(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074845
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230523BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B60H1/34 611Z
F24F13/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187993
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】榎園 貴史
(72)【発明者】
【氏名】神尾 建一
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA00
3L211BA05
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】見栄えを向上しつつ簡素な構成で風向調整が可能な風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置1は、一端側が所定方向に縮小され、他端側から一端側へと空気が通過する筒状のケース体3を備える。風向調整装置1は、ケース体3の一端側の内部にて少なくとも所定方向に移動可能に配置された筒状の風向調整体26を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が所定方向に縮小され、他端側から一端側へと空気が通過する筒状のケース体と、
このケース体の一端側の内部にて少なくとも前記所定方向に移動可能に配置された筒状の風向調整体と、
を備えることを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
風向調整体は、一端側がケース体の一端側と少なくとも同方向に縮小されている
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
ケース体の内部にて風向調整体に対して通気方向の上流側に、前記ケース体の内部の通気方向と前記風向調整体の移動方向とに対して交差する方向に回動可能に配置されたフィンを備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の風向調整装置。
【請求項4】
ケース体の外部に移動可能に配置された操作部を備え、
風向調整体は、前記操作部の移動方向に沿って移動可能に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向を調整する風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹き出す風向を調整する風向調整装置がある。風向調整装置は、空調風吹出装置、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、例えばインストルメントパネルやセンタコンソール部などの車両の各部に設置されて、冷暖房による快適性能の向上に寄与している。
【0003】
通常、風向調整装置は、吹出口付近に複数枚のフィンが回動可能に設定され、フィンの回動によって風向を変えるように構成されている。この場合、フィンの枚数によっては、吹出口の開口寸法を大きくしなければならず、また、フィンが使用者側から見えるため、風向調整装置やその周辺のデザインに制約がある。
【0004】
そこで、吹出口付近にフィンを用いることなく風向の調整を可能とした風向調整装置がある。例えば、本体部内を複数の流路に分割するとともに、分割された各流路にそれぞれ送風遮断部材を配置し、送風遮断部材による流路の開閉の切り替えによって風向を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-86659号公報 (第5-8頁、
図1-11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の風向調整装置の場合、風向を調整するために複数の送風遮断部材を互いに連動させる必要があるため、機械的に連動させる場合にはその連動のための複雑な機構が必要になる。また、フィンを回動させて風向を調整する場合と比較して、直感的な風向調整が容易でない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、見栄えを向上しつつ簡素な構成で風向調整が可能な風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の風向調整装置は、一端側が所定方向に縮小され、他端側から一端側へと空気が通過する筒状のケース体と、このケース体の一端側の内部にて少なくとも前記所定方向に移動可能に配置された筒状の風向調整体と、を備えるものである。
【0009】
請求項2記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、風向調整体は、一端側がケース体の一端側と少なくとも同方向に縮小されているものである。
【0010】
請求項3記載の風向調整装置は、請求項1または2記載の風向調整装置において、ケース体の内部にて風向調整体に対して通気方向の上流側に、前記ケース体の内部の通気方向と前記風向調整体の移動方向とに対して交差する方向に回動可能に配置されたフィンを備えるものである。
【0011】
請求項4記載の風向調整装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置において、ケース体の外部に移動可能に配置された操作部を備え、風向調整体は、前記操作部の移動方向に沿って移動可能に配置されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の風向調整装置によれば、ケース体の内部での風向調整体の移動方向及び移動量に応じて風向調整体とケース体との間を通過してケース体の一端側からその縮小に沿う方向に吹き出される通気量の比率を変化させて風向を調整可能となるため、見栄えを向上しつつ簡素な構成で、筒状の風向調整体の移動によって風向調整が可能となる。
【0013】
請求項2記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、風向調整体内を通過して風向調整体の一端側からまっすぐ吹き出す空調風の流速を速めつつ、風向調整体とケース体との間の一端側から縮小に沿う方向に吹き出す空調風の指向性を高めることができ、風向調整機能を向上できる。
【0014】
請求項3記載の風向調整装置によれば、請求項1または2記載の風向調整装置の効果に加えて、風向調整体の移動による風向調整に加えて、その風向調整可能な方向と交差する方向にフィンの回動による風向調整が可能となるため、風向調整の自由度が向上する。
【0015】
請求項4記載の風向調整装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の風向調整装置の効果に加えて、操作部の操作方向と風向調整体による風向調整方向とが一致または略一致するので、風向を直感的に操作可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の風向調整装置の風向調整体の中立状態を示す縦断面図である。
【
図2】同上風向調整装置の風向調整体の配風状態を示す縦断面図である。
【
図3】(a)は同上風向調整装置の横断面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す横断面図である。
【
図4】(a)は同上風向調整装置の風向調整体の中立状態での操作部を示す側面図、(b)は風向調整体が移動した配風状態での操作部を示す側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態の風向調整装置の風向調整体の中立状態を示す縦断面図である。
【
図8】同上風向調整装置の風向調整体の配風状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図6において、1は風向調整装置である。風向調整装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、空調装置などからの風の吹き出し方向を調整するものである。以下、説明をより明確にするために、風向調整装置1は、風が吹き出す側である風下側を前側、正面側または手前側とし、その反対側、つまり風を受け入れる側である風上側を後側、背後側または奥側として、前側から見て左右方向である両側方向または幅方向、及び、上下方向を規定する。本実施の形態において、風向調整装置1は、自動車などの車両用の空調装置に適用される。風向調整装置1は、任意の位置に配置されていてよいが、図面においては、矢印FR側を前側、矢印RR側を後側、矢印L側を左側、矢印R側を右側、矢印U側を上側、矢印D側を下側とするように配置されているものとする。これらの方向は、あくまで一例として図示されるものであって、風向調整装置1の設置位置や設置向きによって適宜変更されるものとする。
【0019】
図1ないし
図3及び
図5に示すように、風向調整装置1は、ケース体3を備える。ケース体3は、ダクトとも呼ばれる。ケース体3は、筒状に形成されている。本実施の形態において、ケース体3は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、ケース体3は、角筒状に形成されている。ケース体3により、内部に通気路5が囲まれている。ケース体3の中心軸に平行な方向が通気路5の通気方向である。本実施の形態において、通気路5の通気方向は、前後方向であり、後方から前方に向かって通気される。すなわち、通気路5において、後側は通気方向の上流側、前側は通気方向の下流側である。
【0020】
ケース体3は、通気路5の通気方向に所定長を有する。本実施の形態において、ケース体3は、上下方向に扁平であり、左右方向に長手状、つまり横長に形成されている。したがって、風向調整装置1は、横型の薄型に形成されている。ケース体3は、通気路5の中央部、すなわち中心軸を挟んで互いに対向する一対の端壁部6と、これら一対の端壁部6間を連結する一対の側壁部7と、を一体的に有する。一対の端壁部6は、上下方向に互いに対向し、一対の側壁部7は、左右方向に互いに対向する。一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との後端部により、通気路5に空気すなわち空調風を受け入れる受入口8が囲まれ、一対の端壁部6,6と一対の側壁部7,7との前端部により、通気路5から空調風を排出する排出口9が囲まれる。つまり、ケース体3の後端部は、通気路5に空調風を受け入れる受入口8であり、ケース体3の前端部は、通気路5から空調風を排出する排出口9となっている。受入口8と排出口9との間にこれらを連通する通気路5が形成されている。受入口8から排出口9へと空調風が通過する。受入口8及び排出口9は、それぞれ横長となっている。
【0021】
図5に示すように、ケース体3は、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。本実施の形態では、ケース体3は、一のケース部材11と他のケース部材12とを組み合わせて形成されている。一のケース部材11は、一方の端壁部6を構成して形成されている。他のケース部材12は、他方の端壁部6及び側壁部7,7を構成して形成されている。図示される例では、一のケース部材11に、一の係止部11aが形成され、他のケース部材12の上部に他の係止部12aが形成されて、これら一の係止部11aと他の係止部12aとが互いに係止されることで、ケース体3が筒状に構成される。一の係止部11aと他の係止部12aとは、例えばいずれか一方が穴部、他方が爪部として形成される。本実施の形態では、一の係止部11aが穴部、他の係止部12aが爪部である。
【0022】
また、
図1ないし
図5に示すように、ケース体3は、一端側である排出口9側、すなわち通気方向の下流側が縮小されている。ケース体3は、排出口9側である前端部が、所定方向、本実施の形態では排出口9の短手方向である上下方向に縮小されている。すなわち、ケース体3の下流端部である前端部には、(一の)縮小部である下流側縮小部14が形成されている。下流側縮小部14は、ケース体3の前後方向の中央部に対して前方に離れて位置する。本実施の形態において、下流側縮小部14は、各端壁部6の前端部に形成された(一の)導風部である下流側導風部15により上下が形成され、側壁部7により左右が形成されている。一対の下流側導風部15と一対の側壁部7とにより排出口9が囲まれている。
【0023】
下流側導風部15は、(一の)傾斜部である下流側傾斜部15aを有する。下流側傾斜部15aは、前方に向かってケース体3の中心軸側に傾斜している。つまり、上側の下流側導風部15の下流側傾斜部15aは、前方に向かって下方に傾斜し、下側の下流側導風部15の下流側傾斜部15aは、前方に向かって上方に傾斜している。図示される例では、下流側傾斜部15aは、互いに上下方向に対称または略対称に傾斜している。本実施の形態では、下流側傾斜部15aの前端部に連なって、(一の)非傾斜部である下流側非傾斜部15bが一体に形成されている。下流側非傾斜部15bは、下流側傾斜部15aの前端部から前方に延出する部分である。図示される例では、下流側非傾斜部15bは、ケース体3の軸方向に対して平行または略平行に形成されている。本実施の形態において、下流側非傾斜部15bは、下流側傾斜部15aと比較して、前後方向に短く形成されている。下流側非傾斜部15bが下流側導風部15の前端部を構成している。下流側非傾斜部15bは、必須の構成ではない。
【0024】
また、本実施の形態において、ケース体3は、他端側である受入口8側、すなわち通気方向の上流側が縮小されている。ケース体3は、受入口8側である後端部が、所定方向、本実施の形態では受入口8の短手方向である上下方向に縮小されている。すなわち、ケース体3の上流端部である後端部には、(他の)縮小部である上流側縮小部17が形成されている。上流側縮小部17は、ケース体3の前後方向の中央部に対して後方に離れて位置する。本実施の形態において、上流側縮小部17は、各端壁部6の後端部に形成された(他の)導風部である上流側導風部18により上下が形成され、側壁部7により左右が形成されている。一対の上流側導風部18と一対の側壁部7とにより受入口8が囲まれている。
【0025】
上流側縮小部17は、(他の)傾斜部である上流側傾斜部18aを有する。上流側傾斜部18aは、後方に向かってケース体3の中心軸側に傾斜している。つまり、上側の上流側導風部18の上流側傾斜部18aは、後方に向かって下方に傾斜し、下側の上流側導風部18の上流側傾斜部18aは、後方に向かって上方に傾斜している。図示される例では、上流側傾斜部18aは、互いに上下方向に対称または略対称に傾斜している。本実施の形態では、上流側傾斜部18aの後端部に連なって、(他の)非傾斜部である上流側非傾斜部18bが一体に形成されている。上流側非傾斜部18bは、上流側傾斜部18aの後端部から後方に延出する部分である。図示される例では、上流側非傾斜部18bは、ケース体3の軸方向に対して平行または略平行に形成されている。本実施の形態において、上流側非傾斜部18bは、上流側傾斜部18aと比較して、前後方向に長く形成されている。上流側非傾斜部18bが上流側導風部18の後端部を構成している。上流側非傾斜部18bは、必須の構成ではない。
【0026】
ケース体3において、下流側縮小部14と上流側縮小部17との間が、一般部20となっている。すなわち、一般部20の前部に下流側縮小部14が連なり、一般部20の後部に上流側縮小部17が連なる。一般部20は、ケース体3の軸方向に対して縮小されない非縮小部である。一般部20において、通気路5の断面積が一定または略一定となっている。
【0027】
また、ケース体3には、排出口9側である前端部に、意匠部を構成するパネル23が取り付けられている。パネル23は、フィニッシャとも呼ばれ、風向調整装置1の設置位置の意匠の一部をなす。パネル23は、ケース体3の前端部に対して外方にフランジ状に突出している。本実施の形態において、パネル23は、左右方向に長く上下方向に短く形成されている。すなわち、パネル23は横長に形成されている。パネル23には、排出口9と連通する吹出口24が形成されている。吹出口24は、通気路5を通過した空調風が吹き出す部分である。吹出口24は、排出口9と略等しい形状に形成されている。すなわち、吹出口24は、左右方向に長手状つまり横長に形成されている。
【0028】
そして、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、ケース体3に対する移動に応じて吹出口24から吹き出される空調風の風向を調整する風向調整体26が配置されている。風向調整体26は、ハウジングとも呼ばれる。風向調整体26は、筒状に形成されている。本実施の形態において、風向調整体26は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、風向調整体26は、角筒状に形成されている。風向調整体26は、前後方向に軸方向を有して配置される。風向調整体26の内部が、通気路5と連通する。
【0029】
本実施の形態において、風向調整体26は、ケース体3の形状に応じて上下方向に扁平であり、左右方向に長手状、つまり横長に形成されている。風向調整体26は、中心軸を挟んで互いに対向する一対の端壁28と、これら一対の端壁28間を連結する一対の側壁29と、を一体的に有する。一対の端壁28は、上下方向に互いに対向し、一対の側壁29は、左右方向に互いに対向する。一対の端壁28は、左右方向に長手状に延びている。また、
図1及び
図2に示すように、風向調整体26は、上下方向すなわち軸方向(通気方向)に対して交差または直交する方向の長さが、通気路5の上下方向の長さより小さく設定されている。そのため、一対の端壁28とケース体3の一対の端壁部6との間の通気路5内に、空調風が通過可能な流路30がそれぞれ区画される。また、
図3(a)に示すように、一対の側壁29は、ケース体3の一対の側壁部7に近接して位置し、一対の側壁29と一対の側壁部7との間には、空調風が通過する流路が形成されていない。
【0030】
また、
図1ないし
図3に示すように、風向調整体26は、前後方向すなわち軸方向の長さがケース体3の軸方向の長さの半分未満、図示される例では1/4程度に設定されている。これら一対の端壁28と一対の側壁29とにより、風向調整体26が四角形枠状に形成されている。一対の端壁28,28と一対の側壁29,29との後端部により、風向調整体26の内部に空調風を受け入れる導入口31が囲まれ、一対の端壁28,28と一対の側壁29,29との前端部により、空調風を導出する導出口32が囲まれる。導入口31及び導出口32は、それぞれ横長となっている。本実施の形態において、導入口31の開口面積は、通気路5の断面積の半分以上に設定されている。好ましくは、導入口31の開口面積は、通気路5の断面積の3/4以下に設定されている。
【0031】
好ましくは、風向調整体26は、一端側である導出口32側、すなわち通気方向の下流側が、少なくともケース体3の一端側である排出口9側、すなわち下流側が縮小されている方向と同方向に縮小されている。つまり、本実施の形態では、風向調整体26は、導出口32側である前端部が、導出口32の短手方向である上下方向に縮小されている。すなわち、風向調整体26の下流端部である前端部には、調整体縮小部33が形成されている。本実施の形態において、調整体縮小部33は、端壁28,28の前端部に形成された調整体導風部34,34により上下が形成され、側壁29,29により左右が形成されている。調整体導風部34,34と側壁29,29とにより導出口32が囲まれている。
【0032】
調整体導風部34は、前方に向かって風向調整体26の中心軸側に傾斜している。つまり、上側の調整体導風部34は、前方に向かって下方に傾斜し、下側の調整体導風部34は、前方に向かって上方に傾斜している。図示される例では、これら調整体導風部34,34は、互いに上下方向に対称または略対称に傾斜している。また、調整体導風部34の傾斜は、ケース体3の下流側傾斜部15aと平行または略平行となっている。
【0033】
風向調整体26は、ケース体3の一端側である前端側の内部に配置されている。風向調整体26は、調整体導風部34の少なくとも前端側がケース体3の下流側縮小部14内に位置し、その他の一般部がケース体3の一般部20内に位置して配置されている。
【0034】
したがって、風向調整体26とケース体3との間の流路30は、ケース体3の一般部20内に位置する上流側が前後方向に直線状に傾斜されているとともに、風向調整体26の調整体導風部34とケース体3の下流側傾斜部15aとの傾斜によって、上側の流路30の下流端が下方に傾斜し、下側の流路30の下流端が上方に傾斜している。
【0035】
また、風向調整体26は、ケース体3に対し、少なくとも通気方向と交差する方向、本実施の形態では上下方向に移動可能に配置されている。すなわち、風向調整体26は、下流側縮小部14が縮小されている所定方向に移動可能に配置されている。
図3(a)、
図3(b)及び
図5に示すように、本実施の形態では、風向調整体26は、受け部36にスライド可能に保持され、受け部36がケース体3に固定されることで、ケース体3に対して上下方向に移動可能となっている。そして、
図1及び
図2に示すように、風向調整体26の移動方向及び移動量に応じて一方の流路30と他方の流路30との通気量(開口面積)の比率が変化することにより、下流側縮小部14が縮小されている方向すなわち下流側導風部15の下流側傾斜部15aの傾斜方向に沿う方向に吹き出される通気量の比率が変化することで、吹出口24から吹き出される風向が変化されるようになっている。
【0036】
図3(b)に示す受け部36は、スペーサとも呼ばれる。受け部36は、風向調整体26の長手方向の両端部、本実施の形態では左右両側部をそれぞれ保持する。受け部36は、風向調整体26の側壁29に形成された摺接部38を摺接可能にガイドするガイド部39を有する。摺接部38とガイド部39とは、いずれか一方が凹部、他方が凸部である。本実施の形態においては、摺接部38が凸部、ガイド部39が直線レール状の溝部すなわち凹部である。
【0037】
受け部36は、ケース体3の側壁部7に形成された取付部41に取り付けられて固定される。本実施の形態において、取付部41は、ケース体3の側壁部7の内面つまり通気路5側の面に上下方向に形成された溝部である。図示される例では、取付部41は、他のケース部材12にて側壁部7の上端部に連なる溝部として形成されている。したがって、受け部36は、他のケース部材12に対し取付部41に上方からスライドにより挿入嵌合され、他のケース部材12に一のケース部材11が固定されることで取付部41の上端部が閉塞されることによりケース体3に抜け止め保持される。
【0038】
本実施の形態において、風向調整体26は、ケース体3の外部に移動可能に配置された操作部43により操作可能となっている。操作部43は、例えば回動操作される操作ダイヤルである。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、操作部43は、摘み部45を有する。摘み部45は、乗員などの使用者が摘んで操作部43を回動させる部分である。摘み部45の背後側に、操作部43の回動中心となる操作部本体部46が形成されている。さらに、操作部本体部46の背後側にストッパ部47が形成されている。また、操作部本体部46の中心すなわち回動中心と摘み部45とを結ぶ仮想線L1上に、風向調整体26と連結されるリンク穴部48が形成されている。本実施の形態において、リンク穴部48は、操作部本体部46の中心すなわち回動中心と摘み部45とを結ぶ仮想線L1上に沿って長孔状となっている。
【0039】
そして、
図5に示すように、操作部43は、操作部本体部46がケース体3の側部に回動可能に取り付けられる。図示される例では、操作部43は、操作部本体部46がケース体3の一方の側壁部7の外面に形成されたボス状の操作部取付部50に対し、円筒状のブッシュ51を介してタッピングなどの固定部材52により同軸状に取り付けられる。操作部取付部50は、ケース体3の一方の側壁部7において、取付部41よりも後方に配置される。
【0040】
図3(a)に示すように、操作部43は、ケース体3に取り付けられた状態で、摘み部45が前側に位置し、ストッパ部47が後側に位置する。摘み部45は、パネル23にて吹出口24の側方に形成された露出開口部54に挿入されて、パネル23から前方に突出している。また、ストッパ部47は、ケース体3の一方の側壁部7の外面に形成された当接部55の下部に位置し、操作部43の回動時にストッパ部47と当接部55とが当接することで、操作部43の回動角度が規制される。
【0041】
また、
図3(b)に示すように、操作部43のリンク穴部48に対し、風向調整体26に形成されたリンク部57が挿入される。リンク部57は、風向調整体26の一方の側壁29に突設されている。本実施の形態において、リンク部57は、風向調整体26の一方の側壁29の前端部から側方に突設された軸部である。リンク部57は、ケース体3の一方の側壁部7に形成された挿通穴部58に挿通されて通気路5の外部すなわちケース体3の外部へと導出されてリンク穴部48に挿入されている。挿通穴部58は、ケース体3に対する風向調整体26の移動方向に沿って形成されている。本実施の形態において、挿通穴部58は、上下方向に長孔状に形成されている。
【0042】
さらに、好ましくは、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、
図1及び
図2に示すように、風向調整体26の上流側にフィン60が配置されている。フィン60は、ルーバなどとも呼ばれる。本実施の形態において、フィン60は、風向調整体26の後方に離れて位置し、ケース体3の一般部20の内部に配置されている。フィン60は、板状に形成され、通気方向と風向調整体26の移動方向とに対してそれぞれ交差する方向に回動することで、この回動方向に風向調整可能となっている。本実施の形態において、フィン60は、通気路5において、整流面となる主面を左右に向けて配置され、左右方向に風向調整可能となっている。つまり、フィン60は、ケース体3に左右方向に回動可能に支持されている。フィン60は、回動部62を有し、この回動部62がケース体3の各端壁部6に形成された回動受け部63に保持されて、左右方向に回動可能となっている。回動部62と回動受け部63とは、いずれか一方が軸部、他方が穴部または凹部である。
【0043】
また、
図3(a)及び
図5に示すように、本実施の形態において、フィン60は複数設定されている。これらのフィン60は、連動して同方向に回動するように互いにリンク65により連結されている。リンク65は、フィン60にて回動部62から離れた位置に形成されたリンク受け部66に回動可能に連結される。図示される例では、リンク受け部66は、フィン60の後端部の上部に形成されている。
【0044】
そして、本実施の形態において、フィン60は、ケース体3の外部に配置されたフィン操作部68により操作可能となっている。フィン操作部68は、例えばスライド操作される操作ノブである。
図1、
図2及び
図5に示すように、フィン操作部68は、一のフィン操作部本体部70を有する。一のフィン操作部本体部70は、長手状に形成されている。本実施の形態では、一のフィン操作部本体部70は、フィン操作部68のスライド方向またはフィン60の回動方向である左右方向に長手状に形成されている。一のフィン操作部本体部70の前部には、摘み部72が形成されている。摘み部72は、乗員などの使用者が摘んでフィン操作部68をスライドさせる部分である。
【0045】
一のフィン操作部本体部70の背後、すなわち摘み部72と反対側に、他のフィン操作部本体部74が連結されている。他のフィン操作部本体部74は、一のフィン操作部本体部70と一体的に移動する。
【0046】
他のフィン操作部本体部74の背後すなわち一のフィン操作部本体部70と反対側に、連結部75が形成されている。連結部75には、連結体77が連結されている。連結体77は、一のフィン操作部本体部70のスライドをフィン60の回動に変換する方向変換部である。連結体77には、連結部75と連結される連結受け部78が形成されている。連結受け部78は、連結部75と回動可能に連結される。連結受け部78と連結部75とは、いずれか一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態では、連結受け部78が軸部、連結部75が穴部である。また、連結体77には、フィン60と連結されるフィン連結部79が形成されている。フィン連結部79は、フィン60の回動部62と連結される。本実施の形態では、フィン連結部79は、複数のフィン60のいずれかの回動部62と連結される。図示される例では、フィン連結部79は、複数のフィン60のうち左右方向の中央部に位置するフィン60の回動部62と連結される。フィン連結部79と回動部62とはいずれか一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態では、フィン連結部79が軸部、回動部62が穴部または凹部である。
【0047】
そして、フィン操作部68は、ケース体3の端壁部6に形成されたフィン操作部取付部81に対し、一のフィン操作部本体部70と他のフィン操作部本体部74とが取り付けられるとともに、ケース体3の端壁部6に形成された取付穴部82に対し、連結体77が回動可能に取り付けられる。本実施の形態では、フィン操作部取付部81及び取付穴部82は、下側の端壁部6に形成されている。
【0048】
フィン操作部取付部81は、フィン操作部68をスライド方向にガイドするガイド部である。フィン操作部取付部81は、フィン操作部68のスライド方向またはフィン60の回動方向である左右方向に長手状のレール状に形成されている。フィン操作部取付部81を一のフィン操作部本体部70と他のフィン操作部本体部74とが前後に挟み込むように取り付けられる。
【0049】
取付穴部82は、ケース体3のいずれかの回動受け部63に代えて形成されている。本実施の形態では、取付穴部82に連結体77のフィン連結部79が挿入されて通気路5内に延び、フィン連結部79に一つのフィン60の回動部62が連結される。
【0050】
図1及び
図2に示すように、フィン操作部68は、ケース体3に取り付けられた状態で、摘み部72が前側に位置し、パネル23にて吹出口24の下方に形成された露出開口部84に挿入されて、パネル23から前方に突出している。
【0051】
そして、風向調整装置1は、受入口8を空調装置と連結して配置する。空調装置からの空調風は、受入口8から通気路5を通過し、フィン60及び風向調整体26によって配風されて吹出口24から吹き出される。
【0052】
図1に示すように、風向調整体26が中立位置にある場合、空調風は、過半が上流側縮小部17の上流側導風部18の上流側非傾斜部18bに沿って通気路5内の上下方向の中央部から導入口31を介して風向調整体26内を直進し、調整体縮小部33の調整体導風部34によって風速(圧力)が増された状態で導出口32を通過する(主流W1)とともに、残りが上流側縮小部17の上流側導風部18の上流側傾斜部18aに沿って通気路5内の上下に導かれて風向調整体26の上下の流路30を通り、調整体縮小部33の調整体導風部34とケース体3の下流側縮小部14の下流側導風部15の下流側傾斜部15aとの間に沿って通過する(副流W2)。そのため、空調風の風向については、風向調整体26の導出口32から直線状に吹き出す空調風(主流W1)が支配的であり、空調風は、ケース体3の軸方向つまり通気路5の通気方向に沿って吹出口24から正面方向に吹き出す。
【0053】
また、吹出口24から吹き出される風向を変える場合には、乗員などの使用者が摘み部45,72を摘んで操作部43あるいはフィン操作部68を操作することで、風向調整体26あるいはフィン60を操作する。
【0054】
例えば、上下方向の配風については、摘み部45を摘み、操作部43を上下方向に移動すなわち回動させると、操作部43に対してリンク部57により連結されている風向調整体26が、操作部43の回動方向に応じて上下動される。より詳細に、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、操作部43が回動すると、操作部43のリンク穴部48が操作部本体部46の中心から見て上下に移動する。そこで、リンク穴部48に挿入されているリンク部57に対して上下に外力が付加されることにより、リンク部57を有する風向調整体26が受け部36のガイド部39に沿って摺接部38が摺接するように上下方向にガイドされて移動する。このとき、風向調整体26は上下方向に直線状に移動するのに対して、操作部43は回動するため、リンク部57とリンク穴部48とは前後方向、つまり操作部43の回動の径方向に位置がずれることとなるが、リンク穴部48が操作部43の回動の径方向に長穴状に形成されているため、この位置ずれはリンク部57がリンク穴部48内を移動することにより吸収される。
【0055】
図2に風向調整体26を下方向に最大に振った状態を示す。このように、風向調整体26を下方向に振る場合には、風向調整体26の移動量に応じて、風向調整体26の下側の流路30が縮小され、上側の流路30が拡大されることで、上側の流路30の下流端の傾斜に沿って下方向に向かい吹出口24から吹き出す空調風の風量が増加し、下側の流路30の下流端の傾斜に沿って上方向に向かい吹出口24から吹き出す風量が減少する。風向調整体26を下方向に最大に振った状態では、風向調整体26の下側の流路30が閉塞または略閉塞される。そのため、空調風の風向については、上側の通路から下方向に向かう空調風(副流W2)が支配的となることで、この空調風と、風向調整体26内を通過する空調風(主流W1)とがぶつかって、吹出口24から吹き出す空調風が、風向調整体26の移動量に応じて下方向に調整されることとなる。
【0056】
風向調整体26を上方向に振った場合は、下方向に振った状態と上下の動作が反転するのみであるから、図示及び詳細な説明を省略する。
【0057】
なお、本実施の形態では、風向調整体26を下方向または上方向に最大に振った状態で、風向調整体26の導出口32は、全体が吹出口24の通気方向の投影範囲内に位置する。つまり、風向調整体26の移動範囲の全体において、導出口32の全体が吹出口24の通気方向の投影範囲内に位置する。かつ、風向調整体26の軸方向はケース体3の軸方向と平行または略平行を保つため、風向調整体26の通気方向、すなわち導出口32からの空調風の吹き出し方向の投影上にケース体3の下流側縮小部14が位置しない。したがって、風向調整体26の導出口32から前方に向かって吹き出される空調風(主流W1)は、ケース体3の下流側縮小部14の下流側導風部15の下流側傾斜部15aに当たって乱流を生じることなく吹出口24から前方に直進する。
【0058】
また、左右方向の配風については、乗員などの使用者が摘み部72を摘んでフィン操作部68を左右にスライドさせると、フィン操作部68に対して連結体77により連結されているフィン60が、フィン操作部68のスライド方向に応じて左右に回動される。より詳細に、フィン操作部68を左右にスライドさせると、一のフィン操作部本体部70とともに他のフィン操作部本体部74が左右に移動し、他のフィン操作部本体部74の連結部75に連結受け部78を介して連結されている連結体77が左右に回動する。そこで、連結体77のフィン連結部79に対し回動部62が連結されているフィン60が、連結体77の回動に応じて回動するとともに、このフィン60に対しリンク65により連結されている他のフィン60が同方向に回動する。そこで、通気路5を通過する空調風が、フィン60の整流面に沿って左右方向に風向を変えられて吹出口24から吹き出す。
【0059】
このように、風向調整体26による上下方向の配風と、フィン60による左右方向の配風と、の組み合わせにより、任意方向への空調風の吹き出しが可能となる。
【0060】
本実施の形態によれば、一端側である下流側が所定方向に縮小された筒状のケース体3の下流側の内部にて少なくとも縮小に沿う所定方向に移動可能に風向調整体26を配置することで、ケース体3の内部での風向調整体26の移動方向及び移動量に応じて通気路5内の風向調整体26とケース体3との間の流路30を通過してケース体3の下流側からその縮小に沿う方向に吹き出される空調風の風量の比率を変化させて風向を調整可能となる。したがって、吹出口24付近に複数枚のフィンを配置する必要がなく、吹出口24の開口寸法を小さくできるとともに、実開口面積を容易に確保でき、また、複雑な機構を用いる必要がなく、簡素な構成で部品点数を削減でき、すなわちレイアウトやデザインの制約を減らして見栄えを向上しつつ簡素な構成で、筒状の風向調整体26の移動によって風向調整が可能となる。また、吹出口24付近のインストルメントパネルなどの設置位置のデザインの自由度も向上できる。
【0061】
風向調整体26の一端側である下流側を、少なくともケース体3の下流側と同方向に縮小することで、風向調整体26内を通過して風向調整体26の下流側からまっすぐ吹き出す空調風(主流W1)の流速を速めつつ、風向調整体26とケース体3との間の流路30の下流側から縮小されている方向に傾斜状に吹き出す空調風(副流W2)の指向性を高めることができ、風向調整機能を向上できる。しかも、本実施の形態では、風向調整体26を上下方向に移動可能としたことで、風向調整体26を移動させた状態でも、風向調整体26の導出口32から吹き出される空調風(主流W1)の方向は変化せず、かつ、風向調整体26の調整体縮小部33の調整体導風部34の傾斜とケース体3の下流側縮小部14の下流側導風部15の下流側傾斜部15aとの傾斜を互いに平行または略平行に保つことができ、風向調整体26とケース体3との間の流路30の下流側から縮小する方向に沿って傾斜状に吹き出す空調風(副流W2)の指向性を確実に高めることができる。
【0062】
ケース体3の内部にて風向調整体26に対して通気方向の上流側に、ケース体3の内部の通気方向と風向調整体26の移動方向とに対して交差する方向に回動可能にフィン60を配置することで、風向調整体26の移動による風向調整に加えて、その風向調整可能な方向と交差する方向にフィン60の回動による風向調整が可能となるため、風向調整の自由度が向上する。
【0063】
ケース体3の外部に移動可能に配置された操作部43の移動方向、本実施の形態では回動方向に沿って風向調整体26が移動可能であるため、操作部43の操作方向と風向調整体26による風向調整方向とが一致または略一致するので、風向を直感的に操作可能となる。
【0064】
次に、第2の実施の形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
本実施の形態の風向調整体26は、ケース体3に対して回動可能に配置されている。すなわち、本実施の形態では、風向調整体26は、支持部86がケース体3に回動可能に支持されている。図示される例では、支持部86は、風向調整体26の側壁29に形成されている。一例として、支持部86は、側壁29の後部から後方に突出した位置に形成されている。支持部86は、ケース体3の側壁部7に回動可能に支持されている。そのため、本実施の形態の風向調整体26は、上下方向、すなわちケース体3の一端側である下流側の下流側縮小部14が縮小されている方向、つまり下流側導風部15の下流側傾斜部15aの傾斜方向に回動可能となっている。
【0066】
この構成の場合、操作部43は、支持部86に直接連結されて、操作部43の回動により風向調整体26を直接回動させてもよい。
【0067】
そして、
図7に示すように、風向調整体26が中立位置にある場合、空調風は、過半が上流側縮小部17の上流側導風部18の上流側非傾斜部18bに沿って通気路5内の上下方向の中央部から導入口31を介して風向調整体26内を直進し、調整体縮小部33の調整体導風部34によって風速(圧力)が増された状態で導出口32を通過する(主流W1)とともに、残りが上流側縮小部17の上流側導風部18の上流側傾斜部18aに沿って通気路5内の上下に導かれて風向調整体26の上下の流路30を通り、調整体縮小部33の調整体導風部34とケース体3の下流側縮小部14の下流側導風部15の下流側傾斜部15aとの間に沿って通過する(副流W2)。そのため、空調風の風向については、風向調整体26の導出口32から直線状に吹き出す空調風(主流W1)が支配的であり、空調風は、ケース体3の軸方向つまり通気路5の通気方向に沿って吹出口24から正面方向に吹き出す。
【0068】
また、例えば、上下方向の配風については、操作部43を上下に回動させることにより風向調整体26を上下に回動させることで調整する。
【0069】
図8に風向調整体26を下方向に最大に振った状態を示す。このように、風向調整体26を下方向に振る場合には、風向調整体26の移動量に応じて、風向調整体26の導出口32から吹き出す空調風(主流W1)の方向が下方向に向かうとともに、風向調整体26の下側の流路30が縮小され、上側の流路30が拡大されることで、上側の流路30の下流端の傾斜に沿って下方向に向かい吹出口24から吹き出す空調風の風量が増加し、下側の流路30の下流端の傾斜に沿って上方向に向かい吹出口24から吹き出す風量が減少する。風向調整体26を下方向に最大に振った状態では、風向調整体26の下側の流路30が閉塞または略閉塞される。そのため、空調風の風向については、風向調整体26内を通過する空調風(主流W1)が下方向に向かうとともに、上側の通路から下方向に向かう空調風(副流W2)が支配的となることで、風向調整体26の移動量に応じて下方向に調整されることとなる。
【0070】
このように、筒状の風向調整体26を、ケース体3の一端側である下流側の内部にて少なくとも縮小に沿う方向に回動可能に配置することで、見栄えを向上しつつ簡素な構成で、筒状の風向調整体26の移動によって風向調整が可能となるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0071】
また、風向調整体26を回動する構成とすることで、風向調整体26を振ると風向調整体26の導出口32から吹き出す空調風(主流W1)の方向も変化するので、風向の指向性をより強めることができる。さらに、回動可能な操作部43を用いることにより、風向調整体26をスライドさせるための機構などが不要であり、風向調整体26をより簡素な構成で容易に回動させることが可能になり、部品点数や製造コストをより低減できる。
【0072】
なお、上記の各実施の形態において、風向調整装置1は、横型のものとしたが、長手方向を上下方向とした縦型のものであっても、同様に構成できる。その場合には、ケース体3の一端側である下流側を少なくとも左右方向に縮小し、風向調整体6を少なくとも左右方向に移動可能とすることで、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0073】
また、風向調整装置1は、自動車用のものに限らず、その他の任意の用途に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば自動車の空調用の風向調整装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 風向調整装置
3 ケース体
26 風向調整体
43 操作部
60 フィン