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特開2023-74846墜落制止用器具および安全監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074846
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】墜落制止用器具および安全監視システム
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20230523BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230523BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230523BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A62B35/00 A
G08B25/04 K
G08B21/02
G08B25/10 A
A62B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187996
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】影嶋 宏一
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】皆内 佳奈子
【テーマコード(参考)】
2E184
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184LA23
2E184MA09
5C086AA18
5C086CA06
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA02
5C087AA02
5C087AA32
5C087BB18
5C087DD03
5C087DD49
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】墜落制止用器具が適正に使用されているか否かを監視する安全監視システムを提供すること。
【解決手段】安全監視システムは、作業現場を撮影する撮像装置と、作業現場の作業者が装着する墜落制止用器具と、撮像装置および墜落制止用器具と通信可能に接続される情報処理装置と、を含み、墜落制止用器具は、無線タグと、無線タグを読み取り可能な無線リーダと、を含み、情報処理装置は、撮影された画像から作業者に対応する人物を検出する人物検出部と、画像に基づき、作業者の作業位置の高さを算出する高さ算出部と、高さが所定のしきい値以上であるか否かを判定する高所作業判定部と、を含み、高さが所定のしきい値以上であるとき、高所作業判定部は、無線リーダを作動させるための第1の信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に装着されるベルトと、
前記ベルトに接続され、無線タグが付されたフックを含むランヤードと、
前記ベルトに設けられ、前記フックを掛け止めて保持するフックホルダーと、
前記ベルトに設けられ、前記無線タグを読み取り可能な無線リーダを含む制御装置と、を含む、墜落制止用器具。
【請求項2】
前記ベルトが前記作業者に装着されたとき、前記制御装置は、前記フックホルダーに前記フックが掛け止められている場合、前記無線タグから30cm以内に位置する、請求項1に記載の墜落制止用器具。
【請求項3】
前記制御装置は、さらに、通信部を含み、
前記無線リーダは、前記通信部が受信した前記無線リーダを作動させる第1の信号によって作動する、請求項1または請求項2に記載の墜落制止用器具。
【請求項4】
前記制御装置は、さらに、前記無線リーダが前記無線タグの識別情報を取得したときに第2の信号を生成する制御部を含む、請求項1または請求項2に記載の墜落制止用器具。
【請求項5】
前記制御装置は、さらに、前記第2の信号に基づき、警告音を出力する音出力部を含む、請求項4に記載の墜落制止用器具。
【請求項6】
作業現場を撮影する撮像装置と、
前記作業現場の作業者が装着する墜落制止用器具と、
前記撮像装置および前記墜落制止用器具と通信可能に接続される情報処理装置と、を含み、
前記墜落制止用器具は、
無線タグと、
前記無線タグを読み取り可能な無線リーダと、を含み、
前記情報処理装置は、
撮影された画像から前記作業者に対応する人物を検出する人物検出部と、
前記画像に基づき、前記作業者の作業位置の高さを算出する高さ算出部と、
前記高さが所定のしきい値以上であるか否かを判定する高所作業判定部と、を含み、
前記高さが前記所定のしきい値以上であるとき、前記高所作業判定部は、前記無線リーダを作動させるための第1の信号を生成する、安全監視システム。
【請求項7】
前記墜落制止用器具は、さらに、前記第1の信号に基づき、前記無線リーダを制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記無線リーダが前記無線タグの識別情報を取得したときに、前記情報処理装置に送信される第2の信号を生成する、請求項6に記載の安全監視システム。
【請求項8】
前記墜落制止用器具は、さらに、前記第2の信号が生成されたときに、警告音を出力する音出力部を含む、請求項7に記載の安全監視システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、さらに、前記第2の信号に基づき、所定の情報端末に送信される不安全行動情報を生成する不安全行動情報生成部を含む、請求項7または請求項8に記載の安全監視システム。
【請求項10】
前記人物検出部は、前記作業者が装着するヘルメットに付されたマーカーに基づき、前記画像の中の前記人物を検出する、請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の安全監視システム。
【請求項11】
前記第1の信号は、前記マーカーと紐付けられた前記無線リーダを含む前記墜落制止用器具に送信される、請求項10に記載の安全監視システム。
【請求項12】
前記高さ算出部は、前記画像の中で検出される物体に基づき、前記高さを算出する、請求項6乃至請求項11のいずれか一項に記載の安全監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、高所作業において作業者が装着する墜落制止用器具に関する。また、本発明の一実施形態は、作業者の墜落制止用器具の使用を監視する安全監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業現場では、様々な装置または設備が使用されるが、安全な作業のためには、これらの装置または設備が正しく使用されることが重要である。例えば、高所作業の作業者は、墜落制止用器具(安全帯ともいう。)の使用が義務付けられている。墜落制止用器具は、フックを備え、フックを作業現場の手すりまたは親綱に引っ掛けることによって、作業者の墜落を防止する。そのため、特許文献1では、墜落制止用器具のフックの使用状態を監視するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-189068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示される墜落制止用器具は、フックの所定の位置に、所定の構造の感圧センサを取り付ける必要があり、複雑な構成を有する。そのため、より汎用性が高い墜落制止用器具における監視システムが望まれていた。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、汎用性の高い墜落制止用器具を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、墜落制止用器具が適正に使用されているか否かを監視する安全監視システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る墜落制止用器具は、作業者に装着されるベルトと、ベルトに接続され、無線タグが付されたフックを含むランヤードと、ベルトに設けられ、フックを掛け止めて保持するフックホルダーと、ベルトに設けられ、無線タグを読み取り可能な無線リーダを含む制御装置と、を含む。
【0007】
ベルトが作業者に装着されたとき、制御装置は、フックホルダーにフックが掛け止められている場合、無線タグから30cm以内に位置してもよい。
【0008】
制御装置は、さらに、無線リーダが無線タグの識別情報を取得したときに第2の信号を生成する制御部を含んでいてもよい。
【0009】
制御装置は、さらに、第2の信号に基づき、警告音を出力する音出力部を含んでいてもよい。
【0010】
制御装置は、さらに、通信部を含み、無線リーダは、通信部が受信した無線リーダを作動させる第1の信号によって作動してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る安全監視システムは、作業現場を撮影する撮像装置と、作業現場の作業者が装着する墜落制止用器具と、撮像装置および墜落制止用器具と通信可能に接続される情報処理装置と、を含み、墜落制止用器具は、無線タグと、無線タグを読み取り可能な無線リーダと、を含み、情報処理装置は、撮影された画像から作業者に対応する人物を検出する人物検出部と、画像に基づき、作業者の作業位置の高さを算出する高さ算出部と、高さが所定のしきい値以上であるか否かを判定する高所作業判定部と、を含み、高さが所定のしきい値以上であるとき、高所作業判定部は、無線リーダを作動させるための第1の信号を生成する。
【0012】
墜落制止用器具は、さらに、第1の信号に基づき、無線リーダを制御する制御部を含み、制御部は、無線リーダが無線タグの識別情報を取得したときに、情報処理装置に送信される第2の信号を生成してもよい。
【0013】
墜落制止用器具は、さらに、第2の信号が生成されたときに、警告音を出力する音出力部を含んでいてもよい。
【0014】
情報処理装置は、さらに、第2の信号に基づき、所定の情報端末に送信される不安全行動情報を生成する不安全行動情報生成部を含んでいてもよい。
【0015】
人物検出部は、作業者が装着するヘルメットに付されたマーカーに基づき、画像の中の人物を検出してもよい。
【0016】
第1の信号は、マーカーと紐付けられたリーダを含む墜落制止用器具に送信されてもよい。
【0017】
高さ算出部は、画像の中で検出される物体に基づき、高さを算出してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態に係る墜落制止用器具は、汎用性が高く、生産性に優れる。また、本発明の一実施形態に係る安全監視システムは、墜落制止用器具が適正に使用されているか否かを判定し、高所作業における作業者に安全性に関する注意喚起を行うことができる。したがって、高所作業において、作業者が墜落するなどの災害を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る安全監視システムの概要を説明する模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る墜落制止用器具の構成を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る安全監視システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る安全監視システムを用いる作業現場の監視処理を説明するフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る安全監視システムで実行される監視処理の一部を説明する模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る安全監視システムで実行される監視処理の一部を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0021】
本発明細書において、説明の便宜上、「上」、「上方」、もしくは「上方部」、または「下」、「下方」、もしくは「下方部」という語句を用いて説明するが、各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物の構成の位置関係を説明する場合、構造物の通常使用する態様を基準とし、構造物が設置される面側(例えば、床面側)を「下」、「下方」、または「下方部」とすることがある。
【0022】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」の文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0023】
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字又は小文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0024】
本明細書において、RFIDリーダおよびRFIDタグは、それぞれ、無線リーダおよび無線タグの一例であるが、便宜上、RFIDリーダおよびRFIDタグと記載して説明する。すなわち、RFIDリーダおよびRFIDタグの記載は、そのものに限定されるわけではなく、無線リーダおよび無線タグと言い換えることができる。なお、無線タグには、メモリ、アンテナ、およびバッテリーのいずれかが含まれてもよい。また、無線タグには、非接触型ICカードが含まれてもよい。
【0025】
図1図6を参照して、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10の構成および安全監視システム10を用いる作業現場の監視処理について説明する。
【0026】
[1.安全監視システム10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10の概要を説明する模式図である。安全監視システム10は、墜落制止用器具100、撮像装置200、および情報処理装置300を含む。墜落制止用器具100は、高所作業を行う作業者500によって装着される。撮像装置200は、高所作業を行う作業者500を含む作業現場を撮影することができる。撮像装置200は、情報処理装置300と通信可能に接続されているため、撮像装置200によって撮影された画像は、情報処理装置300に送信される。情報処理装置300では、撮影された画像に基づき、作業者500が高所作業を行っているか否かを判定することができる。また、情報処理装置300は、墜落制止用器具100と通信可能に接続されており、情報処理装置300は、墜落制止用器具100が適正に使用されているか否かを判定することができる。すなわち、安全監視システム10は、撮影された画像に基づいて高所作業を行う作業者500を特定し、特定された作業者500が墜落制止用器具100を適正に使用していることを監視するシステムである。
【0027】
始めに、図2を参照して、作業者500が装着する墜落制止用器具100の構成について説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る墜落制止用器具100の構成を示す模式図である。墜落制止用器具100は、一対の肩ベルト110、胸ベルト111、腰ベルト112、一対の腿ベルト113、ロープ120、フック130、フックホルダー140、RFIDタグ150、および制御装置160を含む。なお、一対の肩ベルト110、胸ベルト111、腰ベルト112、および一対の腿ベルト113をまとめてベルトという場合がある。また、ロープ120およびフック130をまとめてランヤードという場合がある。
【0029】
一対の肩ベルト110は、作業者500の両肩に巻き付けられる。一対の肩ベルト110は、作業者500の胸の高さにおいて、胸ベルト111を介して接続される。腰ベルト112は、作業者500の腰に巻き付けられる。また、一対の肩ベルト110は、作業者500の腰の高さにおいて、腰ベルト112を介して接続される。一対の腿ベルト113は、作業者500の両腿に巻き付けられる。このように、作業者500は、墜落制止用器具100のベルトを装着することができる。
【0030】
ロープ120の一端は、フック130に接続されている。図示しないが、一対の肩ベルト110の両端は、作業者500の背中において、係止具(D環)に接続されている。ロープ120の他端は係止具に接続されている。なお、ロープ120の他端は、ショックアブソーバを介して係止具に接続されていてもよい。このように、ランヤードは、ベルトに接続されている。
【0031】
フック130は、鉤状を有する鉤状部および鉤状部の開口を開閉する片開翼を含む。フック130を使用するときには、片開翼を動作させて鉤状部の開口を開き、鉤状部を手すりまたは親綱などの構造体に掛け止めすることができる。フック130を使用しないときには、フック130は、肩ベルト110に設けられたフックホルダー140に掛け止めされ、保持される。なお、フックホルダー140が設けられる位置は、肩ベルト110に限られない。フックホルダー140は、胸ベルト111または腰ベルト112に設けられていてもよい。
【0032】
以上説明したように、墜落制止用器具100は、いわゆるフルハーネス型の墜落制止用器具であるが、墜落制止用器具100は、上述したように、RFIDタグ150および制御装置160を含む。
【0033】
RFIDタグ150は、識別情報を含む記録媒体である。RFIDタグ150には、無線通信を用いて非接触で識別情報を書き込み、または読み取ることができる。RFIDタグ150は、フック130に付され、墜落制止用器具100を識別する識別情報を含む。また、制御装置160の詳細は後述するが、RFIDタグ150を読み取り可能なRFIDリーダを含む。制御装置160は、胸ベルト111に設けられている。そのため、RFIDタグ150が、制御装置160のRFIDリーダと通信可能な距離の範囲内に位置するとき、RFIDリーダは、RFIDタグ150の識別情報を読み取ることができる。換言すると、フック130が、制御装置160から所定の距離の範囲内に位置するとき、制御装置160は、墜落制止用器具100を識別する識別情報を取得することができる。
【0034】
制御装置160は、作業者500が墜落制止用器具100を装着したときに、フックホルダー140から30cm以内の位置に設けられている。RFIDタグ150と制御装置160のRFIDリーダとの通信距離は、50cm以内であり、好ましくは30cm以内である。そのため、フック130が、フックホルダー140に掛け止されて保持されているとき、フック130に付されたRFIDタグ150は、制御装置160のRFIDリーダと通信可能な距離の範囲内に位置し、制御装置160は、RFIDタグ150の識別情報を取得することができる。これに対し、フック130が使用され、フックホルダー140から取り外されているとき、フック130に付されたRFIDタグ150は、制御装置160のRFIDリーダと通信可能な距離の範囲外に位置するようになるため、制御装置160は、RFIDタグ150の識別情報を取得することができない。
【0035】
したがって、墜落制止用器具100では、制御装置160が、RFID150の識別情報を取得することができるか否かにより、墜落制止用器具100を装着した作業者500が、フック130を使用しているか否かを判定することできる。
【0036】
続いて、図3を参照して、安全監視システム10の全体の構成について説明する。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10の構成を示すブロック図である。制御装置160および撮像装置200は、ネットワークNWを介して、情報処理装置300と通信可能に接続される。ネットワークNWは、無線であることが好ましく、例えば、インターネットなどである。制御装置160は、上述したように、墜落制止用器具100の構成の一部であり、制御部161、RFIDリーダ162、音出力部163、および通信部164を含む。撮像装置200は、撮像部210および通信部220を含む。情報処理装置300は、人物検出部310、高さ算出部320、高所作業判定部330、不安全行動情報生成部340、および通信部350を含む。
【0038】
撮像部210は、作業現場を撮影し、画像を生成することができる。撮像部210は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの固体撮像素子を含むカメラである。
【0039】
通信部220は、情報またはデータを送受信可能な通信インターフェースであり、撮像部210によって撮影された画像を情報処理装置300に送信することができる。
【0040】
撮像装置200は、作業現場の所定の位置に設置され、画角内の作業現場を撮影するものであってもよく、作業台(高所作業台)または作業者500のヘルメットなどに取り付けられ、作業者500とともに移動しながら作業現場を撮影するものであってもよい。また、撮像装置200は、ドローンまたは自律走行型ロボットなどのように、作業現場を移動可能な移動体に搭載されていてもよい。
【0041】
情報処理装置300は、情報またはデータを用いて演算処理を行うことができる、いわゆるコンピュータである。情報処理装置300は、例えば、中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)、または画像処理装置(GPU)を含む。また、情報処理装置300は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、もしくはソリッドステートドライブ(SSD)などの記憶装置、または通信インターフェースを含む。
【0042】
人物検出部310、高さ算出部320、高所作業判定部330、および不安全行動情報生成部340は、コンピュータが記憶装置に格納されたプログラムを実行することによって機能することができる。通信部350は、撮像装置200および制御装置160から情報またはデータを受信し、または制御装置160に情報またはデータを送信することができる。また、通信部350は、作業現場の作業者または監督者の情報端末400に情報またはデータを送信することもできる。情報端末400は、例えば、ノートパソコン、タブレット、またはスマートフォンなどであるが、これらに限られない。
【0043】
人物検出部310は、画像から作業者500に対応する人物を検出することができる。例えば、人物検出部310は、作業者500に割り当てられたマーカーに基づき、画像の中の人物を検出することができる。なお、人物検出部310の詳細は、後述する。
【0044】
高さ算出部320は、高所作業を行う作業者500の作業位置の高さを算出することができる。なお、高さ算出部320の詳細は、後述する。
【0045】
高所作業判定部330は、高さ算出部320によって算出された高さに基づき、作業者500の作業が高所作業であるか否かを判定することができる。また、高所作業判定部330は、作業者500の作業が高所作業であるときに、RFIDリーダ162を作動させるための第1の信号を生成することができる。なお、高所作業判定部330の詳細は、後述する。
【0046】
不安全行動情報生成部340は、後述する第2の信号に基づき、不安全行動情報を生成することができる。生成された不安全行動情報は、作業現場の作業者または監督者などの所定の情報端末に送信されてもよい。
【0047】
制御装置160も、情報またはデータを用いて演算処理を行うことができる、いわゆるコンピュータである。制御部161は、コンピュータが記憶装置に格納されたプログラムを実行することによって機能することができる。
【0048】
制御部161は、RFIDリーダ162および音出力部163を制御することができる。また、制御部161は、RFIDタグ150の識別情報が取得されたか否かを判定し、RFIDタグ150の識別情報が取得されたときに、作業者500の不安全行動に関する情報を含む第2の信号を生成することができる。なお、制御部161の詳細は、後述する。
【0049】
RFIDリーダ162は、上述したとおりである。すなわち、RFIDリーダ162は、RFIDタグ150の識別情報を読み取ることができる。
【0050】
音出力部163は、音源およびスピーカーを含み、予め作製され、音源に記録された警告音を再生し、出力することができる。なお、警告音は、ブザー音であってもよく、「墜落制止用器具のフックを使用してください。」などの音声であってもよい。
【0051】
通信部164は、情報またはデータを送受信可能なインターフェースであり、情報処理装置300から送信された第1の信号を受信し、または制御部161によって生成された第2の信号を情報処理装置300に送信することができる。
【0052】
[2.安全監視システム10を用いる作業現場の監視処理]
図4は、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10を用いる作業現場の監視処理を説明するフローチャートである。また、図5および図6は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10で実行される監視処理の一部を説明する模式図である。安全監視システム10を用いる作業現場の監視処理は、撮像装置200によって作業現場が撮影されることによって開始される。以下では、撮像装置200から送信された画像に基づき、情報処理装置300および制御装置160で実行される監視処理(ステップS110~ステップS190)について説明する。
【0053】
ステップS110では、人物検出部310が、画像から作業者500に対応する人物を検出する。図2に示すように、高所作業を行う作業者500は、ヘルメット510を装着し、ヘルメット510には作業者500を特定するためのマーカー520(例えば、ヘルメットバンドなど)が付されている。そのため、人物検出部310は、マーカー520に基づいて、画像の中から作業者500に対応する人物を検出することができる。また、作業者500に割り当てられたマーカー520と作業者500が装着する墜落制止用器具100とが、予め紐付けられ、登録されている。そのため、マーカー520に基づき、作業者500が装着している墜落制止用器具100を特定することができる。
【0054】
マーカー520は、ヘルメットバンドに限られない。マーカー520は、ヘルメット510に直接形成された形状、模様、もしくは色彩、またはこれらの結合であってもよい。
【0055】
ステップS110で実行される画像の中の人物を検出する処理は、上述したものに限られない。例えば、画像の中から顔または骨格の特徴点を抽出することにより、画像の中の人物を検出してもよい。例えば、人物検出部310は、顔を構成する部位である目、鼻、または口などの大きさ、方向、相対位置、または相対距離などの顔の特徴点に基づき、画像の中の人物を検出することができる。また、人物検出部310は、体を構成する部位である肩、肘、または膝などの長さ、方向、相対位置、または相対距離などの骨格の特徴に基づき、画像の中の人物を検出することができる。なお、顔または骨格の特徴点は、例えば、機械学習またはディープラーニング(畳み込みニューラルネットワークを含む。)などによって学習された学習モデルを適用して抽出することができる。
【0056】
画像の中に作業者500に対応する人物が検出されたとき(ステップS110:YES)、ステップS120が実行される。また、画像の中に作業者500に対応する人物が検出されないとき(ステップS110:NO)、監視処理は終了する。この場合、撮像装置200から送信された別の画像を用いて、監視処理が開始される。
【0057】
ステップS120では、高さ算出部320が、高所作業を行う作業者500の作業位置の高さを算出する。図5に示すように、作業者500は、高所作業車600のバケットに乗りながら高所作業を行う場合がある。この場合、高さ算出部320は、画像の中から高所作業車600に対応する物体を検出し、物体の大きさまたは長さに基づき、作業者500の作業位置の高さを算出する。
【0058】
画像の中で検出される物体は、高所作業車600に限られない。画像の中で検出される物体は、例えば、建物などであってもよい。この場合も、高さ算出部320は、建物の大きさまたは高さに基づき、作業者500の作業位置の高さを算出することができる。なお、高さ算出部320によって算出される高さは、必ずしも正確な値ではなく、概算値であればよい。高さ算出部320によって算出される高さが概算値であっても、高所作業を行う作業者500に、墜落制止用器具100の適切な使用の注意喚起を促すことができるため、高所作業における災害を防止することができる。
【0059】
ステップS130では、高所作業判定部330が、高さ算出部320によって算出された高さに基づき、作業者500の作業が高所作業であるか否かを判定する。具体的には、高所作業判定部330は、算出された高さが所定のしきい値以上であるか否かを判定する。算出された高さが所定のしきい値以上である場合、高所作業と判定される。所定のしきい値は、高所作業の内容または装着される墜落制止用器具100の種類などに基づいて設定され、例えば、2(m)または5(m)などである。算出された高さがしきい値以上であるとき(ステップS130:YES)、ステップS140が実行される。また、算出された高さがしきい値未満であるとき(ステップS130:NO)、監視処理は終了する。この場合、撮像装置200から送信された別の画像を用いて、監視処理が開始される。
【0060】
ステップS140では、高所作業判定部330が、RFIDリーダ162を作動させるための第1の信号を生成する。第1の信号は、通信部350を介して、作業者500が装着する墜落制止用器具100の制御装置160に送信される。
【0061】
ステップS150では、制御部161が、第1の信号に基づき、RFIDリーダ162を作動させる。これにより、RFIDリーダ162は、RFIDタグ150の読み取りを開始する。RFIDタグ150が、RFIDリーダ162と通信可能な距離の範囲内に位置している場合、RFIDリーダは、RFIDタグ150の識別情報を取得することができる。
【0062】
ステップS160では、制御部161が、RFIDタグ150の識別情報が取得されたか否かを判定する。図6(A)に示すように、作業者500が、フック130を手すりまたは親綱などの構造体610に掛け止めて、墜落制止用器具100を適切に使用している場合、RFIDタグ150は、RFIDリーダ162と通信可能な距離の範囲外に位置するため、RFIDリーダ162は、RFIDタグ150の識別情報を取得することはできない。これに対し、図6(B)に示すように、作業者500が、フック130をフックホルダー140に掛け止めた状態で墜落制止用器具100を使用している場合、RFIDタグ150は、RFIDリーダ162と通信可能な距離の範囲内に位置するため、RFIDリーダ162は、RFIDタグ150の識別情報を取得することができる。そのため、RFIDタグ150の識別情報が取得されたとき(ステップS160:YES)、ステップS170が実行される。また、RFIDタグ150の識別情報が取得されないとき、すなわち、RFIDリーダ162の作動開始から所定の時間内にRFID150の識別情報が取得されないとき(ステップS160:NO)、監視処理は終了する。この場合、撮像装置200から送信された別の画像を用いて、監視処理が開始される。
【0063】
ステップS170では、制御部161が、作業者500の不安全行動に関する情報を含む第2の信号を生成する。第2の信号は、通信部164を介して、情報処理装置300に送信される。
【0064】
ステップS180では、制御部161が、第2の信号に基づき、音出力部163を作動させる。これにより、音出力部163は、墜落制止用器具100の適切な使用に関する警告音を出力し、作業者500に、墜落制止用器具100の適切な使用の注意喚起を促すことができる。なお、警告音は、RFIDタグ150の識別情報が取得できなくなると停止することができる。または、RFIDリーダ162に、警告音を停止させるスイッチが設けられていてもよい。
【0065】
ステップS190では、不安全行動情報生成部340が、第2の信号に基づき、不安全行動情報を生成する。生成された不安全行動情報は、情報処理装置300に格納されてもよく、情報端末400に送信されてもよい。不安全行動情報が、作業現場の監督者の情報端末400に送信される場合、監督者は、作業者500が墜落制止用器具100を適切に使用していない可能性があることを知ることができる。そのため、監督者は、作業者500の詳細な作業状態を取得するため、情報端末400を用いて、撮像装置200からの作業現場を撮影した画像を受信することもできる。
【0066】
ステップS190が実行されることにより、監視処理は終了する。
【0067】
以上、本発明の一実施形態に係る安全監視システム10によれば、作業現場を撮影した画像に基づき、作業者500が高所作業を行っているか否かを判定し、作業者500が高所作業を行っている場合には、作業者500が墜落制止用器具100を適切に使用しているか否かを判定することができる。したがって、安全監視システム10は、高所作業の作業者500に安全性に関する注意喚起を行うことでき、高所作業において、作業者が墜落するなどの災害を未然に防止することができる。また、本発明の一実施形態に係る墜落制止用器具100は、複雑な構造を有しないため、汎用性が高く、生産性に優れる。
【0068】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0069】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0070】
10:安全監視システム、 100:墜落制止用器具、 110:肩ベルト、 111:胸ベルト、 112:腰ベルト、 113:腿ベルト、 120:ロープ、 130:フック、 140:フックホルダー、 150:RFIDタグ、 160:制御装置、 161:制御部、 162:RFIDリーダ、 163:音出力部、 164:通信部、 200:撮像装置、 210:撮像部、 220:通信部、 300:情報処理装置、 310:人物検出部、 320:高さ算出部、 330:高所作業判定部、 340:不安全行動情報生成部、 350:通信部、 400:情報端末、 500:作業者、 510:ヘルメット、 520:マーカー、 600:高所作業車、 610:構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6