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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075053
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230523BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20230523BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20230523BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/18
A47C7/40
A47C27/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181494
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】102021000029159
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マーティン テイラー
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084CA04
3B084EC03
3B087DE10
3B096AB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軽量化及び小型化と相まって高い快適性を提供する車両用シートを提供する。
【解決手段】弾性変形可能であり、クッション2とバックレストとに分割され、網状構造を有する発泡体によって得られる、支承構造体を備える車両用シート。クッション2の支承構造体は、クッション2の全周に沿って延在し、第1の支承能力を有する外側ゾーン8と、中央に延在し、外側ゾーン8によって全ての側面が完全に囲まれ、第1の支承能力よりも小さい第2の支承能力を有する内側ゾーン9と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能であり、クッション(2)とバックレスト(3)とに分割され、網状構造を有する発泡体によって得られる支承構造体(5)を備える車両用シート(1)であって、
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)が、
発泡体によって得られ、少なくともU字形状であり、少なくとも前記クッション(2)の背面及び側面に沿って延在し、第1の支承能力(P1)を有する外側ゾーン(8)と、
発泡体によって得られ、中央に延在し、少なくとも前記背面及び前記側面において前記外側ゾーン(8)によって囲まれ、前記第1の支承能力(P1)よりも小さい第2の支承能力(P2)を有する内側ゾーン(9)と、を備え、
前記シート(1)が、前記クッション(2)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(9)内に完全に配置され、前記クッション(2)の中央にあり、前記第2の支承能力(P2)よりも小さい第3の支承能力(P3)を有する第1のインサート(10)を備える、ことを特徴とする、シート(1)。
【請求項2】
前記第2の支承能力(P2)が、前記第1の支承能力(P1)の55%から85%の範囲であり、
前記第1の支承能力(P1)が、7.5から10.0kPaの範囲であり、前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲である、
請求項1に記載のシート(1)。
【請求項3】
前記第1のインサート(10)が、少なくとも部分的に円錐台の形状を有し、前記クッション(2)から離れるにつれてそのサイズが小さくなる、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項4】
前記外側ゾーン(8)が、前記内側ゾーン(9)及び前記第1のインサート(10)のフランク部分内に延在する2つの別個のツインリブ(12)を備える、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項5】
前記第3の支承能力(P3)が、前記第2の支承能力(P2)の75%から90%の範囲であり、
前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲であり、前記第3の支承能力(P3)が、4.5から5.5kPaの範囲である、
請求項1に記載のシート(1)。
【請求項6】
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)が、互いに分離され、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(9)内に完全に互いに隣接して配置され、前記第1のインサート(10)と前記バックレスト(3)との間に配置され、前記第3の支承能力(P3)よりも小さい第4の支承能力(P4)を有する2つの第2のツインインサート(11)を備える、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項7】
各第2のインサート(11)が長方形の形状を有する、請求項6に記載のシート(1)。
【請求項8】
前記第4の支承能力(P4)が、前記第2の支承能力(P2)の60%から72%の範囲であり、
前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲であり、前記第4の支承能力(P4)が、3.6から4.4kPaの範囲である、
請求項6に記載のシート(1)。
【請求項9】
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)の前記外側ゾーン(8)が、前記クッション(2)の全周に沿って延在し、全ての側面において前記内側ゾーン(9)を囲む閉じた形状を有する、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項10】
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)の前記外側ゾーン(8)が、U字形状であり、前方に向かって開いており、背面及び側面において前記内側ゾーン(9)を囲む、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項11】
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、U字形状であり、前記内側ゾーン(9)及び前記外側ゾーン(8)を前面及び側面において囲み、前記第1の支承能力(P1)よりも高い第7の支承能力(P7)を有し、前記クッション(2)に横方向の閉じ込めを提供する一対のサイドパネルを横方向に画定する輪郭ゾーン(19)を有する、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項12】
前記第7の支承能力(P7)が、前記第1の支承能力(P1)の110%から170%の範囲であり、
前記第7の支承能力(P7)が、11.0から13.0kPaの範囲である、
請求項11に記載のシート(1)。
【請求項13】
前記クッション(2)の前記支承構造体(5)が、前記外側ゾーン(8)及び前記内側ゾーン(9)の双方を上部で覆い、発泡体によって得られ、前記第2の支承能力(P2)よりも小さい第5の支承能力(P5)を有するカバー(13)を備える、請求項1に記載のシート(1)。
【請求項14】
前記第5の支承能力(P5)が、前記第2の支承能力(P2)の25%から40%の範囲であり、
前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲であり、前記第5の支承能力(P5)が、1.6から2.4kPaの範囲である、
請求項13に記載のシート(1)。
【請求項15】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、
発泡体によって得られ、上下逆さまの「U字」形状を有し、前記バックレスト(3)の周囲に沿って延在し、前記第1の支承能力(P1)と前記第2の支承能力(P2)との間に含まれる少なくとも第6の支承能力(P6)を有する外側ゾーン(14)と、
発泡体によって得られ、中央に延在し、前記外側ゾーン(14)によって三方を囲まれ、下側が前記クッション(2)の前記支承構造体(5)に隣接し、前記第6の支承能力(P6)及び前記第2の支承能力(P2)よりも小さい第4の支承能力(P4)を有する内側ゾーン(15)と、を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のシート(1)。
【請求項16】
前記第4の支承能力(P4)が、前記第6の支承能力(P6)の55%から80%の範囲であり、
前記第4の支承能力(P4)が、3.6から4.4kPaの範囲であり、前記第6の支承能力(P6)が、5.5から7.0kPaの範囲である、
請求項15に記載のシート(1)。
【請求項17】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、前記外側ゾーン(14)に属し、したがって前記第6の支承能力(P6)を有するヘッドレストを含む、請求項15に記載のシート(1)。
【請求項18】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記外側ゾーン(14)内の中央及び前記内側ゾーン(15)の上方に配置され、前記第6の支承能力(P6)よりも小さい第2の支承能力(P2)を有する第3のインサート(16)を備える、請求項15に記載のシート(1)。
【請求項19】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(15)と前記外側ゾーン(14)との間の前記内側ゾーン(15)の2つの対向する両側に配置され、前記第6の支承能力(P6)よりも小さい前記第2の支承能力(P2)を有する、互いに別個の2つの第4のツインインサート(17)を備える、請求項18に記載のシート(1)。
【請求項20】
前記第2の支承能力(P2)が、前記第6の支承能力(P6)の85%から95%の範囲であり、
前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲であり、前記第6の支承能力(P6)が、5.5から7.0kPaの範囲である、
請求項18に記載のシート(1)。
【請求項21】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(15)と前記外側ゾーン(14)との間の前記内側ゾーン(15)の2つの対向する両側に配置され、前記第2の支承能力(P2)を有する、互いに別個の2つの第4のツインインサート(17)を備える、請求項15に記載のシート(1)。
【請求項22】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(15)と前記外側ゾーン(14)との間の前記内側ゾーン(15)の2つの対向する両側に配置され、前記第4のインサート(17)の上方に位置し、前記第2の支承能力(P2)よりも小さい第3の支承能力(P3)を有する、互いに別個の2つの第5のツインインサート(18)を備える、請求項19に記載のシート(1)。
【請求項23】
前記第2の支承能力(P2)が、前記第3の支承能力(P3)の75%から90%の範囲であり、
前記第2の支承能力(P2)が、5.4から6.6kPaの範囲であり、前記第3の支承能力(P3)が、4.5から5.5kPaの範囲である、
請求項22に記載のシート(1)。
【請求項24】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)の前記外側ゾーン(14)が、2つの異なる支承能力を有し、前記外側ゾーン(14)の上部が前記第6の支承能力(P6)を有し、前記外側ゾーン(14)の下部が前記第6の支承能力(P6)よりも高い前記第1の支承能力(P1)を有する、請求項15に記載のシート(1)。
【請求項25】
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記外側ゾーン(14)を横方向に画定し、前記第6の支承能力(P6)よりも大きい第7の支承能力(P7)を有し、前記バックレスト(3)の残りの部分から立ち上がり、前記バックレスト(3)に横方向の閉じ込めを提供する2つのサイドパネルを画定する2つの輪郭ゾーン(20)を有する、請求項15に記載のシート(1)。
【請求項26】
前記第7の支承能力(P7)が、前記第1の支承能力(P1)の110%から170%の範囲であり、
前記第7の支承能力(P7)が、11.0から13.0kPaの範囲である、
請求項25に記載のシート(1)。
【請求項27】
前記支承構造体(5)を覆いかつ2つのツイン貫通窓(7)を有する内張り(6)を備え、前記貫通窓が、互いに所定の距離を置いて配置され、下方に位置する前記支承構造体(5)を露出させ、前記バックレスト(3)の領域に配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシート(1)。
【請求項28】
弾性変形可能であり、クッション(2)とバックレスト(3)とに分割され、網状構造を有する発泡体によって得られる支承構造体(5)を備える車両用シート(1)であって、
前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、
発泡体によって得られ、上下逆さまの「U字」形状を有し、前記バックレスト(3)の周囲に沿って延在し、少なくとも第6の支承能力(P6)を有する外側ゾーン(14)と、
発泡体によって得られ、中央に延在し、前記外側ゾーン(14)によって三方を囲まれ、下側が前記クッション(2)の前記支承構造体(5)に隣接し、前記第6の支承能力(P6)よりも小さい第4の支承能力(P4)を有する内側ゾーン(15)と、を備え、
前記シート(1)が、前記バックレスト(3)の前記支承構造体(5)が、発泡体によって得られ、前記内側ゾーン(15)と前記外側ゾーン(14)との間の前記内側ゾーン(15)の2つの対向する両側に配置され、前記第6の支承能力(P6)よりも小さく、前記第4の支承能力(P4)よりも大きい第2の支承能力(P2)を有する、互いに分離した2つの第4のツインインサート(17)を備える、ことを特徴とする、シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2021年11月18日に出願されたイタリア特許出願第102021000029159号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0003】
車両のシートは、実質的に水平な配置を有するシートクッションと、実質的に垂直な配置を有するバックレストとからなる。
【0004】
構造的観点から、車両のシートは、車両の床板に固定されたフレーム(典型的には、金属又は複合材料から作られている)と、フレームに取り付けられ、弾性的に曲がる支承構造体と、支承構造体を覆い、外部との審美的かつ触覚的な界面を構成する内張りとを備える(内張りは、布又は革から作られることができる)。
【0005】
最近、製造業者は、3Dプリンタによって(すなわち、積層造形によって)構築される網状構造によってシートの支承構造体を製造することを提案した。
【0006】
米国特許第10272800号明細書は、メインクッションの側面の少なくとも一部を囲みかつメインクッションと比較して圧縮性が低い(すなわち、より硬い)発泡体から作られているシールドに結合されたメインクッションを有する自動車用シートを開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、軽量化及び小型化と相まって高い快適性を提供する車両用シートを提供することである。
【0008】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の車両用シートが提供される。
【0009】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を記載し、説明の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる車両用シートの斜視図である。
図2図1のシートのクッションの概略図である。
図3図2のクッションの概略縦断面図である。
図4図2のクッションの変形例の概略縦断面図である。
図5図1のシートのバックレストの概略図である。
図6図3のクッションの異なる実施形態の概略図である。
図7図2のバックレストの異なる実施形態の概略図である。
図8図1のシートの支承構造体の異なる部分の支承能力の値を合計した表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本発明を、そのいくつかの非限定的な実施形態を示す以下の添付の図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、符号1は、全体として、車両用シートを示している。
【0013】
シート1は、実質的に水平な配置を有するシートクッション2と、実質的に垂直な配置を有するバックレスト3とからなり、ともに、クッション2及びバックレスト3は、シート1に「L」形状を与える。バックレスト3は、上部において、バックレスト3に含まれるヘッドレスト4で終わる(すなわち、バックレスト3とともに1つの分割不可能な本体を形成する)。
【0014】
構造的観点から、シート1は、車両の床板に固定されたフレーム(典型的には、金属又は複合材料から作られている)と、フレームに取り付けられ、弾性的に曲がる支承構造体5(図2図5によく示されている)と、支承構造体5を覆い、外側への審美的かつ触覚的な界面を構成する内張り6(図1に見える)とを備える(内張り6は、布又は革から作られることができる)。
【0015】
好ましい実施形態によれば、支承構造体5を覆う内張り6は、2つのツイン貫通窓7を有し、貫通窓は、互いに所定の距離を置いて配置され、下方に位置する支承構造体5を露出させ、バックレスト3の領域に配置される。特に、各貫通窓7は、垂直に配置された長円形状を有する(すなわち、幅よりも大幅に大きい長さを有する)。
【0016】
シート1の支承構造体5は、3Dプリンタによって(すなわち、積層造形によって)構築された網状構造を有するポリウレタンフォームによって得られる。以下により詳細に説明するように、支承構造体5は、均一な支承能力(すなわち、あらゆる場所で同じ支承能力)を特徴としないが、ゾーンごとに変化する差別化された支承能力を有する。
【0017】
発泡体の支承能力(又は圧縮抵抗)は、その負荷抵抗の(すなわち、圧縮抵抗の)尺度であり、支承能力の値が高いほど、発泡体はより硬く(すなわち、より剛性である)、逆もまた同様である。支承能力は、通常、kPaで測定され、発泡体の所定の変形を得るのに必要な圧力として測定される。特に、UNI6351の規制に対応するIOS1798の方法によれば、発泡体の支承能力は、圧縮(すなわち、圧縮された試料の厚さの初期値の40%だけ減少する変形を得るために必要な圧力)を受けたサンプル(323平方センチメートルの表面を有する)の40%に相当する変形値を得るのに必要な圧力(kPaで測定)に等しい。
【0018】
図2及び図3によれば、クッション2の支承構造体5は、クッション2の全周に沿って延在し、第1の支承能力P1(7.5から10.0kPaの範囲)を有する外側ゾーン8と、中央に延在し、全ての側で外側ゾーン8によって完全に囲まれ、支承能力P1よりも小さい支承能力P2(5.4から6.6kPaの範囲)を有する内側ゾーン9とを備える。好ましい実施形態によれば、支承能力P2は、支承能力P1の55%から85%の範囲である。
【0019】
クッション2の支承構造体5は、内側ゾーン9内に完全に配置され、クッション2の中央にあり、支承能力P2よりも小さい第3の支承能力P3(5.4から6.6kPaの範囲)を有するインサート10を備える。好ましい実施形態によれば、支承能力P3は、支承能力P2の75%から90%の範囲である。好ましい実施形態によれば、インサート10は、少なくとも部分的に円錐台の形状を有し、これは、クッション2から離れる方向に移動するサイズを低減する。特に、インサート10は、クッション2の後方(すなわち、バックレスト3の領域内)に配置された長方形状の後部と、クッション2の前方に配置された台形状の前部(後部に隙間なく接合されている)とを有する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、クッション2の支承構造体5は、互いに別個であり、完全に内側ゾーン9内に互いに隣接して配置され、インサート10とバックレスト3との間に位置し(インサート10及びバックレスト3の双方から0以外の所与の距離に留まり)、支承能力P3よりも小さい支承能力P4(3.6から4.4kPaの範囲)を有する2つのツインインサート11を備える。好ましい実施形態によれば、支承能力P4は、支承能力P2の60%から72%の範囲である。好ましい実施形態によれば、各インサート11は、長方形の形状を有する。
【0021】
好ましい実施形態によれば、外側ゾーン8は、内側ゾーン9及びインサート10のフランク部分内に延在する2つの別個のツインリブ12を備える。
【0022】
図4に示す実施形態では、クッション2の支承構造体5は、カバー13も備え、カバーは、上部で外側ゾーン8及び内側ゾーン9の双方を覆い(すなわち、クッション2全体を覆う)、支承能力P2よりも小さい(また支承能力P3及びP4よりも小さい)支承能力P5(1.6から2.4kPaの範囲)を有する。好ましい実施形態によれば、支承能力P5は、支承能力P2の25%から40%の範囲である。図4に示す実施形態では、クッション2の支承構造体5は、カバー13を備えていない。
【0023】
図5によれば、バックレスト3の支承構造体5は、上下逆さまの「U字」形状を有し、バックレスト3の周囲に沿って延在し、支承能力P1と支承能力P2との間に含まれる少なくとも支承能力P6(5.5から7.0kPaの範囲)を有する外側ゾーン14を備える。さらに、バックレスト3の支承構造体5は、中央に延在し、外側ゾーン14によって三方を囲まれ、下側がクッション2の支承構造体5に隣接し、支承能力P6及び支承能力P2よりも小さい支承能力P4を有する内側ゾーン15を備える。好ましい実施形態によれば、支承能力P4は、支承能力P6の55%から80%の範囲であり、支承能力P2は、支承能力P6の85%から95%の範囲である。
【0024】
好ましい実施形態によれば、バックレスト3の支承構造体5は、外側ゾーン14に完全に属し、したがって支承能力P6を有するヘッドレスト4を含む。
【0025】
好ましい実施形態によれば、バックレスト3の支承構造体5は、外側ゾーン14内の中央及び内側ゾーン15の上方に配置され、支承能力P6よりも小さい支承能力P2を有するインサート16を備える。
【0026】
好ましい実施形態によれば、バックレスト3の支承構造体5は、互いに別個であり、内側ゾーン15と外側ゾーン14との間の内側ゾーン15の2つの対向する両側に配置され、第6の支承能力P6よりも小さい支承能力P2を有する2つのツインインサート17を備える。
【0027】
好ましい実施形態によれば、バックレスト3の支承構造体5は、互いに別個であり、内側ゾーン15と外側ゾーン14との間の内側ゾーン15の2つの対向する側に配置され、インサート17の上方に位置し、支承能力P3が支承能力P2よりも小さい2つのツインインサート18を備える。好ましい実施形態によれば、支承能力P2は、支承能力P3の75%から90%の範囲である。
【0028】
図6に示す代替実施形態では、クッション2の支承構造体5の外側ゾーン8(7.5から10.0kPaの範囲の支承能力P1を有する)は、クッション2の全周に沿って延在せず、クッション2の3つの側面のみに延在し、したがって、開放ゾーンが前方(すなわち、バックレスト3に対して反対方向を向いている)に面する「U字」形状を有する。すなわち、外側ゾーン8は、U字形状であり、内側ゾーン9の3つの側面(背面及び側面)を囲み、したがって、外側ゾーン8は、クッション2の周囲の3つの側面(背面及び側面)で係合する。
【0029】
さらにまた、図6に示す代替実施形態では、クッション2の支承構造体5は、U字形状であり、内側ゾーン9及び外側ゾーン8の3つの側面(前側及び側面)を囲む輪郭ゾーン19を有し、すなわち、輪郭ゾーン19は、クッション2の周囲の3つの側面(前側及び側面)に係合する。輪郭ゾーン19は、支承能力P1よりも高い支承能力P7(11.0kPaから13.0kPaの範囲)を有する。好ましい実施形態によれば、支承能力P7は、支承能力P1の110%から170%の範囲である。特に、側面において、輪郭ゾーン19は、クッション2に適切な横方向の閉じ込めを提供する2つのサイドパネルを画定するように、クッション2の残りの部分から立ち上がる。一方、前方では、輪郭ゾーン19は、クッション2の残りの部分に対して立ち下げられる。
【0030】
最後に、図6に示す代替実施形態では、外側ゾーン8には、内側ゾーン9及びインサート10のフランク部分内に延在する2つの別個のツインリブ12を備えていない。
【0031】
図7に示す代替実施形態では、バックレスト3の支承構造体5の外側ゾーン14(上下逆さまの「U字」のような形状)は、2つの異なる支承能力を有し、外側ゾーン14の上部(上下逆さまの「U字」のような形状)は、支承能力P6(5.5から7.0kPaの範囲)を有し、外側ゾーン14の下部(上下逆さまの「U字」のような形状)は、支承能力P1(7.5から10.0kPaの範囲)を有する。すなわち、外側ゾーン14の上部先端(上下逆さまの「U字」のような形状)は、支承能力P6を有し、外側ゾーン14の2つの脚部(上下逆さまの「U字」のような形状)は、支承能力P1を有する。
【0032】
図7に示す代替実施形態では、バックレスト3の支承構造体5は、外側ゾーン14を横方向に画定し(すなわち、2つの輪郭ゾーン20は、外側ゾーン14の両側に配置される)、支承能力P1及び支承能力P6よりも高い支承能力P7(11.0から13.0kPaの範囲)を有する2つの輪郭ゾーン20を有する。特に、2つの輪郭ゾーン20は、バックレスト3に適切な横方向の閉じ込めを提供する2つのサイドパネルを画定するように、バックレスト3の残りの部分から立ち上がる。
【0033】
図7に示す代替実施形態では、バックレスト3の支承構造体5は、外側ゾーン14内の中央及び内側ゾーン15の上方に配置され、支承能力P6よりも小さい支承能力P2を有するインサート16を備えていない。
【0034】
図7に示す実施形態においても、バックレスト3の支承構造体5は、外側ゾーン14の上部に属し、したがって、支承能力P2よりも(僅かに)小さい支承能力P3(5.4から6.6kPaの範囲)を有する中央インサート21(乗客の頭部の領域のすぐ近く)を除いて、支承能力P2を有するヘッドレスト4を含む。
【0035】
本明細書に記載の実施形態は、この理由で本発明の保護範囲を超えることなく、互いに組み合わせられることができる。
【0036】
上述したシート1は、多くの利点を有する。
【0037】
まず、上述したシート1は、軽量かつ小型でありながら、非常に高い快適性を乗客に提供する。
【0038】
さらにまた、上記開示されたシート1は、エンドユーザの実際の人体測定的特徴に適合するように完全にカスタマイズされることができる。
【0039】
最後に、上述したシート1は、市販の3Dプリンタを使用して比較的簡単かつ迅速に製造されることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 シート
2 クッション
3 バックレスト
4 ヘッドレスト
5 支承構造体
6 内張り
7 貫通窓
8 外側ゾーン
9 内側ゾーン
10 インサート
11 インサート
12 リブ
13 カバー
14 外側ゾーン
15 内側ゾーン
16 インサート
17 インサート
18 インサート
19 輪郭ゾーン
20 輪郭ゾーン
21 インサート
P1 支承能力
P2 支承能力
P3 支承能力
P4 支承能力
P5 支承能力
P7 支承能力
P7 支承能力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】