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  • 特開-視力矯正具 図1
  • 特開-視力矯正具 図2
  • 特開-視力矯正具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007510
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】視力矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61H 5/00 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A61H5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019218041
(22)【出願日】2019-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391012729
【氏名又は名称】株式会社ミクロ技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100130410
【弁理士】
【氏名又は名称】茅原 裕二
(72)【発明者】
【氏名】吉川 実
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA31
4C046BB12
4C046DD33
4C046FF23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視力矯正状態を比較的容易、かつ、短時間に得られる視力矯正具を提供する。
【解決手段】視力矯正具1は、ピンホール41を有する遮光部4と、遮光部と厚み方向に重ね合わされ、光の透過状態と透過制限状態を切替え可能な液晶からなる液晶シャッター部5とからなり、前記透過状態においてピンホールから外界を視認可能な遮眼プレート2と、液晶シャッター部に接続され、液晶シャッター部の透過状態と透過制限状態とを周期的に切り替えさせるコントローラ3とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンホールを有する遮光部と、前記遮光部と厚み方向に重ね合わされ、光の透過状態と透過制限状態を切替え可能な液晶からなる液晶シャッター部と、からなり、前記透過状態において前記ピンホールから外界を視認可能な遮眼プレートと、
前記液晶シャッター部に接続され、前記液晶シャッター部の透過状態と透過制限状態とを周期的に切り替えさせるコントローラと、
を備えたことを特徴とする視力矯正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後において、視力矯正状態を比較的容易、かつ、短時間に得られる視力矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の眼は対象物によって毛様体筋、直筋、斜筋などの調整筋を収縮させて水晶体、眼球を変形させることにより、焦点を網膜上に結ばせ、近くのものから遠くのものまで知覚できるようになっている。しかしながら、人間の眼は、パソコン・ゲーム機・携帯電話でのメールなど、近くを注視する等の目に悪い習慣、眼の酷使、精神的および肉体的なストレスなどで視神経や調整筋の緊張状態が続き、調節筋や水晶体あるいは角膜に歪を生じ、その結果網膜上に正常な像を結ぶことができなくなり、様々な症状を起こすことが知られている。
【0003】
その反面、これらの調整筋や視神経を訓練することにより、歪がとれて視力機能を回復させることができることも知られている。このための訓練手段として、従来から様々な機器・器具が提案されている。
【0004】
例えば、そのような器具として特許文献1に記載の保健眼鏡がある。この保健眼鏡は、眼鏡フレームに、非透光性材料により成形した板体で、かつ、多数の円錐形の小孔を穿設した板体をレンズの代わりに嵌込んで構成されている。この保険眼鏡のような構造のメガネは近年ピンホールメガネと呼ばれており、このような構成のピンホールメガネを装着すると、複数のピンホールを通して外界の像が網膜に結ばれることとなり、遠方を見るのと同様な効果を眼球に与えると共に、脳を刺激して活性化に役立つと言われている。その結果、眼球の筋肉運動を促し、あるいは眼球の筋肉が弛緩することによって、目の疲労回復や、視力低下の予防、視力の矯正を図ることができることとなるなどと言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-50031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、ピンホールメガネを着用すると、特に近視の人は、より遠方にピントが合わせやすくなる。しかしながら、ピンホールメガネは、遠方にピントを合わせやすくするためだけの器具であり、着用したときだけ一時的に見えやすくなるだけであって、視力回復、視力矯正などには全く効果がないとも言われている。
【0007】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、使用後において、目標物が見えやすくなる、明るさを感じる等の視力矯正状態が得られる新たな視力矯正器具を開発するに至った。すなわち、本発明は、使用後において、視力矯正状態を比較的容易、かつ、短時間に得られる視力矯正器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の視力矯正具は、ピンホールを有する遮光部と、前記遮光部と厚み方向に重ね合わされ、光の透過状態と透過制限状態を切替え可能な液晶からなる液晶シャッター部と、からなり、前記透過状態において前記ピンホールから外界を視認可能な遮眼プレートと、前記液晶シャッター部に接続され、前記液晶シャッター部の透過状態と透過制限状態とを周期的に切り替えさせるコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の視力矯正具によれば、ピンホールを有する遮光部と、前記遮光部と厚み方向に重ね合わされ、光の透過状態と透過制限状態を切替え可能な液晶からなる液晶シャッター部と、からなり、前記透過状態において前記ピンホールから外界を視認可能な遮眼プレートと、前記液晶シャッター部に接続され、前記液晶シャッター部の透過状態と透過制限状態とを周期的に切り替えさせるコントローラと、を備えるように構成した。これにより、視力矯正状態を比較的容易、かつ、短時間に得られるといった効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る視力矯正具の模式斜視図。
図2】遮眼プレートの構造を説明するための模式斜視図。
図3】コントローラの構造を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る視力矯正具について図を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本発明の実施形態に係る視力矯正具1が模式的に図示されており、視力矯正具1は、遮眼プレート2と、コントローラ3を備えて構成されている。また、遮眼プレート2は、ピンホール41を有する遮光部4、液晶シャッター部5、貫通孔61を有するネガフィルム6及びプレート部7からなり、液晶シャッター部5とコントローラ3は配線コードLを介して電気的に接続されている。なお、図1においては、遮眼プレート2の構造を見やすくするために上記各部材4乃至7の厚みを誇張して描写しており、ピンホール41及び貫通孔61の位置関係を示すためにこれらを点線で図示している。
【0013】
図2には、遮眼プレート2の各構成を分解した状態が図示されている。プレート部7は、遮光部4、液晶シャッター部5及びネガフィルム6を厚み方向に貼付した眼当て部71と、使用する際に使用者が手で持つ部分である把持部72からなる厚み1mm程度のプラスチック製の透明なプレートである。
【0014】
遮光部4は、厚み180μ程度の遮光フィルムであり、遮眼プレート2を使用する際に使用者が外界を視認するためのピンホール41が設けられている。ピンホール41の直径は、狭すぎると視界が暗くなり大きすぎるといわゆるピンホール効果が消失してしまうため、0.6mm~1.0mmくらいが好適である。
【0015】
液晶シャッター部5は、非通電時において光の透過率が高い透過状態となり、通電時に光の透過率が低い透過制限状態となるポリマー型液晶からなり、コントローラ3の電気信号によって、光の透過状態と透過制限状態を切替え可能に構成されている。液晶シャッター5は、ピンホール41を被覆しているので、ピンホール41からの入射光の透過状態と透過制限状態をコントロールできる。
【0016】
ネガフィルム6は、180μのフィルムであり、本実施形態に用いた液晶が乳白色であったことからピンホール41の以外の遮光効果を高めるべく貼付したものである。ネガフィルム6には、ピンホール21の対応する位置にピンホール41よりも直径が少し大きい貫通孔61が設けられている。
【0017】
図3には、液晶シャッター部5の光の透過状態と透過制限状態をコントロールするコントローラ3の構造を説明するためのブロック部が図示されている。コントローラ3は、パルス発生器31、周波数制御部32、パルス幅制御部33、設定選択部34、LCDドライバ35および設定記憶部36からなる。設定記憶部36には、周波数とパルス幅が関連づけられて記憶されている。例えば、周波数が1Hzの場合にはパルス幅を0.5秒に設定するなどと記憶されている。使用する環境や使用者の状態によって、液晶シャッター部5のシャッタースピードを可変可能にするために、本実施形態においては設定記憶部36にいくつかのシャッタースピードの設定値が記憶されている。
【0018】
設定選択部34は、設定記憶部36に記憶されたシャッタースピードを設定するための記録データを選択して読み込むように構成されている。
【0019】
設定選択部34によって、設定記憶部36から読み出された周波数信号は、周波数制御部32へ出力され、周波数制御部32の動作によりパルス発生器31で発生するパルス信号の周波数が変更される。そして、パルス発生器31で発生したパルス信号はパルス幅制御部33へ出力される。
【0020】
また、設定選択部34で設定記憶部36から読み出されたパルス幅は、パルス幅制御部33に出力され、パルス幅制御部33でパルス幅が変更された上でLCDドライバ36へ出力される。
【0021】
LCDドライバ36は、液晶シャッター部51と配線コードLを介して電気的に接続され、液晶シャッター部51の動作電圧に合わせたパルス信号を出力する。
【0022】
このように構成された視力矯正具1を使用するには、まず、使用者が把持部72を手で握り、ピンホール41が矯正対象の眼に配置されるようにセットする。この状態で、コントローラ3を作動すると、液晶シャッター部5の光の透過状態においては、使用者はピンホール41からピンホール効果を伴った状態で外観を視認できる。すなわち、使用者は、裸眼状態よりもより遠くのものにピントが合った状態で外界を視認できる。一方、液晶シャッター部5の光の透過制限状態においては、ピンホール41からの入射光は遮断され、使用者はピンホール41から外界を視認できない状態となる。この透過状態と透過制限状態とをコントローラ3によって設定されたシャッタースピードによって所定時間を繰り返し行うことにより、使用者は、視力矯正具1の使用後において、目標物が見えやすくなる、明るさを感じる等の視力矯正状態を得ることができる。
【0023】
使用者において個人差はあるが、シャッタースピードを1回/秒前後に設定し、10~15分くらい使用すると、視力矯正状態が得られることが現時点で確認されている。
【0024】
本実施形態においては、遮眼プレート2に設けられるピンホール41を1つとし、片眼ずつ使用する構成としたが、両眼に対応する位置にピンホール41を合計2つ設ける構成としてもよい。
【0025】
また、本実施形態においては、視力矯正具1を手に持つタイプとし、遮眼プレート2とコントローラ3と別々の構成としたが、例えば、視力矯正具1を眼鏡タイプとし、遮眼プレート2を両眼のレンズ部分として構成してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 視力矯正具
2 遮眼プレート
3 コントローラ
31 パルス発生器
32 周波数制御部
33 パルス幅制御部
34 設定選択部
35 LCDドライバ
36 設定記憶部
4 遮光部
41 ピンホール
5 液晶シャッター部
6 ネガフィルム
7 プレート部
71 支持プレート
72 把持部
L 配線コード
図1
図2
図3