(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074674
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】トレーニング用器具
(51)【国際特許分類】
A63B 21/078 20060101AFI20230523BHJP
A63B 71/12 20060101ALI20230523BHJP
A63B 71/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A63B21/078
A63B71/12 A
A63B71/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187714
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】521505529
【氏名又は名称】株式会社 匠
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】合戸 孝二
(57)【要約】
【課題】ベンチプレス等の筋力アップトレーニングにおいて、安全な状態で、より効率良く筋肉を鍛えることができるトレーニング用器具を提供する。
【解決手段】人体の肩甲骨N1の間の背骨に沿って所定長当接する第1凸部11と、第1凸部11の下端部側において第1凸部11の長手方向と略直交する双方向に延びて肩甲骨N1の下方に当接する第2凸部12と、を有しているトレーニング用器具10とした。また、第1凸部11と第2凸部12とが略T字状に形成され、かつ、双方の表面が面一となるように形成されている。また、第1凸部11と第2凸部12の裏面に、他の器具又は床面とのずれを防止する滑り止め部13が設けられている。また、使用者が仰向けになり、第1凸部11を肩甲骨N1の間の背骨に沿って当接させ、第2凸部12を肩甲骨N1の下方の腰部N2に当接させるように載置した状態で、ベンチプレス又はダンベル運動を行うように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の肩甲骨の間の背骨に沿って所定長当接する第1凸部と、
前記第1凸部の下端部側において前記第1凸部の長手方向と略直交する双方向に延びて前記肩甲骨の下方に当接する第2凸部と、
を有していることを特徴とするトレーニング用器具。
【請求項2】
前記第1凸部と前記第2凸部とが略T字状に形成され、かつ、双方の表面が面一となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング用器具。
【請求項3】
前記第1凸部と前記第2凸部の裏面に、他の器具又は床面とのずれを防止する滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーニング用器具。
【請求項4】
使用者が仰向けになり、前記第1凸部を前記肩甲骨の間の前記背骨に沿って当接させ、前記第2凸部を前記肩甲骨の下方の腰部に当接させるように載置した状態で、ベンチプレス又はダンベル運動を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のトレーニング用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力アップトレーニング等を行う際に使用するトレーニング用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベンチプレスで上半身を鍛える場合、ベンチプレス台に横たわった状態で、バーベルやダンベルを上げ下げするのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したような従来の状況では、より筋肉を鍛えるためには、より重いバーベルやダンベルを使用して高い負荷を掛ける必要があった。このように、より重いバーベルやダンベルを用いてトレーニングを行う場合、胸及び肩の骨や関節等への負担が大きくなり、怪我に繋がる虞があると問題になっていた。
【0005】
また、筋肉をより効率良く鍛えるためには、肩の可動域を広げて大胸筋のストレッチを行うことが有効であるが、ベンチプレス台に横たわった状態では、肩がベンチプレス台に接触した状態となり、それ以上後方(背中側)に可動させることができないため、肩の可動域を広げることはできず、大胸筋へのストレッチが制限される状態となっていた。
【0006】
本発明は、従来技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、ベンチプレス等の筋力アップトレーニングにおいて、安全な状態で、より効率良く筋肉を鍛えることができるトレーニング用器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、本発明は、人体の肩甲骨の間の背骨に沿って所定長当接する第1凸部と、前記第1凸部の下端部側において前記第1凸部の長手方向と略直交する双方向に延びて前記肩甲骨の下方に当接する第2凸部と、を有しているトレーニング用器具としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明においては、前記第1凸部と前記第2凸部とが略T字状に形成され、かつ、双方の表面が面一となるように形成されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記第1凸部と前記第2凸部の裏面に、他の器具又は床面とのずれを防止する滑り止め部が設けられていることが望ましい。
【0010】
また、本発明においては、使用者が仰向けになり、前記第1凸部を前記肩甲骨の間の前記背骨に沿って当接させ、前記第2凸部を前記肩甲骨の下方の腰部に当接させるように載置した状態で、ベンチプレス又はダンベル運動を行うように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トレーニング用器具が、人体の肩甲骨の間の背骨に沿って所定長当接する第1凸部と、当該第1凸部の下端部側において第1凸部の長手方向と略直交する双方向に延びて肩甲骨の下方に当接する第2凸部とを有する構成となっており、このトレーニング用器具をベンチプレス台に載置して用いることで、ベンチプレス実施時に肩がベンチプレス台に接触し難くなり、肩に負担が掛かり難い状態でベンチプレスを行うことができる。また、ベンチプレス実施時に肩がベンチプレス台に接触し難くなることで、肩をさらに後方(背中側)に可動させることができるため、肩の可動域が広がり、胸を反らせて広げることができ、大胸筋のストレッチも行うことができる。このように、大胸筋のストレッチを行うことで、重いバーベルやダンベルを用いなくても強い負荷を掛けることができ、体への負担の少ない比較的軽い重量のバーベルやダンベルで従来と同様かそれ以上の筋力アップトレーニングを行うことができるため、体に負担を掛けずに安全に、より効率良く筋肉を鍛えることができる。
【0012】
また、本発明において、第1凸部と第2凸部とが略T字状に形成され、かつ、双方の表面が面一となるように形成されていることで、単純な構造で、安全で、より高い負荷で筋肉を鍛えられるものとすることができる。
【0013】
また、本発明において、第1凸部と第2凸部の裏面に、他の器具又は床面とのずれを防止する滑り止め部が設けられていることで、安定した状態でベンチプレス台等に載置することができ、使用者が安定した状態で使用することができる。
【0014】
また、本発明において、使用者が仰向けになり、第1凸部を肩甲骨の間の背骨に沿って当接させ、第2凸部を肩甲骨の下方の腰部に当接させるように載置した状態で、ベンチプレス又はダンベル運動を行うように構成されていることで、前記したような効果を確実に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るトレーニング用器具を示す斜視図である。
【
図2】同実施の形態に係るトレーニング用器具を示す平面図である。
【
図3】同実施の形態に係るトレーニング用器具を示す裏面図である。
【
図4】同実施の形態に係るトレーニング用器具がベンチプレス台に載置された状態を示す斜視図である。
【
図5】同実施の形態に係るトレーニング用器具が載置されたベンチプレス台の座面を示す平面図である。
【
図6】同実施の形態に係るトレーニング用器具がベンチプレス台に載置された状態でベンチプレスを行っている状態を示す斜視図である。
【
図7】同実施の形態に係るトレーニング用器具がベンチプレス台に載置された状態でベンチプレスを行っている状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1には、本発明の実施の形態を示す。なお、ここでは、トレーニング用器具10をベンチプレス台1の座面2に載置して使用する場合について説明する。
【0018】
本実施の形態のトレーニング用器具10は、使用者Nが仰向けになり、ベンチプレスのような筋力トレーニングを行う際に、使用者Nの背中側に載置して使用するものであり、
図1~
図3に示すように、平面視略T字状に形成されている。このトレーニング用器具10は、
図4~
図7に示すように、使用者Nの背中側に載置してその上に仰向けで横たわったときに、使用者Nの肩がベンチプレス台1に当接しない程度の高さを有しており、平面視の一端側(具体的には、使用者Nの頭部方向)に第1凸部11、平面視の他端側(具体的には、使用者Nの足部方向)に第2凸部12を有している。
【0019】
このうち、第1凸部11は、細長形状に構成された部位であり、
図6に示すように、肩甲骨N1の間に丁度収まるような形状、大きさに形成されている。これにより、肩甲骨N1が基本的にベンチプレス台1の座面2に当接せずに浮いた状態となり、使用者Nが座面2に仰向けで横たわった状態で体の後方(背中側)に肩を反らせることができるようになっている。
【0020】
また、第2凸部12は、第1凸部11の下端部から略直交する方向に延びた幅広の部位であり、肩甲骨N1の下方に位置する腰部N2あたりに横長に当接するように形成されている。これにより、肩甲骨N1が細長い第1凸部11で比較的不安定な支持状態になる可能性が高いところを、第2凸部12が腰部N2を広く支持して、全体として安定した支持状態を保持することができるようになっている。
【0021】
なお、ここでは第1凸部11と第2凸部12は一体に形成されており、その高さ位置は面一となるように形成されている。また、第1凸部11と第2凸部12は、それぞれ合成皮革等の比較的滑らかな素材で構成されており、使用者Nがその上でトレーニングを行っているときに擦れても比較的抵抗が少なく、使用者Nの動きを阻害しないように構成されている。また、第1凸部11と第2凸部12の内部は、ウレタン素材等の弾力性のある素材で構成されており、使用者Nの重量を支持し、かつ、使用者が痛いと感じない程度の柔軟性を有する固さとなるように構成されている。
【0022】
また、本実施の形態では、第1凸部11と第2凸部12の裏面側には、例えばラバーやエンボス、ザラザラ面を有する部材等からなる滑り止め部13が設けられている。ここでは、ザラザラ面を有するシート状の樹脂を貼り付けるようになっている。この滑り止め部13により、ベンチプレス台1の座面2や床面に載置したときにずれてしまうことを防止でき、安定して使用者Nが体重を掛けることができるようになっている。なお、滑り止め部13としては、シート状の樹脂を貼り付ける以外に、もともとの裏面に加工処理を施して滑り止め部を形成する等、適宜の状態で設けられるようになっていれば良い。
【0023】
次に、本実施の形態における作用について説明する。
【0024】
まず、
図4及び
図5に示すように、ベンチプレス台1の座面2における使用者Nの体格に合わせた位置に、トレーニング用器具10を載置する。このとき、裏面の滑り止め部13により、一旦載置した後は、座面2とトレーニング用器具10がずれにくいようになっている。
【0025】
その後、
図6及び
図7に示すように、使用者Nが座面2に横たわる。その際、トレーニング用器具10の第1凸部11が使用者Nの肩甲骨N1の間の背骨に沿って当接し、その第1凸部11の下端部側において第1凸部11の長手方向と略直交する双方向に延びている第2凸部12が使用者Nの肩甲骨N1の下方、具体的には腰部N2に当接するような位置に、トレーニング用器具10を配置する。
【0026】
その状態で、ベンチプレスを行うことで、肩が所定量浮いた状態となるので、肩が体の後方に可動するようになり、肩の可動域が広がって、ベンチプレス中に胸のストレッチを行えるようになるものである。
【0027】
以上のように、本実施の形態のトレーニング用器具10によれば、トレーニング用器具10が、人体の肩甲骨N1の間の背骨に沿って所定長当接する第1凸部11と、当該第1凸部11の下端部側において第1凸部11の長手方向と略直交する双方向に延びて肩甲骨の下方N2に当接する第2凸部12とを有する構成となっており、このトレーニング用器具10をベンチプレス台1に載置して用いることで、ベンチプレス実施時に肩がベンチプレス台1に接触し難くなり、肩に負担が掛かり難い状態でベンチプレスを行うことができる。また、ベンチプレス実施時に肩がベンチプレス台1に接触し難くなることで、肩をさらに後方(背中側)に可動させることができるため、肩の可動域が広がり、胸を反らせて広げることができ、大胸筋のストレッチも行うことができる。このように、大胸筋のストレッチを行うことで、重いバーベルやダンベルを用いなくても強い負荷を掛けることができ、体への負担の少ない比較的軽い重量のバーベルやダンベルで従来と同様かそれ以上の筋力アップトレーニングを行うことができるため、体に負担を掛けずに安全に、より効率良く筋肉を鍛えることができる。
【0028】
また、本実施の形態のトレーニング用器具10では、第1凸部11と第2凸部12とが略T字状に形成され、かつ、双方の表面が面一となるように形成されていることで、単純な構造で、安全で、より高い負荷で筋肉を鍛えられるものとすることができる。
【0029】
また、本実施の形態のトレーニング用器具10では、第1凸部11と第2凸部12の裏面に、他の器具又は床面とのずれを防止する滑り止め部13が設けられていることで、安定した状態でベンチプレス台1等に載置することができ、使用者が安定した状態で使用することができる。
【0030】
また、本実施の形態のトレーニング用器具10では、使用者が仰向けになり、第1凸11部を肩甲骨N1の間の背骨に沿って当接させ、第2凸部12を肩甲骨の下方の腰部N2に当接させるように載置した状態で、ベンチプレス又はダンベル運動を行うように構成されていることで、前記したような効果を確実に奏することができる。
【0031】
なお、以上説明した各実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。
【0032】
例えば、前記した実施の形態では、トレーニング用器具10をベンチプレス台1に載置して使用する場合について説明したが、これに限るものではなく、床面等の他の場所に載置して使用しても良い。例えば、床面に寝転がってダンベル運動を行うような場合に、床面に載置してその上に使用者が寝転がり、肩甲骨N1が所定量浮いた状態でトレーニングを行うような場合があっても良い。
【0033】
また、前記した実施の形態では、トレーニング用器具10は平面視略T字状に形成されたものであったが、これに限るものではなく、例えば平面視略二等辺三角形や平面視略正三角形等のように、肩甲骨N1の間に一端部が収まり、かつ、他端部が肩甲骨の下方の腰部N2を幅広で支持するようになっている他の形状で構成されていても良い。但し、前記した実施の形態の平面視略T字状に形成されていると、肩甲骨N1がベンチプレス台1等に接触し難く、かつ、肩甲骨の下方の腰部N2をしっかり支持できる丁度良い形状とすることができるため、好ましい形状と言えるものである。なお、平面視略円形状や平面視略棒状等でも形成することはできるが、安定感に欠くものとなるため、何らかの補強が必要となる可能性が生じるものである。
【0034】
また、前記した実施の形態では、第1凸部11と第2凸部12が一体に形成されて面一となるように構成されていたが、これに限るものではなく、別体で構成されていても良いし、体の状態に合わせて当節する面の高さが変わるように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 ベンチプレス台
2 座面
3 バーベル
10 トレーニング用器具
11 第1凸部
12 第2凸部
13 滑り止め部
N 使用者
N1 肩甲骨
N2 腰部(肩甲骨の下方)