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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074709
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】支点開閉型エアチャック
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20230523BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B25J15/08 D
B25J19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187797
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】奥島 綾介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY27
3C707ES03
3C707ET03
3C707HS14
(57)【要約】
【解決手段】支点開閉型エアチャック10は、ボデイ12に取り付けられフィンガ80に接触する多孔質体94、96、110を備え、パージ用エアが多孔質体を通過して外部に排出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフィンガがボデイに取り付けられた回動支持軸の回りに回動可能に支持され、一対の前記フィンガを開閉駆動する駆動部が前記ボデイの内部に配置される支点開閉型エアチャックであって、
前記ボデイに取り付けられ前記フィンガに接触する多孔質体を備え、パージ用エアが前記多孔質体を通過して外部に排出される支点開閉型エアチャック。
【請求項2】
請求項1記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
前記フィンガは、回動部および把持部から構成され、前記回動部は、第1湾曲面および第2湾曲面を有し、前記ボデイは、ボデイ本体およびエンドプレートを含み、前記第1湾曲面と接触する第1多孔質体が前記エンドプレートに取り付けられ、前記第2湾曲面と接触する第2多孔質体が前記ボデイ本体に取り付けられる支点開閉型エアチャック。
【請求項3】
請求項2記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
矩形状の前記第2多孔質体は、嵌合により前記ボデイ本体に取り付けるための段部を両端に備え、前記第2湾曲面は、前記第2多孔質体の前記段部における角部に接触する支点開閉型エアチャック。
【請求項4】
請求項2記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
前記第2多孔質体は、パージ用エアの通路となる孔部を備える支点開閉型エアチャック。
【請求項5】
請求項2記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
前記駆動部は、ピストンに連結される駆動ロッドを備え、前記第2多孔質体は、前記駆動ロッドが挿通される孔部を備える支点開閉型エアチャック。
【請求項6】
請求項2記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
前記回動部は、前記回動支持軸の軸線と垂直な端面を有し、前記回動部の前記端面と接触する第3多孔質体が前記ボデイ本体に取り付けられる支点開閉型エアチャック。
【請求項7】
請求項6記載の支点開閉型エアチャックにおいて、
前記第3多孔質体は、前記回動支持軸が挿通される孔部を備える支点開閉型エアチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動する一対の把持部材を備えた支点開閉型エアチャック、特に、防塵機能を有する支点開閉型エアチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軸回りに回動する一対の把持部材を用いてワークを把持する支点開閉型エアチャックが知られている。例えば、特許文献1には、ボデイに回動可能に支持された一対の把持部材をシリンダ機構によって駆動するチャック装置が記載されている。
【0003】
特許文献1のチャック装置では、ボデイの一端部にカバー部材を取り付けることによって、ボデイの内部に塵埃が侵入するのを防止している。具体的には、把持部材の回動部に備えられた第1湾曲部をボデイの角部に接触させ、把持部材の回動部に備えられた第2湾曲部をカバー部材の凹部に接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-80888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、把持部材の回動部をボデイおよびカバー部材に接触させて隙間をなくすためには、各部材の寸法精度を極めて高くしなければならない。また、完全に隙間なく接触させようとすれば、把持部材が回動する際の摺動抵抗が大きくなってしまう。
【0006】
防塵対策として、把持部材の外側を覆うゴム製のダストカバーをボデイに取り付けることが考えられる。ただし、把持部材をスライドさせる平行開閉型エアチャックの把持部材と違って、支点開閉型エアチャックの把持部材は、可動範囲が大きい。このため、ダストカバーが把持部材に接触して破けることを避けるためには、大きなダストカバーが必要となり、装置が大型化してしまう。
【0007】
別の防塵対策として、把持部材とボデイとの間にガスケット等のゴム製のシール材を配置することも考えられる。しかしながら、ゴム製のシール材を用いたのでは、把持部材が回動する際の摺動抵抗が大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一対のフィンガがボデイに取り付けられた回動支持軸の回りに回動可能に支持される支点開閉型エアチャックであり、一対のフィンガを開閉駆動する駆動部がボデイの内部に配置される。この支点開閉型エアチャックは、ボデイに取り付けられフィンガに接触する多孔質体を備え、パージ用エアが多孔質体を通過して外部に排出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る支点開閉型エアチャックによれば、ボデイに取り付けられフィンガに接触する多孔質体を備え、パージ用エアが多孔質体を通過して外部に排出される。このため、フィンガの摺動抵抗を増加させることなく、ボデイの内部に塵埃が侵入するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る支点開閉型エアチャックの斜視図である。
図2図2は、図1の支点開閉型エアチャックの平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図1の支点開閉型エアチャックの第1多孔質体の取付け状態を示す図である。
図6図6は、図1の支点開閉型エアチャックの第2多孔質体の斜視図である。
図7図7は、図1の支点開閉型エアチャックの第3多孔質体の斜視図である。
図8図8は、図1の支点開閉型エアチャックの第3多孔質体の取付け状態を示す図である。
図9図9は、図1の支点開閉型エアチャックにおけるパージ用エアの流れを示す図である。
図10図10は、図1の支点開閉型エアチャックの一対のフィンガが開いたときの図3に対応する図である。
図11図11は、図1の支点開閉型エアチャックの一対のフィンガが閉じたときの図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図4に示されるように、本発明の実施形態に係る支点開閉型エアチャック10は、ボデイ12と、一対のフィンガ80と、駆動部58と、第1~第3多孔質体94、96、110とを備える。一対のフィンガ80は、ボデイ12に回動可能に支持される。駆動部58は、ピストン60およびピストン60に一体的に連結された駆動ロッド70を含み、ボデイ12の内部に配置される。一対のフィンガ80は、駆動部58によって開閉駆動される。以下の説明において、上下に関する言葉を用いたときは、便宜上、図3における方向をいうものであって、部材等の実際の配置を限定するものではない。
【0013】
ボデイ12は、ボデイ本体14およびエンドプレート48を含む。エンドプレート48は、ねじ部材52によってボデイ本体14の上端に取り付けられる。四角柱状のボデイ本体14は、内部にシリンダ孔16を有し、ピストン60がシリンダ孔16に摺動可能に配置される。シリンダ孔16の下端は、キャップ54によって閉塞される。シリンダ孔16によって形成されるシリンダ室は、ピストン60の上方の第1圧力室18とピストン60の下方の第2圧力室20とに区画される。ボデイ本体14は、第1圧力室18にエアを給排する第1ポート22および第2圧力室20にエアを給排する第2ポート24を備える。
【0014】
ボデイ本体14は、シリンダ孔16の上方において、一対の幅狭の側面34の一方から他方に至るまで、幅広の側面30と平行に切り欠かれている。すなわち、ボデイ本体14は、シリンダ孔16の上方において、一対の側壁28を備える。なお、参照符号47で示されるのは、ボデイ12を図示しない搬送装置等に取り付けるための取付孔である。
【0015】
ピストン60の外周部には、ピストンパッキン62と、マグネット64と、ウエアリング66とが装着されている。ピストンパッキン62は、第1圧力室18と第2圧力室20との間をシールする。ボデイ本体14の幅広の側面30は、センサ溝32を有する。マグネット64の磁束は、センサ溝32に取り付けられる磁気センサ(図示せず)によって検出可能である。ピストン60の上端には、ダンパ68が取り付けられている。ダンパ68は、ピストン60が上端まで移動したときの衝撃を吸収する。
【0016】
駆動ロッド70は、シリンダ孔16に装着されたブッシュ72に挿通され、上下に移動可能に支持される。シリンダ孔16の上端には、駆動ロッド70に摺接するロッドパッキン74が装着されている。ロッドパッキン74は、第1圧力室18を気密に保持する。キャップ54の外周部には、第2圧力室20を外部から気密に保持するシール材56が装着されている。駆動ロッド70は、シリンダ孔16から上方に延びる。駆動ロッド70の上端部は、各フィンガ80に向かう一対のアーム部76を備える。各アーム部76の先端には、円柱状の転動体78が自転可能に支持されている。
【0017】
各フィンガ80は、扇形状の回動部82と、細長い把持部92とから構成される。回動部82および把持部92は、一定の幅W0を有する。回動部82は、ボデイ本体14の一対の側壁28の間に配置される。ボデイ本体14の一対の側壁28に跨って回動支持軸40が取り付けられ、回動支持軸40は、回動部82の中心に装着されたブッシュ88に挿通される。これにより、フィンガ80は、回動支持軸40の回りに回動可能に支持される。
【0018】
回動部82は、エンドプレート48と向き合う第1湾曲面84および後述するボデイ本体14の嵌合凹部42と向き合う第2湾曲面86を有する。第1湾曲面84および第2湾曲面86は、回動支持軸40の軸線回りにそれぞれ一定の曲率半径を有する。第1湾曲面84の曲率半径は、第2湾曲面86の曲率半径よりも大きい。また、回動部82は、ボデイ本体14の側壁28と向き合う二つの端面を有する。回動部82の端面は、回動支持軸40の軸線と垂直である。把持部92は、回動部82の第1湾曲面84の周方向一端部から径方向外方に延びる。
【0019】
回動部82は、第1湾曲面84の周方向他端部から所定深さまで延びる溝部90を有する。駆動ロッド70のアーム部76に支持された転動体78は、回動部82の溝部90に配置され、転動しながら溝部90内を移動可能である。これにより、駆動ロッド70の上下方向の直線運動は、フィンガ80の回転運動に変換される。駆動ロッド70が上方に移動すれば、一対の把持部92が開く方向に一対のフィンガ80が回動し、駆動ロッド70が下方に移動すれば、一対の把持部92が閉じる方向に一対のフィンガ80が回動する。
【0020】
エンドプレート48は、フィンガ80の回動時に把持部92の通り道となる切欠き部50を両端に有する。ボデイ本体14の幅狭の側面34は、一対の側壁28の間で開口する開口部36を有する。フィンガ80の回動部82および第1~第3多孔質体94、96、110は、ボデイ本体14の開口部36およびエンドプレート48の切欠き部50を通じてボデイ12の内部が外部と直接繋がることを防いでいる。すなわち、シリンダ孔16の上方において、外部から隔離されたパージエア貯留空間38が形成されている。
【0021】
第1~第3多孔質体94、96、110は、繊維複合体であるルブリテーナから構成される。ただし、第1~第3多孔質体94、96、110に潤滑剤は含侵されていない。第1~第3多孔質体94、96、110は、内部に隙間を有する性質上、それ自体では、微細な塵埃が内部に侵入することを防止できない。しかし、後述するエアパージを行うことによって、外部から微細な塵埃が侵入するのを防止できる。
【0022】
フィンガ80に接触する第1~第3多孔質体94、96、110は、変形抵抗が小さく、容易に変形する。第1~第3多孔質体94、96、110とフィンガ80との間の隙間を確実に埋めるため、第1~第3多孔質体94、96、110を所定の圧力でフィンガ80に接触させても、フィンガ80が動くときの抵抗(摺動抵抗)は小さい。本実施形態では、第1~第3多孔質体94、96、110をルブリテーナから構成したが、フェルトあるいはスポンジから構成することもできる。
【0023】
図5に示されるように、第1多孔質体94は、一定の幅W1を有する細長い矩形板状に形成される。第1多孔質体94は、例えば接着剤を用いて、エンドプレート48の下面に取り付けられる。第1多孔質体94の幅W1は、フィンガ80の回動部82の幅W0と等しいか、それよりも僅かに大きい。フィンガ80のすべての回動範囲で、フィンガ80の回動部82の第1湾曲面84は、第1多孔質体94の長さ方向の端部に接触する(図3参照)。第1多孔質体94が第1湾曲面84と接触する部位は、第1湾曲面84に押されて変形する。
【0024】
図6に示されるように、第2多孔質体96は、細長い板状の基部98と、基部98の両端からL字状に折れ曲がる一対の段部106とを有する。基部98は、その長さ方向中央において、駆動ロッド70が挿通される第1孔部100を備える。また、基部98は、その長さ方向の一方の端部において、パージ用エアの通路となる第2孔部102を備える。基部98は、第1孔部100の近傍から両側に突出する一対の突出部104を備える。第1孔部100に駆動ロッド70が挿通される前の状態では、第1孔部100の内径は、駆動ロッド70の外径よりも小さい。換言すれば、第1孔部100に駆動ロッド70が挿通されると、第1孔部100が拡がる。
【0025】
図3に示されるように、第2多孔質体96は、フィンガ80の回動部82の第2湾曲面86と向き合うようにして、ボデイ本体14に取り付けられる。ボデイ本体14は、シリンダ孔16の上端が開口する面を底面とする嵌合凹部42を有する。段部106を有する第2多孔質体96は、ボデイ本体14の嵌合凹部42に嵌合する。ボデイ本体14は、一対の幅広の側面30の内側に凹溝44を有し、第2多孔質体96の突出部104は、この凹溝44に嵌合する(図4参照)。第2多孔質体96の突出部104がボデイ本体14の凹溝44に嵌合することによって、第1孔部100に挿通された駆動ロッド70に引きずられて第2多孔質体96の中央が持ち上がることが阻止される。
【0026】
第2多孔質体96の段部106の幅W2は、フィンガ80の回動部82の幅W0と等しいか、それよりも僅かに大きい。フィンガ80のすべての回動範囲で、フィンガ80の回動部82の第2湾曲面86は、第2多孔質体96の段部106における角部108に接触する(図3参照)。第2多孔質体96が第2湾曲面86と接触する部位は、第2湾曲面86に押されて変形する。
【0027】
図7に示されるように、第3多孔質体110は、細長い矩形板状に形成されている。第3多孔質体110は、フィンガ80の回動部82の端面と向き合うようにして、ボデイ本体14に取り付けられる。図8に示されるように、ボデイ本体14は、一対の側壁28の内側に嵌合溝46を有し、第3多孔質体110は、この嵌合溝46に嵌合する。第3多孔質体110は、各フィンガ80の回動部82の二つの端面と対応して、合計4箇所に配置される。フィンガ80のすべての回動範囲で、フィンガ80の回動部82の端面は、第3多孔質体110に所定の圧力で面状に接触する。第3多孔質体110は、長さ方向中央において、回動支持軸40が挿通される孔部112を備える。
【0028】
ボデイ本体14は、パージ用エアが供給される第3ポート26と、第3ポート26を第2多孔質体96の第2孔部102に連通せしめる連通路27とを備える(図3参照)。第3ポート26から供給されたパージ用エアは、ボデイ本体14の連通路27および第2多孔質体96の第2孔部102を通り、パージエア貯留空間38に入り、パージエア貯留空間38の圧力を高める。
【0029】
パージエア貯留空間38に充填されたエアは、第1~第3多孔質体94、96、110の内部を通過した後、外部に排出される。このとき、エンドプレート48と回動部82の第1湾曲面84との間で外部に露出する第1多孔質体94の表面をエアが通過する(図1および図9参照)。また、ボデイ本体14と回動部82の第2湾曲面86との間で外部に露出する第2多孔質体96の表面をエアが通過する(図1および図9参照)。さらに、ボデイ本体14と回動部82の端面との間で外部に露出する第3多孔質体110の表面をエアが通過する(図1参照)。
【0030】
次に、図10および図11を参照しながら、支点開閉型エアチャック10の開閉動作について説明する。支点開閉型エアチャック10は、例えば、ワークを搬送する搬送装置に取り付けられる。図10に示されるように、一対のフィンガ80が一直線状に開いた状態を初期状態とする。
【0031】
搬送装置(図示せず)が駆動されて、支点開閉型エアチャック10がワーク(図示せず)を把持可能な位置まで搬送される。その後、切換弁(図示せず)が所定の動作位置に切り換えられ、第1ポート22がエア供給源(図示せず)に接続され、第2ポート24が排気口(図示せず)に接続される。これにより、第1圧力室18にエアが供給されるとともに第2圧力室20のエアが排出され、ピストン60および駆動ロッド70が下方に移動する。
【0032】
駆動ロッド70が下方に移動すると、一対の把持部92が閉じる方向に一対のフィンガ80が回動する。一対のフィンガ80は、一対の把持部92がエンドプレート48に当接する位置まで回動し、閉じた状態となり(図11参照)、ワークが一対のフィンガ80の間で挟持される。なお、ワークの形状およびサイズに応じて、把持部92に備えられた取付孔93に図示しないアタッチメント部材を取付けることができる。
【0033】
再び搬送装置が駆動されて、支点開閉型エアチャック10がワークを解放する場所まで搬送される。その後、切換弁が別の動作位置に切り換えられ、第1ポート22が排気口に接続され、第2ポート24がエア供給源に接続される。これにより、第2圧力室20にエアが供給されるとともに第1圧力室18のエアが排出され、ピストン60および駆動ロッド70が上方に移動する。駆動ロッド70が上方に移動すると、一対の把持部92が開く方向に一対のフィンガ80が回動し、ワークが解放される。ピストン60は、ダンパ68がブッシュ72に当接するまで上方に移動し、一対のフィンガ80は、再び一直線状に開いた状態になる(図10参照)。
【0034】
次に、支点開閉型エアチャック10における防塵機能について説明する。パージエア貯留空間38は、フィンガ80の回動部82および第1~第3多孔質体94、96、110によって外部から隔離されている。第1~第3多孔質体94、96、110の内部に存在する隙間よりも大きい外部の塵埃は、当然のことながら、第1~第3多孔質体94、96、110の内部に侵入することができない。第1~第3多孔質体94、96、110の内部に存在する隙間より小さい外部の塵埃は、パージ用エアの供給によって、第1~第3多孔質体94、96、110の内部に侵入することができない。以下、パージ用エアの供給による防塵作用について説明する。
【0035】
第3ポート26は、常に、エア供給源に接続されている。すなわち、第3ポート26には、常に、パージ用エアが供給されている。第3ポート26から供給されるパージ用エアは、パージエア貯留空間38に入り、パージエア貯留空間38の圧力を高めている。そして、パージエア貯留空間38に充填されたエアは、第1~第3多孔質体94、96、110の内部を通過した後、外部に排出される。このとき、ボデイ12と回動部82との間で外部に露出する第1~第3多孔質体94、96、110の表面をエアが通過する。
【0036】
パージエア貯留空間38の圧力は、第1~第3多孔質体94、96、110が外部に露出する表面における圧力(大気圧)よりも十分に高くなっている。このため、第1~第3多孔質体94、96、110の内部に存在する隙間より小さい外部の塵埃も、第1~第3多孔質体94、96、110の内部に侵入することができない。仮に、微細な塵埃が第1~第3多孔質体94、96、110の内部に侵入したとしても、パージ用エアとともに外部に排出される。
【0037】
本実施形態に係る支点開閉型エアチャック10は、エンドプレート48に取り付けられフィンガ80に接触する第1多孔質体94を備える。また、支点開閉型エアチャック10は、ボデイ本体14に取り付けられフィンガ80に接触する第2多孔質体96および第3多孔質体110を備える。また、パージ用エアが第1~第3多孔質体94、96、110を通過して外部に排出される。したがって、フィンガ80の摺動抵抗を増加させることなく、ボデイ12の内部に塵埃が侵入するのを防止できる。塵埃の侵入を防止することで、シリンダ孔16内に配置されるロッドパッキン74、ピストンパッキン62等の耐久性が向上する。
【0038】
本実施形態では、パージ用エアが常に供給されているが、外部に存在する塵埃が少ない環境下で支点開閉型エアチャック10が使用される場合は、パージ用エアを間欠的に供給してもよい。
【0039】
本発明に係る支点開閉型エアチャックは、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0040】
10…支点開閉型エアチャック 14…ボデイ本体(ボデイ)
40…回動支持軸 48…エンドプレート(ボデイ)
60…ピストン(駆動部) 70…駆動ロッド(駆動部)
80…フィンガ 82…回動部
84…第1湾曲面 86…第2湾曲面
92…把持部 94…第1多孔質体(多孔質体)
96…第2多孔質体(多孔質体) 100…第1孔部(孔部)
102…第2孔部(孔部) 106…段部
108…角部 110…第3多孔質体(多孔質体)
112…孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11