(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075139
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】霊長類網膜色素上皮細胞特異的プロモーター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20230523BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230523BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230523BHJP
C12N 5/0793 20100101ALN20230523BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/12
C12N5/10
C12N5/0793
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023025663
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2020526394の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】17201828.5
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518089687
【氏名又は名称】フリードリッヒ ミーシェー インスティトゥート フォー バイオメディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ユエットナー,ジョゼフィーヌ
(72)【発明者】
【氏名】クロル,ヤツェク
(72)【発明者】
【氏名】ロスカ,ボトンド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】網膜色素上皮(RPE)の細胞中で特異的に遺伝子の発現をもたらす核酸配列を提供する。
【解決手段】霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現させる方法であって、特定の配列の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は該特定の配列と少なくとも80%の全体同一性を有する、少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子を、霊長類の網膜色素上皮の細胞に送達するステップを含み、この単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、外因性遺伝子をコードする核酸配列がこの単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特異的にもたらす方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現させる方法であって、配
列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列と少なく
とも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子
を、前記霊長類の前記網膜色素上皮の細胞に送達するステップを含み、前記単離核酸分子
は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコード
する核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特異的にもたらす方法
。
【請求項2】
前記単離核酸分子が、最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさ
らに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単離核酸分子が、発現カセットの一部である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記発現カセットが、ベクターの一部である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現させるための、配列番号
1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列と少なくとも8
0%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子の使用
であって、前記単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を
、前記外因性遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している
場合に特異的にもたらす使用。
【請求項7】
前記単離核酸分子が、最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさ
らに含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記単離核酸分子が、発現カセットの一部である、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
前記発現カセットが、ベクターの一部である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
網膜色素上皮と関連する疾患の治療における使用のための、配列番号1の核酸配列を含
み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列と少なくとも80%の全体同一性
を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子であって、霊長類の網膜
色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコードする核酸配列が前
記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特異的にもたらす単離核酸分子。
【請求項12】
網膜色素上皮と関連する前記疾患は、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、糖尿病性網膜
症及び網膜色素上皮肥大症からなる群から選択される、請求項11に記載の使用のための
単離核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に網膜色素上皮(RPE)の細胞中で特異的に遺伝子の発現をもたらす核
酸配列に関する。
【背景技術】
【0002】
発現目的のため、組換え遺伝子は、通常、標的細胞、細胞集団又は組織中に、異種遺伝
子の転写を可能とする活性発現カセットの環境下のcDNA構築物として形質移入される
。DNA構築物は、シス制御エレメント、例として、エンハンサー、サイレンサー、イン
スレーター及びプロモーター(本明細書においてまとめて「プロモーター」と称される)
における多くのトランス作用性転写因子(TF)の活性を含むプロセスにおける細胞転写
機構により認識される。
【0003】
遺伝子プロモーターは、それらの調節のレベルの全てに関与し、DNA配列、転写因子
結合及びエピジェネティックな特色の影響を組み込むことにより遺伝子転写における決定
因子として機能する。これらは、例えば、プラスミドベクターによりコードされる導入遺
伝子発現の強度及び前記導入遺伝子が発現される1つ又は複数の細胞タイプを決定する。
【0004】
哺乳動物細胞中の異種遺伝子発現をドライブするために使用される最も一般的なプロモ
ーターは、ヒト及びマウスサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーターであ
る。これらは強力な発現を付与し、いくつかの細胞タイプにおいてロバストであることが
証明されている。他のウイルスプロモーター、例えば、SV40最初期プロモーター及び
ラウス肉腫ウイルス(RSV)ロングターミナルリピート(LTR)プロモーターも発現
カセット中で高頻度で使用される。
【0005】
ウイルスプロモーターの代わりに、細胞プロモーターを使用することもできる。公知の
プロモーターの中には、大量に転写される細胞転写産物、例えば、ベータ-アクチン、伸
長因子1-アルファ(EF-lアルファ)、又はユビキチンをコードするハウスキーピン
グ遺伝子からのものがある。ウイルスプロモーターと比較して、真核生物遺伝子発現は複
雑であり、多くの異なる因子の正確な協調を要求する。
【0006】
導入遺伝子発現のための内因性調節エレメントの使用に関する態様の1つは、安定なm
RNAの生成であり、発現が、それに応じてトランス作用性転写因子が提供される宿主細
胞の天然環境中で生じ得ることである。真核生物遺伝子の発現は、シス及びトランス作用
性調節エレメントの複雑な機構により制御されるため、ほとんどの細胞プロモーターは、
詳細な機能の特徴付けが欠けている。真核生物プロモーターの一部は、通常、その転写さ
れる配列のすぐ上流に位置し、転写開始点として機能する。コアプロモーターは、転写機
構により認識されるのに十分である転写開始部位(TSS)を直接囲む。近位プロモータ
ーは、コアプロモーターの上流の領域を含み、TSS及び転写調節に要求される他の配列
特色を含有する。転写因子は、プロモーター及びエンハンサー配列中の調節モチーフに結
合し、それにより、ヌクレオソーム構造及び最終的に転写の開始を可能とするその位置を
変更するクロマチン及びヒストン修飾酵素を活性化させることにより配列特異的に作用す
る。機能プロモーターの同定は、主に、関連する上流又は下流のエンハンサーエレメント
の存在に依存的である。
【0007】
導入遺伝子発現のための内因性調節エレメントの使用に関する別の重大な態様は、一部
のプロモーターが細胞特異的様式で作用し得、規定のタイプの細胞中で、又はプロモータ
ーに依存して特定のサブセットの細胞中で導入遺伝子の発現をもたらすことである。
【0008】
したがって、本発明の1つの課題は、網膜の哺乳動物細胞中で高い発現レベルで、細胞
タイプ特異的様式で組換え遺伝子を発現させるのに好適な新たな配列を得ることである。
【0009】
このような配列は、神経変性障害、視力回復、創薬、腫瘍療法及び障害の診断の研究の
ための系を開発するための網膜細胞特異的プロモーターについての当分野における必要性
に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、目下、国際公開第2015/118507号パンフレットに記載のとお
りネズミモデルにおいて網膜アマクリン細胞中で特異的に遺伝子発現をドライブすること
が公知の人工プロモーターが、霊長類において予想外及び非定型的に全く異なる特異性を
有することを偶然に見出した。霊長類において、このプロモーターは、網膜色素上皮(R
PE)の細胞中の遺伝子発現を特異的にドライブする。この特異性は、例えば、加齢黄斑
変性症、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症又は網膜色素上皮肥大症患者の罹患網膜におけ
る網膜色素上皮細胞中の遺伝子発現に対処し、それを標的化するために極端に有用である
。
【0011】
このプロモーターの核酸配列は、
【化1】
である。
【0012】
したがって、本発明は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現
させる方法であって、配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番
号1の前記配列と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配
列からなる単離核酸分子を、前記霊長類の網膜色素上皮の細胞に送達するステップを含み
、前記単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外
因性遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特
異的にもたらす方法を提供する。単離核酸分子は、前記単離核酸分子に作動可能に結合し
ている最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさらに含み得る。単
離核酸分子は、発現カセットの一部であり得、それはさらにベクター、例えば、ウイルス
ベクターの一部であり得る。
【0013】
本発明はまた、霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現させるた
めの、配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列
と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離
核酸分子の使用であって、前記単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性
遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能
に結合している場合に特異的にもたらす使用を提供する。この使用において、単離核酸分
子は、最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさらに含み得る。単
離核酸分子は、発現カセットの一部であり得、それはさらにベクター、例えば、ウイルス
ベクターの一部であり得る。
【0014】
本発明は、網膜色素上皮と関連する疾患の治療における使用のための、配列番号1の核
酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列と少なくとも80%の
全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子であって、霊
長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコードする核
酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特異的にもたらす単離核酸分
子をさらに提供する。網膜色素上皮と関連する疾患は、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症
、糖尿病性網膜症及び網膜色素上皮肥大症からなる群から選択することができる。
【0015】
配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記核酸配列
と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離
核酸分子であって、遺伝子をコードする前記核酸配列に作動可能に結合している前記遺伝
子の霊長類の網膜色素上皮の細胞中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子は、少なくと
も400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、
少なくとも750bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも10
00bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp
、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なく
とも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも
2000bpであり得、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも80%の同一性を有する
。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp
、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも9
00bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp
、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なく
とも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも19
00bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも
85%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400
bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくと
も800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100b
p、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少な
くとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1
800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1
の前記核酸配列と少なくとも90%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核
酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少な
くとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000
bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少
なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも
1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも20
00bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも95%の全体同一性を有する。
一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、
少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも90
0bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、
少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくと
も1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも190
0bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1と前記核酸配列と少なくとも9
6%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400b
p、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも
800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp
、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なく
とも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも18
00bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の
前記核酸配列と少なくとも97%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸
配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なく
とも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000b
p、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少な
くとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1
700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも200
0bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも98%の全体同一性を有する。一
部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少
なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900
bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少
なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも
1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900
bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも99
%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp
、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも8
00bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、
少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくと
も1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも180
0bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前
記核酸配列と100%の全体同一性を有する。
【0016】
本発明の単離核酸分子は、好ましくは、前記単離核酸分子に作動可能に結合している最
小プロモーター、例えば、SV40最小プロモーター、例えば、SV40最小プロモータ
ー
【化2】
を含み得る。
【0017】
本発明のプロモーターに作動可能に結合させることができる典型的な遺伝子は、光受容
体をコードする遺伝子である。例えば、これは、光感受性分子、例えば、チャネルロドプ
シン又はハロロドプシンであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】配列番号1を含むプロモーターからの霊長類網膜中の網膜色素上皮細胞に対する標的化発現。成体マカク(マカカ・ムラッタ)(Macaca mulatta)眼球中のAAV-synP12-ChR2-EGFPの網膜下注射の3ヶ月後の配列番号1を含むプロモーターからのEGFP発現のレーザー走査型共焦点顕微鏡画像。網膜色素上皮細胞中の誘導発現を観察することができる。緑色=配列番号3によりドライブされたEGFP。白色=ヘキスト。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、目下、国際公開第2015/118507号パンフレットに記載のとお
りネズミモデルにおいて網膜アマクリン細胞中で特異的に遺伝子発現をドライブすること
が公知の人工プロモーターが、霊長類において予想外及び非定型的に全く異なる特異性を
有することを偶然に見出した。霊長類において、このプロモーターは、網膜色素上皮の細
胞中の遺伝子発現を特異的にドライブする。この特異性は、例えば、加齢黄斑変性症、網
膜色素変性症、糖尿病性網膜症又は網膜色素上皮肥大症患者の罹患網膜における網膜色素
上皮細胞中の遺伝子発現に対処し、それを標的化するために極端に有用である。
【0020】
このプロモーターの核酸配列は、
【化3】
である。
【0021】
したがって、本発明は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現
させる方法であって、配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番
号1の前記配列と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配
列からなる単離核酸分子を、前記霊長類の網膜色素上皮の細胞に送達するステップを含み
、前記単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外
因性遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特
異的にもたらす方法を提供する。単離核酸分子は、最小プロモーター、例えば、配列番号
2の最小プロモーターをさらに含み得る。単離核酸分子は、発現カセットの一部であり得
、それはさらにベクター、例えば、ウイルスベクターの一部であり得る。
【0022】
本発明はまた、霊長類の網膜色素上皮の細胞中で特異的に外因性遺伝子を発現させるた
めの、配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列
と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離
核酸分子の使用であって、前記単離核酸分子は、霊長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性
遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能
に結合している場合に特異的にもたらす使用を提供する。この使用において、単離核酸分
子は、最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさらに含み得る。単
離核酸分子は、発現カセットの一部であり得、それはベクター、例えば、ウイルスベクタ
ーの一部であり得る。
【0023】
本発明は、網膜色素上皮と関連する疾患の治療における使用のための、配列番号1の核
酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記配列と少なくとも80%の
全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離核酸分子であって、霊
長類の網膜色素上皮の細胞中の外因性遺伝子の発現を、前記外因性遺伝子をコードする核
酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合に特異的にもたらす単離核酸分
子をさらに提供する。網膜色素上皮と関連する疾患は、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症
、糖尿病性網膜症及び網膜色素上皮肥大症からなる群から選択することができる。
【0024】
配列番号1の核酸配列を含み、若しくはそれからなり、又は配列番号1の前記核酸配列
と少なくとも80%の全体同一性を有する少なくとも400bpの核酸配列からなる単離
核酸分子であって、遺伝子をコードする前記核酸配列に作動可能に結合している前記遺伝
子の霊長類の網膜色素上皮の細胞中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子は、少なくと
も400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、
少なくとも750bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも10
00bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp
、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なく
とも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも
2000bpであり得、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも80%の同一性を有する
。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp
、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも9
00bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp
、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なく
とも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも19
00bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも
85%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400
bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくと
も800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100b
p、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少な
くとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1
800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1
の前記核酸配列と少なくとも90%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核
酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少な
くとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000
bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少
なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも
1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも20
00bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも95%の全体同一性を有する。
一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、
少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも90
0bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、
少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくと
も1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも190
0bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも9
6%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400b
p、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも
800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp
、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なく
とも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも18
00bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の
前記核酸配列と少なくとも97%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸
配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なく
とも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900bp、少なくとも1000b
p、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少な
くとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1
700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも200
0bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも98%の全体同一性を有する。一
部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少
なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも800bp、少なくとも900
bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、少なくとも1200bp、少
なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくとも1500bp、少なくとも
1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも1800bp、少なくとも1900
bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも99
%の全体同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも400bp
、少なくとも500bp、少なくとも600bp、少なくとも700bp、少なくとも8
00bp、少なくとも900bp、少なくとも1000bp、少なくとも1100bp、
少なくとも1200bp、少なくとも1300bp、少なくとも1400bp、少なくと
も1500bp、少なくとも1600bp、少なくとも1700bp、少なくとも180
0bp、少なくとも1900bp、又は少なくとも2000bpであり、配列番号1の前
記核酸配列と100%の全体同一性を有する。
【0025】
本発明の単離核酸分子は、最小プロモーター、例えば、SV40最小プロモーター、例
えば、SV40最小プロモーター
【化4】
を含み得る。
【0026】
本発明のプロモーターに作動可能に結合させることができる典型的な遺伝子は、光受容
体をコードする遺伝子である。例えば、これは、光感受性分子、例えば、チャネルロドプ
シン又はハロロドプシンであり得る。
【0027】
本発明のプロモーターを使用する外因性遺伝子の発現は、インビトロ、インビボ又はエ
クスビボで行うことができる。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「プロモーター」は、任意のシス調節エレメン
ト、例として、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター及びプロモーターを指す。
プロモーターは、転写が必要とされる遺伝子の上流に(5’領域に向かって)一般には位
置するDNAの領域である。プロモーターは、それが制御する遺伝子の適切な活性化又は
抑制を可能とする。本発明の関連において、プロモーターは、それらに作動可能に結合し
ている遺伝子のインターニューロン中の特異的発現をもたらす。「あるタイプの細胞中で
のみの発現」とも称される「特異的発現」は、目的の遺伝子を発現する細胞の少なくとも
75%超が、規定されたタイプ、すなわち、本事例においては網膜色素上皮(RPE)細
胞であることを意味する。
【0029】
網膜の色素層又は網膜色素上皮(RPE)は、黒色色素としても公知であり、網膜視細
胞に栄養供給する神経感覚網膜のすぐ外側の色素細胞層であり、下層の脈絡膜及び上層の
網膜視細胞に固着している。RPEは、色素顆粒が高密度に充填された六角形の細胞の単
一層から構成される。鋸状縁において、RPEは、毛様体上を通過する膜として続き、虹
彩の後面として続く。これは、拡張器の線維を生成する。この上皮の真下に、神経上皮(
すなわち、桿体視細胞及び錐体視細胞)がRPEと一緒に通る。両方とも、合わせて、胚
の毛様体上皮であると理解される。網膜の前端は虹彩後上皮に続いており、それは虹彩に
入る場合に色素上に重なる。外表面から見る場合、これらの細胞は平滑であり、形状が六
角形である。断面で見る場合、それぞれの細胞は、大型の楕円形の核を含有する外側の非
色素部分及び一連の直線の糸状突起として桿体視細胞間に延びる内側の色素部分からなり
、これは特に眼球が光に曝露される場合である。RPEはいくつかの機能、すなわち、光
吸収、上皮輸送、空間的イオン緩衝、視覚サイクル、食作用、分泌及び免疫調節を有する
。
【0030】
発現カセットは典型的には、宿主細胞中への発現カセットの侵入及び宿主細胞中の発現
カセットの維持を促進するベクター中に導入される。このようなベクターは一般に使用さ
れており、当業者に周知である。多数のそのようなベクターは、例えば、Invitro
gen、Stratagene、Clontechなどから市販されており、多数のガイ
ド、例えば、Ausubel、Guthrie、Strathem、又はBergerな
どに記載されている(全て前掲)。このようなベクターとしては、典型的には、多重クロ
ーニング部位、及び追加のエレメント、例えば、複製起点、選択マーカー遺伝子(例えば
、LEU2、URA3、TRP1、HIS3、GFP)、セントロメア配列などと共にプ
ロモーター、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられる。
【0031】
ウイルスベクター、例えば、AAV、PRV又はレンチウイルスは、本発明のプロモー
ターを使用して遺伝子を網膜色素上皮細胞に標的化し、送達するのに好適である。
【0032】
網膜細胞のアウトプットは、電気的方法、例えば、多電極アレイ若しくはパッチクラン
プを使用して、又は視覚的方法、例えば、蛍光の検出を使用して計測することができる。
【0033】
本発明の核酸配列を使用する方法であって、本発明のプロモーター下で1つ以上の導入
遺伝子を発現する網膜色素上皮細胞と試験化合物を接触させるステップ、及び前記試験化
合物の存在下で得られた網膜色素上皮細胞の少なくとも1つのアウトプットを、前記試験
化合物の不存在下で得られた同一のアウトプットと比較するステップを含む方法は、RP
E細胞が関与する神経障害又は網膜障害の治療のための治療剤を同定するために使用する
ことができる。
【0034】
さらに、本発明のプロモーターを使用する方法であって、本発明のプロモーターの制御
下で1つ以上の導入遺伝子を発現する網膜色素上皮細胞を薬剤と接触させるステップ、及
び前記薬剤との接触後に得られた少なくとも1つのアウトプットを、前記薬剤との前記接
触前に得られた同一のアウトプットと比較するステップを含む方法も、視力回復のインビ
トロ試験に使用することができる。
【0035】
チャネルロドプシンは、光開閉型イオンチャネルとして機能するオプシンタンパク質の
サブファミリーである。これらは、単細胞緑藻中で感覚光受容器として機能し、走光性、
すなわち、光に応答する運動を制御する。他の生物体の細胞中で発現されると、それらは
、細胞内酸性度、カルシウム流入、電気興奮性、及び他の細胞プロセスを制御するための
光の使用を可能とする。以下の少なくとも3つの「天然」チャネルロドプシン:チャネル
ロドプシン-1(ChR1)、チャネルロドプシン-2(ChR2)、及びボルボックス
チャネルロドプシン(VChR1)が現在公知である。さらに、これらのタンパク質の一
部の改変/改善バージョンも存在する。全ての公知のチャネルロドプシンは非特異的陽イ
オンチャネルであり、H+、Na+、K+、及びCa2+イオンを伝導する。
【0036】
ハロロドプシンは、塩化物イオンに特異的な光駆動性イオンポンプであり、好塩菌とし
て公知の系統発生的に古代の「細菌」(古細菌)に見出される。これは、レチニリデンタ
ンパク質ファミリーの7回膜貫通型タンパク質であり、光駆動性プロトンポンプバクテリ
オロドプシンと相同であり、網膜中で光を感知する色素の脊椎動物ロドプシンと三次構造
において類似する(しかし、一次配列構造においては類似しない)。ハロロドプシンは、
光駆動性イオンチャネルのチャネルロドプシンとも配列類似性を共有する。ハロロドプシ
ンは、必須の光異性化可能ビタミンA誘導体オールトランスレチナールを含有する。ハロ
ロドプシンは、結晶構造が公知の数少ない膜タンパク質の1つである。ハロロドプシンア
イソフォームは、好塩菌の複数の種、例として、H.サリナラム(H.salinaru
m)及びN.ファラオニス(N.pharaonis)に見出すことができる。非常に進
行中の研究はこれらの違いを探究中であり、それらを使用して光周期及びポンプ特性を別
個に解析している。バクテリオロドプシンの後に、ハロロドプシンは研究される最良のI
型(微生物)オプシンであり得る。ハロロドプシンレチナール複合体のピーク吸光度は約
570nmである。近年、ハロロドプシンは、オプトジェネティクスにおけるツールとな
っている。青色光活性化イオンチャネルのチャネルロドプシン-2が、青色光の短いパル
スで興奮性細胞(例えば、ニューロン、筋細胞、膵臓細胞、及び免疫細胞)を活性化させ
る能力を開くように、ハロロドプシンは、黄色光の短いパルスで興奮性細胞を静める能力
を開く。このように、ハロロドプシン及びチャネルロドプシンは一緒になって、神経活動
の多色光学的な活性化、鎮静、及び脱同期を可能とし、強力な神経工学のツールボックス
を作出する。
【0037】
一部の実施形態において、プロモーターは、網膜に標的化されるベクターの一部であり
、前記ベクターは、生存網膜色素上皮細胞中で検出可能な少なくとも1つのレポーター遺
伝子を発現する。このようなレポーター遺伝子は、機能神経回路を示し得る。このような
ベクターの例は、活動センサー又はレインボーウイルス(rainbow virus)
である(Nature Methods 6,127-130(2009))。このよう
なウイルスの例は、脳内で空間的に混ざったニューロン間の接続ニューロンの活動を光学
的にレポートする遺伝子コードされた活動センサーを有する逆行性経シナプス性偽性狂犬
病ウイルス(PRV)である。このような活動センサーは、外因性蛍光活動センサーを発
現する単離経シナプス性ウイルスであり得る。経シナプス性ウイルスは、ラブドウイルス
、例えば、狂犬病ウイルス、又はヘルペスウイルス、例えば、アルファヘルペスウイルス
、例えば、偽性狂犬病ウイルスであり得る。
【0038】
蛍光外因性活動センサーは、蛍光タンパク質Ca2+センサー、例えば、イエローカメ
レオン、カンガルー、G-CaMP/ペリカン、若しくはTN-L15、又は蛍光タンパ
ク質電圧センサー、例えば、FlaSh、SPARC、若しくはVSP、好ましくは、V
SP1であり得る。
【0039】
本発明に好適なウイルスベクターは、当分野において周知である。例えば、AAV、P
RV又はレンチウイルスは、遺伝子を標的化し、網膜色素上皮細胞に送達するのに好適で
ある。
【0040】
単離網膜を用いて作業する場合、光受容体に最適なウイルス送達は、網膜の光受容体側
が露出され、したがってより良好に形質移入され得るように神経節細胞側を下方にマウン
トすることにより達成することができる。別の技術は、送達ウイルスが内膜に浸透し得る
ように例えば、剃刀により網膜の内側の制限膜をスライスすることである。さらなる手法
は、網膜を寒天中に埋め込み、前記網膜をスライスし、スライスの側部から送達ウイルス
をアプライすることである。
【0041】
形質移入された細胞のアウトプットは、周知の方法を使用して、例えば、電気的方法、
例えば、多電極アレイ若しくはパッチクランプを使用して、又は視覚的方法、例えば、蛍
光の検出を使用して計測することができる。一部の場合、内境界膜の顕微手術により内境
界膜が除去される。他の場合、記録は、内境界膜に実施されたスライスを通して達成され
る。
【0042】
本発明に使用することができる網膜細胞源は、霊長類である。本発明の一部の実施形態
において、網膜細胞は、ヒト網膜に由来し、又はその中に存在する。他の実施形態におい
て、網膜は、2つの区別される系統、直鼻猿半目及び曲鼻猿半目のいずれかからの別の霊
長類からのものである。ヒト網膜は、前記網膜が角膜の切開後に通常廃棄される角膜バン
クから容易に得ることができる。成人ヒト網膜は大表面(約1100mm2)を有し、し
たがって多数の実験的小領域に容易に分離することができる。さらに、網膜は、シナプス
伝達についての精巧なモデルとして使用することもできる。それというのも、網膜は、脳
の他の部分と同一のシナプスを有するためである。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「動物」は、全ての動物を含むように本明細書
において使用される。一部の実施形態において、非ヒト動物は脊椎動物である。動物の例
は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ネコ、イ
ヌなどである。用語「動物」はまた、胚期及び胎生期を含め、全ての発生段階における個
々の動物を含む。「遺伝子改変動物」は、細胞下レベルでの意図的な遺伝子操作、例えば
、標的化組換え、マイクロインジェクション又は組換えウイルスの感染によるものにより
、直接的又は間接的に変更され、又は受け入れられた遺伝子情報を担持する1つ以上の細
胞を含有する任意の動物である。用語「遺伝子改変動物」は、古典的な交雑も体外受精も
包含するものではなく、むしろ、1つ以上の細胞が組換えDNA分子により変更され、又
はそれを受け入れている動物を包含することを意味する。この組換えDNA分子は、規定
の遺伝子座に特異的に標的化され得、染色体内にランダムに組み込まれ得、又はそれは、
染色体外複製DNAであり得る。用語「生殖細胞系列遺伝子改変動物」は、遺伝子変更又
は遺伝子情報が生殖系列細胞中に導入され、それにより、遺伝子情報をその子孫へ伝達す
る能力が付与された遺伝子改変動物を指す。このような子孫が、実際、その変更又は遺伝
子情報の一部又は全部を保有する場合、それらは、同様に遺伝子改変動物である。
【0044】
変更又は遺伝子情報は、レシピエントが属する動物の種にとって外来、若しくは特定の
個々のレシピエントにとってのみ外来であり得、又はレシピエントにより既に保有される
遺伝子情報であり得る。その最後の場合、変更され、又は導入された遺伝子は、天然遺伝
子とは異なって発現され得、又は全く発現され得ない。
【0045】
標的遺伝子を変更するために使用される遺伝子は広範な技術により得ることができ、そ
れとしては、限定されるものではないが、ゲノム資源からの単離、単離mRNAテンプレ
ートからのcDNAの調製、直接的合成、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0046】
導入遺伝子導入のための標的細胞のタイプは、ES細胞である。ES細胞は、インビト
ロで培養された着床前胚から得ることができ、胚と融合することができる(Evans
et al.(1981),Nature 292:154-156;Bradley
et al.(1984),Nature 309:255-258;Gossler
et al.(1986),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9
065-9069;Robertson et al.(1986),Nature 3
22:445-448;Wood et al.(1993),Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 90:4582-4584)。導入遺伝子は、標準的技術、例
えば、エレクトロポレーションを使用するDNA形質移入により、又はレトロウイルス媒
介性形質導入によりES細胞中に効率的に導入することができる。得られた形質転換ES
細胞は、その後、凝集により桑実胚と組み合わせることができ、又は非ヒト動物からの胚
盤胞中に注射することができる。その後、導入ES細胞は胚をコロニー化し、得られたキ
メラ動物の生殖細胞系列に寄与する(Jaenisch(1988),Science
240:1468-1474)。遺伝子標的化された遺伝子改変マウスの生成における遺
伝子標的化されたES細胞の使用は1987年に記載され(Thomas et al.
(1987),Cell 51:503-512)、他箇所で概説されている(Froh
man et al.(1989),Cell 56:145-147;Capecch
i(1989),Trends in Genet.5:70-76;Baribaul
t et al.(1989),Mol.Biol.Med.6:481-492;Wa
gner(1990),EMBO J.9:3025-3032;Bradley et
al.(1992),Bio/Technology 10:534-539)。
【0047】
染色体アレル中に特異的変化を挿入するための標的化相同組換えを使用することにより
、任意の遺伝子領域を不活性化させ、又は所望される任意の突然変異に変更する技術が利
用可能である。
【0048】
本明細書において使用される場合、「標的化遺伝子」は、ヒトの介入により非ヒト動物
の生殖細胞系列中に導入されるDNA配列であり、それとしては、限定されるものではな
いが、本明細書に記載の方法が挙げられる。本発明の標的化遺伝子としては、同族の内因
性アレルを特異的に変化させるように設計されるDNA配列が挙げられる。
【0049】
本発明において、「単離」は、その元の環境(例えば、それが天然に存在する場合、天
然の環境)から取り出された材料を指し、したがって、その天然状態から「人工的に」変
更されている。例えば、単離ポリヌクレオチドは、ベクター若しくは物質の組成物の一部
であり得、又は細胞内に含有され得、依然として「単離」されている。それというのも、
そのベクター、物質の組成物、又は特定の細胞はそのポリヌクレオチドの元の環境ではな
いためである。用語「単離」は、ゲノムライブラリーもcDNAライブラリーも、全細胞
トータルRNA調製物もmRNA調製物も、ゲノムDNA調製物(電気泳動により分離さ
れ、ブロット上に転写されたものを含む)も、剪断された全細胞ゲノムDNA調製物も、
当分野が本発明のポリヌクレオチド/配列の区別される特色を実証していない他の組成物
も指さない。単離DNA分子のさらなる例としては、異種宿主細胞中で維持された組換え
DNA分子又は溶液中の(部分的に、又は実質的に)精製されたDNA分子が挙げられる
。単離RNA分子としては、本発明のDNA分子のインビボ又はインビトロRNA転写産
物が挙げられる。しかしながら、ライブラリーの他のメンバーから単離されていないライ
ブラリー(例えば、ゲノム又はcDNAライブラリー)のメンバーであるクローン中に(
例えば、ライブラリーのそのクローン及び他のメンバーを含有する均質な溶液の形態で)
、あるいは細胞又は細胞溶解物から取り出された染色体(例えば、核型におけるような「
染色体スプレッド」)内に、あるいはランダムに剪断されたゲノムDNAの調製物又は1
つ以上の制限酵素により切断されたゲノムDNAの調製物内に含有される核酸は、この発
明においては、「単離」されていない。本明細書にさらに考察されるとおり、本発明によ
る単離核酸分子は、天然に、組換えにより、又は合成により産生することができる。
【0050】
「ポリヌクレオチド」は、一本鎖DNA及び二本鎖DNA、一本鎖領域及び二本鎖領域
の混合物であるDNA、一本鎖RNA及び二本鎖RNA、ならびに一本鎖領域及び二本鎖
領域の混合物であるRNA、一本鎖、又はより典型的には二本鎖、又は一本鎖領域及び二
本鎖領域の混合物であり得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る
。さらに、ポリヌクレオチドは、RNA又はDNA又はRNA及びDNAの両方を含む三
本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチドはまた、1つ以上の改変塩基又は安定性の
ために若しくは他の理由のために改変されたDNA若しくはRNA骨格を含有し得る。「
改変」塩基としては、例えば、トリチル化塩基及び異常塩基、例えば、イノシンが挙げら
れる。種々の改変がDNA及びRNAになされ得;したがって、「ポリヌクレオチド」は
、化学的に、酵素的に、又は代謝的に改変された形態を包含する。
【0051】
表現「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、そのポリペプチドについての
コード配列のみを含むポリヌクレオチドならびに追加のコード配列及び/又は非コード配
列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0052】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、50%のホルムアミド、5×
SSC(750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸
ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、及び20
μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の42℃における一晩のインキュベーシ
ョンとそれに続く約50℃における0.1×SSC中のフィルターの洗浄を指す。ハイブ
リダイゼーション及びシグナル検出のストリンジェンシーの変化は、主に、ホルムアミド
濃度(より低い割合のホルムアミドがストリンジェンシーの低下をもたらす);塩条件、
又は温度の操作を通して達成される。例えば、中程度に高いストリンジェンシー条件とし
ては、6×SSPE(20×SSPE=3MのNaCl;0.2MのNaH2PO4;0
.02MのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100
μg/mlのサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中の37℃における一晩のインキュ
ベーションとそれに続く50℃における1×SSPE、0.1%のSDSによる洗浄が挙
げられる。さらに、いっそうより低いストリンジェンシーを達成するため、ストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション後に実施される洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×S
SC)において行うことができる。上記の条件における変法は、ハイブリダイゼーション
実験においてバックグラウンドを抑制するために使用される代替ブロッキング試薬の包含
及び/又は置換を通して達成することができる。典型的なブロッキング試薬としては、デ
ンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、及び市販の専売配合物が
挙げられる。規定のブロッキング試薬の包含は、適合性についての問題に起因して上記の
ハイブリダイゼーション条件の改変を要求し得る。
【0053】
ポリペプチドに言及する場合の用語「断片」、「誘導体」及び「アナログ」は、そのよ
うなポリペプチドと実質的に同一の生物学的機能又は活性のいずれかを保持するポリペプ
チドを意味する。アナログとしては、プロタンパク質部分の開裂により活性化させて活性
成熟ポリペプチドを産生することができるプロタンパク質が挙げられる。
【0054】
用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し;そ
れは、コード領域に先行する領域及びその後に続く領域「リーダー及びトレーラー」なら
びに個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
【0055】
ポリペプチドは、ペプチド結合により互いに連結しているアミノ酸又は改変ペプチド結
合により互いに連結しているアミノ酸、すなわち、ペプチドイソスターから構成され得、
20個の遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、天然プロ
セス、例えば、翻訳後プロセシング、又は当分野において周知の化学修飾技術のいずれか
により修飾することができる。このような修飾は、基礎的な教本及びより詳細なモノグラ
フ、ならびに膨大な研究論文に十分記載されている。修飾は、ポリペプチド中のいずれの
箇所においても生じ得、その箇所としては、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖及びアミノ又は
カルボキシル末端が挙げられる。同一のタイプの修飾が、所与のポリペプチド中のいくつ
かの部位において同一又は変動する程度で存在し得ることが認識される。さらに、所与の
ポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含有し得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチ
ン化の結果として分枝鎖であり得、それらは分枝を有し、又は分枝を有さない環状であり
得る。環状、分枝鎖、及び分枝鎖環状ポリペプチドは翻訳後の天然プロセスから生じ得、
又は合成方法により作製することができる。修飾としては、限定されるものではないが、
アセチル化、アシル化、ビオチン化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結
合性付着、ヘム部分の共有結合性付着、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合
性付着、脂質又は脂質誘導体の共有結合性付着、ホスホチジルイノシトール(phosp
hotidylinositol)の共有結合性付着、架橋、環化、公知の保護/ブロッ
キング基による誘導体化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、
システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グ
リコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、抗体分子又は他の細胞リ
ガンドへの結合、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシン
グ(例えば、開裂)、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパ
ク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加、例えば、アルギニル化、及びユビキ
チン化が挙げられる(例えば、PROTEINS-STRUCTURE AND MOL
ECULAR PROPERTIES,2nd Ed.,T.E.Creighton,
W.H.Freeman and Company,New York(1993);P
OSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION O
F PROTEINS,B.C.Johnson,Ed.,Academic Pres
s,New York,pgs.I-12(1983);Seifter et al.
,Meth Enzymol 182:626-646(1990);Rattan e
t al.,Ann NY Acad Sci 663:48-62(1992)参照)
。
【0056】
「生物学的活性を有する」ポリペプチド断片は、用量依存性を伴い、又は伴わない、特
定の生物学的アッセイにおいて計測される元のポリペプチド、例えば、成熟形態の活性と
類似するが必ずしも同一でなくてもよい活性を示すポリペプチドを指す。用量依存性が存
在する場合、それは、ポリペプチドのそれと同一である必要はなく、むしろ、元のポリペ
プチドと比較して所与の活性において用量依存性と実質的に類似する(すなわち、候補ポ
リペプチドは、元のポリペプチドに対して高い活性又は約25倍以下少ない、一部の実施
形態においては、約10倍以下少ない活性、若しくは約3倍以下少ない活性を示す)。
【0057】
種ホモログは、本明細書に提供される配列から好適なプローブ又はプライマーを作製し
、好適な核酸資源を所望のホモログについてスクリーニングすることにより単離及び同定
することができる。
【0058】
「バリアント」は、元のポリヌクレオチド又はポリペプチドとは異なるが、その必須の
特性を保持するポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。一般に、バリアントは、元の
ポリヌクレオチド又はポリペプチドと全体的に密接に類似し、多くの領域において、同一
である。
【0059】
実際問題として、任意の特定の核酸分子又はポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配
列と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、9
9%、又は100%同一であるか否かは、慣用的には、公知のコンピュータプログラムを
使用して決定することができる。グローバル配列アラインメントとも称される、クエリ配
列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体的なマッチを決定するための好ましい
方法は、Brutlagら(Comp.App.Blosci.(1990)6:237
-245)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定
することができる。配列アラインメントにおいて、クエリ配列及び対象配列は両方ともD
NA配列である。RNA配列は、UをTに変換することにより比較することができる。前
記グローバル配列アラインメントの結果は、パーセント同一性におけるものである。パー
セント同一性を計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントに使用される好
ましいパラメータは以下である:行列=ユニタリー、k-タプル=4、ミスマッチペナル
ティ--1、結合ペナルティ--30、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=
l、ギャップペナルティ--5、ギャップサイズペナルティ0.05、ウィンドウサイズ
=500又は対象ヌクレオチド配列の長さのどちらか短い方。対象配列が、内部欠失のた
めではなく5’又は3’欠失に起因してクエリ配列よりも短い場合、その結果を手作業に
より補正しなければならない。これは、FASTDBプログラムが、パーセント同一性を
計算する場合、対象配列の5’及び3’トランケーションを考慮しないためである。クエ
リ配列に対して5’又は3’末端においてトランケートされた対象配列について、パーセ
ント同一性は、クエリ配列の全塩基のパーセントとして、マッチング/アラインメントさ
れていない対象配列の5’及び3’であるクエリ配列の塩基の数を計算することにより補
正される。ヌクレオチドがマッチング/アラインメントされているか否かは、FASTD
B配列アラインメントの結果により決定される。次いで、この割合は、規定のパラメータ
を使用する上記のFASTDBプログラムにより計算されたパーセント同一性から減算さ
れ、最終のパーセント同一性スコアに達する。この補正スコアが、本発明のために使用さ
れるものである。クエリ配列とマッチング/アラインメントされていない、FASTDB
アラインメントによりディスプレイされる対象配列の5’及び3’塩基の外側の塩基のみ
が、パーセント同一性スコアを手作業により調整する目的に計算される。例えば、90塩
基の対象配列は、100塩基のクエリ配列とアラインメントされてパーセント同一性が決
定される。欠失は対象配列の5’末端において生じ、したがって、FASTDBアライン
メントは、5’末端における最初の10塩基のマッチング/アラインメントを示さない。
この10個の損なわれた塩基はその配列の10%(マッチングされていない5’及び3’
末端における塩基の数/クエリ配列中の塩基の総数)に相当し、したがって、10%がF
ASTDBプログラムにより計算されたパーセント同一性スコアから減算される。残りの
90塩基が完全にマッチした場合、最終のパーセント同一性は90%である。別の例にお
いて、90塩基の対象配列が、100塩基のクエリ配列と比較される。この場合、欠失は
内部欠失であるため、クエリとマッチング/アラインメントされていない対象配列の5’
にも3’にも塩基は存在しない。この場合、FASTDBにより計算されたパーセント同
一性は、手作業により補正されない。これにもかかわらず、特定の場合において、全体同
一性は、例えば、配列番号1の配列と少なくともいくらかの程度の類似性を有する配列の
部分のみを指す。換言すると、2000bpのクエリ配列の配列同一性は、配列番号1を
含む配列の一部又はその極めて類似する一部についてのみ計算される。
【0060】
本発明のクエリアミノ酸配列と少なくとも、例えば95%「同一の」アミノ酸配列を有
するポリペプチドにより、対象ポリペプチドのアミノ酸配列は、対象ポリペプチド配列が
クエリアミノ酸配列のそれぞれの100アミノ酸につき5つまでのアミノ酸変更を含み得
ることを除きクエリ配列と同一であることが意図される。換言すると、クエリアミノ酸配
列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るため、対象配列中
のアミノ酸残基の5%までを挿入し、欠失し、又は別のアミノ酸と置換することができる
。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置に
おいて、又はそれらの末端位置の間のいずれの箇所でも、参照配列中の残基の間に個々に
、又は参照配列内の1つ以上の連続する群として散在して生じ得る。
【0061】
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、配列に示されるアミノ酸配列
又は寄託DNAクローンによりコードされるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、
90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるか
否かは、慣用的には、公知のコンピュータプログラムを使用して決定することができる。
グローバル配列アラインメントとも称される、クエリ配列(本発明の配列)と対象配列と
の間の最良の全体的なマッチを決定するための好ましい方法は、Brutlagら(Co
mp.App.Biosci.(1990)6:237-245)のアルゴリズムに基づ
くFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定することができる。配列アライン
メントにおいて、クエリ配列及び対象配列は両方ともヌクレオチド配列又は両方ともアミ
ノ酸配列のいずれかである。前記グローバル配列アラインメントの結果は、パーセント同
一性におけるものである。FASTDBアミノ酸アラインメントに使用される好ましいパ
ラメータは以下である:行列=PAM0、k-タプル=2、ミスマッチペナルティ--I
、結合ペナルティ=20、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=l、ウィンド
ウサイズ=配列長、ギャップペナルティ--5、ギャップサイズペナルティ--0.05
、ウィンドウサイズ=500又は対象アミノ酸配列の長さのどちらか短い方。対象配列が
、内部欠失のためではなくN又はC末端欠失に起因してクエリ配列よりも短い場合、その
結果を手作業により補正しなければならない。これは、FASTDBプログラムが、グロ
ーバルパーセント同一性を計算する場合、対象配列のN及びC末端トランケーションを考
慮しないためである。クエリ配列に対してN及びC末端においてトランケートされた対象
配列について、パーセント同一性は、クエリ配列の全塩基のパーセントとして、対応する
対象残基とマッチング/アラインメントされていない、対象配列のN及びC末端であるク
エリ配列の残基の数を計算することにより補正される。残基がマッチング/アラインメン
トされているか否かは、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。次い
で、この割合は、規定のパラメータを使用する上記のFASTDBプログラムにより計算
されたパーセント同一性から減算され、最終のパーセント同一性スコアに達する。この最
終パーセント同一性スコアが、本発明のために使用されるものである。クエリ配列とマッ
チング/アラインメントされていない、対象配列のN及びC末端にある残基のみが、パー
セント同一性スコアを手作業により調整する目的に考慮される。それは、対象配列の最も
遠いN及びC末端残基の外側のクエリ残基位置のみである。クエリ配列とマッチング/ア
ラインメントされていない、FASTDBアラインメントにおいてディスプレイされる対
象配列のN及びC末端の外側の残基位置のみが手作業により補正される。他の手作業によ
る補正は、本発明のために行われるべきでない。
【0062】
天然に存在するタンパク質バリアントは、「アレルバリアント」と呼ばれ、生物体の染
色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes
11,Lewin,B.,ed.,John Wiley & Sons,New Y
ork(1985))。これらのアレルバリアントは、ポリヌクレオチドレベル及び/又
はポリペプチドレベルのいずれかにおいて変動し得る。あるいは、天然に存在しないバリ
アントは、突然変異誘発技術により、又は直接的合成により産生することができる。
【0063】
「標識」は、直接的に、又はシグナル産生系の1つ以上の追加のメンバーとの相互作用
を通して、検出可能なシグナルを提供し得る薬剤を指す。直接的に検出可能であり、本発
明において使用することができる標識としては、蛍光標識が挙げられる。具体的なフルオ
ロフォアとしては、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、シアニン色素などが挙
げられる。
【0064】
「蛍光標識」は、ある波長の光を、別の波長の光により活性化された場合に放射する能
力を有する任意の標識を指す。
【0065】
「蛍光」は、蛍光シグナルの任意の検出可能な特徴を指し、それとしては、強度、スペ
クトル、波長、細胞内分布などが挙げられる。
【0066】
蛍光を「検出すること」は、定性的又は定量的方法を使用して細胞の蛍光を評価するこ
とを指す。本発明の実施形態の一部において、蛍光は、定性的様式で検出される。換言す
れば、組換え融合タンパク質が発現されるか否かを示す蛍光マーカーが存在するか否かで
ある。他の例として、蛍光は、例えば、蛍光強度、スペクトル、又は細胞内分布を計測す
る定量的手段を使用して測定することができ、異なる条件下で得られる値の統計的比較を
可能とする。レベルは、定性的方法、例えば、複数の試料、例えば、蛍光顕微鏡又は他の
光学的検出器(例えば、画像分析システムなど)を使用して検出される試料のヒトによる
目視分析及び比較を使用して測定することもができる。蛍光における「変更」又は「モジ
ュレーション」は、別の条件と比較した特定の条件下での蛍光の強度、細胞内分布、スペ
クトル、波長、又は他の側面における任意の検出可能な差を指す。例えば、「変更」又は
「モジュレーション」は定量的に検出され、その差は統計的に有意な差である。蛍光にお
ける任意の「変更」又は「モジュレーション」は、標準的な機器、例えば、蛍光顕微鏡、
CCD、若しくは任意の他の蛍光検出器を使用して検出することができ、自動システム、
例えば、統合システムを使用して検出することができ、又はヒト観測者による変更の主観
的検出を反映し得る。
【0067】
「緑色蛍光タンパク質」(GFP)は、青色光に曝露された場合に緑色の蛍光を発する
、クラゲのエクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)/エクオレ
ア・エクオレア(Aequorea aequorea)/エクオレア・フォルスカレア
(Aequorea forskalea)から最初に単離された、238アミノ酸(2
6.9kDa)から構成されるタンパク質である。A.ビクトリア(A.victori
a)からのGFPは、395nmの波長におけるメジャー励起ピーク及び475nmにお
けるマイナーピークを有する。この発光ピークは509nmであり、それは、可視スペク
トルの低い方の緑色部分に存在する。ウミシイタケ(レニラ・レニフォルミス(Reni
lla reniformis))からのGFPは、498nmにおける単一のメジャー
励起ピークを有する。広範な使用法の潜在性及び研究者らの発展的要望に起因して、GF
Pの多くの異なる突然変異体が遺伝子操作されている。最初の主要な改善は、Roger
TsienによりNatureにおいて1995年に報告された単一点突然変異(S6
5T)であった。この突然変異は、GFPのスペクトル特徴を大幅に改善し、増加した蛍
光、光安定性及びピーク放射を509nmに保持したままでのメジャー励起ピークの48
8nmへのシフトをもたらした。この足場への37℃フォールディング効率(F64L)
点突然変異体の追加は、増強型GFP(EGFP)を生じさせた。EGFPは、9.13
×10-21m2/分子の光学的断面積としても公知であり、55,000L/(mol
・cm)としても引用される、消衰係数(εと表示される)を有する。十分にフォールデ
ィングしていないペプチドと融合した場合でさえもGFPが迅速にフォールディングし、
成熟するのを可能とする一連の突然変異であるスーパーフォールダー(Superfol
der)GFPが2006年に報告された。
【0068】
「黄色蛍光タンパク質」(YFP)は、エクオレア・ビクトリア(Aequorea
victoria)に由来する緑色蛍光タンパク質の遺伝子突然変異体である。この励起
ピークは514nmであり、その発光ピークは527nmである。
【0069】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈
が明らかに他に記述しない限り、複数の参照対象を含む。
【0070】
「ウイルス」は、宿主細胞の外側では成長も繁殖もし得ない超顕微鏡的感染性物質であ
る。それぞれのウイルス粒子、又はビリオンは、キャプシドと呼ばれる保護タンパク質コ
ート内の遺伝子材料、DNA、又はRNAからなる。キャプシド形状は、単純ならせん及
び正二十面体(多面体又はほぼ球形)形態から、尾部又はエンベロープを有するより複雑
な構造まで変動する。ウイルスは、細胞生物形態に感染し、感染される宿主のタイプに応
じて動物、植物及び細菌タイプに分類される。
【0071】
本明細書において使用される場合、用語「経シナプス性ウイルス」は、あるニューロン
から別の介在ニューロンにシナプスを通って移動し得るウイルスを指す。このような経シ
ナプス性ウイルスの例は、ラブドウイルス、例えば、狂犬病ウイルス、及びアルファヘル
ペスウイルス、例えば、仮性狂犬病ウイルス又は単純ヘルペスウイルスである。本明細書
において使用される場合、用語「経シナプス性ウイルス」はまた、あるニューロンから別
の介在ニューロンにシナプスを通って移動する能力をそれ自体で有するウイルスのサブユ
ニット及び生物学的ベクター、例えば、そのようなサブユニットを組み込み、あるニュー
ロンから別の介在ニューロンにシナプスを通って移動する能力を実証する改変ウイルスを
包含する。
【0072】
経シナプス性移動は、順行性又は逆行性のいずれかであり得る。逆行性移動の間、ウイ
ルスは、シナプス後ニューロンからシナプス前ニューロンに動く。したがって、順行性移
動の間、ウイルスは、シナプス前ニューロンからシナプス後ニューロンに動く。
【0073】
ホモログは、共通の祖先を共有するタンパク質を指す。アナログは、共通の祖先を共有
しないが、それらを1つのクラスに含めることにさせるいくつかの(構造的よりむしろ)
機能的な類似性を有する(例えば、トリプシン様セリンプロテイナーゼ及びサブチリシン
は明らかに関連せず、活性部位の外側のそれらの構造は完全に異なるが、それらは、事実
上幾何的に同一の活性部位を有し、したがって、アナログへの収束進化の一例とみなされ
る)。
【0074】
ホモログの2つのサブクラスのオルソログ及びパラログが存在する。オルソログは、異
なる種における同一遺伝子である(例えば、シトコム(cytochome)「c」)。
同一生物体における2つの遺伝子は、オルソログであり得ない。パラログは遺伝子重複の
結果である(例えば、ヘモグロビンベータ及びデルタ)。2つの遺伝子/タンパク質が相
同であり、同一生物体内に存在する場合、それらはパラログである。
【0075】
本明細書において使用される場合、用語「障害」は、不快感、疾患、疾病、臨床病態、
又は病的状態を指す。
【0076】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体」は、活性成分の生
物学的活性の有効性に干渉せず、化学的に不活性であり、それが投与される患者に対して
毒性ではない担体媒体を指す。
【0077】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な誘導体」は、対象に対し
て比較的無毒である、例えば、本発明のスクリーニングの方法を使用して同定される薬剤
の任意のホモログ、アナログ、又は断片を指す。
【0078】
用語「治療剤」は、障害又は障害の合併症の予防又は治療を補助する任意の分子、化合
物、又は治療物を指す。
【0079】
適合性医薬担体中に配合されたそのような薬剤を含む組成物は、治療のために調製し、
包装し、ラベル貼付することができる。
【0080】
複合体が水溶性である場合、それは、適切な緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水又
は他の生理学的に適合性の溶液中で配合することができる。
【0081】
あるいは、得られた複合体が水性溶媒中で不十分な溶解度を有する場合、それは、非イ
オン性界面活性剤、例えば、Tween、又はポリエチレングリコールと共に配合するこ
とができる。したがって、化合物及び生理学的に許容可能なその溶媒和物は、(口腔又は
鼻腔のいずれかを介する)吸入若しくは吹送による投与又は経口、バッカル、非経口、直
腸投与のために配合することができ、又は腫瘍の場合、固形腫瘍中に直接注射することが
できる。
【0082】
経口投与について、医薬製剤は、液体形態、例えば、液剤、シロップ剤若しくは懸濁液
剤であり得、又は使用前の水若しくは他の好適なビヒクルによる再構成のための薬物製品
として提供することができる。このような液体製剤は、薬学的に許容可能な添加剤、例え
ば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水添食用脂);乳
化剤(例えば、レシチン又はアカシアガム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、
油性エステル、又は分留植物油);及び保存剤(例えば、メチル若しくはプロピルp-ヒ
ドロキシベンゾエート又はソルビン酸)を用いて慣用の手段により調製することができる
。医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウ
モロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);
増量剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤
(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイ
モデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸
ナトリウム)を用いて慣用の手段により調製される、例えば、錠剤又はカプセル剤の形態
をとり得る。錠剤は、当分野において周知の方法によりコーティングすることができる。
【0083】
経口投与のための製剤は、活性化合物の徐放性を与えるように好適に配合することがで
きる。
【0084】
吸入による投与のため、本発明による使用のための化合物は、好適な噴射剤、例えば、
ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン
、二酸化炭素又は他の好適なガスを使用して加圧パック又はネブライザーからのエアロゾ
ルスプレー提供物の形態で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計
量された量を送達するための弁を提供することにより決定することができる。化合物及び
好適な粉末基剤、例えば、ラクトース又はデンプンの粉末混合物を含有する、吸入具又は
吸入器における使用のための例えば、ゼラチンのカプセル剤及びカートリッジを配合する
ことができる。
【0085】
化合物は、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために配合す
ることができる。注射用配合物は、添加される保存剤と共に、単位剤形中で、例えば、ア
ンプル中又は複数用量容器中で提供することができる。
【0086】
組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をと
り得、配合用薬剤(formulatory agent)、例えば、懸濁化剤、安定剤
及び/又は分散剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、使用前の好適なビヒクル、例え
ば、滅菌パイロジェンフリー水による構成のための粉末の形態であり得る。
【0087】
化合物は、例えば、局所的適用、例えば、クリーム剤又はローション剤として配合する
こともできる。
【0088】
上記の配合物に加えて、化合物はまた、デポー製剤として配合することができる。この
ような長時間作用性配合物は、埋込(例えば、眼内、皮下又は筋肉内)により、又は眼内
注射により投与することができる。
【0089】
したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー若しくは疎水性材料と共に(例えば、
許容可能な油中のエマルションとして)、又はイオン交換樹脂と共に、又は難溶性誘導体
、例えば、難溶性塩として配合することができる。リポソーム及びエマルションは、親水
性薬物のための送達ビヒクル又は担体の周知の例である。
【0090】
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパック又
は分注装置中で提供することができる。パックは、例えば、金属又はプラスチックホイル
、例えば、ブリスターパックを含み得る。パック又は分注装置には、投与についての説明
書を添付することができる。
【0091】
本発明はまた、本発明の治療レジメンを実施するためのキットを提供する。このような
キットは、1つ以上の容器中で、治療又は予防有効量の組成物を薬学的に許容可能な形態
で含む。
【0092】
キットのバイアル中の組成物は、例えば、滅菌生理食塩水、デキストロース溶液、又は
緩衝溶液、又は他の薬学的に許容可能な滅菌流体との組合せで、薬学的に許容可能な溶液
の形態であり得る。あるいは、複合体は、凍結乾燥又は乾燥させることができ;この場合
、キットは、場合により、容器中で複合体を再構成して注射目的の溶液を形成するための
好ましくは滅菌した薬学的に許容可能な溶液(例えば、生理食塩水、デキストロース溶液
など)をさらに含む。
【0093】
別の実施形態において、キットは、複合体を注射するための、好ましくは無菌形態で包
装された針若しくはシリンジ、及び/又は包装されたアルコールパッドをさらに含む。臨
床医又は患者による組成物の投与についての説明書が場合により含まれる。
【0094】
特に定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本
発明が属する分野の当業者により一般に理解されているものと同一の意味を有する。本明
細書に記載のものと類似又は均等の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用するこ
とができるが、好適な方法及び材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本明
細書が優先される。さらに、材料、方法、及び実施例は説明のためのものにすぎず、限定
的なものではない。
【実施例0095】
遺伝子構築物
本実施例において使用されるプロモーター(964bp;配列番号3)は、配列番号2
の最小プロモーターSV40プロモーターに結合している配列番号1のものからなる。C
hR2-eGFPコード配列をこのプロモーター及び最適化コザック配列(GCCACC
)の直後に挿入し、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)及び
SV40ポリアデニル化部位が続いた。2.9E+10GC/mLの力価を有するAAV
血清型2/8を使用して、網膜ニューロンを標的化した。
【0096】
ウイルス形質移入及び組織調製
AAV投与のため、麻酔した動物の眼球をレンズに近い強膜中で鋭利な30ゲージ針に
より穿刺した。2マイクロLのAAV粒子懸濁液をHamiltonシリンジにより網膜
下注射した。3週間後、単離網膜をPBS中4%のPFA中で30分間固定し、次いで洗
浄ステップをPBS中で4℃において行った。全網膜をPBS中10%の正常ロバ血清(
NDS)、1%のBSA、0.5%のTriton X-100により室温において1時
間処理した。PBS中3%のNDS、1%のBSA、0.5%のTriton X-10
0中のモノクローナルラット抗GFP Ab(Molecular Probes In
c.;1:500)及びポリクローナルヤギ抗ChAT(Millipore:1:20
0)による処理を、室温において5日間実施した。二次ロバ抗ラットAlexa Flu
or-488 Ab(Molecular Probes Inc.;1:200)、抗
ヤギAlexa Fluor-633及びヘキストによる処理を2時間行った。切片を洗
浄し、ProLong Gold退色防止試薬(Molecular Probes I
nc.)によりスライドガラス上にマウントし、Zeiss LSM 700 Axio
Imager Z2レーザー走査型共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Inc.)
を使用して撮影した。