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特開2023-75040金属滴吐出3次元(3D)物体プリンタ及びプリンタを動作するための改良された方法
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  • 特開-金属滴吐出3次元(3D)物体プリンタ及びプリンタを動作するための改良された方法 図1
  • 特開-金属滴吐出3次元(3D)物体プリンタ及びプリンタを動作するための改良された方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075040
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】金属滴吐出3次元(3D)物体プリンタ及びプリンタを動作するための改良された方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/31 20210101AFI20230523BHJP
   B22F 10/22 20210101ALI20230523BHJP
   B22F 10/38 20210101ALI20230523BHJP
【FI】
B22F10/31
B22F10/22
B22F10/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022175525
(22)【出願日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】17/455,590
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、シー.、シェフリン
(72)【発明者】
【氏名】チューホン、リウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール、ジェイ.、マッコンビル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、クナウスドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、ジェイ.、フィオラヴァンティ
(72)【発明者】
【氏名】パルガット、エス.、ラメシュ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA15
4K018CA44
4K018EA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物体特性目標を達成するために、より広い範囲のパラメーターを使用できる金属物体製造装置を提供する。
【解決手段】三次元(3D)金属物体製造装置は、同じ物理的特性の異なる測定可能な値を有する金属物体層の異なる部分を形成するために、異なる速度で吐出ヘッドから溶融金属滴を吐出するように構成されている。異なる速度は、2つの異なる電圧でエジェクタヘッドを動作させることによって達成される。より高い速度を達成するより大きな電圧は、より低い速度を達成するために使用される電圧よりも約25%大きい。2つの異なる電圧でエジェクタヘッドを動作させることにより、物体の異なる部分を異なる物理的特性を伴って形成することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属滴を吐出するように構成されたエジェクタヘッドと、
前記エジェクタヘッドに選択的に第1の電圧レベル及び第2の電圧レベルで電力を供給するように構成された電源であって、前記第1の電圧レベルが、前記第2の電圧レベルよりも大きい、電源と、
前記エジェクタヘッド及び前記電源に動作可能に接続されたコントローラであって、前記エジェクタヘッドによって吐出された前記溶融金属滴が金属物体の層の第1の部分を形成しているときに、前記第1の電圧レベルで電力を供給するように、かつ、前記エジェクタヘッドによって吐出された前記溶融金属滴が前記金属物体の前記層の第2の部分を形成しているときに、前記第2の電圧レベルで電力を供給するように、前記電源を動作させるよう構成されており、前記層の前記第1の部分が物理的特性に関する第1の測定可能な値を有し、前記第1の測定可能な値が、前記層の前記第2の部分が有する物理的特性に関する第2の測定可能な値よりも明らかに大きい、コントローラと、
を備える溶融金属滴吐出装置。
【請求項2】
前記物理的特性が、引張強度である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記物理的特性が、表面平滑性である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記層の前記第1の部分が、前記層の外周であり、前記層の前記第2の部分が、前記層の内部部分である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の電圧レベルが、前記第2の電圧レベルよりも25%大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電圧レベルが、200Vであり、前記第2のレベルが、160Vである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記エジェクタヘッドに前記第1の電圧レベルで電力が供給されたときに、前記エジェクタヘッドを動作させて溶融金属滴を第1の速度で吐出させ、
前記エジェクタヘッドに前記第2の電圧レベルで電力が供給されたときに、前記エジェクタヘッドを動作させて溶融金属滴を第2の速度で吐出させる、
ように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の速度が、3.2メートル/秒であり、前記第2の速度が、2.4メートル/秒である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラは、同じ質量を有する溶融金属滴を吐出するように前記エジェクタヘッドを動作させるよう更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
同じ質量が、約1.5グラムである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
溶融金属滴吐出装置を動作させるための方法であって、
エジェクタヘッドによって吐出された溶融金属滴が金属物体の層の第1の部分を形成しているときに、前記エジェクタヘッドに第1の電圧レベルで電力を供給するように電源を動作させることと、
前記エジェクタヘッドによって吐出された前記溶融金属滴が前記金属物体の前記層の第2の部分を形成しているときに、第2の電圧レベルで電力を供給するように前記電源を動作させることであって、前記第1の電圧レベルが、前記第2の電圧レベルよりも大きい、ことと、
を含む方法。
【請求項12】
物理的特性に関する第1の測定可能な値を有するように、前記層の前記第1の部分を形成することと、
前記物理的特性に関する前記第1の測定可能な値とは異なる前記物理的特性に関する第2の測定可能な値を有するように、前記層の前記第2の部分を形成することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の物理的特性が、引張強度であり、前記第2の物理的特性が、表面平滑性である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記層の前記第1の部分が、前記層の外周であり、前記層の前記第2の部分が、前記層の内部部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電圧レベルが、前記第2の電圧レベルよりも25%大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の電圧レベルが、200Vであり、前記第2のレベルが、160Vである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エジェクタヘッドに前記第1の電圧レベルで電力が供給されたときに、前記エジェクタヘッドを動作させて溶融金属滴を第1の速度で吐出させることと、
前記エジェクタヘッドに前記第2の電圧レベルで電力が供給されたときに、前記エジェクタヘッドを動作させて溶融金属滴を第2の速度で吐出させることと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の速度が、3.2メートル/秒であり、前記第2の速度が、2.4メートル/秒である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
同じ質量を有する溶融金属滴を吐出するように前記エジェクタヘッドを動作させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
同じ質量が、約1.5グラムである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元(3D)物体プリンタに使用される溶融金属エジェクタに関し、より詳細には、これらのシステムにおいて物体を形成するための溶融金属滴の吐出に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形(additive manufacturing)としても知られる三次元印刷は、事実上あらゆる形状のデジタルモデルから三次元の固体物体を作製するプロセスである。多くの三次元印刷技術は、積層造形デバイスが、前に堆積された層の上に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術のいくつかは、フォトポリマー又はエラストマーなどの紫外線硬化材料を吐出するエジェクタを使用する。プリンタは、一般に、様々な形状及び構造を有する三次元(3D)被印刷物体を形成する可塑性材料の連続層を形成するように1つ以上の押出し機を動作させる。三次元被印刷物体の各層が形成された後、可塑性材料は、紫外線硬化され、固まり、その層を三次元被印刷物体の下地層に接着する。この積層造形法は、ほとんどが切断又はドリル加工などの減法プロセスによる加工物からの材料の除去に依存する従来の物体形成技術と区別可能である。
【0003】
最近、3D物体を形成するために1つ以上のノズルを介して溶融金属の液滴を吐出するいくつかの3D物体プリンタが開発されている。これらのプリンタは、外部ヒータが固体金属を溶融するように動作されるエジェクタヘッドのチャンバに供給されるワイヤ又はペレットのロールなどの固体金属源を有する。エジェクタヘッドは、電気コイルの開口内に位置される。チャンバのノズルにおける溶融金属のメニスカスをチャンバ内の溶融金属から分離させて1つ以上のノズルから推進させる電磁場を生成するために電流がコイルに通される。このタイプの金属滴吐出プリンタは、一部の当業者によって磁気流体力学(MHD)プリンタと呼ばれる。
【0004】
プラットフォームが、エジェクタのノズルと対向して位置され、エジェクタヘッドは、アクチュエータを動作させるコントローラによってプラットフォームの平面と平行なX-Y平面内で移動され、その結果、ノズルから吐出された溶融金属滴は、プラットフォーム上の物体の金属層を形成する。他のアクチュエータは、エジェクタヘッド又はプラットフォームの位置を垂直方向又はZ方向で変更してエジェクタヘッド及び形成されるべき金属物体の最上層を物体形成の継続に適切な距離だけ位置決めするようにコントローラにより動作される。
【0005】
MHDプリンタの1つのタイプは、約400Hzでノズルを出る液滴により部品を構築する。このプリンタのノズルからの吐出のために溶融したバルク金属は、Al6061、356、7075、及び4043を含む。吐出された液滴のサイズは、直径約0.5mmであり、これらの液滴は、部品表面と接触すると直径約0.7mmのサイズに広がる。これらのアルミニウム合金の溶融温度は約600℃である。経験的研究により、最適な受容表面温度が、既に形成された表面への良好な接着のために約400℃~約550℃である必要があることが分かってきた。これらの物体表面温度では、溶融金属滴は、構築部と組み合わせて、一貫した構造を形成する。
【0006】
MHDプリンタで印刷動作を開始するために、プリンタのオペレータは、起動手順を実行する必要がある。この手順は、プリンタを、一般に約825℃であるその動作温度に至らせて、プリンタ内のリザーバに溶融アルミニウムを充填し、製造プロセス中に使用される液滴質量を設定して物体の層を形成することを含む。起動ルーチンが完了して溶融金属滴質量などの動作パラメータが決定された後、プリンタは、金属物体を形成するように動作される。製造プロセス中、起動手順中に決定された動作パラメータは変更されない。
【0007】
起動手順の実行中に生じる1つの問題は、一部に必要な動作パラメータ値のバランスをとることである。良好な表面品質をもたらすパラメータ値は、部品の最良の機械的特性を与えるための最良の値ではなく、逆も同様である。これらの矛盾する目標は、部品の材料特性、並びに部品の表面仕上げのための許容範囲の低下をもたらす。したがって、起動中に決定されたパラメータ値は妥協であるため、パラメータ値に使用され得る範囲は小さくなければならない。物体特性の競合する目標を達成するためにより広い範囲のパラメータ値を使用できることが有益となり得る。
【発明の概要】
【0008】
新規な3D金属物体プリンタは、部品の製造中に動作パラメータ値を変更する。3D金属物体プリンタは、溶融金属滴を吐出するように構成されたエジェクタヘッドと、エジェクタヘッドに選択的に第1の電圧レベル及び第2の電圧レベルで電力を供給するように構成された電源であって、第1の電圧レベルが、第2の電圧レベルよりも大きい、電源と、エジェクタヘッド及び電源に動作可能に接続されたコントローラとを含む。コントローラは、エジェクタヘッドによって吐出された溶融金属滴が金属物体の層の第1の部分を形成しているときに、第1の電圧レベルで電力を供給するように、かつ、エジェクタヘッドによって吐出された溶融金属滴が金属物体の層の第2の部分を形成しているときに、第2の電圧レベルで電力を供給するように、電源を動作させるよう構成されており、層の第1の部分が物理的特性に関する第1の測定可能な値を有し、この第1の測定可能な値は、層の第2の部分が有する物理的特性に関する第2の測定可能な値よりも明らかに大きい。
【0009】
3D金属物体プリンタを動作させる方法は、部品の製造中に動作パラメータ値を変更する。方法は、エジェクタヘッドによって吐出された溶融金属滴が金属物体の層の第1の部分を形成しているときに、エジェクタヘッドに第1の電圧レベルで電力を供給するように、かつ、エジェクタヘッドによって吐出された溶融金属滴が金属物体の層の第2の部分を形成しているときに、第2の電圧レベルで電力を供給するように、電源を動作させることであって、第1の電圧レベルが、第2の電圧レベルよりも大きい、ことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
部品の製造中に動作パラメータ値を変更する3D金属物体プリンタ及びその動作方法の前述の態様及び他の特徴は、添付図面に関連して解釈される以下の説明で説明される。
【0011】
図1】吐出パルス幅、吐出パルス電圧、液滴質量速度の互いに対する影響を示すグラフである。
図2】吐出された溶融金属滴の伸び及び物体の引張強度に対する吐出パルス電圧の影響を示すグラフである。
図3】金属物体の製造中に動作パラメータ値を変更する3D金属物体プリンタの概略図である。
図4図3の3D金属物体プリンタを動作させるためのプロセスのフロー図である。
図5】金属物体の製造中に動作パラメータ値を変更しない従来公知の3D金属物体プリンタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
金属物体の製造中に動作パラメータ値を変更する3D金属物体プリンタ及びその動作の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0013】
図5は、動作パラメータ値を起動手順中のそれらの決定後に変更しない従来技術の3D金属物体プリンタ100の一実施形態を示す。プラットフォーム112は、中実金属板である。ヒータ114の加熱要素は、加熱要素の動作のためにコントローラ148に動作可能に接続される。図5のプリンタでは、溶融バルク金属の液滴が、単一ノズル108を有する取り外し可能な容器104の収容部から吐出されて、ノズルからの液滴が、プラットフォーム112上に物体の層のためのスワスを形成する。本文書で使用されるとき、「取り外し可能な容器」という用語は、液体又は固体物質を保持するように構成された収容部を有する中空コンテナを意味し、コンテナは全体として、3D金属物体プリンタにおける設置及び取り外し可能に構成されている。本文書で使用されるとき、「バルク金属」という用語は、一般に利用可能な標準規格のワイヤ、又はマクロサイズの比率のペレットなどの、集合形態で入手可能な導電性金属を意味する。金属ワイヤ120などのバルク金属源116は、エジェクタヘッド140内の上部ハウジング122を通って延在しているワイヤガイド124に供給され、取り外し可能な容器104の収容部内で溶融されて、エジェクタヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110を通ってノズル108から吐出される溶融金属を提供する。本文書で使用されるとき、「ノズル」という用語は、取り外し可能な容器内の収容部からの溶融金属滴の圧出のために構成された取り外し可能な容器内のオリフィスを意味する。本文書で使用されるとき、「エジェクタヘッド」という用語は、金属物体の製造のための溶融金属滴の溶融、吐出、及び吐出の調整を行う3D金属物体プリンタのハウジング及び構成要素を意味する。
【0014】
引き続き図5を参照すると、溶融金属レベルセンサ184が光源及び反射センサを含む。一実施形態では、光源はレーザーであり、いくつかの実施形態では、青色レーザーである。溶融金属レベルからのレーザーの反射は、反射センサによって検出され、溶融金属レベルまでの距離を示す信号を生成する。コントローラは、この信号を受信し、取り外し可能な容器の収容部内の上方レベル118に維持することができるように、取り外し可能な容器104内の溶融金属の体積のレベルを求める。取り外し可能な容器104がヒータ160内へと摺動し、ヒータの内径が取り外し可能な容器に接触し、取り外し可能な容器の収容部内の固体金属を、固体金属を溶融させるのに十分な温度まで加熱することが可能になる。本文書で使用されるとき、「固体金属」という用語は、元素の周期表で定義されている金属、又は液体若しくは気体ではなく固体の形態でこれらの金属によって形成される合金を意味する。ヒータは、取り外し可能な容器から分離されて、ヒータと取り外し可能な容器104との間に体積を形成する。
【0015】
図5に示されるプリンタの説明を続けると、不活性ガス供給源128が、ガス供給管132を介してエジェクタヘッドにアルゴンなどの不活性ガスの圧力調整源を与える。ガスは、ヒータと取り外し可能な容器との間の体積を通って流れ、ノズル108の周りのエジェクタヘッド及びベースプレート114内のオリフィス110から出ていく。ノズルに近接するこの不活性ガスの流れは、溶融金属の吐出された液滴をベースプレート114の周囲空気から絶縁して、吐出された液滴の飛行中に金属酸化物が形成されるのを防止する。
【0016】
図5のエジェクタヘッド140は、プラットフォーム112に対するエジェクタヘッドの垂直移動のためにZ軸トラック内に移動可能に装着される。1つ以上のアクチュエータ144が、Z軸に沿ってエジェクタヘッドを移動させるためにエジェクタヘッド140に動作可能に接続され、一方、他のアクチュエータ144は、プラットフォーム112をエジェクタヘッドの下方のX-Y平面内で移動させるためにプラットフォーム140に動作可能に接続される。アクチュエータ144は、エジェクタヘッド140のベースプレート114内のオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上面との間の適切な距離を維持するように、コントローラ148によって動作される。
【0017】
溶融金属の液滴がプラットフォーム112に向かって吐出されるときに図5のプラットフォーム112をX-Y平面内で移動させることにより、物体上に溶融金属滴のスワスが形成される。コントローラ148はまた、アクチュエータ144を動作させ、エジェクタヘッド1 40と、基材上に最も近時に形成された層との間の垂直距離を調節して、物体上の他の構造の形成を容易にする。溶融金属3D物体プリンタ100は、垂直方向で動作されるように図5に示されるが、他の別の向きを使用することができる。また、図5に示される実施形態がX-Y平面内で移動するプラットフォームを有し、エジェクタヘッドがZ軸に沿って移動するが、他の構成も可能である。例えば、アクチュエータ144は、エジェクタヘッド140をX-Y平面内で、Z軸に沿って移動させるように構成されても、又はX-Y平面及びZ軸の両方でプラットフォーム112を移動させるように構成されてもよい。
【0018】
コントローラ148は、スイッチ152を選択的に動作させる。1つのスイッチ152は、供給源156からヒータ160に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得、別のスイッチ152は、ノズル108から液滴を吐出する電場を生成するために別の電源156からコイル164に電力を提供するようにコントローラによって選択的に動作され得る。ヒータ160は高温で大量の熱を生成するため、コイル164は、吐出装置ヘッド140の1つ(円形)又は2つ以上の壁(直線形状)によって形成されたチャンバ168内に位置決めされる。本文書で使用されるとき、「チャンバ」という用語は、ヒータ、コイル、及び3D金属物体プリンタの取り外し可能な容器が位置する1つ以上の壁内に収容された体積を意味する。取り外し可能な容器104及びヒータ160は、このチャンバ内に位置する。チャンバは、ポンプ176を介して流体源172に流体的に接続され、また熱交換器180に流体的に接続される。本文書で使用されるとき、「流体源」という用語は、熱を吸収するのに有用な特性を有する液体のコンテナを指す。熱交換器180は、流体源172への戻りを介して接続される。供給源172からの流体は、チャンバを通って流れて、コイル164から熱を吸収し、流体は、交換器180を通して吸収された熱を搬送し、熱は、既知の方法によって除去される。冷却された流体は、適切な動作範囲内のコイルの温度を維持する際に更に使用するために、流体源172に戻される。
【0019】
3D金属物体プリンタ100のコントローラ148は、金属物体製造のためにプリンタを制御するために、外部供給源からのデータを必要とする。一般に、形成される物体の三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラ148に動作可能に接続されたメモリ内に記憶され、コントローラは、サーバなどを介して、デジタルデータモデルが記憶されている遠隔データベースにアクセスし得るか、又はデジタルデータモデルが記憶されているコンピュータ可読媒体が、コントローラ148に選択的に連結されてアクセス可能になり得る。この三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラと共に実装されるスライサによって処理され、既知の方法でコントローラ148が実行するマシン対応命令を生成して、プリンタ100の構成要素を動作させ、そのモデルに対応する金属物体を形成する。マシン対応命令の生成には、デバイスのCADモデルがSTLデータモデル、又は他の多角形メッシュ若しくは他の中間表現に変換されるときなどの中間モデルの作製が含まれ得、次いで、この中間モデルが処理されて、プリンタによってデバイスを製造するためのgコードなどのマシン命令が生成され得る。本文書で使用されるとき、「マシン対応命令」という用語は、3D金属物体付加製造システムの構成要素を動作させて、プラットフォーム112上に金属物体を形成するために、コンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実行されるコンピュータ言語コマンドを意味する。コントローラ148は、マシン対応命令を実行して、ノズル108から溶融金属滴の吐出、プラットフォーム112の位置決め、並びにオリフィス110とプラットフォーム112上の物体の最上層との間の距離の維持を制御する。
【0020】
コントローラ148は、プログラムされた命令を実行する1つ以上の汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装され得る。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、先に説明し、並びに以下に説明される操作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。金属物体の形成中、製造される構造の画像データが、プラットフォーム112上に物体を形成するようにプリンタ100の構成要素を動作させる信号を処理及び生成するために、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかから、コントローラ148のプロセッサ(複数可)に送信される。
【0021】
吐出された溶融金属滴を線形測定スケールに対して観察するために高速カメラを使用して、複数の吐出パルスで吐出された溶融金属滴の速度を決定した。液滴質量、吐出パルス幅、吐出パルス電圧を示す結果のモデルが図1に提示される。モデルにおける黒い線104は、金属物体を製造するために使用される典型的な目標液滴質量であり、これは1.5グラムである。モデルから分かるように、吐出パルス電圧の増大は、目標液滴質量を維持しながら吐出液滴速度を増大させる。図1に示されるように、約160ボルト(V)の吐出パルス電圧は約2.4m/sの液滴速度をもたらし、一方、約200Vのパルス電圧は約3.2m/sの液滴速度をもたらす。したがって、約25%の電圧上昇が液滴速度の33%の増大をもたらす。
【0022】
次に、160V吐出パルスで吐出された約1.5グラムの質量を有する溶融金属滴により金属物体を形成し、その後、200V吐出パルスで吐出された1.5グラムの溶融金属滴により金属物体を形成した。2つの金属物体の物理的特性を比較して、2つの異なる速度で溶融金属滴を吐出する効果を決定した。この文書で使用される「物理的特性」という用語は、物質に対する化学的変化を伴うことなく観察及び測定され得る物質の特性を意味する。具体的には、160Vパルスで吐出された液滴により形成される物体は、200Vパルスで吐出された液滴により形成される物体よりも表面が滑らかであった。その後、物体を引張強度試験に供し、その試験の結果が図2に示される。200Vパルスによって吐出された液滴により形成される物体は、160Vパルスで形成された物体よりも高い引張強度を示す。したがって、3.4m/sで吐出された溶融液滴により形成される物体の引張強度は、測定可能に大きくなる。本明細書で使用される測定可能に大きいという用語は、ある物理的特性のより大きい測定値が、同じ物理的特性のより小さい測定値よりも約10%大きいことを意味する。
【0023】
これらの結果は、図3に示されるプリンタ100’のコントローラ148’に動作可能に接続される不揮発性メモリ102などの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されるプログラム命令を再構成するために使用された。これらの命令がコントローラによって実行されると、物体の内部を形成する溶融金属滴が吐出されているときに電源156がより高い電圧で動作され、物体の表面特徴を形成する溶融金属滴が吐出されているときに電源がより低い電圧で動作される。このようにして、物体の内部がより大きな引張強度を示し、物体の露出領域がより良好な表面特性を有する。
【0024】
3D金属物体プリンタ100’のコントローラ148’は、物体形成のためにプリンタを制御するべく外部ソースからのデータを必要とする。一般に、形成されるべき物体の三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、コントローラに動作可能に接続されるメモリ、サーバ、リモートデータベース、又はコンピュータ可読非一時的媒体からコントローラによって受信される。三次元モデル又は他のデジタルデータモデルは、プリンタ100の構成要素を動作させてモデルに対応する物体を製造するためにコントローラ136によって実行される機械対応命令を生成するためにコントローラによって使用される。機械対応命令の生成は、物体のCADモデルがSTLデータモデル、又は他の多角形メッシュ若しくは他の中間表現に変換されるときなど、中間モデルの生成を含むことができ、中間モデルは、プリンタによる物体の製造のためのgコードなどの機械対応命令を生成するために処理され得る。本明細書に使用される際、用語「機械対応命令」は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、又はコントローラによって実行されて、3D金属物体付加製造システムの構成要素を操作して、金属物体を形成するコンピュータ言語コマンドを意味する。コントローラ148’は、機械対応命令を実行して、プリントヘッド104からの金属滴の吐出、ステージ148及びプラットフォーム112の位置決め、プリントヘッド102と物体の最上層との間の距離、及び、前述のような電源の電圧を制御する。
【0025】
図3のプリンタを動作させるためのプロセスが図4に示される。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを動作させるために、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を操作してタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ148’は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素と共に実装され得、これらは各々、本明細書に記載される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が記載される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0026】
図4は、プリンタ100’を動作させるプロセスのフロー図400である。プロセスは、プリンタの起動時に、機械対応命令の生成から始まる(ブロック404)。プロセスは、機械対応命令を実行してプリンタを動作させ、金属物体を形成する(ブロック408)。プロセスが層の外周を形成するための1つ以上の命令を検出すると(ブロック412)、電源電圧レベルが160Vなどのより低いレベルに設定され(ブロック416)、プリンタがより低いレベルに設定された電源で外周を形成するように動作される(ブロック408)。そうでなければ、層の内部部分が形成されているので、電源電圧レベルが200Vなどのより高いレベルに設定され(ブロック420)、プリンタがより高いレベルに設定された電源で外周を形成するように動作される(ブロック408)。プロセスは、構築プロセスが終了するまで継続する。
【0027】
上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の特許請求の範囲によって包含されることも意図される、様々な現在予見又は予期されていない代替、修正、変形、又は改善が、その後、当業者によって行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】