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特開2023-74731肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074731
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20230523BHJP
   A23L 11/45 20210101ALI20230523BHJP
【FI】
A23L13/00 A
A23L11/45 108Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187832
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】507172082
【氏名又は名称】羽二重豆腐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】三味 栄太郎
【テーマコード(参考)】
4B020
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB06
4B020LB27
4B020LC04
4B020LK05
4B042AC05
4B042AC09
4B042AD21
4B042AD36
4B042AK09
4B042AK13
(57)【要約】
【課題】肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法の提供。
【解決手段】油揚げと、メチルセルロースとを含み、前記油揚げの長さが、8mm未満であり、前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品、及び油揚げと、メチルセルロースと含有する生地を調製することを含み、前記油揚げの長さが、8mm未満であり、前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油揚げと、メチルセルロースとを含み、
前記油揚げの長さが、8mm未満であり、
前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満であることを特徴とする肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品。
【請求項2】
前記メチルセルロースの配合量が、0.8質量%以上である請求項1に記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品。
【請求項3】
前記油揚げの長さが、3mm以上7mm以下である請求項1から2のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品。
【請求項4】
前記油揚げの配合量が、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下である請求項1から3のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品。
【請求項5】
肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法であって、
油揚げと、メチルセルロースと含有する生地を調製することを含み、
前記油揚げの長さが、8mm未満であり、
前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満であることを特徴とする肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法。
【請求項6】
前記メチルセルロースの配合量が、0.8質量%以上である請求項5に記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法。
【請求項7】
前記油揚げの長さが、3mm以上7mm以下である請求項5から6のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法。
【請求項8】
前記油揚げの配合量が、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下である請求項5から7のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肉の消費量増加による食料不足への懸念、食肉生産が環境に及ぼす影響の軽減化、より健康な肉代替食品の需要の増大、肉の消費にまつわる倫理的な問題の軽減化などにより、牛肉、豚肉、及び鶏肉といった肉を使用せずに、肉と同様の味や食感を有する肉代替食品の開発が活発に行われている。
【0003】
例えば、大豆蛋白を主原料として用い、肉様食品を提供する技術として、(1)湯戻しした粒状大豆蛋白と、(2)分離大豆蛋白に対し重量で3~5倍量の水を加え混錬したゲル状物とを、混合成型した後、(3)100℃以下で、3時間以下加熱乾燥し水分含量が75~60%になるようにした後で、次いで水分含量が60~30%になるようにマイクロ波照射により加熱結着させる肉様食品の製造法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、消費者が求める肉と同様の食感のレベルは近年高まっており、更なる改良が求められているのが現状であり、優れた食感を有する新たな肉様食品の開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-075358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、油揚げと、メチルセルロースとを含み、前記油揚げの長さが8mm未満であり、前記油揚げの配合量を前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満とすることで、肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品を得ることができることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油揚げと、メチルセルロースとを含み、
前記油揚げの長さが、8mm未満であり、
前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満であることを特徴とする肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品である。
<2> 前記メチルセルロースの配合量が、0.8質量%以上である前記<1>に記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品である。
<3> 前記油揚げの長さが、3mm以上7mm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品である。
<4> 前記油揚げの配合量が、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品である。
<5> 肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法であって、
油揚げと、メチルセルロースと含有する生地を調製することを含み、
前記油揚げの長さが、8mm未満であり、
前記油揚げの配合量が、前記メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満であることを特徴とする肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法である。
<6> 前記メチルセルロースの配合量が、0.8質量%以上である前記<5>に記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法である。
<7> 前記油揚げの長さが、3mm以上7mm以下である前記<5>から<6>のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法である。
<8> 前記油揚げの配合量が、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下である前記<5>から<7>のいずれかに記載の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品及び肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法)
本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品は、油揚げと、メチルセルロースとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法が好ましい。
以下、本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法の説明と併せて、本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品についても説明する。
【0011】
<肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法>
本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の製造方法は、生地調製工程を少なくとも含み、揚げ調理工程、凍結工程など必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0012】
<<生地調製工程>>
前記生地調製工程は、油揚げと、メチルセルロースと含有する生地を調製する工程である。
前記生地は、油揚げと、メチルセルロースとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0013】
本発明では、前記生地は、肉を含有しない。本発明において、前記肉とは、牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉として通常用いられる動物の肉のことをいう。また、本発明の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品は、卵(卵白等)などの動物由来の成分を含まない食品(以下、「植物性の肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品」と称することがある。)であることが好ましい。
【0014】
-油揚げ-
前記油揚げは、薄切りにした豆腐を揚げた食品である。
前記油揚げは、公知の方法により製造した油揚げ又は市販の油揚げを所定の長さとしたものである。
前記油揚げの長さとしては、8mm未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm以上7mm以下が好ましい。前記好ましい範囲内であると、成形性、保形性、肉粒感、及びだしのしみ具合のすべてが優れた食品とすることができる点で、有利である。
本発明において、油揚げの長さとは、油揚げの厚み方向の長さ、並びに油揚げを平面視した際の縦方向及び横方向の長さの中で、最も長い部分の長さのことをいう。
前記所定の長さの油揚げは、公知の切断手段を用いて調製することができる。
【0015】
前記油揚げの前記肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品における配合量(以下、「含有量」と称することがある。)としては、メチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下が好ましく、44質量部以上55質量部以下がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、成形性、保形性、肉粒感、及びだしのしみ具合のすべてが優れた食品とすることができる点で、有利である。
【0016】
-メチルセルロース-
前記メチルセルロースとしては、食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記メチルセルロースは、市販品を用いることができる。
【0017】
前記メチルセルロースの前記肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品における配合量(以下、「含有量」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生地における配合量として、0.8質量%以上が好ましく、0.8質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、成形性と保形性の両方が優れ、かつ肉粒感、及びだしのしみ具合のすべてが優れた食品とすることができる点で、有利である。
【0018】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物油脂、水、豆腐、調味料、食物繊維、たまねぎ、でん粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記植物油脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、パーム油、米油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記植物油脂の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3質量%~8質量%などが挙げられる。
【0020】
前記水の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、16質量%~20質量%などが挙げられる。
【0021】
前記豆腐の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0質量%~36質量%などが挙げられる。
前記豆腐の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
前記調味料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、糖類(糖質のうち、砂糖やブドウ糖などの単糖類・二糖類)、食塩、香辛料、酵母エキスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記調味料の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2.5質量%~8.0質量%などが挙げられる。
【0023】
前記食物繊維の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2.0質量%~6.0質量%などが挙げられる。
【0024】
前記たまねぎの生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0質量%~20質量%などが挙げられる。
前記たまねぎの形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
前記でん粉は、加工処理が施されていない未加工でん粉(コーンスターチなど)であってもよいし、加工処理が施された加工でん粉であってもよい。
前記加工処理でん粉とは、未加工でん粉に物理的、化学的、酵素的、人為的な加工を施したものをいう。
前記加工でん粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸でん粉、アセチル化リン酸架橋でん粉などが挙げられる。
前記でん粉の生地における配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2.0質量%~6.0質量%などが挙げられる。
【0026】
前記生地の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、メチルセルロースを含む組成物を混合して乳化させ、ペースト状のエマルジョンカードとし、前記エマルジョンカードに、油揚げと、必要に応じてその他の成分を加えて混ぜた後、必要に応じてその他の成分を加えて混ぜ、生地とする方法などが挙げられる。
【0027】
<<揚げ調理工程>>
前記揚げ調理工程は、前記生地を揚げ調理する工程である。
前記揚げ調理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、120℃~130℃の油中で10秒間~3分30秒間揚げた後、135℃~145℃の油中で2分間~8分間揚げる方法などが挙げられる。なお、前記温度及び時間は、つくね団子様又はミートボール様食品の形状や大きさなどに応じて適宜選択することができる。
【0028】
<<凍結工程>>
前記凍結工程は、前記揚げ調理した調理物を凍結する工程である。
前記凍結に用いる手段としては、特に制限はなく、公知の凍結手段を適宜選択することができる。
前記凍結の条件としては、特に制限はなく、つくね団子様又はミートボール様食品の形状や大きさなどに応じて適宜選択することができる。
【0029】
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した揚げ調理工程、凍結工程の他に、成形工程、煮込み工程などが挙げられる。
【0030】
-成形工程-
前記成形工程は、前記生地を所望の形状に成形する工程である。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記成形工程は、型を用いて成形してもよいし、型を用いずに成形してもよい。
【0031】
-煮込み工程-
前記煮込み工程は、前記凍結した成形物を煮込む工程である。
前記煮込みの条件としては、特に制限はなく、つくね団子様又はミートボール様食品の形状や大きさなどに応じて適宜選択することができる。
【0032】
本発明の製造方法によれば、肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品である肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品を効率よく、簡便に製造することができる。
【0033】
<肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品>
前記肉不含有つくね団子様又はミートボール様食品の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明によれば、通常、鶏肉を用いて作られるつくね団子や、牛肉や豚肉を用いて作られるミートボールのような食感を有する食品を、肉を使わずに製造することができる。即ち、本発明によれば、肉を含有しないにもかかわらず、優れた肉様の食感を有し、かつ成形性にも優れる新たな食品を提供することができる。
【実施例0035】
以下、試験例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0036】
(試験例1:油揚げの大きさの検討)
下記のようにして、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を製造し、各種評価を行った。
【0037】
<生地の調製>
菜種油、メチルセルロース、及び水をサイレントカッターで混合して乳化させ、ペースト状のエマルジョンカードとした。前記エマルジョンカードに、豆腐及び油揚げを加えて混ぜた後、調味料(食塩、砂糖、香辛料、及び酵母エキス)及び食物繊維を加えて混ぜた。次いで、たまねぎ及び加工でん粉を加えて混ぜ、生地とした。
【0038】
前記生地における各成分の配合割合は、下記の通りである。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 35.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 20.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を8mm以上10mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0039】
<評価>
-成形性-
前記<生地の調製>の項目で調製した植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を、四角型若しくは小判型の型を用いて成形、又は手で球状に成形し、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表1に示す。
[評価基準]
○ : 成形できる。
× : 成形できない。
【0040】
【表1】
【0041】
表1の結果から、8mm以上10mm以下の範囲内の長さの油揚げを用いると、成形が困難であることが確認された。なお、8mm以上の長さの油揚げを用いた場合では、食感が肉とは異なるものとなることも確認されたため、以下では、8mm未満の長さの油揚げを用いた。
【0042】
(試験例2:メチルセルロースの配合量の検討)
下記のようにして、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を製造し、各種評価を行った。
【0043】
<試験例2-1>
<<生地の調製>>
菜種油、メチルセルロース、及び水をサイレントカッターで混合して乳化させ、ペースト状のエマルジョンカードとした。前記エマルジョンカードに、豆腐及び油揚げを加えて混ぜた後、調味料(食塩、砂糖、香辛料、及び酵母エキス)及び食物繊維を加えて混ぜた。次いで、たまねぎ及び加工でん粉を加えて混ぜ、生地とした。
【0044】
前記生地における各成分の配合割合は、下記の通りである。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 0.5質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.5質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.3質量%
・ 油揚げ ・・・ 44.2質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.3質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.3質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.3質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0045】
<<評価>>
-成形性-
前記<生地の調製>の項目で調製した植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を、四角型若しくは小判型の型を用いて成形、又は手で球状に成形し、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表2に示す。
[評価基準]
○ : 成形できる。
× : 成形できない。
【0046】
-保形性-
前記-成形性-の項目で成形した植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を高さ15cmから落下させ、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表2に示す。
[評価基準]
○ : 落下回数5回までに、成形物の形状の変化がない。
× : 落下回数5回までに、成形物が、潰れた形状又は崩れた状態となる。
【0047】
<試験例2-2>
試験例2-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例2-1と同様にして生地を製造し、成形性及び保形性を評価した。結果を下記の表2に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 0.7質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.8質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 44.1質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0048】
<試験例2-3>
試験例2-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例2-1と同様にして生地を製造し、成形性及び保形性を評価した。結果を下記の表2に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 0.8質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.7質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 44.1質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0049】
<試験例2-4>
試験例2-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例2-1と同様にして生地を製造し、成形性及び保形性を評価した。結果を下記の表2に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 44.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0050】
<試験例2-5>
試験例2-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例2-1と同様にして生地を製造し、成形性及び保形性を評価した。結果を下記の表2に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 2.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.3質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.1質量%
・ 油揚げ ・・・ 43.6質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.4質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.1質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0051】
【表2】
【0052】
表2の結果から、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品におけるメチルセルロースの配合量は、成形性及び保形性の点で、0.8質量%以上が好ましいことが確認された。
【0053】
(試験例3:油揚げの配合量の検討)
下記のようにして、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品を製造し、各種評価を行った。
【0054】
<試験例3-1>
<<生地の調製>>
菜種油、メチルセルロース、及び水をサイレントカッターで混合して乳化させ、ペースト状のエマルジョンカードとした。前記エマルジョンカードに、豆腐及び油揚げを加えて混ぜた後、調味料(食塩、砂糖、香辛料、及び酵母エキス)及び食物繊維を加えて混ぜた。次いで、たまねぎ及び加工でん粉を加えて混ぜ、生地とした。
【0055】
前記生地における各成分の配合割合は、下記の通りである。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 35.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 20.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0056】
<<調理>>
前記生地を一般的なつくね団子又はミートボールの形状である球状に成形した後、122℃で3分15秒間、次いで138℃で4分間揚げた。その後、冷凍庫(-30℃)で凍結した。前記凍結したものを10分間だし汁で煮込み、次いで10分間静置した後、鍋から取り出し、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品を得た。
【0057】
<<評価>>
-成形性-
前記<生地の調製>の項目で調製した植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を、四角型若しくは小判型の型を用いて成形、又は手で球状に成形し、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表3に示す。
[評価基準]
○ : 成形できる。
× : 成形できない。
【0058】
-保形性-
前記-成形性-の項目で成形した植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の生地を高さ15cmから落下させ、以下の評価基準で評価した。結果を下記の表3に示す。
[評価基準]
○ : 落下回数5回までに、成形物の形状の変化がない。
× : 落下回数5回までに、成形物が、潰れた形状又は崩れた状態となる。
【0059】
-食感-
前記<調理>して得られた植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の食感(肉粒感)を7名の評価者により、以下の評価基準で評価した。7名の評価者による評価の中で最も多かった評価を下記の表3に示す。
[評価基準]
○ : 咀嚼したときに組織が口の中で容易にほぐれ、とても肉の粒のような感触がある。
△ : 咀嚼したときに組織が口の中で容易にほぐれ、肉の粒のような感触がある。
× : 咀嚼したときに軟らかく均質な食感がある。または肉の粒の感触とは異なる食感がある。
【0060】
-吸水率(だし含み)-
前記<調理>における凍結後の凍結物の重量と、だし汁で煮込み鍋から取り出した後の植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の重量を測定し、下記式により、吸水率を算出した。結果を下記の表4に示す。
吸水率=(だし汁で煮込み鍋から取り出した後の植物性のつくね団子様又はミートボール様食品の重量)/(凍結後の凍結物の重量)
【0061】
-だしのしみ具合-
前記だし汁で煮込み鍋から取り出した後の植物性のつくね団子様又はミートボール様食品を喫食し、だしのしみ具合を7名の評価者により、以下の評価基準で評価した。7名の評価者による評価の中で最も多かった評価を下記の表4に示す。
◎ : だしが非常にしみている。
○ : だしがしみている。
△ : だしがややしみている。
× : だしがしみていない。
【0062】
<試験例3-2>
試験例3-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例3-1と同様にして生地の製造及び調理を行った。また、試験例3-1と同様にして、成形性、保形性、食感、吸水率、及びだしのしみ具合を評価した。結果を下記の表3及び4に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 25.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 30.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0063】
<試験例3-3>
試験例3-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例3-1と同様にして生地の製造及び調理を行った。また、試験例3-1と同様にして、成形性、保形性、食感、吸水率、及びだしのしみ具合を評価した。結果を下記の表3及び4に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 44.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0064】
<試験例3-4>
試験例3-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例3-1と同様にして生地の製造及び調理を行った。また、試験例3-1と同様にして、成形性、保形性、食感、吸水率、及びだしのしみ具合を評価した。結果を下記の表3及び4に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 豆腐 ・・・ 0.2質量%
・ 油揚げ ・・・ 55.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.2質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0065】
<試験例3-5>
試験例3-1の生地における各成分の配合割合を下記に変更した以外は、試験例3-1と同様にして生地の製造及び調理を行った。また、試験例3-1と同様にして、成形性、保形性、食感、吸水率、及びだしのしみ具合を評価した。結果を下記の表3及び4に示す。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.0質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.6質量%
・ 油揚げ ・・・ 60.0質量%
(カット油揚げ(山一食品社製)を3mm以上7mm以下の範囲内の長さに切断したもの)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.5質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 6.4質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
表3及び表4の結果から、植物性のつくね団子様又はミートボール様食品における油揚げの量をメチルセルロース1質量部に対して、20質量部超60質量部未満とすることで、肉粒感が得られることが確認された。また、メチルセルロース1質量部に対して、30質量部以上55質量部以下とすることで、成形性、保形性、肉粒感、及びだしのしみ具合のすべてが優れた食品とできることも確認された。
【0069】
(試験例4:油揚げを代えた場合の検討)
下記のようにして、油揚げに代えて、大豆たん白(試験例4-1)、豆腐(試験例4-2)、又はがんもどき(試験例4-3)を用いて食品を製造し、評価した。
【0070】
<試験例4-1:大豆たん白>
-生地の調製-
菜種油、メチルセルロース、及び水をサイレントカッターで混合して乳化させ、ペースト状のエマルジョンカードとした。前記エマルジョンカードに、豆腐及び大豆たん白を加えて混ぜた後、調味料(食塩、砂糖、香辛料、及び酵母エキス)及び食物繊維を加えて混ぜた。次いで、たまねぎ及び加工でん粉を加えて混ぜ、生地とした。
【0071】
前記生地における各成分の配合割合は、下記の通りである。
・ 菜種油 ・・・ 4.7質量%
・ メチルセルロース ・・・ 1.4質量%
(MCE100TS、信越化学工業社製)
・ 水 ・・・ 18.7質量%
・ 豆腐 ・・・ 11.1質量%
・ 粒状大豆たん白 ・・・ 43.8質量%
(粒状大豆たん白14.6質量%、戻し水29.2質量%)
・ 食塩 ・・・ 0.9質量%
・ 砂糖 ・・・ 3.4質量%
・ 香辛料 ・・・ 0.2質量%
(ガーリック・ホワイトペッパー、ギャバン社製)
・ 酵母エキス ・・・ 0.3質量%
(酵母エキスRK、味の素社製)
・ 食物繊維 ・・・ 2.2質量%
(VITACEL HF200、レッテンマイヤージャパン社製)
・ たまねぎ ・・・ 11.1質量%
・ 加工でん粉 ・・・ 2.2質量%
(パインソフトB、松谷化学工業社製))
合計 100質量%
【0072】
-調理-
前記生地を一般的なつくね団子又はミートボールの形状である球状に成形した後、122℃で3分15秒間、次いで138℃で4分間揚げた。その後、冷凍庫(-30℃)で凍結した。前記凍結したものを10分間だし汁で煮込み、次いで10分間静置した後、鍋から取り出し、食品を得た。
【0073】
-評価-
得られた食品を喫食したところ、肉粒感は感じられるものの、えぐみや臭みが残り、満足のできる食品とはいえないものであった。
【0074】
<試験例4-2:豆腐>
-生地の調製-
前記試験例4-1における大豆たん白を豆腐に代えた以外は、試験例4-1と同様にして、生地を調製した。
【0075】
-調理-
前記生地を用いた以外は、試験例4-1と同様にして、食品を得た。
【0076】
-評価-
得られた食品を喫食したところ、肉粒感が感じられず、満足のできる食品とはいえないものであった。
【0077】
<試験例4-3:がんもどき>
-生地の調製-
前記試験例4-1における大豆たん白をがんもどきに代えた以外は、試験例4-1と同様にして、生地を調製した。
【0078】
-調理-
前記生地を用いた以外は、試験例4-1と同様にして、食品を得た。
【0079】
-評価-
得られた食品を喫食したところ、肉粒感が感じられず、満足のできる食品とはいえないものであった。
【0080】
(試験例5:がんもどきとの比較)
大豆加工品から製造される食品として、「がんもどき」が知られている。そこで、本発明の植物性のつくね団子様又はミートボール様食品と、がんもどきとを比較した。
具体的には、がんもどきの凍結品(明月がんも10(R)、とうふあげ10(いずれも羽二重豆腐株式会社製)を、10分間だし汁で煮込み、次いで10分間静置した後、鍋から取り出し、上記した試験例3と同様にして、吸水率を算出した。
本発明品の一例である、試験例3-3の植物性のつくね団子様又はミートボール様食品(以下、「本発明品」と称することがある。)の吸水率の結果と併せて、下記の表5にがんもどきの吸水率を示す。
【0081】
【表5】
【0082】
表5の結果から、本発明品は、がんもどきと比べて吸水率(だし含み)が低く、煮込みによる重量変化(膨張率)ががんもどきよりも少ないことが確認された。また、がんもどきは、通常海綿状であり、軟らかい食感であるのに対し、本発明品は、肉のような繊維質が詰まった状態であり、食感も弾力を有する(軟らかさはなく、適度な硬さを有する)ものであった。
また、本発明品は、厚揚げ豆腐のようなペースト状のものでもない。
以上のことから、本発明によれば、大豆加工食品から製造される食品であって、今までにない食感を有する新たな食品を提供することができることが確認された。