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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074707
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】加工材移動装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/04 20060101AFI20230523BHJP
   B27B 31/02 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B65G57/04
B27B31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187795
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】390017385
【氏名又は名称】宮川工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155549
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 敏之
(72)【発明者】
【氏名】中川 活秀
(72)【発明者】
【氏名】新宅 英二
【テーマコード(参考)】
3F029
【Fターム(参考)】
3F029AA05
3F029BA08
3F029CA82
3F029DA02
(57)【要約】
【課題】 多数の加工材を好適に梱包が可能な状態とすることが可能な加工材移動装置を提供する。
【解決手段】 プレカット加工装置10においては、加工機13によって加工される加工材のうち、梱包の対象となる複数本の加工材が複数の積込装置14cに向けて搬送され、制御装置15によって決定された並び順序で、水平方向側に複数並べられ、鉛直方向側にも複数段に積み重なった状態とされる。この場合に、制御装置15が、所定の長さ以下の加工材のみを1の積込装置14cによって積み重なった状態とする短梱包の制御と、所定の長さを超える加工材を別の積込装置14cによって積み重なった状態とする長梱包の制御とを実行し、1の建築構造物を構成する多数の加工材が、短梱包と、長梱包とを含む複数の梱包が可能な状態にしてまとめられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機によって加工される複数本の加工材を、所定の集積領域に、所定の並び順序で、水平方向側に複数並べられた状態とし、鉛直方向側にも複数段に積み重なった状態とすることが可能な積込手段を備えた加工材移動装置であって、
1の建築構造物を構成する多数の加工材を、複数の梱包が可能な状態に、積み重なった状態とする制御であって、
所定の長さ以下の加工材のみを、所定の並び順序で積み重なった状態とする短梱包の制御と、
所定の長さを超える加工材を少なくとも含めて所定の並び順序で積み重なった状態とする長梱包の制御と、を少なくとも実行可能に構成され、
1の建築構造物を構成する多数の加工材が、前記短梱包と、前記長梱包とを少なくとも含む複数の梱包が可能な状態にまとめられることを特徴とする加工材移動装置。
【請求項2】
前記所定の集積領域として、複数箇所に集積領域が設けられて複数の梱包が可能に構成され、
前記積込手段は、前記短梱包と、前記長梱包とを、前記複数箇所の集積領域に並行して積み重なった状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工材移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工材移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建築構造物に用いられる横架材、柱材、羽柄材等の加工材(製品)を、プレカット工場の木材加工装置(プレカット加工装置)によって製造し、建築現場での切削加工を省略可能にして、効率良く建築構造物を製造する工法が採用されている。プレカット工場では、材料としての製材に対して加工機によって切削加工が行われることで加工材が製造される。製材や加工材は、加工材移動装置によって必要な箇所に適宜搬送され、最終的には、複数段に積み重なった状態とされてから、結束バンド等によって梱包される。梱包された加工材は、トラックの荷台等に積み込まれて建築現場へと出荷される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6456543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1つの建築構造物に対しては、長さの異なる多数の加工材が必要となる場合が多くあり、長さの異なる多数の加工材を建築現場へ搬送し易くする梱包に関する構成について、未だ改良の余地がある可能性があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、多数の加工材を好適に梱包が可能な状態とすることが可能な加工材移動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の加工材移動装置は、加工機によって加工される複数本の加工材を、所定の集積領域に、所定の並び順序で、水平方向側に複数並べられた状態とし、鉛直方向側にも複数段に積み重なった状態とすることが可能な積込手段を備えた加工材移動装置であって、1の建築構造物を構成する多数の加工材を、複数の梱包が可能な状態に、積み重なった状態とする制御であって、所定の長さ以下の加工材のみを、所定の並び順序で積み重なった状態とする短梱包の制御と、所定の長さを超える加工材を少なくとも含めて所定の並び順序で積み重なった状態とする長梱包の制御と、を少なくとも実行可能に構成され、1の建築構造物を構成する多数の加工材が、前記短梱包と、前記長梱包とを少なくとも含む複数の梱包が可能な状態にまとめられることを特徴とする。
【0007】
この請求項1に記載の加工材移動装置によれば、1の建築構造物を構成する多数の加工材を、複数の梱包が可能な状態に、積み重なった状態とする制御として、所定の長さ以下の加工材のみを、短梱包の制御によって所定の並び順序で積み重なった状態とし、所定の長さを超える加工材を少なくとも含めて、長梱包の制御によって所定の並び順序で積み重なった状態とすることができる。このため、1の建築構造物を構成する多数の加工材を、短梱包と、長梱包とを含む複数の梱包が可能な状態にまとめることができる。よって、短い加工材を短梱包としてまとめることで建築現場で必要な製品を容易に抽出可能としたり、長梱包には長めの加工材を数多くして安定した梱包とし易くすることができるし、梱包を生成する自由度が少なくなることで短時間で荷姿を決定し易くすることができる。
【0008】
請求項2に記載の加工材移動装置は、請求項1に記載の加工材移動装置において、前記所定の集積領域として、複数箇所に集積領域が設けられて複数の梱包が可能に構成され、前記積込手段は、前記短梱包と、前記長梱包とを、前記複数箇所の集積領域に並行して積み重なった状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加工材移動装置によれば、多数の加工材を好適に梱包が可能な状態とすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】プレカット加工装置の平面図
図2】荷姿決定処理を示すフローチャート
図3】(a)は、搬送経路から積込装置の集積部へ加工材が移動する過程を説明するための模式図、(b)は、集積部の一例を示す模式図、(c)は、配置変更制御が実行された場合の集積部の一例を示す模式図
図4】搬送処理を示すフローチャート
図5】(a)は、加工材が搬送経路で移動が停止されるまでの過程を示す説明図、(b)は、加工材が搬送経路の移動前位置から移動位置へ移動した状態を示す説明図、(c)は、加工材が移動位置から準備位置へ移動した状態を示す模式図
図6】加工材を搬送する搬送機構と、加工材の回転機構と木屑搬送機構とを組み合わせた木屑収集装置を模式的に示した図であり、(a)は、平面図、(b)は、側面図
図7】回転機構により木屑が加工材の凹み部から排出される過程を説明するための模式図であり、(a)は、搬送経路に加工材が位置した初期状態、(b)は、加工材が反転途中の状態、(c)は、加工材が反転完了した状態
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るプレカット加工装置10の一例を説明するための模式図であり、プレカット加工装置10を平面視した状態を示している。なお、図1において、加工機13と制御装置15とを接続する電気的な配線を省略している。また、矢印の向きによって投入材(素材)および加工材が進行する方向を示し、矢印の種類を異ならせて機能部の理解を容易にしている。具体的には、白抜きの矢印によってプレカット加工装置10への投入材の投入位置(投入部21)と、プレカット加工装置10からの加工材及び投入材の排出位置(排出部22)とを示し、黒点によって投入材及び加工材の移動方向が複数方向へ分岐する分岐点を示し、黒色の矢印によって加工材が進行する主な進行方向を示し、斜線を付した矢印によって加工材の長手方向に交差する幅方向へ向けて加工材が搬送される部分を示している。また、投入材および加工材を加工する加工機13と、投入装置11の配置位置を太い実線で示し、細い実線によって投入材と加工材を搬送する搬送装置14と制御装置15を示し、太い一点鎖線によって特徴的な機能部である積込梱包部23と木屑処理部24を示している。
【0012】
プレカット加工装置10は、住宅に使用される柱や横架材、梁、羽柄材などの加工材(製品)を加工する装置であり、投入装置11と、印字装置12と、加工機13と、搬送装置14と、制御装置15とを備えている。制御装置15は、搬送装置14の動作を制御して、搬送装置14によって形成される経路(搬送経路)に沿って投入材及び加工材を搬送する。投入部21に投入された投入材は、搬送装置14によって印字装置12や加工機13へと搬送される。また、制御装置15は、印字装置12や加工機13を制御して、投入材に対して、製品としての加工材とするために必要な加工を加工機13で実施し、また、加工材に対して必要な印字を、印字装置12で実施する。製品として完成した加工材は、制御装置15が搬送装置14の動作を制御して、各加工材に適した排出部22から排出する。以下においては、投入部21、加工機13、排出部22に関する構成を順に説明し、その後に、特徴的な構成について、図2以降も参照して説明する。
【0013】
投入部21は、加工材が加工される前の投入材が投入される部位であり、プレカット加工装置10には、最上流部分に相当する搬送経路の最上流側(図1の右下側)に設けられている。また、投入部21とは別に、搬送経路の途中部分(図1の左上側)に、特殊加工機13dによって加工される投入材を投入可能な投入部25が設けられている。投入部21,25には、投入材の下側を支持して搬送方向に移送する搬送機構14bが設けられ、投入材の長手方向を、搬送方向に直交するようにして、加工が実施される投入順序となるように並べて、作業者が投入材を投入可能に構成される。なお、投入部21とは別の投入部25を必ずしも設ける必要はなく、投入部21のみの1カ所としてもよいし、短尺材専用機13eなどの別の加工機13の付近にも投入部を設置するなど、3カ所以上の投入部を設けてもよい。
【0014】
投入部21には、投入材の投入順序等を出力する出力装置(図示せず)が設けられる。出力装置によって作業者に対して投入材の大きさや材質等の種類、投入個数、投入順序などの投入に関する情報(以下、「投入情報」という。)を出力して示すことで、作業者は、投入情報に基づいて、適切な種類の投入材を、適切な投入個数と投入順序に従うようにして、投入部21へ投入することができる。なお、投入部21の出力装置は、画像を表示可能な表示画面に文字や図形を用いて投入情報を表示する表示装置により構成してもよいし、紙に投入情報を印字して出力する印字装置によって構成してもよいし、作業者が所持する携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末に投入情報を無線送信することで作業者が投入情報を確認可能とする情報送信装置によって構成してもよく、また、上記した装置を複数組み合わせて構成してもよい。また、出力装置は、制御装置15を利用して構成してもよく、例えば、制御装置15を構成するパーソナルコンピュータによって構成してもよい。
【0015】
投入部21には、投入材に対しての処理を実施する投入装置11が設けられている。投入装置11は、投入材の反りの大きさを計測可能な計測器と、投入材の長手方向を中心にして投入材を回転可能な投入材回転機構とを備え、制御装置15によって投入材が投入される向きを変更可能に構成されている。投入装置11の計測器によって一定量以上の反りが検出された場合、反りの方向を、加工材が使用される部位(加工材の種別)に応じて変更し、例えば、土台などのように下側部分が基礎に支持された状態で加工材が配置される場合には、反りがある中央部分が施工時において下側に位置し、加工機13に投入される際には、反りがある中央部分が上側に高く位置する方向となって搬送される向きに投入材の向きを変更する。また、梁桁などのように両端部分が他の加工材に支持された状態で加工材が配置される場合には、反りがある中央部分が施工時において上側に位置し、加工機13に投入される際には、反りがある中央部分が下側に位置する方向となって搬送される向きに投入材の向きを変更する。
【0016】
ここで、投入材が加工機13に投入される向きとしては、投入材が支持される下面(例えば、搬送用の回転ローラに支持される面)が建築現場での施工時に上側を向く基準面となるようにして加工機13に投入される構成とすることが好ましい。これにより、印字装置12によって高さ位置が変動しない下面に対して印字をすることで、材成の変動があっても印字位置が変動することがないし、施工時においては印字を確認し易くすることができる。
【0017】
なお、投入材の断面形状が正方形の正角材でなく長方形の場合に、水平方向に配置される横架材等の加工材における上下方向(材成の方向)について、少なくとも反り判定を実施し、投入材が投入される向きを決定する構成としてもよい。
【0018】
また、投入装置11には、長方形の断面形状をした投入材を上下方向が長辺側となるように投入材を起立させる起立機構が設けられる。起立機構は、例えば、長手方向に離間したL字形の部分に投入材を乗せて90度回転させることで、投入材を起立させる機構であってもよい。また、起立機構として、搬送機構14bの一部に対して投入材の断面形状の長さ幅分の大きさで下降動作が可能なコンベアを設け、投入材の一部がコンベアに乗っている状態でコンベアを下降させることで次第に投入材が回転しながらコンベアに乗るようにして投入材を回転させてもよい。起立機構によって起立させた状態にしてから、投入材が加工機13へ搬送されるように構成することで、材成が大きく変動する加工材を加工する場合であっても、平面視において必要な経路幅を少なくし、幅狭の搬送装置14によって多様な大きさの加工材を搬送可能とすることができる。これにより、限られた工場のスペースに多数の加工機13を設置する等、配置の自由度を高めることができる。
【0019】
なお、投入部21に、多種の投入材の種別を識別可能であって投入順序に対応した投入材を選択して投入可能な投入装置を設け、人力でなく、投入材を移動可能な投入装置によって投入材が選択されて投入されるようにしてもよい。例えば、投入材に対して、断面形状や長さや材質などが記録された個別の情報(例えば、バーコードやQRコード(登録商標)など)を識別シールとして付加し、その識別シールの情報を、3次元の方向に移動可能なアームの先端部分に吸着パッドと撮影装置を付加した多機能ロボットによって取得し、投入材が選択されてプレカット加工装置10に投入されるように構成してもよく、この多機能ロボットを制御装置15によって制御し、投入材の個別の情報に基づいて多機能ロボットを動作させる構成としてもよい。
【0020】
また、投入部21の付近には、投入部21から投入された投入材の正否を識別する識別機能を設けることは好ましい。例えば、投入部21から投入された投入材に対して最初の加工を実施する加工機13に対して、投入材の長さを検出する長さ検出機構と、断面の大きさ(例えば、直交する2方向の長さ、具体的には、上下方向の長さ(材成または材高)と水平方向の長さ(材幅))を検出する断面検出機構の少なくともいずれかを設けて、制御装置15によって加工機13の加工順序に適した投入材であるか否かを識別する識別機能を付加してもよい。本実施形態においては、投入部21から投入された投入材が正しい場合には、切断加工機13aによる最初の長さ変更の切断加工が実施され、投入材が正しくなければ、切断加工機13aによる切断加工が実施されず、異常事態に対応した処理が実施されるように構成される。
【0021】
例えば、投入材が誤った順序で投入された場合、投入部21からの後続の投入材の進行は停止し、切断加工機13aに対しては、誤った投入材が加工されないように一時停止する制御を制御装置15に設けてもよい。または、投入材が誤った順序で投入されているものの、次に、投入される予定の投入材が先に投入された場合など、後続の投入材として投入が予定されている投入材である場合には、加工の順序を変える制御を制御装置15に設けて、加工される加工材の順序の変更を実施してもよい。
【0022】
また、識別機能を構成する検出機構は、加工機13として、同種の加工機13が複数並列されている並列部分(例えば、4つの端部加工機13cが並列に設けられる部分)に少なくとも一部を設ける構成としてもよく、例えば、材高の長さ確認は、並列部分で実施するようにしてもよい。この場合には、検出機構として、時間がかかる場合における負担を並列に処理を可能とすることで分担することができ、短時間で多量の加工材を製造し易くすることができる。また、識別機能を構成する検出機構として、材高など、少なくともいずれかの長さ検出を2カ所以上の箇所において実施し、1つの加工材に対して複数回の正否の識別を実施するようにしてもよい。
【0023】
加工機13は、投入材や一部の加工が実施された加工材に対しての加工を実施する装置であり、本実施形態においては、5種類の加工機13を用いてプレカット加工装置10を構成した場合を例示している。5種類の加工機13は、切断加工機13aと、側面加工機13bと、端部加工機13cと、特殊加工機13dと、短尺材専用機13eとを含めて構成されている。
【0024】
切断加工機13aは、投入材の長手方向の長さを短く切断する加工が可能な機種であり、丸鋸等の長さ変更が可能な刃物を用いた装置によって構成される。切断加工機13aは、本実施形態においては、多数の加工機13の設置箇所の中で投入部21から最も近い最上流の箇所に設置され、識別機能によって長さの正否が確認された投入材に対して、最初に切断加工機13aによる切断加工が実施される。切断加工機13aが設けられることにより、下流側に位置する側面加工機13bなどで、切断後の大きめの残材が個別に発生することを少なくし、大きめの残材は、切断加工機13aに近い排出部22(未加工材等排出部22c)にまとまるようにして排出することができる。
【0025】
側面加工機13bは、加工材の上下左右の4つの側面に対して凹み状の穴(例えば、ほぞ穴)をあけたり、一面から反対面まで貫通する貫通穴を形成したりする加工が可能な機種であり、キリやノミ、カッターなどの刃物を用いた装置によって構成される。端部加工機13cは、加工材の長手方向における両端部分に形成されるほぞや仕口などを形成する加工が可能な機種であり、キリやカッターなどの刃物を用いた装置によって構成される。
【0026】
特殊加工機13dは、加工材に対して種々の加工が可能な機種であり、例えば、先端部分に取り付けられるキリやカッターなどの刃物が10種類以上に交換可能で、加工材の前後上下左右のいずれの方向側からも加工が可能な多関節ロボットによって構成される。特殊加工機13dには、一部の加工材に対してのみ必要となる特殊な加工(例えば、登り梁や、細幅のスリット加工、使用箇所の少ない大入れの加工など)を実施するための加工材が搬入される。特殊加工機13dを設置することで、他の側面加工機13bや端部加工機13cには、多様な機能を付加する必要がなくなるため、プレカット加工装置10の全体としてのコストを低減しつつ、種々の加工に対応したプレカット加工装置10を提供することができる。
【0027】
短尺材専用機13eは、一定の長さ以下の加工材を製造する場合に用いられる機種であり、加工材をクランプする間隔が短く設定されるなどして短い長さの加工材を製造可能な装置によって構成される。短尺材専用機13eを設けることにより、他の側面加工機13bや端部加工機13cは、一定の長さを超える加工材のみを製造対象に限定して製造コストを抑えることができる。また、短尺材専用機13eを投入部21から遠い最下流部に設置することで、搬送装置14についても一定の長さを超えるものを対象にすることができ、搬送装置14のコストも低減することができる。これにより、プレカット加工装置10の全体のコストを低減し、且つ、非常に短い長さの加工材まで製造可能なプレカット加工装置10を提供することができる。
【0028】
ここで、上記した各加工機13の種類及び数は一例であり、工場の規模や製造が計画される加工材の種類と数量とによって加工機13の種類及び数が決定されればよい。このため、上記した種類の加工機を一部省略して4種類以下に加工機の種類を設定してもよいし、別の種類を加えて6種類以上の加工機を用いてプレカット加工装置10を構成してもよい。例えば、加工材に対して、他の加工材との接合を可能とするための金物(金属製の部品)を取り付けるピンを打ち込むピン打ち機を加工機として追加してプレカット加工装置10を構成してもよい。
【0029】
また、側面加工機13bと端部加工機13cの設置台数は、製造が計画される加工材の種類と数量とに応じて決定されている。具体的には、各加工機13における加工待ちの時間が少なくなる設置台数となるように、同一種類の加工機13として、側面加工機13bと、端部加工機13cとが、それぞれ複数設けられる場合を例示している。この側面加工機13bと端部加工機13cの設置台数は、4つと3つとを組み合わせた場合を例示しているが、他の数としてもよく、また、特殊加工機13dと短尺材専用機13eとが1つずつである場合を例示しているが、いずれか又は両方を2以上とするなど、別の数に設定してもよい。
【0030】
また、同一種類の加工機13は、複数が並列に並んだ経路に配置され、いずれかの側面加工機13bと、いずれかの端部加工機13cとによって、投入材に対しての加工が実施可能に構成される場合を例示している。なお、必ずしも同一の種類の加工機13を並列に配置する必要はなく、少なくとも一部に同一の種類の加工機13が直列に配置される部位を含む構成であってもよいし、同一の種類の加工機13の全てが直列に配置される部位を含む構成であってもよい。
【0031】
また、短尺材専用機13eに対しては、投入部21に近い上流側に、側面加工機13bと、端部加工機13cと、特殊加工機13dが配置される場合を例示している。このため、一定の長さ以下(例えば、720ミリメートル以下)の短尺材を短尺材専用機13eを用いて製造する状況であっても、上流側に配置される側面加工機13bによって一部の側面に対しての加工を実施したり、端部加工機13cによって1つの加工材の端部に相当する片側部分の加工を実施する場合があることが好ましい。これにより、短尺材専用機13eには、必要な加工の一部のみが残った加工材(以下、「加工途中材」ともいう。)が搬入されるように構成することができる。これにより、多数が並列で並んで配置された側面加工機13bや端部加工機13cの加工待ち時間を利用して短尺材の製造に必要な加工を実施することができ、短尺材専用機13eを1台といった少ない設置台数にし易くすることができる。
【0032】
短尺材専用機13eに到達するまでの加工材は、短尺材としての長さよりも十分に長い一定以上の長さ(例えば、720ミリメートルを超える長さ)で搬送されるように構成することが好ましい。長さを長く形成しておく方法としては、製品となる加工材に、余分な残材部分を組み合わせてもよいし、複数の製品となる加工材を、連結された状態の1本の加工材として短尺材専用機13eまで搬送し、その1本の加工材を短尺材専用機13eで分断して、複数の加工材を製造するように、制御装置15が、加工材の加工の順序や、投入材に対しての加工材の割り当てを決定することが好ましい。例えば、2つの加工材を連続させた長さに相当する加工途中材が短尺材専用機13eに搬送される設定とし、端部加工機13cでは加工途中材の両端側の加工を実施しておき、短尺材専用機13eでは、中央側に位置して分断される側となる片側の端部の加工のみを実施するように構成してもよい。
【0033】
また、加工機13において、投入材または加工材を水平方向の両側から挟み込むバイス機構に対しては、挟み込む前の初期位置に、加工材の両側の可動部分が位置していることを検出する検出センサを設置し、可動部分のいずれかが初期位置に到達していない状況を制御装置15によって検出可能に構成することが好ましい。これにより、初期位置にバイス機構の可動部分が位置しない状態から加工材に対して可動部分が挟み込み動作を開始し、加工材を挟み込む中心位置がずれてしまうことで高精度の加工が実施できなくなってしまう事態を回避し易くすることができる。例えば、バイス機構の可動部分が初期位置に移動する方向側に木屑が残存するような事態は、切削加工を行う加工機13において発生する可能性がある。この場合において、常にバイス機構の可動部分の位置を検出する構成とするのは検出センサが高額となりやすいし、制御装置15の制御も複雑になり易い。これに対して、初期位置に配置されたことを検出する検出センサを付加する構成とすれば、可動部分の検出に必要なコスト増は抑えつつ、バイス機構の初期位置から正しい動作を実施可能にして高精度の加工を実現し易くすることができる。
【0034】
搬送装置14は、加工機13によって加工可能な加工位置に投入材や加工途中材を搬送したり、切削加工が完了した加工材を、排出部等の排出位置に搬送(移動)する装置である。搬送装置14は、多数の回転ローラによって構成される搬送台や、搬送台上に載置された投入材や加工材を把持するクランプ、投入材や加工材を移動させる駆動ローラやモータ(図示せず)を備えている。投入材が加工機13によって加工すべき箇所に位置するように搬送され、投入材に対する加工が完了した加工材は、搬送装置14によって各加工材に適した排出部22に搬送(移動)される。
【0035】
搬送装置14は、複数の機構を組み合わせて構成され、具体的には、投入材や加工材、加工途中材(以下、「投入材等」ともいう。)の長手方向に沿って投入材等を搬送する搬送機構14aと、投入材等の長手方向に直交する幅方向に投入材等を搬送する搬送機構14bとを複数組み合わせ、更に、加工材を複数段に積み上げて梱包可能な状態(図3(b)参照)とする積込装置14cを3つ組み合わせて構成されている。なお、必ずしも搬送機構14a,14bと積込装置14cの全てを備えて搬送装置14を構成する必要はなく、一部の構成(例えば、積込装置14cの一部)を省略してもよいし、また、複数箇所の部品載置部に加工材を分類して載置する搬送機構を組み合わせるなど、他の種類の搬送機構を組み合わせて搬送装置14を構成してもよい。
【0036】
排出部22は、プレカット加工装置10から排出される投入材や加工材を排出する部位である。排出部22としては、加工が完了した加工材を製品として排出する製品排出部22a,22b、投入材として投入されたものの未加工で排出すると判定された投入材や切断加工後の残材を排出する未加工材等排出部22c、長さを短くした状態にした加工材を排出する短縮材排出部22d、特殊加工機13dにより加工された加工材を排出する特殊加工材排出部22e、短尺材専用機13eにより加工された加工材(短尺材)を排出する短尺材排出部22fが設けられている。製品排出部22a,22bとしては、1本ずつ順に加工材を排出する個別製品排出部22aと、複数の加工材を梱包可能な状態(梱包可能状態)にして排出する梱包製品排出部22bとが設けられる。1本ずつ加工材を排出する排出部22の多くには、搬送機構14bが設けられており、加工材が長手方向に交差する幅方向に複数並んだ状態で搬送台の上に載置され、作業者が必要な加工材を手作業で運搬可能に構成される。
【0037】
梱包製品排出部22bとしては、3つの積込装置14cのそれぞれに対応して3つの梱包製品排出部22b1~22b3が設けられている。なお、必ずしもこれら各種の排出部22を全て設ける必要はなく、一部を省略しても良いし、別の種類の排出部を更に設けるようにしてもよいし、排出部22の各々の数についても上記に限らず、別の数を設定してもよい。また、本実施形態において積込装置14cが設けられない排出部22の少なくとも一部に積込装置14cを設けてもよいし、積込装置14cが設けられている排出部22の積込装置14cの少なくとも一部を省略してもよい。
【0038】
分岐点P1~P9は、制御装置15によって、分岐先のいずれに加工材を搬送するかが決定され、適切な搬送先に当該加工材を搬送する制御が実施される。具体的には、分岐点P1,P2では、投入材または切断加工後の加工材が製品の製造に必要な材料であるか判定し、必要な材料は側面加工機13bの側へと進行させ、排出が必要な投入材、加工材及び残材については未加工材等排出部22c又は短縮材排出部22dの側へと搬送する制御が実施される。
【0039】
分岐点P3,P4は、いずれも2カ所ずつ設けられており、並列する複数台の加工機13に対して必要な投入材や加工材を選択して搬送する制御が実施される。分岐点P5では、特殊加工機13dの側へ搬送するか、特殊加工機13dを経由しないで積込装置14cなどが設けられる下流側へ搬送するかを選択して、加工材を搬送する制御が実施される。
【0040】
分岐点P6では、特殊加工機13dで加工された加工材を、特殊加工材排出部22eから排出するか、積込装置14cなどが設けられる下流側へ搬送するかを選択して搬送する制御が実施される。分岐点P7では、短尺材専用機13eの側へ搬送するか、積込装置14cなどが設けられる側へ搬送するかを選択して、加工材を搬送する制御が実施される。分岐点P8では、個別製品排出部22aに加工材を排出するか、積込装置14cが設けられる下流側へ加工材を搬送するかを選択し、分岐点P9では、いずれの積込装置14cに向けて加工材を搬送するかを選択して、適切な搬送先に加工材を搬送する制御が実施される。
【0041】
制御装置15は、各種の演算を行う演算処理装置、各種のプログラムや駆動制御の情報を記憶したり、プログラムの実行に必要な情報を記憶したりする記憶装置、外部機器としての加工機13や搬送装置14とのデータ転送を行う入出力装置、作業者が加工材の加工順序などを入力操作可能なマウスやキーボードなどの操作装置、加工材の加工順序や加工結果等の進捗情報を表示する表示装置などを備えた機器によって構成され、例えば、パーソナルコンピュータを用いて構成される。加工材を加工するために必要な加工データ(プレカット加工データ)は、入出力装置の一部(例えば、記憶媒体としての外部記憶装置のデータを読み出し可能な装置)によって制御装置15に入力され、入力された木材の加工データに基づいて加工機13や搬送装置14等の動作が制御される。
【0042】
次に、積込梱包部23において加工材を積込梱包する機能について説明する。プレカット加工装置10においては、積込梱包部23において梱包が容易な状態に複数の加工材を複数段に積み上げた状態とする積込梱包が実施される。積込梱包は、制御装置15と、プレカット加工装置10の搬送装置14(積込装置14c)とを組み合わせて実現されている機能である。以下においては、制御装置15に対して、作業者の負担を少なくしつつ梱包が可能な状態にする積込梱包の制御例について図1を参照して説明した後、具体的な制御について、図2から図4を用いて説明する。
【0043】
積込装置14cは、梱包製品排出部22bにおいて、複数の加工材を梱包可能な状態とする装置であり、1の加工材の上に他の加工材を積み重ねた状態とすることができる装置によって構成される。例えば、積込装置14cは、水平方向及び上下方向に移動可能な吸着パッド34(図3(a)参照)の下面部分に負圧を生じさせた状態で加工材の上面に接触し、加工材を吊り上げて移動可能な機構を用いて構成される。なお、必ずしも積込装置14cとして、上方側に加工材を吊り上げて移動する機構を用いる必要はなく、これに代えて、またはこれに加えて、下側に位置する加工材の高さ位置は下方へ移動可能とし、上段に相当する高さ位置に向けて加工材を水平移動して積み重ねる機構によって積込装置14cを構成してもよい。
【0044】
また、積込装置14cは、搬送装置14による加工材の移動経路に沿って複数並んで設けられている。各積込装置14cにおいては、1つの梱包に相当する加工材のまとまりを複数箇所に積み重ねることができ、本実施形態においては、3カ所に並行して、3つの梱包を生成可能に構成される。本実施形態の加工機13は、複数並んだ並列状態の経路があったり、特殊加工機13dを経由する経路と、特殊加工機13dを経由しない経路とがあるなど、多数の経路が存在し、投入材の投入順序と、製品となった加工材の排出順序とが入れ替わる場合がある。また、投入材の断面形状や材質が異なるなど、複数種類の異なる加工材が同時に加工される状況が発生する可能性があり、そのような状況において、複数箇所に梱包が生成可能な構成とすることで、プレカット加工装置10の連続運転を可能にし易くし、多量の加工材を効率良く製造可能とすることができる。
【0045】
多数の加工材を2以上の梱包とする設定は、制御装置15の制御プログラムに梱包の設定情報を入力することで実現することができる。本実施形態では、梱包が別々になる条件として、投入材における正方形または長方形の断面形状の一辺の長さ(材幅)を基準として梱包を生成し、また、一定長さ以下の短い加工材が一定量以上ある場合に短い加工材をまとめて1以上の梱包とするなどの条件が設定されている。
【0046】
梱包の具体的態様として、各段にいずれの加工材が配置されるかが設定された状態(以下、「荷姿」ともいう。)は、作業者が1つずつ順序を設定してもよいが、制御装置15の制御プログラムによって荷姿の候補が選定されることが好ましい。以下において、荷姿の候補を決定するための制御装置15の設定として好適な設定例を、まず、説明する。
【0047】
荷姿を決定するためには、まず、梱包の対象とする加工材と、梱包の対象としない加工材とに分別し、梱包の対象とする加工材を対象として荷姿を選定する。梱包の対象としない加工材としては、長さが一定以下(例えば、720ミリメートル未満)の加工材(例えば、根太を支える大引きや小屋束など)、長さが一定以上(例えば、4メートルを超える長さ)の加工材、表面に擦れ傷などが生じると商品性に影響する加工材(化粧材)、金物工法を用いるために接合部分に金属部品を後から取り付ける必要があるなどの後加工が必要な加工材など、一部の加工材は、梱包の対象としないで、個別製品排出部22aに排出する。これにより、梱包の対象とする加工材を、梱包し易いものに限定し易くし、荷姿の候補を決定し易くすることができる。なお、梱包の対象としない加工材の条件は、上記に限らず、これに代えて、または、これに加えて他の条件を含む設定としてもよく、例えば、特殊加工機13dで加工される加工材は、梱包の対象としないように条件を設定してもよい。
【0048】
制御装置15は、梱包に関する制御機能を備え、1つの建築構造物(建物)についての加工データを読み込ませることで、同じ梱包に積まれることとなる加工材が、ひとまとまりとなるグループを決定し、全ての加工材を、複数のグループのいずれかに属するように分類する。各グループには、加工の内容や条件が共通するものが、まとめられる。例えば、材幅が一定のものが、1つのグループにまとめられる。ここで、各グループには、上記した梱包の対象としないものが含められることが好ましく、これにより、共通のグループとして設定された加工材として、長さの長短が異なる多数の加工材が含まれ易くすることができ、1本の投入材から歩留まりの良い複数の加工材を割り当てやすくするなど、効率良く加工材を製造可能とすることができる。
【0049】
このグループの条件としては、同じ梱包に積むこととする加工材の全てがまとめられることが好ましい。例えば、材幅が一定のものを1つのグループにまとめる場合には、他の種類が異なるものも、同一のグループにまとめるようにしてもよい。例えば、加工材の使用対象となる種別(土台、大引き、梁桁、棟木など)が異なるものが1つのグループにまとめられてもよいし、投入材の材種(樹種)が異なるもの(例えば、米松、ドライビーム(登録商標)、集成材)が1つのグループにまとめられてもよいし、2階建て以上の構成における階層が異なる加工材が1つのグループにまとめられてもよい。このように、1つのグループに属する条件(例えば、材幅)を満たす場合において、別の種類(例えば、階層)が異なる加工材も1つのグループとしてまとめることにより、1つのグループに属する加工材の数を増やし、梱包の自由度や歩留まりの高い加工を可能とすることができる。なお、1つのグループに属する条件として、上記した以外の別の条件を必要条件として設定してもよいし、2種以上の条件を設定してグループを構成してもよい。また、作業者が、制御装置15に対して入力操作をすることで、1つのグループに属する条件を選択可能とすることが好ましい。
【0050】
制御装置15によって、1つの建物についての加工材が各グループに分類されると、作業者に対して予約操作を受け付ける画面を表示し、グループの加工の順序を作業者に予約させる。なお、グループの加工の順序を必ずしも選択操作によって選択させる必要はなく、制御装置15によって予め選定された加工の順序を表示して当該順序で加工を開始可能とし、別の順序にする場合に変更操作を受け付けるように、制御装置15の制御を構成してもよい。
【0051】
グループの加工の予約を受け付けると、制御装置15は、グループに属する加工材から、梱包の対象としないものを除いて、荷姿の選定をする。荷姿の選定には、以下の条件を用いて選定することが好ましい。
【0052】
荷姿は、連続して加工が行われると効率のよい加工材の積込の順序(配置順)が近い順序となる位置を優先するようにして決定される。積込の順序は、最下段の一方から順に横並びとなるように加工材が並べられ、次に、並べられた加工材の上の段(上段)に新たに加工材が並べられることを基準としている。また、同一段においては近い位置に優先して配置されるように、同一段に配置できない場合には隣接する上段又は下段で積込順序が近い位置に優先して配置されるように、荷姿が決定される。連続して加工が行われると効率のよい加工材としては、素材が共通するものが例示され、また、投入材の断面サイズ(幅および高さ)が、共通するものが例示される。
【0053】
また、加工材としての長さが長いものは、短いものより下側に優先して位置するように、荷姿が決定される。また、素材が共通する梁や桁などが複数存在する場合には、階層が一致する梁や桁が近い位置に配置され易いように、荷姿が決定される。
【0054】
荷姿の決定には、1つのグループに属する加工材に基づいて梱包数を予め推定し、その推定した梱包数分の荷姿を選定する制御とすることが好ましい。例えば、加工材の長さと断面形状と本数とに基づいて梱包数を推定することができ、予め梱包数を推定しておくことで、長さの長い加工材を最下段に確実に配置し易くし、移動の際に安定し易い梱包を生成し易くすることができる。例えば、3つの梱包数とする必要がありそうな場合には、予め3つの梱包の最下段に配置する長い加工材を選定しておき、その後に、上側に位置する加工材を順に配置して荷姿を決定することが好ましい。
【0055】
また、荷姿を決定する際に、1つのグループにおける材幅(梱包における高さ)を1つの寸法のみにしても1以上の梱包ができる場合、1つの寸法の材幅によって1つのグループを構成することは好ましい。材成が変動しても、材成方向が水平方向となる向きにして、加工材を積み重ねるように荷姿を決定することで、高さ方向における材幅は一定にすることができる。このため、傾きが生じ難い梱包を作り易くすることができるし、加工材の配置位置を別の段で入れ替えても、高さの変動が生じないようにすることができ、安定した梱包を生成し易くすることができる。なお、必ずしも1つのグループにおける材幅を1つのみにする必要はなく、2以上の材幅を1つのグループに属する制御を含めてもよく、この場合には、同一の材幅の加工材によって各段(高さが同一となる段)を形成するようにし、材幅が異なる加工材は、別々の段に配置するように制御することが好ましい。
【0056】
また、荷姿を決定する際に、1つのグループにおいて、一定以下の長さの加工材が一定数以上ある場合に、短い長さの加工材のみをまとめた短梱包を1以上生成する制御を含むように制御装置15を構成してもよい。例えば、720ミリメートルから1799ミリメートルまでの長さの加工材が一定数以上ある場合には、短梱包を優先して生成し、残りの加工材によって長い加工材の多い梱包(長梱包)を生成するようにしてもよい。すなわち、長さに関係なく長い加工材と短い加工材を混在させた長梱包のみを生成するようにしてもよいが、短梱包を含めることにより、短い加工材は短い梱包としてまとめることができるし、残りの加工材は、長めのものを数多くして安定した梱包とし易くすることができるし、梱包を生成する自由度が少なくなることで短時間で荷姿を決定し易くすることができる。
【0057】
また、必ずしも短梱包を含めて複数の梱包を生成する場合に、短梱包からでなく、長梱包を優先して梱包を生成する制御としてもよく、長い加工材を優先的に配置し、短梱包の条件を満たす短い長さの加工材を隙間部分に配置する制御を含めた長梱包を優先して生成する制御(通常梱包の制御)を優先して行い、残りの加工材によって短梱包を生成できる場合に短梱包を生成するように制御してもよい。また、1又は複数の短梱包を生成する前と後とで長梱包を生成する場合を含む制御としてもよいし、1又は複数の長梱包を生成する前と後とで短梱包を生成する場合を含む制御としてもよい。
【0058】
また、荷姿を決定する際には、最下段の上に相当する2段目以上の高さ位置における両端部分に配置される加工材は、梱包を外側から束ねるバンドが接触する位置に、加工材が確実に存在するように、加工材の長さを選定して荷姿を決定する制御を含むように制御装置15を構成することが好ましい。この場合に、バンドが配置される箇所に加工材が位置するのであれば、長手方向に2本の加工材が並ぶようにして荷姿を決定してもよい。
【0059】
また、荷姿を決定する際に、最下段の上に相当する2段目には、1段目に使ったものの残り分で製造できる加工材を優先して配置する制御を含むように制御装置15を構成することが、仮置きをする状況を少なくすることができて好ましい。また、最上段には、短い加工材が優先して配置されるように構成する制御を含むように制御装置15を構成することが、荷姿を決定する制御を簡略化でき、且つ、安定した梱包とし易くすることができて好ましい。
【0060】
また、1つの梱包の横幅は、トラックの荷台に適応し易い幅とすることが好ましく、例えば、梱包の横幅(加工材の長手方向に交差する横方向の幅)は、4トントラックの横幅が2メートル程度のため、2つの梱包が並ぶように、1メートル程度(例えば、960ミリメートル)の長さで梱包を生成する制御を制御装置15に含めてもよいし、梱包の横幅を選択して入力可能とする制御を制御装置15に含めて構成してもよい。
【0061】
また、1つのグループによって複数の梱包が可能である場合に、いずれかの梱包の高さが一定の高さ以上(例えば、上限高さ(例えば、960ミリメートル)に対しての一定割合(例えば、50%)以上)に満たないときには、他の梱包に設定した加工材を減らして、梱包の高さを均一に近づける制御を含むように、制御装置15を構成してもよい。また、最後の1梱包については、少ない数でも許容する設定とし、少ない数の加工材を用いた梱包であっても1梱包とする制御を含むようにして制御装置15を構成してもよい。
【0062】
なお、最後の1つの梱包の対象とできずに、最終的に、個別に排出される加工材が生じる場合は、荷姿を作成できなかった状況に対応した情報(個別排出情報)を出力する出力機能をプレカット加工装置10に付加することが好ましい。例えば、制御装置15の表示画面に「本数が不足したため、梱包に含められなかった残りの加工材が3本あります」といった個別排出情報を表示してもよいし、その対象となった残りの加工材を確認可能としてもよいし、1つの梱包ができなかった理由を個別排出情報として出力してもよい。梱包ができなかった理由の出力は、「残りの加工材の本数が梱包の最低本数(例えば、5本)の条件を満たしていない」といった加工材の本数の条件による理由の出力や、「段数が最低段数(例えば、1.7段、すなわち、1段目は加工材が全体に配置され、2段目の7割までが加工材で満たされた段数)の条件を満たしていない」といった梱包の段数の条件による理由の出力などが例示される。
【0063】
制御装置15によって荷姿が決定されると、荷姿の下段から順に上側に向かって加工材が製造されていくように、加工の順序が決定される。この加工の順序を決定する際には、1本の投入材から複数の加工材を製造することで歩留まりのよい加工を可能とする制御を制御装置15に含めて、加工の順序を決定することが好ましい。この加工の順序としては、荷姿を決定した順序と一致してもよいが、短梱包を優先して荷姿を決定した場合であっても、長梱包を優先して加工を実施するなど、加工の順序が、荷姿を決定した順序とは異なる制御を含めて制御装置15を構成してもよい。
【0064】
ここで、本実施形態では、積込装置14cが3カ所に設けられ、短梱包と長梱包とを並行して生成することができる構成とされている。このため、長めの加工材と短い加工材とを1本の投入材から製造しても、2つの梱包を生成する2つの積込装置14cに対して同時期に2つの加工材を搬送し、別々の梱包を生成可能としている。よって、仮置き時間を少なくすることができるし、歩留まりのよい加工を実施し易くすることができる。
【0065】
制御装置15によって加工材の加工の順序が決定されると、投入材の投入する順序が決められる。これにより、1つのグループに対しての投入材の種別や数量が定められ、作業者に対して、投入部21に投入する投入材を指示することができ、投入材が投入された順序に従って加工材の加工を実施することができる。
【0066】
ここで、梱包が決定した後の加工材の加工途中において、一部の加工材の加工が大幅に遅れてしまうと、その後に、順に並べていくはずの加工材が全て配置できず、梱包の生成が進行しない状況が発生し得る。この場合には、各積込装置14cに設定される仮置き部32に、加工材を仮置きして対応することとなるが、その仮置き部32も満杯となってしまう可能性がある。この状況が発生する可能性を少なくする制御を制御装置15に設けることは好ましく、例えば、仮置き部32が満杯になる可能性を少なくするために、積込が予定されている加工材(積込予定加工材)よりも先に完成した別の加工材(先完成別加工材)がある場合に、先完成別加工材を、積込予定加工材の配置予定位置に配置することを含む荷姿を変更する制御(配置変更制御)を実施可能に構成してもよい。
【0067】
配置変更制御としては、積込予定加工材と先完成別加工材とを比較して配置位置の入れ替えが可能な条件(例えば、加工材の長さ差と断面形状の寸法差とが一定範囲内の条件)を満たせば、これら加工材の配置位置を入れ替える配置位置の変更の制御であってもよく、これに代えて、または、これに加えて、積込予定加工材と先完成別加工材と別の加工材の配置位置を含む荷姿の再度の決定(再決定)による配置位置の変更の制御であってもよい。また、この配置変更制御は、積込予定加工材よりも先完成別加工材が先に完成して積込可能となった場合に毎回実施してもよく、また、再決定による配置位置の変更ができない場合に仮置き部32への仮置きを実施する順序で制御を進行させてもよい。この場合には、仮置き部32へ加工材が仮置きされる数量を減らすことができ、梱包の両端に配置したい加工材や、絶対的に配置したい場所が決まっている加工材に対して仮置き部32が使われるようにすることができる。
【0068】
なお、仮置き場が満杯になった場合の制御として、積込装置14cとは別の、積込装置14cが設置される箇所よりも上流側で、制御装置15によって仮置き部32の残りスペースを判定し、積込装置14cの側に進行させずに梱包の対象から外す制御を含めて制御装置15を構成してもよい。
【0069】
本実施形態のプレカット加工装置10においては、分岐点P8において、積込装置14cの側に進行させてもよいか否かを判定し、積込装置14cの側に進行させてもよい状況である場合に限って、分岐点P8から積込装置14cの側へ加工材を進行させる。一方、積込装置14cの側に進行させても仮置き部32には加工材を配置できない状況であれば、個別製品排出部22aの側へ加工材を進行させて、梱包の対象から当該加工材を除外し、残りの加工材によって梱包を生成するために、再度、荷姿を決定する制御を含めて制御装置15が構成されている。これにより、上流側の加工機13の加工を遅延させることなく、最大限の能力で加工を実施し易くすることができ、製造効率を高めたプレカット加工装置10とし易くすることができる。なお、分岐点P8においての進行方向を判定する処理は、必ずしも分岐点P8に達した後とする必要はなく、分岐点P8に達するより上流側にて進行方向を判定する処理を実行する構成としてもよい。
【0070】
次に、図2を主に参照して、プレカット加工装置10において荷姿を決定する処理(荷姿決定処理)について説明する。図2は、制御装置15で実行される荷姿決定処理を示すフローチャートである。制御装置15は、プレカット工場に設置されるパーソナルコンピュータによって構成され、荷姿決定処理がプログラムの一部として制御装置15に記憶されている。
【0071】
荷姿決定処理は、1つの建物についての加工材が各グループに分類された後、加工の対象とするグループが作業者によって予約された場合に実行される処理である。荷姿決定処理は、積込装置14cの数や、梱包の大きさなど、基本的なプレカット加工装置10の仕様が入力された状態とされ、制御装置15によって動作が制御されるプレカット加工装置10に適した荷姿を選定する。本実施形態においては、3つの積込装置14cが設けられて、3つの梱包を同時に生成していくことが可能であるため、効率良く3つの積込装置14cを利用可能に構成される。なお、3つの積込装置14cのうち、上流側に位置する積込装置14c(梱包製品排出部22b1)が優先して使用され、上流側の積込装置14cが使用できない場合に、下流側に位置する積込装置14c(梱包製品排出部22b2,22b3)の配置順に、利用する積込装置14cが選定されることが好ましく、これにより、搬送する経路長さを短くして、短時間で梱包を完了可能とすることができる。
【0072】
荷姿決定処理が開始されると、加工の対象としたグループから、短梱包として使用可能な短い長さの製品(加工材)を抽出する(S11)。ここで、加工が完了した加工材は、建物の施工に用いられる製品として建築現場に搬送されるものであり、積込装置14cに搬送される完成品としての加工材は製品として利用可能となっている。なお、加工が完了した製品としての加工材は、建築現場で後加工が全く必要のない完成品としての加工材のみとする必要はなく、建築現場での後加工が必要な製品を含めて加工が完了した加工材としてもよい。
【0073】
S11の処理後、抽出した製品により短梱包を生成可能か判定し(S12)、短梱包を生成可能であると判定されると(S12:Y)、短梱包を生成可能と判定した製品の配置位置を決定する(S13)。このS13の処理により、配置位置に従って、最下段の一端側からの順番を番付した配置順が決定される。
【0074】
S13の処理により配置順を決定した製品に対しては、梱包情報と配置データとを設定する(S14)。梱包情報は、加工材としてプレカット加工が行われる部品の加工データに対して、梱包が行われる場所を関連付けるための情報であり、例えば、加工の対象となるグループ名と、グループ内での梱包の番号とにより構成される。具体的には、グループ名として、「材幅100」のグループ名が付され、梱包の番号として、グループを構成する総梱包数に相当する「3」と、その梱包内での番号に相当する「1」とを組み合わせて、「材幅100-1/3」の梱包情報が付される。
【0075】
配置データは、1つの梱包内で製品が配置される位置を識別可能なデータである。配置データとしては、例えば、最下段を「1」とし、次第に、「2」、「3」といった高さを表す値と、各高さに対しての配置番号として、1梱包の端から順に「a」、「b」といったアルファベットとを組み合わせたデータ(例えば、「1b」や「3c」など)が例示される(図3(b)参照)。
【0076】
S14の処理により梱包情報と配置データとが製品に関連付けられることで、加工が完了した製品をいずれの積込装置14cへ搬送する必要があるかを制御装置15が識別可能とすることができる。これにより、制御装置15は、搬送装置14を制御して梱包の生成に適した搬送先へ製品を搬送することができる。
【0077】
S15の処理では、S11の処理において抽出した製品のうち、S13及びS14の処理によって配置位置が決定した製品を除いた残りの製品で、別の短梱包を更に生成可能かを判定し(S15)、別の短梱包が生成可能であれば(S15:Y)、S13からの処理を再度繰り返して、別の短梱包を生成する制御を実行する。
【0078】
S12の処理において、抽出した製品では短梱包を生成できないと判定された場合(S12:N)と、S15の処理において、別の短梱包が生成できないと判定された場合(S15:N)には、S21の処理へと移行する。短梱包を生成できない場合の判定は、予め制御装置15に対して梱包を生成しない条件として設定することができ、例えば、抽出した製品が梱包の最小本数や最小段数として設定した閾値に基づいた条件を満たさない場合(例えば、5本以下や2段以下など)が例示される。
【0079】
S21の処理では、加工の対象としたグループから、未だ梱包情報が設定されていない製品で、長梱包を生成可能か判定し(S21)、長梱包を生成可能であると判定されると(S21:Y)、長梱包を生成可能と判定した製品の配置位置を決定し(S22)、梱包情報と配置データとを設定する(S23)。長梱包は、短梱包として含めることのない、所定の長さ(例えば、1799ミリメートル)を超える加工材を含めて積み重なった状態とする梱包であり、短梱包と比較して長い加工材が含まれる梱包である。
【0080】
S23の処理後には、S21の処理に戻って別の長梱包が生成可能か判定し(S21)、別の長梱包が生成できないと判定されると(S21:N)、梱包情報が設定されていない残りの製品に対して排出先に対応するデータ(排出先データ)を設定する(S24)。排出先データとしては、個別製品排出部22aや短縮材排出部22dが例示され、排出先(例えば、個別製品排出部22a)を特定可能な情報(材幅100-a)を製品の情報に関連付ける設定をする。梱包の対象としない製品(例えば、4メートルを超える長さの製品など)には、S24の処理を用いて排出先データが設定される。なお、排出先データの設定は、予め制御装置15に記憶された製品の種別や長さに対して排出先を関連付けたデータ群を参照して、決定してもよい。
【0081】
荷姿決定処理を実行することにより、加工機13によって加工される加工材のうち、梱包の対象となる複数本の加工材は、制御装置15が搬送装置14を制御することによって、積込装置14cが設けられる集積領域(集積部33)に向けて搬送される。積込装置14cに搬送された加工材は、荷姿決定処理によって決定された並び順序で、水平方向側に複数並べられた状態とし、鉛直方向側にも複数段に積み重なった状態とされ、各グループを構成する加工材の梱包の準備が完了する。
【0082】
このように、制御装置15は、1の建築構造物を構成する多数の加工材を、複数の梱包が可能な状態に、積み重なった状態とする制御として、所定の長さ以下(例えば、1799ミリ以下)の加工材のみを、荷姿決定処理で決定した並び順序で積み重なった状態とする短梱包の制御と、所定の長さを超える加工材を少なくとも含めて荷姿決定処理で決定した並び順序で積み重なった状態とする長梱包の制御と、を実行可能に構成され、1の建築構造物を構成する多数の加工材を、短梱包と、長梱包とを含む複数の梱包が可能な状態にまとめることができる。よって、短い加工材を短い梱包としてまとめることで建築現場で必要な製品を容易に抽出可能としたり、長梱包には長めの製品を数多くすることで、安定した梱包とし易くすることができる。
【0083】
また、プレカット加工装置10には、製品が搬送される集積領域としての積込装置14c(集積部33)が複数箇所に設けられて複数の梱包が並行して生成可能に構成される。すなわち、1の積込装置14cによって短梱包を生成しながら、他の積込装置14cによって長梱包を生成することで、複数箇所の集積領域に並行して加工材を積み重なった状態とすることができる。このため、1本の投入材を分断して、短梱包に含められない長い製品(加工材)と、短梱包に含めることができる短い製品とを製造し、2つの積込装置14cによって生成される短梱包と、長梱包とに同時期に追加することができる。よって、1つの投入材を分断して加工材を製造する対象を多くして歩留まりの良い加工を実施可能とし、且つ、加工が完了した製品は速やかに積み重なった状態とした最終位置まで搬送することができる。従って、仮置きが必要な製品を少なくして、限られた工場スペースを有効活用し、且つ、歩留まりの良い加工を実施し易くすることができる。
【0084】
なお、短梱包の上限として制限される長さ(短梱包上限長さ)は、長梱包の上限として設定される長さ(長梱包上限長さ)に対して半分以下の長さに設定することが好ましく、略半分の長さに設定することが好適である。具体的には、長梱包上限長さの半分に対して略15%以内で長さが異なる範囲内の所定長さに短梱包上限長さを設定するのがよく、略10%以内で長さが異なる範囲内の所定長さに短梱包上限長さを設定するのが好適である。これにより、トラック等の荷台部分に、2つの短梱包を並べた長さを1つの長梱包の長さと略同一とすることができ、無駄なスペースを少なくして限られた範囲内に効率よく、梱包された製品(加工材)を配置することができる。
【0085】
次に、図3及び図4を主に参照して、積込装置14cによって加工材を梱包可能状態とする構成と、梱包製品排出部22bへ加工材を搬送する制御例について説明する。
【0086】
積込装置14cは、プレカット加工装置10に複数設けられ、それぞれの積込装置14cにおいて、1つずつ、梱包が可能な状態(梱包可能状態)が生成可能であり、図1には、3つの積込装置14cによって3つの梱包可能状態を並行して生成可能な場合を例示している。なお、必ずしも1つの積込装置14cによって1つの梱包に対応した梱包可能状態を生成する構成とする必要はなく、1つの積込装置14cによって、複数(例えば、2つ)の梱包に対応した梱包可能状態を、2カ所に分けて生成する制御を含めてもよく、例えば、短梱包は、1つの積込装置14cにおいて2カ所に並べて生成し、2つの短梱包が生成される領域にわたって1つの長梱包を生成するように、制御装置15が積込装置14cを制御する構成としてもよい。
【0087】
図3(a)は、搬送経路Lから積込装置14cの集積領域(集積部33)へ加工材が移動する過程を説明するための模式図であり、積込梱包部23を構成する1つの積込装置14cの構成を例示している。また、図3(a)において、搬送機構14a(搬送経路L)と、準備部31と、仮置き部32は、細い一点鎖線で示し、吸着パッド34を移動させる移動機構を省略している。
【0088】
積込装置14cは、搬送機構14aによって加工材の長手方向に沿って加工材を搬送する搬送経路Lに対して、加工材の幅方向(横方向)に位置するように設置されている。積込装置14cは、加工材を吊り上げて移動する前の準備位置において加工材を支持する準備部31と、加工材を仮置きする仮置き部32と、梱包が可能な状態に加工材が積み込まれる集積領域を形成する集積部33とを備えている。
【0089】
準備部31は、加工材の長手方向における位置を位置決めする位置決め機構14e(図5参照)と、加工材を回転させる回転機構(図示せず)とを備えている。位置決め機構14eの説明については、図5を参照して後述する。回転機構は、加工材を梱包する際に、梱包が容易な向きとして横架材の施工時における上下方向(材成方向)が水平方向となる向きに加工材を回転したり、印字された加工材の配置位置や建築構造物の名称等の印字情報が視認し易い向き(下向き以外)となるように、加工材を回転する。加工材は、印字装置12によって下面に印字が施されて搬送され、準備部31で水平方向側または上方側に印字面が向くように回転させてから集積部33へ搬送される。なお、回転機構については、L字状の回転具で下側を持ち上げて回転させる構成や、布を用いて回転させる構成など種々の機構を採用することができる。
【0090】
積込装置14cは、集積部33の上方に水平方向側に連続して配置されたレールに沿って移動可能なクレーン式の移動機構(図示せず)と、移動機構によって吊り下げられて水平方向と上下方向に移動可能な吸着パッド34とを備えている。吸着パッド34は、準備部31の中で仮置き部32に最も近い側に配置された1の加工材に対して上方側から接触し、吸着パッド34の下面を負圧にして加工材が吸着パッド34に吸着された状態とした後で、移動機構によって集積部33または仮置き部32へと加工材が搬送される。
【0091】
なお、積込装置14cは、上記した構成に限らず、加工材を吊り上げて移動可能な構成であればよく、複数の軸で連結されたアームを回動させて先端部に取り付けた吸着パッド34を移動させることが可能な多関節ロボットを用いて構成してもよいし、加工材に対して長手方向に交差する水平方向の両側部分を挟み込んだ状態にして加工材を移動する機構など、他の機構を含む装置によって構成してもよい。
【0092】
ここで、積込装置14cに用いられる吸着パッド34の構成としては、複数個に分割(本実施形態では、3分割)された吸着パッド34を並べた状態にしたものが用いられる。分割された吸着パッド34は、長手方向を加工材の長手方向と一致する向きにして加工材の上面に接触する。加工材の中には、材成が大きく変動する横架材などが含まれており、これらの加工材は、材幅が上下方向となり、水平方向の幅が材成の方向となって変動するような向き(横向き)にして搬送されるもので、横向きにして準備部31に配置される。
【0093】
吸着パッド34に対しては、制御装置15が一番端の1つのみを作動させるか、中央側も含めて2つを作動させるか、3つ全てを作動させるかが制御装置15の制御によって選択され、材成が大きい加工材(例えば、800ミリメートルの材成の加工材)では、吸着パッド34を3つ全て作動させて加工材を移動する。材成の大きさは、加工材の加工データによって制御装置15が識別可能であり、加工データに基づいて、作動させる吸着パッド34の数が変動させられる。
【0094】
吸着パッド34の動作の制御としては、集積部33の設けられる側に相当する吸着パッド34の一端(図3(a)の左側の端)と、加工材の一端(図3(a)の左側の端)が一致するか、加工材が吸着パッド34より僅かに集積部33の側に突出するようにして、加工材を吸着パッド34に吸着させて移動することが好ましい。これにより、集積部33に対して集積部33の奥側(図3(a)の左側)から順に加工材を並べて配置し、隣の加工材に吸着パッド34が接触しない状態にして加工材を順に並べたり、上段に積み上げたりすることができる。
【0095】
また、吸着パッド34の動作の制御として、下面に接触した加工材によって一定の割合以上の面積部分が覆われて一定範囲以上で吸着した状態となったことを検出した場合に、加工材を上昇させる制御を制御装置15が実施することが好ましい。例えば、吸着領域(吸着パッド34の下面)の全範囲を100とした場合の一定割合以上(例えば、50%以上)の範囲で加工材が吸着された状態を、負圧を発生させている流体の通過経路の圧力測定により検出してもよい。この場合、吸着前の負圧の圧力値を初期値とし、吸着領域の全範囲が加工材で覆われた場合の圧力値を最大値とした場合に、圧力値が初期値から最大値までの変化量の一定割合以上(例えば、50%以上)となったことを検出して一定範囲以上で吸着した状態となっていると判定してもよい。
【0096】
また、2つの吸着パッド34を動作させる場合には、2つの吸着領域の全範囲に対して一定量以上(例えば、50%以上)の部分で加工材が吸着された状態を検出することで移動動作が可能な状態と判定して制御してもよい。また、いくつの吸着パッド34を動作させるかは、吸着パッド34の下に、どの程度の割合(範囲)まで加工材が位置するかの量に応じて動作を開始する決定をしてもよく、例えば、吸着パッド34の下面に対して半分以上の範囲が加工材で覆われた場合を基準にして、下面側に加工材が位置した吸着パッド34を動作させるように構成してもよい。
【0097】
また、吸着パッド34の移動動作を、加工材の重量によって変化させてもよく、軽い製品より重い製品は、同一の距離を移動させる場合でも時間を長くかけるようにし、重い製品ほど速度をゆっくり変動させる制御を含めて、制御装置15で吸着パッド34の移動を制御することが好ましい。また、この場合において、上下方向よりも水平移動の移動制御において距離に対する時間比を大きく設定する制御とすることが、加工材の自重により発生する慣性力の影響を少なくすることができて好ましい。
【0098】
集積部33は、2つの支持台が、加工材の長手方向に交差する方向側に離間して配置された場合を例示している。なお、各支持台は、加工材が積み込まれる際に搬送される搬送方向(図3(a)の左右方向)に上面が移動可能なコンベアによって構成され、搬送方向において2つ以上の梱包が上面に生成可能な長さを有する設定とすることが好ましい。これにより、1つの梱包の準備が完了したタイミングで、一旦、コンベアを動作させて搬送方向の奥側に梱包の準備が完了した加工材を移動しておき、新たな梱包が開始できるスペースを、集積部33において搬送経路Lに近い側に早期に生成することができる。また、支持台の数は、2つに限らず、幅広の1つの支持台で構成してもよいし、3つ以上の支持台が1つの積込装置14cに設けられてもよい。また、集積部33において、加工材の長手方向の先端側に、壁状のガイド部材が必要に応じて配置可能とするように、移動動作が可能なガイド部材と駆動機構とを設けて制御装置15で制御する構成としてもよく、特に、短梱包の場合において加工材の長手方向の両側に位置するようにガイド部材が配置可能とすることが好ましい。
【0099】
図3(b)は、集積部33の一例を示す模式図である。図3(b)には、長梱包が、2つの支持台にまたがって生成された状態を例示し、配置データに対応する文字を参考のために表示している。長梱包としては、材幅(図3(b)の上下方向が一致したもののみが1つのグループの対象とされ、各段の上面の高さが変動しない場合を例示している。下側には、材成が大きく長手方向の長さが長い加工材が優先して配置され、上方側にいくほど、材成が小さくなり、長さが短い加工材が配置される場合を例示している。また、最上段には、短梱包にすることができずに余った加工材が並べられた場合を例示している。
【0100】
図3(c)は、制御装置15によって配置変更制御が実行された場合の集積部33の一例を示す模式図である。図3(c)には、梱包の荷姿として、矢印で示した加工材の位置が、図3(b)の荷姿とは異なる場合(梱包順序を入れ替えた場合)を例示し、配置データとしては順序入れ替えにより更新された配置データに対応する文字を参考のために表示している。プレカット加工装置10は、図1に示すように、搬送装置14による加工材の搬送経路として複数の並列する経路や、特殊加工機13dを経由する経路と経由しない経路とがあるなど、多数の経路があり、投入材の投入順序と、加工が完了して積込装置14cに到達する加工完了順序とが一致しない場合が生じ得る。この場合において、制御装置15は、必要に応じて梱包の荷姿を変更する配置変更制御を実施可能に構成されている。
【0101】
図4は、制御装置15で実行される搬送処理を示すフローチャートである。制御装置15には、プログラムの一部として搬送処理が記憶されている。搬送処理は、梱包を構成する並び順序とは異なる順序で加工材の加工が完了した場合に、梱包の荷姿を変更する配置変更制御として機能する処理である。
【0102】
搬送処理は、制御装置15の制御として、分岐点に加工材が近づいたタイミングで実施される処理である。分岐点に加工材が近づいたタイミングは、加工機13による加工の制御と搬送装置14の動作制御によって制御装置15が常に識別可能であり、各加工材がいずれの位置を搬送中であるかが、制御装置15によって常に管理される。
【0103】
搬送処理が開始された場合には、いずれかの製品が短尺材分岐点(図1の分岐点P7)に近づいたかが判定され(S31)、短尺材分岐点に1の製品が近づいたと判定された場合(S32:Y)、近づいた当該製品が短尺材専用機13eに搬送する必要のある短尺材であるか判定される(S32)。S32の処理で短尺材でないと判定された場合(S32:N)、積込装置14cのある側へ当該製品を搬送する制御が行われる(S33)。S32の処理で短尺材であると判定された場合には(S32:Y)、短尺材専用機13eの側へ、当該製品を搬送する制御が行われる(S34)。
【0104】
S31の処理で製品が短尺材分岐点(図1の分岐点P7)に近づいていないと判定された場合、及び、S33またはS34の処理が行われた後で、S41の処理が実施される。S41の処理では、いずれかの製品が非積込分岐点(図1の分岐点P8)に近づいたかが判定され(S41)、非積込分岐点に1の製品が近づいたと判定された場合(S41:Y)、近づいた当該製品が積込装置14cによる積込(梱包)の対象となっている製品(非積込製品)であるか判定される(S42)。S42の処理で非積込製品であると判定されると(S42:Y)、非積込製品を排出する個別製品排出部22aへ当該製品を搬送する制御が行われる。
【0105】
S42の処理で非積込製品でないと判定された場合(S42:N)、積込順序通りの製品であるか判定され(S43)、積込順序通りの製品であると判定されるとS44からS47による加工材の配置を変更する制御をスキップして、S48の処理へ移行する。
【0106】
S48の処理では、短梱包用の製品であるかが判定され(S48)、短梱包用の製品であれば、当該製品を短梱包用の集積部33(積込装置14c)へ搬送する制御が行われる(S49)。一方、短梱包用の製品でなければ、短梱包でない長梱包用の集積部33(積込装置14c)へ当該製品を搬送する制御が行われる(S50)。
【0107】
S43の処理において積込順序通りでないと判定された場合(S43:N)、当該製品が、梱包順序を入れ替え可能な製品であるか判定する(S44)。S44の判定は、当該製品よりも早く積込装置14cの側へ進行している予定で未だ非積込分岐点に到達していない製品(遅れ加工材)の中で、梱包順序を入れ替え可能な製品があるか確認される。この確認は、例えば、断面寸法が同一か又はほとんど変わらない一定範囲内か、長さが同一か又はほとんど変わらない一定範囲内であるか、同一のグループに属する製品か、材質は同一か、といった複数の入れ替え条件を満たす遅れ加工材があるか否かが判定される。
【0108】
梱包順序の入れ替えが可能であると判定された場合には(S44:Y)、当該製品と、遅れ加工材との梱包順を入れ替える変更処理を行い(S45)、梱包の荷姿を変更する。これにより、加工の完了順序が当初の荷姿を決定した予定から変更となっても、遅れ加工材は、梱包の順序を遅らせて、先に完成した製品の梱包の準備を早くすることができる。
【0109】
S44の処理において、梱包順序を入れ替え可能な製品でないと判定された場合(S44:N)、仮置き部32に仮置きが可能なスペースがあるか判定され、仮置きが可能であれば、搬送先を仮置き部32に設定して当該製品を搬送する(S47)。
【0110】
S46の処理において仮置きが不能であると判定された場合(S46:N)、個別製品排出部22aへ当該製品を搬送し(S51)、処理をS52の処理へ移行する。
【0111】
S52の処理では、その他の処理として、他の分岐点に製品が到達した場合の処理などが実行されてから、搬送処理が終了となる。梱包の対象とした製品が個別製品排出部22aへ搬送された場合には、梱包の対象から当該製品を除外して荷姿を再構築するなどの処理が実施される。
【0112】
ここで、上記した以外の好ましい制御例について説明する。
【0113】
S46の処理において、仮置き不能と判定された場合、仮置き部32に多数の製品が仮置きされた状況となっているので、荷姿を再決定する制御を実施してもよく、この場合に、遅れ加工材は、梱包の対象から除外するか、上段などの順序が遅い場所に位置変更する制御を含めることが好ましく、また、仮置き部32に到着している製品を優先して早い順序で積み込むようにして荷姿を決定することが好ましい。
【0114】
S44の処理において、梱包順序を入れ替える制御を行う場合において、図3(b)に示すような荷姿が設定されている状況で、「3d」に相当する下から3段目で、奥側から4番目に積み込む部品が遅れ加工材となっている場合において、先に、図3(b)の「4a」に配置する予定だった部品が到達した場合、S45の処理によって梱包順序の変更が行われて荷姿が更新される。
【0115】
この場合において、長さが異なるものを入れ替える場合には、その後に上に位置する製品との長さ関係が異なってしまう可能性がある。また、梱包の荷姿としては、図3(b)等には、長手方向に1本の製品のみが配置される場合を例示しているが、複数本を並べて荷姿を決定してもよい。この場合に、梱包順序の変更を行うとバランスを崩してしまう形となる可能性もあるため、荷姿を決定する際や、荷姿を変更する際には、製品の重量を考慮したバランスを確認する制御を含めることが好ましい。例えば、制御プログラムとして物理演算エンジンを用いて梱包のバランスのシミュレーションを実施し、製品の長手方向における端部に一定の重りを乗せてもバランスが崩れない場合に入れ替えを実施するといった安定性を判定する制御を含めて、荷姿を決定することが好ましい。
【0116】
また、積込順序として、必ずしも1段ずつの積込が完了した後に、上段の積込を行う制御とする必要はなく、複数箇所に積込が可能な位置が設けられるようにしてもよく、1以上の加工材が積込の途中となっている段の積込完了前に、当該段の上段について積込が可能であるか判定し、当該段の上段に積込が可能な状況であれば、当該上段にも積込が開始され、上下の2段に対して積込途中の状況が発生する制御を含めて、積込の制御を実施してもよい。例えば、図3(c)において、下から3段目で、奥側から2つ目の製品「3b」までの積込が完了している場合、梱包順序としては「3c」が次の対象となるものの、「4a」についても、3段目の上に積込可能なために、梱包可能な製品として判定するようにしてもよい。この場合において、上に置かれる製品が、下側に位置する製品の手前側(図3(c)の右側)の側面より奥側(図3(c)の左側)に完全に入り込んだ状態となるか、手前側の側面が一致するまでを積込可能とし、それよりも大きな製品(例えば、製品「2a」に対して「3b」は手前側に突出した製品)は、積込不能と判定することが好ましい。
【0117】
また、荷姿は、プレカット加工装置10が設置される工場において、加工開始前から視覚的に確認可能に構成することが好ましく、制御装置15の表示画面で確認可能としたり、印刷操作をすることで設定されている荷姿を紙媒体に出力可能としたり、荷姿のデータをスマートフォン等の携帯操作端末に出力して、作業者が確認可能とすることが好ましい。また、荷姿のデータは、梱包を開封して建築現場で施工を行う施工作業者が容易に理解できるように、最終の荷姿を紙媒体で出力したり、荷姿データとして情報出力する制御を含むことが好ましい。また、荷姿のデータは、3次元の仮想空間内に荷姿を表示可能なデータ形式で出力して文字情報で検索した製品が異なる色で表示されるなど、検索対象の製品を簡易に検索可能とするように、梱包内における製品の配置位置と製品の長さや断面形状等の情報を含めて荷姿のデータを出力可能に制御装置15を構成してもよい。3次元で表現されたデータを施工業者が必要に応じて確認可能とすることで、大型の建築構造物で多数の製品(加工材)が必要な建築現場であっても、どの梱包の中の、どの位置に、必要な製品が配置されているのかを施工作業者が確認し易くすることができる。
【0118】
このように、搬送処理を用いた制御装置15の配置変更制御においては、1の加工材と他の加工材とが、予め定めた入れ替え条件を満たすか判定され、当該入れ替え条件を満たすと判定された場合には、変更制御手段としてのS45の処理により、1の加工材が配置される予定位置に当該1の加工材に代えて、他の加工材を配置する制御を行うことができる。このため、積込装置14cの集積部33には、積込装置14cを利用して予め定められた並び順序で加工材を梱包可能に積み重ねるだけでなく、変更制御手段を利用して、当該並び順序とは異なる並び順序にして積み重ねることができる。よって、積込装置14cの集積部33に到達する加工材の順序が予め定めた順序である場合には積込装置14cをそのまま利用し、到達する順序が予め定めた順序とは異なった場合に変更制御手段を利用して異なる並び順序にすることができる。すなわち、状況に応じた並び順序の梱包を可能とすることで、梱包可能な状態とするまでの時間を短縮し、且つ、積込に必要なスペースの拡大を抑制し、加工機では各加工材に対して最短時間での加工を実施し易くすることができる。
【0119】
また、プレカット加工装置10は、集積部33と、仮置き部32と、仮置き部32より集積部33から上流側に遠く離れた分岐点P8(図1参照)にて加工材を別方向に搬送可能な排出領域(個別製品排出部22a)とに、加工機13によって加工された加工材を搬送可能に構成され、個別製品排出部22aの側へ加工材を進行させることが可能な状況において予め定めた入れ替え条件を満たすか否かが判定され、当該入れ替え条件を満たすと判定された場合に、1の加工材が積み重ねられる予定の所定位置に、他の加工材が配置される。そして、集積部33に配置する予定であった加工材が集積部33と仮置き部32とに配置することができない場合には、排出制御手段としてのS44,S46,S51の処理によって、当該加工材が個別製品排出部22aの側へ進行させる制御が制御装置15によって実行される。このため、入れ替えによる荷姿の変更だけでは、製品の置き場がなくなってしまって、加工機13を止めなければならないといった事態を回避し易くし、加工機13による加工を優先し易く、製造能力の高いプレカット加工装置10とすることができる。
【0120】
また、プレカット加工装置10は、加工前の加工材(投入材)が投入される投入部21と、加工機13として、投入部21から投入された加工材に対して同一内容の加工が可能な複数台の加工機13(同一加工機)としての側面加工機13b及び端部加工機13cを備え(図1参照)、複数台の同一加工機を経由して投入部21から集積部33へ進行するまでの経路として複数の経路が設けられ、変更制御手段(図4のS45の処理)は、1の経路に沿って1の加工材が搬送され、当該1の加工材が搬送される経路とは別の経路に沿って他の加工材が搬送された場合に、1の加工材が積み重ねられる予定の所定位置に、他の加工材を配置することが可能に構成されている。同一加工機が複数設置されることで、加工の内容によって遅れ加工材が発生して別の加工材の追い抜きが発生し易くなるものの、配置変更制御を実行することにより状況に応じた好適な並び順序に梱包の荷姿を更新することができる。
【0121】
また、プレカット加工装置10には、複数台の同一加工機を経由して投入部21から集積部33へ進行するまでの経路長さが異なる複数の経路が設けられ、変更制御手段(図4のS45の処理)は、1の経路に沿って1の加工材が搬送され、当該1の経路よりも経路長さが短い別の経路に沿って他の加工材が搬送された場合に、1の加工材が積み重ねられる予定の所定位置に、他の加工材を配置することが可能に構成されている。加工材は、あまりにも早く移動しすぎると、木材の表面に凹みが生じたり、加工により細幅となった部位が破損してしまう可能性がある。このため、経路の長さ差によっても、別の加工材の追い抜きが発生し易く、同一加工機の台数が多いほど経路の長さ差も大きくなり易いものの、配置変更制御を実行することにより状況に応じた好適な並び順序に梱包の荷姿を更新することができる。
【0122】
また、プレカット加工装置10は、加工材移動装置としての搬送装置14と、加工前の加工材が投入される投入部21と、加工機13として、投入部21から投入された加工材の一部に対して加工が可能な所定加工機(特殊加工機13d)とを備え、特殊加工機13dを経由した場合と特殊加工機13dを経由しない場合とで、投入部21から集積部33へ進行するまでの経路長さが異なる複数の経路が設けられ、変更制御手段(図4のS45の処理)は、1の経路に沿って1の加工材が搬送され、当該1の経路よりも経路長さが短い別の経路に沿って他の加工材が搬送された場合に、1の加工材が積み重ねられる予定の所定位置に、他の加工材を配置することが可能に構成される。一部の加工材に対してのみの加工が特殊加工機13dによって実施されると、別の加工材の追い抜きが発生し易くなるものの、配置変更制御を実行することにより状況に応じた好適な並び順序に梱包の荷姿を更新することができる。
【0123】
次に、図5を主に参照して、搬送経路Lから積込装置14cへ加工材を好適に移動する構成について説明する。図5(a)は、加工材が搬送経路Lで移動が停止されるまでの過程を示す説明図、図5(b)は、加工材が搬送経路Lの移動前位置S2から移動位置S3へ移動した状態を示す説明図、図5(c)は、加工材が移動位置S3から準備位置S4へ移動した状態を示す模式図である。なお、図5において、搬送機構14a(搬送経路L)と、準備部31は、細い一点鎖線で示し、搬送経路Lにおける加工材の先端位置を検出する検出センサFを黒丸で示し、加工材の移動方向と、押出機構14dの可動部(押出動作部14d1)の移動方向と、位置決め機構14eの可動部(位置決め動作部14e1)の移動方向を矢印で示している。
【0124】
プレカット加工装置10は、図1に示すように、積込装置14cが3つ設けられ、最上流側に位置する積込装置14c(図1の左側の積込装置14c)には、搬送経路Lに沿って短い距離を進むことで積込装置14cに到達し、最下流側に位置する積込装置14c(図1の右側の積込装置14c)には最も長い距離を移動することで積込装置14cに到達するように構成される。そして、最上流側の積込装置14cに到達する搬送経路Lは、すべての積込装置14cにおいて共用され、最上流側の積込装置14cにおいて加工材を搬送するために搬送経路Lが利用されている場合、下流側に搬送したい加工材が次に待機していても、搬送経路Lを利用できない。これに対して、本実施形態の搬送装置14は、下流側と共用している搬送経路Lの利用を短時間となるようにし、且つ、各積込装置14cにおいては加工材の正確な位置を基準にして積込のための移動を実施可能としている。以下において、短時間での搬送経路Lの利用と、加工材の正確な位置を基準にした移動制御に関する構成について、具体的に説明する。
【0125】
搬送装置14は、図1に示すように、種々の加工をすることが可能な加工手段としての加工機13によって加工された加工材と、当該加工材が加工機13によって加工される前の投入材を、移動対象材として、予め定めた経路に沿って移動することが可能な移動装置として機能する装置である。搬送装置14による移動対象材の移動途中部分には、移動対象材の配置位置を検出可能な位置検出手段としての検出センサFが搬送装置14の一部として設けられている。検出センサFとしては反射式の光電センサや透過型の光電センサが例示され、また、加工材に接触することで可動する可動片を備えた接触式のスイッチで構成されるセンサが例示される。検出センサFによって加工材が検出された場合には、制御装置15に検出結果が入力され、当該検出結果に対応して搬送装置14の駆動モータ等の動力源を動作させる制御が実行される。
【0126】
搬送装置14は、積込装置14cに近い部分に、図5(a)に示すように、加工材の長手方向に沿って搬送経路Lの上流側から下流側(図5(a)の左側から右側)へと加工材を移動する搬送機構14aと、押出機構14dと、位置決め機構14eとを備えている。
【0127】
搬送機構14aは、搬送経路Lに沿った進行方向側(図5(a)の右方向側)に連続する経路(第1経路)に沿って加工材を移動する機構であり、搬送ローラと、搬送ローラを駆動する駆動モータ等によって構成されている。加工材は、搬送ローラに下側を支持され、駆動モータの回転を制御装置15によって制御することで、搬送経路Lにおいて必要な量分、加工材を移動させた後に停止させる制御が可能に構成される。
【0128】
搬送機構14aの一部として、搬送経路Lの上方側には、2つの検出センサFが設けられている。搬送経路Lにおいて上流側に設置される検出センサF(検出センサF1)は、搬送経路Lにおいて積込装置14cの側へ移動する対象とされた加工材を検出した場合に、搬送機構14aの減速制御を開始し、一定量移動したところで停止させる制御が実行される。下流側の検出センサF(検出センサF2)は、減速を開始する減速開始位置S1において減速された後に加工材が検出範囲に到達したことを検出し、その位置近くの一定範囲内に相当する移動前位置S2に加工材を停止させる制御が実行される。
【0129】
押出機構14dは、搬送経路Lに沿った進行方向側に交差する第2の方向側(図5(a)の上方向側)に分岐して形成される経路(第2経路)に沿って、搬送経路L上の移動前位置S2から、搬送経路Lから外れた移動位置S3まで、加工材を移動する機構であり、搬送経路Lに沿って細長く形成された押出動作部14d1と、押出動作部14d1を移動方向(図5(b)の矢印方向)に動作させる駆動源(例えば、空圧で動作するエアシリンダとポンプの組合せやモータ)とを備えて構成される。制御装置15によって押出機構14dの駆動モータを動作させることにより、加工材を移動前位置S2から移動位置S3へと移動させる制御が実行される。押出機構14dによる加工材の移動制御は、下流側の検出センサF2が加工材を検出したことを契機として実行される。
【0130】
位置決め機構14eは、押出動作部14d1によって移動位置S3に移動された加工材に接触して当該搬送経路Lに沿った方向であって、搬送経路Lにおける加工材の移動方向とは逆方向に向かって、加工材を移動する機構であり、積込装置14cにおいて移動を開始する基準となる準備位置S4に加工材を移動して位置決めすることが可能な機構である。位置決め機構14eは、加工材の搬送経路Lに沿った移動方向の進行方向側に位置して加工材に接触する位置決め動作部14e1と、位置決め動作部14e1を矢印方向に動作させる駆動源(例えば、エアシリンダとポンプの組合せ)とを備えて構成される。
【0131】
位置決め動作部14e1は、図5(c)に示すように、加工材の先端部分に接触し、加工材の搬送方向とは逆の方向側に少し戻るような形で、加工材を移動する。位置決め動作部14e1は、加工材が動作の勢いで飛ばされることのないようなゆっくりな速度で移動し、位置決め動作部14e1が停止した位置では、位置決め動作部14e1と加工材とが接触した状態で加工材が停止する速度で位置決め動作部14e1の動作制御が行われる。これにより、加工材の先端位置は、位置決め動作部14e1が作動した動作位置と一致し、制御装置15は、この動作位置を基準として加工材の長手方向の中心位置を加工材の加工データから識別し、この中心位置に接触するように積込装置14cの吸着パッド34で加工材を吊り上げることができる。
【0132】
このようにして吸着パッド34を移動し、梱包の荷姿となるように加工材の積み込む制御が行われることで、積込装置14cが集積部33に加工材を移動する場合における加工材の配置位置を正確な位置に配置し易くすることができるし、加工材を安定した状態で移動することができるため高速での移動を設定し易くすることができる。なお、図5(c)には、準備位置S4に対して、加工材を回転させつつ移動した吊り上げ位置S5へ加工材を移動した後に、当該吊り上げ位置S5において吸着パッド34が加工材に接触して加工材が吊り上げられる場合を例示している。
【0133】
ここで、搬送機構14aと積込装置14cと押出機構14dとが設けられる構成とすることで、移動前位置S2まで移動してきた加工材のうち一部の加工材は、第1移動手段としての搬送機構14aによって搬送経路Lに沿った進行方向側(図5(a)の右側)へ直進するように、更に進行させることができる。また、移動前位置S2まで移動してきた加工材の一部は、第2移動手段としての押出機構14dによって搬送経路Lから交差する方向側へと進路を変えて移動位置S3へ移動させ、位置決め機構14eによって準備位置S4へ位置決めしてから、後工程に設置される装置としての積込装置14cによって別の位置としての集積部33へ移動させることができる。
【0134】
この場合、押出機構14dは、搬送経路Lから外れる方向側に設定された移動位置S3へと加工材を移動させた後、当該加工材に対して準備位置S4への位置決め動作が実行される。このため、1の加工材の位置決め動作の実行中であっても、搬送経路Lには、別の加工材を移動可能なスペースを確保することができ、搬送経路Lにおける別の加工材の移動を早いタイミングで実行可能とすることができる。制御装置15には、搬送経路Lが空いたタイミングで別の加工材の搬送を開始する制御や、位置決め動作部14e1の動作中に、別の加工材を移動前位置S2まで搬送してくる制御や、また、下流側に位置する積込装置14cに向かって別の加工材を搬送する制御を設定できる。これらの制御によって、多数の加工材を効率良く移動可能とし、且つ、位置決め動作には比較的長い時間を設定し易くして高精度な位置決めを実施可能とすることができる。
【0135】
なお、位置決め後の後工程に設置される装置(後工程装置)は、積込装置14cに限らず、これに代えて、または、これに加えて、加工材または投入材に対して切削加工を行う加工手段を含めて構成してもよい。例えば、加工機13(例えば、短尺材加工機)を後工程装置として備えるようにしてもよい。
【0136】
また、検出センサFを必ずしも2カ所に設ける必要はなく、片方の検出結果を基準に加工材の減速から停止までを行うように制御してもよい。この場合でも、別途位置決めを実施することにより、後の行程で正確な位置を基準に処理を実施可能とすることができる。また、必ずしも検出センサFによって加工材の先端が検出された場合に搬送経路Lで加工材が停止するまで加工材を減速させる必要はなく、加工材がゆっくりと移動している状況で押出機構14dを動作させて加工材を搬送経路Lから外れた位置へ移動してもよい。
【0137】
また、検出センサFが必ずしも加工材の搬送経路Lに沿った移動方向の先端側を検出する構成とする必要はなく、これに代えて、または、これに加えて、加工材の後端を検出する構成にして加工材を減速させたり停止させたりする制御を実施する構成としてもよく、この場合、位置決め動作部が加工材の後端部分(図5(a)の左端部分)に接触し、搬送経路Lでの移動方向に一致する方向(図5(a)の右方向)に位置決め動作部が進行するようにして位置決め機構14eが加工材を位置決めする構成としてもよい。
【0138】
また、搬送機構14aと、押出機構14dと、位置決め機構14eとの配置として、必ずしも搬送機構14aの搬送経路Lから外れた位置にて位置決め機構14eが加工材を位置決めする構成とする必要はなく、分岐点P8よりも搬送機構14aの搬送経路Lに沿った先に位置決め機構14eを設けて位置決めをして、後工程装置が加工材に対しての処理を実施するようにし、押出機構14dによって搬送経路Lから外れた別方向側に加工材を搬送する構成であってもよい。
【0139】
また、位置決め機構14eは、必ずしも加工材の端部分に接触して加工材を移動させることで位置決めする構成とする必要はなく、加工材の位置決めが可能であれば他の機構を用いて構成してもよい。例えば、位置決め機構14eとして位置決め動作部を動作させる機構を設けず、位置決め動作部が動作する前の初期位置に相当する位置に加工材が位置決めされる構成とし、その初期位置に向かって加工材が移動して接触することで加工材が位置決め(位置合わせ)される構成としてもよい。この場合には、位置決め部を固定的に設け、この部位に向かって加工材がゆっくり移動するように加工材に移動力を付与する移動手段を設けてもよく、この移動手段は、加工材の下側に接触して加工材に移動力を付与するローラ(搬送ローラ)を用いて構成してもよいし、加工材の上面に接触して加工材に移動力を付与するローラ(送り込みローラ)を用いて構成してもよい。
【0140】
次に、図6及び図7を参照して、木屑処理部24に関する構成について説明する。図6は、木材加工関連装置としての木屑収集装置40を模式的に示した図であり、図6(a)は、木屑収集装置40の平面図、図6(b)は、木屑収集装置40の側面図を示している。また、図7は、回転機構41により木屑が加工材Mの凹み穴42から排出される過程を説明するための模式図であり、図7(a)は、搬送機構14aの上に加工材Mが位置した初期状態、図7(b)は、加工材Mが反転途中の状態、図7(c)は、加工材Mが反転完了した状態を示している。なお、図6及び図7には、搬送機構14a(搬送経路L)を、細い一点鎖線で示し、図6には、搬送機構14bも細い一点鎖線で示している。
【0141】
木屑処理部24は、図1に示すように、加工が完了した製品としての加工材Mが積込梱包部23(積込装置14c)に向かって搬送される搬送経路Lの途中に相当する分岐点P8に設けられている。木屑処理部24には、木屑収集装置40が設けられ、木屑収集装置40によって加工が完了した加工材Mの凹み穴42に残存した木屑を排出し、排出された木屑を収集可能な装置によって構成される。なお、凹み穴42としては、角ノミによって形成された凹み穴42や、キリによって形成される凹み穴42が例示され、凹み穴42の用途としては、ナットが入る箱穴や、ほぞが入るほぞ穴などが例示される。
【0142】
木屑収集装置40は、搬送装置14の一部と木屑収集機構43とを組み合わせて構成された装置であり、具体的には、加工材Mを搬送する搬送機構14a,14bと、加工材Mの回転機構41と、木屑収集機構43とを備えている。加工材Mに対しては、加工機13によって鉛直方向側を深さ方向とする下方側に凹んだ穴状又は溝状のほぞ穴などの切削加工を含めて加工が実施され、切削加工により加工材の上方側に形成された凹み穴42に残存する木屑が木屑収集装置40により除去される。
【0143】
加工機13によって加工が完了した加工材Mの多くは、搬送機構14aによって積込装置14cの集積部33が設けられる積込梱包部23に向かう搬送経路Lに沿って搬送される。加工材Mに残存した木屑は、積込梱包部23の上流側に位置する木屑処理部24において、加工材Mの回転機構41によって加工材Mから排出され、排出された木屑を収集可能な木屑収集機構43のコンベア43a,43bによって搬送されて木屑収集箇所にまとめられる。木屑収集箇所には、木屑をまとめられるように上方が開口した収集箱46が設置され、作業者は、収集箱46にまとめられた状態にした木屑を容易に廃棄することができる。
【0144】
分岐点P8には、図6(b)に示すように、搬送機構14aによって搬送経路Lに沿って搬送可能な加工材Mの下側に一部が入り込んだ回転体44が設けられている。回転体44は、図7(a)に示す初期状態から、図7(c)に示す反転完了の状態まで回転軸45を中心に180度回転可能に設けられている。回転体44は、初期状態において加工材Mの下側に位置する第1支持部44aと、第1支持部44aに対して加工材Mの高さ(材成)より長い距離を隔てて上方側に位置する第2支持部44bと、加工材Mの側方側に位置する第3支持部44cとを含む略コの字状の断面形状に形成されている。
【0145】
初期状態から回転体44が回転すると、初期状態において加工材Mの下側に位置した第1支持部44aが加工材Mを持ち上げるようにして回転し、加工材Mが回転すると、加工材Mは、第3支持部44cに接触して下側を支持される過程を経て、その後に、第2支持部44bに接触するように加工材Mが移動して上下が逆転するように反転する。
【0146】
回転機構41には、回転体44が、加工材Mの長手方向に沿って複数箇所に離間して設けられている。回転体44の配置間隔は、間隔の短いところを基準に両側に次第に長くなる間隔に設定されている。これにより、短い配置間隔のところを利用して短い長さの加工材であっても支持し易く、且つ、長い加工材についても両端に近い位置を回転体44で支持し易くすることができる。
【0147】
ここで、加工材として、上方側から下方に向かって凹んだ凹み穴42が設けられる場合、穴の中に木屑が残存した状態で搬送される可能性があり、その木屑は、建築構造物を製造する際に障害となったり、嵌め合わせを不能としたりする可能性がある。このため、プレカット加工装置10においては、積込装置14cに向けて進行可能な加工材であっても、一旦、回転機構41によって上下反転させることで、木屑が落下するように制御し、これにより、積込装置14cによって梱包される加工材を含めて、加工材に木屑が残存する可能性を少なくしている。
【0148】
図6に示すように、木屑収集機構43は、反転手段としての回転機構41によって反転させられた加工材Mが配置される配置位置の下側に、上面部分としてのコンベア43a,43bの上面が位置するように設けられている。なお、図6(b)には、回転体44によって回転させられた加工材Mの配置位置を二点鎖線で示している。
【0149】
木屑収集機構43は、回転動作することで上面部分が一方向(図6(b)の矢印G方向)に移動可能な2つのコンベア43a,43bと、コンベア43a,43bを駆動させる駆動モータ(図示せず)と、収集箱46によって構成される。加工材Mに対して穴状又は溝状に加工された部位に残存した木屑は、コンベア43a,43bの上面に落下して支持され、コンベア43a,43bが動作して上面部分が移動する排出方向側に当該木屑を搬送可能に構成される。
【0150】
回転機構41によって反転された加工材Mのうち積込梱包部23へ搬送される加工材Mは、再度回転機構41によって、反転させられる前の元の向きに復帰するように逆転させつつ反転前の位置に近い位置に移動する。なお、加工材Mを反転させる機構と、反転前の位置に復帰させる機構とは、同一の回転機構41を必ずしも用いる必要はなく、別々の回転機構を設けて構成してもよい。
【0151】
搬送装置14には、回転機構41により反転前の位置に近い位置に配置された加工材Mを、積込梱包部23へ搬送する搬送機構14aが設けられている。また、搬送装置14には、回転機構41によって図6(b)の二点鎖線で示す配置位置に反転させられた加工材Mを、回転機構41によって逆転させることなく、搬送経路Lから外れた別の方向側に設定される個別製品排出部22aに搬送する搬送機構14b(図1参照)が設けられている。このため、一部の加工材Mに対しては、木屑を除去した後の復帰動作を省略してプレカット加工装置10から排出することができる。すなわち、個別製品排出部22aへは加工材Mを効率良く搬送可能とし、且つ、多数の加工材Mに対して木屑の除去処理を実施可能なプレカット加工装置10とすることができる。
【0152】
ここで、図7(b)に示すように、回転機構41による加工材Mの回転途中の状態として、回転体44の第3支持部44cに下側を支持された加工材Mが、第1支持部44aよりも第2支持部44bが下側に位置するようになった状態でも、予め定めた傾斜角度となるまでは、第1支持部44aに加工材Mが接触した状態が維持される構成とすることが好ましい。すなわち、第3支持部44cにより加工材Mが斜めに傾斜して支持された状態が、加工材Mの反転に近い一定角度以上(例えば、135度以上の回転角度以上)となるまでは、第1支持部44aに加工材Mが接触した状態とされ、その角度以上となると斜め下方向に加工材Mが移動(落下)して、回転体44の第2支持部44bに支持される構成とすることが好ましい。これにより、回転体44から加工材Mが落下することを防止し易く、また、加工材Mが回転体44に支持された状態で、一定量移動して勢いが付いた状態で急停止することとなるので、木屑を凹み穴42から排出し易くすることができる。
【0153】
なお、加工材Mが移動を開始する角度は、制御装置15による回転体44の回転速度の制御により調整してもよい。また、回転体44において加工材Mに接触する部位の材質及び形状、大きさによっても、加工材Mが移動を開始する角度を調整することができ、エラストマー等の弾性材料を用いて回転体44における加工材Mと接触する部分の少なくとも一部を構成してもよい。
【0154】
このように、木屑収集装置40は、加工材Mを搬送可能な加工材移動手段としての搬送機構14a,14bと、加工材Mを、水平方向側に移動しつつ上下が逆転するように反転させることが可能な回転機構41と、木屑収集機構43とを備え、回転機構41によって反転させられた加工材Mが配置される所定位置の下側に、木屑を搬送可能な木屑収集機構43の一部としてのコンベア43a,43bが設けられ、加工材Mに対して穴状又は溝状に加工された部位に残存した木屑がコンベア43a,43bの上面部分に支持可能であり、当該木屑がコンベア43a,43bによって排出方向側に搬送される。よって、加工材Mに残存する可能性のある木屑を除去し易くして加工材Mの製品としての品質を高めつつ、除去された木屑は、木屑収集機構43のコンベア43a,43bによって収集箱46に集めて効率良く廃棄可能とすることができる。
【0155】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施してもよく、この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用してもよく、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用してもよい。
【0156】
上記実施形態においては、木屑収集機構43を構成する複数のコンベア43a,43bが直線的に配置される場合について例示したが、これに代えて、又はこれに加えて、折れ線状にコンベアが配置される区間を含むようにしてもよいし、複数を並列に並べて配置する区間を含むようにしてもよいし、曲線状の区間を含むようにして構成してもよい。また、木屑収集機構43としての収集箱46が1カ所に配置される場合を例示したが、2カ所以上の収集箇所に木屑が収集されるようにしてもよい。また、木屑収集機構43の一部として、回転後の加工材Mの下側に相当する位置からコンベア43a,43bの上面までの少なくとも一部の高さ区間を含む部位に、コンベア43a,43bの上面に向けて木屑を案内するガイド手段を追加する構成としてもよい。例えば、ガイド手段としては、2枚の金属板を、コンベア43a,43bの搬送方向に沿うように、且つ、上方側が広く間隔が開くように傾斜させて配置する構成が例示され、これにより、木屑がコンベア43a,43bの上に載置され易いように案内することができる。また、木屑収集機構43が、必ずしも回転機構41により回転させられた加工材から落下する木屑のみを対象にして木屑を収集する構成とする必要はなく、これに代えて、または、これに加えて、加工機13の少なくとも一部から発生する木屑の落下する位置に設置された別のコンベアを用いた木屑収集機構を含むようにして木屑が収集されるようにしてもよい。
【0157】
また、上記実施形態においては、プレカット加工装置10が、積込梱包部23と、木屑処理部24と、搬送装置14の位置決め機構14eとを備える場合について説明したが、いずれかの機能部を省略して構成してもよい。
【0158】
また、上記実施形態においては、制御装置15が1カ所に設けられる場合について説明したが、2カ所以上の複数箇所に制御装置が設けられて、複数の制御装置を用いてプレカット加工装置10の動作を制御してもよい。また、プレカット工場以外の場所に設置されたコンピュータを含めて制御装置を構成してもよく、例えば、プレカット加工装置の製造メーカーとプレカット工場とのコンピュータとをインターネット等のネットワークにより接続し、製造メーカー側の制御装置も含めてプレカット加工装置10を制御する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上説明したように、この発明は、加工材移動装置に適している。
【符号の説明】
【0160】
10:プレカット加工装置、13:加工機、14:搬送装置(加工材移動装置)、14c:積込装置(積込手段)、15:制御装置、33:集積部(集積領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7