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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074903
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】農作物処理装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20230523BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A01G9/14 Z
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188084
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】521507198
【氏名又は名称】プロダクトソリューションエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395018251
【氏名又は名称】マッスル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】廣畠 健一
(72)【発明者】
【氏名】玉井 博文
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029GA10
(57)【要約】
【課題】農作物処理装置を小型化しつつ安価に構成するだけでなく、農作物栽培用ハウスへの設置の自由度を向上する。
【解決手段】農作物栽培用ハウス10内で栽培される農作物を処理する農作物処理装置100であって、農作物の植栽方向に沿って配置された一対の既設資材12に着脱可能に固定される一対の固定フレーム21、22と、一対の固定フレーム21、22に架け渡されたワイヤ3と、ワイヤ3に固定され、農作物に対して所定の処理を行う作動部4と、固定フレーム21、22に対してワイヤ3を送り出して、作動部4を農作物に対して移動させる駆動部5とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物栽培用ハウス内で栽培される農作物を処理する農作物処理装置であって、
前記農作物の植栽方向に沿って配置された一対の既設資材に着脱可能に固定される一対の固定フレームと、
前記一対の固定フレームに架け渡されたワイヤと、
前記ワイヤに固定され、前記農作物に対して所定の処理を行う作動部と、
前記固定フレームに対して前記ワイヤを送り出して、前記作動部を前記農作物に対して移動させる駆動部とを備える農作物処理装置。
【請求項2】
前記一対の固定フレームを前記既設資材に着脱可能に固定する固定機構をさらに備えており、
前記固定機構は、前記既設資材に設けられたベース部材と、前記固定フレームに設けられ、前記ベース部材に対して着脱されるアタッチメント部とを有する、請求項1に記載の農作物処理装置。
【請求項3】
前記一対の固定フレームが前記既設資材から取り外された状態で、前記駆動部が前記ワイヤを巻き取り、前記一対の固定フレームの距離を縮めて人手により持ち運びできる、請求項1又は2に記載の農作物処理装置。
【請求項4】
前記一対の既設資材は、前記農作物栽培用ハウス内に形成された畝に沿って配置されたものであり、
前記一対の固定フレームを前記既設資材に固定することによって、前記作動部が前記畝に植栽された農作物に対して側方から所定の処理を行う、請求項1乃至3の何れか一項に記載の農作物処理装置。
【請求項5】
前記作動部は、前記農作物を撮像するカメラである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の農作物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニールハウス等の農作物栽培ハウス内で農作物を処理するシステムが種々考えられている。例えば、特許文献1に示すように、植物体の畝の両端部近傍に設けられた脚部と、当該脚部に架設されたレールと、当該レールに移動可能に設けられた音波照射部と、当該音波照射部を移動させる駆動機構とを備えた農業用音波照射システムが考えられている。
【0003】
上記のシステムは、レールがステンレスや樹脂製のパイプから構成されており、当該レールは脚部に架設される代わりに、栽培ハウスの天井等の構造材から吊架されたワイヤーローブ等の吊架部材によりレールを吊架する構成も採用しうる。
【0004】
しかしながら、上記の装置では、栽培ハウスの天井等の構造材から吊架部材によりレールを吊架する構成であり、システムを設置するための設備が大掛かりとなってしまうだけでなく、高価になってしまう。また、レールを用いているので、設置の自由度が制約されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-143751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述したような問題に鑑みてなされたものであり、農作物処理装置を小型化しつつ安価に構成するだけでなく、農作物栽培用ハウスへの設置の自由度を大きくすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る農作物処理装置は、農作物栽培用ハウス内で栽培される農作物を処理する農作物処理装置であって、前記農作物の植栽方向に沿って配置された一対の既設資材に着脱可能に固定される一対の固定フレームと、前記一対の固定フレームに架け渡されたワイヤと、前記ワイヤに固定され、前記農作物に対して所定の処理を行う作動部と、前記固定フレームに対して前記ワイヤを送り出して、前記作動部を前記農作物に対して移動させる駆動部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような農作物処理装置であれば、一対の既設資材に着脱可能に固定される一対の固定フレームを有し、当該一対の固定フレームに架け渡されたワイヤに作動部が固定された構成としているので、農作物処理装置を小型化しつつ安価に構成することができる。また、作動部が固定されたワイヤを送り出して作動部を農作物に対して移動させているので、レールを用いた場合に比べて、設置の自由度を大きくすることができる。
【0009】
一対の固定フレームを着脱可能に固定するための具体的な実施の態様としては、前記一対の固定フレームを前記既設資材に着脱可能に固定する固定機構をさらに備えており、前記固定機構は、前記既設資材に設けられたベース部材と、前記固定フレームに設けられ、前記ベース部材に対して着脱されるアタッチメント部とを有することが望ましい。
【0010】
農作物処理装置を例えば畝間で移動させる際の可搬性を向上するためには、前記一対の固定フレームが前記既設資材から取り外された状態で、前記駆動部が前記ワイヤを巻き取り、前記一対の固定フレームの距離を縮めて人手により持ち運びできることが望ましい。
【0011】
具体的な実施の態様としては、前記一対の既設資材は、前記農作物栽培用ハウス内に形成された畝に沿って配置されたものであり、前記一対の固定フレームを前記既設資材に固定することによって、前記作動部が前記畝に植栽された農作物に対して側方から所定の処理を行うことが望ましい。
【0012】
農作物処理の一例としては、農作物の成長を管理して、栽培の具合や収穫時期を見極めるためには、農作物を撮像することが考えられる。この場合には、前記作動部は、前記農作物を撮像するカメラであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べた本発明によれば、農作物処理装置を小型化しつつ安価に構成するだけでなく、農作物栽培用ハウスへの設置の自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る農作物処理装置が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る農作物処理装置を畝に直交する方向(側方)から見た模式図である。
図3】同実施形態における農作物処理装置を畝に沿った方向からみた模式図である。
図4】同実施形態における作動部の移動状態を示す模式図である。
図5】同実施形態において既設資材から取り外してコンパクトにまとめた状態を示す模式図である。
図6】変形実施形態における農作物処理装置を畝に直交する方向(側方)から見た模式図である。
図7】変形実施形態における農作物処理装置を畝に直交する方向(側方)から見た模式図である。
図8】変形実施形態における農作物処理装置を畝に直交する方向(側方)から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係る農作物処理装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0016】
<装置構成>
本実施形態の農作物処理装置100は、図1に示すように、ビニールハウス等の農作物栽培用ハウス10内で栽培される例えば万願寺とうがらし等の農作物Vを処理する装置である。農作物栽培用ハウス10内には、通常、複数の畝11が形成されており、当該複数の畝11それぞれにおいて農作物Vが植栽されている。
【0017】
また、各畝11には、農作物Vの植栽方向(つまり、畝11の延びる方向)に沿って複数の既設資材12が設けられている。この既設資材12は、農作物Vを仕立てるためのものであり、地面に固定される一対の脚部と、当該脚部の上部を連結する連結部を有する、例えばアーチ状の金属製のパイプである。また、互いに隣り合う既設資材12同士を直線状の補強パイプ13で連結して互いに補強する構成としても良い。
【0018】
具体的に農作物処理装置100は、図1図3に示すように、互いに隣り合う一対の既設資材12に着脱可能に固定される一対の固定フレーム21、22と、一対の固定フレーム21、22に架け渡されたワイヤ3と、ワイヤ3に固定され、農作物Vに対して所定の処理を行う作動部4と、固定フレーム21、22に対してワイヤ3を送り出して、作動部4を農作物Vに対して移動させる駆動部5とを備えている。
【0019】
一対の固定フレーム21、22と既設資材12との間には、図2及び図3に示すように、一対の固定フレーム21、22を既設資材12に着脱可能に固定する固定機構6が設けられている。この固定機構6は、特に図3に示すように、既設資材12の脚部に設けられたベース部材61と、固定フレーム21、22に設けられ、ベース部材61に対して着脱されるアタッチメント部62とを有している。ベース部材61及びアタッチメント部62には、例えば、パチン錠(キャッチクリップ)が設けられており、ワンタッチで着脱できる構成にすることができる。
【0020】
各固定フレーム21、22の上部には1つのワイヤ3が接続され、各固定フレーム21、22の下部には1つのワイヤ3が接続されている。この構成より、一対の固定フレーム21、22を一対の既設資材12に固定すると、4つのワイヤ3は、張力が掛かった状態で架け渡されて、作動部4は4つのワイヤ3により持ち上げられた状態となる。
【0021】
そして、各固定フレーム21、22には、各ワイヤ3に対応して駆動部5が設けられている。この駆動部5は、ワイヤ3を巻き出しできるものであり、例えばウインチを用いて構成されている。なお、駆動部5は、ワイヤ3を巻き出しできるものであれば、ウインチ以外の構成を用いることができる。
【0022】
上記の構成により、一対の固定フレーム21、22を既設資材12に固定し、4つの駆動部5それぞれによって各ワイヤ3を巻き出しすることによって、作動部4が畝11に植栽された農作物Vに対して側方から所定の処理を行う。本実施形態の作動部4は、農作物Vを撮像するカメラである。
【0023】
ここで、4つの駆動部5により各ワイヤ3を巻き出しすることによって、図4に示すように、作動部4であるカメラを畝11に沿って移動させるとともに上下に移動させることによって、畝11に植栽された農作物Vを1つ1つ又は単位領域毎に撮像することができる。駆動部5の制御は、コンピュータ(不図示)により行われる。
【0024】
カメラにより撮像された画像データは、有線又は無線通信によりコンピュータに送信され、当該コンピュータのディスプレイに表示される。これにより、農作物栽培用ハウス10内の農作物Vの栽培の具合や収穫時期を遠隔で管理することができる。なお、上記の作動部4であるカメラの撮像は、予め組み込まれたプログラムに基づいて、定期的に行うことができるし、ユーザにより入力される撮像開始指令に基づいて行うことができる。
【0025】
次に、農作物処理装置100を畝11間で移動させる際の手順の一例について説明する。
【0026】
まず、一対の固定フレーム21、22を、固定機構6を解除して一対の既設資材12から取り外す。そして、一方の固定フレーム21の駆動部5によりワイヤ3を巻き取りながら、作動部4まで巻き取る。また、他方の固定フレーム22の駆動部5によりワイヤ3を巻き取りながら、作動部4まで巻き取る。これにより、図5に示すように、一対の固定フレーム21、22と作動部4との間に延びるワイヤ3を短くして、一対の固定フレーム21、22の距離を縮める。この状態で、人手により別の畝11に持ち運ぶ。
【0027】
また、次の手順であっても良い。つまり、一方の固定フレーム21を一方の既設資材12から取り外して、当該一方の固定フレーム21の駆動部5によりワイヤ3を巻き取りながら、他方の既設資材12側に移動して、一方の固定フレーム21と作動部4との間のワイヤ3を巻き取る。その後、他方の固定フレーム22を他方の既設資材12から取り外して、当該他方の固定フレーム22の駆動部5によりワイヤ3を巻き取りながら、一方の既設資材12側に移動して、他方の固定フレーム22と作動部4との間のワイヤ3を巻き取る。
【0028】
農作物処理装置100を別の畝11に取り付ける場合には、一方の固定フレーム21を固定機構6により一方の既設資材12に取り付ける。そして、一方の固定フレーム21の駆動部5によりワイヤ3を巻き出しながら他方の既設資材12に移動し、さらに、他方の固定フレーム22の駆動部5によりワイヤ3を巻き出しながら、他方の固定フレーム22を他方の既設資材12まで移動させる。そして、他方の固定フレーム22を固定機構6により他方の既設資材12に取り付ける。
【0029】
<本実施形態の効果>
このように構成した農作物処理装置100であれば、一対の既設資材12に着脱可能に固定される一対の固定フレーム21、22を有し、当該一対の固定フレーム21、22に架け渡されたワイヤ3に作動部4が固定された構成としているので、農作物処理装置100を小型化しつつ安価に構成することができる。また、作動部4が固定されたワイヤ3を送り出して作動部4を農作物Vに対して移動させているので、従来のレールを用いた場合に比べて、設置の自由度を大きくすることができる。
【0030】
<その他の実施形態>
例えば、前記実施形態の構成に加えて、図6に示すように、作動部4を上から支持する支持機構7を設けても良い。この支持機構7は、作動部4の荷重を支持するものであり、一対の既設資材12に掛けた渡されたワイヤ等の支持ベース71と、当該支持ベース71にスライド可能に設けられ、作動部4を上から支持する支持ワイヤ72と、支持ワイヤ72を巻き出しして作動部4の荷重を支持する例えばウインチ等の支持部73とを有している。この構成であれば、一対の固定フレーム21、22の間で、作動部4を確実に移動させることができる。また、作動部4から延びるケーブルを支持ワイヤ72及び支持ベース71に沿わせて配線することができ、ケーブルが邪魔になることを防ぐことができる。
【0031】
また、図7に示すように、作動部4を一対のワイヤ3により左右から引っ張ることで作動部4を支持する構成としても良い。この場合、左右のワイヤ3を巻き出す駆動部5は、固定フレーム21、22に対して、昇降移動可能に構成されている。これにより、ワイヤ3の巻き出しによって作動部4を畝11に沿って移動させることができるとともに、駆動部5を固定フレーム21、22に対して昇降させることによって作動部4を上下に移動させることができる。
【0032】
さらに、一対の固定フレーム21、22に対してワイヤ3を巻き出しする構成のほか、図8に示すように、H-BOT(又はCoreXY)方式のスライド機構8を用いたものであっても良い。この構成は、一対の固定フレーム21、22の間に設けられたガイドフレーム81と、当該ガイドフレーム81に沿って移動可能に設けられたスライダ82とを有している。そして、一対の固定フレーム21、22の上下2箇所に設けられたプーリ83と、ガイドフレーム81の上下2箇所に設けられたプーリ84とにワイヤ3を架け渡し、当該ワイヤ3の端部がスライダ82に固定されている。そして、一方の固定フレーム21に設けられたプーリ83をモータ等の駆動部5で回転させることによって、ガイドフレーム81を一対の固定フレーム21、22間で移動させるとともに、スライダ82をガイドフレーム81に沿って移動させることができる。このスライダ82に作動部4が固定される。
【0033】
前記実施形態の作動部はカメラであったが、その他、農作物Vに肥料や殺虫剤を散布するものであっても良いし、農作物Vを収穫するものであっても良い。
【0034】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0035】
100・・・農作物処理装置
10・・・農作物栽培用ハウス
V・・・農作物
11・・・畝
12・・・既設資材
21、22・・・固定フレーム
3・・・ワイヤ
4・・・作動部(例えばカメラ)
5・・・駆動部
6・・・固定機構
61・・・ベース部材
62・・・アタッチメント部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8