホイールリム構造に対する空間内の位置・向きの自由度が前記軸受に付与されていることで、前記乗籠が前記ホイールリム構造に対して回転する際に、前記軸受と前記ホイールリム構造との境界部に顕著な応力が発生しない。
【0012】
実際には、前記軸受は、当該軸受の前記自転軸心回りに回転するように相対的に案内される少なくとも2つの対向軌道面を有し、前記2つの軌道面のうちの第1の軌道面が前記乗籠に強固に連結されており、前記2つの軌道面のうちの第2の軌道面が、前記摺動ボールジョイントによって、前記ホイールリム構造に連結された支持体に強固に連結されている。前記軌道面は、一体又は複数の部位からなる軸受軌道輪によって形成されたものであり得る。一実施形態において、前記2つの軌道面のうちの前記第1の軌道面は、前記軸受の外輪軌道面であり、前記2つの軌道面のうちの前記第2の軌道面は、前記軸受の内輪軌道面である。逆の構成も可能である。
【0013】
実際に、前記軸受の前記自転軸心と前記摺動ボールジョイントの各摺動軸心とが平行になる前記ガイド構造の基準位置が存在する。好ましくは、前記軸受の前記自転軸心は、前記基準位置にて、各摺動軸心から等距離である。
【0014】
前記2つのボールジョイントは、共同で、前記ホイールリム構造に対する運動自由度を前記軸受に付与する。好ましくは、
● 前記軸受は、第1の接触位置にて、各摺動軸心と同一平面上にあり且つ各摺動軸心と直交する傾動軸心回りに自由に回動することができ、かつ/あるいは、
● 前記軸受は、第1の接触位置にて、前記乗籠の前記自転軸心と交差する揺動軸心回りに自由に回動することができる(実際のこの運動時には、各摺動ボールジョイントの、互いに逆の軸心方向への並進が伴う)。
【0015】
一実施形態において、前記ガイド構造は、前記ホイールリム構造に強固に連結された第1の対応ストッパと対向して前記軸受に強固に連結された少なくとも1つの第1のストッパを有するストッパ装置を含み、前記第1のストッパと前記第1の対応ストッパは、第1の接触位置にて、前記ホイールリム構造に対する前記軸受の、第1の並進方向への前記摺動軸心と平行な並進運動を規制するように第1の接触領域に応じて互いに接触する。
【0016】
前記第1のストッパは、前記乗籠から前記ホイールリム構造へと応力、特には風による応力を逃がすことを可能にする。
【0017】
好ましくは、前記第1の接触領域は、各摺動軸心を含む平面から10cm未満および/または2つの前記摺動軸心間の正中平面から10cm未満に位置している。
【0018】
一実施形態において、前記ストッパ装置は、前記ホイールリム構造に強固に連結された第2の対応ストッパと対向して前記軸受に強固に連結された少なくとも1つの第2のストッパを有し、前記第2のストッパと前記第2の対応ストッパは、第2の接触位置にて、前記ホイールリム構造に対する前記軸受の、前記第1の並進方向とは逆方向である第2の並進方向への前記摺動軸心と平行な並進運動を規制するように第2の接触領域に応じて接触する。
【0019】
一実施形態において、前記ストッパ装置は、前記ホイールリム構造に対する前記軸受の、前記乗籠の前記自転軸心と平行な並進を可能にし、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との間に軸心方向クリアランスを有する。代替的な一実施形態では、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置が一致しており、前記ストッパ装置が、前記ホイールリム構造に対する前記軸受の、前記乗籠の前記自転軸心と平行な並進を阻止している。
【0020】
本発明の一実施形態において、各摺動ボールジョイントは、滑り軸受を有する。他の実施形態において、各摺動ボールジョイントは、ボールジョイント用軸受、例えば、球面軸受を有する。
【0021】
一実施形態において、前記ホイールリム構造は、2つの平行なシールド体を有し、前記シールド体は、前記軸受に強固に連結された支持体の一部と前記2つの摺動ボールジョイントとが収容されるスペーサ凹所を画成している。好ましくは、前記2つのシールド体は、前記ホイールリム構造のホイールリムに固定された共通のプレートに付設されている。好ましくは、前記軸受の並進運動を規制する前記対応ストッパは、前記共通のプレートに強固に連結されている。
【0022】
一実施形態において、前記ガイド構造は、自転軸心を形成する少なくとも1つのさらなる軸受を含み、当該さらなる軸受が、前記乗籠に強固に連結されていると共に前記ホイールリム構造に連結されており(好ましくは、摺動軸心同士が互いに平行であり且つ互いに離れている2つのさらなる摺動ボールジョイントによって前記ホイールリム構造に連結されており)、前記さらなる軸受は、前記軸受から、前記乗籠の前記自転軸心と平行な距離で1メートル超離れている。
【0023】
実際には、前記さらなる軸受は、当該さらなる軸受の前記自転軸心回りに回転するように相対的に案内される少なくとも2つのさらなる対向軌道面を有し、前記2つのさらなる軌道面のうちの第1の軌道面が前記乗籠に強固に連結されており、前記2つのさらなる軌道面のうちの第2の軌道面が、前記さらなる摺動ボールジョイントによって前記ホイールリム構造に連結された支持体に強固に連結されている。
【0024】
好ましくは、前記2つのさらなる摺動ボールジョイントの各摺動軸心と前記さらなる軸受の前記自転軸心とが平行である。好ましくは、前記2つのさらなる摺動ボールジョイントの各摺動軸心は、前記2つの摺動ボールジョイントの前記摺動軸心のうちの一つと製造公差内で合致している。
【0025】
前記2つのさらなるボールジョイントは、共同で、前記ホイールリム構造に対する運動自由度を前記さらなる軸受に付与する。具体的に述べると、
● 前記さらなる軸受は、さらなる接触位置にて、各さらなる摺動軸心と同一平面上にあり且つ各さらなる摺動軸心と直交するさらなる傾動軸心回りに自由に回動することができ、かつ/あるいは、
● 前記さらなる軸受は、さらなる接触位置にて、前記さらなる軸受の前記自転軸心と交差するさらなる揺動軸心回りに自由に回転することができる。
【0026】
一実施形態において、前記ガイド構造は、前記ホイールリム構造に強固に連結された第1のさらなる対応ストッパと対向して前記さらなる軸受に強固に連結された少なくとも1つの第1のさらなるストッパを有するさらなるストッパ装置を含み、前記第1のさらなるストッパと前記第1のさらなる対応ストッパは、第1のさらなる接触位置にて、前記ホイールリム構造に対する前記さらなる軸受の、第1の並進方向への前記摺動軸心と平行な並進運動を規制するように第1のさらなる接触領域に応じて接触し、前記さらなるストッパと前記さらなる対応ストッパは、さらなる接触位置にて、各摺動軸心を含む平面から10cm未満および/または2つの前記摺動軸心間の正中平面から10cm未満に位置する接触領域に応じて接触する。
【0027】
一実施形態において、前記乗籠は、筒形状の中央部分およびノーズコーン形状の2つの側方部分を有し、前記第1の軌道面が、前記中央部分と前記側方部分との接続部に取り付けられている。
【0028】
本発明のその他の特徴及び利点については、添付の図面を参照しながら行う以下の後述の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態における観覧車設備の一部を示し、具体的には、観覧車のホイールリム、乗籠および同乗籠のガイド構造を示すことが可能な斜視図である。
図2】同ガイド構造の詳細を示す正面図である。
図3】同ガイド構造の詳細を示す斜視断面図である。
図4図3に示す切断平面Cにおける、同ガイド構造の摺動ボールジョイントの断面図である。
図5図3に示す切断平面Sにおける、同ガイド構造のストッパ装置の断面図である。
図6】同ガイド構造のさらなるストッパ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
より分かり易くするために、同一又は同様の構成/構成要素には、本文及び図面で同一の参照符号を付している。添付の図面に図示し下記で説明する本発明の実施形態は、あくまでも、本発明を限定しない例示に過ぎない。
【0031】
図1は、観覧車設備10の一部を示す図である。観覧車設備10は、水平方向の公転軸心回りに回転可能なホイールリム構造12と、ホイールリム構造12の前記公転軸心と平行で且つホイールリム構造12の前記公転軸心から離れた自転軸心回りにホイールリム構造12に対して回転するようにガイド構造16を介してホイールリム構造12に連結された乗籠14と、を備える。
【0032】
一例として、乗籠14は、長円状の構造を有し得る。同構造は、例えば、筒を形成している中央部分14.1がノーズコーン形状の2つの端部部分14.2に囲まれて構成されている。図示の乗籠14は、大型のものであり、座った又は立った状態の十数人以上の相当数の乗員を収容することが可能である。
【0033】
乗籠14のガイド構造16は、少なくとも1つの軸受20を含む。好ましくは、ガイド構造16は、互いに離間した各平面上に位置している2つの軸受20を含む。理想的には、各平面は平行である。理想的には、各軸受の自転軸心100同士が合致しており、共同で、前記乗籠の前記自転軸心を形成している。本実施形態において、各軸受20は、乗籠14の構造のうちの筒形状の中央部分14.1とノーズコーン形状の一方の端部部分14.2との連結平面上に位置しており、かつ、直径が1.5メートル超、好ましくは2メートル超のものである。
【0034】
各軸受20は、対向軌道面26,28を形成する2つの軸受軌道輪22,24を有する。対向軌道面26,28上で転動体30が転動することにより、軸受20の2つの軌道面26,28間で自転軸心100を中心とした相対回転運動が案内される。詳細には、第1の軌道面26を形成する第1の軌道輪22が乗籠10に強固に連結されており、第2の軌道面28を形成する第2の軌道輪24が支持体32に強固に連結されている。支持体32は、ホイールリム構造12に強固に連結されたプレート34に連結されている。一変形例において、支持体32および軌道輪24は、一体品を形成するものであり得る。
【0035】
プレート34は、寸法が完全に制御されるように、単一物として形成されているのが好ましく、例えば2つの平行なシールド体36を有しており、これらのシールド体36は、支持体32の一部が収容されるスペーサ凹所38を間に画成している。プレート34は、ホイールリム構造12の本体に固定される連結部40を有している。
【0036】
プレート34と支持体32は、摺動軸心200同士が互いに平行であり且つ互いに離れている2つの摺動ボールジョイント42によって運動学的に連結されている。本発明の文脈において、摺動ボールジョイントとは、回転中心回りの回転3自由度および同回転中心からの摺動軸心沿いの並進1自由度を確保した機械的接続部のことである。一部の用途において、前記回転自由度に応じた運動は、適宜、例えば5°未満の極めて小振幅のものとされ得る。また、前記並進自由度は、20mm程度のものとされ得る。しかしながら、これらの値は、カプセルの構造に認められる幾何学的欠陥や、同カプセルや前記軸受の寸法に応じて大きく変化し得ることから、一例に過ぎない。これを上回るクリアランスも排除しない。好ましくは、2つの摺動ボールジョイント42の摺動軸心200は、少なくともガイド構造16の正中基準位置にて、支持対象である軸受20の自転軸心100と平行である。これらの各ボールジョイント42は、プレート34における2つの平行なシールド体36間に収容される。
【0037】
各摺動ボールジョイント42は、例えば、支持体32に固定されたクレビス46に収容されているリング44を有する。リング44は、少なくとも一部が球面状である滑り軸受48を収容するためのものである。滑り軸受48は、例えばピン50等で形成された軸体上を摺動する。ピン50は、例えば2つのフランジ52等を介して2つの平行なシールド体36に強固に連結されている。クレビス46に強固に連結されているリング36は、球面状の外囲と滑り軸受48の外側輪郭に対して相補的な輪郭とからなる摺動凹溝を有しており、軸受48の中心回りに回転することが可能である。軸受48自体は、ピン50の軸心200に沿って動くことが可能である。
【0038】
各ピン40が形成する摺動軸心200同士は、平行である。各摺動ボールジョイント42は、支持体32とプレート34との接続部に回転3自由度およびピン50の軸心200と平行な並進1自由度を付与することで、支持体32同士のずれや2つの軸受20の自転軸心100同士のずれの補正を可能にしている。
【0039】
ガイド構造16は、少なくとも一方の支持体32(本例では、2つの支持体32)に対してのストッパ装置54を含む。好ましくは、ストッパ装置54は、プレート34における2つのシールド体36間に収まっている。各ストッパ装置54(図5に一方が、図6に他方が図示されている)は2つのストッパ56を有しており、各ストッパ56は、支持体32に強固に連結された(したがって、ホイールリム構造12に強固に連結された)対応ストッパ58にそれぞれ対向して、プレート34における一方のシールド体36に強固に連結されている。第1のストッパ56は、ホイールリム構造23に対する支持体32の、第1の並進方向への摺動軸心200と平行な並進運動を規制するように、第1の接触位置にて当該第1のストッパ56に対向する対応ストッパ58と接触する。同様に、第2のストッパ56は、ホイールリム構造12に対する支持体32の、前記第1の並進方向とは逆方向である第2の並進方向への摺動軸心200と平行な並進運動を規制するように、第2の接触位置にて当該第2のストッパ56に対向する対応ストッパ58と接触する。
【0040】
いずれの接触位置においても、対象のストッパ56とこれに対応する対応ストッパ58との接触領域Z(図2に図示)は、摺動ボールジョイント42間のほぼ中程度に位置している。参考までに述べると、各接触領域Zの中心は、各摺動軸心を含む平面Pから10cm未満に位置しているのが好ましく、かつ、2つの摺動軸心200間の正中対称平面Sから10cm未満に位置しているのが好ましい。
【0041】
各々の支持体32にストッパ装置54が対応付けられている本実施形態では、2つの支持体32のうちの少なくとも一方、ストッパ56、および対応ストッパ58の配置を、図5に示すように、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置が一致しない配置とすること、すなわち、プレート34に対して支持体32が前記第1の接触位置と前記第2の接触位置との間の数ミリメートルにわたって摺動軸心200と平行に並進運動できるように配置することが可能である。これにより、対応する支持体32は、ホイールリム構造12に対して各摺動軸心200と平行に並進運動することになり、各摺動軸心を含む平面Pと直交し軸受100の前記自転軸心と交差する仮想揺動軸心300回りの回動、および各摺動ボールジョイント42の回転中心を通る仮想傾動軸心400回りの回動を自由に行うことができるようになる。
【0042】
もう一方の支持体32については、図6に示すように、前記第1の接触位置と前記第2の接触位置を一致させて、ホイールリム構造12に対する同支持体32の並進を阻止するようにするのが好ましい。
【0043】
各摺動ボールジョイント42は、ずれ、特には2つの軸受20間のずれを補正することで、設置時の無駄の低減や機械的応力の抑制を可能にする。また、ストッパ装置54は、ずれの補償に必要な程度まで乗籠14の軸心方向クリアランスを抑え、例えば風等による軸心方向応力の吸収を可能にする。
【0044】
各ストッパ装置54は、対応する軸心方向クリアランスの増減(あるいは、実際にゼロにする)ことで適宜調節が可能である。
【0045】
図示しない一変形例では、2つの支持体32のうちの一方のみが摺動ボールジョイント42で前記ホイールリム構造に連結されていて、他方の支持体32には自由度がない。
【0046】
他の変形例では、ホイールリム構造12への2つの支持体32の連結を確保するプレートが、ガイド構造16に1つだけ備え付けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】