(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075025
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】スイッチモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230523BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 301L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141786
(22)【出願日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】202111370610.7
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】洪守玉
(72)【発明者】
【氏名】王涛
(72)【発明者】
【氏名】徐海濱
(72)【発明者】
【氏名】周偉成
(72)【発明者】
【氏名】周敏
(72)【発明者】
【氏名】葉益青
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも一つの基板、少なくとも一つのスイッチデバイス、少なくとも一つの制御ループ、第1パワー部品及び第2パワー部品を含むスイッチモジュールを提供する。
【解決手段】スイッチモジュール1において、少なくとも一つのスイッチデバイス3は、基板2上に設置される。少なくとも一つの制御ループは、対応するスイッチデバイスに接続される。第1パワー部品6及び第2パワー部品7は、それぞれ対応するスイッチデバイスに接続される。第1パワー部品に第1電流が流れ、第2パワー部品に第2電流が流れ、第1電流と第2電流の電流方向は同じであり、第1パワー部品と第2パワー部品の同じ基準面への投影は、制御ループの基準面への投影の両側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの基板と、
前記基板上に設置された少なくとも一つのスイッチデバイスと、
対応する前記スイッチデバイスに接続された少なくとも一つの制御ループと、
それぞれ対応する前記スイッチデバイスに接続された第1パワー部品及び第2パワー部品と、
を含むスイッチモジュールであって、
前記第1パワー部品に第1電流が流れ、前記第2パワー部品に第2電流が流れ、前記第1電流と前記第2電流の電流方向が同じであり、前記第1パワー部品と前記第2パワー部品の同じ基準面への投影が、前記制御ループの前記基準面への投影の両側に位置することを特徴とする、スイッチモジュール。
【請求項2】
前記スイッチデバイスが第1制御端、第2制御端、第1パワー端、及び第2パワー端を含み、
前記制御ループが第1制御部品と第2制御部品を含み、前記第1制御部品が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1制御端に接続され、前記第2制御部品が、対応する前記スイッチデバイスの前記第2制御端に接続され、
前記第1パワー部品と前記第2パワー部品が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1パワー端に同時に接続され、または対応する前記スイッチデバイスの前記第2パワー端に同時に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチモジュール。
【請求項3】
前記基準面において、前記第1パワー部品及び前記第2パワー部品の投影が、それぞれ前記第1制御部品及び前記第2制御部品の投影の両側に位置し、かつ前記第1制御部品及び前記第2制御部品の投影の間の中心線に対する前記第1パワー部品の投影及び前記第2パワー部品の投影の非対称度が60%以下であることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項4】
前記基準面において、前記第1パワー部品の投影と前記中心線との距離が、前記第2パワー部品の投影と前記中心線との距離に等しいことを特徴とする、請求項3に記載のスイッチモジュール。
【請求項5】
前記第1パワー部品における前記第1電流の電流値が、前記第2パワー部品における前記第2電流の電流値に等しいことを特徴とする、請求項4に記載のスイッチモジュール。
【請求項6】
前記基準面において、前記第1パワー部品の投影または前記第2パワー部品の投影と前記中心線との最小距離が1mmであることを特徴とする、請求項3に記載のスイッチモジュール。
【請求項7】
前記第1電流の電流値が前記第2電流の電流値よりも大きい場合、前記基準面において、前記第1パワー部品の投影と前記中心線との距離が、前記第2パワー部品の投影と前記中心線との距離よりも大きく、
前記第1電流の電流値が前記第2電流の電流値よりも小さい場合、前記基準面において、前記第1パワー部品の投影と前記中心線との距離が、前記第2パワー部品の投影と前記中心線との距離よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載のスイッチモジュール。
【請求項8】
前記第1パワー部品と前記第2パワー部品が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1パワー端に同時に接続され、
前記第1パワー部品が第1パワー導体及び第1パワーピンを含み、前記第1パワー導体が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1パワー端と前記第1パワーピンとの間に接続され、前記第2パワー部品が第2パワー導体及び第2パワーピンを含み、前記第2パワー導体が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1パワー端と前記第2パワーピンとの間に接続され、
前記第1制御部品が第1制御導体及び第1制御ピンを含み、前記第1制御導体が、対応する前記スイッチデバイスの前記第1制御端と前記第1制御ピンとの間に接続され、前記第2制御部品が第2制御導体及び第2制御ピンを含み、前記第2制御導体が、対応する前記スイッチデバイスの前記第2制御端と前記第2制御ピンとの間に接続され、
前記第1パワー導体及び前記第2パワー導体の前記基準面への投影が、それぞれ前記第1制御導体及び前記第2制御導体の前記基準面への投影の両側に位置することを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項9】
前記第1パワーピン及び前記第2パワーピンの前記基準面への投影が、それぞれ前記第1制御ピン及び前記第2制御ピンの前記基準面への投影の両側に位置することを特徴とする、請求項8に記載のスイッチモジュール。
【請求項10】
対応する前記スイッチデバイスの前記第1パワー端に接続された一つまたは複数の第3パワー部品をさらに含み、
前記第3パワー部品に、前記第1電流及び前記第2電流の方向と同じである第3電流が流れ、
前記第3パワー部品の前記基準面への投影が、前記第1制御部品及び前記第2制御部品の前記基準面への投影の片側または両側に位置することを特徴とする、請求項8に記載のスイッチモジュール。
【請求項11】
前記第1制御部品と前記第2制御部品の両側の一方の側の前記第1パワー部品と前記第3パワー部品の数の合計が第1数であり、前記第1制御部品と前記第2制御部品の両側の他方の側の前記第2パワー部品と前記第3パワー部品の数の合計が第2数であり、かつ前記第1数と前記第2数の差の絶対値が3以下であることを特徴とする、請求項10に記載のスイッチモジュール。
【請求項12】
対応する前記スイッチデバイスの前記第2パワー端に接続された第4パワー部品をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のスイッチモジュール。
【請求項13】
前記少なくとも一つのスイッチデバイスが、同じ前記基板上に設置された第1スイッチデバイスと第2スイッチデバイスを含み、前記第1スイッチデバイス及び前記第2スイッチデバイスが、それぞれ第1制御端、第2制御端、第1パワー端、及び第2パワー端を含み、
前記少なくとも一つの制御ループが、第1制御ループと第2制御ループを含み、前記第1制御ループが、前記第1スイッチデバイスの前記第1制御端及び前記第2制御端に接続され、前記第2制御ループが、前記第2スイッチデバイスの前記第1制御端及び前記第2制御端に接続され、
前記第1パワー部品が、前記第1スイッチデバイスの前記第1パワー端に接続され、前記第2パワー部品が、前記第2スイッチデバイスの前記第1パワー端に接続され、
前記第1パワー部品及び前記第2パワー部品の前記基準面への投影が、前記第1制御ループ及び/または前記第2制御ループの前記基準面への投影の両側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のスイッチモジュール。
【請求項14】
前記第1制御ループ及び前記第2制御ループが、それぞれ第1制御部品と第2制御部品を含み、前記第1制御ループの第1制御部品が、前記第1スイッチデバイスの前記第1制御端に接続され、前記第1制御ループの第2制御部品が、前記第1スイッチデバイスの前記第2制御端に接続され、前記第2制御ループの第1制御部品が、前記第2スイッチデバイスの前記第1制御端に接続され、前記第2制御ループの第2制御部品が、前記第2スイッチデバイスの前記第2制御端に接続され、
前記第1パワー部品及び前記第2パワー部品の前記基準面への投影が、それぞれ前記第1制御ループの前記第1制御部品及び前記第2制御部品の前記基準面への投影の両側に位置し、または、
前記第1パワー部品及び前記第2パワー部品の前記基準面への投影が、それぞれ前記第1制御ループ及び前記第2制御ループのすべての前記第1制御部品及び前記第2制御部品の前記基準面への投影の両側に位置することを特徴とする、請求項13に記載のスイッチモジュール。
【請求項15】
前記第1制御ループ及び前記第2制御ループが、同じ前記第1制御部品または同じ前記第2制御部品を共有することを特徴とする、請求項14に記載のスイッチモジュール。
【請求項16】
前記少なくとも一つの基板が第1基板及び第2基板を含み、前記少なくとも一つのスイッチデバイスが第1スイッチデバイス及び第2スイッチデバイスを含み、前記第1スイッチデバイスが前記第1基板に設置され、前記第2スイッチデバイスが前記第2基板に設置され、前記第1スイッチデバイス及び前記第2スイッチデバイスが、それぞれ第1制御端、第2制御端、第1パワー端、及び第2パワー端を含み、
各前記制御ループが第1制御部品と第2制御部品を含み、
前記スイッチモジュールが第1接続導体及び第2接続導体をさらに含み、前記第1接続導体の両端が、それぞれ前記第1スイッチデバイスの前記第1パワー端及び前記第2スイッチデバイスの前記第2パワー端に接続され、前記第2接続導体の両端が、それぞれ前記第1スイッチデバイスの前記第1パワー端及び前記第2スイッチデバイスの前記第2パワー端に接続され、かつ、
前記基準面において、前記第1接続導体及び前記第2接続導体の投影が、それぞれ前記第1スイッチデバイスに対応する前記第1制御部品及び前記第2制御部品の投影の両側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のスイッチモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチモジュールに関し、特にパワーループと制御ループ間の相互インダクタンスが小さいスイッチモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力電子システムのスイッチモジュールでは通常、作動周波数を高めることにより高いパワー密度を達成する。しかし、作動周波数を高めると、スイッチ損失が増加し、さらにスイッチモジュールの効率が低下する。從って、高周波の場合、スイッチモジュールの制御端のスイッチ速度を向上させることにより、スイッチ損失を低減する。しかし、スイッチモジュールが高いスイッチ速度を有する場合、深刻な電磁干渉(Electro Magnetic Interference、EMI)の問題が発生する。
【0003】
特にスイッチモジュールが高いパワー密度の構造を有する場合、スイッチモジュール内のパワーループと制御ループとの間の距離が比較的近いため、パワーループにおける電流が変化すると、パワーループの周囲に誘導磁界が発生し、誘導磁界が制御ループを通過する際に、対応する誘導電圧が発生するため、パワーループと制御ループとの間に相互インダクタンスによる電磁干渉が生じ、スイッチモジュールのスイッチング過程に影響を及ぼす。
【0004】
従来のスイッチモジュールでは、複数のパワーループが互いに隣接し、複数の制御ループが互いに隣接しており、かつパワーループ及び制御ループの配置方式としては、複数のパワーループが順次に配列されてから、複数の制御ループと順次に配列して設置され、すなわち、二つのパワーループの間に制御ループがなく、かつ二つの制御ループの間にもパワーループがないため、複数のパワーループの誘導磁界が制御ループを通過する際の方向が一致することで、さらにパワーループと制御ループ間の相互インダクタンスによる電磁干渉が大幅に増加する。相互インダクタンスによる電磁干渉が大きすぎて干渉電圧が高くなると、制御端の電圧が安全範囲を超え、さらにスイッチモジュールの信頼性が低下し、正常に動作しなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、上記の欠点を克服するスイッチモジュールをどのように開発するかは、現在の切迫する要求となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、パワーループと制御ループ間の相互インダクタンスを低減することができるスイッチモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、少なくとも一つの基板、少なくとも一つのスイッチデバイス、少なくとも一つの制御ループ、第1パワー部品、及び第2パワー部品を含むスイッチモジュールを提供する。少なくとも一つのスイッチデバイスは基板上に設置される。少なくとも一つの制御ループは、対応するスイッチデバイスに接続される。第1パワー部品及び第2パワー部品は、それぞれ対応するスイッチデバイスに接続される。第1パワー部品に第1電流が流れ、第2パワー部品に第2電流が流れ、第1電流と第2電流の電流方向は同じであり、第1パワー部品及び第2パワー部品の同じ基準面への投影は、制御ループの基準面への投影の両側に位置する。
【0008】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図2】
図1に示すスイッチモジュールのA-A'断面に沿った部分構造の側面図である。
【
図3】
図1に示すスイッチモジュールのパワー部品が制御ループに作用するときの磁束キャンセルの原理図である。
【
図4】本発明の第2実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図5A】本発明の第3実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図5B】
図5Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
【
図6】本発明の第4実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図7】本発明の第5実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図8】本発明の第6実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図9】本発明の第7実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図10】本発明の第8実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図11】本発明の第9実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【
図12】第1パワー部品及び第2パワー部品と制御ループの中心線との間の距離が示された、
図1に示すスイッチモジュールの第1の実施形態の構造模式図である。
【
図13】第1パワー部品及び第2パワー部品と制御ループの中心線との間の距離が示された、
図1に示すスイッチモジュールの第2の実施形態の構造模式図である。
【
図14】本発明の第10実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において詳細に記述する。本開示は異なる実施形態において様々な変化を有することができ、いずれも本開示の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に説明するために用いられものであり、本開示を限定する意図はないことを理解されたい。
【0011】
図1、
図2及び
図3を参照し、
図1は、本発明の第1実施形態のスイッチモジュールの構造模式図であり、
図2は、
図1に示すスイッチモジュールのA-A'断面に沿った部分構造の側面図であり、
図3は、
図1に示すスイッチモジュールのパワー部品が制御ループに作用するときの磁束キャンセルの原理図である。本実施形態のスイッチモジュール1は、主回路基板(図示せず)上に設置され、主回路基板に電気的に接続され、かつスイッチモジュール1は、基板2、スイッチデバイス3、第1制御部品4、第2制御部品5、第1パワー部品6、及び第2パワー部品7を含む。
【0012】
一実施形態において、スイッチデバイス3は垂直型デバイスであり、かつ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)、バイポーラジャンクショントランジスタ(Bipolar Junction Transistor、BJT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)、接合型電界効果トランジスタ(Junction Field Effect Transistor、JFET)または窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor、GaN-HEMT)であってもよいが、これらに限定されない。
図2に示すように、スイッチデバイス3は、接続材料11を介して溶接されて基板2上に設置され、かつスイッチデバイス3は、第1制御端31、第2制御端、第1パワー端、及び第2パワー端33を含み、第1制御端31、第2制御端及び第1パワー端は、スイッチデバイス3の第1面34に設置され、第2制御端と第1パワー端は、スイッチデバイス3の同じ領域に位置しており、以下では、第2制御端と第1パワー端が位置する同じ領域は、共通導通端32によって表される。第2パワー端33はスイッチデバイス3の第2面35に設置され、第2パワー端33は接続材料11を介して基板2に接続される。いくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がIGBTである場合、第1制御端31はスイッチデバイス3のゲート(Gate)を構成し、共通導通端32(すなわち、第2制御端と第1パワー端)はスイッチデバイス3のエミッタ(Emitter)を構成し、第2パワー端33はスイッチデバイス3のコレクタ(Collector)を構成する。別のいくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がBJTである場合、第1制御端31はスイッチデバイス3のベース(Base)を構成し、共通導通端32(すなわち、第2制御端と第1パワー端)はスイッチデバイス3のエミッタ(Emitter)を構成し、第2パワー端33はスイッチデバイス3のコレクタ(Collector)を構成する。別のいくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がMOSFET、JFETまたはGaN-HEMTである場合、第1制御端31はスイッチデバイス3のゲート(Gate)を構成し、共通導通端32(すなわち、第2制御端と第1パワー端)はスイッチデバイス3のソース(Source)を構成し、第2パワー端33はスイッチデバイス3のドレイン(Drain)を構成する。
【0013】
図1に示すように、第1制御部品4はスイッチデバイス3の第1制御端31に接続され、第1制御部品4は、第1制御ピン41及び第1制御導体42を含むことができ、第1制御ピン41は主回路基板上に設置され、第1制御導体42は、第1制御ピン41と対応するスイッチデバイス3の第1制御端31との間に接続される。第2制御部品5は、スイッチデバイス3の第2制御端を構成する共通導通端32に接続され、第2制御部品5は、第2制御ピン51及び第2制御導体52を含み、第2制御ピン51は主回路基板上に設置され、第2制御導体52は、第2制御ピン51と対応するスイッチデバイス3の第2制御端を構成する共通導通端32との間に接続される。第2制御端を構成する共通導通端32、第2制御導体52、第2制御ピン51、主回路基板、第1制御ピン41、第1制御導体42、及び第1制御端31は、スイッチモジュール1の一つの制御ループを構成する。
【0014】
第1パワー部品6は、対応するスイッチデバイス3の第1パワー端を構成する共通導通端32に接続され、第1パワー部品6は、第1パワーピン61及び第1パワー導体62を含むことができ、第1パワーピン61は主回路基板上に設置され、第1パワー導体62は、第1パワーピン61と対応するスイッチデバイス3の第1パワー端を構成する共通導通端32との間に接続され、かつ第1パワー部品6には第1電流が流れる。第2パワー部品7は、対応するスイッチデバイス3の第1パワー端を構成する共通導通端32に接続され、第2パワー部品7は第2パワーピン71及び第2パワー導体72を含み、第2パワーピン71は主回路基板上に設置され、第2パワー導体72は、第2パワーピン71と対応するスイッチデバイス3の第1パワー端を構成する共通導通端32との間に接続され、かつ第2パワー部品7には第2電流が流れる。第1パワー部品6に対応するスイッチデバイス3、及び第2パワー部品7に対応するスイッチデバイス3は、同じスイッチデバイス3であってもよく、異なるスイッチデバイス3であってもよく、すなわち、第1パワー部品6と第2パワー部品7は、同じ対応するスイッチデバイス3に接続されてもよく、異なる対応するスイッチデバイス3に接続されてもよく、いずれも本発明の保護範囲内であることを理解されたい。本実施形態では、第1パワー部品6における第1電流の電流方向と第2パワー部品7における第2電流の電流方向は同じであり、すなわち、第1パワー部品6の第1電流及び第2パワー部品7の第2電流は両方とも、第1パワー端を構成する共通導通端32からパワー部品のパワーピンに流れ、または第1電流及び第2電流は両方とも、対応するパワーピンから第1パワー端を構成する共通導通端32に流れる。もちろん、第1パワー部品6及び第2パワー部品7は、いずれも対応するスイッチデバイス3の第2パワー端33に接続されてもよく、本発明では、両者の電流方向が同じであることを保証できる限り、限定されない。
【0015】
本実施形態では、第1パワー部品6、第1制御部品4、第2制御部品5及び第2パワー部品7は順次配列設置され、第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の同じ基準面への投影は、スイッチモジュール1の制御ループ(すなわち、第1制御部品4及び第2制御部品5によって構成される制御ループ)の前記基準面への投影の両側に位置し、基準面は、基板2と同一平面上にあってもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第1パワー部品6の長さが第2パワー部品7の長さに等しいことで、第1パワー部品6を流れる第1電流の電流値は、第2パワー部品7を流れる第2電流の電流値に等しくなり、前記電流値は、対応する電流の振幅値または電流の実効値であり得る。
【0016】
図3を参照し、
図3は第1パワー部品6、第2パワー部品7、及び制御ループの基準面への投影を示している。
図3におけるA点及びB点は、それぞれ第1制御部品4の基準面への投影の両端を示し、
図3におけるC点及びD点は、それぞれ第2制御部品5の基準面への投影の両端を示し、
図3におけるP1は、第1パワー部品6を流れる第1電流を表し、
図3におけるP2は、第2パワー部品7を流れる第2電流を表す。本実施形態では、第1制御部品4の基準面への投影の一端B点と第2制御部品5の基準面への投影の一端D点が主回路基板を介して接続されていることで、第1制御部品4の基準面への投影のA点とB点、及び第2制御部品5の基準面への投影のC点とD点は共に、
図3に示す矩形の制御ループの基準面への投影を構成する。制御ループの基準面への投影の中心線は、O点及びO'点で示され、ここで、中心線O-O'は、A点とC点の間の中心点及びB点とD点の間の中心点を結ぶ線の延長によって構成される。第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の基準面への投影は、それぞれ制御ループの基準面への投影の両側に位置することで、第1電流P1及び第2電流P2が、それぞれ制御ループの基準面への投影の両側を流れ、例えば、第1パワー部品6を流れる第1電流P1及び第2パワー部品7を流れる第2電流P2は、制御ループの基準面への投影の両側で対称であり、第1パワー部品6の基準面への投影と中心線O-O'との間の距離は、第2パワー部品7の基準面への投影と中心線O-O'との間の距離に等しくてもよいが、これに限定されない。例えば、第1パワー部品6の基準面への投影と中心線O-O'との間の最小距離、及び第2パワー部品7の基準面への投影と中心線O-O'との間の最小距離は両方とも、1mmである。第1電流P1の電流方向は第2電流P2の電流方向と同じであるため、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流P1によって誘導される磁束総量Φ1は、制御ループでの第2パワー部品7における第2電流P2によって誘導される磁束総量Φ2に等しく、かつ両者が制御ループで反対方向に作用し、すなわち、制御ループでの第1電流P1によって誘導される磁束の方向は、紙面に垂直に表から裏の向きであり、制御ループでの第2電流P2によって誘導される磁束の方向は、紙面に垂直に裏から表の向きである。これによって、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流P1によって誘導される磁束と、制御ループでの第2パワー部品7における第2電流P2によって誘導される磁束が互いにキャンセルするため、第1パワー部品6における第1電流P1及び第2パワー部品7における第2電流P2による制御ループへの全体的な相互インダクタンスは大幅に低下する。
【0017】
上記から分かるように、本実施形態のスイッチモジュール1の第1パワー部品6の第1電流の電流方向と第2パワー部品7の第2電流の電流方向は同じであり、かつ第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の基準面への投影は、それぞれスイッチモジュール1の制御ループの基準面への投影の両側に位置するため、従来のスイッチモジュールと比べて、本実施形態のスイッチモジュール1は、制御ループの相互インダクタンスが小さいため、スイッチモジュール1の安全性能を向上させることができる。
【0018】
本明細書で説明する「電流方向は同じ」とは、電流方向が厳密に平行であることを意味するのではなく、特定の角度が存在してもよく、角度が90゜未満の範囲内にある限り、本発明の技術的効果を基本的に達成することができるため、すべてが本発明の保護範囲内にあることを理解されたい。具体的には、本明細書における「電流方向は同じ」とは、第1パワー部品と第2パワー部品が基準面に投影された後、二つの電流方向間の角度が0度または鋭角である場合を指す。ここでの基準面は、基板2と同一平面上にある面であってもよく、基板2が位置する平面に垂直で中心線O-O'を通過する面であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1パワー部品6における第1電流P1及び第2パワー部品7における第2電流P2が、完全に対称的に制御ループの両側に設置されていない場合、または第1パワー部品6における第1電流P1の電流値が、第2パワー部品7における第2電流P2の電流値と異なる場合、第1電流P1の電流方向を第2電流P2の電流方向と同じようにして、制御ループでの第1電流P1によって誘導される磁束の方向を制御ループでの第2電流P2によって誘導される磁束の方向と反対になるようにするだけで、制御ループでの第1電流P1によって誘導される磁束及び制御ループでの第2電流P2によって誘導される磁束が互いにキャンセルする効果を達成し、パワーループ全体による制御ループへの相互インダクタンスが大幅に低下する。
【0020】
別のいくつかの実施形態では、第1パワー部品6における第1電流P1の電流方向は、第2パワー部品7における第2電流P2の電流方向と平行または傾斜することができ、第1パワー部品6における第1電流P1及び第2パワー部品7における第2電流P2の設置位置によって、制御ループでの第1電流P1によって誘導される磁束及び制御ループでの第2電流P2によって誘導される磁束が互いにキャンセルする効果を達成できる限り、パワーループによる制御ループへの相互インダクタンスを低下させることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、
図4を参照し、本発明の第2実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図4に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1aは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1aは、第1制御部品4、第2制御部品5、第1パワー部品6及び第2パワー部品7に加えて、第4パワー部品9をさらに含む。なお、
図1に示すスイッチモジュール1と比べて、本実施形態のスイッチモジュール1aでは、第1パワー部品6及び第2パワー部品7は、いずれも基板2を介して対応するスイッチデバイス3の第2パワー端33に接続され、第4パワー部品9は、対応するスイッチデバイス3の共通導通端32に接続される。第4パワー部品9は第4パワーピン91及び第4パワー導体92を含み、第4パワーピン91は主回路基板上に設置され、第4パワー導体92は、第4パワーピン91と対応するスイッチデバイス3の共通導通端32との間に接続される。本実施形態では、基板2の基準面への投影から見ると、基板2は方形であり4つの辺を備え、基板2の各辺が基板2の一側に対応する場合、第4パワー部品9と、第1パワー部品6及び第2パワー部品7とは、それぞれ基板2の異なる側に設置され得る。すなわち、第1パワー部品6及び第2パワー部品7の投影が基板の第1側に位置すると仮定すると、第4パワー部品9の投影は、基板2の第1側の反対側に位置する。別のいくつかの実施形態では、第1パワー部品6及び第2パワー部品7の投影が基板の第1側に位置し、第4パワー部品9の投影は基板2の第1側に隣接する側に位置する。
【0022】
図5A及び
図5Bを参照し、
図5Aは、本発明の第3実施形態のスイッチモジュールの構造模式図であり、
図5Bは、
図5Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図5A及び
図5Bに示すように、本実施形態のスイッチモジュール1bは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、
図1に示すスイッチモジュール1のスイッチデバイス3の垂直型構造と比べて、本実施形態のスイッチモジュール1bのスイッチデバイス3は平面型デバイスであり、すなわち、第2パワー端33、第1制御端31及び共通導通端32は、いずれもスイッチデバイス3の第1面34に設置される。第1パワー部品6及び第2パワー部品7は、いずれも共通導通端32に接続され、第4パワー部品9は第2パワー端33に接続される。
【0023】
図6を参照し、本発明の第4実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図6に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1cは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1cと
図1に示すスイッチモジュール1との違いは、本実施形態のスイッチモジュール1cが、並列に接続された二つのスイッチデバイス(以下、
図6の左側に位置するスイッチデバイスを第1スイッチデバイス3aと呼び、
図6の右側に位置するスイッチデバイスを第2スイッチデバイス3bと呼ぶ)、二つの第1制御部品4、二つの第2制御部品5、一つの第1パワー部品6及び一つの第2パワー部品7を含むことにある。二つの第1制御部品4の一方は、第1スイッチデバイス3aの第1制御端31に接続され、二つの第1制御部品4の他方は、第2スイッチデバイス3bの第1制御端31に接続される。二つの第2制御部品5の一方は第1スイッチデバイス3aの共通導通端32に接続され、二つの第2制御部品5の他方は第2スイッチデバイス3bの共通導通端32に接続される。
【0024】
第1パワー部品6は第1スイッチデバイス3aの共通導通端32に接続され、第2パワー部品7は第2スイッチデバイス3bの共通導通端32に接続される。本実施形態では、第1パワー部品6、第1スイッチデバイス3aに接続された第2制御部品5、第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、順次配列設置される。
【0025】
かつ本実施形態では、第1スイッチデバイス3aの共通導通端32、第2制御導体52、第2制御ピン51、主回路基板、第1制御ピン41、第1制御導体42、及び第1スイッチデバイス3aの第1制御端31は、スイッチモジュール1cの第1制御ループを構成する。第2スイッチデバイス3bの共通導通端32、第2制御導体52、第2制御ピン51、主回路基板、第1制御ピン41、第1制御導体42、及び第2スイッチデバイス3bの第1制御端31は、スイッチモジュール1cの第2制御ループを構成する。
図6から分かるように、第1パワー部品6の第1電流及び第2パワー部品7の第2電流の電流方向が、いずれも対応するスイッチデバイスの共通導通端32からパワーピンに向いている方向である場合、または、いずれも対応するパワーピンから対応するスイッチデバイスの共通導通端32に向いている方向である場合、第1制御ループ及び第2制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束の方向は、第1制御ループ及び第2制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束の方向とは反対であるため、二つのパワー部品が第1制御ループ及び/または第2制御ループに作用する相互インダクタンスを大幅に低減することができ、これによって、スイッチデバイスの信頼性を向上させる。
【0026】
図7を参照し、本発明の第5実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図7に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1dは、
図6に示すスイッチモジュール1cと類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1dと
図6に示すスイッチモジュール1cとの違いは、本実施形態のスイッチモジュール1dが、並列に接続された三つのスイッチデバイス(以下、
図7の左側に位置するスイッチデバイスを第1スイッチデバイス3aと呼び、
図7の右側に位置するスイッチデバイスを第2スイッチデバイス3bと呼び、第1スイッチデバイス3aと第2スイッチデバイス3bの間に位置するスイッチデバイスを第3スイッチデバイス3cと呼ぶ)、三つの第1制御部品4、及び三つの第2制御部品5を含むことにある。追加の3番目の第1制御部品4は第3スイッチデバイス3cの第1制御端31に接続され、追加の3番目の第2制御部品5は第3スイッチデバイス3cの共通導通端32に接続される。
【0027】
本実施形態のスイッチモジュール1dは第3パワー部品8をさらに含み、第3パワー部品8は第3スイッチデバイス3cの共通導通端32に接続され、かつ第3パワーピン81及び第3パワー導体82を含み、第3パワーピン81は主回路基板上に設置され、第3パワー導体82は、第3パワーピン81と第3スイッチデバイス3cの共通導通端32との間に接続され、第3パワー部品8は、第1パワー部品6における第1電流及び第2パワー部品7における第2電流の電流方向と同じである第3電流を有する。本実施形態では、第1パワー部品6、第1スイッチデバイス3aに接続された第2制御部品5、第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4、第3パワー部品8、第3スイッチデバイス3cに接続された第2制御部品5、第3スイッチデバイス3cに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、順次配列設置される。別のいくつかの実施形態では、第3パワー部品8の設置位置は変更することができ、例えば、第1パワー部品6、第1スイッチデバイス3aに接続された第2制御部品5、第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4、第3スイッチデバイス3cに接続された第2制御部品5、第3スイッチデバイス3cに接続された第1制御部品4、第3パワー部品8、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、順次配列設置される。
【0028】
本実施形態では、第1パワー部品6、第2パワー部品7、及び第3パワー部品8における電流の方向が同じであるため、第1パワー部品6と第3パワー部品8がその間の制御ループに作用する相互インダクタンスを大幅に低減し、第3パワー部品8と第2パワー部品7がその間の制御ループに作用する相互インダクタンスも大幅に低減することができるため、高周波制御信号の干渉を回避し、さらにスイッチモジュールの信頼性を向上させることができる。
【0029】
図8を参照し、本発明の第6実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図8に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1eは、
図7に示すスイッチモジュール1dと類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1eと
図7に示すスイッチモジュール1dとの違いは、本実施形態のスイッチモジュール1eが第3接続導体103をさらに含むことにある。第3接続導体103が第2スイッチデバイス3bの第1制御端31と第3スイッチデバイス3cの第1制御端31との間に接続されることで、本実施形態のスイッチモジュール1eの第2スイッチデバイス3b及び第3スイッチデバイス3cは、同じ第1制御部品4を共有し、例えば、本実施形態のスイッチモジュール1eの第2スイッチデバイス3b及び第3スイッチデバイス3cは、第3スイッチデバイス3cに接続された第1制御部品4を共有し、
図7における第2スイッチデバイス3bに接続される第1制御部品4を省略することができる。もちろん、別のいくつかの実施形態では、第2スイッチデバイス3b及び第3スイッチデバイス3cは、別の接続導体が第2スイッチデバイス3bの共通導通端32と第3スイッチデバイス3cの共通導通端32との間に接続されることで、同じ第2制御部品5を共有することもできる。かついくつかの実施形態では、同じ制御部品を共有するスイッチデバイスの数は、本実施形態に例示される二つに限定されるものではなく、必要に応じて同じ制御部品を共有するスイッチデバイスの数を増加しうる。
【0030】
図9を参照し、本発明の第7実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図9に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1fは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1fは、ダイオード10、第1接続導体101、及び第2接続導体102をさらに含み、ダイオード10は基板2上に設置され、第1接続導体101は、ダイオード10の一方の極とスイッチデバイス3の共通導通端32との間に接続され、かつ第1パワー部品6の第1パワー導体62に接続され、第2接続導体102は、ダイオード10の同じ極とスイッチデバイス3の共通導通端32との間に接続され、かつ第2パワー部品7の第2パワー導体72に接続される。同様に、好ましくは、二つの接続導体(101、102)における電流が制御ループに作用する相互インダクタンスが可能な限り小さくなるように、第1接続導体101及び第2接続導体102の基準面への投影が、二つの制御部品(4、5)の基準面への投影の両側に対称的に位置する。
【0031】
図10を参照し、本発明の第8実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図10に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1gは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1gと
図1に示すスイッチモジュール1との違いは、本実施形態のスイッチモジュール1gが二つの基板(以下、
図10の上方に位置する基板を第1基板2aと呼び、
図10の下方に位置する基板を第2基板2bと呼ぶ)、二つのスイッチデバイス(以下、
図10の上方に位置するスイッチデバイスを第1スイッチデバイス3aと呼び、
図10の下方に位置するスイッチデバイスを第2スイッチデバイス3bと呼ぶ)、二つの第1制御部品4、二つの第2制御部品5、一つの第1パワー部品6及び一つの第2パワー部品7を含むことにある。第1スイッチデバイス3aは第1基板2a上に設置され、第2スイッチデバイス3bは第2基板2b上に設置され。二つの第1制御部品4の一方は第1スイッチデバイス3aの第1制御端31に接続され、二つの第1制御部品4の他方は第2スイッチデバイス3bの第1制御端31に接続される。二つの第2制御部品5の一方は第1スイッチデバイス3aの共通導通端32に接続され、二つの第2制御部品5の他方は第2スイッチデバイス3bの共通導通端32に接続される。
【0032】
第1パワー部品6は第2スイッチデバイス3bの共通導通端32に接続され、第2パワー部品7は第2スイッチデバイス3bの共通導通端32に接続される。本実施形態では、第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4及び第1スイッチデバイス3aに接続された第2制御部品5は、第2基板2bの第1側に位置し、かつ第1基板2aと第2基板2bとの間に位置する。第1パワー部品6、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、第2基板2bの第2側に設置される。第2基板2bの第1側と第2側は対向している。かつ本実施形態では、第1パワー部品6、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、順次配列設置される。かつ本実施形態では、スイッチモジュール1gは、第1接続導体101及び第2接続導体102をさらに含み、第1接続導体101は第1スイッチデバイス3aの共通導通端32と第2基板2bとの間に接続され、第2接続導体102は第1スイッチデバイス3aの共通導通端32と第2基板2bとの間に接続され、これによって、第1スイッチデバイス3aと第2スイッチデバイス3bが直列に接続される。
【0033】
本実施形態では、好ましくは、第1接続導体101及び第2接続導体102が、それぞれ第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4及び第2制御部品5の両側に設置され、すなわち、第1接続導体101及び第2接続導体102の基準面への投影は、それぞれ二つの制御部品(4、5)の投影の両側に位置し、これによって、制御ループへの相互インダクタンスを低減することができる。特に第1接続導体101と第2接続導体102の長さがほぼ等しい場合、両者を流れる電流もほぼ等しくなり、二つの接続導体が制御ループの両側に対称的に設置されている場合、磁束をさらにキャンセルする効果を達成し、制御ループに作用する相互インダクタンスを大幅に低減することができる。
【0034】
図11を参照し、本発明の第9実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図11に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1hは、
図10に示すスイッチモジュール1gと類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1hと
図10に示すスイッチモジュール1gとの違いは、第1スイッチデバイス3a、及び第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4及び第2制御部品5の設置位置が変更されることにある。本実施形態の第1スイッチデバイス3aに接続された第1制御部品4及び第2制御部品5は、第2基板2bの第3側に位置し、かつ第1基板2aと第2基板2bとの間に位置し、第1パワー部品6、第2スイッチデバイス3bに接続された第1制御部品4、第2スイッチデバイス3bに接続された第2制御部品5、及び第2パワー部品7は、第2基板2bの第2側に設置される。第2基板2bの第1側と第2側は対向しており、第2基板2bの第3側と第4側は対向している。
【0035】
図12と
図1を併せて参照し、
図12は、第1パワー部品6及び第2パワー部品7と制御ループの中心線O-O'との間の距離が示された、
図1に示すスイッチモジュールの第1の実施形態の構造模式図である。
図12に示すように、第1制御部品4と第2制御部品5によって構成された制御ループの中心線O-O'は、スイッチデバイス3の第1制御端31の中心点と、第1制御部品4の第1制御ピン41と第2制御部品5の第2制御ピン51の間の中心点を結ぶ線の延長によって構成され、第1パワー部品6の第1パワーピン61の基準面への投影と制御ループの中心線O-O'との間の最短距離を第1距離X1、第2パワー部品7の第2パワーピン71の基準面への投影と制御ループの中心線O-O'との間の最短距離を第2距離X2とし、いくつかの実施形態では、第1距離X1の最小値は1mm、かつ第2距離X2の最小値は1mmである。
【0036】
第1パワー部品6の第1電流の電流値と第2パワー部品7の第2電流の電流値が等しい場合、第1パワー部品6及び第2パワー部品7が第1制御部品4及び第2制御部品5によって構成された制御ループの両側に対称的に設置されているかどうかは、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束及び制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束が互いにキャンセルできるかどうかの重要な要素である。したがって、第1パワー部品6及び第2パワー部品7が第1制御部品4及び第2制御部品5によって構成された制御ループの両側に対称的に設置されているかどうかをさらに確認するために、制御ループの中心線O-O'に対する第1パワー部品6と第2パワー部品7の非対称度を計算することによって確認することができ、ここで、制御ループの中心線O-O'に対する第1パワー部品6と第2パワー部品7の非対称度は、第1距離X1と第2距離X2の減算の絶対値を、第1距離X1と第2距離X2のうちの小さい方で除算したものと定義され、例えば、第1距離X1が第2距離X2よりも小さい場合、非対称度は、第2距離X2から第1距離X1を引いた後、第1距離X1で割ったものであり、第2距離X2が第1距離X1よりも小さい場合、非対称度は、第1距離X1から第2距離X2を引いた後、第2距離X2で割ったものである。非対称度が小さいほど、第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の基準面への投影が、制御ループの中心線O-O'に対して対称であることを意味し、非対称度が大きいほど、第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の基準面への投影が、制御ループの中心線O-O'に対して非対称であることを意味する。制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束及び制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束が互いにキャンセルする効果を達成して、第1パワー部品6における第1電流P1及び第2パワー部品7における第2電流P2による制御ループへの相互インダクタンスの大きさを低減するために、制御ループの中心線O-O'に対する第1パワー部品6と第2パワー部品7の非対称度は、予め設定された非対称度、例えば、60%、40%または20%以下である必要があり、非対称度が0である場合、第1パワー部品6の基準面への投影及び第2パワー部品7の基準面への投影が、制御ループの中心線O-O'に対して完全に対称であることを意味する。いくつかの実施形態では、制御ループの中心線O-O'に対する第1パワー部品6と第2パワー部品7の非対称度が40%に低下すると、第1パワー部品6及び第2パワー部品7による制御ループへの相互インダクタンスに応じて変化するスイッチモジュール1のスイッチ速度は、50%上昇することができ、かつ制御ループの中心線O-O'に対する第1パワー部品6と第2パワー部品7の非対称度がより低い場合、スイッチモジュール1のスイッチ速度は上昇し続けることができる。
【0037】
図13と
図1及び12を併せて参照し、
図13は、第1パワー部品及び第2パワー部品と制御ループの中心線との間の距離が示された、
図1に示すスイッチモジュールの第2の実施形態の構造模式図である。
図13に示すように、第1パワー部品6の第1電流の電流値が第2パワー部品7の第2電流の電流値と等しくない場合、第1距離X1及び第2距離X2の大きさを変えることにより、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束及び制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束が互いにキャンセルする効果を徐々に達成する。例えば、第1パワー部品6の第1電流の電流値が第2パワー部品7の第2電流の電流値よりも大きい場合、第1パワー部品6の基準面への投影と中心線O-O'との間の第1距離X1は、第2パワー部品7の基準面への投影と中心線O-O'との間の第2距離X2よりも大きく設定することができ、これによって、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束は、制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束と徐々に等しくなる。第1パワー部品6の第1電流の電流値が第2パワー部品7の第2電流の電流値よりも小さい場合、第1パワー部品6の基準面への投影と中心線O-O'との間の第1距離X1は、第2パワー部品7の基準面への投影と中心線O-O'との間の第2距離X2よりも小さく設定することができ、これによって、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束は、制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束と徐々に等しくなる。本実施形態では、第1距離X1の最小値は1mmであり、かつ第2距離X2の最小値は1mmである。
【0038】
図14を参照し、本発明の第10実施形態のスイッチモジュールの構造模式図である。
図14に示すように、本実施形態のスイッチモジュール1iは、
図1に示すスイッチモジュール1と類似しているが、本実施形態のスイッチモジュール1iと
図1に示すスイッチモジュール1との違いは、本実施形態のスイッチモジュール1iが、第3パワー部品8をさらに含むことにある。第3パワー部品8、第1パワー部品6及び第2パワー部品7は、いずれも対応するスイッチデバイス3の共通導通端32に接続され、第3パワー部品8は第3パワーピン81及び第3パワー導体82を含み、第3パワーピン81は主回路基板上に設置され、第3パワー導体82は、第3パワーピン81と対応するスイッチデバイス3の共通導通端32との間に接続され、第3パワー部品8は、第1電流及び第2電流の方向と同じである第3電流を有する。
【0039】
本実施形態では、第1パワー部品6の第1電流、第2パワー部品7の第2電流、及び第3パワー部品8の第3電流の電流方向は、いずれもスイッチモジュール1iの共通導通端32から対応するパワーピンに流れ、これにより、制御ループでの第2パワー部品7の第2電流によって誘導される磁束の方向は、制御ループでの同じ側に位置する第3パワー部品8の第3電流によって誘導される磁束の方向と同じであり、かつ制御ループでの反対側に位置する第1パワー部品6の第1電流によって誘導される磁束の方向と反対である。制御ループでの制御ループの両側に位置するパワー部品によって誘導される磁束をバランスさせるために、第1パワー部品6の第1パワーピン61の基準面への投影と制御ループの中心線O-O'との間の第1距離X1は、第2パワー部品7の第2パワーピン71の基準面への投影と制御ループの中心線O-O'との間の第2距離X2と等しくなる必要があり、かつ第3パワー部品8の第3パワーピン81の基準面への投影と制御ループの中心線O-O'との間の最短距離(以下、第3距離と呼ぶ)は、第1距離X1及び第2距離X2よりもはるかに大きいため、制御ループでの第3パワー部品8における第3電流によって誘導される磁束は、全体の磁束への影響は小さいため、制御ループでの第1パワー部品6における第1電流によって誘導される磁束が、制御ループでの第2パワー部品7における第2電流によって誘導される磁束及び制御ループでの第3パワー部品8における第3電流によって誘導される磁束をほぼキャンセルすることができる。
【0040】
もちろん、第3パワー部品8の数は、
図14に示す一つだけではなく、複数であってもよく、かつ第3パワー部品8の数が複数である場合、複数の第3パワー部品8は、制御ループの同じ側に同時に設置されてもよく、または、一部の第3パワー部品8が制御ループの一方の側に設置され、他の第3パワー部品8が制御ループの他方の側に設置されてもよい。しかし、第1パワーループ及び第2パワーループによる制御ループへの相互インダクタンスに応じて変化するスイッチモジュール1iのスイッチ速度を50%向上させるために、第1制御部品4及び第2制御部品5によって構成される制御ループの両側に位置するパワー部品の数を制御する必要があり、例えば、制御ループの一方の側に位置する第1パワー部品6及び第3パワー部品8の数の合計を第1数、制御ループの他方の側に位置する第2パワー部品7及び第3パワー部品8の数の合計を第2数とし、第1数と第2数の差の絶対値は3以下である必要がある。
【0041】
上記のように、本発明のスイッチモジュールの第1パワー部品の第1電流の電流方向と第2パワー部品の第2電流の電流方向は同じであり、かつ第1パワー部品の基準面への投影及び第2パワー部品の基準面への投影は、それぞれスイッチモジュールの制御ループの基準面への投影の両側に位置するため、本実施形態のスイッチモジュールの制御ループの相互インダクタンスが小さくなり、從って、スイッチモジュールの安全性能を向上させることができる。
【0042】
もちろん、本発明はまた、他の様々な実施形態を有することができる。本発明の精神及び本質から逸脱しない限り、当業者は本発明に従って様々な変更及び変形を加えることが可能であり、これらの変更及び変形は、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0043】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i:スイッチモジュール
11:接続材料
2:基板
2a:第1基板
2b:第2基板
3:スイッチデバイス
3a:第1スイッチデバイス
3b:第2スイッチデバイス
3c:第3スイッチデバイス
31:第1制御端
32:共通導通端
33:第2パワー端
34:第1面
35:第2面
4:第1制御部品
41:第1制御ピン
42:第1制御導体
5:第2制御部品
51:第2制御ピン
52:第2制御導体
6:第1パワー部品
61:第1パワーピン
62:第1パワー導体
7:第2パワー部品
71:第2パワーピン
72:第2パワー導体
8:第3パワー部品
81:第3パワーピン
82:第3パワー導体
9:第4パワー部品
91:第4パワーピン
92:第4パワー導体
103:第3接続導体
10:ダイオード
101:第1接続導体
102:第2接続導体
P1:第1電流
P2:第2電流
Φ1、Φ2:磁束総量
O-O':中心線
X1:第1距離
X2:第2距離