(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075190
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】変動料金管理システム、通行記録管理装置、及び通行記録管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230523BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230523BHJP
G07B 15/06 20110101ALI20230523BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230523BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G07B15/06
G07B15/00 510
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029932
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2018117905の分割
【原出願日】2018-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝賀瀬 明
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳弘
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通行車両の運転者等により目視される表示情報への問合せ対応の負担を軽減することが可能な変動料金管理システムを提供する。
【解決手段】通行料金が変動する道路に設置され、通行車両の車載器と通信を行う路側通信装置と、通行する車両に対して情報を表示するための表示装置と、車両の通行を記録する通行記録管理装置と、を備える。表示装置は、通行記録管理装置で決定された表示期間に、変動料金の変動内容を表示する。通行記録管理装置は、適用する変動料金の適用区間と適用時間帯を決定し、変動料金の適用時間帯よりも所定時間だけ早い時間帯となるように当該表示装置で表示する表示期間を決定し、表示装置に表示させる変動料金情報の表示期間と、通行車両の識別情報を受信した通信記録に含まれる通信日時とを比較することで、運転者による変動料金情報の認識可否を判定し、当該判定結果を含む通行記録を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行料金が変動する道路に設置され、通行車両の車載器と通信を行う路側通信装置と、通行する車両に対して情報を表示するための表示装置と、車両の通行を記録する通行記録管理装置と、を備える変動料金管理システムにおいて、
前記表示装置は、
前記通行記録管理装置で決定された表示期間に、変動料金の変動内容を表示し、
前記通行記録管理装置は、
変動料金を適用する時に、適用する変動料金の適用区間と適用時間帯を決定し、前記適用区間よりも上流の表示装置の中から当該変動料金を表示させる表示装置と、当該変動料金の適用時間帯よりも所定時間だけ早い時間帯となるように当該表示装置で表示する前記表示期間を、決定する変動料金決定部と、
前記路側通信装置で通行車両から受信した、通行車両の車載器または車載器に挿入されたICカードの識別情報を受信する通信部と、
前記変動料金決定部で決定した変動料金を決定した表示期間の間に、通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置を介して表示させるように制御し、前記表示装置に表示させる前記変動料金情報の表示期間と、前記通信部における通行車両の識別情報を受信した通信記録に含まれる通信日時とを比較することで、運転者による前記変動料金情報の認識可否を判定し、当該判定結果を含む通行記録を生成する情報処理部と、
を備えた
変動料金管理システム。
【請求項2】
前記路側通信装置と前記表示装置とは、前記道路の同じ位置に設置され、
前記表示装置による前記変動料金情報の前記表示期間と、前記路側通信装置における前記車載器との前記通信日時に基づき通行記録を生成し、前記表示期間と前記通信日時とを比較することで前記変動料金情報の認識可否を判定する、
請求項1記載の変動料金管理システム。
【請求項3】
前記通信日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合、または前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する、
請求項2の変動料金管理システム。
【請求項4】
前記表示装置と前記路側通信装置とは、前記道路の離れた位置に対応付けて設置され、
前記情報処理部は、
対応付けられた前記路側通信装置と前記表示装置の設置場所の差分距離に応じた補正時間を検出し、前記補正時間、所定の表示識別情報に対応付けられる前記所定の表示装置による前記変動料金情報の前記表示期間、及び所定の通信識別情報に対応付けられる前記所定の通信装置の前記通信日時を比較して、前記変動料金情報の認識可否を判定し、判定結果を含む通行記録を生成する、
請求項1の変動料金管理システム。
【請求項5】
前記通信日時に前記補正時間を加算した補正日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合、または前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する、
請求項4の変動料金管理システム。
【請求項6】
前記表示装置は、車種毎の変動料金を交互に表示する、
請求項1記載の変動料金管理システム。
【請求項7】
前記表示装置は、所要時間と変動料金とを交互に表示する、
請求項1記載の変動料金管理システム。
【請求項8】
前記表示装置は、所要時間及び料金を、混雑度に応じて異なる色で表示する、
請求項1記載の変動料金管理システム。
【請求項9】
前記車両の車載器は、運転者又は同乗者による確認ボタンのタッチ或いは所定音声を検出することによる確認入力が可能なカーナビゲーション装置に接続されており、
前記路側通信装置は、前記通行車両の車載器へ変動料金情報を送信し、前記車載器から通行車両の車載器または車載器に挿入されたICカードの識別情報に加えて、前記車載器に接続されたカーナビゲーション装置から送信される前記変動料金情報に対する前記確認入力を含む前記通信記録を受信し、
前記情報処理部は、前記通信記録に基づき前記通行記録を生成する、
請求項1の変動料金管理システム。
【請求項10】
変動料金を適用する時に、適用する変動料金の適用区間と適用時間帯を決定し、前記適用区間よりも上流の表示装置の中から当該変動料金を表示させる表示装置と、当該変動料金の適用時間帯よりも所定時間だけ早い時間帯となるように当該表示装置で表示する表示期間を、決定する変動料金決定部と、
通行車両の車載器から送信されるICカード識別情報を受信する路側通信装置の通信記録を受信する通信部と、
前記変動料金決定部で決定した変動料金を決定した表示期間の間に、通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置を介して表示させるように制御し、前記表示装置に表示させる前記変動料金情報の表示期間と、前記通信部における通行車両の識別情報を受信した前記通信記録に含まれる通信日時とを比較することで、運転者による前記変動料金情報の認識可否を判定し、当該判定結果を含む通行記録を生成する情報処理部と、
を備えた通行記録管理装置。
【請求項11】
前記情報処理部は、同じ設置場所に設置された前記表示装置による前記変動料金情報の前記表示期間と、前記路側通信装置における前記車載器との前記通信日時に基づく通行記録とを比較することで前記変動料金情報の認識可否を判定する
請求項10に記載の通行記録管理装置。
【請求項12】
前記通信日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合、または、前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する
請求項11の通行記録管理装置。
【請求項13】
前記情報処理部は、前記路側通信装置の設置場所と、対応付けられて離れた場所に設置された表示装置の設置場所の差分距離に応じた補正時間を検出し、
前記補正時間、所定の表示識別情報に対応付けられる前記所定の表示装置による前記変動料金情報の前記表示期間、及び所定の通信識別情報に対応付けられる前記所定の通信装置の前記通信記録に含まれる通信日時に基づき、前記変動料金情報の認識可否を判定し、判定結果を含む通行記録を生成する
請求項10の通行記録管理装置。
【請求項14】
前記通信日時に前記補正時間を加算した補正日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合、または前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する、
請求項13の通行記録管理装置。
【請求項15】
前記通信部は、
前記路側通信装置を介して前記通行車両の車載器へ変動料金情報を送信し、前記車載器から通行車両の車載器または車載器に挿入されたICカードの識別情報に加えて、前記車載器に接続されたカーナビゲーション装置から送信される前記変動料金情報に対し、運転者又は同乗者による確認ボタンのタッチ或いは所定音声が前記カーナビゲーション装置により検出されること示す確認入力を含む前記通信記録を受信し、
前記情報処理部は、前記通信記録に基づき前記通行記録を生成する、
請求項10の通行記録管理装置。
【請求項16】
変動料金決定部は、変動料金を適用するときに、適用する変動料金の適用区間と適用時間帯を決定し、
前記変動料金決定部は、前記適用区間よりも上流の表示装置の中から当該変動料金を表示させる表示装置と、当該変動料金の適用時間帯よりも所定時間だけ早い時間帯となるように当該表示装置で表示する表示期間を決定し、
通行記録管理部は、前記変動料金決定部で決定した変動料金を決定した表示期間の間に、通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置を介して表示させるように制御し、
通信部は、通行車両の車載器から送信されるICカード識別情報を受信する路側通信装置の通信記録を受信し、
前記通行記録管理部は、前記通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置による変動料金情報の表示期間と、及び前記通信記録に含まれる通信日時を比較することで運転者による前記変動料金情報の認識可否を判定し、
当該判定結果を含む通行記録を生成する
通行記録管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通行記録管理装置及び通行記録管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の有料道路の料金収受は、入口料金所及び出口料金所(以下、「料金所」と称する)において、車両の車載器と料金所の路側通信装置との間の無線通信により、料金収受を可能とした電子料金収受システム(Electronic Toll Collection System、以下、「ETCシステム」と称する)が普及している。
【0003】
更に、高速道路等の有料道路における渋滞を緩和や交通量の分散を図る等の目的で、ETCシステムの利用者に対して、時間帯又は曜日に基づく通行料金の割引が実施されている。
【0004】
これらの各種割引施策により、交通量の分散が図られているが、より効果的な渋滞緩和策として、有料道路の混雑状況等に応じて一定時間毎に変動する経路別の変動料金が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4427398号公報
【特許文献2】特開2014-149225号公報
【特許文献3】特許第3938491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一定時間毎に変動する経路別の変動料金を導入する場合、料金体系が複雑になるため、運転者へ確実な情報通知が必要となる。料金へ変動の通知を、道路上に設けられた情報板を用いて行う場合、運転者が、変動料金に関する案内情報を情報板から知り得たのか、あるいは知り得てないかによって、賢く経路を選択できない可能性がある。
【0007】
しかしながら、現状では、車両がいつ情報板又は情報板付近を通過したかは不明であるため、情報板により所定期間に案内情報が表示されていたとしても、その車両の運転者が案内情報を知り得たか否かを検証することは難しい。つまり、運転者による案内情報の認識可否を検証するための材料となる情報が無いため、このような運転者からの問合せへの対応が必要になる。
【0008】
本発明の目的は、通行車両の運転者等により目視される表示情報を知り得たか否かを検証が可能な通行記録管理装置及び通行記録管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る変動料金管理システムは、通行記録管理装置通行料金が変動する道路に設置され、通行車両の車載器と通信を行う路側通信装置と、通行する車両に対して情報を表示するための表示装置と、車両の通行を記録する通行記録管理装置と、を備える。前記表示装置は、前記通行記録管理装置で決定された表示期間に、変動料金の変動内容を表示し、前記通行記録管理装置は、変動料金を適用する時に、適用する変動料金の適用区間と適用時間帯を決定し、前記適用区間よりも上流の表示装置の中から当該変動料金表示させる表示装置と、当該変動料金の適用時間帯よりも所定時間だけ早い時間帯となるように当該表示装置で表示する前記表示期間を、決定する変動料金決定部と、前記路側通信装置で通行車両から受信した、通行車両の車載器または車載器に挿入されたICカードの識別情報を受信する通信部と、前記変動料金決定部で決定した変動料金を決定した表示期間の間に、通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置を介して表示させるように制御し、前記表示装置に表示させる前記変動料金情報の表示期間と、前記通信部における通行車両の識別情報を受信した通信記録に含まれる通信日時とを比較することで、運転者による前記変動料金情報の認識可否を判定し、当該判定結果を含む通行記録を生成する情報処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】変動料金管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】対応して設置される表示装置と路側通信装置の対応付けテーブルの一例を示す図である。
【
図4】表示装置による変動料金情報の表示例を示す図である。
【
図5】車両と表示装置の間の距離(X1)と、車両の運転者から表示装置の表示への視角(仰角θ1)との関係を示す図である。
【
図6】路側通信装置のアンテナの通信領域の一例を示す上面図である。
【
図7】車両と表示装置の間の距離(X2)と、車両の運転者から表示装置の表示への視角(仰角θ2)との関係を示す図である。
【
図9】変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の一例を示す図である。
【
図10】変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の一例を示す図である。
【
図11】変動料金管理システムの情報処理シーケンスの一例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態に係る路側通信装置のアンテナと表示装置の設置例を示す図である。
【
図13】基準点から各アンテナまでの距離、及び基準点から各表示装置までの距離を示す距離テーブルの一例を示す図である。
【
図15】変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の一例を示す図である。
【
図16】変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の一例を示す図である。
【
図17】カーナビゲーション装置の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して第1~第3の実施形態に係る変動料金管理システムの一例について説明する。各実施形態では、ETCシステムと共に運用する変動料金管理システムについて説明する。
【0012】
ETCシステムは、有料道路等の料金収受を行うシステムであり、ETC中央装置と料金所装置から構成される。
料金所装置は通信装置を備え、この通信装置は料金所の車線を通行する車両に搭載された車載器と無線通信し、車載器から送信される車載器の識別情報(以下、「車載器情報」と称する)及び、ETCカードと呼ばれるICカードの識別情報(以下、「ICカード情報」と称する)を受信する。料金所装置は受信した車載器情報、ICカード情報、および料金所装置側で検知した情報に基づき、課金処理を実行する。また、その結果はETC中央装置に通知する。
なお、車載器は、ICカードが装填可能に構成され、車載器は、装填されたICカードからICカード情報を読み出す。
【0013】
また、高速道路等の有料道路では、利用者が混雑状況等に応じて容易に経路を判断できるように、経路別の所要時間及び渋滞状況などの経路判断情報が提供されている。例えば、有料道路を通行する車両の運転手に経路判断情報を伝える手段として、以下(1)~(6)が検討されている。
(1)情報板
(2)ハイウェイラジオ
(3)カーナビ
(4)VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)
(5)ITS(Intelligent Transport Systems)スポット(ETC2.0)
(6)スマートホン
これらの経路判断情報を伝える手段の内、最も効果的な伝達方法として、情報板による伝達について、検討する。
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、情報板と称される表示装置と対応する位置に路側通信装置のアンテナが設置されるケースについて説明する。本ケースとしては、例えば、表示装置に、路側通信装置のアンテナが直接取り付けられるようなケース、及び道路を跨いで設けられるガントリーに、表示装置と路側通信装置のアンテナとが取り付けられるケースなどがある。
【0015】
図1は、変動料金管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、変動料金管理システムは、変動料金決定装置1、表示情報作成装置2、通行記録管理装置3、エビデンス記録部4、複数の表示装置(情報板)5、複数の路側通信装置6、及び複数の端末装置7等を備える。
【0016】
変動料金決定装置1、表示情報作成装置2、通行記録管理装置3、エビデンス記録部4、及び端末装置7は、中央側の装置であり、特に設置場所は限定されない。
一方の複数の表示装置5及び複数の路側通信装置6は、道路側の装置であり、道路上又は道路に沿って設置される。各表示装置5は、車両の運転者が車両運転中に目視可能な位置に設置される。また、各路側通信装置6は、表示装置5に対応する位置に設置される。
【0017】
まず、変動料金決定装置1について説明する。変動料金決定装置1は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備える。
【0018】
変動料金決定装置1の制御部11は、各時間帯における各経路の渋滞情報及び渋滞予測から、混雑度及び所要時間を予測する。そして、各時間帯における各経路の混雑度及び所要時間に基づき、通行料金を変更することで生ずる混雑緩和の効果を考慮し、各時間帯における各経路の通行料金(以下、「変動料金」と称する)を決定する。ここで、「変動料金」の決定は、システムにより自動的な決定でも、操作員の判断より手入力でシステムに登録するようにしてもよい。
【0019】
そして、制御部11は、この変動料金の適用期間に対して、変動料金に関する表示期間として、所定時間だけ早い時間帯を決定し、複数の表示装置5のうちの表示対象となる表示装置5を決定する。
【0020】
ここで、変動料金の表示期間を、適用期間より所定時間だけ早い時間帯とする理由は、運転者が経路を予め選択が可能な、変動料金の適用区間への分岐の数キロから数百メートル手前に表示装置5での表示が必要なためである。
【0021】
変動料金決定装置1の記憶部12は、各経路の規定料金、対応付けテーブル(
図2)、及び変動料金管理情報(
図3)を記憶する。
【0022】
変動料金決定装置1の通信部13は、渋滞情報サーバと通信して各時間帯における各経路の渋滞情報及び渋滞予測を受信し、また、表示情報作成装置2と通信して対応付けテーブル、及び変動料金管理情報を送信する。
【0023】
制御部11は、対応して設置される表示装置5と路側通信装置6の対応付けテーブルに基づき、表示対象となる表示装置5の識別情報(以下、「表示装置情報」と称する)を決定する。また、制御部11は、変動料金及び表示期間等の情報を含む変動料金管理情報を生成する。
【0024】
図2は、表示装置と路側通信装置の対応付けテーブルの一例を示す図である。
図2に示すように、対応付けテーブルは、対応して設置される表示装置5の第1の表示装置情報(例えば1001)と、路側通信装置6の第1の路側通信装置情報(例えば2001)とを対応付けるテーブルである。
【0025】
図3は、変動料金管理情報の一例を示す図である。
図3に示すように、変動料金管理情報は、表示対象となる表示装置5の表示装置情報)に対し、当該表示装置における表示期間、変動料金の適用期間、各経路の混雑度、所要時間、変動料金、種別(規定/割引)等を含む。
【0026】
例えば、
図4に示すように、車両進行方向の上流から下流に向けて、A地点、B地点(分岐点)、C地点(合流点)、及びD地点が存在するとする。そして、B地点とC地点の間には複数経路(経路Xと経路Y)が存在するケースを想定する。
さらに、渋滞予測の結果、2018年7月1日の10時00分00秒~12時59分59秒の時間帯に経路Xの混雑度が高く、同時間帯の経路Yの混雑度が低いと予測されているケースを想定する。この場合、経路Yの距離が経路Xの距離より長くても、経路Yの料金が安いことから経路Yの迂回による経路Xの混雑の緩和効果が期待される。
【0027】
本ケースでは、制御部11は、変動料金の適用期間を2018年7月1日の10時00分00秒~12時59分59秒とし、経路別の料金を、経路Xを規定料金(1000円)とし、経路Yを割引料金(例えば規定料金1200円の3割引の840円)と決定する。
そして、当該変動料金の表示期間を、適用期間の開始時間より少し前の9時59分00秒~12時58分59秒とする。また、表示対象は、分岐点より上流側(例えば分岐点より2km上流側)に設置される表示装置5の第1の表示装置情報(例えば1001)を決定する。
【0028】
また、交通量予測に基づく渋滞だけでなく、予定されているイベント(例えば、工事等)により渋滞が予測される場合に変動料金を設定することもできる。
例えば、2018年7月1日の10時00分00秒~12時59分59秒の経路Xでの工事予定が登録されている場合、係員の操作により、変動料金管理情報を生成するようにしてもよい。制御部11は、当該工事予定情報に基づき、変動料金の適用期間として2018年7月1日の10時00分00秒~12時59分59秒を設定し、経路Xについては規定料金(割引なし)に決定し、経路Yについては割引料金と決定する。
そして、変動料金の表示期間として、適用開始時間の少し前の2018年7月1日の9時59分00秒~12時58分59秒を決定する。これにより、工事区間の迂回効果が期待され、渋滞緩和を図ることができる。
【0029】
次に、
図1に戻り、表示情報作成装置2について説明する。表示情報作成装置2は、制御部21、記憶部22、及び通信部23を備える。
【0030】
表示情報作成装置2の通信部23は、変動料金決定装置1の通信部13と通信し、対応付けテーブル、及び変動料金管理情報を受信する。表示情報作成装置2の記憶部22は、対応付けテーブル、及び変動料金管理情報を記憶する。表示情報作成装置2の制御部21は、変動料金管理情報に含まれる変動料金情報に対応する表示情報を作成する。また、通信部23は、通行記録管理装置3と通信し、対応付けテーブル、変動料金管理情報、及び表示情報を送信する。
【0031】
次に、通行記録管理装置3について説明する。通行記録管理装置3は、制御部(情報処理部)31、記憶部32、及び通信部33を備える。
【0032】
通行記録管理装置3の通信部33は、表示情報作成装置2の通信部23と通信し、対応付けテーブル、変動料金管理情報、及び表示情報を受信する。通行記録管理装置3の記憶部32は、対応付けテーブル、変動料金管理情報、及び表示情報を記憶する。
【0033】
通行記録管理装置3の制御部31は、変動料金管理情報に基づき表示情報の表示を指示する。つまり、制御部31は、第1の表示装置情報に対応する表示装置5に対して、表示期間にわたり表示情報を表示するように指示する。
また、通信部33は、第1の表示装置情報に対応する表示装置5と通信し、表示情報及び表示期間を送信する。また、通信部33は、路側通信装置6と通信し、表示情報の表示に関する注意喚起を示す情報を送信する。また、通信部33は、路側通信装置6と通信し路側通信装置6の通信記録を受信する。通信記録については後に詳しく説明する。
【0034】
さらに、制御部31は、変動料金管理情報及び通信記録に基づき通行記録を生成する。通信部33は、エビデンス記録部4へ通行記録を送信する。エビデンス記録部4は、通行記録管理装置3の通信部33から送信される通行記録を記録する。通行記録については後に詳しく説明する。
【0035】
次に、表示装置5について説明する。表示装置5は、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54を備える。
【0036】
表示装置5の通信部53は、通行記録管理装置3の通信部33と通信し、表示情報及び表示期間を受信する。表示装置5の記憶部52は、表示情報及び表示期間を記憶する。
表示装置5の制御部51は、表示期間に含まれる表示開始日時に基づき表示情報の表示開始を指示し、また、表示期間に含まれる表示終了日時に基づき表示情報の表示停止を指示する。表示装置5の表示部54は、表示開始日時に基づき表示情報の表示を開始し、また、表示終了日時に基づき表示情報の表示を終了する。
【0037】
図4は、表示装置による変動料金情報の表示例を示す図である。
【0038】
図4に示すように、表示装置5には、経路全体のイメージ、及び経路別の所要時間と変動料金等が表示される。例えば、車両進行方向の上流から下流に向けて、A地点、B地点(分岐点)、C地点(合流点)、及びD地点が表示される。また、B地点とC地点の間の複数経路(経路Xと経路Y)が表示され、各路線(経路Xと経路Y)の所要時間、変動料金に関する情報(金額と種別(規定/割引))が表示される。
【0039】
ここで、変動料金は、車種別に設定される場合もある。この場合、全ての車種の変動料金を表示すると、表示情報が多くなりすぎることで、車両のドライバからの視認性が劣化する。この場合は、車種毎の変動料金を交互に表示するようにしても良い。
【0040】
更に、
図4では、所有時間と変動料金の両方を表示しているが、表示板の大きさを大きくできない場合は、表示情報が多くなりすぎることで、車両のドライバからの視認性が劣化する。この場合は、所要時間と変動料金とを交互に表示するようにしても良い。
【0041】
また、所要時間及び料金を、混雑度に応じて異なる色で表示してもよい。例えば、混雑度が高い順に赤色、橙色、緑色で表示する。例えば、「経路X」、「60分」、「1000円」、及び「規定」は第1の色(赤色)、「経路Y」、「30分」、「840円」、及び「割引」は第2の色(緑色)で表示される。運転者は、色で情報を識別して短時間で所望の経路を決定することができる。
【0042】
次に、路側に設けられる路側通信装置6について説明する。路側通信装置6は、通信部61、記憶部62、及びアンテナ63を備える。
【0043】
例えば、路側通信装置6のアンテナ63は、道路面より6mの高さに設置されるDSRC(Dedicated Short Range Communications)アンテナである。アンテナ63は、通行車両の車載器8と無線通信し、車載器8に対して通信要求を送信し、車載器8から送信される各種情報を受信する。例えば、アンテナ63は、車載器8から送信される車載器情報、及び車載器8に装填中のICカードのICカード情報を受信する。
路側通信装置6の記憶部62は、路側通信装置6と車載器8との間の通信記録を記憶する。路側通信装置6の通信部61は、通行記録管理装置3の通信部33と通信し、通信記録を送信する。
【0044】
図5は、車両と表示装置の間の距離(X1)と、車両の運転者から表示装置の表示への視角(仰角θ1)との関係を示す図である。例えば、表示装置5は、分岐点から750m以上の上流側に設置される。これにより、表示装置5の表示内容を見た運転者は、分岐点へ到達するまでに、必要により車線変更等を行って安全にルートを選択することができる。運転手が表示装置の表示内容を見る場合、表示装置の50m程度手前(仰角θ1=10度以下)で見ることが予想される。
【0045】
図6は、地上から6mの高さに設置された路側通信装置(アンテナ)の地上から1mの高さにおける通信領域の一例を示す上面図である。
図6に示すように、アンテナ63による通信状態が非常に良好な第1通信領域と、アンテナ63による通信状態が良好な第2通信領域が形成される。
【0046】
図7は、車両と表示装置の間の距離(X2)と、車両の運転者から表示装置の表示への視角(仰角θ2)との関係を示す図である。
図6に示すアンテナ63の通信範囲は、
図7中の斜線部分に対応する。このアンテナ63の通信範囲(アンテナ63から10m手前)に車両が進入したとき(仰角θ2=35度)は、表示装置5の表示内容を目視できる限界の位置と思われるが、この位置を通過する車両の運転者を「表示装置5の表示内容を見ることができた」と扱う。
【0047】
図8は、通行記録管理装置3の記憶部32に蓄積される通信記録の一例を示す図である。
図8に示すように、通信記録は、路側通信装置6に対応する第1の路側通信装置情報(例えば2001)、路側通信装置6と車載器8との通信日時(年月日時分秒)、車載器情報(例えば3001)、及びICカード情報(例えば4001)とを対応したテーブルとなっている。なお、路側通信装置6と車載器8との通信時間は数msであり、通信開始日時及び通信終了日時は実質的に同じ時間になるので、通信日時としては通信開始日時及び通信終了日時の一方でよいが、通信開始日時及び通信終了日時の両方を含んでもよい。
【0048】
ここで、通行記録は、
図3に示す変動料金管理情報及び
図8に示す通信記録を含む情報であってもよいし、変動料金管理情報及び通信記録から加工して生成される情報であってもよい。係員は、通行記録を目視しながら、ユーザからの問合せに対応する。
【0049】
次に、通行記録の詳細について説明する。
通行記録管理装置3の制御部(情報処理部)31は、変動料金情報の表示期間、及び通信記録に含まれる通信日時に基づき、運転者による変動料金情報の認識可否を検証するための通行記録を生成する。制御部31は、表示期間及び通信日時に基づき、変動料金情報の認識可否を判定し、判定結果を含む通行記録を生成してもよい。
【0050】
図9は、変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の一例を示す図である。
図9は、路側通信装置(路側通信装置情報:2001)と車載器(車載器情報:3001)との通信日時が2018年7月1日の10時01分00秒であった場合の通行記録である。
【0051】
まず、最初の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日9時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日12時58分59秒のケース)については、記録されている通信日時が、表示期間に含まれる表示開始日時以後から表示終了日時以前の間であるため、制御部31は、変動料金情報の認識可の判定結果を生成する。
【0052】
また、
図9の次の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日12時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日18時58分59秒のケース)については、記録されている通信日時が、表示期間に含まれる表示開始日時より前(古い日時)となるため、制御部31は、変動料金情報の認識不可の判定結果を生成する。
【0053】
更に、
図10は、変動料金情報の認識可否の判定結果を含む通行記録の他の例を示す図である。
図10は、路側通信装置(路側通信装置情報:2001)と車載器(車載器情報:3006)との通信日時が2018年7月1日の13時01分00秒であった場合の通行記録である。
【0054】
まず、最初の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日9時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日12時58分59秒のケース)については、記録されている通信日時が、表示期間に含まれる表示終了日時より後(新しい日時)となるため、制御部31は、変動料金情報の認識不可の判定結果を生成する。
【0055】
また、
図10の次の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日12時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日18時58分59秒のケース)については、記録されている通信日時が、表示期間に含まれる表示開始日時以後から表示終了日時以前の間の日時であるため、制御部31は、変動料金情報の認識可の判定結果を生成する。
【0056】
図1に戻り、次に、係員が操作する端末装置7について説明する。
端末装置7は、例えばパーソナルコンピュータであり、係員により使用される端末装置である。端末装置7は、
図1に示すように、制御部71、記憶部72、通信部73、表示部74、及び入力部75を備える。
【0057】
係員は、ユーザから料金に関する問合せを受けると、例えば、係員は、端末装置7の入力部75を介して、運転者から照会を受けたICカード情報(例えば4003)を入力する。端末装置7の制御部71は、この要求に基づき端末装置7の通信部73を介して、エビデンス記録部4へ通行記録を要求する。通信部73は、エビデンス記録部4から送信される通行記録を受信すると、端末装置7の表示部74に、
図9に示す通行記録を表示させることができる。係員は、この通行記録を目視しながら、問合せに適切且つ効率的に対応することができる。
【0058】
同様に、係員は、入力部75を介して、運転者から照会を受けたICカード情報(例えば4009)を入力し、端末装置7の表示部74に、
図10に示す通行記録を表示させることができる。係員は、この通行記録を目視しながら、問合せに適切且つ効率的に対応することができる。例えば、運転者が経路Yの840円の割引適用されていないことについて問合せをしてきたとしても、係員は、通信日時(2018年7月1日 13時01分00秒)から経路Yの840円の割引は適用されない旨を説明することができる。
【0059】
図11は、変動料金管理システムの情報処理シーケンスの一例を示す図である。
図11に示すように、変動料金決定装置1は、各時間帯における各経路の混雑度及び所要時間、または予め登録されたイベント(工事等)に基づき各時間帯における各経路の変動料金を決定する(ステップST11)。この時、変動料金は、係員による手入力で設定しても良い。
そして、変動料金決定装置1は、各時間帯における各経路の混雑度、所要時間、及び変動料金等を含む変動料金情報を生成し、この変動料金情報の送信対象の第1の表示装置情報を決定し、変動料金情報、表示期間、及び表示対象の第1の表示装置情報等を含む変動料金管理情報を送信する(ステップST12)。
【0060】
表示情報作成装置2は、変動料金管理情報に含まれる変動料金情報に基づき表示情報を作成する(ステップST21)。
そして、表示情報作成装置2は、通行記録管理装置3に対して、変動料金管理情報及び表示情報を送信する(ステップST22)。
【0061】
通行記録管理装置3は、変動料金管理情報に含まれる第1の表示装置情報に対応する表示装置5に対して、表示情報及び表示期間を送信する(ステップST31)。
また、通行記録管理装置3は、路側通信装置6に対して、表示情報の表示に関する注意喚起を示す情報を送信する(ステップST32)。
【0062】
表示装置5は、表示期間に含まれる表示開始日時に基づき表示情報の表示を開始し、また、表示期間に含まれる表示終了日時に基づき表示情報の表示を終了する(ステップST51)。
【0063】
路側通信装置6は、通信領域に進入する車両の車載器8に初期接続(通信開始)を要求する(ステップST61)。
車載器8は、初期接続の要求に基づき、車載器情報とICカード情報等の固有情報を返信する(ステップST71)。
路側通信装置6は、表示情報(変動料金情報)の表示に関する注意喚起を示す情報の出力指示を送信する(ステップST62)。
車載器8は、この出力指示の受信確認を返信し(ステップST72)、注意喚起をスピーカ及びディスプレイにより出力する。
【0064】
第1の路側通信装置情報に対応する路側通信装置6は、通行記録管理装置3に対して、通信記録を送信する(ステップST63)。通信記録は、第1の路側通信装置情報に対応する路側通信装置6と車載器8との通信日時、及び路側通信装置6で車載器8から受信した車載器情報とICカード情報等の固有情報を含む。
【0065】
通行記録管理装置3は、変動料金管理情報(
図3)及び通信記録(
図8)に基づき通行記録(
図9、
図10)を生成し、エビデンス記録部4へ通行記録を送信する(ステップST33)。エビデンス記録部4は、通行記録を記録する。
【0066】
以上により、変動料金管理システムによれば、表示期間及び通信日時を含む通行記録が生成され記録され、必要に応じて通行記録を表示することができる。
このため、運転者から料金に対する問合せを受けた場合、当該運転者のICカード情報を検索キーとして、このICカード情報に対応する通行記録を表示することができる。これにより、運転者により表示情報が目視できる状況にあったことを立証できる。
【0067】
また、車載器8は、表示装置5による変動料金情報の表示に関する注意喚起をスピーカ及びディスプレイにより出力することにより、変動料金情報が表示されていることを運転者に認識させてもよい。
【0068】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、路側通信装置6のアンテナ63と表示装置5とが対応する位置に設置されるケースについて説明したが、第2の実施形態では、路側通信装置6のアンテナ63と表示装置5とが独立した位置に設置されるケースについて説明する。この場合、路車間通信用に予め設定されている路側アンテナを用いることで、改めて表示装置5にアンテナを設置しなくても、構成が可能になる。
【0069】
図12は、第2の実施形態に係る路側通信装置のアンテナと表示装置の設置例を示す図である。第2の実施形態を説明するにあたり、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、共通する部分の説明は適宜省略する。本実施の形態では、表示装置5と少し離れた地点に、アンテナ63が設けられている。ここで、アンテナ63は1つでも複数でもよい。
【0070】
また、
図1に示す通行記録管理装置3の記憶部32は、基準点から各アンテナ63までの距離、及び基準点から各表示装置5までの距離を示すテーブルを記憶する。
【0071】
図13は、道路上に設定された基準点から、各アンテナ63(各路側通信装置情報)までの距離、及び基準点から各表示装置5(各表示装置情報)までの距離を示す距離テーブルの一例を示す図である。
【0072】
ここで、第2の路側通信装置情報(例えば2011)のアンテナ63アンテナについての補正時間は、第2の表示装置情報(1011)の表示装置5との差分距離に基づき求められる。具体的には、
図13に示されるように、第2の路側通信装置情報(2011)のアンテナ63の距離10.00Kmと、第2の表示装置情報(1011)の表示装置5の距離7.00Kmとの差分距離は、3.00kmとなる。このため、第2の路側通信装置情報のアンテナ63の通信日時にこの区間の平均的な走行速度を加味して算出した90秒(補正時間)とする。
そして、通行記録の記録された時間に当該補正時間を加算した時間と、第2の表示装置情報の表示装置5で表示された情報との対比により、認識可否を判定する。補正時間は、差分距離に応じて定まる。差分距離が長い程、補正時間は長くなり、差分距離が短い程、補正時間は短くなる。
【0073】
同様に、第3の路側通信装置情報(例えば2012)のアンテナ63の距離9.40Kmと、第2の表示装置情報(例えば1011)の表示装置5の距離10.00Kmとの差分距離は、0.60kmである。このため、第3の路側通信装置情報のアンテナ63の通信日時に18秒(補正時間)を加算し、第2の表示装置情報の表示装置5で表示された情報の認識可否を判定する。
【0074】
図14は、通信記録の一例を示す図である。
図8と同様に、路側通信装置情報毎に通信した通信日時、車載器情報、及びICカード情報が対応させて記憶される。
【0075】
図15は、路側通信装置(路側通信装置情報:2011)と車載器(車載器情報:3011)の通信記録に基づく通行記録の一例を示す図である。ここでは、上述のように、補正時間を90秒とし、補正時間(90秒)を加算した通信日時の補正日時と、表示期間(表示開始日時及び表示終了日時)とを比較して、運転者の認識可/不可を判定する。
【0076】
図15は、路側通信装置(路側通信装置情報:2011)との通信日時が2018年7月1日の12時58分00秒である。
【0077】
まず、最初の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日9時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日12時58分59秒のケース)については、
図13のテーブルから求めた補正時間(例えば90秒)を加算した補正日時(2018年7月1日の12時59分30秒)と表示期間とを比較する。この場合、補正日時が、表示終了日時より後であるため、制御部31は、変動料金情報の認識不可の判定結果を生成する。
【0078】
また、次の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日12時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日18時58分59秒のケース)については、通信日時に補正時間(例えば90秒)を加算した補正日時(2018年7月1日の12時59分30秒)が、表示期間に含まれる表示開始日時以後から表示終了日時以前の間の日時であるため、制御部31は、変動料金情報の認識可の判定結果を生成する。
【0079】
図16は、路側通信装置(路側通信装置情報:2012)と車載器(車載器情報:3023)の通信記録に基づく通行記録の一例を示す図である。ここでは、上述のように、補正時間を18秒として説明する。
【0080】
図16は、路側通信装置(路側通信装置情報:2012)との通信日時が2018年7月1日の12時58分00秒である時の通信記録である。
【0081】
まず、最初の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日9時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日12時58分59秒のケース)においては、通信日時に補正時間(例えば18秒)を加算した補正日時(2018年7月1日の12時58分18秒)が、表示期間に含まれる表示開始日時以後から表示終了日時以前の間の日時であるため、制御部31は、変動料金情報の認識可の判定結果を生成する。
【0082】
また、次の変動料金(表示開始日時が2018年7月1日12時59分00秒、表示終了日時が2018年7月1日18時58分59秒のケース)においては、通信日時に補正時間(例えば18秒)を加算した補正日時(2018年7月1日の12時58分18秒)が、表示期間に含まれる表示開始日時より前であるため、制御部31は、変動料金情報の認識不可の判定結果を生成する。
【0083】
第2の実施形態では、路側通信装置6(アンテナ63)の設置場所が限定されないため、例えば既存の通信設備(ITSスポットなど)を利用することができ、低コストでの実現が可能となる。
【0084】
なお、路側通信装置6と表示装置5の間に、サービスエリアやパーキングエリアなど、車両の立ち寄り場所がある場合には、補正日時による変動料金情報の認識可否判定に誤りが生じる可能性があるため、このようなケースに該当する路側通信装置6を対象から除外する。或いは、路側通信装置6と表示装置5の差分距離に上限を設け、補正日時による変動料金情報の認識可否判定の信頼性を高めるようにしてもよい。
【0085】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、変動料金情報を路側装置からカーナビゲーションに対して送信し、カーナビゲーションから入力される確認操作を、通行記録として管理するものである。この確認は、変動料金情報を認識したことの確認を意味する。第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態のどちらか一方と組み合わせて実施することができる。
【0086】
第1の実施形態では、通行記録管理装置3の通信部33が、路側通信装置6と通信し表示情報の表示に関する注意喚起を示す情報を送信することを説明したが、通信部33は、注意喚起に加えて、変動料金情報及び認識結果の入力を要求する制御情報を送信する。
【0087】
路側通信装置6の通信部61は、変動料金情報及び制御情報を受信し、アンテナ63を介して、車載器8へ変動料金情報及び制御情報を送信する。車載器8は変動料金情報及び制御情報を受信し、車載器8に接続されるカーナビゲーション装置へ送信する。
【0088】
図17は、車両に搭載されるカーナビゲーション装置の概略構成の一例を示す図である。
図17に示すように、カーナビゲーション装置9は、制御部91、記憶部92、通信部93、表示部94、音声出力部95、入力部96を備える。
【0089】
制御部91は、車両の走行データ及び地図データに基づき、車両の走行に応じて更新される現在地周辺の地図の表示を制御する。記憶部92は、地図データ等を記憶する。通信部93は、車載器8と通信し車載器8から情報を受信し、また、車載器8に対して情報を送信する。さらに、通信部93は、車両制御装置と通信し、車両の走行データ等を受信する。表示部94は、地図を表示するとともに、車両の走行に関する情報、車載器8からの情報を表示する。音声出力部95は、各種案内を音声出力する。入力部96は、表示部94に対応して設けられるタッチパネル及び音声入力用のマイク等である。
【0090】
通信部93は、車載器8からの変動料金情報及び制御情報を受信し、制御部91は、変動料金情報に対応する表示情報の表示を指示し、制御情報に基づく変動料金の認識結果を入力するための確認ボタンの表示を指示する。表示部94は、変動料金情報に対応する表示情報を表示し、加えて、確認ボタン等を表示する。
【0091】
運転者又は同乗者が、確認ボタンをタッチすると、或いは、所定音声(「確認」、「了解」、又は「見た」等)を発すると、入力部96が確認ボタンのタッチ(確認入力)を検出する、或いは、所定音声(確認入力)を検出する。
通信部93は、確認入力を車載器8へ送信し、車載器8は、確認入力を路側通信装置6へ送信し、路側通信装置6は、確認入力を含む通信記録を通行記録管理装置3へ送信する。
通行記録管理装置3は、通信記録等に基づき通行記録を生成するが、通行記録の生成は第1の実施形態等で説明した通りである。
【0092】
これにより、係員は、端末装置7を介して、通行記録を参照して、通行記録に含まれる確認入力を参照することができる。例えば、問合せを行ってきた運転者に対しては、確認操作がなされている旨を説明することができる。
【0093】
以上説明したいくつかの実施形態にかかる変動料金管理システムは、変動料金情報の表示期間、及び通信日時等に基づき通行記録を生成し、例えば、問合せをしてきた運転者のICカード情報を検索キーとして、このICカード情報に対応する通行記録を表示することができる。これにより、運転者が表示データに対して目視できる状況にあったことを立証できるようになる。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
変動料金およびこの変動料金を表示する表示期間を決定する変動料金決定部と、
通行車両の車載器から送信されるICカード識別情報を受信する路側通信装置の通信記録を受信する通信部と、
前記通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置による変動料金情報の表示期間、及び前記通信記録に含まれる通信日時に基づき、運転者による前記変動料金情報の認識可否を検証するための通行記録を生成する情報処理部と、
を備える通行記録管理装置。
[C2]
前記情報処理部は、前記表示期間及び前記通信日時に基づき、前記変動料金情報の認識可否を判定し、判定結果を含む通行記録を生成する[C1]の通行記録管理装置。
[C3]
前記通信日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する[C2]の通行記録管理装置。
[C4]
前記通信日時が、前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する[C2]又は[C3]の通行記録管理装置。
[C5]
前記情報処理部は、対応付けて設置される前記表示装置及び前記路側通信装置における前記表示期間及び前記通信記録に基づき、通行記録を生成する[C1]乃至[C4]の何れか1つの通行記録管理装置。
[C6]
前記情報処理部は、複数の路側通信装置のそれぞれに割り当てられる通信識別情報に対応付けられる通信位置情報、及び複数の表示装置のそれぞれに割り当てられる表示識別情報に対応付けられる表示位置情報から得られる所定の路側通信装置と所定の表示装置の差分距離に応じた補正時間を検出し、前記補正時間、所定の表示識別情報に対応付けられる前記所定の表示装置による前記変動料金情報の前記表示期間、及び所定の通信識別情報に対応付けられる前記所定の通信装置の前記通信記録に含まれる通信日時に基づき、前記変動料金情報の認識可否を判定し、判定結果を含む通行記録を生成する[C1]の通行記録管理装置。
[C7]
前記通信日時に前記補正時間を加算した補正日時が、前記表示期間に含まれる表示開始日時より前の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する[C6]の通行記録管理装置。
[C8]
前記通信日時に前記補正時間を加算した補正日時が、前記表示期間に含まれる表示終了日時より後の日時を示す場合に、前記情報処理部は、前記変動料金情報の認識不可の前記判定結果を生成する[C6]又は[C7]の通行記録管理装置。
[C9]
変動料金およびこの変動料金を表示する表示期間を決定し、
通行車両の車載器から送信されるICカード識別情報を受信する路側通信装置の通信記録を受信し、
前記通行車両の運転者向けに情報を表示する表示装置による変動料金情報の表示期間、及び前記通信記録に含まれる通信日時に基づき、運転者による前記変動料金情報の認識可否を検証するための通行記録を生成する通行記録管理方法。
【符号の説明】
【0095】
1…変動料金決定装置
2…表示情報作成装置
3…通行記録管理装置
4…エビデンス記録部
5…表示装置(情報板)
6…路側通信装置
7…端末装置
8…車載器
9…カーナビゲーション装置
11…制御部
12…記憶部
13…通信部
21…制御部
22…記憶部
23…通信部
31…制御部(情報処理部)
32…記憶部
33…通信部
51…制御部
52…記憶部
53…通信部
54…表示部
61…通信部
62…記憶部
63…アンテナ
71…制御部
72…記憶部
73…通信部
74…表示部
75…入力部
91…制御部
92…記憶部
93…通信部
94…表示部
95…音声出力部
96…入力部