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特開2023-75065間仕切り構造とそのための部材のセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075065
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】間仕切り構造とそのための部材のセット
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20230523BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
E05D13/00 F
E05D15/06 119
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183868
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2021188148
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500410846
【氏名又は名称】岡田装飾金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】姫島 惇
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034AA01
2E034BE00
2E034CA02
2E034CA04
2E034EA00
(57)【要約】
【課題】移動に伴って、間仕切空間を開閉可能な間仕切部材が揺動するのを抑制でき、円滑に開閉動可能な間仕切り構造とそのための部材のセットを提供する。
【解決手段】一対の走行路4を有するレール1と;少なくとも一対の車輪12と、車輪の車軸部を回転可能に支持する支持部13と、この支持部に形成された装着貫通孔14と、この装着貫通孔に抜け止め状態で回転可能に装着可能な回転軸部材15と、この回転軸部材に装着可能な高さ調整部材(ダブルナット)17a,17bとを備えたランナー11と;前記回転軸部材15が取り付け可能な上部取り付け枠部22aと、第1のマグネット部材35aが移動方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部22bとを備えたパネル(間仕切部材)21と;第2のマグネット部材35bが前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材36とを備えている。前記第1のマグネット部材35aと第2のマグネット部材35bとは、非接触状態で、互いに反対の磁極を向けて配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも縦方向に延びて空間を仕切るための間仕切部材と、この間仕切部材を、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動可能な移動機構とを備えた間仕切構造であって、
前記間仕切部材の下端部と、この下端部に対応し、かつ前記間仕切部材の移動に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材を備えている、間仕切構造。
【請求項2】
前記磁性部材が、反対の磁極を向けて配設可能な一対のマグネット部材である、請求項1記載の間仕切構造。
【請求項3】
前記移動機構が、下記(A)走行機構又は(B)上下動機構を備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
(A)レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構
(B)間仕切空間の上部に位置し、前記間仕切部材を少なくとも上昇及び下降可能な上下動機構
【請求項4】
前記間仕切部材が、パネル及びシートから選択された少なくとも1種であり、複数の前記間仕切部材が、移動に伴って、互いに隣接して前記仕切路に沿って配列可能である、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項5】
レールに沿って走行可能な複数のランナーと、これらのランナーに隣接して取り付け可能な複数の間仕切部材とを備えており、
各間仕切部材が、1又は複数の前記ランナーに回動可能に取り付け可能である、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項6】
ランナーが、レールの少なくとも一対の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪と、この一対の車輪を回転可能に支持する支持部と、下記(I)又は(II)とを備えている、請求項5記載の間仕切構造。
(I)前記支持部に形成され、前記間仕切部材に対して取り付け可能な取付部材
(II)前記支持部に形成された装着孔と、この装着孔に対して回転可能に装着され、かつ前記間仕切部材に対して取り付け可能な回転軸部材
【請求項7】
前記一対の磁性部材が、一対のマグネット部材であり、前記一対のマグネット部材が、間仕切部材の下端部に沿って所定の長さで取り付けられた第1のマグネット部材と、前記仕切路に沿って所定の長さで取り付けられた第2のマグネット部材とを備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項8】
前記一対の磁性部材が、一対のマグネット部材であり、前記一対のマグネット部材が、前記間仕切部材の下端部の全長に亘り配設された第1のマグネット部材と、前記仕切路の全長に亘り配設された第2のマグネット部材とを備えており、第1及び第2の前記マグネット部材が、磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含み、幅方向又は厚み方向に異なる磁極が隣接して形成されたマグネット部材を備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項9】
前記間仕切部材としての複数のパネル又はシートと、各パネル又はシートを1又は複数の回転軸部材で吊り下げてレールに沿って走行可能な複数のランナーとを備え、
隣接する複数のパネル又はシートが、連結されることなく、前記仕切路に沿って整列可能であり、各パネル又はシートが前記仕切路に対して交差した形態で移動可能である、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項10】
前記間仕切部材の移動方向に沿って前記間仕切部材の上下端部にそれぞれ形成又は取り付けられた上枠部及び下枠部と、これらの枠部をカバーするための枠体カバーと、前記上枠部及び下枠部並びに枠体カバーの両端部にそれぞれ装着可能な装着部材とを備えており、これらの装着部材の対向部に互いに磁気的に吸着可能な一対の磁性部材が対向して取り付けられている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項11】
前記間仕切部材が、光電変換フィルム、調光又は光シャッターフィルム、偏光フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、発光フィルム、発熱フィルム、感温又は感温液晶フィルム、放熱フィルム、防火フィルム、透湿フィルム、防湿フィルム、防塵フィルム、防かびフィルム、抗菌フィルム、及び抗ウィルスフィルムから選択された少なくとも1種の機能性フィルム又はシートを備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項12】
前記間仕切部材が、透明、半透明又は不透明の複数のパネル又はシートを備えており、隣接するパネル又はシートの側縁に保護材が装着されている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
【請求項13】
移動機構が、レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構を備えており、下記(i)又は(ii)に記載の出入り口構造を備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
(i)少なくとも前記レールと、複数の間仕切部材のうち、所定の間仕切部材の少なくとも上部とに、リンク部材が回動自在に軸支され、出入り口を形成する出入り口構造
(ii)前記レールが、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する交差レールとを備え、この交差レールに隣接する所定の間仕切部材の移動方向の異なる部位に、それぞれ、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材が回動自在に取り付けられ、第1のランナーが前記交差レールに走行可能に装着され、第2のランナーが前記メインレールに走行可能に装着され、出入り口を形成する出入り口構造
【請求項14】
移動機構が、レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構を備えており、下記(iii)に記載の収納構造を備えている、請求項1又は2記載の間仕切構造。
(iii)前記レールが、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する2つの交差レールと、前記2つの交差レールを連結して前記間仕切部材を誘導して収納するための誘導レールとを備え、
前記間仕切部材の移動方向の異なる部位に、それぞれ、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材が回動自在に取り付けられ、
前記2つの交差レールが、第1及び第2の前記ランナーのうち先頭のランナーを、前記メインレールを経て案内可能であり、第1の間仕切部材で出入口を形成可能な第1の交差レールと;前記第1の間仕切部材に後続する少なくとも1つの第2の間仕切部材の先頭のランナーを、前記メインレールを経て案内可能な第2の交差レールとで形成され、
前記第2の間仕切部材の先頭のランナーが、前記誘導レールに沿って案内可能であり、かつ後続するランナーが、前記メインレールに沿って案内可能である収納構造
【請求項15】
間仕切構造が、下記(a)又は(b)を備えている請求項1又は2記載の間仕切構造。
(a)断面U字状又はV字状の一対の走行路を有するレールと;
前記走行路に対応する断面U字状又はV字状の外周部を有する少なくとも一対の車輪と、この一対の車輪を互いに連結する車軸部と、この車軸部を回転可能に支持する支持部と、この支持部に形成された装着孔と、この装着孔に抜け止め状態で回転可能に装着可能な回転軸部材とを備えたランナーと;
前記ランナーの前記回転軸部材が取り付け可能な上部取り付け枠部と、第1のマグネット部材が移動方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部とを備えたプラスチックパネル又はシート若しくはガラスパネル又はシートと;
第2のマグネット部材が前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材とを備えており、
前記第1のマグネット部材と第2のマグネット部材とが、所定間隔をおいて、互いに反対の磁極を向けて配設されている、間仕切構造
(b)下部開口部を備えた断面コ字状のレール本体と、このレール本体の両側壁の内壁から内方に延び、高さ位置を異にして、互い違いに下方に傾斜した少なくとも一対の走行壁の走行路を有するレールと;
前記レールの下部開口部に沿ってスライド自在であり、回転可能に装着された回転軸部材と、この回転軸部材の軸方向に所定間隔をおいて、前記回転軸部材の周方向に独立して回転自在に装着され、前記走行壁の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪とを備えたランナーと;
前記ランナーの前記回転軸部材が取り付け可能な上部取り付け枠部と、第1のマグネット部材が移動方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部とを備えたプラスチックパネル又はシート若しくはガラスパネル又はシートと;
第2のマグネット部材が前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材とを備えており、
前記第1のマグネット部材と第2のマグネット部材とが、所定間隔をおいて、互いに反対の磁極を向けて配設されている、間仕切構造
【請求項16】
前記ランナーが、さらに、前記回転軸部材に装着可能であり、かつ前記レールに対して高さ調整可能な高さ調整部材を備えている、請求項15記載の間仕切構造。
【請求項17】
少なくとも縦方向に延びて空間を仕切るための間仕切部材と、この間仕切部材を、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動可能な移動機構とを備え、間仕切構造を形成するためのセットであって、
前記間仕切部材の下端部と、この下端部に対応し、かつ前記間仕切部材の移動に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材を備えている、セット。
【請求項18】
さらに、レールと、このレールに沿って走行可能であり、かつ前記間仕切部材が取り付け可能なランナーとを備えている、請求項17記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉空間を間仕切るのに有用な間仕切り構造(間仕切りパネルを備えた開閉構造)と、その構造を形成するための部材のセットに関する。
【背景技術】
【0002】
集会所、家庭のリビング、会議室などの種々の空間を仕切るため、間仕切りカーテンや間仕切りパネルを利用した間仕切り構造が利用されている。このような間仕切構造において、長尺な一対の開閉部材の対向面に磁石を配設し、前記開閉部材に間仕切り部材を取り付けた間仕切り構造が提案されている。
【0003】
特開2000-220355号公報(特許文献1)には、多数のパネルをハンガーレールに沿って移動可能に支持するとともに、隣接する複数のパネルを蝶番でそれぞれ回動可能に連結し、先頭に位置するパネルの端部には先頭框を設け、先頭ランナーを介して、この先頭框を前記ハンガーレールから吊下支持した間仕切りパネルが記載されている。この文献には、前記先頭框に磁石を設け、この磁石を露出可能な形態でカバー(クッションゴム)で覆い、磁石を壁面のマグネット受けに密着させることが記載されている。
【0004】
実公平3-31833号公報(特許文献2)には、引戸の下端の長手方向の両端に設けた一対のガイドロッドと、このガイドロッドを案内する案内溝を備えたガイドレールと、このガイドレールと同じ長さを有し、前記案内溝に上下動可能に遊嵌されたカバー(断面コ字状でフランジを有する閉鎖体)と、前記一対のガイドロッドにそれぞれ設けた磁石と、前記カバーの磁石収納部に収納された一対の磁石とを備え、引戸の閉鎖時には、ガイドロッドの磁石がカバーの磁石を吸引し、カバーの浮上に伴って、引戸とガイドレールとの隙間を閉鎖させ、引戸の解放時には、ガイドロッドの磁石がカバーの磁石と反発し、カバーをガイドレールの案内溝に押しつけて隙間を開放させる隙間閉鎖装置が記載されている。すなわち、特許文献2の隙間閉鎖装置では、引戸の開放位置と閉鎖位置とで磁石の反発及び吸着を利用して、カバーで引戸とガイドレールとの隙間を開放及び閉鎖している。
【0005】
なお、特開2009-131589号公報(特許文献3)には、レール部材に吊り下げられ、かつ互いに対向可能な一対の対向部材と、この一対の対向部材の対向面に形成されたアリ溝状の装着凹部と、この装着凹部に、互いに反対の磁極を向けて装着されたマグネット部材と、前記対向部材に形成され、間仕切りシートを取り付けるための取り付け部とを備えた一対の開閉部材が開示されている。このような開閉部材では、互いに対向可能な装着凹部に反対の磁極を向けてマグネット部材を装着するため、閉じ操作により位置ずれすることがなく、一方の対向部材の軸線に対して位置ずれすることなく、他方の対向部材を緊密に密着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-220355号公報(請求項1及び4、図3
【特許文献2】実公平3-31833号公報(請求項1及び第1図)
【特許文献3】特開2009-131589号公報(特許請求の範囲、段落[0024][0026]、図1及び図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の間仕切りパネルでは、パネルの開閉動に伴って、ハンガーレールを支点にしてパネルが揺動しやすくなる。また、パネルが揺動すると、マグネット受けに対する磁石の位置がずれるため、簡便かつ精度よく位置決めして閉止できない。さらに、隣接する複数のパネルの側縁を蝶番で回動可能に連結しているため、パネル構造が複雑化する。
【0008】
特許文献2の隙間閉鎖装置では、引戸が開放位置と閉鎖位置との間を移動する移動過程において、ガイドロッドと前記カバーとの間に磁力が作用しないため、引戸が揺動しながら移動し、引戸を円滑に移動できなくなる。
【0009】
特許文献3の開閉部材でも、開閉操作に伴って、レール部材に吊り下げられた対向部材及び間仕切りシートが揺動しやすく、対向部材を円滑に移動できなくなる。
【0010】
従って、本発明の目的は、移動に伴って間仕切空間を開閉可能な間仕切部材が揺動するのを抑制でき、間仕切り部材で円滑に開閉動可能な間仕切り構造(又は開閉構造)とそのための部材のセットを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、隣接する複数の間仕切部材(パネルなど)を互いに蝶番で回動可能に連結しなくても、隣接する複数の間仕切部材(パネルなど)が、それぞれ回動可能な間仕切り構造(又は開閉構造)とそのための部材のセットを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、空間の閉じ状態では複数の間仕切部材(パネルなど)を隣接させて整列でき、空間の開放状態では複数の間仕切部材(パネルなど)を折り重ねて(又は折り畳んで)収納可能な間仕切り構造(又は開閉構造)とそのための部材のセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、複数のパネルの下端部と、前記パネルの下端部(下端縁)に対応して床部などに形成され、ランナーの走行に伴って前記パネルで閉じ空間を形成するための仕切路(開閉路又は区画路)とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材(例えば、反対の磁極を向けた一対のマグネット部材)を配設すると、一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)の磁気的吸引力で、前記パネルの揺動を抑制しつつ前記レール及び仕切路に沿って複数のパネルを整列できること;前記パネルを1つのランナーの回転軸(又は回動軸)に吊り下げると、一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)の磁気的吸引力が対向方向には強いものの横方向のずれに弱いことを利用して、前記回転軸(又は回動軸)を中心として前記パネルを円滑に回動でき、隣接するパネルを折り重ね(又は折り畳み)状態にでき、簡単な折り重ね操作及び収納操作で、小さな収納スペースに収納できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の間仕切構造(開閉構造)は、[1]少なくとも縦方向に延びて空間を仕切るための間仕切部材と、この間仕切部材を、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動可能な移動機構とを備えている。この間仕切構造(開閉構造)は、さらに、前記間仕切部材の下端部(又は下端面)と、この下端部(又は下端面)に対応し、かつ前記間仕切部材(ランナー)の移動又は走行に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路(又は開閉路)とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材を備えている。前記態様[1]の間仕切構造において、[2]前記磁性部材は、反対の磁極を向けて配設可能な一対のマグネット部材であってもよい。
【0015】
このような間仕切構造(開閉構造)は、間仕切部材と仕切路(又は開閉路)とに一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)の磁気的吸引力(又は吸着力)を作用させることができ、間仕切部材を移動させても、間仕切り部材が揺動するのを抑制できる。また、一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)が非接触状態であるため、間仕切り部材を円滑に開閉動できる。
【0016】
前記態様[1]又は[2]の間仕切構造において、[3]前記移動機構は、下記(A)走行機構又は(B)上下動機構を備えていてもよい。
【0017】
(A)レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構
(B)前記間仕切空間の上部に位置し、前記間仕切部材を少なくとも上昇及び下降可能な上下動機構
【0018】
このような移動機構を利用して、ランナーの走行に伴って間仕切部材を移動させたり、間仕切部材を上下動させたりしても、非接触状態で配置された一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)により、間仕切り部材が揺動するのを抑制でき、間仕切り部材を円滑に開閉動できる。
【0019】
これらの態様[1]~[3]のいずれかの間仕切構造(開閉構造)において、[4]前記間仕切部材は、互いに隣接可能な複数の間仕切部材を備えていてもよく;各間仕切部材は、パネル及びシート(間仕切シート)から選択された少なくとも1種であってもよい。複数の前記間仕切部材は、移動に伴って、互いに隣接して(又は縦方向に延びて隣接した状態で)前記仕切路に沿って配列又は整列可能であってもよい。具体的には、前記態様[1]~[4]のいずれかの間仕切構造において、[5]前記間仕切構造(開閉構造)は、レールに沿って走行可能な複数のランナーと、これらのランナーに隣接して取り付け可能な複数の間仕切部材とを備えていてもよく、各間仕切部材(パネルなど)は、1つの前記ランナーに回動可能に取り付け可能であってもよく、各間仕切部材(パネルなど)は、複数(例えば、2つ)の前記ランナーに回動可能に取り付け可能であってもよい。各間仕切部材(パネルなど)は、前記ランナーの走行方向に対して、1つの前記ランナーに揺動可能及び回動可能に取り付け可能であってもよい。
【0020】
前記態様[1]~[5]のいずれかの間仕切構造において、[6]前記ランナーは、前記レールの少なくとも一対の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪と、この一対の車輪を回転可能に支持する支持部(一対の車輪を互いに連結する車軸部を回転可能に支持する支持部)と、下記(I)又は(II)とを備えていてもよい。
【0021】
(I)前記支持部に形成され、前記間仕切部材(パネルなど)に対して取り付け可能な取付部材又は取付部
(II)前記支持部に形成された装着孔と、この装着孔に対して回転可能に装着され、かつ前記間仕切部材(パネルなど)に対して取り付け可能な回転軸部材(パネルなどの間仕切部材に対して取り付け可能な取付部を有する回転軸部材)。
【0022】
前記態様[1]~[6]のいずれかにおいて、[7]前記一対の磁性部材は、一対のマグネット部材であり、前記一対のマグネット部材は、間仕切部材の下端部(又は下端面)に沿って所定の長さで(例えば、全長に亘って)取り付けられた第1のマグネット部材と、前記仕切路に沿って所定の長さで(例えば、全長に亘って)取り付けられた第2のマグネット部材とを備えていてもよい。前記態様[1]~[7]のいずれかにおいて、[8]前記一対の磁性部材は、一対のマグネット部材であり、前記一対のマグネット部材は、前記間仕切部材の下端部(又は下端面)の全長に亘り配設された第1のマグネット部材と、前記仕切路の全長に亘り配設された第2のマグネット部材とを備えていてもよく、第1及び第2の前記マグネット部材は、磁性粉体と樹脂(軟質樹脂など)又はエラストマーとを含み、幅方向又は厚み方向に異なる磁極が隣接して形成(又はS極とN極とに磁化)されたマグネット部材(軟質マグネット部材など)を備えていてもよい。
【0023】
前記態様[1]~[8]のいずれかにおいて、[9]間仕切構造(開閉構造)は、前記間仕切部材としての複数のパネル又はシートと、各パネル又はシートを1又は複数(例えば、2つ)の回転軸部材で吊り下げて前記レールに沿って走行可能な複数のランナーとを備えていてもよく;隣接する複数のパネル又はシートが、連結されることなく、前記仕切路に沿って整列可能であり、各パネル又はシートが前記仕切路に対して交差した形態で移動可能であってもよい。
【0024】
このような形態の間仕切構造(開閉構造)では、隣接する複数の間仕切部材(パネルなど)を互いに蝶番で回動可能に連結しなくても、前記一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)の磁気的吸引力(又は吸着力)で各間仕切部材を縦方向に整列又は配列でき、各間仕切部材(パネルなど)が1つの前記ランナーに回動可能に取り付けられているため、隣接する複数のパネルが、それぞれ回動可能である。そのため、空間の閉じ状態では複数のパネルを隣接させて整列でき、空間の開放状態では複数のパネルを折り重ねて(又は折り畳んで)収納可能である。
【0025】
なお、前記態様[1]~[9]のいずれかの間仕切構造(開閉構造)において、[10]前記間仕切部材の移動方向に沿って前記間仕切部材の上下端部にそれぞれ形成又は取り付けられた上枠部及び下枠部と、これらの枠部をカバーするための枠体カバーと、前記上枠部及び下枠部並びに枠体カバーの両端部にそれぞれ装着可能な装着部材とを備えていてもよく、これらの装着部材の対向部(前記間仕切部材と、前記移動機構により可動な間仕切部材に対して対向する対向部)に互いに磁気的に吸着可能な一対の磁性部材が対向して取り付けられていてもよい。
【0026】
前記態様[1]~[10]のいずれかにおいて、[11]前記間仕切部材は、光エネルギー、熱(温度)エネルギー、電気エネルギーなどの外的(外部)エネルギーにより、光学特性(透明性、色相及び/又は色彩)、電気的特性、熱的特性などが変化可能な機能性部材であってもよく、例えば、光電変換フィルム、調光又は光シャッターフィルム、偏光フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、発光フィルム、発熱フィルム、感温又は感温液晶フィルム、放熱フィルム、防火フィルム、透湿フィルム、防湿フィルム、防塵フィルム、防かびフィルム、抗菌フィルム、抗ウィルスフィルムなどから選択された少なくとも1種の機能性フィルム又はシートを備えていてもよい。さらに、前記態様[1]~[11]のいずれかにおいて、[12]前記間仕切部材は、透明、半透明又は不透明の複数のパネル又はシートを備えていてもよく;各パネル又はシートは、その周縁に枠部材(フレーム)を備えていなくてもよい。隣接するパネル又はシートの側縁には保護材(例えば、透明な保護材)を装着してもよい。この保護材には、側部フレームを装着してもよい。
【0027】
また、所定の間仕切部材の回動を利用して、出入り口を形成してもよい。例えば、前記態様[1]~[12]のいずれかにおいて、[13]前記移動機構が、前記(A)レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構を備えた間仕切構造は、下記(i)又は(ii)に記載の出入り口構造を備えていてもよい。
【0028】
(i)少なくとも前記レールと、複数の間仕切部材(パネルなど)のうち、所定の間仕切部材の少なくとも上部とに、リンク部材(ガイドバー)が回動自在に軸支され(前記レールと前記所定の間仕切部材の上部とに回動可能に軸支されたにリンク部材により)、出入り口(又は入出路)を形成する出入り口構造
(ii)前記レールが、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する交差レール(メインレールから交差する方向に延びる交差レール又は案内レール)とを備え、この交差レールに隣接する所定の間仕切部材の移動方向の異なる部位又は位置(例えば、中央域と端部)とに、それぞれ、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材が回動自在に取り付けられ、第1のランナー(又は車輪)が前記交差レール(又は走行路)に走行可能に装着され、第2のランナー(又は車輪)が前記メインレール(又は走行路)に走行可能に装着され、出入り口を形成する出入り口構造。
【0029】
さらに、前記間仕切部材を収納してもよい。例えば、前記態様[1]~[13]のいずれかにおいて、[14]前記(A)レールに沿って走行可能であり、前記間仕切部材が取り付け可能なランナーを備えた走行機構を備えた間仕切構造は、下記(iii)に記載の収納構造を備えていてもよい。
【0030】
(iii)前記レールが、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する2つの交差レール(メインレールから所定の間隔をおいて交差方向に延びる2つの交差又は案内レール)と、前記2つの交差レールを連結して前記間仕切部材を誘導して収納するための誘導レールとを備え、
前記間仕切部材の移動方向の異なる部位に、それぞれ、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材が回動自在に取り付けられ、
前記2つの交差レールが、第1及び第2の前記ランナーのうち先頭の(又は第1の)ランナーを、前記メインレールを経て案内可能であり、第1の間仕切部材で出入口を形成可能な第1の交差レールと;前記第1の間仕切部材に後続する少なくとも1つの第2の間仕切部材の先頭の(又は第1の)ランナーを、前記メインレールを経て案内可能な第2の交差レールとで形成され、
前記第2の間仕切部材の先頭の(又は第1の)ランナーが、前記誘導レールに沿って案内可能であり、かつ後続するランナー(又は第2のランナー)が、前記メインレールに沿って案内可能である収納構造
【0031】
前記態様[1]~[14]のいずれかにおいて、[15]間仕切構造は、下記(a)又は(b)の間仕切構造を備えていてもよい。
【0032】
(a)断面U字状又はV字状の一対の走行路を有するレールと;
前記走行路に対応する断面U字状又はV字状の外周部を有する少なくとも一対の車輪と、この一対の車輪を互いに連結する車軸部と、この車軸部を回転可能に支持する支持部と、この支持部に形成された装着孔又は装着貫通孔と、この装着孔又は装着貫通孔に抜け止め状態で回転可能に装着可能な回転軸部材とを備えたランナーと;
前記ランナーの前記回転軸部材が取り付け可能な上部取り付け枠部(前記回転軸部材のネジ部が螺合可能な上部取り付け枠部)と、第1のマグネット部材が移動方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部とを備えたプラスチックパネル又はシート、若しくはガラスパネル又はシート(プラスチックパネル若しくはプラスチックシート、又はガラスパネル若しくはガラスシート)と;
第2のマグネット部材が前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材とを備え、
前記第1のマグネット部材と第2のマグネット部材とは、所定間隔をおいて、互いに反対の磁極を向けて配設される間仕切構造
(b)下部開口部を備えた断面コ字状のレール本体と、このレール本体の両側壁の内壁から内方に延び、高さ位置を異にして、互い違いに下方に傾斜した少なくとも一対の走行壁の走行路を有するレールと;
前記レールの下部開口部に沿ってスライド自在であり、かつ前記間仕切部材(パネルなど)に対して回転可能に装着された回転軸部材と、この回転軸部材の軸方向に所定間隔をおいて、前記回転軸部材の周方向に独立して回転自在に装着され、前記走行壁の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪とを備えたランナーと;
前記ランナーの前記回転軸部材が取り付け可能な上部取り付け枠部と、第1のマグネット部材が移動方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部とを備えたプラスチックパネル又はシート、若しくはガラスパネル又はシート(プラスチックパネル若しくはプラスチックシート、又はガラスパネル若しくはガラスシート)と;
第2のマグネット部材が前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材とを備え;
前記第1のマグネット部材と前記第2のマグネット部材とが、所定間隔をおいて、互いに反対の磁極を向けて配設される間仕切構造。
【0033】
前記態様[1]~[15]のいずれかにおいて、[16]前記ランナーは、さらに、前記回転軸部材に装着可能であり、前記レールに対して高さ調整可能な高さ調整部材(例えば、前記回転軸部材に形成されたネジ部と、このネジ部に螺合可能であり、前記レールに対して高さ調整可能なダブルナットなどの螺合締結部材)を備えていてもよい。
【0034】
このような態様において、前記間仕切部材の揺動を抑制するため、前記車輪の外周部の頂部(湾曲又は鋭角な頂部、特に鋭角な頂部)は、前記走行路の谷部(断面U字状又はV字状走行路、特にV字状走行路の最下部)よりも前記レールの側部内壁側に位置して走行可能であってもよい。
【0035】
本発明は、[17]少なくとも縦方向に空間を仕切るための間仕切部材と、この間仕切部材を、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動可能な移動機構とを備え、間仕切構造を形成するためのセットも包含する。このセットは、前記間仕切部材の下端部(又は下端面)と、この下端部(又は下端面)に対応し、かつ前記間仕切部材の移動に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材を備えている。前記磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材は、反対の磁極を向けて配設可能な一対のマグネット部材であってもよい。前記態様[17]のセットは、[18]さらに、レールと、このレールに沿って走行可能であり、かつ前記間仕切部材が取り付け可能なランナーとを備えていてもよい。すなわち、前記セットは、移動機構としての前記レール及び前記ランナーと、前記間仕切部材とを備えていてもよく;前記間仕切部材の下端部(又は下端面)と、この下端部(又は下端面)に対応し、かつ前記ランナーの走行に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路とに、前記一対の磁性部材(例えば、前記一対のマグネット部材)を配設してもよい。
【0036】
なお、本明細書において、「長尺」とは、幅に対して長さが大きな細長い形状を意味し、「長尺部材」を「対向部材」又は「棒状部材」という場合がある。また、「マグネット部材」は、「軟質」又は「硬質」であってもよく、樹脂(プラスチック)又はエラストマーを含む「マグネット部材」を「プラスチック磁石」「ゴム磁石部材」という場合があり、軟質樹脂(プラスチック)又はエラストマーを含む「マグネット部材」を「軟質マグネット部材」という場合がある。さらに、特に断りがない限り、「シート」は「フィルム」と同義に用いる。間仕切部材(パネルなど)の「枠部」は、間仕切部材と一体に形成された枠状部、間仕切部材に取付け可能な枠体(取付枠又は枠部材)の双方を含む意味に用い、間仕切部材に枠状に取付けられた枠体を「枠部」「取付枠部」という場合がある。
【発明の効果】
【0037】
本発明では、間仕切部材と仕切路とに、非接触状態で、磁気的に吸引可能な形態で配設可能な一対の磁性部材(例えば、反対の磁極を向けて一対のマグネット部材)が対向しているため、開閉操作において、一対の磁性部材(例えば、一対のマグネット部材)の磁気的吸引力を利用して、間仕切部材が揺動するのを抑制でき、間仕切部材を円滑に開閉動可能である。また、1つのランナーの回転軸部材(又は回動軸部材)に間仕切部材(パネルなど)を取り付けることにより、隣接する複数の間仕切部材(パネルなど)を互いに蝶番で回動可能に連結しなくても、隣接する複数の間仕切部材が、それぞれ回動可能である。さらに、空間の閉じ状態では複数の間仕切部材を隣接させて整列でき、空間の開放状態では複数の間仕切部材を折り重ねて(又は折り畳んで)収納可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は本発明の間仕切構造の一例を示す概略分解斜視図である。
図2図2図1のランナーを示す概略分解斜視図である。
図3図3図1の上部取付け枠部を示す概略分解斜視図である。
図4図4図1のランナー及び上部取付け枠部を示す概略分解斜視図である。
図5図5図1の上部取付け枠部での取り付け状態を示す概略側面図である。
図6図6図1の下部取付け枠部を示す概略分解斜視図である。
図7図7図1の下部取付け枠部と敷設部材とを示す概略斜視図である。
図8図8図1に示す間仕切構造での出入り口の機構を説明するための概略斜視図である。
図9図9は間仕切部材を位置決めするための位置決め固定機構を示す概略斜視図である。
図10図10は本発明の他の例のレール及びランナーを示す概略分解斜視図である。
図11図11図10のレール及びランナーを示す概略図である。
図12図12は他の出入り口の機構を説明するための概略斜視図である。
図13図13はさらに他の出入り口の機構を説明するための概略斜視図である。
図14図14図13の第1のランナーの取付構造を説明するための概略斜視図である。
図15図15図13の第2のランナーの取付構造を説明するための概略斜視図である。
図16図16は本発明の他の例の間仕切構造を示す概略分解斜視図である。
図17図17図16のランナー及び上部取付け枠部を示す概略図である。
図18図18図16の下部取付け枠部を示す概略分解斜視図である。
図19図19(a)は図18の第1のキャップ部材を示す概略分解斜視図であり、図19(b)は図19(a)の対向する一対の第1のキャップ部材の配設関係を示す概略図である。
図20図20(a)は図18の下部取付け枠部、枠体カバー、第1及び第2のキャップ部材を示す概略分解斜視図であり、図20(b)は図18の下部取付け枠部に枠体カバーを装着した概略側面図である。
図21図21(a)は図16の間仕切構造を壁部に適用するための立設枠体を示す概略斜視図であり、図21(b)は図21(a)の立設枠体の取付状態を示す概略斜視図である。
図22図22は別の出入り口又は収納の機構を説明するための概略斜視図である。
図23図23図22の出入り口又は収納の機構を説明するための概略図である。
図24図24(a)は間仕切部材を位置決めするための他の位置決め固定機構を示す概略斜視図であり、図24(b)は図24(a)のI-I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0040】
図1図9に示す間仕切構造(開閉構造)は、吊り下げ部材(ブラケット)6を利用して天井壁から吊り下げられ、横方向に延びるレール1と;このレールの走行路(案内路)を走行可能なランナー11と;このランナーの単一の回転軸部材(取付部材)15に連結された縦長の方形状のパネル21と;このパネルの下端部(下端面)と床部に形成された仕切路(開閉路)とに、非接触状態で、反対の磁極を向けて配設された一対のマグネット部材35a,35bとを備えており、前記複数のパネル21で空間を仕切って、開閉可能な空間を形成している。なお、前記レール1と、このレールに沿って走行可能であり、かつ前記パネル21が取り付け可能な前記ランナー11とで走行機構を形成している。
【0041】
前記レール1は、直線状に形成され、中空四角枠状のレール本体2と、このレール本体の下部壁に長手方向(又は移動方向)に延びるスリット状開口部3と、この開口部の両側部の下部壁に形成され、ランナー11の車輪が走行可能な一対の走行路(案内路)4とを備えており、この走行路は、断面V字状の形態を有している。なお、レール本体の両側壁の上部には、前記吊り下げ部材の爪部が係止可能な係止凹部5が形成されている。
【0042】
図2図4及び図5に示されるように、前記レールの一対の走行路を走行可能なランナー11は、前記走行路に対応する断面V字状の外周部を有する前後一対の車輪(走行方向に所定の間隔をおいて配置された前後一対の車輪)12と、これらの一対の車輪を互いに連結する車軸部12aと、ベアリング又は軸受(図示せず)を介して、この車軸部を回転可能に支持する支持部13と、この支持部のうち前後一対の車輪12の間に形成された装着貫通孔14と、この装着貫通孔に抜け止め状態で回転可能に装着可能な取付部材としての回転軸部材(回動軸部材)15とを備えている。なお、ベアリング又は軸受は支持部13の軸受け装着部16に装着されている。すなわち、前記ランナー11は、走行状態において、取付部材として、縦方向に延びて回転又は回動可能な1つの回転軸部材(回動軸部材)15を備えており、この例では、前記回転軸部材15は、ボルトで形成され、ボルトの頭部で装着貫通孔14からの抜けを防止している。この回転軸部材(又はボルト)15は、パネル21の上端部のうち長手方向(又は移動方向)の中央部(又は重心部)に取り付けられている。このような1つの回転軸部材15にパネル21を取り付けると、走行に伴ってパネル21が揺動(横揺れ)しやすくなるものの、前記レールの走行路と、前記車輪12の外周部とがそれぞれ断面V字状であるため、パネル21の揺動を有効に抑制できる。
【0043】
この例では、前記車輪12の外周部の頂部(断面V字状の鋭角な頂部)は、前記断面V字状の走行路の谷部(鋭角な最下部)よりも前記レールの側部内壁側に位置させている。このような形態では、ランナー11の走行に伴って、車輪12がレールの断面V字状の傾斜走行路に対して外方向に押しつけられた状態で走行するため、パネル21の揺動をさらに有効に抑制できる。なお、車輪12がベアリング又は軸受を備えているため、上記の押し付け形態で車輪12が走行しても、ランナー11を円滑に走行できる。
【0044】
なお、前記1つのランナー11の回転軸部材15を前記1つのパネル21に取り付けることにより、1つの開閉構造を形成しており、図示する例では、複数のランナー11の回転軸部材15を、複数のパネル21にそれぞれ取り付け、隣接する複数のパネル21で所定の空間を開閉可能に仕切る開閉構造を形成している。
【0045】
前記レール1とパネル21との遊離間隔(レール1に対するパネル21の高さ方向の間隔)を調整してパネル21の高さ位置を揃えるため、ランナー11の回転軸部材(又はボルト)15には、高さ調整部材が装着可能である。この例では、取付部材としての前記回転軸部材15には、前記パネル21の上端部に取り付け可能なネジ部(又はボルトのネジ部)16が形成され、前記高さ調整部材は、前記ネジ部16に螺合可能な2つの螺合部材(2つのナット17a,17b;ダブルナットで形成された螺合締結部材)を備えている。具体的には、高さ調整部材は、前記ネジ部16のうち、前記ランナー11の支持部側に螺合して位置する第1の螺合部材(ナット)17aと、パネル21側に螺合して位置する第2の螺合部材(ナット)17bとを備えており、この第2の螺合部材(ナット)は、座金(バネ座金)19を介して、前記パネル21の上端面に取り付け可能な取付プレート26に当接又は接触可能なフランジ部18を備えている。このような高さ調整部材では、第1の螺合部材17aの螺合に伴う進退動(長さ調整動)と、第2の螺合部材17bの螺合に伴うロック作用とを利用して、前記レールに対して前記パネル21の高さ(又は前記レールと前記パネル21との間隔)を調整可能であり、前記レールに対して前記複数のパネル21を水平方向に維持しつつ、前記レールに対するパネル21の遊離間隔を維持できる。
【0046】
前記パネル21は、樹脂又はプラスチックで透明パネルとして形成されている。そのため、開閉空間を前記パネル21で閉じた状態でも広々とした開放感を与えることができる。前記パネル21の上部(上端部)には、前記ランナー11の取付部材としての前記回転軸部材15が取り付け可能な上部取り付け枠部22aが形成され、前記パネル21の下部(下端部)には、全長に亘り第1のマグネット部材35aが長手方向(又は移動方向)に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部22bが形成されている。
【0047】
図3及び図4に示されるように、上部取り付け枠部22aは、長手方向(又は移動方向)の延びる長尺の枠本体部(この例では、断面中空の四角枠状の枠本体部)23aと、この枠本体部の一方の側部から下方に延びて、前記パネル21の上端部が取り付け可能な取付壁部(この例では、断面中空の長細四角枠状の取付壁部)24aとを備えており、前記枠本体部23aの上部には、開口部よりも奥部の幅が大きなアリ溝状(この例では、枠本体部23aの両側壁が枠本体部23aの上面から突出し、かつ内方にL字状に屈曲した形態)の装着凹部(又は装着溝)25aが形成されている。この装着凹部の長手方向(又は移動方向)のうち中心部には、前記装着凹部(又は装着溝)25aを摺動可能な前記取付プレート(取付部材としての軸部材15を位置決めして取り付けるための位置決め部材)26が配置され、この取付プレートは、長手方向(又は移動方向)の中央部の隆起部27に形成され、前記回転軸部材15としての前記ボルトのネジ部16が螺合可能な螺合孔(ネジ孔部)27aと、この螺合孔に隣接する両側部で長手方向に延びて形成された長孔部28aとを備えており、枠本体部23aの上部壁には、前記螺合孔(ネジ孔部)27a及び長孔部28aに対応して、孔部27b及び小孔部28bが形成されている。前記長孔部28aを利用して、前記取付プレート26の位置を調整しつつ、ビス29を前記小孔部28bに螺合させることにより、枠本体部23aの上部壁に前記取付プレート26が取り付け可能である。
【0048】
前記パネル21の上端部の両面には、長尺の緩衝材(クッション材又はパッキン)30a,30bが配置され、前記取付壁部24aに対して、外側の緩衝材(又はパッキン)30bを押えプレート31aで押圧又は挟圧した状態で、ネジ部材(ボルト)32a及びナット32b(M6六角ボルト及びナットなど)で締結して圧着している。なお、ネジ部材(ボルト)32a及びナット32bで締結するため、ネジ部材(ボルト)及びナットに対応する部材(前記押えプレート31a、緩衝材(又はパッキン)30a,30b、パネル21及び取付壁部24a)には貫通孔が形成されている。また、美観を高めるため、露出するボルト32aの頭部及びナット32bの露出端部には、キャップ又はカバー33a,33bが装着されている。さらには、前記取り付け枠部22aの両端部には、前記枠本体部23a及び取付壁部24aに対応した形状のキャップ34が装着可能である。
【0049】
図6及び図7に示されるように、前記下部取り付け枠部22bは、前記上部取り付け枠部22aと同じ部材で、前記上部取り付け枠部22aと類似の配置形態で形成されている。具体的には、下部取り付け枠部22bでは、上記枠本体部23aに対応する枠本体部23bが下方に位置し、上記取付壁部24aに対応する取付壁部24bが、前記枠本体部23bの一方の側部からL字状の形態で上方に延びている。前記下部取り付け枠部22bは、パネル21の下部(下端部)に配置され、ランナー11の回転軸部材15が取り付けられていない点、下部に位置する枠本体部23bの下部壁に形成されたアリ溝状の装着凹部25bには、前記取付プレート(位置決め部材)26に代えて、第1のマグネット部材35aが装着可能である点を除き、前記上部取り付け枠部22aでの取付構造と同様に、前記パネル21の下端部を緩衝材(又はパッキン)30a,30bで挟持した状態で、押えプレート31bで前記パネル21の下端部を取付壁部24bに圧着している。
【0050】
そして、前記パネル21の下部取り付け枠部22b(又は前記レール1)に対応して、床部の仕切路(開閉路)には長尺な敷設部材36が取り付けられ、この敷設部材には、前記パネル21の下部取り付け枠部22bの第1のマグネット部材35aに対向して、第2のマグネット部材35bが装着されている。さらに、前記第1のマグネット部材35aと第2のマグネット部材35bとは、非接触状態で(所定の高さ間隔をおいて)、互いに反対の磁極を向けて配設されている。この例では、第1のマグネット部材35aと第2のマグネット部材35bとは、約3~10mmの高さ間隔をおいて配設されている。なお、前記敷設部材36は、アリ溝状(開口部よりも奥部が幅広の形状)の断面形状を有しており、このアリ溝状の装着凹部25bに第2のマグネット部材35bが装着されている。
【0051】
なお、前記パネル21の両側端部(又は側縁部)には、縦方向に沿って透明な保護材37が装着され、複数の透明パネル21が整列した状態での透視性を高めるとともに、前記パネル21の両側端部の鋭角部に対する接触を防止している。
【0052】
なお、取付部材としての回転軸部材15を中心として前記パネル21が周方向に回転又は回動可能であることを利用して、複数のパネル21のうち、少なくとも一方の側部に位置するパネル21は、出入り口(又は入出路)を形成してもよい。すなわち、少なくとも前記レール1と前記上部取り付け枠部22aとの間には、リンク部材(ガイドバー)41aが回動自在に軸支され、出入り口(又は入出路)を形成してもよい。
【0053】
例えば、図8に示されるように、前記レール1の一方の端部に形成された第1の軸部(枢軸部)42aと、前記上部取り付け枠部22aの枠本体部23aの上部(上端部)のアリ溝状の装着凹部25に形成された第2の軸部(枢軸部)42bとには、第1のリンク部材(ガイドバー)41aが回動自在に軸支され;前記床部(又は敷設部材36)のうち前記レール1の軸部(枢軸部)42aに対応する部位に形成された第3の軸部(枢軸部)43aと、前記下部取り付け枠部22bの枠本体部23bの下部(下端部)のアリ溝状の装着凹部25のうち、前記第2の軸部(枢軸部)42bに対応する部位に形成された第4の軸部(枢軸部)43bとにも、第2のリンク部材(ガイドバー)41bが回動自在に軸支されている。なお、第2及び第4の軸部(枢軸部)42b,43bは、パネル21の前記上部及び下部取り付け枠部22a,22bの枠本体部23a,23bの長手方向(又は移動方向)の中心部(回転軸部材15が取り付けられた部位)から一方の側部側に偏倚した(又は偏った)箇所に形成されている。
【0054】
このような出入り口(又は入出路)構造では、1つのランナー11の回転軸部材15でパネル21が支承又は軸支され、かつ前記レール1とパネル21の上部取り付け枠部22aとの間、並びに床部とパネル21の下部取り付け枠部22bとの間に、第1及び第2のリンク部材41a,41bが回動可能に軸支されているため、前記パネル21の回動に伴って開閉可能な出入り口(又は入出路)を簡便な構造で形成できる。
【0055】
なお、図9に示されるように、前記パネル21の下部は、位置決め固定機構(又は部材)により位置決め固定(仮固定)可能であってもよい。すなわち、位置決め固定機構は、前記敷設部材に隣接する前記床部のうち、前記パネル21に対応する箇所(例えば、前記パネル21の幅方向(長手又は移動方向)の両側部に対応する箇所)に設けられ(又は埋設され)、上向きに孔部が開口した孔部材45と、前記パネル21(下部取り付け枠22b)に取り付けられ、前記孔部材45の孔部に落とし込み可能な棒状位置決め部材46とを備えている。この棒状位置決め部材は、取付部50を介して、下部取り付け枠22bに対して取り付けられた中空円筒状の筒体47と、この筒体の中空部に、付勢部材49で上方に付勢されて、摺動自在に配設され、前記筒体の所定の高さ位置で係止可能な棒状体48とを備えている。具体的には、前記中空円筒状の筒体47は、下端部を余して筒体47の上端部から軸方向にスリット状に延びるガイド部(ガイドスロット)47aと、このガイド部の所定の高さ位置から周方向に延びる係止部(係止スロット;例えば、位置決めスロット)47bとを備えており、前記棒状体48は、側部から延びて、前記係止部(係止スロット)に係止可能な係止レバー部48aとを備えている。
【0056】
そのため、前記筒体47のガイド部(ガイドスロット)47aに沿って係止レバー部48aを下降させて前記棒状体48を前記孔部材45の孔部に落とし込み、周方向に回して前記係止部(係止スロット;位置決めスロット)47bに係止することにより、前記パネル21の下部を位置決め固定してパネル21が揺動するのを抑制できる。また、係止を解除し、前記ガイド部(ガイドスロット)47aに沿って係止レバー部48aを上昇させることにより、前記パネル21の下部を前記床部から遊離状態(非固定状態)とすることができる。
【0057】
なお、必要により、中空円筒状の筒体47の軸方向に間隔をおいて、複数の係止部(係止スロット)を形成し、下方又は下部の前記係止部に対する係止レバー部48aの係止を解除(位置決め固定を解除)した後、上方又は上部の前記係止部に係止レバー部48aを係止させ位置決め固定を解除してもよい。
【0058】
このような部材のセットで形成された間仕切構造(開閉構造)では、前記レール1の走行路と、前記車輪12の外周部とをそれぞれ断面V字状に形成しているため、パネル21の揺動を有効に抑制できる。特に、1つのランナー11の回転軸部材15にパネル21を取り付けているため、走行に伴ってパネル21が揺動(横揺れ)しやすいにもかかわらず、パネル21の下端部と床部の仕切路(開閉路)とに、前記一対のマグネット部材35a,35bが、所定の間隔をおいて、反対の磁極を向けて配設されているため、パネル21の揺動をさらに有効に抑制できる。しかも、パネル21を周方向に回転又は回動させて、パネル21を前記仕切路(開閉路)に沿って整列させることができ、閉じ空間を形成できる。さらに、複数のパネル21を、それぞれ、必要により、前記仕切路(開閉路)に対して交差する方向に回転又は回動させて折り畳んだ状態(折り重ねた状態)にして、移動させることができ、開放空間を形成できる。
【0059】
図10及び図11は、本発明の他の例のレール及びランナーの態様を示している。図10及び図11において、レール51は、縦方向にプレート状に延びるレール本体52と、このレール本体の下端部及び上端部から両側方向に延び、かつランナー61の車輪62が走行可能な断面U字状の一対の走行路54とを備えている。前記一対の走行路54を走行可能なランナー61は、断面U字状の外周部を有し、前記走行路54を走行可能な二対の車輪(走行方向の前後部にそれぞれ位置する一対の車輪)62と、この一対の車輪の車軸部62aを、ベアリング又は軸受を介して、前記車輪62に隣接する部位で回転可能に支持し、前記車軸部からU字状/コ字状の形態で延びる支持部63と、この支持部の平坦な底部に形成した装着孔と、この装着孔に対して、下方への抜け止め状態で回転可能に装着され、ボルトで形成された回転軸部材65とを備えており、この回転軸部材には、前記と同様に、間仕切部材としての前記パネル21の上部壁又は上部取り付け枠部、若しくは前記取付プレート(図示せず)に対して螺合により取り付け可能な取付部(ネジ部)66が形成されている。なお、この例でも、ベアリング又は軸受は軸受装着部67に装着されている。また、前記と同様に、前記ネジ部には、ダブルナット17a,17bで形成された高さ調整部材が装着又は螺合可能である。
【0060】
このような走行形態でも、間仕切部材としての前記パネル21を移動させても、断面U字状の一対の走行路54と断面U字状の外周部を有する車輪62とで、間仕切部材としての前記パネル21の揺動を抑制できるとともに、前記と同様に、一対のマグネット部材の磁気的吸引力を利用して、前記パネル21の揺動を抑制できる。
【0061】
図12は、他の出入り口の機構を説明するための概略斜視図であり、この例でも、リンク部材を利用している。
【0062】
図12に示されるように、複数の間仕切部材で形成される間仕切部材列のうち、少なくとも一方の側部に位置する前記間仕切部材(移動端に位置する前記間仕切部材)21と対向する側壁部(又は柱部)などに隣接して軸支部材(側壁立設部材など)71を形成し、レール1の第1の軸部(枢軸部)42aではなく、この軸支部材(立設部材など)の第1の軸部(枢軸部)72aに対して前記第1のリンク部材41aの一方の端部を回動自在に軸支し、上部取り付け枠部22aの枠本体部23aの第2の軸部(枢軸部)42bに前記第1のリンク部材41aの他方の端部を回動自在に軸支してもよい。なお、この例では、前記軸支部材(側壁立設部材など)71には、間仕切部材21の回動を規制可能であり、間仕切部材21の側縁部を遮蔽可能な回動規制壁(又は遮蔽壁)71aが形成されている。また、前記床部(又は敷設部材36)の第3の軸部(枢軸部)と間仕切部材の下部(例えば、前記下部取り付け枠部22b)とには、第2のリンク部材(ガイドバー)が軸支されていない。
【0063】
図13図15は、さらに他の出入り口構造を示す概略斜視図であり、前記間仕切部材(パネル21)が移動可能なメインレール(前記間仕切部材21で開閉空間を開閉するためのメインレール)73bと、このレールに対して直交する方向に交差する交差レール73aとは、それぞれ、前記レール(メインレール)1と同様な構造を有しており、メインレール73bの開口端部が、交差レール73aの側壁で塞がれた形態で、メインレール73bと交差レール73aとが配設されており、前記交差レール73aの開口端部には、第1のランナー81aの脱落を防止するため、キャップ(図示せず)が装着されている。前記交差レール73aとメインレール73bとには、間仕切部材21の上端部の長手又は移動方向の異なる部位に回転軸部材85a,85bが取り付けられた状態で、第1及び第2のランナー81a,81bがそれぞれ走行可能に配設されている。
【0064】
すなわち、出入り口(又は入出路)を形成する間仕切部材21の上部取り付け枠部22aの枠本体部23aの上端部のうち前記交差レール73a側に位置する端部と、前記間仕切部材21の長手又は移動方向の中央部(又は重心部)とには、それぞれ、前記と同様の第1及び第2のランナー81a,81bの回転軸部材85a,85bのネジ部86a,86bが回動自在に取り付けられている。なお、前記のように、前記回転軸部材85a,85bは第1及び第2のランナー81a,81bの支持部83a,83bに対して回動又は回転可能である。また、前記間仕切部材21の中央部(又は重心部)には、前記取付プレート26を介して、第2のランナー81bの回転軸部材85bのネジ部86bが螺合され、ダブルナット(締結部材)87bで高さ調整されている。
【0065】
一方、前記間仕切部材21の端部には、間仕切部材21の長手又は移動方向に対して直交する方向に延びる取付金具88が取り付けられ、この取付金具の延出端部には、第1のランナー81aの回転軸部材85aのネジ部86aが螺合され、ダブルナット(締結部材)87aで高さ調整されている。すなわち、第1のランナー81aの支持部83aに対して回動又は回転可能な回転軸部材85aは、交差レール73aの軸線から変位して取付金具88の延出端部に取り付けられている。
【0066】
そして、第1のランナー81aの車輪82aは、前記交差レール73aに走行可能に装着され、第2のランナー81bの車輪82bは、前記メインレール73bに走行可能に装着されている。そのため、出入り口を形成する間仕切部材21を回動(間仕切部材21の側部などを押圧又は牽引して回動)させることにより、前記メインレール73bに沿って第2のランナー81bが交差部に近づく方向又は遠ざかる方向に移動するとともに、前記交差レール73aに沿って第1のランナー81aが交差部から遠ざかる方向又は近づく方向に移動し、出入り口(又は入出路)が形成可能である。
【0067】
本発明の間仕切構造(開閉構造)は、種々の態様で構築できる。
【0068】
例えば、レール及びランナーの構造は、レールに沿ってランナーが走行可能であればよく、図16及び17に示されるように、レール201は、下部開口の断面コ字状の形態を有し、上部壁と、この上部壁の両側部から対向して延びる両側壁202と、この両側壁202から、高さ位置を異にして、それぞれ内方に延び、先端部が互いに離れて形成された二対の対向延出壁204とを備えており、この二対の対向延出壁204は、両側壁202の下部から延びて、スリット状開口部203を形成する第1の対向延出壁(下部延出壁)204aと、この第1の対向延出壁204aよりも上方に位置する第2の対向延出壁(上部延出壁)204bとを備えている。第1及び第2の対向延出壁204の上面は、それぞれ、内方(延出方向)に向かって下方に傾斜した傾斜面として形成され、この傾斜面の高さ位置は、第1及び第2の対向延出壁204において、互い違いに形成されている。すなわち、第1の対向延出壁(下部延出壁)204aにおいて、一方の延出壁204cの傾斜面の高さ位置は、他方の延出壁204dの傾斜面よりも高く形成され、第2の対向延出壁(上部延出壁)204bにおいて、一方の延出壁204eの傾斜面の高さ位置は、他方の延出壁204fの傾斜面よりも低く形成されている。そのため、前記第1の対向延出壁の一方の延出壁204c、及び第2の対向延出壁の他方の延出壁204fをランナー211の回転部材と接触可能な走行壁として形成でき、前記第1の対向延出壁の他方の延出壁204d、及び第2の対向延出壁の一方の延出壁204eは、回転部材と非接触状態でランナー211が走行可能であり、ランナー211の過度な傾斜を規制する規制壁として機能させることができる。このように、第1の走行壁204a及び第2の走行壁204bは、両側壁202の内部壁において、互いに高さ方向の異なる位置から互い違いに延出して形成されている。
【0069】
前記第1の走行壁204a及び第2の走行壁204bと両側壁202の内壁部とのコーナー部には、ランナー211の回転部材が走行路(傾斜面)から過度に位置ずれ(走行ずれ)するのを規制するため、内方に突出して規制壁部(規制段部)207,208,209が形成されている。
【0070】
さらに、連結ピン(図示せず)で互いに連結して延長可能とするため、前記レール201の4つのコーナー部には、開口部が狭まった断面円弧状(又は断面C字状)の接続溝210a,210b,210c,210dが形成されている。さらには、上部壁と両側壁202とのコーナー部の外壁には、レール201を所定部位に取り付けるためのブラケットに対して嵌合又は装着可能な断面コ字状の取り付け溝205a,205bが形成されている。
【0071】
一方、ランナー211は、前記レール201の前記下部開口部(スリット状開口部)203に沿ってスライド自在な断面円形状の軸部材215と、この軸部材215の軸方向(図示する例では、縦方向)に所定間隔をおいて、レール201の走行壁204a,204bの走行路(接触面)と接触して前記軸部材215の周方向(図示する例では横方向又は水平方向)に独立して回転自在に装着又は取り付けられた一対の車輪部212とを備えており、この車輪部212は、前記軸部材215に装着され、周方向に回転可能なボールベアリング(第1のボールベアリング及び第2のボールベアリング)(図示せず)と、走行音を低減するため、各ボールベアリングの外輪を被覆する樹脂層又は樹脂部(図示せず)を備えている。すなわち、前記軸部材215は、車輪部212に対して回転可能な回転軸部材215を形成し、各車輪部は前記走行壁204a,204bの傾斜面と接触して、前記軸部材215の周方向に回転しながら、レール201に沿って走行可能である。このように、一対の車輪部212が、回転軸部材215の縦方向(軸方向)に対して、横方向(周方向又は水平方向)に回転又は回動可能であるため、湾曲又は屈曲(例えば、直角に屈曲)したレール(又はレールの湾曲又は屈曲部)であっても、脱輪することなく円滑に走行することができる。
【0072】
この例では、2つのランナーの回転軸部材215が、それぞれ、前記と同様に、取付プレート226などを利用して、所定間隔をおいて、上部枠体(取付枠部)222aの枠本体部223aに形成されたアリ溝状の装着凹部(又は装着溝)225aに取り付け可能である。このようなランナーの回転軸部材215には、前記と同様に、前記レール201とパネル221との遊離間隔を調整するため、前記ネジ部に螺合可能な2つの螺合部材(2つのナット)217a,217bが螺合可能である。
【0073】
また、前記と同様に、上部取り付け枠部222aの取付壁部224aには、パネル221の上端部が取り付け可能であり、下部枠体222bの取付壁部224bには、パネル221の下端部が取り付け可能である。すなわち、前記と同様に、前記パネル221の上端部及び下端部の両面には、長尺の緩衝材(クッション材又はパッキン)230a,230bが配置され、前記取付壁部224a,224bに対して、外側の緩衝材(又はパッキン)230bを押えプレート231aで押圧又は挟圧した状態で、ネジ部材(ボルト)232a及びナット232bで締結して圧着している。
【0074】
なお、前記パネル221の両側端部(又は側縁部)には、透明な保護材237が装着され、この保護材には、側部フレーム238が装着され、間仕切部材(パネル221)の反りを有効に抑制している。
【0075】
そして、前記パネル221の下部取り付け枠部222b(又は前記レール201)に対応して、床部の仕切路(開閉路)には長尺な敷設部材236が取り付けられ、前記パネル221の下部取り付け枠部222bに装着された第1のマグネット部材235aと、前記敷設部材236に装着された第2のマグネット部材235bとが互いに対向している。
【0076】
図16~20に示されるように、前記押えプレート231a、上部及び下部取り付け枠部222a,222bの両側部には、外観性を向上させるため、一対の枠体カバー301を取り付け又は装着可能である。すなわち、上部及び下部取り付け枠部222a,222bの枠本体部223a,223bの側壁には、ブッシュを備えた取り付けビス(ブッシュ付きビス)302が螺着可能であり、このブッシュ付きビス302は、枠本体部223a,223bの両側壁に沿って装着された一対の枠体カバー301を係止又は保持可能である。図17及び20に示されるように、前記枠体カバー301は、上下枠体(取付枠部)222a,222bの取付壁部224a,224b又は前記パネル221の押えプレート231aに係止可能な湾曲部303と、この湾曲部303から延びる側壁部304と、この側壁部304の途中部の内壁から延び、かつ前記枠本体部の側壁と接触可能な屈曲壁を備えた中間壁部305と、前記側壁部304の端部から屈曲し、前記枠本体部の側壁と接触可能な屈曲部306とを備えており、前記湾曲部303の内壁と、中間壁部305とには、互いに対向して開口した断面円弧状のネジ孔部307を有する連結部が延出して形成され、前記中間壁部305と屈曲部306とには、前記枠体カバーの装着状態で、前記ブッシュ付きビスのブッシュに係合可能な係合延出部308が形成されている。さらに、前記屈曲部306には、開口部の幅が狭まったアリ溝状装着溝309が形成されており、このアリ溝状装着溝309には、ランナーを遮蔽して外観をよくするための遮蔽部材(この例では、ブラシ状の遮蔽部材)310が装着可能である。
【0077】
このような間仕切構造(開閉構造)では、例えば、図21に示されるように、規制壁部(例えば、支柱部などの固定壁部)461には、立設枠体(中空取付枠部)462が立設した状態で取り付け可能である。前記立設枠体462は、長手方向に延び、前記規制壁部461に対して取付け可能な取付壁465を備えた長尺の断面コ字状の枠本体463と、この枠本体463の一方の側部から前記パネル221の移動方向に延びる延出壁部468と、前記枠本体463の開口部に隣接する内壁から互いに対向して延出(又は突出)した形態で形成され、前記内壁を含めて断面コ字状の挟着凹部壁464aを有する一対の挟着壁464とを備えており、前記挟着凹部壁464aの開口先端部は、互いに近づく方向に屈曲して開口幅が狭まる先端屈曲部を形成している。
【0078】
なお、前記延出壁部468は、前記パネル221の前記上部枠体(中空取付枠部)222aを案内可能なガイド壁468として機能させることができる。また、前記延出壁部(前記ガイド壁)468は、前記規制壁部461とこの規制壁部461に隣接するパネル221の側縁との隙間をカバーでき、前記パネル221の側部の揺れを抑制できるとともに美観を向上できる。
【0079】
また、前記一対の挟着凹部壁464aには、スライド式にゴム製クッション部材483が装着されている。すなわち、このクッション部材483は、断面半円状又は三日月状の中空部を有するクッション本体部484と、このクッション本体部の両端部から延出し、前記一対の挟着壁464に装着可能な装着延出部485とを備えている。この例では、クッション部材483は、幅方向に延びる平坦部484aと、この平坦部の両側部(装着延出部)485を余して、前記平坦部から遊離して湾曲して膨出する弧状部484bとを備え、クッション性を高めるため、前記平坦部と弧状部との間に前記中空部が形成されている。
【0080】
図18~20に示されるように、前記下部枠体222bの両端部には、装着キャップ401が装着されている。この装着キャップ401は、下部枠体の両端開口部に装着可能な装着部404を備えた一対の第1のキャップ部材402と、第1のキャップ部材402の両側部に隣接して前記枠体カバー301の開口部に装着可能な一対の第2のキャップ部材403とを備えている。
【0081】
前記一対の第1のキャップ部材402のうち、前記下部枠体の一方の端部に装着可能な一方の第1のキャップ部材402aは、前記枠本体部223b及び取付壁部224bに対応して装着可能なキャップ本体405と、このキャップ本体405の両側部のうち、前記枠本体部223bに対応し、他方の第1のキャップ部材402bとの対向部側の両側部から、前記枠本体部223bに対する装着方向に舌片状に延び、ビス407で前記第1のキャップ部材402aを前記枠本体部223bに固定するためのキャップ固定部408と、他方の第1のキャップ部材402bとの対向部(フロント壁)に形成され、マグネット受け(鉄などの強磁性体プレート、マグネットキャッチなど)410aを配設してビスで固定可能な収容凹部406aとを備えている。前記キャップ本体405と前記キャップ固定部408との間には、前記枠本体部223bの側壁が挿入又は装着可能な切欠き部が形成されている。そのため、前記枠本体部223bの側壁を前記切欠き部に挿入又は装着した状態で、前記枠本体部223bの側壁と第1のキャップ部材402aとを、前記キャップ固定部408の孔部を利用してビス407で一体に締結固定可能である。
【0082】
なお、キャップ固定部408の側壁には、前記枠本体部223b及び取付壁部224bに対して第1のキャップ部材402が過度に侵入するのを規制するための凸状規制部409が形成されている。
【0083】
前記下部枠体の他方の端部に装着可能な他方の第1のキャップ部材402bは、前記一方の第1のキャップ部材402aに対して、概略左右対称の構造を有しており、一方の第1のキャップ部材402aとの対向部に、前記一方の第1のキャップ部材402aの収容凹部406aの内壁に装着可能な矩形枠状壁406bが形成され、この矩形枠状壁406b内には、前記マグネット受け410aと磁気的に作用するマグネット(磁石)410bが配設され、ビスで固定可能である。そのため、間仕切り部材の下部枠体の対向部を、前記収容凹部406aに矩形枠状壁406bを収容した状態で磁気的に吸着でき、隣接する間仕切り部材を整列できる。
【0084】
前記一対の第2のキャップ部材403は、前記枠体カバー301の開口部に対応した形態を有しており、前記枠体カバー301の前記湾曲部303の内壁及び中間壁部305から延出する連結部のネジ孔部307に対応して形成されたネジ孔部421と、前記枠体カバー301の屈曲部306に対応して形成されたアリ溝状装着溝422とを備えている。そのため、第1のキャップ部材402を前記枠本体部223b及び取付壁部224bに装着し、この第1のキャップ部材402の両側部に隣接して、第2のキャップ部材403を前記枠カバー301の開口部に装着し、前記枠体カバーの連結部のネジ孔部307と、第2のキャップ部材403のネジ孔部421とを利用して、ビス423で螺合することにより枠体カバー301と第2のキャップ部材403とを締結できる。
【0085】
また、前記装着キャップ401は、図16及び18に示されるように、前記下部取り付け枠部222bの両端部と同様に、前記上部取り付け枠部222aの両端部にも対応する形状で装着されている。
【0086】
このような間仕切構造(開閉構造)では、1枚の間仕切部材(パネル)に、2つのランナー(回転軸部材)を取り付けても、前記のように、間仕切部材が移動可能なメインレールと交差レールとを利用して出入り口を形成できる。また、このような間仕切構造(開閉構造)では、少なくとも1つの交差レールを利用して出入口を形成でき、間仕切部材が移動可能なメインレールと交差レールに加え、間仕切部材を誘導して収納するための誘導レールを利用して、出入口及び収納部を形成してもよい。すなわち、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する2つの交差レール(メインレールから同じ側方に分岐した形態で直交する方向に延びる第1及び第2の交差レール)と、前記メインレールと平行に、所定間隔をおいて2つの交差レールを連結する誘導レールとを備えていてもよい。前記メインレール、前記交差レール及び誘導レール(前記交差レール及び誘導レールをまとめて案内レールともいう)の走行路は、互いに連絡してループ状の走行路を形成してもよい。前記間仕切部材の長手又は移動方向の異なる部位に取り付けられた2つのランナーを、前記案内レールに走行可能に装着し、出入り口(又は出入り口構造)及び収納部(又は収納構造)を形成してもよい。
【0087】
図22は、別の出入り口又は収納構造を示す概略斜視図であり、図23は、この出入り口又は収納構造の概略図である。この例では、移動方向に所定間隔をおいて2つのランナーの回転軸部材が取り付けられた前記間仕切部材(パネル)521a,521bが移動可能なメインレール(前記間仕切部材521a,521bで開閉空間を開閉するためのメインレール)573bと、このレールに対して直交する方向に交差する2つの交差レール(図示する例で、所定間隔をおいて、メインレールから一方の側方に延びる2つの交差レール)573a,573cと、2つの交差レールを、前記メインレールと平行に所定間隔をあけて連結する誘導レール573dとを備えている。前記2つの交差レールは、複数の間仕切部材のうち、前記メインレールの端部側(出入り口側)に位置する第1の間仕切部材521aに取り付けられた2つのランナーのうち先頭の第1のランナー581aが、前記メインレール573bを経て案内可能な第1の交差レール(第1の間仕切部材で出入り口を形成可能な第1の交差レール)573aと、前記第1の間仕切部材521aに後続する少なくとも1つの第2の間仕切部材521bの先頭の第1のランナー591aが、前記メインレール573bを経て案内可能な第2の交差レール(後続する第2の間仕切部材を収容するために利用可能な第2の交差レール)573cとで形成されている。2つの交差レール573a,573c、及び前記誘導レール573dは、それぞれ、前記レール(メインレール)573bと同様な構造を有している。各レールの走行壁は、矩形状(又は閉じたループ状)に周回可能な形態で互いに連絡しており、前記間仕切部材(パネル)521a,521bを収納可能な収納部593を形成している。
【0088】
より詳細には、この例では、出入り口(又は入出路)を形成する第1の間仕切部材521aの上部取り付け枠部222aの枠本体部223aの上端部のうち、前記交差レール573a側に位置する端部と、この第1の間仕切部材521aの長手又は移動方向の中央部(又は重心部)とには、それぞれ、前記と同様の第1及び第2のランナー581a,581bの回転軸部材のネジ部(図示せず)が回動自在に取り付けられている。一方、開閉空間をする形成する第2の間仕切部材521bでは、前記第2の間仕切部材521bの上部取り付け枠部222aの枠本体部223aの上端部のうち両端部に、それぞれ、前記と同様の第1及び第2のランナー591a,591bの回転軸部材のネジ部(図示せず)が回動自在に取り付けられている。前記第2の間仕切部材521bでは、前記第1及び第2のランナー591a,591bは、メインレール573b及び誘導レール573dを同時に走行可能な間隔で(前記第1及び第2のランナー591a,591bが交差レール573a,573cと略同じ長さの間隔をおいて)取り付けられている。
【0089】
すなわち、このような開閉構造では、第1の間仕切部材521aの先頭の(第1の)ランナー581aが、メインレール573bと第1の交差レール573aとの交差部に向かって前進動して、前記メインレール573bを経て第1の交差レール573aを走行し、連動して後続の(第2の)ランナー581bが前記メインレール573bに沿って走行可能であり、前記第1の間仕切部材521aが、周方向(図23の例では、時計回り方向)に方向転換(又は回動)して開く。この例では、出入り口の開状態において、第1の間仕切部材521aが立設枠体462のガイド壁468に接触可能である。一方、開いた状態の第1の間仕切部材521aの後続の(第2の)ランナー581bが、後退動して、前記メインレール573bに沿って出入り口を閉じる方向に走行し、前記第1のランナー581aが第1の交差レール573aを経て前記メインレール573bを走行すると、前記第1の間仕切部材521aが、周方向(図23の例では、反時計回りの方向)に方向転換(又は回動)して出入り口を閉じ、出入り口(又は入出路)を形成できる。
【0090】
なお、図22に示されるように、第1の間仕切部材の下部枠体223bには、前記第1の間仕切部材の移動方向において、上部枠体223aの第2のランナー581bに対応する位置に、ピポット594が装着されており、床部の仕切路(開閉路)に取り付けられる長尺な敷設部材(又は敷設部材の装着凹部)236と作用して、開閉操作において、第1の間仕切部材が斜めを向くことなく、前記第1の交差レール573aに沿って安定して開き状態を維持している。
【0091】
また、出入り口が開いた状態(出入り口の前記第1の間仕切部材521aが開いた状態)で、前記第1の間仕切部材521aに後続する1又は複数の前記第2の間仕切部材521bの先頭の第1のランナー591aを、前記メインレール573bを経て第2の交差レール573cに案内し、後続する第2のランナー591bをメインレール573bに沿って案内し、第2の間仕切部材521bを、整列した状態で安定して収納部に収納可能することもできる。
【0092】
すなわち、前記第1の間仕切部材521aが開いた状態で、前記第2の間仕切部材521bの先頭の第1のランナー591aがメインレール573bを経て第2の交差レール573cを走行すると、連動して後続の第2のランナー591bが前記メインレール573bに沿って走行し、さらに第1の交差レール573aの方向に前進動すると、先頭の第1のランナー591aが、前記誘導レール573dに沿って案内(又は走行)され、かつ後続の第2のランナー591bが、前記メインレール573bに沿って案内(又は走行)される。そのため、第2の間仕切部材521bは、前記誘導レール573dと前記メインレール573bとを跨いだ状態(第2の間仕切部材521bが第1又は第2の交差レール573a,573cと平行に配された状態)で前記第1の交差レール573aの方向に前進動可能であり、前記第1の間仕切部材521aに隣接して配設でき、少なくとも1つの第2の間仕切部材を収納部593に整列して収納可能である。
【0093】
一方、出入口を形成する第1の間仕切部材521a、並びに前記収納部593に収納されている1又は複数の前記第2の間仕切部材521bを後退動させることにより、開閉空間の閉じ状態を形成できる。
【0094】
前記収納部を形成する2つの交差レールの長さは、前記間仕切部材(第2の間仕切部材)の両端部に取り付けられた2つのランナーの間隔と概ね同じ長さに設定されている。また、前記収納部を形成する前記誘導レールの長さは、前記第2の間仕切部材を収納状態から、開閉空間の閉じ状態に移行する際(後退動させる際)に、前記第2の間仕切部材の第2のランナーが、メインレールの両端部のうち、前記収納部が形成されている端部の方向(図23の例では、左方向)に戻るのを規制するため、前記第2の間仕切部材の2つのランナーの間隔よりも短く設定されている。
【0095】
このような開閉構造では、ランナーの車輪が、縦方向(垂直方向)の回転軸部材に対して、水平方向に車輪が回転するため、レールが屈曲(直角に屈曲)又は湾曲していても、又は、レールの屈曲(直角に屈曲)又は湾曲部であっても、円滑に走行でき、スペースが限られた小さな空間であっても、スムーズに間仕切部材の開閉又は収納が可能である。また、間仕切部材には、複数(例えば、2つ)のランナーが取り付けられており、複数(例えば、2つ)のランナーで間仕切部材を支持するため、前記間仕切部材が揺動(横揺れ)することなく、安定して配設又は収納できる。
【0096】
[移動機構]
移動機構は、間仕切部材を移動させて、空間を仕切可能であればよく、通常、間仕切部材を左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動可能である。このような移動機構は特に制限されず、例えば、(A)走行機構(車輪移動機構)及び/又は(B)上下動機構を備えていてもよい。間仕切部材は手動で移動させてもよい。
【0097】
前記(A)走行機構(車輪移動機構)は、レール(又は軌道)と、このレールに沿って走行可能なランナーとを備えていてもよく、このランナーには、前記間仕切部材が取り付け可能であってもよい。なお、前記(A)走行機構(車輪移動機構)において、レールを横方向に配設し、ランナーの走行により、間仕切部材を左右方向に移動させてもよく、一対のレールを縦方向に配設し、ランナーの走行により、間仕切部材を一対のレール間で上下方向に移動させてもよい。
【0098】
前記(B)上下動機構は、前記間仕切空間の上部に位置し、前記間仕切部材を少なくとも上昇及び下降可能(上下方向に移動可能)であってもよい。このような上下動機構は、間仕切部材を昇降動させる昇降動機構(リフト機構)などであってもよく、上下動機構(及び昇降動機構)は、前記間仕切部材を巻回(巻き取り)及び巻き戻し(繰り出し)て昇降動可能な巻取機構などであってもよい。なお、上記のように、前記(B)上下動機構は、縦方向に配設可能な一対のレールと、一対のレール間で上下方向に走行又は移動可能な少なくとも一対のランナーとを備えていてもよく、前記間仕切部材の両端部を一対のランナーに接続又は連結して上下方向に移動させてもよい。また、前記(B)上下動機構は、単一の間仕切部材を上下動させてもよく、複数の間仕切部材が隣接した状態で上下動させてもよく、複数の間仕切部材の各間仕切部材を複数の(B)上下動機構でそれぞれ上下動させてもよい。前記(B)上下動機構は、重ね合わせた状態(積層状態)又は巻取状態の前記間仕切部材を収納可能な収納部を備えていてもよい。
【0099】
なお、移動機構は、前記間仕切部材を、左右方向及び上下方向の双方の方向に移動可能であってもよい。例えば、前記(B)上下動機構と水平移動機構とを組み合わせ、前記間仕切部材を左右方向及び上下方向に移動させてもよい。水平移動機構は、例えば、スライドレール(前記レールを含む)と、このスライドレールに沿ってスライド可能であり、前記(B)上下動機構が取り付け可能なスライド部材(前記(B)上下動機構が回転及び/又は揺動可能に取り付けられたランナー、前記(B)上下動機構が固定可能なスライド部材)とを備えていてもよく、伸縮動機構又は進退動機構は、牽引動であってもよく、シリンダー、カム、ベルト、チェイン、リンク、歯車、ラック・ピニオンなどを備えた往復動機構又は直線運動機構などであってもよい。
【0100】
好ましい移動機構は、レール(又は軌道)とランナーとを備えた走行機構、特に、1又は複数の間仕切部材(特に、複数の間仕切部材)を左右方向に移動可能な走行機構である。
【0101】
[レール]
なお、レールの構造は特に限定されず、ランナーが走行可能な走行路を備えていればよく、1つの走行路を備えていてもよいが、好ましくは少なくとも一対の走行路を備えていてもよい。レールは、例えば、(i)中空筒状のレール本体と、このレール本体の長手方向に延びるスリット状開口部と、この開口部の両側部に形成され、ランナーの車輪が走行可能な走行路(一対の走行路)とを備えた形態のレールであってもよく;(ii)中空筒状のレール本体と、このレール本体の下部で長手方向に延びるスリット状開口部と、レール本体の両側内壁から、高さ位置を異にして互い違いに内方に延出し、延出方向に向かって下方に傾斜した少なくとも一対の走行路とを備えたレールであってもよく;(iii)縦方向にプレート状(板状又は支持壁状)に延びるレール本体と、このレール本体の少なくとも下端部(好ましくは下端部及び上端部)から両側方向に延びてランナーの車輪が走行可能な走行路(一対の走行路)とを備えていてもよい。前記レール(ii)において、少なくとも上下一対の走行路を、高さ位置を異にして互い違いに形成すればよく、2~4程度の走行路を、高さ位置を異にして互い違いに形成してもよい。
【0102】
レールの走行路は、ランナーの車輪が走行可能であればよく、必ずしも断面V字状である必要はなく、断面U字状であってもよく、傾斜又は平坦状などであってもよく、隆起していてもよい。また、レールの走行路は、高さ位置を異にして互い違いに、レールの両側壁の内壁から内方に延び、延出方向に向かって上方又は下方に傾斜した傾斜面(傾斜壁)で形成してもよい。好ましい走行路は、ランナー及び間仕切部材の揺動を抑制可能な形態、例えば、断面U字状、断面V字状の走行路、高さ位置を異にして互い違いに、レールの両側壁の内壁から内方に延び、延出方向に向かって下方に傾斜した傾斜壁で形成される走行路、特に断面V字状の走行路、高さ位置を異にして互い違いに、レールの両側壁の内壁から内方に延び、延出方向に向かって下方に傾斜した傾斜壁で形成される走行路を有している。
【0103】
なお、必要であれば、ランナーが走行可能である限り、レールは湾曲又は屈曲していてもよく、メインレールからサブレールが分岐した分岐レール(又は交差レール若しくは案内レール)、例えば、直角に分岐したレールであってもよい。レールは、好ましくは直線状に又は湾曲(例えば、緩やかに湾曲)して延びており、特に、直線状に延びている。
【0104】
必ずしも必要ではないが、複数の間仕切部材は、重ね合わせた状態又は折り重ねた状態で収納部に収納してもよい。すなわち、前記レール(又は開閉空間を間仕切部材で開閉させるためのメインレール)の長手方向(又は移動方向)の少なくとも一方の端部には、複数の間仕切部材を折り重ねた状態で収納可能な収納部に前記ランナーを案内又は誘導するための案内レールを(L字状、コ字状、矩形又は方形状などの形態で分岐して)接続してもよい。例えば、この案内レールは、前記メインレールの長手方向(又は移動方向)の端部において、前記メインレールの軸方向又は長手方向に対して交差又は直交する方向に分岐して延びる交差レールと、この交差レールから前記メインレールの軸方向又は長手方向(又は移動方向)に沿って延び(又は前記メインレールと平行に延び)、前記収納部に至る誘導レール又は収納レールとを備えていてもよい。なお、前記2つの交差レールと前記誘導レール(又は収納レール)とをまとめて「案内レール」と称する場合がある。前記メインレールと前記案内レール又は交差レールとの交差部、並びに前記交差レールと誘導レール(収納レール)との交差部は、ランナーを円滑に走行させるため、湾曲していてもよい。また、前記交差部があってもランナーを円滑に走行させるため、ランナーは、走行方向に間隔をおいて複数対の車輪(好ましくは二対~五対の車輪、特に、二対又は三対、或いは三対又は四対の車輪)を備えていてもよい。
【0105】
このような案内レールを有する開閉構造は、間仕切部材に少なくとも1つ(1又は複数(例えば、2つ))のランナーを取り付けた開閉構造で有用であり;間仕切部材に1つのランナーを取り付けた開閉構造では、複数の間仕切部材を回転又は回動させて(レールに対して交差又は直交する方向に回転又は回動させて)折り重ねた状態でメインレール1の端部に移行できるため、必ずしも収納部を形成しなくてもよい。また、間仕切部材に複数(例えば、2つ)のランナーを取り付けた開閉構造では、複数(例えば、2つ)のランナーで間仕切部材を懸垂しつつ、収納部に収納してもよい。
【0106】
なお、間仕切部材が少なくとも左右方向に移動する態様において、レールは間仕切空間の上部に位置すればよく、レールは天井壁に直接的に取り付けてもよく、吊り下げ部材などのブラケットを利用して、天井壁から離れて間接的に取り付けてもよい。また、前記レールは、間仕切空間を形成する側壁部に取り付け可能なブラケットを利用して、前記側壁部から離れて取り付けてもよい。ブラケットの構造は、特に制限されず、種々のブラケットが利用できる。
【0107】
[ランナー]
ランナーの構造は、レールの形態に応じて選択でき、レールの走行路を走行可能な車輪を有していればよく、レールの走行路を走行可能な1つの車輪を有していてもよいが、好ましくは前記レールの一対の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪を有しており、複数対の車輪(例えば、二対~五対の車輪、好ましくは二対~四対の車輪、特に、二対又は三対、或いは三対又は四対の車輪)を有していてもよい。
【0108】
車輪(例えば、前記形態(i)(iii)のレールにおいて、縦方向に回転可能な車輪)の外周部は必ずしも断面V字状である必要はなく、断面U字状であってもよく、平坦状などであってもよい。好ましい車輪は、間仕切部材の揺動を抑制可能な形態、例えば、断面U字状、断面V字状の外周部、特に断面V字状の外周部を有していてもよい。さらに、車輪の少なくとも外周部は金属で形成してもよいが、レールの走行路との接触で生じる走行騒音を抑制するため、車輪のうち、少なくとも外周部は、樹脂又はプラスチック(例えば、ポリアセタール樹脂)などで形成してもよい。
【0109】
なお、レールの走行路に対応して断面U字状、断面V字状の外周部を有する車輪において、前記車輪の外周部の頂部は、前記走行路の谷部に位置していてもよく、前記走行路の谷部よりも前記レールの側部内壁側に位置して走行可能であってもよい。このような車輪は、レールの走行路からの蛇行を規制できるとともに、レールの走行路に対して車輪が外方向に押圧された状態となるため、間仕切部材の揺動を有効に防止できる。
【0110】
また、複数対の車輪(例えば、二対~五対の車輪)を備えたランナーでは、全ての車輪が走行路に接触していてもよいが、複数対の車輪のうち、一部の車輪が走行路と非接触状態となるように形成すると、車輪と走行路との間の摩擦を低減するとともに、「遊び」を利用して、ランナーの走行性を向上できる。
【0111】
なお、支持部の形態は特に制限されず、ランナーの構造に応じて、車輪の車軸部を回転可能に支持できればよく、一対の車輪が車軸部で連結された形態のランナーでは、前記支持部は、例えば、前記車軸部の中央部(一対の車輪の間に位置する車軸部)を支持可能な車軸支持部と、この車軸支持部からU字状又はコ字状の形態で分岐して下方に延び、かつ底部に、ランナーの取付部材(回転軸部材などを含む軸部材)が装着可能な装着孔が形成された装着部とを備えていてもよい。このような支持部を備えたランナーは前記形態(i)のレールに適している。
【0112】
また、一対の車輪から車軸部がそれぞれ側部外方向に延びた形態のランナーでは、前記支持部は、例えば、各車輪の側部に位置する車軸部をU字状又はコ字状の形態で支持する車軸支持部を備えていてもよく、この車軸支持部の底部に前記装着孔を形成してもよい。このような支持部を備えたランナーは前記形態(iii)のレールに適している。
【0113】
前記形態(ii)のレールのスリット状開口部に、縦方向に配設された回転軸部材に対して横方向(周方向)に回転可能な車輪を備えたランナーでは、前記回転軸部材を支持部及び車軸部とみなすこともできる。このランナーでは、レール本体の両側内壁から、高さ位置を異にして互い違いに内方に延出する走行壁(走行路)に対応して、回転軸部材の軸方向に間隔をおいて少なくとも2つの車輪が回転軸部材に回転可能に装着可能である。
【0114】
なお、2以上の車輪、例えば、複数対の車輪(例えば、二対~五対の車輪)を有するランナーでは、各車軸支持部(前記形態(ii)のレールに適したランナーでは回転軸部材)を合流一体化又は連結させて1つの車軸支持部として形成してもよい。
【0115】
前記支持部は、金属で形成してもよく、樹脂又はプラスチックなどで形成してもよい。ベアリング(軸受)は必ずしも必要ではないが、ランナーの走行性及び静音性の点からは、ランナーはベアリング(軸受)を備えているのが好ましい。
【0116】
ランナーは、前記間仕切部材に対して取り付け可能な取付部材(又は取付部、吊り下げ部)を備えており、前記取付部材は、必ずしも装着孔に回転自在に装着された回転軸部材である必要はなく、前記ランナーの支持部から取付部材(吊り下げ部若しくは取付部)が延出し、この取付部材の取付部に間仕切部材を取り付けてもよい。例えば、前記装着孔に回転が規制された形態で取付部材を取り付け(例えば、螺合溝が形成された装着孔に、取付部材としてのボルトのネジ部を螺合させ)、若しくは装着孔を形成することなく、支持部のうち前記装着孔に対応する部位から延出した形態で取付部材(又は取付部)を形成し;この取付部材の取付部に間仕切部材を取り付けてもよい。好ましい態様では、前記形態(i)(iii)のレールに適した(I)ランナーの支持部には、前記間仕切部材に対して取り付け可能な取付部材が形成され、若しくは(II)前記支持部に形成された装着孔と、この装着孔に対して回転可能に装着され、かつ前記間仕切部材に対して取り付け可能な回転部材(回転軸部材など)とを備えている。また、他の好ましい態様では、前記形態(ii)のレールに適したランナーは、高さ位置を異にして互い違いに形成された少なくとも2つの走行路(例えば、一対の走行路)を走行可能な少なくとも2つの車輪(例えば、一対の車輪)と、これらの車輪を回転可能に支持する回転軸部材と、この回転軸部材に形成され、前記間仕切部材に対して取り付け可能な取付部材とを備えていてもよい。
【0117】
好ましい態様では、ランナーは取付部材として前記回転軸部材(回転部材)を備えている。このような1つの回転軸部材を利用すると、間仕切部材を周方向に回転又は回動させて、空間の閉じ状態では、間仕切部材を前記仕切路(開閉路)に沿って整列させ、空間の開放状態では、間仕切部材を前記仕切路(開閉路)に対して交差する方向に配向させることができる。特に、複数の間仕切部材を前記仕切路(開閉路)に沿って整列させることができるとともに、複数の間仕切部材をそれぞれ前記仕切路(開閉路)に対して交差する方向に配向させて折り畳んだ状態(折り重ねた状態)にして移動させることができる。また、複数の回転軸部材(例えば、2つの回転軸部材)を間仕切部材に取り付けると、間仕切部材を前記仕切路(開閉路)に沿って安定して移動させて複数の間仕切部材を整列でき、出入口及び収納部において、屈曲又は湾曲した走行路でも円滑に移動でき、出入口を円滑に開閉できるとともに、複数の間仕切部材を収納部に折り畳んだ状態(折り重ねた状態)で収納できる。
【0118】
例えば、前記形態(i)のレールにおいて、好ましいランナーは、(ia)前記レールの一対の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪(一対の車輪;走行方向に対して間隔をおいて設けられた前記前後一対の車輪などの複数対の車輪)と、この一対の車輪の車軸部を回転可能に支持する支持部と、この支持部に形成された装着孔(複数対の車輪に対する支持部では、複数対の車輪の間(好ましくは中心部又は重心部)に位置する部位に形成された装着孔)と、この装着孔に対して、下方への抜け止め状態で回転可能に装着され、かつ前記間仕切部材(パネルなど)に対して取り付け可能な回転軸部材(間仕切部材(パネルなど)に対する取付部を有する回転軸部材)とを備えていてもよい。
【0119】
前記形態(ii)のレールにおいて、好ましいランナーは、(iia)前記レールの開口部(スリット状開口部)に沿ってスライド自在な軸部材と、この軸部材の軸方向に間隔をおいて周方向に独立して回転可能に装着され、前記レールの両側内壁から、高さ位置を異にして互い違いに延出する少なくとも2つの走行路(又は少なくとも一対の走行路)を走行可能な少なくとも2つの車輪(又は少なくとも一対の車輪)とを備えていてもよく、前記軸部材が前記間仕切部材(パネルなど)に対して取り付け可能な回転軸部材を形成してもよい。
【0120】
前記形態(iii)のレールにおいて、好ましいランナーは、(iiia)前記走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪と、この一対の車輪の車軸部を、前記車輪に隣接する部位で回転可能に支持し、前記車軸部からU字状/コ字状の形態で延びる支持部と、この支持部の底部(平坦な底部など)に形成した装着孔と、この装着孔に対して、下方への抜け止め状態で回転可能に装着された回転軸部材と、この回転軸部材に形成され、かつ間仕切部材(パネルなど)に対して取り付け可能な取付部とを備えていてもよい。
【0121】
なお、間仕切部材が円滑に開閉可能であれば、高さ調整部材は、必ずしも必要ではないが、高さ調整部材をランナーの取付部材(軸部材、回転軸部材)に装着することにより、前記レールに対して複数の間仕切部材の高さ位置を調整又は揃えた状態で間仕切部材により所定の空間を開閉できる。前記高さ調整部材は、レールに対するパネルの高さ(レール又はランナーの支持部からの長さ)が調整可能であればよく、2つの螺合部材(ナット)に限らず、取付部材(例えば、回転軸部材などの軸部材)の構造に応じて選択でき、例えば、取付部材(例えば、回転軸部材)の軸方向に所定間隔をおいて係止凹部/凸部を形成し、高さ調整部材を、この係止凹部/凸部に対して係止可能な係止部を有する筒体(取付部材が装着可能な中空筒体など)で形成してもよく、この係止部は筒体の半径方向に出没可能であってもよい。好ましい高さ調整部材は、高さ位置を連続的に調整するため、ネジ機構を利用するのが好ましく、ランナーの取付部材(軸部材、回転軸部材)のネジ部に対して螺合可能な少なくとも1つの螺合部材、特に2つのナットで形成された螺合締結部材(ダブルナット)を備えていてもよい。なお、第2の螺合部材(ナット)のフランジ部18は必ずしも必要ではない。また、取付プレート26に当接又は接触可能な座金19も必ずしも必要ではない。
【0122】
前記のように、1つの間仕切部材には少なくとも1つのランナー(前記ランナーの軸部材などの取付部材)を取り付ければよく、間仕切部材の幅(又は間仕切部材の上端部の長さ)などに応じて、複数のランナー、例えば、2~10のランナー、好ましくは2~5、さらに好ましくは2~3のランナーを取り付けてもよい。好ましい態様では、1つの間仕切部材(例えば、間仕切部材の上端部の長さ方向の中央部又は重心部)には1又は複数のランナーの取付部材(前記ランナーの1又は複数の軸部材、特に回転軸部材)を取り付けてもよく、下記のように、1つの間仕切部材に2つのランナーの取付部材(軸部材、特に回転軸部材)を取り付けて出入り口構造(又は収納構造)を形成してもよい。
【0123】
[間仕切部材]
間仕切部材は、前記パネルに限らず、板状体、シート(フィルム又はシート、メッシュ状又はネット状などの網状体又はネットなど)であってもよく;布帛(織布(カーテンなど)、不織布など)、樹脂含浸布帛、樹脂又はプラスチック、木材、ガラス、金属などで形成してもよい。好ましい間仕切部材は、シート及び/又はパネルであってもよく;用途に応じて、布帛、プラスチック、ガラスなどで形成してもよい。間仕切部材は、プラスチック(プラスチック製)のパネル又はシート、ガラス(ガラス製)のパネル又はシートが好適に使用される。
【0124】
前記間仕切部材の形態は、隣接して開閉空間を開閉可能であればよく、菱形状などであってもよいが、通常、方形状又は矩形状である。また、シート、パネルなどの間仕切部材は、光エネルギー、熱(温度)エネルギー、電気エネルギーなどの外部(外的)エネルギーにより、光学特性(透明性、色相及び/又は色彩)、電気的特性、熱的特性などが変化可能な機能層を備えていてもよく、機能層は、光電変換層、発光層(発光ダイオード層など)、配向層、偏光層、反射防止層(又はアンチグレア層)、発熱層、感温層、放熱層、防火層、透湿層、防湿層、防塵層、防かび層、抗菌層、抗ウィルス層などであってもよい。間仕切部材は、このような機能層を備えた積層体(例えば、抗菌性フィルムと樹脂層との積層体)で形成してもよい。すなわち、前記間仕切部材は、機能性部材であってもよく、例えば、光電変換フィルム、調光又は光シャッターフィルム、偏光フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、発光フィルム(有機発光ダイオードなどの発光層が形成されたフィルム)、発熱フィルム、感温又は感温液晶フィルム、放熱フィルム、防火フィルム、透湿フィルム、防湿フィルム、防塵フィルム、防かびフィルム、抗菌フィルム、抗ウィルスフィルムなどの機能性フィルム又はシートを備えていてもよい。このような機能性フィルム又はシートは単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。前記間仕切部材は、前記機能性部材又は前記機能性フィルム(例えば、発光フィルム、偏光フィルム、反射防止フィルムなど)を備えたディスプレーパネルなどであってもよい。
【0125】
前記間仕切部材は、透明、半透明又は不透明であってもよく、無彩色(白色、灰色又は黒色)又は有彩色であってもよい。好ましい前記間仕切部材は、透明又は不透明であってもよい。前記のように、透明な間仕切部材は、開閉空間を閉じた状態でも広々とした開放感を与えることができ(開放空間を形成でき)、不透明な間仕切部材は、開閉空間を閉じた状態でプライベート空間を形成できる。前記白色の間仕切部材は、投影スクリーンなどとして利用してもよい。
【0126】
間仕切部材は、剛性を有していてもよく、可撓性又は柔軟性を有していてもよく;移動機構として、前記巻取機構を採用する場合、間仕切部材は、巻取及び巻き戻し可能であってもよい。巻取及び巻き戻し可能な間仕切部材は、フィルム又はシートの形態を有していてもよく;前記保護材が剛性であるとき、間仕切部材の側縁又は側部の前記保護材(例えば、透明な保護材)や前記側部フレームは必ずしも必要ではない。
【0127】
前記間仕切部材は、少なくとも縦方向に延びて間仕切空間又は開閉空間を仕切(間仕切)可能であればよく、間仕切空間又は開閉空間の大きさ及び形態に応じて、少なくとも1つ(1又は複数)の間仕切部材を備えていればよく、隣接する複数の間仕切部材を備えていてもよい。すなわち、移動規制部に対して移動又はスライド可能な少なくとも1つの間仕切部材をそなえていてもよく、互いに相対的に離反又は近接する方向へ移動又はスライド可能な複数の間仕切部材を備えていてもよい。例えば、壁部や柱部などの規制壁部に隣接して小さな空間を開閉する場合には、1つの間仕切部材を備えていてもよい。好ましい態様では、複数の前記間仕切部材は、移動に伴って、互いに隣接して配列又は整列可能であってもよく、特に、前記仕切路に沿って配列又は整列可能であってもよい。
【0128】
さらに、前記(A)走行機構(車輪移動機構)において、開閉空間を開閉するため、間仕切部材は、ランナーを介して、レールに沿って開閉可能な1つの間仕切部材(開閉シートなど)で開閉してもよく、前記の例のように、ランナーを介して、レールに沿って移動可能な複数の間仕切部材(パネルなど)で開閉してもよい。好ましい間仕切構造(開閉構造)は、レール(例えば、横方向に配設されたレール)に沿って走行可能な複数のランナーと、これらのランナーに隣接して取り付け可能な複数の間仕切部材(例えば、間仕切空間の閉じ状態で互いに隣接可能な複数の間仕切部材)とを備えていてもよく;前記のように、各間仕切部材は、1又は複数(例えば、2つ)の前記ランナーに回動可能に取り付け可能であってもよい。
【0129】
また、間仕切部材(パネルなど)は全周縁部に枠部材(フレーム)を備えていてもよいが、間仕切部材(パネルなど)の全周縁部には枠体(又は枠部材)がなくてもよい。好ましい態様では、間仕切部材の進行方向に対して直交する方向の端部(例えば、少なくとも上下部)に枠体(又は枠部材)が取り付け可能である。例えば、左右方向に移動する間仕切部材の上部には、ランナーの取付部材(回転軸部材などの軸部材)の取付部を取り付けるための上部被取付部又は上部取付枠が形成され、間仕切部材の下部には、磁気的に吸引可能な一対の磁性部材のうち、一方の磁性部材、例えば、第1のマグネット部材などの磁性部材を取り付けるための下部被取付部又は下部取付枠を形成してもよい。特に、保形性(形状保持性)に乏しい間仕切部材、例えば、薄肉の間仕切部材及び/又は柔軟な間仕切部材(シートやフィルム状などの形態の間仕切部材);並びに取付部材(回転軸部材などの軸部材)を強固に取り付ける間仕切部材では、間仕切部材の進行方向に対して直交する方向の端部(例えば、少なくとも上下部)に被取付部又は枠体(取付枠部)を形成するのが好ましい。
【0130】
前記間仕切部材に対する枠体(取付枠部)の形態は、特に制限されず、間仕切部材の端部(少なくとも上下部端部)に棒状又は板状の枠部材を取り付けてもよく;この枠部材は、間仕切部材の端部(例えば、両端部)を挟着可能な挟着部材であってもよく;前記枠部材及び挟着部材は、間仕切部材を装着又は挿入可能な断面コ字状の形態を有していてもよい。前記枠体(取付枠)において、押え板は必ずしも必要ではなく、例えば、フランジ付きボルト、ワッシャなどの緩衝作用を有する締結部材で枠体(取付枠部)を締結してもよい。また、間仕切部材と枠部材との間には必ずしも緩衝材(クッション材又はパッキン)は必要ではないが、プラスチック、ガラスなどで形成された間仕切部材では、間仕切部材と枠部材との間に緩衝材を介在させるのが好ましい。
【0131】
間仕切部材(パネルなど)の上下部の被取付部又は取付枠は、互いに同じ部材を用いて形成する必要はない。例えば、間仕切部材(パネルなど)の上部(上部取り付け枠部など)には必ずしも装着凹部は必要ではない。また、上部取付枠部において、取付プレートは必ずしも必要ではなく、取付プレートを摺動自在又は位置決め可能に装着する必要もない。上部取付枠部に対して、ランナーの取付部材(又は取付部)は、位置決め部材としての取付プレートを介して取り付ける必要はないが、上部取付枠部(上部取付枠部の装着凹部など)の長手方向に摺動又はスライド可能であり、かつ所定位置で位置決め可能な位置決め部材(前記取付プレートなど)を利用すると、前記取付枠部の長手方向の適切な箇所、例えば、1つの回転軸部材を長手方向の中心部(吊り下げ重心部)、2つの回転軸部材を長手方向の所定箇所に位置決めしつつ、ランナーの取付部材を取り付けることができる。
【0132】
なお、上部取り付け枠の枠本体部の上部壁には、前記ネジ孔部に対応する孔部(ネジ部が螺合に伴って進退動する孔部)を必ずしも形成する必要はない。例えば、前記取付プレートの隆起部に代えて、前記取付プレートから突出させて、前記ランナーの回転軸部材のネジ部が螺合可能な螺合孔(ネジ孔)を有する筒状体(内ネジ筒体)を形成すると、上部取り付け枠の枠本体部の上部壁に、前記ネジ孔部に対応する孔部を形成しなくても、前記回転軸部材のネジ部が螺合可能である。
【0133】
前記押えプレート、上部及び下部取り付け枠部の両側部において、前記枠部をカバーするための枠体カバー(一対の枠体カバー)は必ずしも必要ではなく、前記のように、ブッシュを備えた取り付けビス(ブッシュ付きビス)を介して上記枠部に係止又は保持可能に装着する必要もない。また、枠体カバー(一対の枠体カバー)は前記枠部(上下枠体)に装着可能であればよく、枠体カバー(一対の枠体カバー)と前記枠部(上下枠体)とが係合部で互いに係合可能であってもよい。そのため、枠体カバーの内壁には、必ずしも前記ブッシュ付きビスのブッシュを形成する必要はなく、前記ブッシュ付きビスに代えて、凸状係合部を形成してもよく、前記ブッシュ付きビスのブッシュに係合可能な係合延出部を必ずしも形成する必要はなく、また、係合延出部の形状も特に制限されず、前記ブッシュ付きビスのブッシュなどの係合部と係合可能であってもよい。例えば、上部及び下部取り付け枠部の両側部に枠体カバー(一対の枠体カバー)を配し、ビスなどの螺合部材で上下取り付け枠部に取り付けてもよく;上下取り付け枠部の両側部に枠体カバー(一対の枠体カバー)を配し、ビスなどの螺合部材が貫通した形態で、前記枠体カバー(一対の枠体カバー)を上部及び下部取り付け枠部の両側部に装着又は締結してもよい。この態様では、必要により、前記枠体カバーには、前記螺合部材が貫通可能な孔部(ネジ孔部など)を形成してもよい。前記枠体カバーの形状も、上下取り付け枠部の両側部に取り付け可能である限り特に制限されず、例えば、前記枠体カバーは、断面コ字状の中空長尺の枠カバー、すなわち、上下枠体(取付枠部)の取付壁部又は前記パネルの押えプレートに係止可能な係止壁部と、この係止壁部から垂直方向に延びる側壁部と、この側壁部の端部から水平方向に延び、前記枠本体部の側壁と接触可能な接触壁部とを備えていてもよい。
【0134】
また、前記枠体カバーの前記屈曲部のアリ溝状装着溝には、必ずしもランナーを遮蔽するための遮蔽部材を装着する必要はないが、ランナーを遮蔽して、外観をよくするため、遮蔽部材を装着するのが好ましい。前記遮蔽部材の形状もブラシ状に限られず、プレート状、シート状などであってもよい。さらに、前記遮蔽部材は、上部取り付け枠部の両側部にのみ装着してもよく、下部取り付け枠部の両側部にのみ装着してもよく、上部及び下部取り付け枠部の両側部に装着してもよい。
【0135】
さらに、上部及び下部取り付け枠部をカバーする枠体カバーの両端部には、装着キャップ(第2のキャップ部材)を装着する必要はなく、下部取り付け枠部の両端部には装着キャップ(第1及び第2のキャップ部材)を装着する必要はないが、これらの装着キャップ(第1及び第2のキャップ部材)を利用すると、上下取り付け枠部並びに枠体カバーの端部による人的又は物的損傷を抑制できるとともに、美観を向上できる。なお、好ましい態様では、前記上枠部及び下枠部並びに枠体カバーの両端部にそれぞれ装着可能な装着部材(キャップ)とを備えている。第1及び第2のキャップ部材において、アリ溝状装着溝は必ずしも必要ではなく、上枠部に対する第2のキャップ部材は装着部材(キャップ本体)と一体に形成してもよく、下枠部に対する第1及び第2のキャップ部材は単一の装着キャップで形成してもよい。
【0136】
さらに、間仕切部材の下端部(下部)には必ずしも下部取り付け枠部(下枠部)は必要ではなく、間仕切部材の下端部(下部)のうち少なくとも一方の端部に、下枠部を形成又は取り付けてもよいが、好ましい態様では、間仕切部材の下端部(下部)に沿って下枠部を取り付けてもよい。
【0137】
さらに、間仕切部材(パネルなど)の隣接端部などの前記対向部(隣接端面など)には、必要であれば、間仕切部材の対向部(又は側端部)を磁気的吸着力で閉止するため、互いに磁気的に吸着可能な一対の磁性部材を配設又は取り付けてもよい。例えば、下枠部のうち前記対向部(例えば、装着部材(キャップ)の前記対向部)には、互いに磁気的に吸着可能な一対の磁性部材を配設又は取り付けてもよい。この一対の磁性部材は、前記第1のキャップ部材での磁気的吸着機構と同じく、マグネットと強磁性体(鉄板、ステンレスなど強磁性部材)との組み合わせ、マグネット同士の組み合わせであってもよく、マグネット同士の磁性部材の組み合わせでは、N極とS極とを対向させて配設してもよい。例えば、隣接する間仕切部材の対向端部(又は側端部)には、マグネット部材、特に反対の磁極を向けてマグネット部材を取り付けてもよい。
【0138】
[ランナーの取付部材と間仕切部材との取付構造]
前記(A)走行機構(車輪移動機構)において、ランナーの取付部材と間仕切部材との取付構造は、前記間仕切部材の上端面に形成されたネジ孔(被取付部)に対する回転軸部材のネジ部(取付部材の取付部)の螺合機構に制限されず、係合機構、挟着機構、嵌合機構などの種々の取付機構が採用できる。例えば、間仕切部材の上部又は上端面に、被取付部(取り付け孔;係合凸部、係合凹部などの被係合部など)を形成し又は被取付部材(S字状、鈎状、U字状フック部材などの被係合部材又はフック部材、リング部材など)を取り付け、前記ランナーの前記支持部に、前記被取付部又は被取付部材に対して取り付け可能な取付部材(フック部材などの係合部材、挟着部材、嵌合部材など)を形成又は取り付けてもよい。また、前記被取付部又は被取付部材は、間仕切部材の前記取付プレートに形成又は取り付けてもよい。前記被取付部材は、間仕切部材に揺動可能及び/又は回転可能に取り付けてもよい。なお、ランナーの取付部材の取付部(回転軸部材のネジ部)を前記間仕切部材の上端部の被取付部(ネジ孔など)に直接的に強固に連結(螺合)すると、間仕切部材の揺動を抑制するのに有利であるが、前記取付部材は、前記ランナーの支持部(又は回転軸部材)に対して揺動可能及び/又は回転可能に取り付けてもよい。
【0139】
なお、1つの間仕切部材に、複数(例えば、2つ)のランナーの前記回転軸部材を取り付けた形態では、間仕切部材が走行過程で回動するのを抑制できるという利点がある一方、出入口(又は入出路)や収納部での間仕切部材の方向転換が規制されやすい。このような開閉構造であっても、縦方向に延びる回転軸部材に、車輪部が横方向に回転可能に装着されたランナーを利用すると、1つの間仕切部材に、複数(例えば、2つ)のランナーの前記回転軸部材を取り付けても、間仕切部材の回動及び/又は横揺れを抑制しつつ、出入口や収納部での屈曲又は湾曲走行路でも円滑に走行できるという利点がある。
【0140】
隣接する間仕切部材の側部(又は側縁)には保護材を必ずしも装着する必要はないが、間仕切部材の側縁を保護するため、保護材を装着してもよい。また、保護材に装着される側部フレームも必ずしも装着する必要はないが、間仕切部材の反りを抑制するため、側部フレームを装着してもよい。保護材及び側部フレームは、透明である必要はなく、間仕切部材の用途などに応じて、半透明、不透明であってもよく、有彩色に着色していてもよい。また、保護材及び側部フレームは、間仕切部材の側縁を有効に保護するため、弾性又はクッション性を有する部材で形成してもよい。間仕切部材と保護材と側部フレームとは異なる光透過性(有彩色、無彩色を問わず、透明、半透明又は不透明な光学特性)を有していてもよいが、好ましい態様では、間仕切部材と保護材と側部フレームとを視覚的に同一視するため、保護材及び側部フレームは、間仕切部材と同様な前記光透過性(光学特性)を有していてもよい。
【0141】
複数の間仕切部材(パネルなど)のうち、適所、例えば、長手方向の中央部、一方の側部などに位置する間仕切部材(パネルなど)は、回動又は回転可能な出入り口(又は入出路)を形成してもよい。好ましい態様では、出入り口(又は入出路)は、複数の間仕切部材の列(パネル列など)のうち少なくとも一方の側部又は移動端(例えば、間仕切空間又は開閉空間を区画する複数のパネル列のうち、間仕切空間又は開閉空間を形成する側壁部又は柱部に近い側部又は側壁部又は柱部に隣接する側部)に位置する少なくとも1つの間仕切部材(パネルなど)(好ましくは1又は2つのパネル、特に、前記側壁部又は柱部に隣接する1つのパネル)で形成できる。
【0142】
1つの間仕切部材に1つのランナーの取付部材を回転又は回動可能に取り付けると、当該間仕切部材を回転又は回動可能な扉(ドア)として機能させることができ、出入り口(又は入出路)を容易に形成できる。このような出入り口(又は入出路)は、前記のように、リンク部材を、床部と、前記所定の間仕切部材の下部(例えば、前記下部取り付け枠部)との間に回動自在に軸支して形成してもよいが、少なくとも上部(レール及び間仕切部材の上部)にリンク部材を回動自在に取り付けるのが好ましい。
【0143】
前記リンク部材は、前記間仕切空間又は開閉空間を間仕切可能な前記複数の間仕切部材と、複数の間仕切部材の列(パネル列など)の適所に配設(位置決めして配設)された軸支部材(又は立設部材など)(前記の例では、レール(第1の軸部(枢軸部)))とに対して回動自在に軸支してもよい。例えば、複数の間仕切部材で形成される間仕切部材列のうち、例えば、長手方向の中央部、少なくとも一方の側部などに位置する間仕切部材に隣接して軸支部材(側壁立設部材など)を形成し、この軸支部材(立設部材など)に対して前記リンク部材を回動自在に軸支してもよい。具体的には、少なくとも前記レール又は前記軸支部材と、複数の間仕切部材のうち、所定の間仕切部材の少なくとも上部(例えば、前記上部取り付け枠部)とに、リンク部材を回動自在に軸支することにより出入り口(又は入出路)を形成するのが好ましい。
【0144】
このように、出入り口(又は入出路)は、(1)少なくとも前記レールと、複数の間仕切部材のうち、所定の間仕切部材(出入り口を形成する間仕切部材)の少なくとも上部とに、リンク部材を回動自在に軸支させて形成してもよい。
【0145】
さらに、出入り口は、前記リンク部材を利用することなく、(2)間仕切部材に2つのランナーを取り付け、間仕切部材が移動可能なメインレールと交差レール又は案内レールとを利用して形成してもよい。すなわち、前記間仕切部材が移動可能なメインレールと、このレールに対して交差する交差レールとを備え、この交差レールに隣接する所定の間仕切部材の長手又は移動方向の異なる部位に、それぞれ、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材を回動自在に取り付け、第1のランナーの車輪を前記交差レールに走行可能に装着し、第2のランナーの車輪を前記メインレールに走行可能に装着して、出入り口(又は出入り口構造)を形成してもよく;第1及び第2の前記ランナーの車輪が、前記メインレール及び前記交差レールを自由に走行又は往来して、出入り口(又は出入り口構造)を形成してもよい。この出入り口構造では、交差レールを走行するランナーの回転軸部材を交差レールの軸線よりもメインレール側に変位した位置に取り付けてもよい。
【0146】
なお、このような出入り口(又は入出路)構造において、第1及び第2の前記ランナーの回転軸部材は、所定の間仕切部材(交差レールに隣接する間仕切部材)の中央域と端部とに限らず、前記間仕切部材の長手又は移動方向の異なる部位に取り付ければよい。
【0147】
前記の例では、第1及び第2のランナーは、前記第1の間仕切部材には、前記間仕切部材の上部取り付け枠部の枠本体部の上端部のうちの長手方向の一方の端部と、前記上端部の長手又は移動方向の中央域(又は重心部)若しくはそれよりも他方の端部側に取り付けられ、前記第2の間仕切部材では、前記間仕切部材の上部取り付け枠部の枠本体部の上端部のうちの長手方向の両端部に取り付けられていたが、必ずしも、第2の間仕切部材の2つのランナーの間隔が、第1の間仕切部材の2つのランナーの間隔より大きい必要はなく、第2の間仕切部材の2つのランナーの間隔が、第1の間仕切部材の2つのランナーの間隔より小さくてもよく、前記第1及び第2の間仕切部材の第1及び第2のランナーは、同じ間隔をあけて(又は同じ位置に)取り付けられていてもよい。
【0148】
交差レールの配設方向は、前記態様に限らず、メインレールに対して交差して配設すればよく、交差部を中心としてメインレールに対して近づく方向に又は遠ざかる方向に延びていてもよい。好ましい態様では、交差レールはメインレールに対して直交する方向に配設してもよい。メインレールと交差レールとは、交差部でランナーの車輪が相互に移行して走行可能であってもよく、出入り口(入出路)を円滑に開閉するためには、前記交差部でのランナーの車輪の移行を規制してもよい。例えば、前記のように、メインレールの開口端部に、交差レールの側壁を位置させた形態、交差レールの開口端部にメインレールの側壁を位置させた形態で一方のレールの開口部を他方のレールの側壁で塞ぎ、ランナーの車輪の移行を規制してもよい。なお、出入り口(入出路)の開状態で、第1の間仕切部材は立設部材のガイド壁と接触する必要はなく、交差レールに沿って開状態の出入り口(入出路)を形成してもよい。そのような形態では、立設部材にガイド壁を形成する必要もない。
【0149】
また、出入口は、メインレールと、少なくとも1つの交差レール(又は案内レール)とで形成でき、複数(例えば、2つ)の交差レールを連結する誘導レール(又は案内レール)を利用すると、前記間仕切部材を収納可能な収納部を形成できる。前記誘導レールは、必ずしも必要ではなく、例えば、1又は2つのランナーを備えた第1の間仕切部材をメインレール及び交差レール(第1の交差レール)を利用して前記間仕切部材の周方向に方向転換させて出入口を開口し、1つのランナーを備えた第2の間仕切部材を、回動機構を利用して前記レール及び仕切路に沿って整列させてもよい。前記誘導レールを配設して、前記間仕切部材を収納可能な収納部を形成すると、第2の間仕切部材を、複数のランナーを利用して揺動(横揺れ)を抑制しつつ、安定に懸垂された状態で収納できる。
【0150】
誘導レールの配設方向は、前記態様に限らず、第1及び第2の交差レールを連結すればよく、第1の交差レールから、メインレールと第2の交差レールの交差部に対して近づく方向に又は遠ざかる方向に延びていてもよい。好ましい態様では、誘導レールは、交差レールに対して直交する方向(メインレールと平行な方向)に配設してもよい。
【0151】
前記収納部は、メインレールと、2つの交差レール及び誘導レール(又は案内レール)とで形成でき、これらのレールは、互いに走行路が連絡し、ループ状の走行路を形成している。前記交差レールの長さは、前記第2の間仕切部材の第1及び第2のランナーが、前記収納部を形成するメインレール及び誘導レールを走行可能である限り、特に制限されないが、前記ランナーの走行性及び前記間仕切部材の収納性の観点から、前記交差レールの長さは、前記第2の間仕切部材の第1及び第2のランナーの間隔と概ね同じ長さに設定されるのが好ましい。また、前記誘導レールの長さは、収納する第2の間仕切部材の数などに応じて適宜設定できるが、前記第2の間仕切部材の2つのランナーの間隔よりも長く設定すると、前記第2の間仕切部材が、収納状態から、開閉空間の閉じ状態に移行する際に、前記第2の間仕切部材の第2のランナーが、メインレールの両端部のうち、前記収納部が形成されていない端部の方向(図23の例では、右方向)に走行せずに、その反対方向(図23の例では、左方向)に戻って、前記間仕切部材が、収納前後で、前記間仕切部材の軸方向に対して左右対称に入れ替わるおそれがある。そのため、前記誘導レールの長さは、前記第2の間仕切部材の2つのランナーの間隔よりも短く設定することが好ましい。
【0152】
出入口の開動作又は操作において、第1の間仕切部材の先頭の(第1の)ランナーは、メインレールから第1の交差レールへ移行して走行可能であり;収納部の収納動作又は操作において、第2の間仕切部材の先頭の(第1の)ランナーは、メインレールから第2の交差レール及び誘導レールへ順次に移行して走行可能であり;第1及び第2の間仕切部材の後続の(第2の)ランナーはメインレールを走行可能である。なお、出入口の閉動作又は操作、並びに収納部からの解放(開閉空間の閉じ)動作又は操作において、第1及び第2の間仕切部材の後続の(第2の)ランナーは、先頭ランナーとしてメインレールを走行可能である。
【0153】
交差レールを走行可能な第1のランナー(回転軸部材)は必ずしも前記取付金具に取り付ける必要はなく、間仕切部材に取り付けてもよい。間仕切部材の長手又は移動方向の端部側に取り付け可能な前記取付金具を利用して、交差レールの軸線よりも変位した位置又は部位(前記例では、メインレール側に変位した位置)に第1のランナーの回転軸部材を位置させると、メインレールと交差レールとの交差域で間仕切部材を円滑に移動させて出入り口(入出路)を開閉できる。そのため、好ましい態様では、前記取付金具(又は第1のランナーの回転軸部材を交差レールの軸線に対して幅方向に変位した位置又は部位に取り付けるための変位取付部材)を利用するのが好ましい。
【0154】
メインレール及び交差レールを交差させる態様では、一方のレールの開口端部を他方のレールの側壁で塞いでもよく、レールの開口端部には、ランナーの脱落を防止するためのキャップなどの脱落防止部材を装着してもよい。また、レールの開口端部からランナーの脱落が防止された形態、例えば、レールの開口端部が壁部に対向した状態でレールを埋設して施工する形態、レールの開口端部に壁部又は側壁が位置する形態では、レールの開口端部にキャップなどの脱落防止部材を装着又は取り付ける必要はない。
【0155】
また、メインレールと交差レールに加え、誘導レールを導入し、前記収納部を形成する態様においても、一方のレールの開口端部を他方のレールの側壁で塞いでもよく、レールの開口端部には、ランナーの脱落を防止するためのキャップなどの脱落防止部材を装着してもよい。また、レールの開口端部からランナーの脱落が防止された形態、例えば、前記のように、メインレール、2つの交差レール及び誘導レールの開口端部(又は走行路)が、それぞれ連絡し、ループ状の走行路が形成されている状態では、レールの開口端部にキャップなどの脱落防止部材を装着又は取り付ける必要はない。
【0156】
なお、隣接する複数の間仕切部材(パネルなど)は、必ずしも蝶番などを利用してヒンジ式に回動可能に連結する必要はないが、必要であれば、ヒンジ式に回動可能に連結してもよい。さらに、必要であれば、複数の間仕切部材(パネルなど)のうち、間仕切空間又は開閉空間を形成する側壁部又は柱部に隣接する間仕切部材は、蝶番などで前記側壁部又は柱部でヒンジ式に連結し、開閉可能な扉(ドア)を有する出入り口(又は入出路)を形成してもよい。
【0157】
なお、前記パネルなどの間仕切部材の下部を前記仕切路(開閉路)の隣接部位で位置決め固定可能な位置決め固定機構(落とし機構)は、必ずしも必要ではない。位置決め固定機構は、前記構造に限定されず、種々の構造の位置決め構造が採用できる。例えば、前記中空円筒状の筒体には、少なくとも1つの係止部(係止スロット)を形成すればよく、棒状体を孔部材の孔部に挿入した高さ位置を維持するための下部の位置決めスロットと、棒状体が孔部材の孔部から遊離した高さ位置を維持するための上部の係止解除スロットとを備えていてもよい。
【0158】
図24(a)は、他の位置決め固定機構(落とし機構)を示す概略斜視図であり、図24(b)は、この位置決め固定機構(落とし機構)を示すI-I線断面図である。この例では、位置決め固定機構は、前記枠体カバー301に対応する外部側壁に縦方向に形成された開口部605と、この開口部の内部側壁に係合部606を有し、前記下部取り付け枠部222bの枠本体部にビスなどで取り付け可能な位置決め固定部材602と;前記係合部606に対して、係合可能なプランジャー(収納孔内に収納されたバネにより前記係合部606の方向に付勢され、前記収納孔から出没可能なプランジャー)607と、このプランジャー607が取り付けられ、前記開口部605に沿って上下方向に可動な棒体608とを備えた正面視略T字状の位置決め部材603と;前記敷設部材に隣接する前記床部に設けられ(又は埋設され)、上向きに孔部609が開口した孔部材604とを備えている。
【0159】
そのため、前記位置決め部材603を、前記位置決め固定部材602の開口部605に沿って下降させ、前記プランジャー607の出没機能を利用して、係合部606に対する前記プランジャーの係合状態を解除させ、前記位置決め部材603を落とし込むことにより、前記位置決め部材603の円筒状の筒体608が孔部材の孔部609におさまり、前記間仕切部材(パネル)の下部を位置決め固定して間仕切部材(パネル)が揺動するのを抑制できる。また、前記位置決め部材603を、前記位置決め固定部材602の開口部605に沿って上昇させ、前記プランジャー607を、その出没機能を利用して、前記係合部606に係合させることにより、前記間仕切部材(パネル)の下部を前記床部から遊離状態(非固定状態)とすることができる。
【0160】
また、位置決め固定機構は、棒状の位置決め部材に代えて、前記のように、間仕切部材を案内するためのピポット(ガイドピポットなど)を備えていてもよく、前記取付部材(パネルの下部取り付け枠部など)に回動可能に取り付けられ、床部などに形成された係止部(係止凹部など)に対して係止可能な回動係止部材などを備えていてもよい。
【0161】
[一対の磁性部材又はマグネット部材]
本発明の間仕切構造において、間仕切部材の下端部(又は下端面)と、前記仕切路とに配設されるマグネット部材は必ずしも必要ではなく;間仕切部材の下端部(又は下端面)及び前記仕切路のうち、一方には他方に対して案内可能な凹凸構造(例えば、間仕切部材の下端部の案内凸部と、この案内凸部を摺動案内可能な仕切路の摺動溝)を形成してもよい。間仕切部材の下端部(又は下端面)と、前記仕切路(間仕切部材の下端部に対応し、かつ前記ランナーの走行に伴って、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路又は開閉路)とに、非接触状態で、互いに磁気的に吸引可能な一対の磁性部材(マグネット部材など)を配設すると、前記のように、間仕切部材の揺れを防止でき、間仕切部材を整列できる。一対の磁性部材としては、前記と同様に、下部取り付け枠体(下枠体)の両端部に装着可能な一対の磁性部材が使用できる。好ましい一対の磁性部材は、前記一対のマグネット部材(第1及び第2のマグネット部材)である。
【0162】
前記一対の磁性部材(マグネット部材(第1及び第2のマグネット部材)など)は、前記装着凹部への装着に限らず、施工部位(間仕切部材の下端部(又は下端面)、及び仕切路又は開閉路)に、直接的に、ビス止めなどの機械的接合部材、接着剤などの化学的接合部材などを利用して取り付け可能であってもよく;前記マグネット部材(第1及び第2のマグネット部材)のように、ビスなどを利用することなく、前記間仕切部材の下端部(又は下端面)と前記敷設部材の仕切路(開閉路)とに形成されたアリ溝状の装着凹部に挿入するだけで装着してもよい。
【0163】
なお、マグネット部材の断面形状は、四角形状(又は細幅の板状)、台形状、凸状、紡錘状又は楕円形状などであってもよい。前記下部取り付け枠部及び/又は敷設部材の装着凹部は必ずしも必要ではなく、装着凹部も必ずしも必要ではなく、装着凹部はアリ溝状である必要はなく、マグネット部材が装着又は取り付け可能な形態、例えば、断面コ字状の凹溝などであってもよい。好ましい形態では、間仕切部材の下端部と、前記仕切路とにそれぞれ形成された装着凹部に装着し、必要によりビス、接着剤などで固定してもよい。例えば、マグネット部材は、取付効率を高めるため、施工部位としての間仕切部材の下部取り付け枠部(又は長尺部材、被取付部)及び敷設部材(又は長尺部材)の装着凹部に挿入して装着され、必要によりビスなどで固定してもよい。
【0164】
マグネット部材は、長尺で細幅の板状(断面凸状)、台形状、凸状であってもよい。マグネット部材は、装着凹部に対する装着状態で、前記装着凹部から露出することなく、装着凹部内に位置していてもよいが、磁力を有効に利用するため、前記装着凹部の開口部を形成する開口部壁と同じ高さ位置に位置するか、開口部壁から突出する突出部を有していてもよい。すなわち、マグネット部材は、装着凹部(装着凹部壁)とほぼ同一面又は装着凹部(装着凹部壁)から突出していてもよい。
【0165】
装着凹部の断面形状は、マグネット部材が装着可能であればよく、断面コ字状、開口部側が拡がった断面台形状、開口部側が狭まった多角形状(三角形状など)などであってもよい。開閉構造の組み立て操作を簡単にするためには、装着凹部に対してマグネット部材を摺動又はスライド可能に装着する形態、特に、対向方向への抜けが規制された状態でマグネット部材のスライドにより装着可能な形態、例えば、開口部側が狭まったアリ溝状(例えば、前記特許文献3に記載の形態の装着凹部のように、奥部が幅広く、開口部壁が狭まって開口部を形成した断面コ字状のアリ溝状の装着凹部)などが好ましい。具体的には、装着凹部は、開口部を形成する開口部壁(例えば、前方に突出して開口部を形成する突出壁を有していてもよい開口部壁)と、この開口部壁から奥部方向に延びる中間壁(拡がって傾斜して奥部方向に延びてもよい中間壁)と、この中間壁から互いに近づく方向に延びる凹部壁とを有していてもよい。装着凹部は長尺又は細幅状のマグネット部材の装着性を高めるため、長手方向に延びる装着凹部であるのが有利である。すなわち、長手方向に延びる装着凹部にマグネット部材がスライドにより装着可能であるのが好ましい。
【0166】
一対の磁性部材は互いに磁気的に吸引可能(磁気的吸引力を作用可能)であればよく、一対の磁性部材(特に、マグネット部材)は、互いに反対の磁極を向けて配設可能であってもよく、磁性部材(特に、マグネット部材)は、幅方向(一対の磁性部材の対向方向に対して直交する方向)又は厚み方向(一対の磁性部材の対向方向)に異なる磁極が隣接して形成(又はS極とN極とに磁化)してもよい。
【0167】
一対の磁性部材(又はマグネット部材)は非接触状態(遊離した状態)で配設可能である。そのため、第1の磁性部材(又は第1のマグネット部材)を装着した間仕切部材は、第2のマグネット部材が装着された仕切路(開閉路)に沿って円滑に移動可能である。一対の磁性部材(又はマグネット部材)の間隔は、磁性部材(又はマグネット部材)の磁力などに応じて、1~20mm、好ましくは2~15mm、さらに好ましくは3~10mm程度であってもよい。反対の磁極を向けて一対の磁性部材(又はマグネット部材)を遊離して(又は所定の間隔をおいて)配設すると、第1の磁性部材(又は第1のマグネット部材)の軸線に対して第2の磁性部材(又は第2のマグネット部材)の軸線が位置ずれするのを抑制でき、第1の磁性部材(又は第1のマグネット部材)と第2の磁性部材(又は第2のマグネット部材)とが遊離していても、磁気的吸引力(吸着力)を利用して、間仕切部材の揺動を抑制できるとともに、間仕切部材の姿勢を保つことができる。なお、磁性部材(又はマグネット部材)には、過誤なく反対の磁極を向けて配設するため、磁極(S極又はN極)を示すためのマーカーを付してもよい。
【0168】
前記一対の磁性部材(マグネット部材(第1及び第2のマグネット部材))は、間仕切部材の下端部(又は下端面)及び前記仕切路に沿って所定の間隔及び/又は所定の長さで取り付ければよく、例えば、間仕切部材の下端部(又は下端面)及び前記仕切路(特に、これらの前記装着凹部)の全長に対して、複数の磁性部材(マグネット部材)を、所定間隔をおいて(離散させて)又は隣接して配設してもよく、間仕切部材の下端部(又は下端面)及び前記仕切路(特に、これらの前記装着凹部)に沿って、磁性部材(マグネット部材)を全長に亘って取り付けてもよい。
【0169】
第1及び第2の前記磁性部材(マグネット部材)は、遷移金属元素及びこれらの合金、フェライト(鉄-ニッケル合金など)、永久磁石、希土類磁石などで形成できる。前記マグネット部材は、磁性粉体と樹脂又はゴムとを含むプラスチック磁石又はゴム磁石であってもよい。前記磁性部材(マグネット部材)は、硬質マグネット部材であってもよく、軟質マグネット部材であってもよい。好ましい磁性部材(マグネット部材)は、樹脂(プラスチック)又はエラストマーを含むプラスチック磁石又はゴム磁石部材であり、装着凹部に対する装着性を高めるため、軟質樹脂(軟質プラスチック)又はエラストマーを含む軟質マグネット部材である。このような樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)などを含んでいてもよい。エラストマーは、ゴム及び熱可塑性エラストマーを含み、合成ゴム(ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ウレタン系ゴムなど)や熱可塑性エラストマー(ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマーなど)などを含んでいてもよく、軟質樹脂(軟質プラスチック)は、非結晶性であってもよく、非芳香族性であってもよい。
【0170】
好ましい態様の間仕切構造は、前記間仕切部材としての複数のパネルと、各パネルを1又は複数(例えば、2つ)の回転軸部材(又は回動軸部材)で吊り下げて前記レールに沿って走行可能なランナーとを備えていてもよい。また、隣接する複数のパネルは、蝶番などで回動可能に連結されることなく、前記仕切路に沿って整列可能であってもよく、各パネルは、前記仕切路に対して交差した形態で移動可能であってもよい。
【0171】
さらに好ましい態様の間仕切構造は、(a)レールの一対の走行路は断面U字状又はV字状であってもよく;少なくとも一対の車輪は、前記走行路に対応する断面U字状又はV字状の外周部を有していてもよい。ランナーは、一対の車輪を互いに連結する車軸部と、この車軸部を回転可能に支持する支持部と、この支持部に形成された装着貫通孔と、この装着貫通孔に抜け止め状態で回転可能に装着可能な回転軸部材とを備えていてもよい。
【0172】
さらに好ましい態様の間仕切構造は、(b)レールの一対の走行路は、下部開口部を備えた断面コ字状のレール本体と、このレール本体の両側壁の内壁(両側内壁)から、高さ位置を異にして互い違いに延出し、延出方向に向かって下方に傾斜した少なくとも上下一対の走行壁で形成してもよく;少なくとも一対の車輪は、前記走行路に対応する断面U字状の外周部を有していてもよい。ランナーは、前記レールの下部開口部に沿ってスライド自在であり、かつ前記間仕切部材(パネルなど)に対して回転可能に装着された回転軸部材と、この回転軸部材の軸方向に所定間隔をおいて、前記回転軸部材の周方向に独立して回転自在に装着され、前記走行壁の走行路を走行可能な少なくとも一対の車輪とを備えていてもよい。
【0173】
前記好ましい態様の間仕切構造(a)及び(b)において、前記回転軸部材に装着可能であり、前記レールに対して高さ調整可能な高さ調整部材(ダブルナットなどの高さ調整可能な螺合締結部材)を備えていてもよい。
【0174】
また、前記好ましい態様の間仕切構造(a)及び(b)において、パネルは、プラスチック又はガラスのパネルであってもよく、前記ランナーの前記回転軸部材(前記ネジ部が形成された回転軸部材)が取り付け可能な上部取り付け枠部(前記回転軸部材のネジ部に螺合可能な枠部)と、第1のマグネット部材が長手方向に沿って取り付け可能な下部取り付け枠部とを備えていてもよく、前記仕切路に沿って取り付け可能な敷設部材には第2のマグネット部材が装着可能であってもよい。
【0175】
本発明は、前記間仕切構造(又は開閉構造)を形成するための部材のセットも包含する。このセットは、前記ランナー、間仕切部材及び一対の磁性部材(例えば、マグネット部材)を備えている。さらには、前記セットは、前記レールを備えていてもよく;さらに、上部及び/又は下部取付け枠部を形成する部材、位置決め部材(取付プレートなど)などの前記構造を形成するための種々の部材を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明の間仕切構造(又は開閉構造)は、種々のスペース、例えば、仕切り空間(老人ホームや病院の集会所、家庭のリビングルーム、寝室、応接室、工場の作業ブース、倉庫;会議室;ホテルの部屋、宴会場;会議場;学校の教室、体育館;劇場のステージ;病院の病室;展示スペース;避難施設など)などを間仕切部材で開閉可能に間仕切るのに利用できる。
【符号の説明】
【0177】
1,51,73a,73b,201…レール
4,54,204…一対の走行路
11,61,81a,81b,211,581a,581b…ランナー
12,62,82a,82b,212…車輪
13,63,83a,83b…支持部
14…装着貫通孔
15,65,85a,85b,215…回転軸部材(取付部材)
16,66,86a,86b…ネジ部
17a,17b,87a,87b,217a,217b…ダブルナット(高さ調整部材)
21,221…パネル(間仕切部材)
22a,222a…上部取り付け枠部
22b,222b…下部取り付け枠部
25a,25b,225a,225b…装着凹部
26,226…取付プレート(位置決め部材)
35a,35b,235a,235b…一対のマグネット部材
36,236…敷設部材
37,237…保護材
238…側部フレーム
301…枠体カバー
310…遮蔽部材
402…第1のキャップ部材
403…第2のキャップ部材
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