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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074910
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20230523BHJP
   H01H 71/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H71/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188097
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴広
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030BA06
5G030XX17
(57)【要約】
【課題】現時点における端子金具の位置を容易に把握することができる回路遮断器を提供する。
【解決手段】第1端子部材10が第1位置にあることを表示する第1右極表示部34B、及び第1端子部材10が第2位置にあることを表示する第2右極表示部34Aを備え、第1端子部材10の移動に伴って、本体ケース2表面に第1右極表示部34Bが露出する第1表示位置と、第2右極表示部34Aが露出する第2表示位置との間で移動可能な右極表示体31と、第2端子部材20が第2位置にあることを表示する第1左極表示部38A、及び第2端子部材20が第3位置にあることを表示する第2左極表示部38Bを備え、第2端子部材20の移動に伴って、本体ケース2の表面に第1左極表示部38Aが露出する第3表示位置と、第2左極表示部38Bが露出する第4表示位置との間で移動可能な左極表示体35とを設けた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な上側の端子口と、中央の端子口と、下側の端子口との3つの前記端子口のうち、任意の2つの前記端子口を上下方向に並設可能な回路遮断器であって、
前記本体ケースに、端子金具を有して前記導電バーを差し込み接続可能な第1端子部材が、前記上側の端子口に対応する第1位置と、前記中央の端子口に対応する第2位置との間を上下方向へ移動可能に設けられているとともに、端子金具を有して前記導電バーを差し込み接続可能な第2端子部材が、前記第1端子部材の下側において、前記第2位置と、前記下側の端子口に対応する第3位置との間を上下方向へ移動可能に設けられており、
前記第1端子部材を前記第1位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第2位置に夫々位置させることで前記上側の端子口及び前記中央の端子口が構成され、
前記第1端子部材を前記第1位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第3位置に夫々位置させることで前記上側の端子口及び前記下側の端子口が構成され、
前記第1端子部材を前記第2位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第3位置に夫々位置させることで前記中央の端子口及び前記下側の端子口が構成されるようにする一方、
前記第1端子部材が前記第1位置にあることを表示する第1極表示部、及び前記第1端子部材が前記第2位置にあることを表示する第2極表示部を備え、前記第1端子部材の移動に伴って、前記本体ケース表面に前記第1極表示部が露出する第1表示位置と、前記第2極表示部が露出する第2表示位置との間で移動可能な第1極表示体と、
前記第2端子部材が前記第2位置にあることを表示する第3極表示部、及び前記第2端子部材が前記第3位置にあることを表示する第4極表示部を備え、前記第2端子部材の移動に伴って、前記本体ケースの表面に前記第3極表示部が露出する第3表示位置と、前記第4極表示部が露出する第4表示位置との間で移動可能な第2極表示体とが設けられていることを特徴とする回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば分電盤内等に設置される回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば単相三線式電路に使用される回路遮断器では、電源側端子を所謂プラグイン方式の端子として構成することがある。また、そのような回路遮断器としては、電源側端子における端子金具の位置を、本体ケース外から変更可能としたものが考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-35341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回路遮断器では、現時点における端子金具の位置が判別しづらいため、分電盤内への設置時にケーブルを誤配線しかねない等、使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、現時点における端子金具の位置を容易に把握することができる回路遮断器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な上側の端子口と、中央の端子口と、下側の端子口との3つの前記端子口のうち、任意の2つの前記端子口を上下方向に並設可能な回路遮断器であって、前記本体ケースに、端子金具を有して前記導電バーを差し込み接続可能な第1端子部材が、前記上側の端子口に対応する第1位置と、前記中央の端子口に対応する第2位置との間を上下方向へ移動可能に設けられているとともに、端子金具を有して前記導電バーを差し込み接続可能な第2端子部材が、前記第1端子部材の下側において、前記第2位置と、前記下側の端子口に対応する第3位置との間を上下方向へ移動可能に設けられており、前記第1端子部材を前記第1位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第2位置に夫々位置させることで前記上側の端子口及び前記中央の端子口が構成され、前記第1端子部材を前記第1位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第3位置に夫々位置させることで前記上側の端子口及び前記下側の端子口が構成され、前記第1端子部材を前記第2位置に、且つ、前記第2端子部材を前記第3位置に夫々位置させることで前記中央の端子口及び前記下側の端子口が構成されるようにする一方、前記第1端子部材が前記第1位置にあることを表示する第1極表示部、及び前記第1端子部材が前記第2位置にあることを表示する第2極表示部を備え、前記第1端子部材の移動に伴って、前記本体ケース表面に前記第1極表示部が露出する第1表示位置と、前記第2極表示部が露出する第2表示位置との間で移動可能な第1極表示体と、前記第2端子部材が前記第2位置にあることを表示する第3極表示部、及び前記第2端子部材が前記第3位置にあることを表示する第4極表示部を備え、前記第2端子部材の移動に伴って、前記本体ケースの表面に前記第3極表示部が露出する第3表示位置と、前記第4極表示部が露出する第4表示位置との間で移動可能な第2極表示体とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケースに、端子金具を有して導電バーを差し込み接続可能な第1端子部材が、上側の端子口に対応する第1位置と、中央の端子口に対応する第2位置との間を上下方向へ移動可能に設けられているとともに、端子金具を有して導電バーを差し込み接続可能な第2端子部材が、第1端子部材の下側において、第2位置と、下側の端子口に対応する第3位置との間を上下方向へ移動可能に設けられている一方、第1端子部材が第1位置にあることを表示する第1極表示部、及び第1端子部材が第2位置にあることを表示する第2極表示部を備え、第1端子部材の移動に伴って、本体ケース表面に第1極表示部が露出する第1表示位置と、第2極表示部が露出する第2表示位置との間で移動可能な第1極表示体と、第2端子部材が第2位置にあることを表示する第3極表示部、及び第2端子部材が第3位置にあることを表示する第4極表示部を備え、第2端子部材の移動に伴って、本体ケースの表面に第3極表示部が露出する第3表示位置と、第4極表示部が露出する第4表示位置との間で移動可能な第2極表示体とが設けられている。したがって、現時点での端子金具の位置を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電源側端子において端子口P1、P3が構成されている回路遮断器を示した斜視説明図である。
図2図1の状態にある回路遮断器の本体ケース後部内面を左後方から示した斜視説明図である。
図3図1の状態にある回路遮断器の本体ケース後部内面を右後方から示した斜視説明図である。
図4図1の状態にある回路遮断器の支持体を側方から示した説明図であり、(a)は左側から、(b)は右側から夫々示している。
図5】電源側端子において端子口P1、P2が構成されている回路遮断器を示した斜視説明図である。
図6図5の状態にある回路遮断器の支持体を示した斜視説明図であり、(a)は左後方から、(b)は右後方から夫々示している。
図7】電源側端子において端子口P2、P3が構成されている回路遮断器を示した斜視説明図である。
図8図7の状態にある回路遮断器の支持体を示した斜視説明図であり、(a)は左後方から、(b)は右後方から夫々示している。
図9】回路遮断器における極表示を示した説明図であり、(a)は図1の状態にある場合を、(b)は図5の状態にある場合を、(c)は図7の状態にある場合を夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる回路遮断器について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、電源側端子4において端子口P1、P3が構成されている回路遮断器1を示した斜視説明図である。図2は、図1の状態にある回路遮断器1の本体ケース2後部内面を左後方から示した斜視説明図である。図3は、図1の状態にある回路遮断器1の本体ケース2後部内面を右後方から示した斜視説明図である。図4は、図1の状態にある回路遮断器1の支持体41を側方から示した説明図であり、(a)は左側から、(b)は右側から夫々示している。図5は、電源側端子4において端子口P1、P2が構成されている回路遮断器1を示した斜視説明図である。図6は、図5の状態にある回路遮断器1の支持体41を示した斜視説明図であり、(a)は左後方から、(b)は右後方から夫々示している。図7は、電源側端子4において端子口P2、P3が構成されている回路遮断器1を示した斜視説明図である。図8は、図7の状態にある回路遮断器1の支持体41を示した斜視説明図であり、(a)は左後方から、(b)は右後方から夫々示している。図9は、回路遮断器1における極表示を示した説明図であり、(a)は図1の状態にある場合を、(b)は図5の状態にある場合を、(c)は図7の状態にある場合を夫々示している。
【0011】
単相三線式電路に使用される回路遮断器1は、複数のケース部材を組み立ててなる合成樹脂製の本体ケース2を有しており、該本体ケース2の後部には電源側端子4が、前部には負荷側端子(図示せず)が夫々備えられている。また、本体ケース2の上面には、ハンドル5が前後方向へ回動操作可能に設けられており、該ハンドル5を回動操作することで、本体ケース2内に組み込まれている図示しない開閉機構が作動し、電源側端子4と負荷側端子とを電気的につなぐ電路が接続/開放されるようになっている。
【0012】
さらに、電源側端子4は、第1端子部材10と第2端子部材20とを有している。第1端子部材10及び第2端子部材20は、本体ケース2の後面上を上下方向へ移動可能に設けられており、第1端子部材10を本体ケース2後面の上部側となる第1位置に位置させると、当該第1位置にある第1端子部材10が、図示しない導電バーを挿入接続可能なプラグイン式の端子口P1となり、第1端子部材10又は第2端子部材20を本体ケース2後面の上下方向で中央となる第2位置に位置させると、当該第2位置にある第1端子部材10又は第2端子部材20が、図示しない導電バーを挿入接続可能なプラグイン式の端子口P2(図5図7に示す)となり、第2端子部材20を本体ケース2後面の下部側となる第3位置に位置させると、当該第3位置にある第2端子部材20が、図示しない導電バーを挿入接続可能なプラグイン式の端子口P3となるように構成されている。また、このような電源側端子4においては、上側の端子口P1が中性端子(N極)、中央の端子口P2及び下側の端子口P3が夫々電圧端子(端子口P2がL1極、端子口P3がL2極)とされており、入力電圧が100Vである場合には、上側の端子口P1と中央の端子口P2又は下側の端子口P3とに導電バーが接続される一方、入力電圧が200Vである場合には、中央の端子口P2と下側の端子口P3とに導電バーが接続されるようになっている。
【0013】
ここで、本発明の要部となる回路遮断器1の電源側端子4における第1端子部材10及び第2端子部材20のスライド構造、及び第1端子部材10や第2端子部材20の位置、ひいては電源側端子4の極性を表示する極表示部34、38について説明する。
第1端子部材10は、上下方向に所定間隔だけ離して並設された2つの挟持体11A、11Bと、両挟持体11A、11Bの前端右側において挟持体11A、11Bを連結する操作片12と、両挟持体11A、11Bの前端左側において挟持体11A、11Bを連結する位置決め片13と、両挟持体11A、11Bにおける対向側の面(挟持体11Aの下面及び挟持体11Bの上面)に夫々露出する端子金具14、14とを備えてなる。操作片12は、上下方向へ延びる柱状に成形されており、その上面が前方へ向かって下降傾斜する傾斜面とされていて、後述するような右極表示体31を操作する操作面12Aとして機能するようになっている。また、位置決め片13も、上下方向へ延びる柱状に成形されており、その左側面には、左側方へ突出する位置決め突起15が設けられている。
【0014】
第2端子部材20は、上下方向に所定間隔だけ離して並設された2つの挟持体21A、21Bと、両挟持体21A、21Bの前端右側において挟持体21A、21Bを連結する連結片22と、両挟持体21A、21Bの前端左側において挟持体21A、21Bを連結する位置決め操作片23と、両挟持体21A、21Bにおける対向側の面(挟持体21Aの下面及び挟持体21Bの上面)に夫々露出する端子金具24、24とを備えてなる。連結片22は、上記操作片12同様に上下方向に延びる柱状に成形されている。また、位置決め操作片23は、上記位置決め片13同様に上下方向へ延びる柱状に成形されているとともに、その下面が後方へ向かって上昇傾斜する傾斜面とされていて、後述するような左極表示体35を操作する操作面23Aとして機能するようになっている。また、位置決め操作片23の左側面にも、左側方へ突出する位置決め突起25が設けられている。なお、第1端子部材10と第2端子部材20とは同部材により構成されている。ただ、第2端子部材20の連結片22の上面は傾斜面とされているものの、第1端子部材10の操作片12の操作面12Aのようには機能しない。同様に、第1端子部材10の位置決め片13の下面も傾斜面とされているが、第2端子部材20の位置決め操作片23の操作面23Aのようには機能しない。
【0015】
一方、本体ケース2の後部は、第1端子部材10及び第2端子部材20をスライド可能に支持する支持体41と、支持体41の右側に組み付けられる右カバー42と、支持体41の左側に組み付けられる左カバー43とを有する。支持体41は、後方へ突出する底部と天井部とを有しているとともに、上下方向に延びて底部と天井部との基部(前部)同士を連結する案内柱を有しており、案内柱の後面に第1端子部材10及び第2端子部材20を取り付けることで、第1端子部材10及び第2端子部材20が、底部と天井部との間の空間を上下方向へスライド可能となっている。また、支持体41の天井部の右側面には、右極表示体31を前後方向へスライド可能に取り付けるための右取付溝44が前後方向へ延設されているとともに、該右取付溝44の下側となる箇所には、右方へ突出していて、後述する第1表示位置を超えて右極表示体31が後方へスライドすることを規制する右規制凸部45が設けられている。一方、支持体41の天井部の左側面には、左極表示体35を前後方向へスライド可能に取り付けるための左取付溝46が前後方向へ延設されているとともに、該左取付溝46の下側となる箇所には、左方へ突出していて、後述する第3表示位置を超えて左極表示体35が後方へスライドすることを規制する左規制凸部(図示せず)が設けられている。さらに、支持体41の上面には、右側に開口して後述する右極表示窓53を構成する切り欠き48と、左側に開口して後述する左極表示窓57を構成する切り欠き49とが設けられている。
【0016】
右カバー42は、側面視(左側から見て)コ字状に成形されていて、左側面には、第1端子部材10及び第2端子部材20の上下方向へのスライド時に、操作片12及び連結片22を案内する右案内溝50や、支持体41への組み付け時に右極表示体31が収納される右収納凹部51等が設けられている。また、右カバー42の上面には、左側に開口していて、支持体41への組み付け時に切り欠き48と一連になって右極表示窓53を構成する切り欠き52が設けられている。
【0017】
一方、左カバー43は、側面視(左側から見て)コ字状に成形されていて、右側面には、第1端子部材10及び第2端子部材20の上下方向へのスライド時に、位置決め片13及び位置決め操作片23を案内する左案内溝54や、支持体41への組み付け時に左極表示体35が収納される左収納凹部55等が設けられている。また、左カバー43の上面には、右側へ開口していて、支持体41への組み付け時に切り欠き49と一連になって左極表示窓57を構成する切り欠き56が設けられている。なお、左案内溝54内には、第1位置にある第1端子部材10の位置決め突起15が係合することで、第1端子部材10を第1位置で保持するための位置決め凹部(図示せず)が設けられている。また、左案内溝54内には、第2位置にある第1端子部材10の位置決め突起15や第2位置にある第2端子部材20の位置決め突起25が係合することで第1端子部材10や第2端子部材20を第2位置で保持するための位置決め凹部(図示せず)も設けられている。
【0018】
加えて、右極表示体31は、上下方向に起立する板状の本体31aと、本体31aの上端を後方へ折り曲げてなる上壁部31bと、本体31aの下端を前方へ折り曲げてなる下壁部31cとを有する。本体31aの前面には、前方へ突出する嵌装突起32が設けられており、右極表示体31を後側(第2表示位置側)へ付勢するためのバネ61が嵌装可能となっている。また、本体31aの後面右側縁で、上壁部31bから下方へ上記右規制凸部45が進入可能な間隔だけ離れた位置には、前方へ突出する作用片33が設けられており、該作用片33の先端(後端)下面は、後方へ向かって上昇傾斜する傾斜面とされ、第1端子部材10の操作片12の操作面12Aが当接可能となっている。さらに、上壁部31bの上面は、右極表示部34を構成する表示面とされていて、上面前寄りは、第1端子部材10が第2位置にあることを示す第2右極表示部34Aとされ、上面後寄りは、第1端子部材10が第1位置にあることを示す第1右極表示部34Bとされている。
【0019】
左極表示体35は、支持体41の上下高さと同程度に上下方向に延びる板状の本体35aと、本体35aの上端を後方へ折り曲げてなる上壁部35bと、本体35aの下端を後方へ折り曲げてなる下壁部35cとを有する。本体35aの前面下端には、前方へ突出する嵌装突起36が設けられており、左極表示体35を後側(第3表示位置側)へ付勢するためのバネ62が嵌装可能となっている。また、本体35aの後面左側縁で、上壁部35bから下方へ左規制凸部が進入可能な間隔だけ離れた位置には、前方へ突出する規制片37が設けられている。さらに、上壁部35bの上面は、左極表示部38を構成する表示面とされていて、上面前寄りは、第2端子部材20が第2位置にあることを示す第1左極表示部38Aとされ、上面後寄りは、第2端子部材20が第3位置にあることを示す第2左極表示部38Bとされている。加えて、下壁部35cの先端(後端)上面は、後方へ向かって下降傾斜する傾斜面とされ、第2端子部材20の位置決め操作片23の操作面23Aが当接可能となっている。
【0020】
そして、本体ケース2の後部は、以下のようにして組み立てられる。
まず、支持体41の案内柱に対して、第2端子部材20の上側に第1端子部材10が位置するように第1端子部材10及び第2端子部材20を取り付けるとともに、右取付溝44内に右極表示部34を、左取付溝46内に左極表示部38を夫々差し込むようにして右極表示体31及び左極表示体35を取り付ける。次に、支持体41の右側面に、第1端子部材10の操作片12、第2端子部材20の連結片22、及び右極表示体31を覆うように右カバー42を組み付ける。最後に、支持体41の左側面に、第1端子部材10の位置決め片13、第2端子部材20の位置決め操作片23、及び左極表示体35を覆うように左カバー43を組み付ければ、本体ケース2の後部の組み立ては完了となる。
【0021】
また、上記組み立て状態において、第1端子部材10は、操作片12が右案内溝50により、位置決め片13が左案内溝54により夫々案内されながら、第1位置と第2位置との間を上下方向へスライド可能となっている。さらに、第2端子部材20は、連結片22が右案内溝50により、位置決め操作片23が左案内溝54により夫々案内されながら、第2位置と第3位置との間を上下方向へスライド可能となっている。一方、切り欠き48と切り欠き52とが一連となって右極表示窓53が形成され、該右極表示窓53内に右極表示部34の一部が露出した状態となるとともに、切り欠き49と切り欠き56とが一連となって左極表示窓57が形成され、該左極表示窓57内に左極表示部38の一部が露出した状態となる。加えて、右極表示体31及び左極表示体35は、バネ61、62によって夫々後側へ付勢されているとともに、右極表示体31の作用片33が、第1端子部材10の操作片12の鉛直上方に、左極表示体35の下壁部35cが、第2端子部材20の位置決め操作片23の鉛直下方に夫々位置している。
【0022】
ここで、第1端子部材10及び第2端子部材20の位置と、当該位置に応じた極表示部34、38による極表示について説明する。
まず入力電圧が100Vで、電力側端子4の極性がN-L2である場合について説明する。この場合、図1に示すように第1端子部材10により端子口P1が、第2端子部材20により端子口P3が夫々構成される必要がある。そのため、第1端子部材10及び第2端子部材20を夫々スライドさせて、第1端子部材10を第1位置に、且つ、第2端子部材20を第3位置に夫々位置させればよい。すると、第1端子部材10のスライドに伴って操作片12の操作面12Aが、作用片33に当接した後、作用片33に前方への負荷をかける。したがって、右極表示体31はバネ61の付勢力に抗して前方へスライドし、図9(a)に示すように、右極表示窓53内に第1右極表示部34Bが露出する第1表示位置へ移動して、第1端子部材10が第1位置にあることが表示される。一方、第2端子部材20のスライドに伴って位置決め操作片23の操作面23Aが、左極表示体35の下壁部35cに当接した後に、左極表示体35に前方への負荷をかける。したがって、左極表示体35はバネ62の付勢力に抗して前方へスライドし、図9(a)に示すように、左極表示窓57内に第2左極表示部38Bが露出する第4表示位置へ移動して、第2端子部材20が第3位置にあることが表示される。
【0023】
また、入力電圧が100Vで、電力側端子4の極性がN-L1である場合には、図5に示すように第1端子部材10により端子口P1が、第2端子部材20により端子口P2が夫々構成される必要がある。そこで、第1端子部材10及び第2端子部材20を夫々スライドさせて、第1端子部材10を第1位置に、且つ、第2端子部材20を第2位置に夫々位置させればよい。すると、第1端子部材10のスライドに伴って右極表示体31は上記同様に前方へスライドし、図9(b)に示すように、右極表示窓53内に第1右極表示部34Bが露出する第1表示位置へ移動して、第1端子部材10が第1位置にあることが表示される。一方、第2端子部材20のスライドに伴って位置決め操作片23の操作面23Aは、左極表示体35の下壁部35cから離隔する。したがって、左極表示体35はバネ62の付勢力によって後方へスライドし、図9(b)に示すように、左極表示窓57内に第1左極表示部38Aが露出する第3表示位置へ移動して、第2端子部材20が第2位置にあることが表示される。
【0024】
さらに、入力電圧が200Vで、電力側端子4の極性がL1-L2である場合には、図7に示すように第1端子部材10により端子口P2が、第2端子部材20により端子口P3が夫々構成される必要がある。そこで、第1端子部材10及び第2端子部材20を夫々スライドさせて、第1端子部材10を第2位置に、且つ、第2端子部材20を第3位置に夫々位置させればよい。すると、第1端子部材10のスライドに伴って操作片12の操作面12Aは、右極表示体31の作用片33から離隔する。したがって、右極表示体31はバネ61の付勢力によって後方へスライドし、図9(c)に示すように、右極表示窓53内に第2右極表示部34Aが露出する第2表示位置へ移動して、第1端子部材10が第2位置にあることが表示される。一方、第2端子部材20のスライドに伴って左極表示体35は上記同様に前方へスライドし、図9(c)に示すように、左極表示窓57内に第2左極表示部38Bが露出する第4表示位置へ移動して、第2端子部材20が第3位置にあることが表示される。
【0025】
以上のような構成を有する回路遮断器1によれば、本体ケース2に、端子金具14を有して導電バーを差し込み接続可能な第1端子部材10が、上側の端子口P1に対応する第1位置と、中央の端子口P2に対応する第2位置との間を上下方向へスライド可能に設けられているとともに、端子金具24を有して導電バーを差し込み接続可能な第2端子部材20が、第1端子部材10の下側において、第2位置と、下側の端子口P3に対応する第3位置との間を上下方向へスライド可能に設けられている。そして、第1端子部材10を第1位置に、且つ、第2端子部材20を第2位置に夫々位置させることで端子口P1及び端子口P2が構成され、第1端子部材10を第1位置に、且つ、第2端子部材20を第3位置に夫々位置させることで端子口P1及び端子口P3が構成され、第1端子部材10を第2位置に、且つ、第2端子部材20を第3位置に夫々位置させることで端子口P2及び端子口P3が構成されるようにした。したがって、回路遮断器1の使用形態に応じて端子口の位置を容易に選択・変更することができ、使い勝手の良い回路遮断器1とすることができる。
【0026】
また、第1端子部材10が第1位置にあることを表示する第1右極表示部34B、及び第1端子部材10が第2位置にあることを表示する第2右極表示部34Aを備え、第1端子部材10の移動に伴って、本体ケース2表面に第1右極表示部34Bが露出する第1表示位置と、第2右極表示部34Aが露出する第2表示位置との間で移動可能な右極表示体31と、第2端子部材20が第2位置にあることを表示する第1左極表示部38A、及び第2端子部材20が第3位置にあることを表示する第2左極表示部38Bを備え、第2端子部材20の移動に伴って、本体ケース2の表面に第1左極表示部38Aが露出する第3表示位置と、第2左極表示部38Bが露出する第4表示位置との間で移動可能な左極表示体35とが設けられている。したがって、本体ケース2の表面にどの極表示部が露出しているかによって、作業者は、第1端子部材10の端子金具14及び第2端子部材20の端子金具24の位置、ひいては電源側端子4の極性を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を容易に行うことができる。
【0027】
さらに、右極表示体31に、第2表示位置側へ付勢するバネ61を設けるとともに、左極表示体35に、第3表示位置側へ付勢するバネ62を設ける一方、右極表示体31に作用片33を、第1端子部材10に、上下方向へのスライドに伴い作用片33に当接/離隔して右極表示体31を移動させる操作片12を夫々設けるとともに、左極表示体35に下壁部35cを、第2端子部材20に、上下方向へのスライドに伴い下壁部35cに当接/離隔して左極表示体35を移動させる位置決め操作片23を夫々設けている。したがって、比較的簡易な構造で右極表示体31及び左極表示体35を移動、ひいては極表示部での表示態様を変更することができ、回路遮断器1のコスト高騰を抑制することができる。
【0028】
なお、本発明に係る回路遮断器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、回路遮断器の全体的な構成は勿論、端子部材や極表示体に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0029】
たとえば、極表示部において具体的にどのような表示を採用するかについては適宜設計変更可能であり、色の違いによる表示や、具体的に「N」等の文字を表示するようにしてもよい。また、負荷側端子に接続するケーブルの色と、極表示部の色とを一致させれば、誤接続してしまうおそれの一層低い回路遮断器とすることができる。
さらに、第1端子部材及び第2端子部材を上下方向へ移動可能に設けるにあたって、どのような機構により両端子部材を移動させるかは適宜設計変更可能であって、たとえば回転機構を利用して両端子部材が移動するように構成しても何ら問題はない。
加えて、上記実施形態では、上側の端子口P1を中性端子としているが、中央の端子口P2を中性端子としてもよく、どの端子口を中性端子とし、どの端子口を電圧端子とするかについては適宜変更可能であるし、単相三線式の回路遮断器ではなく、三相三線式の回路遮断器についても、本発明は、好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0030】
1・・回路遮断器、2・・本体ケース、4・・電源側端子、10・・第1端子部材、12・・操作片、12A・・操作面、14・・端子金具、20・・第2端子金具、23・・位置決め操作片、23A・・操作面、24・・端子金具、31・・右極表示体(第1極表示体)、33・・作用片、34A・・第2右極表示部(第2極表示部)、34B・・第1右極表示部(第1極表示部)、35・・左極表示体(第2極表示体)、35c・・下壁部、38A・・第1左極表示部(第3極表示部)、38B・・第2左極表示部(第4極表示部)、53・・右極表示窓、57・・左極表示窓、61、62・・バネ、P1・・上側の端子口、P2・・中央の端子口、P3・・下側の端子口。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9