(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075052
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】道路車両のダッシュボード用の表示装置及び関連する道路車両
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20230523BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60K37/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181492
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】102021000029162
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ フェラッツァーノ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】道路車両のダッシュボード用の表示装置及び関連する道路車両に関する。
【解決手段】道路車両のダッシュボード用の表示装置(8)であって、少なくとも部分的に湾曲し、ひいては、下側部分(LP)及び上側部分(UP)を備える支持要素(9)と、支持要素(9)に機械的に接続され、運転中に運転者に見えるように構成された少なくとも1つの画面(10)と、を備え、凹部(CVX)が運転者に向かって配置されるように、画面(10)が支持要素(9)の曲率に追従する、表示装置(8)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路車両(1)のダッシュボード(7)用の表示装置(8)であって、
- 少なくとも部分的に湾曲し、下側部分(LP)及び上側部分(UP)を備える支持要素(9)と、
- 前記支持要素(9)に機械的に接続され、運転中に運転者に見えるように構成された少なくとも1つの画面(10)と、を備え、
凹部(CVX)が前記運転者に向かって配置されるように、前記画面(10)が前記支持要素(9)の曲率に追従することを特徴とする、表示装置(8)。
【請求項2】
前記道路車両(1)のステアリングホイールリム(4)の貫通開口部(5)を介して全体が見えるように構成されている、請求項1に記載の表示装置(8)。
【請求項3】
前記画面(10)が、少なくとも1つの直線部分(12)及び1つの曲線部分(13)を有するプロファイル(11)を周辺に備える、請求項1又は2に記載の表示装置(8)。
【請求項4】
前記直線部分(12)が、前記支持要素(9)の前記下側部分(LP)に対応して配置される一方で、前記曲線部分(13)が、前記上側部分(UP)に対応して配置され、前記周囲プロファイル(11)が、前記直線部分(12)がアーチの弦を画定する実質的なアーチ形状を決定する、請求項3に記載の表示装置(8)。
【請求項5】
前記プロファイル(11)が、前記曲線部分(13)に沿って、少なくとも2つの変曲点(IP)を含む、請求項3に記載の表示装置(8)。
【請求項6】
前記プロファイル(11)が、前記曲線部分(13)に沿って、少なくとも4つの変曲点(IP)を含む、請求項3に記載の表示装置(8)。
【請求項7】
前記プロファイル(11)が、前記曲線部分(13)に沿って、中央に配置されたベル状突起(15)を備える、請求項3に記載の表示装置(8)。
【請求項8】
前記画面(10)が、ジョイント画像を投影するように構成された少なくとも2つのサブ画面(16)を備える、請求項1に記載の表示装置(8)。
【請求項9】
前記2つのサブ画面(16)が、前記画面(10)の対称軸(AX)上に配置された線(17)に沿って接合される、請求項8に記載の表示装置(8)。
【請求項10】
前記2つのサブ画面(16)のそれぞれが、それぞれの曲線サブ部分(13’)及びそれぞれの直線サブ部分(12’)を備え、各それぞれの曲線サブ部分(12’、13’)が、少なくとも2つの変曲点を含む、請求項8又は9に記載の表示装置(8)。
【請求項11】
前記支持要素(9)が、前記支持要素(9)の前記下側部分(LP)に配置され、車両用警告灯の領域(20)を備えるように構成された、特に対称的な2つの隔壁(19)を備える、請求項3に記載の表示装置(8)。
【請求項12】
前記隔壁(19)が、前記画面(10)の前記直線部分(12)の端部(21)に配置される、請求項11に記載の表示装置(8)。
【請求項13】
前記画面(10)が、700から850mm、特に740から820mm、特に780mmに等しい曲率半径(CR)を有する、請求項1又は2に記載の表示装置(8)。
【請求項14】
道路車両(1)であって、
- 4つの車輪、そのうちの少なくとも1対の駆動車輪と、
- 少なくとも1つの貫通開口部(5)を備えるステアリングホイールリム(4)が設けられたステアリングホイール(3)と、
- ダッシュボード(7)と、
- 前記ダッシュボード(7)に配置された請求項1に記載の表示装置(8)と、を備え、
前記表示装置(8)が、前記ステアリングホイールリム(4)が通過する前記貫通開口部(5)を介して見ることができる、道路車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2021年11月18日に出願されたイタリア特許出願第102021000029162号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、道路車両のダッシュボード用の表示装置及び関連する道路車両に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に言えば、道路車両は、道路車両のダッシュボードの領域に配置された複数の表示装置を備える。
【0004】
歴史的観点から、各道路車両は、車両の状態に関する情報を運転者に送信するための少なくとも1つのアナログ表示装置(例えば、速度計、回転カウンタ、燃料インジケータ、警告灯及び/又は適切なポインタ)を備えるために使用された。例えば、これらの装置は、車両の制御パネルの領域、すなわちステアリングホイールとフロントガラスとの間に介在するダッシュボード部分に配置されていた。
【0005】
近年、情報の表示をより柔軟にし、更新を容易にし、カスタマイズすることができるようにするために、これらの装置は、例えば、制御パネル内に存在する複数のアナログ装置を、ステアリングホイールとフロントガラスとの間に常に配置されるか、又は道路車両のダッシュボードの中心などの異なる位置に配置される単一の画面に置き換えることによって、デジタル形式に進化している。
【0006】
しかしながら、これらの解決策は、主に制御パネルを平坦な長方形の画面に置き換えることからなるため、車両使用に最適化されていない。この構造は、運転者がステアリングホイールリムの上部開口部(半月の形状を有する)を介して情報の表示を最大化できるようにするために、運転者に実際に見えるアクティブ領域と比較してはるかに大きい寸法を有する画面を必要とし、したがって、(特に高性能スポーツカーにおいて)重量及び寸法の不当な増加をもたらす未使用の画面領域の存在を決定する。
【0007】
さらにまた、これらの装置は、運転者の眼による連続的な焦点合わせを必要とし、運転者は画面を左右に見なければならない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述した欠点が少なくとも部分的になく、同時に製造が簡単で経済的である、道路車両のダッシュボード用の表示装置及び関連する道路車両を提供することである。
【0009】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲にかかる道路車両のダッシュボード用の表示装置及び関連する道路車両が提供される。
【0010】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を記載し、説明の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にかかる道路車両の内側部分の、より明確にするために詳細を省略した概略斜視図である。
【
図2】運転者が運転席に座って本発明にかかる装置を見ている、
図1の内側部分の、より明確にするために詳細を省略した概略平面図である。
【
図3】本発明にかかる表示装置の非限定的な実施形態の概略斜視図である。
【
図5】少なくとも1つの画面が見える、
図3及び
図4の装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明がそのいくつかの非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して説明される。
【0013】
図1において、符号1は、全体として、運転者DR(
図2に概略的に示されている)によって運転され、2つの前輪及び2つの後輪(特に、駆動輪)を備えた道路車両を示している。車両1には、運転者DR及び可能性のある同乗者を収容するように設計された、乗員室2が設けられている。
【0014】
図1及び
図2の非限定的な実施形態に示すように、車両1は、少なくとも1つの貫通開口部5を備えるステアリングホイールリム4が設けられたステアリングホイール3を備える。特に、貫通開口部5は、ステアリングホイールが真っ直ぐである(すなわち、直線道路を走行するように配置されている)ときに、運転者DRが制御パネル6を見ることを可能にする開口部である。
【0015】
特に、車両1は、乗員室2の前部に配置され、好ましくはその容積内に制御パネル6を含むダッシュボード7をさらに備える。
【0016】
車両1は、有利には、ダッシュボード7の領域に配置されるように構成された表示装置8を備える。
【0017】
図2から
図5の非限定的な実施形態によれば、表示装置8は、少なくとも部分的に湾曲した支持要素9を備え、支持要素は、ひいては、下側部分LP及び上側部分UPを備える(
図3及び
図5)。
【0018】
表示装置8は、好ましくは、支持要素9に機械的に接続され、(特に、ステアリングホイールリム4の貫通開口部5を介して)運転中に運転者DRに見えるように構成された少なくとも1つの画面10を備える。
【0019】
図2の非限定的な実施形態に示すように、画面10は、特にその凹部CVXが運転者DRに向かって配置されるように、支持要素9の湾曲に追従する。
【0020】
図1及び
図2に示すもののようないくつかの非限定的な場合では、装置8は、貫通開口部5を介して完全に見えるように構成され、すなわち車両1に搭載されている。
【0021】
例えば
図1に示す他の非限定的な場合では、車両1は、制御パネル6以外の領域ではあるが、運転中に見えるように配置された少なくとも1つのさらなる装置1’(特に、少なくとも2つ)を備える。
図1の非限定的な実施形態では、前記装置1’は、ステアリングホイール3の右側及び左側にそれぞれ配置される。
【0022】
図5に示すもののようないくつかの好ましい非限定的な場合では、画面10は、少なくとも1つの直線部分12及び1つの曲線部分13を有するプロファイル11を周方向に備える。特に、画面10は、プロファイル11によって区切られている。換言すれば、画面10は、プロファイル11に沿うように周方向に切断される。
【0023】
有利には、必ずしもそうとは限らないが、
図5の非限定的な実施形態によって示されるように、直線部分12は、支持要素9の下側部分LPの領域に配置され、曲線部分13は、上側部分UPの領域に配置される。詳細には、周辺プロファイル11は、直線部分12が弓形のストリングを画定する実質的に弓形の形状を決定する。そうすることにより、画面10の支持要素9への設置が簡単になる。さらにまた、このようにして、直線部分が使用されて、画面10が動作する必要がある(それ自体は既知であり、したがって以下では詳細に説明されない)1つ以上のコネクタ14を配置することができる。
【0024】
図5の非限定的な実施形態を参照すると、やはり、プロファイル11は、曲線部分13に沿って、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つの変曲点IP(すなわち、曲率符号に変化がある点)を含む。特に、そうすることにより、画面10の構造が強化され、したがって、画面の製造、組み立て、及び輸送を容易にする。
【0025】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、プロファイル11は、曲線部分13に沿って、中心に配置されたベル状突起15を備える。このようにして、ステアリングホイール3、すなわち、(最新技術のステアリングホイールの場合であることが多い)ステアリングホイールリム4に対称的な上部パディングが設けられている場合であっても、画面10の視界が最適化される。
【0026】
有利には、必ずしもそうとは限らないが、
図5の非限定的な実施形態によれば、画面10は、ジョイント画像を投影するように構成された少なくとも2つのサブ画面16を備える。特に、ジョイント画像。特に、2つのサブ画面16は、画面10の対称軸AX上に配置された(直線)線17に沿って接合されている。このようにして、支持要素9への設置がさらに単純化され、より安全な取り扱い及び可能な並置のための2つの直線側面(直線部分12及び線17の一部)が可能になる。
【0027】
図5の非限定的な実施形態によれば、2つのサブ画面16のそれぞれは、それぞれの直線サブ部分12’及びそれぞれの曲線サブ部分13’を備え、各それぞれの曲線サブ部分13’は、少なくとも1つ、特に2つの変曲点IPを含む。
【0028】
好ましくは、
図3及び
図5の非限定的な実施形態(
図3は、例えばガラスなどのカバー18を備えた装置8を示す)によって明確に示されるように、支持要素9(及びカバー18)は、支持要素9の下側部分LPの領域に配置され、車両警告灯領域20(警告灯は、例えば、エンジン、バッテリ、タイヤの問題、又はグリップ、ヘッドライト構成、又は燃料不足などの車両状態の問題を示す)を備えるように構成された2つの隔壁19(又はローブ)、特に対称隔壁を備える。
【0029】
有利には、限定されるものではないが、車両警告灯領域20は、それぞれの隔壁19の領域、特に画面10の直線部分12の下方で、2つの部分に分割される。
【0030】
したがって、領域20に存在する車両警告灯はアナログ灯であり、すなわち画面10の一部ではない。特に、車両警告灯は、その下方に配置される(支持要素9上に得られる)。
【0031】
特に、隔壁19は、画面10の直線部分12の端部21に配置される。このようにして、装置8は、2つの隔壁19の間に含まれる下側部分LPの凹部に対応するステアリングホイール3の中央部分22によっても区切られることが多い貫通開口部5によって可能にされる全視野領域の使用を可能にする。
【0032】
有利には、必ずしもそうとは限らないが、画面10は、700から850mmの範囲の曲率半径CRを有する。特に、740から820mm、より具体的には、780mmに等しい。
【0033】
いくつかの非限定的な場合では、曲率半径CRは、画面10と運転者DRの眼との間の距離に対応し、運転者DRが画面10全体に同時に焦点を合わせることを可能にする。換言すれば、画面10の凸面は、ユーザの眼が、画面10上を移動している間に焦点を再調整する必要なく、同じ瞬間に表示面全体上(すなわち、画面10上)に正確な焦点を合わせることを可能にする。
【0034】
他の非限定的な場合では、曲率半径CRは、画面10と運転者の眼との間の距離よりも小さい。この曲率の増加により、同じ視野に対して、画面10の寸法(したがって、同じdpi数が与えられた場合の画素の相対数)が増加するため、画面10上で運転者DRに表示される情報が増加されることができ、したがって、例えば、より小さい曲率と比較して、より多数のアイコン、数字、アニメーション及び/又は情報の項目を表示することを可能にする。
【0035】
有利には、道路車両1は、特に現在の車両状態に応じて、2つのサブ画面16間の画像の分割を制御するように構成された制御ユニット(既知のタイプのものであり、したがって、本明細書には示されず、詳細には説明されない)をさらに備える。制御ユニットは、物理的に単一の装置から構成されるか、又は、互いに別個であり、道路車両1のCANネットワークを介して互いに通信する、いくつかの装置から構成されることができる。
【0036】
上述した本発明は特定の実施形態の例に関連しているが、その保護範囲はまた、例えば、異なる種類の画面、異なる配置のコネクタ、異なる種類の車両(例えば、二輪車又は前輪駆動車)など、添付の特許請求の範囲によってカバーされる全ての変形、変更、又は簡略化を含むため、前記実施形態の例に限定されると見なされるべきではない。
【0037】
本発明は、多くの利点を提供する。
【0038】
第1に、それは画面の視野を最適化し、したがって未使用領域を減らし、したがって道路車両のダッシュボード内に占める無駄な重量及びスペースを減らす。
【0039】
さらにまた、本発明のおかげで、運転者に送信されることができない車両運転情報が、より容易に及び/又はより詳細又は完全な方法で表示されることができる。
【0040】
本発明のさらなる利点は、画面10の設置を容易にし、同時にその剛性及び取り扱いの容易さを(その供給又は製造中であっても)改善する可能性にある。
【0041】
最後に、本発明のおかげで、複数の湾曲した画面がダッシュボードの異なる点に設置されることができ、したがって運転者と車両との間の運転の楽しみ及び相互作用を改善する。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
1’ 表示装置
2 乗員室
3 ステアリングホイール
4 ステアリングホイールリム
5 貫通開口部
6 制御パネル
7 ダッシュボード
8 表示装置
9 支持要素
10 画面
11 プロファイル
12 直線部分
13 曲線部分
12’ 直線サブ部分
13’ 曲線サブ部分
14 コネクタ
15 ベル状突起
16 サブ画面
17 接合線
18 カバー
19 隔壁
20 警告灯領域
21 端部
22 ステアリングホイールの中央部分
AX 対称軸
CR 曲率半径
CVX 凹部
DR 運転者
IP 変曲点
LP 下側部分
UP 上側部分
【外国語明細書】