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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074861
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230523BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/28 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188018
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】武仲 徹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】中島 健作
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
【テーマコード(参考)】
5E314
5E316
【Fターム(参考)】
5E314AA25
5E314AA32
5E314BB02
5E314CC15
5E314FF05
5E314GG26
5E316AA12
5E316AA26
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板を製造するための製造方法の提供。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、絶縁層上に導体回路を有する導体層を形成することと、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する熱硬化性の樹脂絶縁層と前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成される第1保護膜とを有し、前記第1面に垂直な光で前記樹脂絶縁層と前記第1保護膜が投影される場合に前記第1保護膜の外周縁の各辺が前記樹脂絶縁層の各辺と重なる形成部材を準備することと、前記導体回路と前記第2面が接触するように前記導体層上に前記形成部材を貼り付けることと、前記貼り付けることの後に前記第1保護膜を前記樹脂絶縁層から取り除くことと、前記取り除くことの後に前記第1面の全面を押圧して前記第1面を平坦化すること、とを有する。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層上に導体回路を有する導体層を形成することと、
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する熱硬化性の樹脂絶縁層と前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成される第1保護膜とを有し、前記第1面に垂直な光で前記樹脂絶縁層と前記第1保護膜が投影される場合に前記第1保護膜の外周縁の各辺が前記樹脂絶縁層の各辺と重なる形成部材を準備することと、
前記導体回路と前記第2面が接触するように前記導体層上に前記形成部材を貼り付けることと、
前記貼り付けることの後に前記第1保護膜を前記樹脂絶縁層から取り除くことと、
前記取り除くことの後に前記第1面の全面を押圧して前記第1面を平坦化すること、とを有するプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記平坦化することは、前記第1面に第2保護膜を貼り付けることを含み、前記第1面に垂直な光で前記樹脂絶縁層と前記第2保護膜が投影される場合に前記第2保護膜の外周縁の各辺は前記樹脂絶縁層の各辺より外側に存在する。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記貼り付けることは、前記第1保護膜と前記樹脂絶縁層に熱と圧力を加えることを含む。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、前記貼り付けることは、前記樹脂絶縁層の一部が、前記第1保護膜の外周縁の外方および上方に突出することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、支持フィルムの一方の面に半硬化状態の絶縁層が設けられた絶縁層形成部材を準備する工程と、パッドと半硬化状態の絶縁層が接触するように絶縁層形成部材を貼り付ける工程と、絶縁層形成部材を貼り付けられた後に絶縁層を硬化させる工程、とを有する配線基板の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-99649号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の技術では、絶縁層形成部材が貼り付けられる際、支持フィルム及び半硬化状態の絶縁層が加圧されると考えられる。加圧により、半硬化状態の絶縁層の一部が支持フィルムの外周縁から外方にはみ出ると考えられる。はみ出た絶縁層の一部はブリードと呼ばれる。ブリードの一部は支持フィルムの上方に突出すると考えられる。ブリードが上方に突出すると、配線基板の平坦性が損なわれると考えられる。その結果、配線基板の品質が低下すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板の製造方法は、絶縁層上に導体回路を有する導体層を形成することと、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する熱硬化性の樹脂絶縁層と前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成される第1保護膜とを有し、前記第1面に垂直な光で前記樹脂絶縁層と前記第1保護膜が投影される場合に前記第1保護膜の外周縁の各辺が前記樹脂絶縁層の各辺と重なる形成部材を準備することと、前記導体回路と前記第2面が接触するように前記導体層上に前記形成部材を貼り付けることと、前記貼り付けることの後に前記第1保護膜を前記樹脂絶縁層から取り除くことと、前記取り除くことの後に前記第1面の全面を押圧して前記第1面を平坦化すること、とを有する。
【0006】
本発明の実施形態の製造方法では、導体層上に形成部材が貼り付けられる際に、樹脂絶縁層の一部が第1保護膜の外周縁から外方にはみ出て第1保護膜の上方に突出し得る。ただし、本発明の実施形態の製造方法では、第1保護膜が樹脂絶縁層から取り除かれた後に、第1面の全面が押圧されて第1面が平坦化される。平坦化後の第1面には上方に突出する部分が存在しない。その結果、本発明の製造方法で製造されるプリント配線板の平坦性が損なわれることが抑制される。高い品質のプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す平面図。
図2E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す平面図。
図2F図2Eの工程を模式的に示す平面図。
図2G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2J】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3A】改変例のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3B】改変例のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層60とビア導体70とを有する。
【0009】
絶縁層4は熱硬化性樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4上に形成されている。第1導体層10はパッド12と信号配線14とを含む。図に示されていないが、第1導体層10はパッド12と信号配線14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は銅によって形成される。第1導体層10は、シード層10aとシード層10a上の電解めっき膜10bで形成されている。
【0011】
樹脂絶縁層20は絶縁層4と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面20F(図中の上面)と第1面20Fと反対側の第2面20B(図中の下面)を有する。樹脂絶縁層20にはパッド12を露出する開口22が形成されている。樹脂絶縁層20は熱硬化性樹脂で形成されている。熱硬化性樹脂はエポキシ系樹脂とポリマー系樹脂と無機フィラーとを含む。
【0012】
第2導体層60は樹脂絶縁層20の第1面20F上に形成されている。第2導体層60はランド62と信号配線64とを含む。図に示されていないが、第2導体層60はランド62と信号配線64以外の導体回路も含んでいる。第2導体層60は銅によって形成される。第2導体層60は、シード層60aとシード層60a上の電解めっき膜60bで形成されている。
【0013】
ビア導体70は開口22内に形成されている。ビア導体70は第1導体層10と第2導体層60を接続する。図1ではビア導体70はパッド12とランド62を接続する。ビア導体70はシード層60aとシード層60a上の電解めっき膜60bで形成されている。
【0014】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図2A図2Jは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図2A図2E図2G図2Jは断面図である。図2Fは平面図である。
【0015】
図2Aは絶縁層4と絶縁層4上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。
【0016】
図2Bに示されるように、樹脂絶縁層20と樹脂絶縁層20の第1面20F上に形成される第1保護膜32とを有する形成部材30が準備される。この時点では樹脂絶縁層20は半硬化状態である。第1保護膜32は樹脂絶縁層20の第1面20Fを完全に覆っている。形成部材30が平面視される場合、第1保護膜32の外周縁の各辺と樹脂絶縁層20の外周縁の各辺は重なる。即ち樹脂絶縁層20の第1面20Fに垂直な光で樹脂絶縁層20と第1保護膜32が投影される場合に、第1保護膜32の外周縁の各辺と樹脂絶縁層20の外周縁の各辺は重なる。第1保護膜32の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。第1保護膜32と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0017】
図2Cに示されるように、第1導体層10のパッド12と信号配線14に第2面20Bが接触するように、絶縁層4と第1導体層10上に形成部材30が貼り付けられる。この際、第1保護膜32及び半硬化状態の樹脂絶縁層20に熱と圧力が加えられる。第1保護膜32と樹脂絶縁層20は、第1保護膜32上に配置された加圧板50によって絶縁層4に向かって加圧される。加圧板50は例えばSUS(ステンレス鋼)板である。実施形態では、形成部材30が貼り付けられることにより、半硬化状態の樹脂絶縁層20が変形する。樹脂絶縁層20の一部が第1保護膜32の外周縁から外方にはみ出る。はみ出た樹脂絶縁層20の一部はブリード23と呼ばれる。ブリード23は、第1保護膜32の上方に突出する突出部21を有する。樹脂絶縁層20の加熱は図示しない加熱機構によって行われる。加熱によって樹脂絶縁層20の硬化が進行する。
【0018】
図2Dに示されるように、第1保護膜32が樹脂絶縁層20の第1面20Fから取り除かれる。
【0019】
図2Eに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面20Fに第1保護膜32とは異なる第2保護膜42が貼り付けられる。第2保護膜42は樹脂絶縁層20よりも大きい。第2保護膜42は第1面20Fを完全に覆っている。第2保護膜42の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。第2保護膜42と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0020】
図2Fは、図2E時点の第2保護膜42と樹脂絶縁層20を模式的に示す平面図である。図2Fに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面20Fに垂直な光で樹脂絶縁層20と第2保護膜42が投影される場合に、第2保護膜42の外周縁の各辺は樹脂絶縁層20の外周縁の各辺より外側に存在する。樹脂絶縁層20と第2保護膜42が平面視される場合、第2保護膜42の外周縁の各辺は樹脂絶縁層20の外周縁の各辺より外側に存在する。
【0021】
樹脂絶縁層20の第1面20F上に第2保護膜42が貼り付けられる際(図2E参照)、第2保護膜42及び樹脂絶縁層20に熱と圧力が加えられる。図2Eに示されるように、第2保護膜42と樹脂絶縁層20は、第2保護膜42上に配置された加圧板50によって絶縁層4に向かって加圧される。樹脂絶縁層20の第1面20Fの全面が第2保護膜42によって押圧される。樹脂絶縁層20が変形する。上記の通り、第2保護膜42の外周縁の各辺は樹脂絶縁層20の各辺より外側に存在する(図2F参照)。そのため、樹脂絶縁層20の一部が第2保護膜42の外周縁から外方にはみ出ることがない。ブリード23の一部が第2保護膜42の上方に突出することがない。第2保護膜42の貼り付けにより、樹脂絶縁層20の第1面20Fが平坦化される。ブリード23の突出部21(図2D)が消失する。平坦化後の第1面20Fには上方に突出する部分が存在しない。また、樹脂絶縁層20の加熱は図示しない加熱機構によって行われる。この加熱によって樹脂絶縁層20の硬化がさらに進行する。
【0022】
図2Gに示されるように、第2保護膜42の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは第2保護膜42と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド12に至るビア導体用の開口22が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口22によりパッド12が露出される。
【0023】
図2Hに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面20Fから第2保護膜42が取り除かれる。
【0024】
図2Iに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面20F上にシード層60aが形成される。シード層60aは無電解めっきによって形成される。シード層60a上にめっきレジスト100が形成される。めっきレジスト100は、ランド62と信号配線64(図1)を形成するための開口を有する。
【0025】
図2Jに示されるように、めっきレジスト100から露出するシード層60a上に電解めっき膜60bが形成される。電解めっき膜60bは開口22を充填する。第1面20F上のシード層60aと電解めっき膜60bによって、ランド62と信号配線64が形成される。第2導体層60が形成される。開口22内のシード層60aと電解めっき膜60bによってビア導体70が形成される。ビア導体70は、パッド12とランド62を接続する。
【0026】
その後、めっきレジスト100が除去される。電解めっき膜60bから露出するシード層60aが除去される。第2導体層60とビア導体70は同時に形成される。加熱処理が施され、樹脂絶縁層20が完全に硬化される。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0027】
実施形態の製造方法によると、第1導体層10上に形成部材30が貼り付けられる際に、樹脂絶縁層20の一部が第1保護膜32の外周縁から外方にはみ出るとともに第1保護膜32の上方に突出し得る(図2C)。ただし、実施形態の製造方法では、第1保護膜32が樹脂絶縁層20から取り除かれた後に(図2D)、樹脂絶縁層20の第1面20Fに第2保護膜42が貼り付けられる(図2E)。この結果、樹脂絶縁層20の第1面20Fの全面が押圧されて第1面20Fが平坦化される(図2E)。樹脂絶縁層20の突出部21が消失する。平坦化後の第1面20Fには上方に突出する部分が存在しない。その結果、実施形態の製造方法で製造されるプリント配線板2の平坦性が損なわれることが抑制される。高い品質のプリント配線板2が提供される。
【0028】
[実施形態の改変例]
改変例では、得られるプリント配線板2は実施形態と同じである(図1)。第1改変例では製造方法の一部が実施形態と異なる。改変例では、形成部材30の貼り付け(図2C)及び第1保護膜32の除去(図2D)の後に行われる樹脂絶縁層20の第1面20Fの平坦化の方法が実施形態と異なる。
【0029】
図3Aに示されるように、改変例では、第2保護膜42(図2E)の貼り付けに代えて、加圧板150によって樹脂絶縁層20の第1面20Fの全面が押圧される。即ち、加圧板150によって第1面20Fの全面が直接押圧される。この結果、第1面20Fが平坦化される。加圧板150は例えばラバー製の板である。加圧板150はSUS製の板であってもよい。加圧板150による加圧とともに加熱が行われる。加熱により樹脂絶縁層20の硬化がさらに進行する。
【0030】
図3Bに示されるように、第1面20Fの平坦化の後に、第1面20Fの上からレーザ光Lが照射される。第1導体層10のパッド12に至るビア導体用の開口22が形成される。開口22の形成以降の工程は、実施形態の図2I図2Jで示される工程と同様である。
【0031】
改変例の製造方法によると、第1保護膜32が樹脂絶縁層20から取り除かれた後に(図2D)、樹脂絶縁層20の第1面20Fの全面が加圧板150によって押圧される(図3A)。第1面20Fが平坦化される。樹脂絶縁層20の突出部21(図2D)が消失する。平坦化後の第1面20Fには上方に突出する部分が存在しない。プリント配線板2の平坦性が損なわれることが抑制される。高い品質のプリント配線板2が提供される。
【符号の説明】
【0032】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
12 :パッド
14 :信号配線
20 :樹脂絶縁層
20F :第1面
20B :第2面
21 :突出部
30 :形成部材
32 :第1保護膜
42 :第2保護膜
50 :加圧板
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B