IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社アドバンスエンジニアズの特許一覧

<>
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図1
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図2
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図3
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図4
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図5
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図6
  • 特開-跳ね上げ式ベッド 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075012
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】跳ね上げ式ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/54 20060101AFI20230523BHJP
   A47C 17/24 20060101ALI20230523BHJP
   A47C 20/04 20060101ALI20230523BHJP
   A47C 31/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A47C17/54
A47C17/24
A47C20/04
A47C31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111585
(22)【出願日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021187511
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594166823
【氏名又は名称】有限会社アドバンスエンジニアズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】青木 清
(57)【要約】
【課題】ベッドにおけるシーツ交換作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】長方形の枠状に形成されたベッドフレーム2の上端側に配置された長方形の床板4が、一方の長辺側端部をベッドフレーム2に蝶番金具5Aで蝶着されているとともにベッドフレーム2内部側との間に介装されたガスダンパー6で開き方向に付勢された状態とされ、マットレス3Aを載せた床板4の他方の長辺側端部を手で持ち上げることで所定の開き角度にて床板4が停止する跳ね上げ式ベッド1Aにおいて、その蝶番金具5Aが、一対の固定用プレート50,52が水平に配置された軸棒51を中心軸にして互いに軸着されているとともに、床板4に固定された固定用プレート52が軸棒51の長手方向に沿う方向に軸棒51上を所定範囲で往復摺動可能とされており、マットレス3Aが床板4とともに通常位置から足側に所定範囲をスライド移動可能とされているものとした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の枠状に形成されたベッドフレームの上端側を塞ぐように配置された長方形の床板が、一方の長辺側端部を前記ベッドフレームに蝶番金具で蝶着されているとともに前記ベッドフレーム内部側との間に介装された付勢手段で開き方向に付勢された状態とされ、マットレスを載せた前記床板の他方の長辺側端部を手で持ち上げることで所定の開き角度にて前記床板が停止する跳ね上げ式ベッドにおいて、前記蝶番金具は、一対の固定用プレートが水平に配置された軸棒を中心軸にして互いに軸着されているとともに、前記床板に固定された前記固定用プレートが前記軸棒の長手方向に沿う方向に前記軸棒上を所定範囲で往復摺動可能とされており、前記マットレスが前記床板とともに通常位置から足側に所定範囲をスライド移動可能とされている、ことを特徴とする跳ね上げ式ベッド。
【請求項2】
前記付勢手段は、シリンダ式のダンパーであって、前記床板側及び前記ベッドフレーム側との接続部分が、前記床板のスライド移動による角度変化に追従して接続角度を変化させる方式とされている、ことを特徴とする請求項1に記載した跳ね上げ式ベッド。
【請求項3】
前記蝶番金具の前記床板に固定された前記固定用プレートは、前記床板上面から上方に所定量突出した形状とされており、前記突出した部分が前記床板を傾斜させた状態で前記マットレスの滑り落ちを停止させるストッパとして機能する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載した跳ね上げ式ベッド。
【請求項4】
前記マットレス裏面の端縁部から所定距離離れた位置で所定の固定手段により一端側を前記裏面に固定されたベルトが、その長手方向を前記床板の短径方向に一致させながら、他端側を前記床板の持ち上がる長辺側端部に掛止又は前記長辺側端部で折り曲げられて前記床板の側面又は裏面に固定されており、前記床板を傾斜させた状態で前記マットレスの滑り落ち停止手段として機能する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載した跳ね上げ式ベッド。
【請求項5】
前記固定手段は、前記マットレスの裏面と前記ベルトの一端側上面に設けられた一対の面状ファスナであり、前記ベルトは前記マットレスに対し着脱自在に固定されている、ことを特徴とする請求項4に記載した跳ね上げ式ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床板の一端側が持上がる跳ね上げ式ベッドに関し、殊に、マットレスの一方の長辺側端部が持ち上がることでシーツの交換作業を容易にする、跳ね上げ式ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館等の宿泊施設で行われる客室作業のうち、ベッドメイク時のシーツ交換には多大な労力を要することが知られている。殊に、壁際に配置されたベッドにおいては、新しいシーツの端を壁に密接する側のマットレスと床板の間に挟み込む際に、重いマットレスをずらして壁との間に隙間を確保してからマットレス端部を持ち上げてシーツの端を折り込む必要があるため、大きな手間を要することになる。
【0003】
また、ヘッドボードのあるベッドについては、ヘッドボードとマットレスの頭側端部が密着していることから、マットレスをずらしてヘッドボートとの間に隙間を作ってからマットレス端部を持ち上げてシーツの端を折り込むことになり、同様に手間を要することになる。このように、ベッドのシーツ交換作業にはマットレスをずらしたり持ち上げたりする動作を伴うため、作業者の間では腰や関節を痛める職業病が問題となっており、ベッドメイク時のシーツ交換作業を容易に行えるようにする手段の開発が望まれていた。
【0004】
斯かる問題に対し、特開2019-5519号公報には、ベッドの床板とマットレスの間に空気注入式の袋体を介装し、これに接続した空気ポンプを作業者が作動させながら袋体を膨張させることで、マットレスを床板から持ち上げてシーツの交換作業を容易にする方式のマットレス持ち上げ器が提案されている。これにより、持ち上がったマットレスと床板との間にシーツを折り込むための隙間が形成されるため、作業者が重いマットレスをずらしたり持ち上げたりする労力を要することなく、シーツの端を容易に折り込みながらシーツ交換を完了することができる。
【0005】
しかし、この技術では、作業者が空気ポンプを用いながら人力で袋体を膨張させる必要があり、マットレスが持ち上げるまでに時間と労力を要することになる。また、壁やヘッドボードに近接するマットレスの端部については、マットレスが持ち上がった状態でも壁面やヘッドボートが邪魔になるため、シーツの折り込み作業は依然として困難である。
【0006】
一方、近年では、特開2017-99702号公報に記載されているもののように、マットレスを載せた床板の一端側が、ガススダンパー等の伸縮部材の付勢力で容易に持ち上がるようにした跳ね上げ式ベッドも普及している。この跳ね上げ式ベッドは、蝶番金具で開閉可能に設けられた床板の一端側がマットレスを載せたまま持ち上がることで、床板下方の収納空間を開放することを目的としたものであるが、マットレスの長辺側端部の一方が持ち上がるタイプについては、壁に密接する側を持ち上げることで、その部分のシーツ折り込み作業を容易に行うことができる。
【0007】
ところが、この跳ね上げベッドにおいても、マットレスの頭側が壁に密接して配置された場合やヘッドボードを備えたものの場合には、マットレスの一方の長辺側端部が持ち上がった状態であっても、マットレスの頭側端部が壁やヘッドボードに密接したままであるため、この部分におけるシーツの折り込み作業は容易化されないままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-5519号公報
【特許文献2】特開2017-99702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、ベッドにおけるシーツ交換作業を容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、長方形の枠状に形成されたベッドフレームの上端側を塞ぐように配置された長方形の床板が、一方の長辺側端部をベッドフレームに蝶番金具で蝶着されているとともにベッドフレーム内部側との間に介装された付勢手段で開き方向に付勢された状態とされ、マットレスを載せた床板の他方の長辺側端部を手で持ち上げることで所定の開き角度にて床板が停止する跳ね上げ式ベッドにおいて、その蝶番金具は、一対の固定用プレートが水平に配置された軸棒を中心軸にして互いに軸着されているとともに、床板に固定された固定用プレートが軸棒の長手方向に沿う方向に軸棒上を所定範囲で往復摺動可能とされており、マットレスが床板とともに通常位置から足側に所定範囲をスライド移動可能とされている、ことを特徴とするものとした。
【0011】
このように、床板の一方の長辺側端部を蝶番金具でベッドフレーム側に蝶着するとともに付勢手段で開き方向に付勢したことで床板の開閉動作を容易にした跳ね上げ式ベッドについて、その蝶番金具における床板に固定された方を、蝶番金具の軸棒上で摺動可能としてマットレスを足側にスライド動作できるようにしたことで、マットレスの壁に近接する長辺側端部が容易に持ち上がる機能に加え、マットレスの頭側端部が壁やヘッドボードに近接する場合であっても、マットレスを足側にスライド移動させて頭側に隙間を作ることが可能になるため、マットレス頭側端部のシーツ折り込み作業も容易に行えるものとなる。
【0012】
また、この跳ね上げ式ベッドにおいて、その付勢手段はシリンダ式のダンパーであって、床板側及びベッドフレーム側との接続部分が、前記床板のスライド移動による角度変化に追従して接続角度を変化させる方式とされている、ことを特徴としたものとすれば、スムーズな床板とマットレスのスライド動作を実現しやすいものとなる。
【0013】
さらに、上述した跳ね上げ式ベッドにおいて、その蝶番金具のうち床板に固定された固定用プレートは、床板上面から上方に所定量突出した形状とされており、この突出した部分が床板を傾斜させた状態でマットレスの滑り落ちを停止させるストッパとして機能する、ことを特徴としたものとすれば、作業に適した開き角度までマットレスを持ち上げても、マットレスが滑り落ちることなく安定した作業を行えるものとなる。
【0014】
或いは、マットレス裏面の端縁部から所定距離離れた位置で所定の固定手段により一端側をマットレス裏面に固定されたベルトが、その長手方向を床板の短径方向に一致させながら、他端側を床板の持ち上がる長辺側端部に掛止又はその長辺側端部で折り曲げられて床板の側面又は裏面に固定されており、床板を傾斜させた状態でマットレスの滑り落ち停止手段として機能する、ことを特徴としたものとしても、傾斜した床板からマットレスが滑り落ちるのを停止させることができ、且つ、ベルトの固定部がマットレス裏面の端縁部から離れていることでシーツの折り込み空間を確保可能としながら、固定用プレートにおけるストッパ用の突出部分を不要なものとして、シーツ端部の折り込み作業の容易化を実現することができる。
【0015】
この場合、その固定手段が、マットレスの裏面とベルトの一端側上面に設けられた一対の面状ファスナであり、そのベルトがマットレスに対し着脱自在に固定されている、ことを特徴としたものとすれば、マットレスの裏面に対するベルト端部の着脱作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0016】
跳ね上げ式ベッドにおける床板に固定される蝶番金具の固定用プレートを軸棒上で摺動可能にしてマットレスを足側にスライド移動できるようにした本発明によると、壁側に密接するマットレスの長辺側端部を持ち上げ可能としながらマットレスが足側にスライド移動可能となるため、ベッドにおけるシーツ交換作業を容易に行えるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態の跳ね上げ式ベッドの斜視図である。
図2図1の跳ね上げ式ベッドの床板をマットレスとともに跳ね上げた状態の斜視図である。
図3図2の跳ね上げ式ベッドの床板をマットレスとともに足側にスライド移動させた状態の斜視図である。
図4図3の跳ね上げ式ベッドを他の方向から見た斜視図である。
図5図1の跳ね上げ式ベッドの応用例を示す斜視図である。
図6図5の跳ね上げ式ベッドにおけるベルトの機能を説明するための拡大した側面部分図であって、(A)は床板を傾斜させた状態、(B)は(A)の状態からシーツの端を折り込むためにマット端部側を持ち上げた状態である。
図7】(A)及び(B)は図6の跳ね上げ式ベッドのベルトの変形例を示す拡大した側面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態である跳ね上げ式ベッド1Aを斜視図で示している。この跳ね上げ式ベッド1Aは、主としてホテルや旅館等の宿泊施設の客室に設置して使用されることを想定しており、そのベッドメイク作業におけるシーツの交換を容易化することを目的として開発されたものである。
【0020】
本実施の形態の跳ね上げ式ベッド1Aにおいては、複数枚の板材を組んで長方形の枠状に形成したベッドフレーム2の上端側を塞ぐように配置された長方形の床板4が、一方の長辺側端部をベッドフレーム2の一方の長辺上端側に蝶番金具5A,5Aで開閉可能に蝶着されているとともに、ベッドフレーム2内部側との間に介装された付勢手段としてのガスダンパー6,6(図4参照)により、開き方向(跳ね上げ方向)に付勢されている。
【0021】
そして、図2に示すように、ベッドフレーム2における足側の短辺上端側に形成した手挿入用切り欠き22a,22bに手を挿入して、マットレス3Aを載せた床板4の他方の長辺側を持ち上げることにより、75度乃至85度程度の開き角度(操作性・角度安定性の観点から80度が好適)で床板4が停止して、その傾斜角度を維持する機能を有したものとなっている。
【0022】
そのため、この跳ね上げ式ベッド1Aは、蝶番金具5A,5Aを設けた側と反対の長辺側端部を壁際に配置した状況において、蝶番金具5A,5Aを設けた側に立った作業員がベッドメイクにおけるシーツ交換を行う際に、マットレス3Aにおける壁側の端部が容易に持ち上がって作業員の立ち位置に近くなるとともに、マットレス3Aが立ち上がった状態であることで床板4との間に隙間を作る際に小さな力で足りることから、新しいシーツの端をマットレス3Aと床板4の間に折り込む作業を行いやすくなることから、シーツ交換作業が容易なものとなる。
【0023】
一方、マットレス3Aの頭側端部については、図2に示すように、ヘッドボード20を有したものにおいて、マットレス3Aが立ち上がった状態でもこれが作業の邪魔になり、或いは、ヘッドボート20がないタイプのものであっても、頭側が壁寄りに配置される場合が多い関係で壁面が作業の邪魔になりやすいため、シーツ交換作業の容易化は未だ不充分である。
【0024】
そこで、本発明においては、図3の拡大した円中に示すように、その蝶番金具5A,5Aを、一対の固定用プレート50,52が水平に配置された軸棒51を中心軸にして互いに軸着されているとともに、床板4に固定された側の固定用プレート52が、軸棒51の長手方向に沿う方向に軸棒51上を所定範囲(本実施の形態では50mm程度)で往復動作可能とされており、手動でマットレス3Aが床板4とともに足側方向にスライド移動可能なものとしており、この点が本発明における最大の特徴部分となっている。
【0025】
このように、蝶番金具5A,5Aにおける床板4に固定される方を、マットレス3Aの足側方向にスライド動作可能にしたことで、上述したマットレス3Aの壁に近接する長辺側端部が容易に持ち上がる機能に加え、マットレス3Aの頭側端部が壁やヘッドボード20に密接するような状況であっても、マットレスAを床板4とともに足側にスライド移動させることが可能になるため、マットレス3Aの頭側端部におけるシーツ折り込み作業を容易に実施できるようになる。
【0026】
また、この跳ね上げ式ベッド1においては、図4に示すように、床板4及びマットレス3Aを跳ね上げる際の付勢手段として、シリンダ式のガスダンパー(ガススプリング)6,6を用いているところ、上述したように、蝶番金具5A,5Aのスライド機能により、床板4が頭側から足側にスライド移動するため、ガスダンパー6,6の端部側とフレーム2側及び床板4側との接続部分の接続角度に変動が生じる点が問題となる。
【0027】
そこで、本実施の形態では、このガスダンパー6,6について、その両端側の床板4側及びベッドフレーム2側との接続部分に、床板4のスライド移動による角度変化に追従して接続角度を変化させる機能を備えたユニバーサルジョイント等の自在式の接続構造を採用しており、これにより、シーツ交換時におけるマットレス3Aの足側へのスムーズなスライド動作を実現できるようにしている。
【0028】
尚、ガスダンパー6,6は、ベッドフレーム2内において短径方向を渡すように配置した板状の補強板21,21に基端側を接続されているとともに、先端側を床板4裏面においてその短径方向を渡すように配置した棒状の補強用リブ61,61の上に接続されているが、その付勢力は、マットレス3Aを載せた床板4を水平位置から手動で持ち上げる際に要する力を大きく軽減するとともに、図4の立ち上がった角度位置において、その角度位置を維持する強度に設定されている。
【0029】
さらに、本実施の形態において、その蝶番金具5A,5Aの床板4に固定された方の固定用プレート52,52は、図1に示したように、床板4上面から上方に所定量突出した形状・サイズとされている。これにより、その固定用プレート52,52の突出した部分が、図3に示すように床板4を傾斜させた状態において、マットレス3Aの滑り落ちを停止させるストッパとして機能するようになっており、作業に適した80度前後の持ち上げ角度までマットレス3Aを持ち上げた状態でも、マットレス3Aが滑り落ちることなく安定してベッドメイクの作業を継続することができる。
【0030】
ところで、上述した跳ね上げ式ベッド1Aにおいては、部屋のレイアウトの関係で、ヘッドボード20のある側を壁寄りの配置にすると蝶番金具5A,5Aを設けた側が壁寄りになってしまうケースも想定されるところ、その状況では床板4に載せたマットレス3Aの壁側の端部が持ち上げにくくなるため、その部分のシーツ折り込み作業が困難となってしまう。
【0031】
そこで、本実施の形態では、そのヘッドボード20が、ベッドフレーム2の短辺側の端面に対しネジ等で着脱自在とされているとともに、必要に応じていずれの短辺側にも付け替えできるようになっている。このように、ベッドボード20をベッドフレーム2に付設する側を変更可能にしたことで、一種類の跳ね上げ式ベッド1で部屋の様々な配置位置に対応しながら、壁側になるマットレス3Aの端部側を持ち上げやすい設定にすることが可能なものとなる。尚、図4に示したように、ベッドフレーム4においては、反対の短辺側にヘッドボード20を付け替え可能とするため、ヘッドボード20を設けた側にも手挿入用切り欠き22c,22dが形成されている。
【0032】
以下に、上述した跳ね上げ式ベッド1Aにおいて、床板4に載せたマットレス3Aに新しいシーツをセッティングする手順を説明する。
【0033】
先ず、跳ね上げ式ベッド1Aにおいて、作業者は図1の状態から手挿入用切り欠き22bに手を刺し込んで、マットレス3Aを載せた床板4を持ち上げて図2の状態とし、その後、蝶番金具5A,5Aの機能を使用してマットレス3Aを床板4とともに足側にスライドさせて図3の状態にする。
【0034】
次に、図3の状態で持ち上げられた床板4及びマットレス3Aの上から、新しいシーツを掛けて下端側が垂れ下がる状態とし、シーツの上側の端をマットレス3Aと床板4の間に刺し込んで折り込み、その後、シーツの頭側と足側の端をマットレス3Aと床板4の間に折り込む。
【0035】
そして、マットレス3A及び床板4を頭側にスライドさせて元に戻し、マットレス3Aと床板4を寝かせて跳ね上げ式ベッド1を図1の状態に戻す。最後に、マットレス3Aの蝶番金具5A,5Aが接している側を床板4から少し持ち上げながら、垂れ下がったシーツの端をマットレス3Aと床板4の間に折り込んで、シーツ交換作業が完了する。
【0036】
図5は、上述した跳ね上げ式ベッド1Aの応用例としての跳ね上げ式ベッド1Bを示している。この図では、説明のためにマットレス3Bを裏面が上側になるように分離した状態で示している。この跳ね上げ式ベッド1Aにおいては、マットレス3A裏面の4辺を構成する各端縁部から、少なくともシーツを折り込むだけの幅を確保可能な所定距離分だけ離れた位置にて、所定の固定手段により一端側をマットレス3A裏面に固定されたベルト7Aが、その長手方向を床板4の短径方向に一致させながら他端側が床板4の持ち上がる長辺側端部に掛止されている点を特徴としている。
【0037】
この応用例では、ベルト7Aは、帯状の強靱な布製のベルト本体70における一端側の表面に、一対の面状ファスナの一方を構成する面状接合部72が設けられているとともに、他端側にフック71が設けられてなるものであり、斯かるベルト7Aが、そのフック71を床板4の長辺端部側の側面部分に掛止された状態にて、床板4の長手方向に等間隔で3本配設されている。一方、マットレス3Bの裏面には、前述した3本のベルト7Aの面状接合部72の位置に各々対応する位置に、一対の面状ファスナの他方を構成する面状接合部32,32,32が設けられており、床板4にマットレス3Bを載せることにより、フック面とループ面等からなる一対の面状接合部72,32が着脱自在に接合されて、ベルト7Aの一端側がマットレス3A裏面に各々固定されるようになっている。
【0038】
そのため、図6(A)の拡大した側面図に示すように、マットレス3Bを載せている床板4を傾斜させた場合に、一端側をマットレス3B裏面に固定されたベルト7Aの他端側が、フック71で床板4の持ち上がった端部の側面部分に掛止されるため、マットレス3Bが床板4の傾斜面に沿って滑り落ちるのを停止させる手段として機能するものである。また、図6(B)に示すように、ベルト7Aの一端側にある固定部が、マットレス3B裏面の長辺側の端縁部から離れた位置とされていることで、マットレス3Bの端部側を床板4から持ち上げやすくしながら、シーツを折り込むための空間を容易に確保できるようになっている(頭側と足側も同様)。さらに、ベルト7Aの一端側がマットレス3B裏面の固定部から着脱自在であるため、マットレス3Bと床板4との分離・接合作業も容易である。
【0039】
さらに、この応用例では、上述したようにベルト7Aがマットレス3Bの滑り落ち停止手段として機能することにより、その蝶番金具5Bは、図1の跳ね上げ式ベッド1Aの蝶番金具5Aの固定用プレート52におけるようなストッパ用の突出部分のない構造を採用しているため、その部分におけるシーツ端部の折り込み作業の邪魔になりにくいものとしている。
【0040】
図7は、前述した跳ね上げ式ベッド1Bにおけるベルト7Aの変形例としてのベルト7Bを使用した場合を示している。この例では、ベルト7Aにおいてベルト本体70の他端側にフック71を設けていた代わりに、それを掛ける床板4の長辺側端部でベルト本体75が裏側に折り曲げられて、その他端側が床板4裏面の所定位置にネジ80等の固定手段で固定されている点を特徴としており、このような構成によっても、床板4を傾斜させた状態でマットレス3Bの滑り落ち停止手段として機能するとともに、前述と同様の作用・機能を発揮することができる。尚、固定強度の確保が可能である限り、ベルト7Bのベルト本体75他端側を床板4の側面に固定した構成としても同様である。また、マットレス裏面にベルト本体一端側を固定するための固定手段としては、上述した面状ファスナ以外に、縫い付けや接着等による他の手段でも実施可能である。
【0041】
また、上述した本発明の跳ね上げベッドによる他の機能的な特徴としては、床板下方に収納空間を備えた従来の跳ね上げベッドのように収納品を載せる底板を有していないことから、床板を跳ね上げた状態でそのままベッド下側の床面を掃除できる点にあり、これによりベッドメイク作業の工程中に部屋の掃除の一部を完了することができる。
【0042】
以上、述べたように、ベッドにおけるシーツ交換作業について、本発明により、作業者にとって楽な姿勢のまま大きな力や面倒な手間を要することなく、容易に行えるようになった。
【符号の説明】
【0043】
1A,1B 跳ね上げ式ベッド、2 ベッドフレーム、3A,3B マットレス、4 床板、5A,5B 蝶番金具、6 ガスダンパー、7A,7B ベルト、20 ヘッドボード、32,72 面状接合部、50,52 固定用プレート、51 軸棒、70,75 ベルト本体、71 フック、80 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7