(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074850
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ブロック舗装体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E01C 5/00 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
E01C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188001
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】521505644
【氏名又は名称】株式会社イワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸明
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AD01
2D051AH06
2D051DA01
(57)【要約】
【課題】現場作業員によるブロックの運搬作業の負担を軽減し、施工現場での施工効率を高めるブロック舗装体の施工方法を提供すること。
【解決手段】複数種のブロックを用いてブロック舗装体を施工するブロック舗装体の施工方法であって、下記の工程a、工程b、及び工程cを少なくとも施工現場に最初に納品するブロックについて実施することを特徴とするブロック舗装体の施工方法。工程a:パレット上に、前記複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が前記施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを準備する工程、工程b:前記ブロックを組み換えたパレットを前記施工現場に搬送し、前記施工現場のブロック置き場に配置する工程、工程c:前記ブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出して前記施工現場で舗装作業を行う工程
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種のブロックを用いてブロック舗装体を施工するブロック舗装体の施工方法であって、
下記の工程a、工程b、及び工程cを有し、
下記の工程a、工程b、及び工程cを少なくとも施工現場に最初に納品するブロックについて実施することを特徴とするブロック舗装体の施工方法。
工程a:パレット上に、前記複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が前記施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを準備する工程
工程b:前記ブロックを組み換えたパレットを前記施工現場に搬送し、前記施工現場のブロック置き場に配置する工程
工程c:前記ブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出して前記施工現場で舗装作業を行う工程
【請求項2】
前記ブロック舗装体を施工する面積が50m2以上である、請求項1に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項3】
更に、下記の工程dを含む、請求項1又は2に記載のブロック舗装体の施工方法。
工程d:前記施工現場において使用されなかったブロックを前記施工現場から搬出する工程
【請求項4】
前記施工現場が複数の施工エリアに区分されており、前記工程bにおいて、前記複数の施工エリアのそれぞれに前記ブロックを組み換えたパレットを配置する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項5】
前記工程aをブロック製造工場において行う、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項6】
前記工程aをブロック製造工場外に設けたブロック保管所において行う、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項7】
前記複数種のブロックが、色及び/又は形状の異なる複数種のブロックである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項8】
前記複数種のブロックが、色の異なる複数種のブロックである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
【請求項9】
前記色の異なる複数種のブロックの色数が3色以上である、請求項8に記載のブロック舗装体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロック舗装体の施工方法に関する。
より詳細には、本発明は、ブロック舗装体のデザインに合わせた複数の種類のブロックを組み換えて混載したパレットを使用するブロック舗装体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロック舗装体は、複数の舗装ブロックが目地部を介して配置された舗装体であり、従来、一般道、歩道、公園、広場、駐車場等において広く用いられている。
ブロック舗装体の施工方法としては、基盤上に、複数の舗装ブロックを該舗装ブロック間に目地空間部が形成されるように配置し、該目地空間部にモルタルを打設して目地充填部を形成することによって、舗装ブロックと目地充填部とを備えたブロック舗装体を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ブロックとしてインターロッキングブロックを用い、インターロッキングブロック間の目地に砂を充填し車両などの荷重が掛かったとき、ブロック間の目地に充填した砂によりブロック相互の噛み合わせ効果(荷重分散効果)を得るようにしたインターロッキングブロック舗装体が知られている(例えば特許文献2参照)。
現在のブロック舗装においては、複数色のブロックを混在させて舗装面の色調をデザインするものが多い。また、施工性の観点から、通常は2色又は3色のブロックを用い、各色のブロックを混在させるものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-41762号公報
【特許文献2】特開2020-94376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、例えばA,B,Cの3色のブロックを用いて現場でブロック舗装体を施工する作業の流れは次の通りである
(1)工場で製造されたA,B,Cの3色のブロックを各色ごとに出荷用パレット上に組積み(例えば、木パレット上に10段積)、トラックで施工現場に搬送する。
(2)施工現場の近くの1か所のブロック置き場にトラックから上記パレットを色ごとに密集するように積み降ろす。
(3)ブロック置き場で作業者がブロックを小分けして台車に積み込み、実際に敷設施工する施工現場まで台車でブロックを搬送する。
(4)施工現場において作業者(敷設職人等)が台車から各色のブロックを選んでブロック舗装体を施工する。
【0006】
上記のように、従来のブロック舗装体の施工方法においては、ブロック置き場からブロックを小分けして台車に積み込み、台車を施工現場の小分け置き場に運搬している。
このため、ブロックを小分けする作業が必要となり、施工現場の面積が広いと小分け用台車の移動距離は大きくなり、また、小分け用台車の方向転換スペースを確保しなければならない。
また、ブロック置き場から小分けして搬送されたブロックもまた、施工現場でそれぞれが小分け台車から隣接した場所に降ろされ、作業者は図面に従って各色のブロックを小分け置き場から運んで敷設する。
【0007】
しかしながら、施工終了時に、小分け置き場のブロックが各色とも全てが使われない場合もあり、使われないブロックは、パレットが降ろされた場所に戻される。
このように工場から搬送された3色それぞれのブロックが全て敷設に使用されるわけではなく、各色のブロックが少しでも残ると、ブロックが載置された3枚のパレットが最後まで残り、最終的には回収されることになる。
上記のように、従来のやり方では、トラックからブロックが載置されたパレットを降ろす場所のスペースが大きくなり、また、ブロックを小分けして運ぶ距離が長くなって作業効率が悪くなるという課題がある。
【0008】
本発明は、作業員の削減と省力化、現場作業員によるブロックの運搬作業の負担の軽減化、施工現場での施工作業の効率化を可能とするブロック舗装体の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は以下に記載するとおりのブロック舗装方法に係るものである。
複数種のブロックを用いてブロック舗装体を施工するブロック舗装体の施工方法であって、
下記の工程a、工程b、及び工程cを有し、
下記の工程a、工程b、及び工程cを少なくとも前記施工現場に最初に納品するブロックについて実施することを特徴とするブロック舗装体の施工方法。
工程a:パレット上に、前記複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が前記施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを準備する工程
工程b:前記ブロックを組み換えたパレットを前記施工現場に搬送し、前記施工現場のブロック置き場に配置する工程
工程c:前記ブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出して前記施工現場で舗装作業を行う工程
【発明の効果】
【0010】
本発明のブロック舗装体の施工方法を用いることにより、現場作業員によるブロックの運搬作業の負担を軽減し、施工現場での施工作業の効率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、インターロッキングブロック舗装の断面構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るブロック舗装体の施工方法の各工程を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明における、ブロックを多段に載置したパレットを示す図である。
【
図4】
図4Aはブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出す前の状態を示す図であり、
図4Bは、ブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出した後の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態における、施工現場でのパレットの配置の仕方を説明する図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態における、道路の舗装を行う場合のパレットの配置状態を例示する図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態における、広場の舗装を行う場合のパレットの配置状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について述べる。
本発明は、複数の種類のブロックを組み合わせて道路、広場等を舗装する場合に適用される舗装方法に係るものである。
道路、広場等を舗装する際に用いるブロックとしては、例えば、色が異なる複数種のブロックを用いる場合、模様が異なる複数種のブロックを用いる場合、形状が異なる複数種のブロックを用いる場合等がある。
【0013】
以下では、複数種のブロックとして、それぞれが色のみが異なる複数のブロックを用いてブロック舗装体を施工する方法を例に挙げて本発明を説明する。
色の種類は2色以上であれば本発明の方法を適用することができるが、以下ではブロックとして3色のインターロッキングブロックを用いてインターロッキングブロック舗装を行う舗装方法を例に挙げて本発明の一実施形態を説明する。
なお、本発明は色が異なるブロックだけでなく、ブロックの模様が異なる場合、ブロックの形状が異なる場合(例えばサイズや厚さが異なる場合)等のブロックの種類が異なる場合に適用することができ、また、種類の数も限定されるものではない。
【0014】
まず、インターロッキングブロック舗装の概要について
図1を用いて説明する。
図1はインターロッキングブロック舗装の断面構造を示す図である。
図1に示すように、路床4の上に路盤3を形成し、この路盤3の上に敷き砂層2を形成する。次いで敷き砂層2の上にブロックA、ブロックB及びブロックCの3色のブロック1を敷き詰める。
次いで、ブロック間の隙間(目地)を目地砂で埋めたのち、転圧機等で振動を与えて目地砂を充填してブロックを固定し、インターロッキングブロック舗装を完成する。
【0015】
本発明の実施形態の一つを
図2に基づいて説明する。本発明の理解を容易にするために
図2には従来の方法と本発明の方法とを対比して示す。また、同じく、
図3、5~7においても従来の方法と本発明の方法とを対比して示す。
本発明は、複数種のブロックを用いてブロック舗装体を施工するブロック舗装体の施工方法であって、
図2に示すように工程a、工程b及び工程cを有する。なお、工程dは付加的な任意の工程である。
以下では各工程について説明する。
【0016】
(工程a)
工程aはパレット上に、複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるようにブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを準備する工程である。
【0017】
ブロック製造工場では一色のブロックが一つのパレットに積まれた状態で生産ラインから搬出される。
工程aは一色のブロックが載置されたそれぞれのパレットから、3色のブロックを取り出して、一つのパレットに各色のブロックのそれぞれの段数が施工現場での各色のブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを組み換えて載置してなるパレットを調製する工程である。
なお、本発明においては、前記のように1色のブロックを載置したブロックの色が異なる3つのパレットからブロックを組み換えて得られた3色のブロックを載置したパレットを「ブロックを組み換えたパレット」という。
【0018】
施工現場では、3色のブロックを用いる場合、各色のブロックを同じ個数用いる場合もあれば、各色のブロックの使用する個数が異なる場合がある。
本発明では、
図1の工程aに示すように工場の出荷時点で各色のブロックの施工現場における使用比率に応じて納品用のブロックを組み換えたパレットを調製する。
【0019】
なお、従来は、余り材を増やさないために、必要に応じて、最後の出荷(納品)の際に施工現場の状況に応じて端数の多種類のブロックを1つのパレットに載せて納品することが行われている。
また、施工現場の施工面積が少ないm2数である場合、例えば施工面積が20m2程度であるような場合は、使用するブロックは1パレットまたは2パレットで収まる。このように、施工面積が小さい場合は各色のブロック毎にパレットを用意する必要性がないため一つのパレットに複数種のブロックを混在させて施工現場に納品することも行われている。
【0020】
本発明は、パレット上に複数種のブロックを単に混在させるのではなく、パレット上に、複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを使用することを特徴としている。
また、本発明は、現場でのブロックの運搬作業の負担を軽減し、省力化・工程の短縮を目的とするという観点から、ある程度大きな施工現場、例えば50m2以上の施工現場でのブロック舗装体の施工方法に適しており、また、本発明は、最後の納品時ばかりではなく、少なくとも最初に納品するブロックを工場で調製したブロックを組み換えたパレットで納品することを目的としている。
【0021】
一つのパレットに各色のブロックを混在させて載置する具体例について述べる。
この工程はブロック製造工場で出荷指示があってからブロック製造工場内で行うことが好ましいが、ブロック製造工場外のブロック保管所で行っても良い。
工程aでは、例えば、3つのパレットのそれぞれに10段積まれたA、B、Cの各色のブロックがブロック製造ラインから搬出されてきた場合、舗装体のデザインに基づくブロックの使用比率(混在比率)に応じてパレット上に例えば合計段数が10段となるようにブロックを組み換えてブロックを組み換えたパレットを調製する。
なお、本実施形態では、ブロックを組み換えたパレットにおけるブロックの段数を10段とした場合について説明するが、ブロックの段数は10段に限られるものではなく、適宜の段数とすることができる。またブロックを組み換えたパレットに積載するブロックの個数も限られるものではない。
【0022】
例えば、施工現場における、ブロックA、ブロックB及びブロックCの必要な数が大体3:5:2であれば、Aを3段、Bを5段、Cを2段、同じパレットに積み、このような同種のパレットを複数台調製する。このパレットをトラックに積載して工場から施工現場に運ぶと、施工現場でパレットをランダムに置いても小分けして取り出すのに問題はない。また、現場を複数の区画(エリア)に区分けして、それぞれのエリアに必要なブロックの数に相当するブロックを組み換えたパレットを配置することで、ブロックを小分けして運ぶ距離を短くできる。
また、施工現場においても一つのパレットから各色のブロックを比率に応じて小分け台車に移し替えることができるので移し替え作業が簡単になる。
【0023】
図3は従来法におけるパレットに載置されたブロックの状態と本発明におけるパレットに載置されたブロックの状態とを対比して示した図である。
図3に示すように、従来は1色のブロックを載置したパレットを3色分で3台用意していた。
これに対し、本発明では、各現場の舗装デザインに合わせてブロックの混在比率を設定し、混在比率に応じて一つのパレットに各色のブロックを混在させて載置したパレットを複数台用意する。
なお、
図3に示すように各色のブロックは段ごと(垂直方向)に区分されており、列ごと(水平方向)に区分されているものではない。
【0024】
また、
図3では階段状となったブロックが示されているが、これは色の異なるブロックが段ごと(垂直方向)に区分されていることを示すために、上段のブロックを除去して各色のブロックを露出させたものである。実際の出荷時のパレットは
図3中の白い線で示した空間にもブロックが積まれ、従来のパレットと同様に全体が直方体状となっている。
【0025】
パレット上のブロックの段数はブロックの厚みに応じて設定する。
例えばブロックの厚みが6cmであると段数を10段とし、ブロックの厚みが8cmである場合には段数8段とし、この段数の中で各色のブロックの段数を例えば次のように振り分ける。
ブロック厚が6cmの場合 10段(A:B:C=4:3:3)
ブロック厚が8cmの場合 8段(A:B:C=3:3:2)
【0026】
各色のブロックをパレットに積む順番は各施工現場のニーズに応じて適宜設定することができる。
例えば施工現場で、2:2:1の配色デザインに対応して、1パレット10段(4段:4段:2段)とする場合は、色比率の小さい2段のブロックを一番下にすることが好ましい。これは色比率の大きいブロックを最初にブロックを組み換えたパレットから取り出して小分け台車に積んで台車上にブロックからなる基礎を築いて、この上に他のブロックを積み上げた方が運搬のときに安定して運べるからである。
仮に、2段のブロックを一番上にすると、2段のブロックを一旦どかしてから、4段のブロックを4つかみ(16個)、4段のブロックを4つかみ(16個)、小分け台車に載せてから2段のブロックを載せる(8個)必要があり、手間がかかる。
また施工現場で1:1:1の配色デザインとする場合、小分け用台車に載せる作業の効率を考えて、1パレット9段を1段ごとに色を変えて9段とすることも考えられる。
【0027】
図4Aはブロックを組み換えたパレットからブロックの取り出す前の状態を示す図であり、
図4Bはブロックを取り出した後の状態を示す図である。
ブロックを組み換えたパレットに積んだブロックは縦の列のブロックの数は色比率に対応した数となっている。
図4Aにおいて矢印で示したように、ブロックを組み換えたパレットに積んだブロックの端部からブロックを列ごとに取り出せば、ブロックを色比率に従って取り出すことができ、小分け用台車に積み替える際にそれぞれの色のブロックの数を数える必要がない。
【0028】
工場においては出荷指示があった時点で、ブロックを組み換えたパレットを準備することが好ましい。ブロックを組み換えたパレットはその施工現場でしか使用できない。したがって、出荷指示が出る前にブロックを組み換えたパレットを準備しておくと、出荷指示に急な変更があった場合にはブロックを組み換えたパレットが無駄になる。出荷指示があった時点で、ブロックを組み換えたパレットを準備することでブロックを組み換えたパレットが無駄になるリスクを最小にすることができる。
【0029】
(工程b)
工程bは、工程aで作製したブロックを載置したパレットをトラック等の運搬手段に積載して施工現場のパレット置き場(ブロック置き場)に配置する工程である。
図5は施工現場におけるパレットの配置の仕方を説明する図である。
従来は
図5の上図に示すように、ブロックA、ブロックB及びブロックCのそれぞれのパレットを施工エリアの近くに配置していた。
これに対して、本発明では、
図5の下図に示すように、施工エリアを複数の区画に区分し、3色のブロックを混在させたパレットをそれぞれの区画の近くに配置する。
【0030】
(工程c)
工程cはパレットからブロックを小分け用台車に移し替えて施工エリアまで運搬し、舗装作業を行う工程である。
工程cの一つの実施形態を以下で説明する。
以下の実施形態は、本発明の効果の一つである、現場でのブロック運搬の作業が楽になるという効果を、数値をもって明らかにするために想定した一つの実施形態である。
本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、ブロックを組み換えたパレットの配置場所及び個数は現場の状況に応じて適宜に設定することができ、工場で調製されたブロックを組み換えたパレットを現場に配置し、これを用いて施工現場で舗装作業を行うという工程を採用していれば、この工程は本発明における工程cに該当する。
【0031】
従来は
図5の上図に示すように、施工エリアの近くに配置したブロックA、ブロックB及びブロックCのそれぞれのパレットから作業者が適宜必要なブロックをパレットからブロック運搬用台車(小分け用台車)に移し替えて、作業現場まで運搬して敷設作業を行っていた。
これに対して、本発明では、
図5の下図に示すように、3色のブロックを混在させた、ブロックを組み換えたパレットが各区画の近くに配置されているため、作業者は各区画に配置されたブロックを組み換えたパレットから必要な3色のブロックを小分け用台車に移し替えて敷設作業を行うことができる。
このため、本発明では、作業者がブロックを搬送する距離を短くすることができる。
また、パレットには予め各色のブロックの混在比率に応じてブロックが区分されて載置されているため、ブロックをパレットから小分け用台車に移し替える際には、各色のブロックを混在比率に応じて小分け用台車に移し替えればよい。
このように、一つのパレットから3色のブロックを集めることができるので、ブロックの移し替え作業を効率よく行うことができる。
【0032】
施工エリアにおけるパレットの配置の仕方を
図6及び
図7に基づいて、本発明の方法と従来の方法とを対比しながら説明する。
図6は2m幅で長さ36mの道路の舗装を行う場合におけるパレットの配置方法の例を示す図である。
従来は、3つの各色のパレットの一組を18mの間隔を離して二組配置していた。1組のパレットがカバーする施工領域の長さは18m(9m+9m)である。
これに対し、本発明ではブロックを組み換えたパレットを6mの間隔を離して4つ配置する。
1つのパレットがカバーする施工領域の長さは6m(3m+3m)である。
【0033】
次の施工条件で従来と本発明とのブロックの運搬距離を試算した結果を表1及び表2に示す。
(施工条件)
・単位施工区画面積 :0.6m
2
・小分け用台車で1回につき運搬するブロック数 :30個
・単位施工区画の施工に必要なブロック数 :60個
・単位施工区画の長さ :0.3m
表1は従来のように、パレットを
図6の上図に示すように配置した場合についての計算例であり、表2は本発明におけるブロックを組み換えたパレットを
図6の下図に示すように配置した場合についての計算例である。
【0034】
【0035】
【0036】
従来法では、施工長さ9m当たりの運搬回数が60回で運搬距離は279mとなる。
施工長さ9m当たりで比較すると、本発明の場合は、運搬回数は20回×3=60回で従来と変わらないが、運搬距離は33m×3=99mとなる。
上記のように施工領域の長さが1/3となることにより小分け用台車で運搬する距離は約1/3になる。
【0037】
図7は3m幅で長さ24mの広場の舗装を行う場合におけるパレットの配置方法の例を示す図である。
従来は、3つの各色のパレットの一組を12mの間隔を離して二組配置していた。1組のパレットがカバーする施工領域の面積は36m
2である。
これに対し、本発明ではブロックを組み換えたパレットを4mの間隔を離して6つ配置する。
1つのパレットがカバーする施工領域の面積は12m
2である。
【0038】
次の施工条件で従来と本発明とのブロックの運搬距離を試算した結果を表3及び表4に示す。
(施工条件)
・単位施工区画面積 :0.6m
2
・小分け用台車で1回につき運搬するブロック数 :30個
・単位施工区画の施工に必要なブロック数 :60個
・単位施工区画の長さ :0.2m
表3は従来のようにパレットを
図7の上図に示すように、施工エリア36m
2当たり単色パレットを3個置いた場合の計算例であり、表4は本発明におけるブロックを組み換えたパレットを
図7の下図に示すように、施工エリア12m
2当たりブロックを組み換えたパレットを一つおいた場合の計算例である。
【0039】
【0040】
【0041】
従来法では、施工エリア36m2当たりの運搬回数が40回で運搬距離は126mとなる。
施工面積36m2当たりで比較すると、本発明の場合は、運搬回数は14回×3=42回で従来とあまり変わらないが、運搬距離は15.4×3=46.2mとなる。
上記のように施工エリアの面積が1/3となることにより小分け用台車で運搬する距離は約1/3になる。
【0042】
(工程d)
工程dは施工現場で敷設施工終了時に、小分け置き場で使用されないブロックがある場合に、このブロックを回収する工程である。
従来は、各色ごとのパレット(3枚)を回収する必要があった。
これに対し、本発明では、パレット自体が小ロットであり、材料置き場にコンパクトに置かれているので、パレットが空になり次第パレットを一つずつ片付けることができる。
また、各色のブロックが残った場合でも、1枚のパレットに残ったブロックを積めばよく、ブロックが積まれた回収する必要のあるパレットは1枚でよい。このため、作業量もスペースも減らすことができる。
【0043】
繁忙期になると、現場に納品するにあたり、必要なブロックを組み換えたパレットを一度で現場に運べない場合がある。このような場合には、例えば半分だけ運んで、残りは次の便で追加の納品をすることもある。このような場合には、本発明におけるブロックを組み換えたパレットを用いると追加で納入すべきブロックの数量管理を正確に行うことができる。
【0044】
例えば2m幅の歩道で次のようなケースについて考える。
ブロックデザイン比率
A:B:C=2:2:1=40%:40%:20%
敷設残:100m2
現場納品済:A:1P(12m2)、B:1P(12m2)、C:0.5P(6m2)
(Pはパレット、ブロックの数量は面積換算で表す)
上記の場合、残りの納品するべき数量は100m2-(12m2+12m2+6m2)=70m2になる。
従来法によると、納品すべきブロックA、B、Cの数量は次のように計算される。
A:100m2×40%-12m2=28m2
→2P(24m2=12m2×2)+4m2
B:100m2×40%-12m2=28m2
→2P(24m2=12m2×2)+4m2
C:100m2×20%-6m2=14m2
→1P(12m2)+2m2
従来法では、運搬するトラックに載せる製品比率を考える必要がある。また、ブロックの納品する順番は重要である。デザインパターンに合わせて偏りなく納品しないと施工できないからである。
【0045】
これに対し、本発明におけるブロックを組み換えたパレットを用いる方法であると納品管理が簡単になる。
上記のように、残りの納品するべき数量は70m2であるから、ブロックを組み換えたパレットで70m2分が必要となる。
70m2=5P(60m2=12m2×5)+10m2(A:4m2、B:4m2、C:2m2)
上記のように、5Pのブロックを組み換えたパレットと10m2の組み合わせだけで良く、納品するブロックの比率、順番は考えなくても良くなるので、車両能力に合わせた運搬が可能になり、追加で納品すべきブロックの数量管理を正確に行うことが可能となる。
【0046】
上記では、複数種のブロックとして、色が異なるブロックを用いた場合について説明したが、模様が異なるブロックについても色が異なるブロックと同様のブロックを組み換えたパレットの調製方法を採用することができる。
次に、ブロックの形状が異なる場合のブロックを組み換えたパレットの調製方法の一例について説明する。
【0047】
ブロック舗装体の一部に視覚障害者用の動線を示すために誘導用ブロック(点字ブロック)を敷設する場合がある。
例えば、舗装体の大部分を1:1:1のデザインパターン比率の100×200×60mmのブロックによって舗装し、舗装体の一部を少量の300×300×60mmの誘導用ブロックを用いて舗装する場合を考える。
この場合には、1:1:1のデザインパターン比率の100×200×60mmのブロックを組み換えたパレット9段の上に1段だけ300×300×60mmの誘導用ブロックを載せることが考えられる。
【0048】
そのほかにも、現場の舗装デザインに応じて、色、模様、形状が異なるブロックを現場の施工性に応じて適宜組み合わせてブロックを組み換えたパレットを調製し、施工現場で、一つのブロックを組み換えたパレットで施工区画の施工を行うようにする。
【0049】
本発明の効果を列挙すると次のとおりである。
・作業者が使用するパレットは常に一つのパレットであるため、一定のリズムで施工をすることができ、施工効率が大幅に向上する。
・現場でのブロック運搬の作業が楽になる。
・残材が大幅に減少する。
・無駄な運送コストを軽減することができる。
・必要なパレット数を減少させることができる。
・余ったブロックは1枚のパレットにまとめることができる。
・追加で納品すべきブロックの数量管理を正確に行うことが可能となる。
【0050】
本発明は下記(1)のブロック舗装体の施工方法に係るものであるが、実施形態として下記(2)~(9)を含む。
(1)複数種のブロックを用いてブロック舗装体を施工するブロック舗装体の施工方法であって、
下記の工程a、工程b、及び工程cを有し、
下記の工程a、工程b、及び工程cを少なくとも現場に最初に納品するブロックについて実施することを特徴とするブロック舗装体の施工方法。
工程a:パレット上に、前記複数種のブロックを、各種ブロックのそれぞれの段数が前記施工現場での各種ブロックのそれぞれの使用比率に対応する段数となるように前記ブロックを載置してなるブロックを組み換えたパレットを準備する工程
工程b:前記ブロックを組み換えたパレットを前記施工現場に搬送し、前記施工現場のブロック置き場に配置する工程
工程c:前記ブロックを組み換えたパレットからブロックを取り出して前記施工現場で舗装作業を行う工程
(2)前記ブロック舗装体を施工する面積が50m2以上である、上記(1)に記載のブロック舗装体の施工方法。
(3)更に、下記の工程dを含む、上記(1)又は(2)に記載のブロック舗装体の施工方法。
工程d:各施工現場において使用されなかったブロックを前記施工現場から搬出する工程
(4)前記施工現場が複数の施工エリアに区分されており、前記工程bにおいて、前記複数の施工エリアのそれぞれに前記ブロックを組み換えたパレットを配置する、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
(5)前記工程aをブロック製造工場において行う、上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
(6)前記工程aをブロック製造工場外に設けたブロック保管所において行う、上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
(7)前記複数種のブロックが、色及び/又は形状の異なる複数種のブロックである、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
(8)前記複数種のブロックが、少なくとも色の異なる複数種のブロックである、上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載のブロック舗装体の施工方法。
(9)前記色の異なる複数種のブロックの色数が3色以上である、上記(8)に記載のブロック舗装体の施工方法。
【符号の説明】
【0051】
1 ブロック
2 敷き砂層
3 路盤
4 路床
A、B、C ブロック