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特開2023-74891板状断熱材、燃焼室、ボイラ及び給湯器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074891
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】板状断熱材、燃焼室、ボイラ及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F23M 5/00 20060101AFI20230523BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20230523BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20230523BHJP
   F22B 37/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
F23M5/00 D
F23M5/00 E
F16L59/02
F24H9/00 Z
F23M5/00 G
F22B37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188067
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】岡部 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寛明
【テーマコード(参考)】
3H036
3L036
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB13
3H036AB24
3H036AC01
3H036AE04
3H036AE07
3L036AA43
(57)【要約】
【課題】熱収縮による破損が生じにくい板状断熱材を提供すること。
【解決手段】無機繊維を含む複数の断熱素体の集合体からなり、燃焼室の内側に配置されることを特徴とする板状断熱材。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維を含む複数の断熱素体の集合体からなり、燃焼室の内側に配置されることを特徴とする板状断熱材。
【請求項2】
前記板状断熱材の厚み方向に沿って複数の前記断熱素体が積層された積層体を備える、請求項1に記載の板状断熱材。
【請求項3】
前記積層体を構成する複数の前記断熱素体のうちの少なくとも1つの、他の断熱素体と対向する面には、凹部が形成されている、請求項2に記載の板状断熱材。
【請求項4】
前記板状断熱材の面方向に沿って複数の前記断熱素体が配置されたシート体を備える、請求項1~3のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項5】
前記シート体を構成する複数の前記断熱素体のうちの前記面方向に対向する2つの断熱素体は、前記2つの断熱素体が対向する方向に平行、及び、前記板状断熱材の厚み方向に平行な断面において、互いに嵌合する断面形状を有している、請求項4に記載の板状断熱材。
【請求項6】
前記板状断熱材の厚み方向に沿って複数の前記シート体が積層された積層シート体であって、
複数の前記断熱素体が前記面方向に対向する対向部の位置は、複数の前記シート体で互いに異なる、請求項4又は5に記載の板状断熱材。
【請求項7】
前記面方向に対向する2つの前記断熱素体は、隙間なく接触している、請求項4~6のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項8】
前記面方向に対向する2つの前記断熱素体の間には隙間が存在しており、
前記隙間には、無機材料を含む不定形材料が充填されている、請求項4~6のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項9】
前記無機繊維は、生体溶解性繊維、アルミナ繊維、ロックウール及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~8のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項10】
前記無機繊維の平均繊維長は、0.05~3.0mmである、請求項1~9のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項11】
前記断熱素体のかさ密度は、0.2~0.6g/cmである、請求項1~10のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項12】
前記断熱素体は、板状抄造体である、請求項1~11のいずれかに記載の板状断熱材。
【請求項13】
金属容器と、前記金属容器の内壁面に配置される請求項1~12のいずれかに記載の板状断熱材と、を備えることを特徴とする燃焼室。
【請求項14】
前記板状断熱材の前記金属容器側の表面には凹部が設けられている、請求項13に記載の燃焼室。
【請求項15】
前記板状断熱材の前記金属容器側の表面とは反対側の表面には溝が設けられている、請求項13又は14に記載の燃焼室。
【請求項16】
前記板状断熱材は、前記金属容器の天面又は底面に配置され、
前記板状断熱材の側面と前記金属容器の内側面との間には、無機材料を含む不定形材料が充填されている、請求項13~15のいずれかに記載の燃焼室。
【請求項17】
請求項13~16のいずれかに記載の燃焼室を備えることを特徴とするボイラ。
【請求項18】
請求項13~16のいずれかに記載の燃焼室を備えることを特徴とする給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状断熱材、燃焼室、ボイラ及び給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
石油等の燃料を利用して水蒸気や湯を供給する装置として、ボイラや給湯器が用いられている。
【0003】
ボイラや給湯器は、燃料を燃焼室で燃焼させ、この燃焼熱を燃焼室内に配置された水管を介して水に伝えて熱交換を行うことで、水から水蒸気や湯を生成している。
【0004】
燃焼室は高温となるため、周囲の機器を熱害から保護する観点や、エネルギーロスを低減する観点から、通常、耐火物や断熱材によって保護されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0005】
特に、燃焼ガスによって高温となる燃焼室内では、一般的に、耐火物や断熱材として、耐熱性材料を含む流動物を配置対象物の表面に流し込んで固化させたものが使用されていた。このような材料をキャスタブル材料ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4946594号公報
【特許文献2】特許第4640705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャスタブル材料はどのような形状の表面にも追従して断熱性を付与できる反面、対象物の表面に一体として形成されるため、熱収縮による割れやクラック等の破損が生じやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、熱収縮による破損が生じにくい板状断熱材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の板状断熱材は、無機繊維を含む複数の断熱素体の集合体からなり、燃焼室の内側に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の板状断熱材は、複数の断熱素体の集合体からなるため、一体物の断熱材と比較して、熱収縮による応力が一箇所に集中せずに分散される。そのため、熱収縮による破損が生じにくい。
【0011】
本発明の板状断熱材は、上記板状断熱材の厚み方向に沿って複数の上記断熱素体が積層された積層体を備えることが好ましい。
1枚の板状断熱材の厚みが大きい場合には、熱収縮の応力が燃焼室側の表面に偏るため、板状断熱材の燃焼室側の表面にクラック等の破損が生じるリスクが高まることがある。これに対して、本発明の板状断熱材は、板状断熱材の厚み方向に沿って複数の断熱素体が積層された積層体を備えているため、上記リスクを低減することができる。
【0012】
本発明の板状断熱材において、上記積層体を構成する複数の上記断熱素体のうちの少なくとも1つの、他の断熱素体と対向する面には、凹部が形成されていることが好ましい。
上記構成であると、厚み方向に積層された2つの断熱素体の間に空気層を形成することができ、断熱性能を向上させることができる。
【0013】
本発明の板状断熱材は、上記板状断熱材の面方向に沿って複数の上記断熱素体が配置されたシート体を備えることが好ましい。
本発明の板状断熱材が、板状断熱材の面方向に沿って複数の断熱素体が配置されたシート体を備えていると、面方向の熱収縮に伴う割れやクラックの発生を抑制することができる。
【0014】
本発明の板状断熱材において、上記シート体を構成する複数の上記断熱素体のうちの上記面方向に対向する2つの断熱素体は、上記2つの断熱素体が対向する方向に平行、及び、上記板状断熱材の厚み方向に平行な断面において、互いに嵌合する断面形状を有していることが好ましい。
面方向に対向する2つの断熱素体が互いに嵌合する断面形状を有していると、シート体を構成する断熱素体の間における厚み方向の熱の移動を抑えることができ、断熱性能を高めることができる。
【0015】
本発明の板状断熱材は、上記板状断熱材の厚み方向に沿って複数の上記シート体が積層された積層シート体であって、複数の上記断熱素体が上記面方向に対向する対向部の位置は、複数の上記シート体で互いに異なることが好ましい。
上記構成であると、各シート体において厚さ方向の熱の移動が起こりやすい位置が重ならないため、全体としての断熱性が向上する。
【0016】
本発明の板状断熱材において、上記面方向に対向する2つの上記断熱素体は、隙間なく接触していることが好ましい。
面方向に対向する2つの断熱素体が隙間なく接触していると、板状断熱材の断熱性を高めることができる。
【0017】
本発明の板状断熱材においては、上記面方向に対向する2つの上記断熱素体の間には隙間が存在しており、上記隙間には、無機材料を含む不定形材料が充填されていることが好ましい。
面方向に対向する2つの断熱素体の間の隙間に上記不定形材料が充填されていると、断熱素体同士の間に生じる隙間による断熱性能の低下を抑制することができる。
【0018】
本発明の板状断熱材において、上記無機繊維は、生体溶解性繊維、アルミナ繊維、ロックウール及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
無機繊維が上記材料を含むと、耐熱性に優れた板状断熱材を得ることができる。
【0019】
本発明の板状断熱材において、上記無機繊維の平均繊維長は、0.05~3.0mmであることが好ましい。
無機繊維の平均繊維長が上記範囲であると、無機繊維の偏りが少なく積層した板状成形体が得られ、かさ密度と断熱特性が安定する。
【0020】
本発明の板状断熱材において、上記断熱素体のかさ密度は、0.2~0.6g/cmであることが好ましい。
断熱素体のかさ密度が上記範囲であると、不定形材料を使用した耐火材や断熱材と比較して燃焼室の重量増加を抑えることができる。
【0021】
本発明の板状断熱材において、上記断熱素体は、板状抄造体であることが好ましい。
板状抄造体は、無機繊維を含むスラリーを成形型に流し込み、吸引脱水する抄造成形及び乾燥により得られた板状の成形体である。このような板状抄造体は、無機繊維の偏りが少なく変形しにくい特性を有しているので、燃焼室の内部に配置される断熱素体として適している。
【0022】
本発明の燃焼室は、金属容器と、上記金属容器の内壁面に配置される本発明の板状断熱材と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の燃焼室は、金属容器の内壁面に本発明の板状断熱材が配置されているため、板状断熱材に破損が生じにくい。
【0024】
本発明の燃焼室では、上記板状断熱材の上記金属容器側の表面には凹部が設けられていることが好ましい。
板状断熱材の金属容器側の表面に凹部が設けられていると、該凹部が空気層として機能して断熱性を向上させることができる。
【0025】
本発明の燃焼室では、上記板状断熱材の上記金属容器側の表面とは反対側の表面には溝が設けられていることが好ましい。
板状断熱材の金属容器の表面とは反対側の表面に溝が設けられていると、板状断熱材のうち特に熱が加わりやすい燃焼室側表面において、熱収縮によって板状断熱材にクラックが生じることを抑制することができる。
金属容器の表面とは反対側の表面に設けられた溝については部分的に溝の幅や深さが異なっていてもよい。
部分的に溝の幅や深さが異なることにより、板状断熱材の部位により加わる熱量の違いに起因する応力を緩和することができ、クラックの発生をより効果的に抑制することができる。
【0026】
本発明の燃焼室では、上記板状断熱材は、上記金属容器の天面又は底面に配置され、上記板状断熱材の側面と上記金属容器の内側面との間には、無機材料を含む不定形材料が充填されていることが好ましい。
金属容器の寸法と板状断熱材の寸法を、両者の間に隙間が生じないように完全に調整することが困難である場合がある。そのような場合であっても、上記のように、板状断熱材の側面と金属容器の内側面との間に上記不定形材料が充填されていると、断熱性能の低下を抑制することができる。
【0027】
本発明のボイラは、本発明の燃焼室を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明のボイラは、本発明の燃焼室を備えるため、周辺機器への熱害が生じることを抑制することができる。また、板状断熱材の破損に伴うエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0029】
本発明の給湯器は、本発明の燃焼室を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の給湯器は、本発明の燃焼室を備えるため、周辺機器への熱害が生じることを抑制することができる。また、板状断熱材の破損に伴うエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1におけるA-A線断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本発明の第4実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本発明の第5実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図7図7は、本発明の第6実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、本発明の第7実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、本発明の第8実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、図9におけるB-B線断面図である。
図11図11は、本発明の第9実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図12図12は、本発明の第10実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図13図13は、本発明の第11実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図14図14は、図13におけるC-C線断面図である。
図15図15は、本発明の第12実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図16図16は、本発明の第13実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図17図17は、本発明の第14実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図18図18は、本発明の第15実施形態に係るボイラの一例を模式的に示す断面図である。
図19図19は、本発明の第16実施形態に係る給湯器の一例を模式的に示す断面図である。
【0032】
(発明の詳細な説明)
[板状断熱材]
まず、本発明の板状断熱材について説明する。
本発明の板状断熱材は、無機繊維を含む複数の断熱素体の集合体からなり、燃焼室の内側に配置されることを特徴とする。
【0033】
本明細書において、板状とは、相対的に面積が広い対向する2つの主面と、該2つの主面を連結する側面を有する形状とする。2つの主面が伸びる方向を面方向ともいい、2つの主面を連結する方向を厚さ方向ともいう。なお、対向する2つの主面の少なくとも一方が湾曲していてもよい。
【0034】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1におけるA-A線断面図である。
図1に示す板状断熱材1は、無機繊維を含む複数の断熱素体11及び断熱素体12の集合体からなる。
【0035】
図1及び図2に示すように、板状断熱材1は、複数の断熱素体11、12が板状断熱材の面方向(xy面方向)に沿って配置されてなるシート体100を有している。
板状断熱材1が、板状断熱材1の面方向(xy面方向)に沿って複数の断熱素体11、22が配置されたシート体100を備えていると、面方向の熱収縮に伴う割れやクラックの発生を抑制することができる。
【0036】
断熱素体11は、相対的に面積が広い対向する第1主面11a及び第2主面11bと、第1主面11a及び第2主面11bを連結する側面11c及び11dを有する板状形状である。
断熱素体12も、相対的に面積が広い対向する第1主面12a及び第2主面12bと、第1主面12a及び第2主面12bを連結する側面12c及び12dを有する板状形状である。
板状断熱材1が、板状断熱材1の面方向(xy面方向)に沿って複数の断熱素体11、22が配置されたシート体100を備えていると、面方向の熱収縮に伴う割れやクラックの発生を抑制することができる。
【0037】
断熱素体11の第1主面11a及び断熱素体12の第1主面12aをあわせて、シート体100の第1主面、又は、板状断熱材1の第1主面ともいう。また、断熱素体11の第2主面11b及び断熱素体12の第2主面12bをあわせて、シート体100の第2主面、又は、板状断熱材1の第2主面ともいう。
【0038】
断熱素体11の側面11dと断熱素体12の側面12dは互いに隙間なく接触しているが、互いに接触していなくてもよい。なお、図1図2では、互いに隙間なく接触している断熱素体11の側面11dと断熱素体12の側面12dを同じ面として示している。
面方向(xy面方向)に対向する2つの断熱素体11及び断熱素体12が隙間なく接触していると、板状断熱材1の断熱性を高めることができる。
【0039】
断熱素体の側面が互いに接触していない場合、互いに接触していない断熱素体の隙間には、無機材料を含む不定形材料が充填されていてもよい。
面方向に対向する2つの断熱素体の間の隙間に上記不定形材料が充填されていると、断熱素体同士の間に生じる隙間による断熱性能の低下を抑制することができる。
【0040】
複数の断熱素体は、接着剤等により互いに接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。
【0041】
複数の断熱素体は、互いに同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。複数の断熱素体が互いに同じ形状であると、製造コストを抑制することができる。
【0042】
断熱素体は、無機繊維を含む。
無機繊維は、生体溶解性繊維、アルミナ繊維、ロックウール及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
生体溶解性繊維としてはアルカリアースシリケート繊維を使用することができる。
無機繊維が上記材料を含むと、耐熱性に優れた板状断熱材を得ることができる。
【0043】
断熱素体は、不定形材料が固化してなる成形体であってもよく、抄造体であってもよく、ニードル体であってもよい。また、板状成形体であってもよく、板状抄造体であってもよく、板状ニードル体であってもよい。
不定形材料が固化してなる成形体とは、無機材料を含む不定形材料を固めて乾燥、成形したものであり、板状成形体とは、該不定形材料を板状に固めて乾燥、成形したものである。
抄造体とは、無機繊維を含むスラリーを成形型に流し込み、吸引脱水する抄造成形、乾燥(抄造法)により得られる成形体であり、板状抄造体とは、抄造法により得られた板状の抄造体である。
ニードル体とは、無機繊維集合体にニードリング処理を施してなる成形体であり、板状ニードル体とは、ニードリング処理を施して得られた板状のニードル体である。
【0044】
これらの中では、断熱素体は抄造体であることが好ましく、板状抄造体であることがより好ましい。
板状抄造体は、無機繊維の偏りが少なく変形しにくい特性を有しているので、燃焼室の内部に配置される断熱素体として適している。
【0045】
複数の断熱素体を集合させる方法としては、例えば、配置対象物の表面に複数の断熱素体を隙間を開けて又は隙間を開けずに配置する方法、配置対象物の表面に複数の断熱素体を隙間を開けて配置した後、該隙間に無機材料を含む不定形材料を充填する方法、複数の断熱素体を接着剤等で接合する方法、等が挙げられる。
【0046】
無機繊維の平均繊維径は特に限定されないが、断熱素体が抄造体の場合には、2.0~15.0μmであることが好ましい。
断熱素体が抄造体の場合に無機繊維の平均繊維径が上記範囲であると緻密で密度の偏りが少ない抄造体が得られる。
【0047】
無機繊維の平均繊維長は特に限定されないが、断熱素体が抄造体の場合には、0.05~3.0mmであることが好ましい。
断熱素体が抄造体の場合に無機繊維の平均繊維長が上記範囲であると、無機繊維の偏りが少なく積層した板状成形体が得られ、かさ密度と断熱特性が安定する。
【0048】
断熱素体のかさ密度は特に限定されないが、断熱素体が抄造体の場合には、0.2~0.6g/cmであることが好ましい。
断熱素体のかさ密度が上記範囲であると、不定形材料からなる耐火材や断熱材と比較して燃焼室の重量増加を抑えることができる。
【0049】
かさ密度の調整は、例えば、無機繊維を含む不定形材料の成形体の場合には乾燥・固化前の不定形材料に含まれる水分量を調整することにより、抄造体の場合にはスラリー脱水時の圧縮条件及び乾燥時の圧縮条件を調整することにより、ニードル体の場合にはニードリング処理の際のニードル密度及び処理の回数を調整することにより行うことができる。
【0050】
なお、無機繊維を含む不定形材料を乾燥・固化することで得られる成形体のかさ密度は、通常、0.7~1.5g/cm程度であり、上述した断熱素体の好ましいかさ密度を満たさない。また、ニードル体のかさ密度は通常、0.07~0.18g/cm程度である。従って、断熱素体のかさ密度を好適な範囲に調整する観点からは、断熱素体は抄造体又はニードル体であることが好ましく、抄造体であることがより好ましい。
【0051】
断熱素体には、厚さ方向に貫通する孔が設けられていてもよい。
このような孔が形成されていることにより、水管や煙管等の配管が配置された燃焼室の内壁面を覆いやすくなる。
【0052】
断熱素体は、無機繊維以外の成分を含んでいてもよい。
無機繊維以外の成分としては、例えば、無機粒子、無機バインダ、有機バインダ、凝集剤等が挙げられる。
【0053】
無機粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、天然鉱物粒子等が挙げられる。
無機バインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
有機バインダとしては、ポリビニルアルコール、澱粉、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0054】
断熱素体における無機繊維の占める重量割合は、30~97重量%であることが好ましい。
【0055】
断熱素体1個あたりの体積は、700~150000cmであることが好ましい。断熱素体1個あたりの体積が上記範囲であると、熱収縮による破損が特に生じにくい。
【0056】
本発明の板状断熱材の表面には、凹部や溝が設けられていてもよい。
なお、本明細書において、凹部及び溝は、凹部及び溝が延びる方向に垂直な断面において、凹部及び溝の深さ方向の長さ(以下、深さ寸法)と幅方向の長さ(以下、幅寸法)の比により、凹部と溝を区別する。具体的には、幅寸法/深さ寸法が5以上のものを凹部、3未満のものを溝とする。
【0057】
溝については、部分的に溝の幅や深さが異なっていてもよい。
部分的に溝の幅や深さが異なることにより、板状断熱材の部位により加わる熱量の違いに起因する応力を緩和することができ、クラックの発生をより効果的に抑制することができる。
【0058】
本発明の板状断熱材において、シート体を構成する複数の断熱素体のうちの、面方向に対向する2つの断熱素体は、2つの断熱素体が対向する方向に平行、及び、板状断熱材の厚み方向に平行な断面において、互いに嵌合する断面形状を有していることが好ましい。
面方向に対向する2つの断熱素体が互いに嵌合する断面形状を有していると、シート体を構成する断熱素体の間における厚み方向の熱の移動を抑えることができ、断熱性能を高めることができる。
【0059】
本明細書において、「嵌合形状」とは、対向する2つの断熱素体を接触させた際に、単熱素体同士の間にほとんど隙間が生じないように互いに組み合わせることができる形状であることを意味する。ただし、断熱素体の端面が、断熱素体の一方の主面から他方の主面までを最短で接続する端面である場合を除く。例えば、図2に示す断熱素体11及び断熱素体12は、断熱素体同士の間に隙間が生じていないが、嵌合形状ではない。
【0060】
面方向に対向する2つの断熱素体が嵌合する断面形状を有している場合の例を、第2実施形態~第5実施形態として以下に説明する。
【0061】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す板状断熱材1aは、複数の断熱素体13及び断熱素体14が面方向(xy面方向)に沿って配置されたシート体100aからなる。
【0062】
断熱素体13の断熱素体14と対向する側面13d、及び、断熱素体14の断熱素体13と対向する側面14dの形状は、板状断熱材の厚み方向(z方向)に対して傾斜した斜め形状となっている。従って、シート体100aを構成する2つの断熱素体13及び断熱素体14は、上記断面において互いに嵌合する断面形状を有している。
断熱素体13と断熱素体14の対向する端面が、上記断面において斜め形状となっていると、シート体を構成する断熱素体の間における厚み方向の熱の移動を抑えることができ、断熱性能を高めることができる。
【0063】
断熱素体の対向する側面の形状が斜め形状である場合、断熱素体の対向する側面と、断熱素体の第1主面及び第2主面とのなす角は、30~80°であることが好ましい。
【0064】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示す板状断熱材1bは、複数の断熱素体15及び断熱素体16が面方向(xy面方向)に沿って配置されたシート体100bからなる。
【0065】
断熱素体15の断熱素体16と対向する側面15d、及び断熱素体16の断熱素体15と対向する側面16dの形状は、斜め形状の鈍角部分にRを付けて形状を変化させたものとなっている。従って、シート体100bを構成する2つの断熱素体15及び断熱素体16は、上記断面において互いに嵌合する断面形状を有している。
【0066】
斜め形状を変化させた形状は、上述した形状に限定されるものではなく、例えば、斜め形状の鋭角部分にRを付けて形状を変化させたものであってもよく、斜め形状の鈍角部分及び鋭角部分の両方にRを付けて形状を変化させたものであってもよい。
【0067】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示す板状断熱材1cは、複数の断熱素体17、18が面方向(xy面方向)に沿って配置されたシート体100cからなる。
【0068】
断熱素体17の断熱素体18と対向する側面17d、及び断熱素体18の断熱素体17と対向する側面18dの形状は、L字形状となっている。従って、シート体100cを構成する2つの断熱素体は、上記断面において互いに嵌合する断面形状を有している。
【0069】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示す板状断熱材1dは、複数の断熱素体19、20が面方向(xy面方向)に沿って配置されたシート体100dからなる。
【0070】
断熱素体19の断熱素体20と対向する側面19d、及び断熱素体20の断熱素体19と対向する側面20dの形状は、鈎型形状となっている。従って、シート体100dを構成する2つの断熱素体は、上記断面において互いに嵌合する断面形状を有している。
【0071】
以上、第1実施形態~第5実施形態では、本発明の板状断熱材が、2つの断熱素体が板状断熱材の面方向に沿って配置されたシート体を有する場合の例について説明した。
【0072】
本発明の板状断熱材において、シート体を構成する断熱素体の数は3個以上であってもよい。
シート体を構成する断熱素体の数が3個の場合の一例を、第6実施形態~第7実施形態として以下に説明する。
【0073】
[第6実施形態]
図7は、本発明の第6実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように板状断熱材2は、面方向(xy面方向)に沿って複数の断熱素体21、22、23が配置されたシート体110を備える。
【0074】
シート体110を構成する断熱素体21、22、23の平面視形状は、円を中心で3等分した中心角が120°の扇形であり、同じ形状を有している。
【0075】
[第7実施形態]
図8は、本発明の第7実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示すように、板状断熱材3は、面方向(xy面方向)に沿って配置された複数の断熱素体24、25、26が配置されたシート体120を備える。
【0076】
シート体120を構成する断熱素体24、25、26の平面視形状は、それぞれ、円の中心を通過しx方向に延びる直線を基準とし、該直線をx方向に3等分した形状である。
断熱素体24と断熱素体26は同じ形状であるが、断熱素体25の形状は断熱素体24、26の形状とは異なっている。
【0077】
以上、第1実施形態~第7実施形態では、本発明の板状断熱材が、板状断熱材の面方向に沿って複数の断熱素体が配置されたシート体を備える場合の例について説明した。
【0078】
本発明の板状断熱材は、板状断熱材の厚み方向に沿って複数の断熱素体が積層された積層体を有していてもよい。
1枚の板状断熱材の厚みが大きい場合には、熱収縮の応力が燃焼室側の表面に偏るため、板状断熱材の燃焼室側の表面にクラック等の破損が生じるリスクが高まることがある。これに対して、板状断熱材の厚み方向に沿って複数の断熱素体が積層された積層体を備えていると、上記リスクを低減することができる。
積層体を有する板状断熱材の例を、第8実施形態~第9実施形態として以下に説明する。
【0079】
[第8実施形態]
図9は、本発明の第8実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。図10は、図9におけるB-B線断面図である。
図9に示す板状断熱材4は、無機繊維を含む複数の断熱素体31、32の集合体からなる。
図9及び図10に示すように、板状断熱材4は、複数の断熱素体31、32が板状断熱材の厚み方向(z方向)に沿って積層された積層体200を備える。
断熱素体31は、第1主面31aと第2主面31bと、第1主面31aと第2主面31bを接続する側面31cを有する板状形状である。
断熱素体32は、第1主面32aと第2主面32bと、第1主面32aと第2主面32bを接続する側面32cを有する板状形状である。
図10に示すように、断熱素体31の第2主面31bと、断熱素体32の第1主面32aとが互いに対向している。
【0080】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態に係る板状断熱材において、積層体を構成する複数の断熱素体のうちの少なくとも1つの、他の断熱素体と対向する面には、凹部が形成されていることが好ましい。
上記構成であると、厚み方向に積層された2つの断熱素体の間に空気層を形成することができ、断熱性能を向上させることができる。
【0081】
図11は、本発明の第9実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図11に示す板状断熱材5は、無機繊維を含む複数の断熱素体33、34の集合体からなる。
図11に示すように、板状断熱材5は、複数の断熱素体33、34が板状断熱材の厚み方向(z方向)に沿って積層された積層体210を備える。断熱素体33の第2主面33bと、断熱素体34の第1主面34aは互いに対向している。さらに、断熱素体34の第1主面34aには、凹部50が設けられている。
図11に示すように、複数の断熱素体の、他の断熱素体と対向する主面(ここでは、断熱素体34の第1主面34a)に凹部が形成されていると、厚み方向に積層された2つの断熱素体の間に空気層を形成することができ、断熱性能を向上させることができる。
【0082】
本発明の板状断熱材は、板状断熱材を構成する断熱素体が、板状断熱材の厚み方向及び面方向の両方に、それぞれ複数個配置されたものであってもよい。このような場合の一例を、第10実施形態として以下に説明する。
【0083】
[第10実施形態]
本発明の第10実施形態に係る板状断熱材は、板状断熱材の厚み方向に沿って複数のシート体が積層された積層シート体であることが好ましい。さらに、複数の断熱素体が面方向に対向する対向部の位置は、複数のシート体で互いに異なることが好ましい。
【0084】
図12は、本発明の第10実施形態に係る板状断熱材の一例を模式的に示す断面図である。
図12に示す板状断熱材6は、板状断熱材の厚み方向に沿って複数のシート体100e、100fが積層された積層シート体300を備える。
シート体100eは、複数の断熱素体41及び断熱素体42が板状断熱材の面方向(xy面方向)に沿って配置されてなる。
シート体100fは、複数の断熱素体43及び断熱素体44が板状断熱材の面方向(xy面方向)に沿って配置されてなる。
面方向において、断熱素体41と断熱素体42とが対向する位置と、断熱素体43と断熱素体44とが対向する位置とは、互いに異なっている。換言すると、上記断面において、断熱素体41、42が対向する位置(断熱素体41の端面41d及び断熱素体42の端面42dの位置)と、断熱素体43、44が対向する位置(断熱素体43の端面43d及び断熱素体44の端面44dの位置)とは、板状断熱材6の厚み方向(z方向)において重なっていない。
上記構成であると、各シート体において厚さ方向の熱の移動が起こりやすい位置が重ならないため、全体としての断熱性が向上する。
【0085】
以上、本発明の板状断熱材について説明した。
これ以降は、本発明の板状断熱材を備える本発明の燃焼室について説明する。
【0086】
[燃焼室]
本発明の燃焼室は、金属容器と、上記金属容器の内壁面に配置される本発明の板状断熱材と、を備えることを特徴とする。
本発明の燃焼室は、金属容器の内壁面に本発明の板状断熱材が配置されているため、板状断熱材に破損が生じにくい。
【0087】
[第11実施形態]
図13は、本発明の第11実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図であり、図14は、図13におけるC-C線断面図である。
図13及び図14に示すように、燃焼室510は、金属容器150と、金属容器の内壁面に配置された2つの板状断熱材1とを有する。板状断熱材1は、本発明の板状断熱材である。
【0088】
金属容器150の内部空間は、金属容器150の天面150a、底面150b及び内側面150dにより区画されている。金属容器150の天面150a、底面150b及び内側面150dはいずれも、金属容器150を内側から見たときの金属容器150の内壁面である。
【0089】
2つの板状断熱材1のうちの1つは、金属容器の天面150aを内側から覆うように配置されており、もう1つは、金属容器の底面150bを内側から覆うように配置されている。
板状断熱材1の一方の主面は、金属容器150側(金属容器150の天面150a又は底面150b側)に配置される第1の主面であり、他方の主面は、金属容器150側とは反対側(金属容器150の天面150a及び底面150bとは反対側)に配置される第2の主面である。
【0090】
金属容器の天面150aの内径寸法及び底面150bの内径寸法と板状断熱材1の外形寸法は対応しており、板状断熱材1の面方向(xy面方向)において、板状断熱材1と金属容器150の内側面150dとの間には隙間が存在しない。
【0091】
本発明の燃焼室において、板状断熱材の表面には、凹部や溝が設けられていてもよく、板状断熱材と金属容器との間の隙間に無機材料を含む不定形材料が充填されていてもよい。
これらの一例を第12実施形態~第14実施形態として以下に説明する。
【0092】
[第12実施形態]
本発明の燃焼室では、上記板状断熱材の上記金属容器側の表面には凹部が設けられていることが好ましい。
板状断熱材の金属容器側の表面に凹部が設けられていると、該凹部が空気層として機能して断熱性を向上させることができる。
【0093】
図15は、本発明の第12実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図15に示すように燃焼室520は、金属容器150と、金属容器150の天面150a及び底面150bに配置された2つの板状断熱材7とを有する。
板状断熱材7の表面のうち、金属容器150側の表面には凹部50が設けられている。
凹部50が金属容器150側の表面に設けられていることにより、凹部50が空気層として機能し、板状断熱材7の断熱性能を向上させることができる。
【0094】
[第13実施形態]
本発明の燃焼室では、上記板状断熱材の上記金属容器側の表面とは反対側の表面には溝が設けられていることが好ましい。
板状断熱材の金属容器の表面とは反対側の表面に溝が設けられていると、板状断熱材のうち特に熱が加わりやすい燃焼室側表面において、熱収縮によって板状断熱材にクラックが生じることを抑制することができる。
【0095】
図16は、本発明の第13実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図16に示すように燃焼室530は、金属容器150と、金属容器150の天面150a及び底面150bに配置された2つの板状断熱材8とを有する。
板状断熱材8の表面のうち、金属容器150側の表面とは反対側の表面には溝60が設けられている。
板状断熱材8の金属容器150側の表面とは反対側の表面に溝60が設けられていると、板状断熱材8のうち特に熱が加わりやすい燃焼室側表面において、熱収縮によって板状断熱材8にクラックが生じることを抑制することができる。
【0096】
[第14実施形態]
本発明の燃焼室において、板状断熱材は、金属容器の天面又は底面に配置され、板状断熱材の側面と金属容器の内側面との間には、無機材料を含む不定形材料が充填されていることが好ましい。
金属容器の寸法と板状断熱材の寸法を、両者の間に隙間が生じないように完全に調整することが困難である場合がある。そのような場合であっても、上記のように、板状断熱材の側面と金属容器の内側面との間に上記不定形材料が充填されていると、断熱性能の低下を抑制することができる。
【0097】
図17は、本発明の第14実施形態に係る燃焼室の一例を模式的に示す断面図である。
図17に示すように、燃焼室540は、金属容器150と、金属容器150の天面150a及び底面150bに配置された2つの板状断熱材9とを有する。
板状断熱材9の平面視寸法(外径寸法)は、金属容器150の内側面150dの内径寸法よりも小さい。そのため、板状断熱材9の側面9cと金属容器の内側面150dとの間には隙間が生じている。そして、該隙間には、無機材料を含んでなる不定形材料80が充填されている。板状断熱材9の側面9cと金属容器150の内側面150dとの間に不定形材料80が充填されていると、断熱性能の低下を抑制することができる。
【0098】
本発明の燃焼室は、燃焼室を備える装置に用いることができる。燃焼室を備える装置としては、例えば、ボイラ、給湯器等が挙げられる。
【0099】
[ボイラ]
本発明のボイラは、本発明の燃焼室を備えることを特徴とする。
本発明のボイラは、本発明の燃焼室を備えるため、周辺機器への熱害が生じることを抑制することができる。また、板状断熱材の破損に伴うエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0100】
本発明のボイラの一例を、第15実施形態として以下に説明する。
【0101】
[第15実施形態]
図18は、本発明の第15実施形態に係るボイラの一例を模式的に示す断面図である。
ボイラ600は、燃焼室550と、燃焼室550内に配置された水管180とを有する。
燃焼室550は、金属容器160と、金属容器160の天面160a及び底面160bに本発明の板状断熱材1が配置された、本発明の燃焼室である。
水管180内には燃焼室550の下部から水が供給されており、水管180内を通過する水は、燃焼室550内で加熱されて水蒸気となり、燃焼室550の上部から排出される。
排出された水蒸気は、必要に応じて液体の水の分離や、過熱を行った後、発電、暖房、洗浄、調理、乾燥、消毒、殺菌等の用途に用いられる。
【0102】
[給湯器]
本発明の給湯器は、本発明の燃焼室を備えることを特徴とする。
本発明の給湯器は、本発明の燃焼室を備えるため、周辺機器への熱害が生じることを抑制することができる。また、板状断熱材の破損に伴うエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0103】
本発明の給湯器の一例を、第16実施形態として以下に説明する。
【0104】
[第16実施形態]
図19は、本発明の第16実施形態に係る給湯器の一例を模式的に示す断面図である。
給湯器700は、燃焼室560と、燃焼室560内に配置された熱交換器190を有する。
燃焼室560は、金属容器170と、金属容器170の天面170a及び底面170bに本発明の板状断熱材1が配置された、本発明の燃焼室である。
熱交換器190内には水が流れており、燃焼室570で熱交換器190内の水が加熱されて湯(温水)となり、給湯器700の外に湯(温水)が供給される。
【0105】
供給される湯の温度は、燃焼室で燃焼させる燃料の量、及び、単位時間あたりに熱交換器内を通過する水量を調整することにより適宜調整することができる。
【符号の説明】
【0106】
1、1a、1b、1c、1d、2、3、4、5、6、7、8、9 板状断熱材
9c 板状断熱材の端面
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、31、32、33、34、43、41、42、43、44 断熱素体
11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18a、19a、20a、31a、32a、33a、34a 断熱素体の第1主面
11b、12b、13b、14b、15b、16b、17b、18b、19b、20b、31b、32b、33b、34b 断熱素体の第2主面
11c、12c、24c、25c、26c、31c、32c、33c、34c 断熱素体の側面(外側)
11d、12d、13d、14d、15d、16d、17d、18d、19d、20d、41d、42d、43d、44d 断熱素体の側面(内側)
50 凹部
60 溝
80 無機材料を含んでなる不定形材料
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、110、120 シート体
150、160、170 金属容器
150a、160a、170a 金属容器の天面
150b、160b、170b 金属容器の底面
150d 金属容器の内側面
180 水管
190 熱交換器
200 積層体
300 積層シート体
510、520、530、540、550、560 燃焼室
600 ボイラ
700 給湯器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19