(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074773
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】インホイールモータ
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20230523BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20230523BHJP
H02K 11/225 20160101ALI20230523BHJP
【FI】
B60K7/00
H02K7/14 C
H02K11/225
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187894
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 充宏
【テーマコード(参考)】
3D235
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB20
3D235CC42
3D235FF35
3D235GA03
3D235GA13
3D235GA62
3D235GA68
3D235HH13
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607BB17
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD05
5H607FF12
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP05
5H611QQ03
5H611RR02
(57)【要約】
【課題】センサとマグネットとの位相合わせを容易に行うことができるインホイールモータを提供すること。
【解決手段】インホイールモータは、ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータであって、前記ロータの回転状態を検知するセンサと、前記ロータに対して着脱可能であり、前記ステータの内周面に対向する面に前記センサが設けられた着脱部材と、前記着脱部材が前記ロータに取り付けられたときに、前記センサと前記ロータのマグネットとの位相差が設定値になるように、前記センサと前記マグネットとの位置関係を規定する位置決め部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータであって、
前記ロータの回転状態を検知するセンサと、
前記ロータに対して着脱可能であり、前記ステータの内周面に対向する面に前記センサが設けられた着脱部材と、
前記着脱部材が前記ロータに取り付けられたときに、前記センサと前記ロータのマグネットとの位相差が設定値になるように、前記センサと前記マグネットとの位置関係を規定する位置決め部と、を有する、
インホイールモータ。
【請求項2】
前記位置決め部は、
前記ロータおよび前記着脱部材のそれぞれに設けられた被嵌合部と、
前記ロータおよび前記着脱部材に対して着脱可能であり、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部材と、を有する、
請求項1に記載のインホイールモータ。
【請求項3】
前記位置決め部は、
前記ロータおよび前記着脱部材のいずれか一方に設けられた被嵌合部と、
前記被嵌合部が形成された前記ロータまたは前記着脱部材の他方側に設けられ、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、を有する、
請求項1に記載のインホイールモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インホイールモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-157837号公報
【特許文献2】特開2020-114054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、アウターロータ式のインホイールモータにおいて、ロータに固定されてロータとともに回転する回転部材を設け、その回転部材にロータの回転状態を検出するセンサを設ける構成が考えられる。その場合、回転部材に設けられたセンサと、ロータに設けられたマグネットとの位相合わせを行う必要がある。しかし、位相合わせの後で、回転部材を一旦ロータから取り外して、再度ロータに取り付ける場合、センサとマグネットとの位相合わせが困難である、という課題がある。
【0005】
本開示の一態様の目的は、センサとマグネットとの位相合わせを容易に行うことができるインホイールモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るインホイールモータは、ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータであって、前記ロータの回転状態を検知するセンサと、前記ロータに対して着脱可能であり、前記ステータの内周面に対向する面に前記センサが設けられた着脱部材と、前記着脱部材が前記ロータに取り付けられたときに、前記センサと前記ロータのマグネットとの位相差が設定値になるように、前記センサと前記マグネットとの位置関係を規定する位置決め部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、センサとマグネットとの位相合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係るインホイールモータを備えた車輪をその幅方向外側から見た斜視図
【
図2】本開示の実施の形態に係る車輪およびインホイールモータの断面模式図
【
図3】本開示の実施の形態に係るインホイールモータの分解斜視図
【
図4】本開示の実施の形態に係るインホイールモータの分解斜視断面図
【
図5】本開示の実施の形態に係るロータに取り付けられる構成要素の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る車輪100およびインホイールモータ1の構成について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
図1~
図5において、共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0010】
図1は、インホイールモータ1を備えた車輪100をその幅方向外側から見た斜視図である。
図2は、車輪100およびインホイールモータ1の断面模式図である。
図3は、インホイールモータ1の分解斜視図である。
図4は、インホイールモータ1の分解斜視断面図である。
図5は、ロータ3に取り付けられる構成要素の分解斜視図である。
【0011】
なお、
図2~
図5において、直線の両矢印は、車輪100の幅方向(車幅方向と言ってもよい)を示している。以下では、車輪100の幅方向の外側を「車輪幅方向外側」と言い、車輪100の幅方向の内側を「車輪幅方向内側」と言う。
【0012】
図1、
図2に示す車輪100は、例えば、自動車の駆動輪として用いられる。
図1、
図2に示すように、車輪100は、インホイールモータ1、ホイール19、タイヤ20を有する。
【0013】
ホイール19は、タイヤ20を保持する(
図1、
図2参照)とともに、スタッドボルト21(
図3~
図5参照)およびナット22(
図1、
図2参照)によってハブ8(詳細は後述)に固定される。
【0014】
図1~
図5に示すインホイールモータ1は、アウターロータ式のインホイールモータである。
【0015】
図1~
図5に示すように、インホイールモータ1は、ステータ2、ロータ3、ハブ8、キャップ9、シャフト12、アウターハブベアリング15、インナーハブベアリング16、アウターレゾルバ17、インナーレゾルバ18、フリクションシール23、ボルト24、位置決めピン25を有する。ただし、これら全てが必須の構成要素という訳ではない。
【0016】
図2に示すように、ステータ2は、略中空円柱状のステータボディ4(
図3、
図4参照)と、その外周面に固定されるコイル5と、を有する。図示は省略するが、コイル5は、複数相(例えば三相)のコイルである。コイル5には、例えば、図示しない三相交流配線が接続されており、その配線を介して、図示しないインバータの制御により電流が供給される。なお、
図3、
図4では、コイル5の図示を省略している。
【0017】
図2に示すように、ロータ3は、略中空円柱状のロータケース6(
図3~
図5参照)と、その内周面に固定されるマグネット7と、を有する。なお、
図4では、マグネット7の図示を省略している。
【0018】
図2に示すように、ステータ2は、ロータ3の内側に配置される。換言すれば、ロータ3は、ステータ2の外側に配置される。このとき、ロータ3のマグネット7と、ステータボディ4のコイル5とは、規定の距離を隔てて対向して配置される。すなわち、マグネット7とコイル5との間には、規定のクリアランスが保たれる。
【0019】
なお、図示は省略するが、ステータボディ4の車輪幅方向内側の端部には、例えば、冷却水供給口、冷却水排出口、三相交流配線コネクタ、レゾルバ信号コネクタ等が設けられる。
【0020】
冷却水供給口および冷却水排出口は、ステータボディ4内に設けられる冷却水路(図示略)と接続される。インホイールモータ1を冷却するための冷却水は、冷却水供給口から冷却水路へ流入し、冷却水路を流れた後、冷却水排出口から排出される。
【0021】
三相交流配線コネクタは、上述した三相交流配線と接続され、コイル5へ供給される電流の入口として機能する。
【0022】
レゾルバ信号コネクタは、図示しない信号線を介してアウターレゾルバ17と接続され、アウターレゾルバ17から出力される信号(例えば、検知されたロータ3の回転角および回転方向を示す信号)の出口として機能する。
【0023】
図2~
図5に示すように、シャフト12は、車輪幅方向に沿ってインホイールモータ1内に挿入される長尺部材である。
図2に示すように、シャフト12は、ステータボディ4に接触して設けられ、ボルト(図示略)によりステータボディ4に固定される。
【0024】
シャフト12における車輪幅方向内側の端部は、例えば、前輪のナックルまたは後輪のサスアーム(いずれも図示略)に取り付けられる。なお、その取り付けのために、シャフト12における車輪幅方向内側の端部には、ナックルまたはサスアームと嵌合するためのスプライン形状が形成されてもよい。
【0025】
一方、シャフト12における車輪幅方向外側の端部は、
図2に示すように、ハブ8においてその軸方向(車輪幅方向と同じ。以下同様)に設けられた中空部分(符号略)に挿入される。
【0026】
図1~
図5に示すハブ8(着脱部材の一例)は、ロータケース6に対して着脱可能な部材である。ハブ8をロータケース6に着脱可能にする理由は、メンテナンス(例えば、ハブ8自体や、ハブ8に設けられるアウターハブベアリング15、インナーハブベアリング16等の交換)を容易に行えるようにするためである。
【0027】
ハブ8は、
図2~
図5に示すように、ロータケース6内に配置される筒状体(符号略)と、その筒状体に連なって設けられ、ロータケース6外に配置されるフランジ(符号略)と、を備える。また、ハブ8には、筒状体およびフランジを軸方向に貫通する中空部分(シャフト12の端部が挿入される部分)が設けられている。
【0028】
筒状体は、ステータボディ4の内周面に対向する面を外周面として備える(
図2参照)。
【0029】
フランジは、ロータ3の外表面(具体的には、筒状体の挿抜口となる開口部が設けられた面)に対向して配置される(
図4、
図5参照)。フランジには、スタッドボルト21、ボルト24、位置決めピン25がそれぞれ挿入される穴が設けられている(
図5参照)。フランジには、スタッドボルト21(
図3~
図5参照)およびナット22(
図1、
図2参照)によって、タイヤ20を保持するホイール19が固定される。
【0030】
図5に示すボルト24は、車輪幅方向の外側から、ハブ8のフランジ、フリクションシール23(詳細は後述)、ロータケース6それぞれに設けられたボルト穴(いずれも符号略)に挿入され、
図2~
図4に示すように、ロータケース6に締結される。これにより、ハブ8は、フリクションシール23を介してロータ3に固定される。なお、
図2では、ボルト24の図示を省略しており、
図3では、フリクションシール23の図示を省略している。
【0031】
ロータ3に固定されたハブ8は、ロータ3の回転に伴い回転する。よって、ハブ8は、回転部材であるとも言える。
【0032】
ハブ8のフランジ中央の内径穴(
図5参照。符号略)には、
図5に示すキャップ9が、
図2~
図4に示すように取り付けられる。
【0033】
ハブ8が固定されたロータケース6(
図3、
図4参照)は、ステータボディ4に組み付けられ、ステータボディ4にボルト締めされる。これにより、
図2に示すように、ロータ3の内側にステータ2が配置され、ステータ2の内側にハブ8の筒状体が配置される。このとき、筒状体は、その外周面がステータ2の内周面と所定距離を隔てて対向するように配置される(
図2参照)。
【0034】
また、上述したとおり、
図2に示すように、ハブ8の筒状体内(すなわち、筒状体においてその軸方向に設けられた中空部分)には、シャフト12における車輪幅方向外側の一部分が挿入(配置)される。なお、このとき、シャフト12の先端部分は、キャップ9には接触しない。
【0035】
ハブ8の筒状体内には、
図2、
図4に示すように、車輪幅方向外側にアウターハブベアリング15が設けられ、それよりも車輪の幅方向内側にインナーハブベアリング16が設けられる。インナーハブベアリング16は、ハブ8の筒状体の軸方向において、その筒状体の先端部分に近接(隣接)して設けられている。また、
図2に示すように、インナーハブベアリング16は、シャフト12に設けられた段差部分aに押し当てられて設けられている。
【0036】
図2に示すように、アウターハブベアリング15およびインナーハブベアリング16はともに、シャフト12の外周面と、ハブ8の筒状体の中空部分の内周面とに接している。これにより、タイヤ20からの荷重は、ハブ8、アウターハブベアリング15、インナーハブベアリング16、シャフト12で支持できるため、インホイールモータ1へ伝達されることを抑制できる。
【0037】
図2、
図4に示すアウターレゾルバ17およびインナーレゾルバ18は、ロータ3の回転状態(例えば、回転角および回転方向)を検出するレゾルバ(センサの一例)である。
【0038】
図2、
図4に示すように、アウターレゾルバ17(レゾルバの固定子)は、ステータボディ4に固定される。
【0039】
図2、
図4に示すように、インナーレゾルバ18(レゾルバの回転子)は、ハブ8の筒状体の先端部分に固定される。よって、インナーレゾルバ18は、ハブ8の筒状体の軸方向において、インナーハブベアリング16に近接して配置される。このように配置されたインナーレゾルバ18は、ハブ8とともに回転する。
【0040】
図2に示すように、アウターレゾルバ17と、インナーレゾルバ18とは、規定の距離を隔てて対向して配置される。すなわち、アウターレゾルバ17とインナーレゾルバ18との間には、規定のクリアランスが保たれる。
【0041】
上述したとおり、アウターレゾルバ17から出力される信号は、アウターレゾルバ17に接続された信号線およびレゾルバ信号コネクタ(ともに図示略)を介してインホイールモータ1の外部へ出力される。
【0042】
図5に示す位置決めピン25および位置決めピン穴26は、ハブ8がロータ3(具体的にはロータケース6)に取り付けられたときに、ハブ8に設けられたインナーレゾルバ18と、ロータ3に設けられたマグネット7との位相差が設定値(例えば、ゼロ、または、ゼロを基準とした範囲内の値)になるように、インナーレゾルバ18とマグネット7との位置関係を規定する位置決め部として機能する。
【0043】
図5に示すように、位置決めピン25(嵌合部材の一例)は、ロータケース6、フリクションシール23、ハブ8のそれぞれに対して着脱可能な円柱状の部材である。位置決めピン25としては、ダウエルピンを用いることができるが、これに限定されず、ノックピンを用いてもよい。
【0044】
位置決めピン穴26(被嵌合部の一例)は、位置決めピン25が挿入される穴であり、ロータケース6、フリクションシール23、ハブ8(フランジ)のそれぞれに設けられている。位置決めピン用穴26の径は、ボルト24用のボルト穴の径よりも小さい。
図5では、代表例として、フリクションシール23の位置決めピン穴にだけ、符号「26」を付している。
【0045】
位置決めピン用穴26は、インナーレゾルバ18が取り付けられたハブ8(
図5参照)が、マグネット7が取り付けられたロータケース6に組み付けられた際に(
図4参照)、インナーレゾルバ18とマグネット7とが規定の位置関係(両者の位相差が設定値となる位置関係)となる位置に設けられている。規定の位置関係は、例えば、インホイールモータ1の製造時に行われる位置調整により決定される。
【0046】
位置決めピン25の各位置決めピン穴26への挿入は、ボルト24が各ボルト穴に挿入されてハブ8がロータケース6に固定される際に行われる。
【0047】
なお、
図5では、位置決めピン穴26が、円周方向に沿って設けられた複数のボルト穴(ボルト24用の穴)に混じって設けられている場合を例示したが、位置決めピン穴26の位置はこれに限定されない。
【0048】
また、図示は省略するが、ロータケース6内部における位置決めピン穴26の形状は、放射方向(ロータケース6の径方向)に延伸した長孔形状であってもよい。これにより、量産時のばらつきを吸収することができる。
【0049】
図5に示すように、フリクションシール23(摩擦部材の一例)は、内径穴(符号略)を有する円形状の部材である。
【0050】
上述したとおり、フリクションシール23は、ハブ8がロータケース6に組み付けられる際に、ハブ8とともにボルト24によってロータケース6に固定される。これにより、
図2、
図4に示すように、フリクションシール23は、ロータケース6とハブ8(フランジ)との間に配置される。
【0051】
フリクションシール23は、所定の摩擦係数を有する。この摩擦係数は、例えば、ロータ3のトルク、フリクションシール23の径、ロータケース6に対するハブ8の押し付け圧力、使用するボルト24の数、ボルト24の締め付けトルク等に基づいて、所望の値に設定される。
【0052】
フリクションシール23の材質としては、例えば、繊維材料にゴムなどを混ぜて圧延加硫した複合材が挙げられるが、これに限定されない。
【0053】
以上、本実施の形態の車輪100およびインホイールモータ1の構成について説明した。
【0054】
本実施の形態のインホイールモータ1の主な特徴について、以下にまとめる。
【0055】
インホイールモータ1は、アウターロータ式のインホイールモータであって、ロータ3の回転状態を検知するインナーレゾルバ18と、ロータ3(具体的には、ロータケース6)に対して着脱可能であり、ステータ2(具体的には、ステータボディ4)の内周面に対向する面にインナーレゾルバ18が設けられたハブ8と、ロータ3とハブ8との間に設けられ、ハブ8とともにロータ3に固定されるフリクションシール23と、を有することを第1の特徴とする。
【0056】
第1の特徴により、ロータ3とハブ8との間において摩擦力が作用するので、ロータ3のトルクを正確にハブ8へ伝達することができる。よって、ハブ8における不具合(例えば、がたつき等)の発生を抑制することができる。
【0057】
また、第1の特徴により、ロータ3とハブ8との間の隙間を塞ぐことができる。よって、その隙間から異物(例えば、水分、粉塵等)がインホイールモータ1内に入り込むことを抑制することができる。
【0058】
インホイールモータ1は、アウターロータ式のインホイールモータであって、ロータ3の回転状態を検知するインナーレゾルバ18と、ロータ3(具体的には、ロータケース6)に対して着脱可能であり、ステータ2(具体的には、ステータボディ4)の内周面に対向する面にインナーレゾルバ18が設けられたハブ8と、ハブ8がロータ3に取り付けられたときに、インナーレゾルバ18とロータ3のマグネット7との位相差が設定値になるように、インナーレゾルバ18とマグネット7との位置関係を規定する位置決め部と、を有することを第2の特徴とする。
【0059】
第2の特徴により、メンテナンス(例えば、ハブ8自体や、ハブ8に設けられるアウターハブベアリング15、インナーハブベアリング16等の交換)のために、ロータ3に固定されていたハブ8を一旦ロータ3から取り外し、再びロータ3に取り付ける場合において、ハブ8に設けられたインナーレゾルバ18と、ロータ3に設けられたマグネット7との位相合わせを容易に行うことができる。
【0060】
インホイールモータ1は、アウターロータ式のインホイールモータであって、ロータ3の回転状態を検知するインナーレゾルバ18と、ロータ3(具体的には、ロータケース6)に対して着脱可能であり、ステータ2(具体的には、ステータボディ4)の内周面に対向する面にインナーレゾルバ18が設けられたハブ8と、を有することを第3の特徴とする。
【0061】
仮に、アウターロータ式のインホイールモータ1において、インナーレゾルバ18をロータ3(例えば、ロータケース6の内側面。例えば、
図2に示す点線の囲み部分)に取り付けるとした場合、インナーレゾルバ18がコイル5の近くに配置されることになり、磁束等の影響によってインナーレゾルバ18に不具合が生じるおそれがある。これに対し、上記第3の特徴によれば、インナーレゾルバ18とコイル5との間の距離をより多く確保できるため、上記不具合を抑制することができる。
【0062】
また、上記第3の特徴を備えたインホイールモータ1では、ステータ2に固定され、ハブ8の筒状体の内部に挿入されるシャフト12と、シャフト12の外周面とハブ8の筒状体の内周面との間に設けられるインナーハブベアリング16と、をさらに有し、インナーレゾルバ18は、ハブ8の筒状体の軸方向において、インナーハブベアリング16に近接して設けられることを第4の特徴とする。
【0063】
第4の特徴により、インナーハブベアリング16の支持作用により、ハブ8におけるインナーハブベアリング16の設置部分(その近傍部分を含む)では回転が安定するため、インナーレゾルバ18とアウターレゾルバ17との間のクリアランスが変位しにくくなり、回転状態の検知精度を確保することができる。
【0064】
また、上記第3の特徴を備えたインホイールモータ1では、インナーハブベアリング16がシャフト12の段差部分に当接して設けられていることを第5の特徴とする。
【0065】
第5の特徴により、ハブ8の軸方向(車輪幅方向)の動きが抑制されるため、インナーレゾルバ18とアウターレゾルバ17とが互いに軸方向にずれることを抑制でき、回転状態の検知精度を確保することができる。
【0066】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0067】
図1~
図5に示した各構成要素のサイズや形状は、図示した態様に限定されない。
【0068】
実施の形態では、インナーレゾルバ18は、ハブ8の筒状体の先端部分に設けられる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。インナーレゾルバ18は、例えば、ハブ8の筒状体の外周面のうち、先端部分以外の、インナーハブベアリング16に近接する位置に設けられてもよい。その位置とは、例えば、インナーレゾルバ18とアウターレゾルバ17との間のクリアランスを規定値に維持すること(または、クリアランスの変位量を規定範囲内に抑制すること)が可能な位置である。なお、その場合においても、アウターレゾルバ17がインナーレゾルバ18の位置に対応して配置されることは言うまでもない。
【0069】
実施の形態では、位置決め部として、ロータケース6およびハブ8の両方に対して着脱可能な位置決めピン25を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、位置決めピン25の代わりに、ロータケース6またはハブ8のいずれかにおいて固定的に設けられた突起部(嵌合部の一例)を用いてもよい。その場合、ロータケース6およびハブ8のうち突起部が設けられない方には、突起部が挿入される穴(被嵌合部の一例)が設けられる。突起部と穴は、インナーレゾルバ18が取り付けられたハブ8(
図5参照)が、マグネット7が取り付けられたロータケース6に組み付けられた際に(
図4参照)、インナーレゾルバ18とマグネット7とが規定の位置関係となる位置に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、車両の駆動輪に搭載されるアウターロータ式のインホイールモータに有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 インホイールモータ
2 ステータ
3 ロータ
4 ステータボディ
5 コイル
6 ロータケース
7 マグネット
8 ハブ
9 キャップ
12 シャフト
15 アウターハブベアリング
16 インナーハブベアリング
17 アウターレゾルバ
18 インナーレゾルバ
19 ホイール
20 タイヤ
21 スタッドボルト
22 ナット
23 フリクションシール
24 ボルト
25 位置決めピン
26 位置決めピン穴
100 車輪
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータであって、
前記ロータの回転状態を検知するセンサと、
前記ロータに対して着脱可能であり、前記ステータの内周面に対向する面に前記センサが設けられた着脱部材と、
前記着脱部材が前記ロータに取り付けられたときに、前記センサと前記ロータのマグネットとの位相差が設定値になるように、前記センサと前記マグネットとの位置関係を規定する位置決め部と、を有し、
前記位置決め部は、
前記ロータおよび前記着脱部材のそれぞれに設けられた被嵌合部と、
前記ロータおよび前記着脱部材に対して着脱可能であり、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部材と、を有する、
インホイールモータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様に係るインホイールモータは、ステータおよびロータを備えたアウターロータ式のインホイールモータであって、前記ロータの回転状態を検知するセンサと、前記ロータに対して着脱可能であり、前記ステータの内周面に対向する面に前記センサが設けられた着脱部材と、前記着脱部材が前記ロータに取り付けられたときに、前記センサと前記ロータのマグネットとの位相差が設定値になるように、前記センサと前記マグネットとの位置関係を規定する位置決め部と、を有し、前記位置決め部は、前記ロータおよび前記着脱部材のそれぞれに設けられた被嵌合部と、前記ロータおよび前記着脱部材に対して着脱可能であり、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部材と、を有する。