(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007490
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】メタン含有合成ガスからのLNGの製造
(51)【国際特許分類】
F25J 3/02 20060101AFI20230111BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20230111BHJP
F28F 9/02 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
F25J3/02 B
F25J3/06
F28F9/02
【審査請求】有
【請求項の数】38
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022102599
(22)【出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】17/360,031
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ビー シュニッツァー
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA09
4D047AB08
4D047BA07
4D047CA03
4D047CA04
4D047CA17
4D047DA01
4D047DA04
4D047DA17
(57)【要約】
【課題】メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】本明細書に記載されるのは、メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法およびシステムである。MCSG供給流は、1つ以上の熱交換器ユニットを使用して、冷却され、部分的に液化され得る。第1の相セパレータ、および第1の相セパレータと下流で流動連通している第2の相セパレータを使用して、部分的に液化されたMCSG流を、第1の残留ガス流と、第1および第2の供給流とに分離することができ、第1および第2の供給流は、次いで、蒸留塔に供給されて、LNG流および第2の残留ガス流を製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、前記方法が、
(a)MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)直列に配置された第1の相セパレータおよび第2の相セパレータであって、前記第2の相セパレータは前記第1の相セパレータと下流で流動連通している、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータを使用して、前記部分的に液化されたMCSG供給流を、液体流および2つの蒸気流を含む少なくとも3つの流れに分離することであって、前記液体流が第1の供給流を形成し、前記蒸気流のうちの一方は第2の供給流を形成し、前記蒸気流のうちの他方は第1の残留ガス流を形成する、分離することと、
(c)前記第1の供給流を、第1の位置で蒸留塔に導入することと、
(d)前記第1の位置より上にある第2の位置で前記第2の供給流を前記蒸留塔に導入することであって、前記第1の位置と前記第2の位置との間に少なくとも1つの分離段階がある、導入することと、
(e)蒸留塔ボトム液で形成された前記蒸留塔からのLNG流を取り出すことと、
(f)蒸留塔オーバーヘッド蒸気で形成された前記蒸留塔からの第2の残留ガス流を取り出すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(b)が、
(i)前記第1の相セパレータで前記部分的に液化されたMCSG供給流を、前記第1の供給流を形成する前記液体流と、蒸気流とに分離することと、
(ii)前記第1の相セパレータから前記蒸気流を分割して、前記第2の供給流を形成する前記蒸気流と、第3の供給流を形成する蒸気流とを形成することと、
(iii)前記第3の供給流を、冷却し、部分的に液化し、次いで、前記第2の相セパレータで前記第3の供給流を、前記第1の残留ガス流を形成する前記蒸気流と、第4の供給流を形成する液体流とに分離することと、
を含み、
ステップ(c)が、前記第1の供給流の圧力を減少させ、次いで前記第1の供給流を前記第1の位置で蒸留塔に導入することを含み、
ステップ(d)が、前記第2の供給流の圧力を減少させ、次いで前記第2の供給流を前記第2の位置で前記蒸留塔に導入することを含み、
前記方法が、前記第4の供給流の圧力を減少させ、次いで前記第2の位置の上方にある第3の位置で前記第4の供給流を前記蒸留塔に導入することであって、前記第2の位置と前記第3の位置との間に少なくとも1つの分離段階がある、導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の位置が、前記蒸留塔の頂部にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)(iii)における前記第3の供給流の前記冷却および部分的液化のための冷却能率(cooling duty)を提供するために、前記第1の残留ガス流および前記第2の残留ガス流の一方または両方を、前記第3の供給流との間接的な熱交換を介して加温する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)が、
(i)前記第1の相セパレータで前記部分的に液化されたMCSG流を、前記第1の残留ガス流を形成する前記蒸気流と、第3の供給流を形成する液体流とに分離することと、
(ii)前記第3の供給流の圧力を減少させ、前記第3の供給流を部分的に気化させ、前記第2の相セパレータで前記流れを、前記第1の供給流を形成する前記液体流と、前記第2の供給流を形成する前記蒸気流とに分離することと、
を含み、
ステップ(c)が、前記第1の供給流を加温し、次いで前記第1の供給流を前記第1の位置で蒸留塔に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の位置と前記塔の頂部との間に少なくとも1つの分離段階があり、前記方法が、前記第2の残留ガス流または蒸留塔オーバーヘッド蒸気の一部分を圧縮し、冷却し、膨張させ、それによって少なくとも部分的に液化して、還流流を形成することと、前記蒸留塔の前記頂部にある第3の位置で前記還流流を前記蒸留塔に導入することと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、ステップ(a)における前記MCSG供給流の前記冷却および部分的液化のための冷却能率を提供するために、前記第1の供給流を、前記MCSG供給流との間接的な熱交換を介して加温する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)における前記第MCSG供給流の前記冷却および部分的液化のための冷却能率を提供するために、前記第1の残留ガス流および前記第2の残留ガス流の一方または両方を、前記MCSG供給流との間接的な熱交換を介して加温する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の位置と前記塔の底部との間に少なくとも1つの分離段階があり、前記方法が、前記LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分を、加温し、それによって少なくとも部分的に気化させて煮沸流れを形成し、前記煮沸流れを、前記蒸留塔の前記底部において前記蒸留塔に導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の残留ガス流の少なくとも一部分を、圧縮し、第1の残留ガス流と組み合わせる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記LNG流を過冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)が、
(i)前記MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割することと、
(ii)第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記MCSG供給流の前記第1の部分を冷却し、部分的に液化することであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、冷却し、部分的に液化することと、
(iii)1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記MCSG供給流の前記第2の部分を冷却し、部分的に液化することと、
(iv)前記MCSG供給流の前記冷却され、部分的に液化された第1の部分と前記MCSG供給流の前記冷却され、部分的に液化された第2の部分とを組み合わせて、前記部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)(iii)において、前記1つ以上のプロセス流が、前記第1の残留ガス流と、前記第2の残留ガス流と、前記LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分とから選択される1つ以上の流れを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の冷媒が、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて加温されると気化する冷媒である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記LNG流を過冷却することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(a)(ii)は、冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れとの間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記MCSG供給流の前記第1の部分を、冷却し、部分的に液化することを含み、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットであり、前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れは、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記第1の冷媒を冷却することによっても製造される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(a)が、
(i)第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造することであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、製造することと、
(ii)前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れおよび1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記MCSG供給流を冷却し、部分的に液化して、前記部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(a)(ii)において、前記1つ以上のプロセス流が、前記第1の残留ガス流と、前記第2の残留ガス流と、前記LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分とのうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(a)(i)において、前記第1の冷媒が、ステップ(a)(i)で製造される前記冷却された第1の冷媒の一部分との間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて冷却される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記LNG流を過冷却することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、前記方法が、
(a)
(i)MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割することと、
(ii)第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記第1の部分を冷却し、部分的に液化することであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、冷却し、部分的に液化することと、
(iii)1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記第2の部分を冷却し、部分的に液化することと、
(iv)前記冷却され、部分的に液化された第1の部分と前記冷却され、部分的に液化された第2の部分とを組み合わせて、前記部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
によって、前記MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)前記部分的に液化されたMCSG供給流を、LNG流および1つ以上の残留ガス流に分離することと、
を含む、方法。
【請求項24】
ステップ(b)において、前記部分的に液化されたMCSG供給流が、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔を使用して、前記LNG流および前記1つ以上の残留ガス流に分離される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(a)(iii)において、前記1つ以上のプロセス流が、前記残留ガス流、前記LNG流の一部分、または蒸留塔ボトム液の一部分のうちの1つ以上から選択される1つ以上の流れを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の冷媒が、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて加温されると気化する冷媒である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記LNG流を過冷却することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(a)(ii)は、冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れとの間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記MCSG供給流の前記第1の部分を、冷却し、部分的に液化することを含み、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットであり、前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れは、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記第1の冷媒を冷却することによっても製造される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、前記方法が、
(a)
(i)第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造することであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、製造することと、
(ii)前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れおよび1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいてMCSG供給流を冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
によって、前記MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、前記部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)前記部分的に液化されたMCSG供給流を、LNG流および1つ以上の残留ガス流に分離することと、
を含む、方法。
【請求項31】
ステップ(b)において、前記部分的に液化されたMCSG供給流が、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔を使用して、前記LNG流および前記1つ以上の残留ガス流に分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)(ii)において、前記1つ以上のプロセス流が、前記第1の残留ガス流と、前記第2の残留ガス流と、前記LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分とのうちの1つ以上を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(a)(i)において、前記第1の冷媒が、ステップ(a)(i)で製造される前記冷却された第1の冷媒の一部分との間接的な熱交換を介して、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて冷却される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて前記LNG流を過冷却することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、前記システムが、
MCSG供給流を受け入れ、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造するための1つ以上の熱交換器ユニットと、
前記1つ以上の熱交換器ユニットと流動連通していて、かつ直列に配置された、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータであって、前記部分的に液化されたMCSG供給流を、液体流および2つの蒸気流を含む少なくとも3つの流れに分離するために、前記第2の相セパレータが、前記第1の相セパレータと下流で流動連通しており、前記液体流が第1の供給流を形成し、前記蒸気流のうちの一方が第2の供給流を形成し、前記蒸気流のうちの他方が第1の残留ガス流を形成する、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータと、
前記第1の供給流を受け入れるための第1の位置にある第1の入口と、前記第2の供給流を受け入れるための第2の位置にある第2の入口であって、前記第2の位置は前記第1の位置の上にある、第2の入口と、前記第1の位置と前記第2の位置との間の少なくとも1つの分離段階と、蒸留塔ボトム液から形成されたLNG流を取り出すための前記蒸留塔の底部にある出口と、蒸留塔オーバーヘッド蒸気から形成された第2の残留ガス流を取り出すための前記蒸留塔の頂部にある出口と、を有する蒸留塔と、
を含む、システム。
【請求項37】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、前記システムが、
MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割するための導管のセットと、
前記第1の部分を受け入れ、第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、前記第1の部分を、冷却し、部分的に液化するための第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
前記第2の部分を受け入れ、1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して前記第2の部分を、冷却し、部分的に液化するための第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
前記冷却され、部分的に液化された第1の部分と、前記冷却され、部分的に液化された第2の部分とを、受け入れ、組み合わせて、部分的に液化されたMCSG供給流を形成するための導管のセットと、
前記部分的に液化されたMCSG供給流を、受け入れ、かつLNG流および1つ以上の残留ガス流に分離するための、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔と、
を含む、システム。
【請求項38】
メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、前記システムが、
第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造するための、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットであって、前記第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
前記第1の熱交換器ユニットからの前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れを受け入れるための、1つ以上のプロセス流を受け入れるための、かつMCSG供給流を受け入れ、前記冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れおよび前記1つ以上のプロセス流との間接的熱交換を介して、前記MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を形成するための、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
前記部分的に液化されたMCSG供給流を、受け入れ、かつLNG流および1つ以上の残留ガス流に分離するための、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔と、
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法およびシステムに関する。
【0002】
環境に優しい燃料技術の進化により、MCSGからLNGを製造するためにガス化および天然ガス液化プロセスが統合された。MCSGは、石炭または油残渣のガス化から製造され得るメタンおよびメタンよりも軽い不純物を含む軽質炭化水素含有ガスである。ガス化製品からMCSGを作ることは、クリーンな低炭素含有メタンが製造され分配されている間に一元的な炭素捕捉および隔離を可能にすることによって、従来の固体および低価値の重質液体燃料を使用するクリーンな方式である。さらに、ガス化プロセスからのLNGの共同生産は、製品ポートフォリオを多様化するための魅力的なオプションを提供し、プロジェクトの全体的な経済性を向上させる。
【0003】
MCSGからLNGを製造するための例示的な従来技術のプロセスが、米国特許第10,436,505号に示され、記載されている。本明細書に示されるプロセスでは、合成ガス流などの炭化水素含有供給ガス流は、気化混合冷媒を利用して冷却を提供する主熱交換器内で-30~-130℃の比較的温かい温度まで冷却される。主熱交換器から出る冷却された供給ガス流は、二次蒸留搭(より低い運転圧力)での煮沸のための熱を提供するリボイラでさらに冷却される。次いで、リボイラから出る冷却された供給ガス流は、温度-120~-200℃にさらに冷却され、主熱交換器で少なくとも部分的に液化された後、フラッシュされ、ドラムで分離されて、フラッシュされた蒸気流および液体流を形成する。フラッシュされた蒸気流は、コンパンダーの膨張器部分で膨張され、一次蒸留搭の整流部分(より高い運転圧力)に送られる。液体流は、バルブを介して圧力が下げられ、一次蒸留搭の底部に送られる。
【0004】
一次蒸留搭から取り出されたボトム液の流れは、メタン回収をさらに改善するために二次蒸留搭に送られる。二次蒸留搭から取り出されたボトム液の流れは、主熱交換器で-120~-200℃の最終温度まで冷却されて、LNG生成物流を形成する。二次蒸留搭からのオーバーヘッド蒸気の流れは、主熱交換器で凝縮され、還流ドラムでフラッシュされる。還流ドラム液は、一次蒸留搭および二次蒸留搭の両方の還流として使用される。還流ドラム蒸気は、コンパンダーの圧縮部分で圧縮され、一次蒸留搭からのオーバーヘッド蒸気と一緒にされて、主熱交換器で加温され、かつ残留ガスコンプレッサで再圧縮される残留ガスの流れを形成し、施設から送り出される。
【0005】
二段コンプレッサおよびJTバルブを使用した標準的なヒートポンプ構成は、主熱交換器に、冷却冷媒を、したがって冷却を、提供するために使用される。
【0006】
米国特許第10,436,505号に示されている構成は、高純度のメタンに富むLNGを製造することができるが、ある特定の欠点を有する。1つの課題は、混合された冷媒流が、二相混合物として主熱交換器の中へ導入されることである。これは配管の設計を複雑にし、スラッギングに起因する望ましくない不安定な運転を引き起こすことがある。また、二相フローは、確実に液相および蒸気相が均等に分配されるように、主熱交換器の特別な設計特徴を必要とする。例えば、主熱交換器がプレート-フィン交換器である場合、セパレータおよび注入管などの特別なデバイスを提供して、すべての通路にわたって相を均等に分配させる必要がある。これらのデバイスを使用すると、コストが増加し、運転安定性が低下する場合がある。加えて、二相フローは、低い流量で不安定になる場合があって、相の離脱を引き起こし、大きな内部温度勾配をもたらし、主熱交換器に潜在的な損傷をもたらし得る。
【0007】
別の欠点は、主交換器が、熱交換器に冷却能率(cooling duty)を提供するために2つの異なる低圧流(すなわち、冷却気化混合冷媒流および残留ガス流)を利用する点であり、これにより、主熱交換器としてのコイル巻きタイプの熱交換器の使用が実質的に排除される。コイル巻き熱交換器は、天然ガス液化およびエンドフラッシュガス熱交換用途にとって、効率的で信頼性が高く、堅牢であることが証明されている。コイル巻き熱交換器の設計および製造技術は、複数の熱交換器ユニット(プレートフィン熱交換器の場合)を並列に使用することを非常に大きな容量まで回避しつつ、はるかに高いユニット処理能力(コイル巻き熱交換器ユニット当たりに達成される熱交換能率)を可能とする。コイル巻き熱交換器ユニットは、シェルケーシングに包まれた1つ以上の管束を含み、ユニットの管側は、冷却を必要とする1つ以上の熱流を受け入れるように設計されており、ユニットのシェル側は、冷却冷媒の単一の流れ、またはシェル側で混合され、加温された冷媒の単一の流れとして出る2つ以上の冷流を受け入れるように設計されている。コイル巻き熱交換器が、分離が保たれるべき2つ以上の冷流の使用に適応し得る唯一の方式は、熱交換器の管側の流路のうちの1つに冷流のうちの少なくとも1つを通過させることである。しかしながら、コイル巻き交換器の設計は、利用可能な圧力低下が低く、かつ熱交換器の管側の流路における典型的な抵抗が比較的高いことを考えると難しいであろう。
【0008】
示されるプロセスのさらなる欠点は、残留ガスのすべてが比較的低い圧力で製造される点である。これは、低圧で製造される残留ガスの量が多いほど、当該ガスを再圧縮するための所要電力が大きくなり、かつ当該ガスを収容するために残留ガスコンプレッサが大きくなければならないため、プロセスの運転および資本コストが増加する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、上記した従来技術を超えるいくつかの利点を提供する、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを開示する。方法およびシステムは、(2つ以上の塔の代わりに)単一の蒸留塔を用いることができる。残留ガス流から冷凍(refrigeration)を回収するために使用される熱交換器ユニットからは分離しているコイル巻き熱交換器ユニットを使用することができ、当該コイル巻き熱交換器ユニットは、MCSG供給流の一部分を受け入れ、冷却し、部分的に液化することができ、かつ/または当該コイル巻き熱交換器ユニットは、冷媒(混合冷媒もしくは他の気化冷媒など)を受け入れ、冷却することができ、次いで、MCSG供給流を冷却し、部分的に液化するために使用される。残留ガスの一部分は、MCSG供給流と実質的に同じ圧力で排出することができ、再圧縮は比較的にほとんどまたはまったく必要ない。
【0010】
本発明に従うシステムおよび方法のいくつかの好ましい態様を以下に概説する。
【0011】
態様1:メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、当該方法が、
(a)MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)直列に配置された第1の相セパレータおよび第2の相セパレータであって、当該第2の相セパレータは当該第1の相セパレータと下流で流動連通している、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータを使用して、当該部分的に液化されたMCSG供給流を、液体流および2つの蒸気流を含む少なくとも3つの流れに分離することであって、当該液体流が第1の供給流を形成し、当該蒸気流のうちの一方は第2の供給流を形成し、当該蒸気流のうちの他方は第1の残留ガス流を形成する、分離することと、
(c)当該第1の供給流を、第1の位置で蒸留塔に導入することと、
(d)当該第1の位置より上にある第2の位置で当該第2の供給流を当該蒸留塔に導入することであって、当該第1の位置と当該第2の位置との間に少なくとも1つの分離段階がある、導入することと、
(e)蒸留塔ボトム液を含む当該蒸留塔からLNG流を取り出すことと、
(f)蒸留塔オーバーヘッド蒸気を含む当該蒸留塔から第2の残留ガス流を取り出すことと、
を含む、方法。
【0012】
態様2:ステップ(b)が、
(i)当該第1の相セパレータで当該部分的に液化されたMCSG供給流を、当該第1の供給流を形成する当該液体流と、蒸気流とに分離することと、
(ii)当該第1の相セパレータからの当該蒸気流を分割して、当該第2の供給流を形成する当該蒸気流と、第3の供給流を形成する蒸気流とを形成することと、
(iii)当該第3の供給流を、冷却し、部分的に液化し、次いで、当該第2の相セパレータで当該第3の供給流を、当該第1の残留ガス流を形成する当該蒸気流と、第4の供給流を形成する液体流とに分離することと、
を含み、
ステップ(c)が、当該第1の供給流の圧力を減少させ、次いで当該第1の供給流を当該第1の位置で蒸留塔に導入することを含み、
ステップ(d)が、当該第2の供給流の圧力を減少させ、次いで当該第2の供給流を当該第2の位置で当該蒸留塔に導入することを含み、
当該方法が、当該第4の供給流の圧力を減少させ、次いで当該第2の位置の上方にある第3の位置で当該第4の供給流を当該蒸留塔に導入することであって、当該第2の位置と当該第3の位置との間に少なくとも1つの分離段階がある、導入することをさらに含む、態様1に記載の方法。
【0013】
態様3:当該第3の位置が、当該蒸留塔の頂部にある、態様2に記載の方法。
【0014】
態様4:ステップ(b)(iii)における当該第3の供給流の冷却および部分的液化のための冷却能率を提供するために、第1の残留ガス流および第2の残留ガス流の一方または両方を、第3の供給流との間接的な熱交換を介して加温する、態様2または3に記載の方法。
【0015】
態様5:ステップ(b)が、
(i)当該第1の相セパレータで当該部分的に液化されたMCSG流を、当該第1の残留ガス流を形成する当該蒸気流と、第3の供給流を形成する液体流とに分離することと、
(ii)当該第3の供給流の当該圧力を減少させ、当該第3の供給流を部分的に気化させ、当該第2の相セパレータで当該流れを、当該第1の供給流を形成する当該液体流と、当該第2の供給流を形成する当該蒸気流とに分離することと、
を含み、
ステップ(c)が、当該第1の供給流を加温し、次いで当該第1の供給流を当該第1の位置で蒸留塔に導入することを含む、態様1に記載の方法。
【0016】
態様6:当該第2の位置と当該塔の頂部との間に少なくとも1つの分離段階があり、当該方法が、当該第2の残留ガス流または蒸留塔オーバーヘッド蒸気の一部分を圧縮し、冷却し、膨張させ、それによって少なくとも部分的に液化して、還流流を形成することと、当該蒸留塔の頂部にある第3の位置で当該還流流を当該蒸留塔に導入することと、をさらに含む、態様5に記載の方法。
【0017】
態様7:ステップ(c)において、ステップ(a)における当該MCSG供給流の当該冷却および部分的液化のための冷却能率を提供するために、当該第1の供給流を、当該MCSG供給流との間接的な熱交換を介して加温する、態様5または6に記載の方法。
【0018】
態様8:ステップ(a)における当該第MCSGの供給流の冷却および部分的液化のための冷却能率を提供するために、第1の残留ガス流および第2の残留ガス流の一方または両方を、当該第MCSGの供給流との間接的な熱交換を介して加温する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
態様9:当該第1の位置と当該塔の底部との間に少なくとも1つの分離段階があり、当該方法が、当該LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分を、加温し、それによって少なくとも部分的に気化させて煮沸流れ(boil-up stream)を形成し、当該煮沸流れを、当該蒸留塔の底部において当該蒸留塔に導入することをさらに含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
態様10:当該第2の残留ガス流の少なくとも一部分を、圧縮し、第1の残留ガス流と組み合わせる、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
態様11:当該方法が、当該LNG流を過冷却することをさらに含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
態様12:ステップ(a)が、
(i)当該MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割することと、
(ii)第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該MCSG供給流の当該第1の部分を冷却し、部分的に液化することであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、冷却し、部分的に液化することと、
(iii)1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該MCSG供給流の当該第2の部分を冷却し、部分的に液化することと、
(iv)当該冷却され、部分的に液化された第1の部分と当該冷却され、部分的に液化された第2の部分とを組み合わせて、当該部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
態様13:当該第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、態様12に記載の方法。
【0024】
態様14:ステップ(a)(iii)において、当該1つ以上のプロセス流が、当該第1の残留ガス流と、当該第2の残留ガス流と、当該LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分とから選択される1つ以上の流れを含む、態様12または13に記載の方法。
【0025】
態様15:当該第1の冷媒が、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて加温されると気化する冷媒である、態様12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
態様16:当該方法が、当該第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該LNG流を過冷却することをさらに含む、態様12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
態様17:ステップ(a)(ii)は、冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れとの間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいてMCSG供給流の当該第1の部分を、冷却し、部分的に液化することを含み、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットであり、当該冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れは、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該第1の冷媒も冷却することによって製造される、態様12~16のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
態様18:ステップ(a)が、
(i)第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造することであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、製造することと、
(ii)当該冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れおよび1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該MCSG供給流を冷却し、部分的に液化して、当該部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
態様19:当該第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、態様18に記載の方法。
【0030】
態様20:ステップ(a)(ii)において、当該1つ以上のプロセス流が、当該第1の残留ガス流、当該第2の残留ガス流、および当該LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分のうちの1つ以上を含む、態様18または19に記載の方法。
【0031】
態様21:ステップ(a)(i)において、当該第1の冷媒が、ステップ(a)(i)で製造される冷却された第1の冷媒の一部分との間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて冷却される、態様18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
態様22:当該方法が、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該LNG流を過冷却することをさらに含む、態様18~21のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
態様23:メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、当該方法が、
(a)
(i)当該MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割することと、
(ii)第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該第1の部分を冷却し、部分的に液化することであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、冷却し、部分的に液化することと、
(iii)1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該第2の部分を冷却し、部分的に液化することと、
(iv)当該冷却および部分的に液化された第1の部分と当該冷却および部分的に液化された第2の部分とを組み合わせて、当該部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
によって、MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)当該部分的に液化されたMCSG供給流を、LNG流および1つ以上の残留ガス流に分離することと、
を含む、方法。
【0034】
態様24:ステップ(b)において、当該部分的に液化されたMCSG供給流が、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔を使用して、当該LNG流および当該1つ以上の残留ガス流に分離される、態様23に記載の方法。
【0035】
態様25:当該第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、態様23または24に記載の方法。
【0036】
態様26:ステップ(a)(iii)において、当該1つ以上のプロセス流が、当該残留ガス流、当該LNG流の一部分、または蒸留塔ボトム液の一部分のうちの1つ以上から選択される1つ以上の流れを含む、態様23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
態様27:当該第1の冷媒が、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて加温されると気化する冷媒である、態様23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
態様28:当該方法が、当該第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該LNG流を過冷却することをさらに含む、態様23~27のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
態様29:ステップ(a)(ii)は、冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れとの間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいてMCSG供給流の当該第1の部分を、冷却し、部分的に液化することを含み、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットであり、当該冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れは、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該第1の冷媒も冷却することによって製造される、態様23~28のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
態様30:メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法であって、当該方法が、
(a)
(i)第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造することであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、製造することと、
(ii)冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れおよび1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいてMCSG供給流を冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を形成することと、
によって、MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造することと、
(b)当該部分的に液化されたMCSG供給流を、LNG流および1つ以上の残留ガス流に分離することと、
を含む、方法。
【0041】
態様31:ステップ(b)において、当該部分的に液化されたMCSG供給流が、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔を使用して、当該LNG流および当該1つ以上の残留ガス流に分離される、態様30に記載の方法。
【0042】
態様32:当該第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが、プレートフィン熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、態様30または31に記載の方法。
【0043】
態様33:ステップ(a)(ii)において、当該1つ以上のプロセス流が、当該第1の残留ガス流、当該第2の残留ガス流、および当該LNG流または蒸留塔ボトム液の一部分のうちの1つ以上を含む、態様30~32のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
態様34:ステップ(a)(i)において、当該第1の冷媒が、ステップ(a)(i)で製造される当該冷却された第1の冷媒の一部分との間接的な熱交換を介して、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて冷却される、態様30~33のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
態様35:当該方法が、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットにおいて当該LNG流を過冷却することをさらに含む、態様30~34のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
態様36:メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、当該システムが、
MCSG供給流を受け入れ、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を製造するための1つ以上の熱交換器ユニットと、
当該1つ以上の熱交換器ユニットと流動連通していて、かつ直列に配置された、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータであって、当該部分的に液化されたMCSG供給流を、液体流および2つの蒸気流を含む少なくとも3つの流れに分離するために、当該第2の相セパレータが、当該第1の相セパレータと下流で流動連通していており、当該液体流が第1の供給流を形成し、当該蒸気流のうちの一方が第2の供給流を形成し、当該蒸気流のうちの他方が第1の残留ガス流を形成する、第1の相セパレータおよび第2の相セパレータと、
当該第1の供給流を受け入れるための第1の位置にある第1の入口と、当該第2の供給流を受け入れるための第2の位置にある第2の入口であって、当該第2の位置は当該第1の位置の上にある、第2の入口と、を有し、かつ当該第1の位置と第2の位置との間の少なくとも1つの分離段階と、蒸留塔ボトム液から形成されたLNG流を取り出すための当該蒸留塔の底部にある出口と、蒸留塔オーバーヘッド蒸気から形成された第2の残留ガス流を取り出すための当該蒸留塔の頂部にある出口と、を有する蒸留塔と、
を含む、システム。
【0047】
態様37:メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、当該システムが、
MCSG供給流を、第1の部分および第2の部分を含む少なくとも2つの部分に分割するための導管のセットと、
当該第1の部分を受け入れ、第1の冷媒との間接的な熱交換を介して、当該第1の部分を、冷却し、部分的に液化するための第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
当該第2の部分を受け入れ、1つ以上のプロセス流との間接的な熱交換を介して当該第2の部分を、冷却し、部分的に液化するための第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
当該冷却され、部分的に液化された第1の部分と、当該冷却され、部分的に液化された第2の部分とを、受け入れ、組み合わせて、部分的に液化されたMCSG供給流を形成するための導管のセットと、
当該部分的に液化されたMCSG供給流を、受け入れ、かつLNG流および1つ以上の残留ガス流に分離するための、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔と、
を含む、システム。
【0048】
態様38: メタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するためのシステムであって、当該システムが、
第1の冷媒を冷却して、冷却された第1の冷媒を製造するための、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットであって、当該第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは、コイル巻き熱交換器ユニットまたはユニットのセットである、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
当該第1の熱交換器ユニットからの当該冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れを受け入れるための、1つ以上のプロセス流を受け入れるための、かつMCSG供給流を受け入れ、当該冷却された第1の冷媒の1つ以上の流れと、当該1つ以上のプロセス流との間接的熱交換を介して、当該MCSG供給流を、冷却し、部分的に液化して、部分的に液化されたMCSG供給流を形成するための、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットと、
当該部分的に液化されたMCSG供給流を、受け入れ、かつLNG流および1つ以上の残留ガス流に分離するための、1つ以上の相セパレータおよび/または1つ以上の蒸留塔と、
を含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示す概略流れ図である。
【0050】
【
図1A】
図1Aは、
図1の方法およびシステムで使用するのに好適な冷凍システムを示す概略流れ図である。
【0051】
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示す概略流れ図である。
【0052】
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示す概略流れ図である。
【0053】
【
図3A】
図3Aは、
図3の方法およびシステムで使用するのに好適な冷凍システムを示す概略流れ図である。
【0054】
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示す概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書では、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを記載する。
【0056】
本明細書で使用される場合、および別途記載のない限り、冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」および「an」の使用は、そのような制限が具体的に明記されていない限り、その意味を単一の特徴に限定しない。単数または複数の名詞または名詞句に先行する冠詞「the」は、特定の具体的な特徴または特定の具体的な特徴を表し、それが使用される文脈に応じて単数または複数の意味を有し得る。
【0057】
本明細書において、文字が、方法の列挙されたステップ(例えば、(a)、(b)、および(c))を識別するために使用される場合、これらの文字は、方法ステップを参照することを補助するためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されていない限り、かつその順序が具体的に列挙されている範囲のみを除き、特許請求されたステップが実行される特定の順序を示すことを意図していない。
【0058】
本明細書において、方法またはシステムの列挙された特徴を識別するために使用される場合、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、問題の特徴を参照および区別することを補助するためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されない限り、かつその範囲内でのみ、特徴の任意の特定の順序を示すことを意図するものではない。
【0059】
本明細書で使用される場合、本明細書では「MCSG」とも称される「メタン含有合成ガス」という用語は、メタンおよびメタンよりも軽質の成分(すなわち、メタンよりも高い揮発性およびより低い沸点を有する成分)を含むガス、特に、水素および/または一酸化炭素などを指す。本明細書で使用される用語は、メタン分子を含有するガス化合成ガス生成物流および水素および一酸化炭素などの不純物を含有するメタン化プロセスから製造される合成天然ガス流を含む。好ましい実施形態では、メタン含有合成ガス供給流は、10~60mol%のメタンを含むことができ、残りの含有量は、一酸化炭素と水素との混合物であり、任意選択的に、少量の二酸化炭素、水、および/または他の不純物を含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、残留ガスという用語は、MCSG供給流から除去されたメタンよりも軽い成分、特に、水素および/または一酸化炭素などを主として含むガスを指す。好ましい実施形態では、残留ガス流は、10mol%未満のメタン、より好ましくは2mol%未満のメタンを含むことができ、残りは、例えば、水素と一酸化炭素との混合物などのメタンよりも軽い成分からなるか、または実質的になり、任意選択的に、窒素および/またはアルゴンなどの少量の他の成分を含む。
【0061】
本明細書で使用される「液化天然ガス」または「LNG」という用語は、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、および最も好ましくは少なくとも約95モル%の供給流を含む、主にメタンを含む液化ガス流を指す。LNG流は、依然として、MCSG供給流中に存在することができ、プロセスによって除去されていない他の成分を少量、例えば、二酸化炭素またはメタンより重質な炭化水素(例えば、メタン、プロパン、ブタン、ペンタン)などのメタンよりも重質な他の成分(すなわち、揮発性が低く、沸点が高い)を少量、および/もしくは窒素、水素、または一酸化炭素などのメタンよりも軽質な成分を少量含有することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「蒸留塔」という用語は、接触を増加させ、したがって塔内を流れる上向きの上昇蒸気と下向きに流れる液体との間の物質移動を増大させる、パッキングまたはトレイなどのデバイスから構成される1つ以上の分離段階を含有する塔を指す。このようにして、より軽質(すなわち、揮発性がより高く、沸点がより低い)成分の濃度は、塔の頂部で、オーバーヘッド蒸気として捕集される上昇蒸気中で増加し、より重質(すなわち、揮発性がより低く、沸点がより高い)成分の濃度は、塔の底部でボトム液として捕集される下降液中で増加する。蒸留塔の「頂部」とは、最上部の分離段階にある、またはそれよりも上にある、塔の部分を指す。当該塔の「底部」とは、最下部の分離段階にある、またはそれよりも下にある、搭の部分を指す。当該塔の「中間位置」とは、当該搭の頂部と底部との間の位置、すなわち、2つの分離段階の間の位置を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「相セパレータ」という用語は、流れを、その構成成分の蒸気相および液相に分離するために、2つの相流が導入され得るドラムまたは他の形態の容器を指し、容器から出る液体流および蒸気流は平衡状態にある。蒸留塔(塔から出る液体流および蒸気流は平衡状態にない)とは対照的に、相セパレータは、上向きに上昇する蒸気および下向きに流れる液体を接触させるために、容器内にいかなる分離段階(すなわち、パッキンまたはトレイ)も含有していない。
【0064】
本明細書で使用される場合、「流動連通」という用語は、液体、蒸気、および/または二相混合物が、直接的または間接的のいずれかで、制御された様式において(すなわち、漏れなしで)構成要素間で輸送されることを可能にする、2つ以上の構成要素間の接続性の性質を指す。互いに流動連通するように2つ以上の構成要素を結合することは、溶接、フランジ付き導管、ガスケット、およびボルトの使用などの、当該技術分野において既知の任意の好適な方法を含むことができる。2つ以上の構成要素はまた、それらを分離し得るシステムの他の構成要素を介して、例えば、バルブ、ゲート、または流体の流れを選択的に制限もしくは指向し得る他のデバイスを介して、一緒に結合され得る。
【0065】
本明細書において、第2のデバイスまたは構成要素が第1のデバイスまたは構成要素と「下流で」流動連通しているということは、当該第2のデバイスまたは構成要素が、当該第1のデバイスまたは構成要素から流体を直接的または間接的に受け入れるように配置されていることを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「間接的な熱交換」という用語は、2つの流体間の熱交換を指し、当該2つの流体は、何らかの形態の物理的障壁によって互いに分離されたままである。
【0067】
本明細書で使用される場合、「コイル巻き熱交換器ユニット」という用語は、シェルケーシングに包まれた1つ以上の管束を含む、当該技術分野で既知のタイプの熱交換器ユニットを指す。各管束は、複数の管を含み、1つ以上の流体流を熱交換器ユニットに通過させるための1つ以上の流路(管回路とも称される)を画定する管の内側は、本明細書では、熱交換器ユニットの「管側」と称する。シェルケーシングの内部および管の外部の空間は、熱交換器ユニットを通して流体流を通過させるための単一の流路を画定し、シェルケーシングの内部かつ管の外部の当該空間は、本明細書では、熱交換器ユニットの「シェル側」と称する。このようにして、熱交換器のシェル側を通過する流体は、熱交換器の管側を通過する流体と間接的な熱交換を受けることができる。コイル巻き熱交換器ユニットが、「冷たい」冷媒との間接的な熱交換を介して1つ以上の「熱い」流体流を冷却するために使用されている場合、冷却冷媒は、シェル側が管側よりもはるかに低い流量抵抗を提供し、かつはるかに大きな圧力低下を可能にすることから、ほぼ常に熱交換器のシェル側を通過し、これにより、シェル側に冷却冷媒を通過させることは、はるかにより効果的かつ効率的となる(冷却冷媒は、典型的には、比較的低い圧力で気化流体または膨張流体である)。コイル巻き熱交換器は、それらの堅牢性、安全性、および熱移動効率で知られている熱交換器のコンパクトな設計であり、したがって、それらの設置面積(footprint)と比較して非常に効率的なレベルの熱交換を提供するという利点を有する。しかしながら、シェル側は熱交換器を通過する単一の流路のみを画定することから、当該冷媒流の混合が許されない場合、コイル巻き熱交換器において冷却能率を提供するために冷却冷媒の2つ以上の流れを使用することは実用的ではない。
【0068】
ここで、例としてのみ、本発明の様々な例示的な実施形態を、図を参照して説明する。
【0069】
ここで
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムが示してある。
【0070】
例えば、周囲温度および高圧、典型的には20~80baraである、水素と、一酸化炭素と、二酸化炭素と、窒素と、水と、メタンと、エタンと、他の炭化水素との混合物を含む合成ガス流100などのMCSG供給流100は、最初に、前処理システム105に送られ得る。MCSG供給流の組成に応じて、前処理システムは、硫化水素および二酸化炭素不純物を除去するための酸性ガス除去ユニット、水を除去するための脱水ユニット、および水銀を除去するための水銀除去ユニットを含むことができる。LPG(液化石油ガス)成分、凍結可能なペンタン、およびより重質な成分が除去される重質成分除去ステップもまたあり得る。このように、前処理セクション105を出るMCSG供給流111の流量および組成は、当該前処理セクション105に入るMCSG供給流100の流量および組成とは有意に異なる場合があるが、MCSG供給流は、依然として、メタンおよびメタンよりも軽質な成分、特に、水素および一酸化炭素を含む。
【0071】
次いで、前処理セクション105を出るMCSG供給流111は、典型的には周囲温度であり、2つの流れ、すなわち、第1の流れ113および第2の流れ115に分割される。好ましくは、MCSG供給流111の少量部分、例えば、MCSG供給流111の流れの10~40パーセント、より好ましくは20~30パーセントからなる第1の流れ113は、第1の交換器ユニットまたはユニットのセット114に送られる。MCSG供給流111の流れの残りからなり、したがって好ましくは当該流れの大部分からなる第2の流れ115は、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット116に送られる。第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット116は、例えば、プレートフィン熱交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン熱交換器ユニットを含み得る。第1の流れ113および第2の流れ115は、それぞれ、第1の熱交換器ユニット114および第2の熱交換器ユニット116で冷却され、部分的に液化され、各々-130℃~-160℃、より好ましくは-140℃~-150℃の温度である第1の冷却された、かつ部分的に液化された流れ120および第2の冷却された、かつ部分的に液化された流れ117をそれぞれ形成する。次いで、第1および第2の冷却された、かつ部分的に液化された流れ120、117は、組み合わされて(第2の冷却された、かつ部分的に液化された流れ117の圧力は、最初に、必要に応じて調節され、例えば、圧力調整器バルブ117Aを介して、当該流れ117のフローを制御する)、直列に配置された第1の相セパレータ140および第2の相セパレータ135を使用して分離される部分的に液化されたMCSG供給流130を形成し、第2の相セパレータは、第1の相セパレータと下流で流動連通している。
【0072】
より具体的には、部分的に液化されたMCSG供給流130は、最初に、第1の相セパレータ140に導入され、この場合、第1の相セパレータ140は、フラッシュドラムであり、そこでは、部分的に液化されたMCSG供給流がフラッシュされ、第1の供給流152を形成する液体蒸気(liquid steam)と、蒸気流(vapor stream)141とに分離される。蒸気流141は、第2の供給流143(好ましくは蒸気流141のフローの60~90パーセントまたはより好ましくは70~80パーセントからなる)および第3の供給流142(蒸気流141の残り、すなわち、好ましくは当該流れのフローの10~40パーセント、より好ましくは20~30パーセントからなる)を形成するように分割される。第3の供給流142は、-170℃~-200℃、より好ましくは-180℃~-190℃の温度で、さらに冷却され、部分的に液化されて、部分的に液化された第3の供給流133を形成する。次いで、部分的に液化された第3の供給流133は、第2の相セパレータ135中に導入され、この場合、第2の相セパレータ135は、フラッシュドラムであり、そこでは、部分的に液化された第3の供給流は、フラッシュされ、第4の供給流150を形成する液体流と第1の残留ガス流137を形成する蒸気流とに分離される。
【0073】
第3の供給流142は、
図1に示したように、第3の供給流142を第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット131を通過させることによって、さらに冷却され、部分的に液化されて、部分的に液化された第3の供給流133を形成することができ、当該ユニットは、例えば、プレートフィン交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン交換器ユニットを含み得る。あるいは、第3の熱交換器ユニットは、第2の熱交換器ユニットと組み合わせて、単一のユニット、または並列したユニットのセットにすることができ、流れ115は、当該ユニットのより温かいセクションで冷却され、流れ142は、当該ユニットのより冷たいセクションで冷却される。
【0074】
第1の供給流152および第4の供給流150は、例えば、流れ152をJ-Tバルブ152Aに通過させ、流れ150をJ-Tバルブ150Aに通過させることによって、圧力が低減され、その後、当該流れの各々は、二相となる。第2の供給流143は、例えば、膨張器179で流れを膨張させることによって圧力が低減され、その後、当該第2の供給流151は、蒸気または二相になり得る。膨張器179からの膨張物(expansion work)は、例えば、膨張器を、供給ガスまたは残留ガスを圧縮するコンプレッサに結合することによって回収することができ、または例えば、発電機において回収することができる。次いで、第1の供給流152、第2の供給流151、および第4の供給流150は、以下でさらに説明されるように、蒸留塔145の異なる位置に各々導入され、蒸留塔145は、1.0~5.0bara、より好ましくは1.5~3.5baraの圧力で作動する。
【0075】
第1の供給流152は、
図1において、塔のセクション145Cによって表される塔の1つ以上の分離段階の上にあって、かつ、
図1において、塔のセクション145Bによって表される塔の1つ以上の分離段階の下にある第1の位置で蒸留塔145に導入される。第2の供給流151は、セクション145Bによって表される塔の1つ以上の分離段階の上にあって、かつ、
図1において、塔のセクション145Aによって表される塔の1つ以上の分離段階の下にある第2の位置で蒸留塔に導入される。第4の供給流150は、セクション145Aによって表される塔の1つ以上の分離段階の上にあって、塔の頂部にある第3の位置で蒸留塔に導入され、それによって塔への還流源を提供する。
【0076】
蒸留塔145のリボイラ能率は、(MCSG供給流を分割することから得られた)第2の流れ115との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット116で蒸留塔ボトム液153の流れを、加温し、それによって少なくとも部分的に気化させ、それによって蒸留塔の底部に再導入される(当該部分的に気化された蒸留塔ボトム液から形成された)煮沸流れ154を形成することによって提供される。
【0077】
蒸留塔ボトム液から形成されたLNG流180は、-130℃~-160℃、より好ましくは-140℃~-150℃の温度で、蒸留塔145の底部から取り出され、好ましくは、ポンプ181で圧力を増加させ、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット114に(流れ183として)送られ、かつ通過して、過冷却されて、LNG貯蔵容器にオンサイトで貯蔵することができるか、または(例えば、パイプラインまたは輸送容器を介して)オフサイトで直接移送することができる過冷却LNG生成物流187を形成する。LNG流180、187は、典型的には、1モル%以下の窒素、好ましくは0.5mole%未満の窒素を含有し、好ましくは、10ppm以下の一酸化炭素含有量も有する。MCSG供給流111からLNG流180、187で回収されたメタンの割合は、95%を超える場合がある。
【0078】
蒸留塔のオーバーヘッド蒸気で形成された第2の残留ガス流160は、蒸留塔145の頂部から、-170℃~-200℃、より好ましくは-180℃~-190℃の温度で取り出され、典型的には、95モル%超、好ましくは98モル%超の水素および一酸化炭素を含有する。
【0079】
第1の残留ガス流137および第2の残留ガス流160は、各々、第3の供給流142との間接的な熱交換を介して、第3の熱交換ユニットまたはユニットのセット131を通過し、加温され、次いで、各々(流れ138および161を参照されたい)は、MCSG供給流を分割することから得られた第2の流れ115との間接的熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット116を通過し、さらに加温される(または、第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされる代替の実施形態では、第1の残留ガス流137および第2の残留ガス流160は、当該組み合わされたユニットのより冷たいセクションで加温され、次いで、当該組み合わされたユニットのより温かいセクションでさらに加温される)。次いで、得られた加温された第2の残留ガス流162は、コンプレッサ163およびアフタークーラー165で圧縮され、冷却された後、得られた加温された第1の残留ガス流139と混合されて、組み合わされた残留ガス流173を形成する。残留ガス流173は、プラント用の燃料として使用することができるか、またはさらなる精製、分離、および/または化学合成のために下流のユニットに送ることができる。任意選択的に、流れ139の一部分またはすべてを精製して、水素製品を作ることができ、また残留ガス流170と流れをと組み合わせることができる。
【0080】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット114は、例えば、
図1Aに示したように、好ましくは、コイル巻きユニットまたはユニットのセットである。天然ガス(合成または代替の天然ガスを含む)の液化のための当該技術分野で知られているような任意の種類の冷蔵プロセスは、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット114において、例えば、単一の混合冷媒プロセス、二重混合冷媒プロセス、プロパン、アンモニアまたはHFC予備冷却混合冷媒プロセス、窒素、メタン、またはエタンを使用する逆ブレイトンサイクル、または複数の流体カスケードサイクルにおいて、使用され得る。しかしながら、例示的な実施形態では、
図1Aに示したようなSMR(単一混合冷媒)プロセスが使用され得る。
【0081】
図1Aに示したように、コイル巻き熱交換器ユニット114は、温管束114Aを含む温セクションと、冷管束114Bを含む冷セクションとを含む(用語「温」および「冷」は相対的なものである)。MCSG供給流の分割により得られた第1の流れ113は、温管束114Aを通過し、冷却され、部分的に液化されて、第1の冷却された、部分的に液化された流れ120を形成する。LNG蒸気183は、冷管束114Bを通過し、過冷却されて、過冷却されたLNG生成物流187を形成する。冷却能率は、熱交換器ユニットのシェル側を通過する混合冷媒を気化させることによって、コイル巻き熱交換器ユニットの温管束および冷管束に付与される。熱交換器ユニットのシェル側に気化低温混合冷媒を供給するために使用される
図1Aに示したSMRサイクルは、当該技術分野で周知のものであるため、簡潔のために、本明細書ではここでは大まかに説明するのみである。極めて簡単に言えば、熱交換器ユニットの底部におけるシェル側から取り出された加温された気化混合冷媒は、1つ以上のコンプレッサ段階115A、115B、アフタークーラー、および相セパレータを含む圧縮トレインにおいて、1つ以上のMRL(混合冷媒液)流(図には2つ示されている)および1つ以上のMRV(混合冷媒蒸気)流(図には1つ示されている)に圧縮、冷却、および分離される。MRL流は、温管束を通過して冷却され、J-Tバルブを通過して膨張され、組み合わされ、温管束の頂部にある熱交換器ユニットのシェル側へと導入されて、温管束の管の周りのシェル側を通って下方に流れる気化冷媒を提供する。MRV流は、冷管束および温管束を通過して冷却され、少なくとも部分的に液化され、J-Tバルブを通って膨張され、冷管束の頂部にある熱交換器ユニットのシェル側へと導入されて、冷管束および温管束の管の周りのシェル側を通って下方に流れる気化冷媒を提供する。
【0082】
図1の方法およびシステムは、高いメタン回収率を有する高純度のメタンに富むLNG製品を製造する。それは、単一の蒸留塔と、製造される残留ガスの一部分部のみ(すなわち、第2の残留ガス流に含有される残留ガスのみ)の再圧縮を必要とするため、複数の蒸留塔、製造されたすべての残留ガスの再圧縮、および製造されたすべての残留ガスを圧縮できるコンプレッサを必要とするシステムと比較して、システムの資本および運転コストは削減され、ならびに設置面積が低減される。これは、コイル巻き熱交換器ユニットの使用を可能にし、それによって、それらのコンパクトな設計、堅牢性、安全性、および熱移動効率に関して係るユニットによってもたらされる利点も利用することができ、さらに設置面積を低減し、システムおよびプロセスの効率を向上させる。また、第2および第3の熱交換器ユニットにおける二相冷媒の使用も回避され、それは、考察したように、例えば、プレートフィン交換器ユニットであることができる、それによって、そのようなタイプの熱交換器におけるそのような冷媒の使用から生じ得る操作上の困難を回避することができる。
【0083】
図2は、本発明の第2の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示している。
図2に示した実施形態は、部分的に液化されたMCSG供給流が、第1および第2の相セパレータによって分離される様式、ならびに還流が蒸留塔に提供される様式に関して、
図1に示したものとは異なる。
【0084】
例えば、周囲温度および高圧、典型的には20~80baraの水素と、一酸化炭素と、二酸化炭素と、窒素と、水と、メタンと、エタンと、他の炭化水素との混合物を含む合成ガス流200などのMCSG供給流200は、最初に、前処理システム205に送られ得る。MCSG供給流の組成に応じて、前処理システムは、硫化水素および二酸化炭素不純物を除去するための酸性ガス除去ユニット、水を除去するための脱水ユニット、および水銀を除去するための水銀除去ユニットを含むことができる。LPG(液化石油ガス)成分、凍結可能なペンタン、およびより重質な成分が除去される重質成分除去ステップもまたあり得る。このように、前処理セクション205を出るMCSG供給流211の流量および組成は、当該前処理セクション205に入るMCSG供給流200の流量および組成とは有意に異なる場合があるが、MCSG供給流は、依然として、メタンおよびメタンよりも軽質な成分、特に、水素および一酸化炭素を含む。
【0085】
次いで、前処理セクション205を出るMCSG供給流211は、典型的には周囲温度であり、2つの流れ、すなわち、第1の流れ213および第2の流れ215に分割される。好ましくは、MCSG供給流211の少量部分、例えば、MCSG供給流211の流れの10~40パーセント、より好ましくは20~30パーセントからなる第1の流れ213は、第1の交換器ユニットまたはユニットのセット214に送られる。MCSG供給流211の流れの残りからなり、したがって好ましくは当該流れの大部分からなる第2の流れ215は、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット216に送られる。第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット216は、例えば、プレートフィン熱交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン熱交換器ユニットを含み得る。第1の流れ213および第2の流れ215は、それぞれ、第1の熱交換器ユニット214および第2の熱交換器ユニット216で冷却され、部分的に液化され、各々-120℃~-150℃、より好ましくは-130℃~-140℃の温度である第1の冷却された、部分的に液化された流れ220および第2の冷却された、部分的に液化された流れ217を形成する。次いで、第1および第2の冷却された、部分的に液化された流れ220、217は、組み合わされ(第2の冷却された、部分的に液化された流れ217の圧力は、最初に、必要に応じて調節され、例えば、バルブ217Aを介して、流れ217のフローを制御する)、部分的に液化されたMCSG供給流230を形成する。
【0086】
次いで、部分的に液化されたMCSG供給流230は、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット231でさらに冷却され(かつさらに部分的に液化され)、-155℃~-185℃、およびより好ましくは-165℃~-175℃の温度で、部分的に液化されたMCSG供給流233を形成する。第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット231は、例えば、プレートフィン交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン交換器ユニットを含み得る。別の実施形態(示されていない)では、第3の熱交換器ユニットは、第2の熱交換器ユニットと組み合わせて、単一のユニット、または並列したユニットのセットにすることができ、流れ215は、当該ユニットのより温かいセクションで冷却され、流れ230は、当該ユニットのより冷たいセクションで冷却される。
【0087】
次いで、部分的に液化されたMCSG供給流233は、直列に配置された第1の相セパレータ235および第2の相セパレータ240を使用して分離され、第2の相セパレータは、第1の相セパレータと下流で流動連通している。より具体的には、部分的に液化されたMCSG流233は、最初に、第1の相セパレータ235に導入され、この場合、第1の相セパレータ235は、フラッシュドラムであり、そこでは、部分的に液化されたMCSG供給流がフラッシュされ、第3の供給流236を形成する液体蒸気(liquid steam)と、第1の残留ガス流237を形成する蒸気流(vapor stream)とに分離される。第3の供給流236は、例えば、当該流れをJ-Tバルブ237Aを通過させることによって、圧力が低減され、部分的に気化され、その後、当該流れは二相であり、その後、部分的に気化された二相の第3の供給流は、次いで、第2の相セパレータ240に導入され、この場合、第2の相セパレータ240は、フラッシュドラムであり、そこでは、部分的に液化された第3の供給流は、フラッシュされ、第1の供給流242を形成する液体流と第2の供給流251を形成する蒸気流とに分離される。
【0088】
第2の相セパレータ240において液体レベルを制御するためにバルブ242Aによって制御されるフローである第1の供給流242は、部分的に液化されたMCSG供給流230との間接的な熱交換を介して、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット231を通過し、加温され、その後、当該流れは二相となる(または、第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされる代替の実施形態では、第3の供給流242は、当該組み合わされたユニットのより冷たいセクションで加温される)。次いで、第1の供給流252および第2の供給流251は、以下でさらに説明されるように、蒸留塔245の異なる位置に各々導入され、蒸留塔245は、3.0~7.0bara、より好ましくは4.5~5.5baraの圧力で作動する。
【0089】
第1の供給流252は、
図2において、塔のセクション245Cによって表される塔の1つ以上の分離段階の上にあって、かつ、
図1において、塔のセクション245Bによって表される塔の1つ以上の分離段階の下にある第1の位置で蒸留塔245に導入される。第2の供給流251は、セクション245Bによって表される塔の1つ以上の分離段階の上にあって、かつ、
図2において、塔のセクション245Aによって表される塔の1つ以上の分離段階の下にある第2の位置で蒸留塔に導入される。
【0090】
蒸留塔245のリボイラ能率は、(MCSG供給流を分割することから得られた)第2の流れ215との間接的な熱交換を介して、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット116で蒸留塔ボトム液253の流れを、加温し、それによって少なくとも部分的に気化させ、それによって蒸留塔の底部に再導入される(当該部分的に気化された蒸留塔ボトム液から形成された)煮沸流れ254を形成することによって提供される。
【0091】
蒸留塔ボトム液から形成されたLNG流280は、-125℃~-155℃、より好ましくは-135℃~-145℃の温度で、蒸留塔245の底部から取り出され、好ましくは、ポンプ181で圧力が増加され、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット214に(流れ283として)送られ、かつ通されて、過冷却されて、LNG貯蔵容器にオンサイトで貯蔵することができるか、または(例えば、パイプラインまたは輸送容器を介して)オフサイトで直接移送することができる過冷却LNG生成物流287を形成する。LNG流280、287は、典型的には、1モル%以下の窒素、好ましくは0.5モル%未満の窒素を含有し、好ましくは、10ppm以下の一酸化炭素含有量も有する。MCSG供給流211からLNG流280、287で回収されたメタンの割合は、95%を超える場合がある。
【0092】
蒸留塔のオーバーヘッド蒸気で形成された第2の残留ガス流260は、蒸留塔245の頂部から、-160℃~-190℃、より好ましくは-170℃~-180℃の温度で取り出され、典型的には、95モル%超、好ましくは98モル%超の水素および一酸化炭素を含有する。
【0093】
第1の残留ガス流237および第2の残留ガス流260は、各々、第3の熱交換ユニットまたはユニットのセット231を通過し、加温され、次いで、各々(流れ238および261を参照されたい)は、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット216を通過し、さらにそこで加温されて、加温された第1の残留ガス流239および加温された第2の残留ガス流262をもたらす(または、第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされる代替の実施形態では、第1の残留ガス流237および第2の残留ガス流260は、当該組み合わされたユニットのより冷たいセクションで加温され、次いで、当該組み合わされたユニットのより温かいセクションでさらに加温される)。次いで、加温された第2の残留ガス流262は、コンプレッサ263およびアフタークーラー265で圧縮され、冷却されて、圧縮された第2の残留ガス流270を形成し、次いで2つの部分271、275に分割される。
【0094】
好ましくは、圧縮された第2の残留ガス流270の少量部分からなる、例えば、当該流れのフローの10%~30%、より好ましくは15%~25%からなる、圧縮された第2の残留ガス流の第1の部分271は、加温された第1の残留ガス流239と混合されて、組み合わせられた残留ガス流273を形成する。残留ガス流273は、プラント用の燃料として使用することができるか、またはさらなる精製、分離、および/または化学合成のために下流のユニットに送ることができる。任意選択的に、流れ239の一部分またはすべてを精製して、水素製品を作ることができ、また残留ガス流271と組み合わせることができる。
【0095】
圧縮された第2の残留ガス流270のフローの残りからなり、したがって好ましくは当該流れの大部分からなる、圧縮された第2の残留ガス流の第2の部分275は、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット216を、通過し、冷却されて(または、第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされる代替の実施形態では、第2の部分275は、当該組み合わされたユニットのより温かいセクションにおいて冷却される)、-120℃~-150℃、より好ましくは-130℃~-140℃の温度で冷却流277を形成する。次いで、当該冷却流277は、膨張器279において膨張されて、-160℃~-190℃、より好ましくは-170℃~-180℃の温度を有する、少なくとも部分的に液化された還流流250を形成し、それは、セクション245Aによって表される蒸留塔の1つ以上の分離段階の上にあって、かつ蒸留塔の頂部にある第3の位置で蒸留塔245に導入され、それによって蒸留塔へ還流源を提供する。膨張器279からの膨張物は、例えば、膨張器を、供給ガスまたは残留ガスを圧縮するコンプレッサに結合することによって回収することができ、または例えば、発電機において回収することができる。
【0096】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット214は、例えば、
図1Aに示したように、好ましくは、コイル巻きユニットまたはユニットのセットである。天然ガス(合成または代替の天然ガスを含む)の液化のための当該技術分野で知られているような任意の種類の冷蔵プロセスは、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット214において、例えば、単一の混合冷媒プロセス、二重混合冷媒プロセス、プロパン、アンモニアまたはHFC予備冷却混合冷媒プロセス、窒素、メタン、またはエタンを使用する逆ブレイトンサイクル、または複数の流体カスケードサイクルにおいて、使用され得る。しかしながら、例示的な実施形態では、
図1Aに示し、上記したようなSMR(単一混合冷媒)プロセスが使用され得る。
【0097】
図2の方法およびシステムは、上記の
図1の方法およびシステムと同じ利点および利点を有する。
図1に示した実施形態と比較して、
図2に示した実施形態は、非常に低いメタン含有量を有する還流を用いることによって、さらに高いメタン回収率を達成することができ、したがって、プロセスのメタン回収率をさらに向上させることができる。しかしながら、
図1に示した実施形態は、
図2に示した実施形態と比較して、より良好な比出力を有する。
【0098】
図3は、本発明の第3の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示している。
図3において、
図1に示した第1の実施形態と共有される特徴は、200倍増加した同じ参照番号が割り当てられている。したがって、例えば、
図3における部分的に液化されたMCSG供給流330は、
図1における部分的に液化されたMCSG供給流130に対応し、
図3における蒸留塔345は、
図1に示した蒸留塔145に対応している。
図3の特徴が、
図1の対応する特徴とは異なるものとして具体的に説明されない限り、その特徴は、上記した
図1の対応する特徴と同じ構造および機能を有すると仮定することができる。さらに、その特徴が異なる構造または機能を有しない場合、以下の
図3のさらなる説明では特に言及しない場合もある。
【0099】
図3に示した実施形態は、MCSG供給流が冷却されて部分的に液化されたMCSG供給流を形成する様式に関して、および第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが使用され、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは冷媒を供給するために使用され、それによって第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセットおよび第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットに追加の冷媒を供給するために使用される様式に関して、
図1に示したものと異なる。
【0100】
より具体的には、
図3では、前処理セクション305を出るMCSG供給流311の全体が、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット316に送られ、そこを通過し、そこでは、MCSG供給流311は、-130℃~-160℃、より好ましくは-140℃~-150℃の温度で、部分的に液化されたMCSG供給流330を形成するように冷却され、部分的に液化され、次いで、(
図1に関して上記したように)直列に配置された第1の相セパレータ340および第2の相セパレータ335を使用して分離される。
図1に関して上記したように、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット316は、例えば、プレートフィン熱交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン熱交換器ユニットを含み得る。
【0101】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314は、MCSG供給流の任意の部分を受け入れ冷却するために使用されない。代わりに、
図3に示した配置では、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314を使用して、第1の冷媒を冷却し、冷却された第1の冷媒390の流れを製造し、それは、
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314から取り出され、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット331を通過し、第3の供給流342との間接的な熱交換を介して加温され、それによって、追加の冷蔵(第1の残留ガス流337および第2の残留ガス流360と共に)を当該ユニットに提供する。次いで、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット331から出る第1の冷媒392の得られた流れは、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット316を通過し、MCSG供給流311との間接的な熱交換を介して、さらに加温され、それによって、追加の冷蔵(第1の残留ガス流338、第2の残留ガス流361、および蒸留塔ボトム液353の流れと共に)を当該ユニットに提供する。次いで、得られた第1の冷媒395の加温された流れは、第1の熱交換器ユニットまたはユニット314のセットに戻され、当該ユニットで再び冷却される。第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされるそれらの代替の実施形態では、冷却された第1の冷媒390の流れは、代わりに、当該組み合わされたユニットのより冷たいセクションで加温され、次いで、当該組み合わされたユニットのより温かいセクションでさらに加温される。
【0102】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314は、例えば、
図3Aに示したように、好ましくは、コイル巻きユニットまたはユニットのセットである。天然ガス(合成または代替の天然ガスを含む)の液化のための当該技術分野で知られているような任意の種類の冷蔵プロセスは、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314において、例えば、単一の混合冷媒プロセス、二重混合冷媒プロセス、プロパン、アンモニアまたはHFC予備冷却混合冷媒プロセス、窒素、メタン、またはエタンを使用する逆ブレイトンサイクル、または複数の流体カスケードサイクルにおいて、使用され得る。しかしながら、例示的な実施形態では、第1の冷媒が混合冷媒である
図3Aに描写されるようなSMR(単一混合冷媒)プロセスを使用してもよい。
【0103】
図3Aに示したように、コイル巻き熱交換器ユニット314は、温管束314Aを含む温セクションと、冷管束314Bを含む冷セクションとを含む(用語「温」および「冷」は相対的なものである)。LNG蒸気383は、冷管束114Bを通過し、過冷却されて、過冷却されたLNG生成物流387を形成する。冷却能率は、熱交換器ユニットのシェル側を通過し、加温し、気化する冷却された第1の冷媒によって、コイル巻き熱交換器ユニットの温管束および冷管束に付与される。第1の冷媒を冷却するために使用される
図3Aに示したSMRサイクルは、当該技術分野で周知のものであるため、簡潔のために、本明細書では大まかに説明するだけである。極めて簡単に言えば、熱交換器ユニットの底部のシェル側から取り出された加温され気化された第1の冷媒は、加温され気化された第1の冷媒395の流れ(第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット314から戻る)と組み合わされ、1つ以上のコンプレッサ、アフタークーラー、および相セパレータを含む圧縮トレインにおいて、1つ以上のMRL(混合冷媒液体)流(図では2つ示されている)、および1つ以上のMRV(混合冷媒蒸気)流(図には1つ示されている)に圧縮、冷却、および分離される。MRL流は、温管束を通過して冷却され、J-Tバルブを通って膨張され、温管束の頂部にある熱交換器ユニットのシェル側へと、組み合わされ、導入されて、温管束の管の周りのシェル側を通って下方に流れる気化している第1の冷媒を提供する。
【0104】
MRV流は、温管束および冷管束を通過し、そこで、冷却され、少なくとも部分的に液化されて、冷却された第1の冷媒の流れを形成し、その冷却された第1の冷媒は、冷管束の頂部から取り出され、膨張され、分割されて、冷却された第1の冷媒390の流れ(第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット331および第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット316において、上記のように、加温され、この場合、気化される)と、冷管束の頂部で第1の熱交換器ユニット314のシェル側に導入されて、温管束および冷管束の管の周りのシェル側を通って下方に流れる気化している第1の冷媒を提供する冷却された第1の冷媒の流れと、を形成する。冷管束の頂部から取り出される冷却された第1の冷媒の流れは、例えば、当該流れを、J-Tバルブを通過させることによって膨張させることができ、次いで分割されて、冷却された第1の冷媒390の流れと、
図3Aに示したように、冷管束の頂部で第1の熱交換器ユニット314のシェル側に導入される冷却された第1の冷媒の流れと、を形成することができる。あるいは、冷管束の頂部から取り出される冷却された第1の冷媒の流れは、最初に分割することができ、次いで、得られた分割された流れは、(例えば、別個のJ-Tバルブを使用して)別々に膨張され得る。
【0105】
図3の方法およびシステムは、上記の
図1の方法およびシステムと同様な利点および利益を有する。
図1に示した実施形態と比較して、
図3に示した実施形態は、第1の熱交換器ユニットと第2の熱交換器ユニットとの間でMCSG供給流を分割および分配するこれらの必要性を回避するが、第2および/または第3の熱交換器ユニットにおいて二相冷媒の使用を必要とする潜在的な欠点を有する(すなわち、第2および/または第3の熱交換器ユニットで使用される第1の冷媒は二相である)。
【0106】
図4は、本発明の第4の実施形態による、MCSGからLNGを製造するための方法およびシステムを示している。
図4において、
図2に示した第2の実施形態と共有される特徴は、200倍増加した同じ参照番号が割り当てられている。したがって、例えば、
図4における部分的に液化されたMCSG供給流430は、
図2における部分的に液化されたMCSG供給流230に対応し、
図4における蒸留塔445は、
図1における蒸留塔445に対応している。
図4の特徴が、
図2の対応する特徴とは異なるものとして具体的に説明されない限り、その特徴は、上記した
図2の対応する特徴と同じ構造および機能を有すると仮定することができる。さらに、その特徴が異なる構造または機能を有しない場合、以下の
図4のさらなる説明では特に言及しない場合もある。
【0107】
図4に示した実施形態は、MCSG供給流が冷却されて部分的に液化されたMCSG供給流を形成する様式に関して、および第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットが使用され、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセットは冷媒を供給するために使用され、それによって第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセットおよび第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセットに追加の冷媒を供給するために使用される様式に関して、
図1に示したものと異なる。
【0108】
より具体的には、
図4では、前処理セクション405を出るMCSG供給流411の全体が、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット416に送られ、そこを通過し、そこでは、MCSG供給流411は、-120℃~-150℃、より好ましくは-130℃~-140℃の温度で、部分的に液化されたMCSG供給流430を形成するように冷却され、部分的に液化され、次いで、(
図2に関して上記したように)直列に配置された第1の相セパレータ435および第2の相セパレータ440を使用して分離される。
図2に関して上記したように、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット416は、例えば、プレートフィン熱交換器ユニットまたは並列に配置された複数のプレートフィン熱交換器ユニットを含み得る。
【0109】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット414は、MCSG供給流の任意の部分を受け入れ冷却するために使用されない。代わりに、
図4に示した配置では、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット414を使用して、第1の冷媒を冷却し、冷却された第1の冷媒490の流れを製造し、それは、
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット414から取り出され、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット431を通過し、そこで、部分的に液化されたMCSG供給流430との間接的な熱交換を介して加温され、それによって、追加の冷蔵(第1の残留ガス流437、第2の残留ガス流460、および第1の供給流442と共に)を当該ユニットに提供する。次いで、第3の熱交換器ユニットまたはユニットのセット431から出る第1の冷媒492の得られた流れは、第2の熱交換器ユニットまたはユニットのセット416を通過し、MCSG供給流411との間接的な熱交換を介して、さらに加温され、それによって、追加の冷蔵(第1の残留ガス流438、第2の残留ガス流461、および蒸留塔ボトム液453の流れと共に)を当該ユニットに提供する。次いで、得られた第1の冷媒495の加温された流れは、第1の熱交換器ユニットまたはユニット414のセットに戻され、当該ユニットで再び冷却される。第3の熱交換器ユニットが第2の熱交換器ユニットと組み合わされるそれらの代替の実施形態では、冷却された第1の冷媒490の流れは、代わりに、当該組み合わされたユニットのより冷たいセクションで加温され、次いで、当該組み合わされたユニットのより温かいセクションでさらに加温される。
【0110】
第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット414は、例えば、
図3Aに示したように、好ましくは、コイル巻きユニットまたはユニットのセットである。天然ガス(合成または代替の天然ガスを含む)の液化のための当該技術分野で知られているような任意の種類の冷蔵プロセスは、第1の熱交換器ユニットまたはユニットのセット414において、例えば、単一の混合冷媒プロセス、二重混合冷媒プロセス、プロパン、アンモニアまたはHFC予備冷却混合冷媒プロセス、窒素、メタン、またはエタンを使用する逆ブレイトンサイクル、または複数の流体カスケードサイクルにおいて、使用され得る。しかしながら、例示的な実施形態では、
図3Aに示し、上記したようなSMR(単一混合冷媒)プロセスが使用され得る。
【0111】
図4の方法およびシステムは、上記の
図3の方法およびシステムと同じ利点および利点を有する。
図3に示した実施形態と比較して、
図4に示した実施形態は、非常に低いメタン含有量を有する還流を用いることによって、さらに高いメタン回収率を達成することができ、したがって、プロセスのメタン回収率をさらに向上させることができる。しかしながら、
図3に示した実施形態は、
図4に示した実施形態と比較して、より良好な比出力を有する。
【0112】
例1
本実施例では、
図1に示したようなメタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法およびシステムを、Aspenバージョン10を使用してシミュレートした。以下の表1は、シミュレーションからの流れデータを示している。本実施例では、残留ガスコンプレッサ163は、およそ61.8MWの破断馬力を有する4段階を有し、混合冷媒コンプレッサ115Aおよび115Bは、およそ30.3MWの破断馬力を有し、膨張器179は、10.5MWの仕事を抽出し、プロセスは、95%のメタン回収率を有する。
表1:熱および材料の平衡
【表1】
【0113】
例2
本実施例では、
図2に示すメタン含有合成ガス(MCSG)から液化天然ガス(LNG)を製造するための方法およびシステムを、Aspenバージョン10を使用してシミュレートした。以下の表2は、シミュレーションからの流れデータを示している。
表2:熱および材料の平衡
【表2】
【0114】
本実施例の方法およびシステムは、ヒートポンプ(膨張器279)を使用して、極めて高い製品回収を可能とする。これは、極めて低いメタン含有量によって高純度還流を製造し、実施例1のプロセスと比較してプロセスのメタン回収率を向上させる。しかしながら、実施例1のプロセスは、実施例2のプロセスと比較して、848.5kW-hr/トン対922.6kW-hr/トンのより良い比出力を有する。
【0115】
本発明は、好ましい実施形態に関して上に記載した詳細に限定されず、以下の特許請求の範囲で定義される発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の修正および変更をなし得ることが理解されよう。
【外国語明細書】