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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074999
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】照明装置及び照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20230523BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230523BHJP
   B60Q 1/24 20060101ALI20230523BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20230523BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20230523BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230523BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20230523BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20230523BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20230523BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230523BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20230523BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230523BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20230523BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230523BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230523BHJP
   F21S 8/08 20060101ALN20230523BHJP
   F21S 2/00 20160101ALN20230523BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230523BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230523BHJP
   F21W 111/02 20060101ALN20230523BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20230523BHJP
   F21W 131/103 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
H05B47/125
B60Q1/04 E
B60Q1/24 A
F21V14/04
F21V9/40 400
F21V23/00 115
F21V7/00 590
F21V23/00 113
B60Q1/26 Z
H05B47/11
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/19
H05B47/165
G08G1/16 D
G08G1/09 F
F21S8/08 110
F21S2/00 340
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W111:02
F21W103:60
F21W131:103
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214084
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2021187718
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】清重 僚佑
(72)【発明者】
【氏名】松田 年矢
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA06
3K273PA07
3K273QA36
3K273QA37
3K273RA02
3K273RA04
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA39
3K273SA50
3K273SA57
3K273SA58
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA18
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA70
3K273UA21
3K273UA22
3K339AA02
3K339AA16
3K339AA22
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA22
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA30
3K339EA05
3K339EA06
3K339EA07
3K339EA10
3K339FA08
3K339GB01
3K339GB26
3K339KA06
3K339MB03
3K339MB06
3K339MC01
3K339MC36
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF13
5H181FF18
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL15
5H181MA32
5H181MB12
(57)【要約】
【課題】車両の運転者が歩行者を確実に認知して歩行者の通行の安全性を高めることが可能な照明装置と照明システムを提供する。
【解決手段】街路灯(照明装置)SLは、道路を照明する照明ユニット1と、照明ユニット1を制御する制御ユニット2を備える。制御ユニット2は、道路を通行する歩行者(M)を検出して移動体情報を出力する移動体検出部21と、移動体情報に基づいて照明ユニット1を制御する照明制御部22を備える。照明制御部22は、移動体を検出したときの照明ユニット1の光度を、検出しないときの光度よりも高く制御する。例えば、照明制御部22は、歩行者までの距離が長くなるのにつれて照明ユニット1の光度を高める制御を行う。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を照明する照明ユニットと、当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備える照明装置であって、前記制御ユニットは、道路を通行する移動体を検出して移動体情報を出力する移動体検出部と、当該移動体情報に基づいて前記照明ユニットを制御する照明制御部を備え、前記照明制御部は、移動体を検出したときの照明ユニットの光度を、検出しないときの光度よりも高く制御することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記照明制御部は、移動体までの距離が長くなるのにつれて前記照明ユニットの光度を高める制御を行う請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記照明装置は道路に沿って複数配設され、前記制御ユニットは、少なくとも他の照明装置との間で前記移動体情報を送受する通信部を備え、前記照明制御部は、当該通信部で受信した移動体情報に基づいて自身の照明装置の照明ユニットの制御を行う請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記通信部は検出された移動体とは相違する他の移動体との間で移動体情報を送受する請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置は、前記移動体情報に基づいて所要の光パターンを投影する投影ユニットを備え、移動体を検出したときに移動体が通行する道路の路面に光パターンを投影する請求項1ないし5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記移動体検出部において検出する移動体は歩行者を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記照明装置は、移動体としての車両が走行する路線に沿って複数配設されており、前記制御ユニットは、少なくとも他の照明装置との間で前記移動体情報を送受する通信部を備え、前記複数の照明装置は当該車両の接近を検出したときに自身の照明の光度を所定レベルに増加する制御を行う請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記車両を検出した照明装置は移動体情報を送信し、この照明装置よりも当該車両の走行先側に隣接されている他の照明装置は、当該移動体情報に基づいて光度を前記所定レベルよりも低いレベルに増加する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記車両は路線バスであり、前記照明装置の少なくとも一つは路線バスのバス停に配設されており、当該照明装置はバス停に存在するバス待ちの歩行者を検出したときには、前記所定レベルよりもさらに高いレベルの光度に制御する請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
道路を照明する照明装置と、当該照明装置との間で通信が可能な車両とで構築される照明システムであって、前記照明装置は、道路を照明する照明ユニットと、道路を通行する移動体を検出した移動体情報に基づいて当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備え、前記車両は、乗員が視認可能な表示装置と、前記照明装置から送信された移動体情報を受信して前記表示装置を制御する表示制御部を備え、当該表示制御部は移動体情報に含まれる歩行者の存在を前記表示装置において表示することを特徴とする照明システム。
【請求項11】
道路を照明する照明装置と、当該照明装置との間で通信が可能な車両とで構築される照明システムであって、前記照明装置は、道路を照明する照明ユニットと、道路を通行する移動体を検出した移動体情報に基づいて当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備え、前記車両は、前記照明装置から送信された移動体情報を受信して自身のヘッドランプの配光を制御する配光制御部を備え、当該配光制御部は移動体情報に歩行者が含まれるときに、当該歩行者を照明する配光制御を行うことを特徴とする照明システム。
【請求項12】
前記車両は、前記移動体情報に基づいて所要の光パターンを投影する投影ユニットを備え、当該投影ユニットは、移動体情報に含まれる歩行者の近傍の路面に光パターンを投影する請求項10又は11に記載の照明システム。
【請求項13】
走行する車両の路線に沿って配設された複数の照明装置を備え、前記複数の照明装置は、道路を照明する照明ユニットと、道路を通行する移動体を検出した移動体情報を他の照明装置に送信するとともに当該移動体情報に基づいて当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備え、前記複数の照明装置は受信した移動体情報に基づいて、前記車両の走行方向に沿って順序的に光度を増加する制御を行うことを特徴とする照明システム。
【請求項14】
前記車両は路線バスであり、当該路線バスのバス停に配設された照明装置は、バス待ち乗客を検出したときには、増加する光度をより高い光度に制御する請求項13に記載の照明システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路を通行する移動体、特に歩行者の通行の安全性を高めることができる照明装置及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者が道路を通行する際の安全性を高めるために、特許文献1には、自動車等の車両に歩行者検出部を備え、歩行者を検出したときにヘッドランプにて歩行者を照明し(マーキング)、車両の運転者が歩行者を確実に認知するようにした技術が提案されている。
【0003】
特許文献2には、交差点に歩行者や車両を検出する移動体検知装置を配設し、検出した歩行者や車両が衝突するおそれのあるときに、車両等に対して危険を知らせる信号を表示し、歩行者との衝突を防止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-69752号公報
【特許文献2】特開2021-117632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、横断歩道のない場所で歩行者が道路を横断しているときに車両と関係する交通事故が頻発しており、このための対策が要望されている。この対策として特許文献1の技術を適用することが考えられるが、特許文献1の技術は、車両に設けられた歩行者検出部では検出できない歩行者、例えば遠方の道路を横断している歩行者に対しては対応できない。また、歩行者検出部において歩行者を検出した場合でもヘッドランプの照明領域よりも遠方の場所において横断している歩行者に対しては照明による認知の効果を得ることは難しい。
【0006】
特許文献2の技術を適用することも考えられるが、特許文献2の技術では、移動体検知装置が配設されることが少ない横断歩道のない場所にいる歩行者を検出することは難しい。仮に、検出した場合でも、特許文献2では、車両の運転者において歩行者を確実に認知するための技術、特に歩行者を照明して認知性を高める技術については提案されておらず、歩行者に対して適切な対応をとることが難しい。
【0007】
別の対策として、横断歩道のない場所に街路灯を設置することが考えられるが、街路灯は主に歩道を照明するように設計されているので、車道を横断している歩行者を十分に照明することは難しい。また、街路灯の数を増やし、あるいは街路灯の明るさを高めて車道の領域まで明るく照明することが考えられるが、歩行者が横断しないときにもこのような街路灯での照明を行うことは電力消費の点で課題がある。
【0008】
本発明の目的は、車両の運転者が歩行者を確実に認知して歩行者の通行の安全性を高めることが可能な照明装置と照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置は、道路を照明する照明ユニットと、当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備えており、制御ユニットは、道路を通行する歩行者を含む移動体を検出して移動体情報を出力する移動体検出部と、当該移動体情報に基づいて照明ユニットを制御する照明制御部を備え、照明制御部は、移動体を検出したときの照明ユニットの光度を、検出しないときの光度よりも高く制御する構成である。例えば、照明制御部は、移動体までの距離が長くなるのにつれて照明ユニットの光度を高める制御を行う。
【0010】
本発明における好ましい形態は、照明装置は道路に沿って複数配設され、制御ユニットは、少なくとも他の照明装置との間で移動体情報を送受する通信部を備え、照明制御部は、当該通信部で受信した移動体情報に基づいて自身の照明装置の照明ユニットの制御を行う構成とする。好ましくは、複数の照明装置は、移動体としての車両が走行する路線に沿って配設されており、複数の照明装置は車両の接近を検出したときに、自身の照明の光度を所定レベルに増加する制御を行う構成とする。また、通信部は検出した移動体とは異なる他の移動体との間で移動体情報を送受する構成としてもよい。さらに、移動体情報に基づいて所要の光パターンを投影する投影ユニットを備え、移動体を検出したときに移動体が通行する道路の路面に光パターンを投影する構成であってもよい。
【0011】
本発明の照明システムは、道路を照明する照明装置と、当該照明装置との間で通信が可能な車両とで構築されており、照明装置は、道路を照明する照明ユニットと、道路を通行する移動体を検出した移動体情報に基づいて当該照明ユニットを制御する制御ユニットを備え、車両は、乗員が視認可能な表示装置と、照明装置から送信された移動体情報を受信して表示装置を制御する表示制御部を備え、表示制御部は移動体情報に含まれる歩行者の存在を表示装置において表示する。また、走行する車両の路線に沿って配設された複数の照明装置を備え、複数の照明装置は受信した移動体情報に基づいて、車両の走行方向に沿って順序的に光度を増加する制御を行う。
【0012】
あるいは、車両は、照明装置から送信された移動体情報を受信して自身のヘッドランプの配光を制御する配光制御部を備え、当該配光制御部は移動体情報に歩行者が含まれるときに、当該歩行者を照明する配光制御を行う構成としてもよい。さらには、車両は、移動体情報に基づいて所要の光パターンを投影する投影ユニットを備え、当該投影ユニットは、移動体情報に含まれる歩行者の近傍の路面に光パターンを投影する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の照明装置によれば、移動体を検出したときの照明ユニットの光度を、検出しないときの光度よりも高く制御するので、通行する歩行者を明るく照明することができ、車両の運転者が歩行者を確実に認知することができる。また、歩行者が通行する道路の路面に光パターンを投影することにより、車両の運転者はさらに確実に歩行者を認知することができる。
【0014】
本発明の照明システムによれば、照明装置から送信される移動体情報に基づいて、車両において歩行者の表示、歩行者の照明、歩行者が通行する道路の路面に光パターンを投影し、あるいは照明ユニットの光度を制御することにより、車両から歩行者を確実に認知することができ、歩行者から車両を認知することができ、安全交通が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明が適用される街路灯を含む道路の概略図。
図2】実施形態1の街路灯の概念構成図。
図3】照明ユニットと制御ユニットのブロック構成図。
図4】照明制御部による照明ユニットの点灯制御を模式的に示す図。
図5】実施形態1における歩行者が車道を横断する状態の概略図。
図6】実施形態2(実施形態1の変形例)の照明ユニットの概念構成図。
図7】実施形態3の街路灯の概念構成図。
図8】照明ユニットと制御ユニットと投影ユニットのブロック構成図。
図9】(a),(b)は投影部の異なる構成例の概略構成図。
図10】実施形態3における歩行者が車道を横断する状態の概略図。
図11】実施形態4における照明システムを構築する車両構成の概略図。
図12】実施形態4における歩行者が車道を横断する状態の概略図。
図13】実施形態5の照明装置及び照明システムの概略図。
図14】実施形態5におけるバスの走行に伴う照明形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の照明装置を道路の街路灯として構成した実施形態の道路の概略図である。横断歩道のない道路Rの両側に所要の距離間隔で複数の街路灯SLが配設されている。各街路灯SLは同じ構成であり、それぞれ道路に立設された支柱の上端部に照明ユニット1が支持されており、道路Rの所要の領域を照明するように構成されている。特に、歩行者Mが通行する歩道を照明するように構成されている。
【0017】
(実施形態1)
図2は実施形態1の街路灯(照明装置)SLの概念構成図である。正面に透光性の部材、例えば透明な樹脂からなるレンズカバー101を有するハウジング100の内部に、照明ユニット1と、この照明ユニット1の点灯状態を制御するための制御ユニット2が配設されている。照明ユニット1は白色光またはこれに近い色光の光を照射する灯具で構成されており、ここでは白色光を発光するLED(発光ダイオード)からなる光源11と、このLED11から出射された白色光を反射するリフレクタ12を備えている。LED11からの白色光はリフレクタ12で反射され、かつレンズカバー101を透過されて街路灯SLの近傍領域の道路Rの路面に向けて照射される。
【0018】
また、この照明ユニット1は、図1に模式的に示すように路面の所要の領域を照明することが可能とされている。この照明領域は、LED11が発光するときの光度によって変化されるが、LED11が最大の光度で発光されたときには、少なくとも隣接する他の街路灯SLとの間の中間位置に達するまでの領域を照明することが可能とされている。好ましくは、街路灯SLが配設されている道路Rの車道の道路幅の中間位置に達するまでの領域を照明することが可能に構成されている。
【0019】
図3は前記照明ユニット1と制御ユニット2のブロック構成図である。制御ユニット2は、街路灯の近傍領域を撮像するカメラ20と、このカメラ20で撮像した画像を解析して移動体、ここでは歩行者Mを検出して移動体情報として出力する移動体検出部21と、検出した移動体情報に基づいて前記照明ユニット1を制御する照明制御部22と、前記移動体情報を他の街路灯との間で送受することが可能な通信部23を備えている。
【0020】
前記カメラ20は一般に提供されているデジタルカメラで構成されており、撮像した画像の画像データを出力する。移動体検出部21は、出力されてきた画像データを画像解析し、この画像データに含まれる歩行者固有の形状を検出することにより歩行者Mを検出し、移動体情報として出力する。ここで、本発明においては、移動体としての歩行者Mは、人間のみならず、自転車やシニアカー等の歩道を通行する車両も含まれる。また、移動体検出部21は、画像データに含まれる道路情報を参照することにより、検出した歩行者Mの現在位置、特に自身の街路灯SLを基準にした歩行者Mまでの距離や方向を演算することができ、これらの情報についても移動体情報として出力する。
【0021】
また、本発明においては、カメラ20での撮像による移動体の検出に代えて、LiDAR(Light Detection and Ranging)を備える構成にしてもよい。LiDARはレーザ光を出射し、移動体で反射されたレーザ光をセンサーで受光した受光信号を出力する。移動体検出部21は、この受光信号に基づいて移動体を検出する。LiDARで構成された場合には、移動体検出部21から出力される移動体情報には、当然に移動体までの距離や方向が含まれる。
【0022】
前記照明制御部22は、移動体情報に含まれる歩行者Mの現在位置に基づいて照明制御情報を生成し、この照明制御情報に基づいて照明ユニット1の光源、すなわちLED11の発光光度を制御する。ここでは当該制御ユニット2が設けられている街路灯(以下、他の街路灯と区別するために自街路灯と称することもある)SLから歩行者Mまでの距離に応じてLED11の発光光度を変化制御する。すなわち、自街路灯SLから歩行者Mまでの距離が長くなるのにつれてLED11の光度を高くする制御を行う。また、歩行者Mの現在位置が自街路灯SLに対して所定の方向にある場合には、さらに光度の高い明るさで照明する制御を行うことも可能とされている。この所定の方向は、ここでは道路Rの車道に向けられた方向である。
【0023】
前記照明制御部22には、周囲が所定の暗さになると所定の信号を出力する照度センサー24が接続されており、この照度センサー24の信号を受けて、周囲が暗くなると光源11を自動的に発光制御する。この照度センサー24は一般に提供されているものであるので、ここでは説明を省略する。
【0024】
前記通信部23は、近距離無線通信を介して、他の街路灯SLに設けられている通信部23との間で無線通信が可能とされている。この通信においては、少なくとも移動体情報を通信相手との間で送受することが可能である。また、この通信部23は、隣接する街路灯との間では、照明制御部22においてLED11を制御する際の制御情報を送受するようにしてもよい。
【0025】
以上の照明装置を備えた街路灯SLでは、周囲が暗くなると制御ユニット2の照明制御部22は、照度センサー24の検出に基づいて照明ユニット1を点灯する。図1には各街路灯SLにおける照明領域を模式的に示している。その上で、照明制御部22は、移動体検出部21からの移動体情報に基づいて照明ユニット1の点灯制御を実行する。
【0026】
図4(a)~(d)は、照明制御部22による照明ユニット1の点灯制御を模式的に示す図である。図4(a)のように、2つの街路灯SL1,SL2の近傍に歩行者が検出されないときには、照明制御部22は照明ユニット1のLED(光源)11の光度は、人間の眼で街路灯SLの近傍の路面状況が確認できるのに必要最低限の明るさ(照度)に制御される。これにより、街路灯における電力消費を抑制している。
【0027】
図4(b)のように、街路灯SL1(第1街路灯)の近傍に歩行者Mが接近してくると、制御ユニット2では移動体検出部21が歩行者Mを検出し、移動体情報を出力する。この移動体情報には、検出した歩行者Mの現在位置が含まれている。照明制御部22は、この歩行者の現在位置から、歩行者Mまでの距離と方向を認識し、この歩行者Mまでの距離と方向に応じてLED11の発光光度を制御し、照明ユニット1の点灯時の明るさを制御する。この明るさは、第三者が所要の距離からでも歩行者Mの存在を確認することができる明るさであり、そのため、第1街路灯SL1の光度は隣接する街路灯SL2(第2街路灯)の光度よりも高く制御される。このように第1街路灯SL1の光度を増加させることにより照明領域が広くなり、歩行者Mは道路の状況を確認することが可能であり、通行に際しての安全確認が容易になる。
【0028】
歩行者Mが第1街路灯SL1を通過して離れて行くと、図4(c)のように、照明制御部22は、歩行者Mまでの距離が長くなるほどLED11の光度を増加させる。すなわち、歩行者Mが第1街路灯SL1の近くを通行しているときの光度を基準にすると、歩行者Mが離れて行く距離に応じて、例えば距離に比例して光度を増加させる。好ましくは距離の二乗に比例して光度を増加させる。これにより、照明領域はさらに拡大され、歩行者Mに対して所定の明るさでの照明が継続される。この制御は、歩行者Mが第1街路灯SL1から所定距離以上離れるまで行われる。あるいは第1街路灯SL1において歩行者を検出しなくなるまで行われる。この状態になると、照明制御部22は照明ユニット1の光度を低減し、あるいは消灯する。
【0029】
一方、図4(d)のように、歩行者Mの移動に伴って第2街路灯SL2において歩行者を検出すると、今度は第2街路灯SL2の制御ユニット2において同様の制御が行われる。この第2街路灯SL2においては、歩行者Mを検出した時点では照明ユニット1は相対的に高い光度で発光され、歩行者Mが近づいてくるのにつれて光度が低減される制御が行われる。歩行者Mが第2街路灯SL2を通過して離れて行くと、第1街路灯SL1の場合と同様に照明ユニット1の光度を低下する制御が実行される。なお、図4では2つの街路灯SL1,SL2について説明したが、3つ以上の街路灯SL1~SLn(nは3以上の整数)が存在する場合には、これらの街路灯においても同様の制御が行われる。
【0030】
このように、街路灯SL1,SL2は、歩行者Mを検出しないときには、必要とされる最小限の光度で照明ユニット1を照明するので、電力消費を抑制することができる。一方、第1街路灯SL1の近傍を歩行者Mが通行しているときには、第1街路灯SL1により歩行者Mに対して所定の明るさでの照明が実行される。歩行者Mが第1街路灯SL1から第2街路灯SL2に向けて移動してきたときには、今度は第2街路灯SL2が歩行者Mを所定の明るさで照明することになる。すなわち、歩行者Mの移動に伴って複数の街路灯が順次リレーしながら歩行者Mを所定の明るさを保持しながら照明することになる。
【0031】
以上の形態では、第1街路灯SL1と第2街路灯SL2は、各制御ユニット2においてそれぞれ歩行者Mを検出して照明ユニット1の制御を行っているが、第1街路灯SL1と第2街路灯SL2の制御ユニット2の各通信部23において相互に移動体情報を送受することにより、各照明ユニット1での制御を連係させるようにしてもよい。このようにすれば、第1街路灯SL1と第2街路灯SL2の一方において歩行者Mを検出できないタイミングが生じたとしても、各街路灯SL1,SL2の照明ユニット1での照明を継続させるとともに、各照明ユニット1の光度の制御を円滑に行うことができる。
【0032】
このように、歩行者Mが通行している際には、複数の街路灯SL1~SLnは連係しながら常時所定以上の高い光度で点灯して歩行者Mを照明することになり、歩行者Mを第三者、特に車両から確実に認知させることが可能になる。これにより歩行者Mの通行の安全性を高めることができる。また、一方で、複数の街路灯SL1~SLnについては、歩行者Mが近傍に存在するときにのみ光度を増加させ、歩行者Mが離れたときには通常の光度に戻す制御が行われるので、消費電力をいたずらに増加させることはない。
【0033】
さらに、街路灯SLにおいて、移動体検出部21からの移動体情報に含まれる歩行者Mの位置や通行方向から、図5に概略図を示すように、歩行者Mが車道を横断していることを判定したときには、照明ユニット1のLED11をさらに高い光度に制御する。これにより、車道を横断している歩行者Mをより明るく照明することができる。この場合、道路Rを挟んだ反対側に配設されている第1街路灯SL1と第3街路灯SL3においては、これら第1街路灯SL1と第3街路灯SL3の間において前記した第1街路灯SL1と第2街路灯SL2の場合と同様の照明の連係を行うことにより、道路を横断する歩行者Mに対して常に所定の明るさ以上で照明することができる。したがって、道路を走行する車両CARは、横断する歩行者Mを遠方から認知することが可能になり、歩行者Mの道路横断時の安全性が確保される。
【0034】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1の変形例であり、ここでは照明ユニット1は、図6に概念構成を示す走査型照明ユニット1Aで構成している。この走査型照明ユニット1Aは、前記光源(LED)11の代わりに走査型光源13を適用したものであり、この走査型光源13は、LD(レーザダイオード)14から出射した光を集光レンズ15で集光し、この集光された光を偏向ないし走査する走査機構16を備えている。走査機構16の具体例としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーやガルバノミラー等の走査ミラーが適用できる。この走査ミラーは、光反射面の角度を2軸制御することにより、LD14から出射された光の反射方向を変化させ、照明領域を任意に変化制御することができる。
【0035】
なお、この照明ユニット1Aを適用した場合には、図3に示した制御ユニット2の照明制御部22は、移動体情報に基づいてLD14の光度を制御する点灯制御情報と、走査機構16を制御する走査制御情報を出力することが可能に構成される。
【0036】
この実施形態2では、移動体検出部21において道路を歩行する歩行者を検出したときには、照明制御部22は検出した歩行者の現在位置に対応して走査型光源13のLD14と走査機構16を制御する。これにより、図5に破線で示すように、歩行者Mの移動に追従するように照明する領域を変化制御し、歩行者Mを含む所要の領域を所定以上の光度で明るく照明することができる。図5では、道路Rを横断する歩行者Mをより明るく照明するように、照明する領域を横断方向に変化制御している。したがって、街路灯SLの数が少ない場合や、道路Rの反対側に街路灯SLが配設されていないような場合にも、歩行者Mを含む領域を選択的に照明し、歩行者Mの通行を補助するとともに、自動車CARからも歩行者Mを認知し易くすることができる。
【0037】
この実施形態2では、制御ユニット2は走査型光源13の走査機構16を制御することにより、照明ユニット1Aの照明領域を移動変化させることができるので、1つの街路灯が照明する領域(範囲)を拡大することが可能となる。したがって、同じ面積を照明する場合には、道路に配設する街路灯の数を低減することが可能である。照明ユニット1Aにおいて、走査機構16を備えることにより1つの照明装置、すなわち街路灯のコストが増加しても、街路灯の数の低減により、トータルのコストの増加を抑制することも可能になる。
【0038】
(実施形態3)
実施形態3は、照明装置(街路灯)SLに所要の光パターンを投影する投影ユニット3を備えている。すなわち、図7に街路灯SLの概念構成を示すように、ハウジング100の内部に、照明ユニット1と、この照明ユニット1の点灯状態を制御するための制御ユニット2と、投影ユニット3が配設されている。照明ユニット1と制御ユニット2は実施形態1と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
図8は照明ユニット1と制御ユニット2と投影ユニット3のブロック構成図であり、前記投影ユニット3は、投影部30と、この投影部30を制御する投影制御部31を備えている。投影部30は、任意の光パターンを投影するプロジェクターとして構成されている。図9(a)に概略構成を示すように、ここではバックライトを備える透過型の液晶表示装置301と、この液晶表示装置31に表示された画像を投影する投影レンズ302で構成されており、自街路灯SLの近傍の道路の路面に、液晶表示装置301に表示された画像の光パターン(以下、画像パターン)を投影することが可能とされている。前記液晶表示装置301はカラー液晶表示装置として構成されており、任意の色彩の画像パターンを投影することが可能である。また、この液晶表示装置301は投影制御部31により制御され、投影部30により所要のタイミングで画像パターンの投影が行われる。
【0040】
実施形態3では、図10に概略図を示すように、制御ユニット2の移動体検出部21において道路を通行する歩行者Mを検出したとき、特にここでは道路を横断している歩行者Mを検出して移動体情報を出力したときには、照明制御部22は、移動体情報に含まれる歩行者Mの現在位置に対応して実施形態1,2と同様に歩行者Mを照明する制御を行う。これと同時に投影ユニット3においては、投影制御部31は移動体情報に基づいて投影部30を制御して道路R、特に車道の路面に「注意マーク」の画像パターンPを投影する。特に、移動体検出部21において歩行者Mに向けて車道を走行して来る車両CARを検出したときには、当該車両CARから見て歩行者Mの手前側となる路面に画像パターンPを投影する。このとき光源の発光色を適宜な色光に制御すれば画像パターンPをより目立たせることができる。
【0041】
これにより、道路Rを走行する車両CARの運転者は、照明ユニット1による照明によって道路を横断する歩行者Mを遠方から認知するとともに、投影ユニット3による自車両の前方の路面に投影された画像パターンPによっても歩行者Mの存在を認知することが可能になり、車両CAR側での安全走行を促し、歩行者Mの道路横断時の安全性が確保される。
【0042】
なお、投影部30は、例えば、図9(b)に示すように、光源303と、集光レンズ304と、DMD(Digital Micromirror Device)305と、投影レンズ306を備えたDMDプロジェクターとして構成されてもよい。光源303はLED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)等の発光素子で構成されており、この光源303から出射された光は集光レンズ304によって収束されながらDMD305に投射される。光源303は、赤緑青の三原色の光を発光する複合LEDで構成されてもよい。DMD305は、既に知られているように多数のマイクロミラーがマトリクス状に配列されており、ミラー駆動部によって各マイクロミラーの面角度、すなわち光反射方向が制御されることにより所望の画像パターンを形成する。投影レンズ306はDMD305で形成された画像パターンを路面に向けて投影する。
【0043】
この構成の投影部30では、移動体検出部21において歩行者を検出したときには、投影制御部31の制御により任意の画像パターンを投影することができる。したがって、例えば、歩行者が路側を通行しているときの画像パターンと、歩行者が道路を横断しているときの画像パターンとを相違させることにより、車両側からは画像パターンの違いによって歩行者の通行状況をより正確に認知することが可能になる。また、これらの投影部30は、投影する画像パターンの投影位置を所定の領域内で変化させることも可能であるので、投影する画像パターンを歩行者の移動に伴って移動させながら投影するようにしてもよい。
【0044】
(実施形態4)
以上の実施形態1~3のいずれにおいても、街路灯SLに配設されている制御ユニット2は、通信部23を介して他の街路灯SLとの間で移動体情報を送受するとともに、道路を通行する歩行者や車両との間でも移動体情報の送受が可能である。すなわち、実施形態4は、歩行者に対する車両側での注意喚起力をより高める照明システムとして構成されている。ここでは、通信部23は、デジタル通信回線を介して、車両に備えられている通信機器との間で無線通信が可能とされる。あるいは、歩行者や車両の運転者が携帯する携帯無線端末、例えばスマートフォンとの間でも通信が可能とされている。
【0045】
図11(a)は、照明システムを構成する車両CARの概略構成図である。
車両CARは、車体前部の左右にADB(Adaptive Driving Beam)配光制御機能を有するヘッドランプ6を備えており、これらのヘッドランプ6は配光制御部を含むECU(Electronic Control Unit)5での制御により任意の配光パターンでの光照射が可能とされている。また、車両CARには、車体の前部に車両の前方の路面に画像パターンを投影するための投影ユニット3Aを備えるとともに、車室内に車両の乗員が視認することが可能な表示パネル(ディスプレイ)4を備えている。投影ユニット3Aは、実施形態3の投影ユニット3と同様な構成が採用できる。
【0046】
前記ECU5は、図5に簡略図示するように、移動体情報を少なくとも受信することが可能な通信部50と、受信した移動体情報に基づいてヘッドランプ6をADB制御するADB制御部51と、移動体情報に基づいて表示パネル4に表示する画像を制御する表示制御部52と、移動体情報に基づいて投影ユニット3により投影する画像パターンを制御する投影制御部53を備えている。
【0047】
実施形態4によれば、図10に示した実施形態3と同様に、街路灯SLの移動体検出部21において歩行者Mを検出したときには、照明制御部22により照明ユニット1を制御することができる。また、これと共に、移動体検出部21で検出した移動体情報を、通信部23を介して車両CARの通信部に送信することができる。この移動体情報にはカメラ20で撮像した画像が含まれる。
【0048】
車両CARにおいては、ECU5の表示制御部52は、図11(b)に示すように、通信部50で受信した移動体情報に含まれる画像を表示パネル4に表示する。車両CARの運転者は、表示パネル4に表示された画像、すなわち歩行者Mが映されている街路灯SLで撮像した画像を視認することにより、自車両の走行先に歩行者が存在していることが認知でき、自車両の前方や側方に注意を向けるようになる。
【0049】
また、ECU5のADB制御部51は、受信した移動体情報に基づいて歩行者Mを検出したときには、図12に示すように、ADB制御によりヘッドランプ6の照明光の一部を遠前方に向けてスポット的に照射させる。これにより、車両の遠前方の道路Rが明るく照明され、ヘッドランプ6の光で道路を横断している歩行者Mを照明することができ、車両CARの運転者は歩行者Mを確実に認知することが可能になる。
【0050】
さらに、実施形態4においても、街路灯SLでは、歩行者を検出したときには、投影ユニット3により歩行者Mの近傍領域の路面に画像パターンを投影することは可能であるが、これに代えて、車両CARにおいて、ECU5の投影制御部53が自車両に搭載の投影ユニット3Aを制御し、図12に示したように、自車両の前方の路面に画像パターンPを自動的に投影するようにしてもよい。この場合、街路灯SLと車両CARとの相互通信によって、車両CARが歩行者Mに接近してきたときには、その接近距離の変化に応じて画像パターンPの図柄や光色を変化させるようにしてもよい。
【0051】
この実施形態4において、デジタル通信回線を介して街路灯SLから車両CARの運転者が所持する携帯無線端末に移動体情報送信をすることにより、当該運転者は歩行者が存在していることを認知させるようにしてもよい。あるいは、デジタル通信回線を介して車両CARから街路灯SLに所要の信号を送信し、さらに街路灯SLから歩行者Mの携帯無線端末に当該所要の信号を送信することにより、歩行者Mが車両CARの接近を認知することが可能となり、さらなる歩行者の安全性が高められる。
【0052】
(実施形態5)
図13は実施形態5の概念図であり、実施形態1の変形例と言える形態である。実施形態5は、歩行者と車両を含んだ形態での照明の制御を行う形態であり、実施形態4に記載のような車両側通信機器を備えていない車両について本発明を適用することが可能にされたものである。ここでは、車両として予め定められた路線に沿って走行する路線バス(以下、バス)の例が示されており、歩行者とバスを含めた照明装置及び照明システムとして構成されている。
【0053】
図13において、バスBUSが走行する路線の道路には、バスの停留所(以下、バス停)BSTの近傍を含めて、複数の照明装置として街路灯SLが所要の距離間隔をおいて配設されている。ここでは4つの街路灯SL11~SL14が配設された例が示されている。各街路灯SL11~SL14は、図2に示した街路灯SLと同様に、それぞれ照明ユニット1と制御ユニット2を備えており、制御ユニット2は、移動体検出部21と照明制御部22と通信部23を備えている。移動体検出部21は歩行者や車両を検出することが可能であり、車両を検出するに際しては、その車種を認識することによってバスを検出することが可能とされている。また、照明制御部22は照明ユニット1の光度を変化制御することが可能とされている。通信部23は前記した複数の街路灯SL11~SL14の間で相互に移動体情報を送受することが可能とされている。
【0054】
各街路灯SL11~SL14は実施形態1と同様に、移動体検出部21において歩行者や車両、ここではバスBUSを検出したときに自身の照明ユニット1の光度を変化制御することが可能とされている。また、バスBUSを検出したときには、バスBUSにかかわる移動体情報(速度や位置)を通信部23から他の街路灯に向けて送信する。送信されてきた移動体情報を通信部23において受信した他の街路灯SLは、受信した移動体情報に基づいて受信した移動体情報がいずれの街路灯SLから送信されたものであるかを認識し、この認識に基づいて自身の照明ユニット1の光度を変化制御することが可能とされている。
【0055】
ここで、前記4つの街路灯SL11~SL14をバスBUSの走行方向に沿って第1街路灯SL11~第4街路灯SL14と称する。また、第4街路灯SL14はバス停BSTに設けられた街路灯である。これらの第1街路灯~第4街路灯SL11~SL14は、通常ではバスBUSを検出しないときには実施形態1(図4)と同様の照明制御が行われる。すなわち、各街路灯SL11~SL14は、移動体検出部21において歩行者を検出しないときには必要最低限の光度での照明を行い、歩行者を検出したときには歩行者を明るく照明するために光度を高める。
【0056】
図14は実施形態5の作用を説明する概略図である。図14(a)では、バスBUSが路線に沿って走行し、第1街路灯SL11に接近してきた状態である。第1街路灯SL11は、移動体検出部21においてバスBUSを検出すると、検出したバスBUSの移動体情報を通信部23から送信する。これと同時に自身の照明ユニット1における光度を通常時のレベル(低レベルとする)よりも高くする。このときの明るさは、実施形態1において歩行者を検出したときに照明する光度に相当するレベル(高レベルとする)の光度である。
【0057】
これにより、第1街路灯SL11の近傍が明るく照明される。バスBUS側(バスの運転者、以下同様)からは、第1街路灯SL11の近傍の道路状況を遠方から確認し易くなり、バスBUSの安全走行が確保される。また、第1街路灯SL11では検出されないがその近傍を通行している歩行者M11は、第1街路灯SL11の近傍の明るさが高くなったことから、第1街路灯SL11にバスBUSが接近してきたことが認識でき、バスBUSに対する注意力が高められ、安全通行が確保される。
【0058】
一方、第2街路灯SL12~第4街路灯SL14は、それぞれ第1街路灯SL11から送信された移動体情報を通信部23で受信し、この移動体情報から、バスBUSが第1街路灯SL11に接近してきていることを認識する。そして、第2街路灯SL12においては、バスBUSが短時間のうちに接近してくると認識し、自身の照明ユニットの照明の光度を低レベルから中レベル(低レベルと高レベル中間)に高める制御を行う。これにより、第2街路灯SL12では検出されないがその近傍を通行してきた歩行者は、短時間のうちにバスが接近してくることを認識する。一方、第3街路灯SL13と第4街路灯SL14ではバスBUSが短時間では接近して来ないと認識し、通常の低レベルの光度での照明を継続する。このとき、鎖線で示すように、第4街路灯SL14にバス待ちの乗客M10がいれば照明を中レベルに制御する。
【0059】
図14(b)のように、バスBUSが第1街路灯SL11を通過し、第2街路灯SL12の近傍まで走行して来ると、今度は第2街路灯SL12の移動体検出部21においてバスBUSを検出し、検出したバスBUSの移動体情報を通信部23から送信する。第2街路灯SL12は自身の照明の光度を高レベルに制御する。これにより、第2街路灯SL12において歩行者が検出されていない場合でも、第2街路灯SL12の近傍が明るく照明される。したがって、バスBUS側からは、第2街路灯SL12の近傍の道路状況を遠方から確認し易くなり安全走行が確保される。また、第2街路灯SL12から多少離れた位置を通行している歩行者M12は、第2街路灯SL12の近傍の明るさが高くなったことから、バスBUSが接近してきたことが認識でき、バスBUSに対する注意力が高められ、安全通行が確保される。
【0060】
第1街路灯SL11では、バスBUSを検出しなくなると、自身の照明の光度を通常の低レベルの光度に戻す。第3街路灯SL13と第4街路灯SL14は、それぞれ第2街路灯SL12から送信された移動体情報を通信部で受信し、この移動体情報から、バスBUSが第2街路灯SL12の近傍を走行していることを認識する。第3街路灯SL13では、バスBUSが短時間で接近してくると認識し、自身の照明の光度を中レベルに高める。これにより、第3街路灯SL13の近傍に存在する歩行者はバスBUSが接近してくることを認識する。第4街路灯SL14ではバスBUSが短時間では接近して来ないと認識し、通常の低レベルの光度での照明を継続する。
【0061】
図示は省略するが、バスが第2街路灯SL12を通過し、第3街路灯SL13の近傍まで走行して来たときも同様である。そして、図14(c)のように、バスBUSが第3街路灯SL13を通過し、バス停BSTが存在する第4街路灯SL14に接近してくると、第4街路灯SL14は照明の光度を高レベルに制御する。このとき、第4街路灯SL14において歩行者を検出していないときには、照明は光度を高レベルに制御するが、バス待ちの乗客M10を検出したときにはその光度をさらに高めた超高レベルでの制御を行う。これにより、バスBUS側ではバス停BSTにいるバス待ちの乗客M10の存在を認識することが可能になる。また、バス待ちの乗客M10は明るさが極めて高くなったことからバスBUSの接近を認識することができる。バスBUSが通過した第1ないし第3街路灯SL11~SL13は照明が低レベルに制御される。
【0062】
このように、実施形態5では、道路を通行している歩行者やバスの移動体情報に基づいて当該道路に沿って配設されている複数の街路灯SL11~SL14の点灯時の光度を、低レベル、中レベル、高レベル、超高レベルに制御することにより、バス側からは走行先の安全を確認することができ、歩行者からはバスBUSに対する安全を確保することができる。特に、バス停BSTにいるバス待ち乗客は第4街路灯SL14の光度の変化からバスBUSの接近を認識することができるので、バス停BSTにバスBUSの接近を報知するための独立した表示装置を備える必要はなく、コストの削減に有効となる。
【0063】
実施形態5は、移動体としての車両はバスに限られるものではなく、ある程度決められた路線に沿って道路を走行する車両、例えば路面電車、タクシー等の車両に対しても本発明を適用できる。また、実施形態5は、実施形態3,4に記載した投影ユニットを備えた街路灯に適用してもよく、バスの走行に伴って路面に画像パターンを投影するようにしてもよい。
【0064】
なお、実施形態5における照明装置は、街路灯に限られるものではなく、図13に示したように、バスBUSが走行する道路の路面に埋め込まれた照明器、例えば道路鋲RLに各街路灯SL11~SL14の通信部23から送信する移動体情報を受信する受信機を備えるようにしてもよい。そして、近傍の街路灯から送信された移動体情報を受信して、道路鋲RLの点灯形態を通常とは異なる形態で点灯するように構成してもよい。例えば、通常は赤色光で点灯されているが、移動体情報を受信したときには赤色光を点滅するようにしてもよい。これにより、道路鋲RLの近傍にいる歩行者は、道路鋲の点灯状態の変化を視認することにより、バスBUSが接近してくることを認識することができる。
【0065】
本発明の照明装置は、実施形態に記載した街路灯に適用されるのみではなく、建造物に配備された照明灯や道路に配備された各種の照明灯に適用されてもよい。また、実施形態1~5に記載した照明ユニット、制御ユニット、投影ユニットは実施形態の構成に限定されるものではなく、各ユニットの基本的な動作が等価であれば、種々の異なる形態のユニットとして構成できる。
【符号の説明】
【0066】
SL,SL1,SL2,SL11~SL14 街路灯(照明装置)
CAR 車両(自動車:移動体)
BUS バス
BST バス停
M 歩行者(移動体)
1,1A 照明ユニット
2 制御ユニット
3,3A 投影ユニット
4 表示パネル(表示装置)
5 ECU
6 ヘッドランプ
11 光源(LED)
20 カメラ
21 移動体検出部
22 照明制御部
23 通信部
24 照度センサー
30 投影部
31 投影制御部
50 通信部
51 ADB制御部
52 表示制御部
53 投影制御部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14