(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075227
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 9/37 20200101AFI20230523BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230523BHJP
【FI】
G07C9/37
G07B15/00 B
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034809
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2021069724の分割
【原出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 賢雄
(57)【要約】
【課題】ゲートに対する対象(例えば、人物)の通過管理を簡易な構成にて実現する情報処理装置、及び、情報処理方法の提供に資する。
【解決手段】情報処理装置は、ゲートに進入する人物をゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した画像を取得する取得部と、ゲートに対して規定された第1のエリアにおいて撮影された第1画像における人物の顔画像に基づく第1の顔認証処理に成功した人物について、第1のエリアとゲートの出口との間に規定された第2のエリアにおいて撮影された第2画像における人物の顔画像に基づく第2の顔認証処理を実行する処理部と、第2の顔認証処理により、第1の顔認証処理に成功した人物と第2画像に含まれる人物とが同一の人物であると判定された場合に、人物がゲートを通過した旨を出力する出力部とを備え、第1の顔認証処理が成功した場合と第2の顔認証処理が成功した場合とで、異なる音声又は画像を出力する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートに進入する人物を前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した画像を取得する取得部と、
前記ゲートに対して規定された第1のエリアにおいて撮影された第1画像における人物の顔画像に基づく第1の顔認証処理に成功した前記人物について、前記第1のエリアと前記ゲートの出口との間に規定された第2のエリアにおいて撮影された第2画像における前記人物の顔画像に基づく第2の顔認証処理を実行する処理部と、
前記第2の顔認証処理により、前記第1の顔認証処理に成功した前記人物と前記第2画像に含まれる人物とが同一の人物であると判定された場合に、前記人物が前記ゲートを通過した旨を出力する出力部とを備え、
前記第1の顔認証処理が成功した場合と、前記第2の顔認証処理が成功した場合とで、異なる音声又は画像を出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が、
ゲートに進入する人物を前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した画像を取得し、
前記ゲートに対して規定された第1のエリアにおいて撮影された第1画像における人物の顔画像に基づく第1の顔認証処理に成功した前記人物について、前記第1のエリアと前記ゲートの出口との間に規定された第2のエリアにおいて撮影された第2画像における前記人物の顔画像に基づく第2の顔認証処理を実行し、
前記第2の顔認証処理により、前記第1の顔認証処理に成功した前記人物と前記第2画像に含まれる人物とが同一の人物であると判定された場合に、前記人物が前記ゲートを通過した旨を出力し、
前記第1の顔認証処理が成功した場合と、前記第2の顔認証処理が成功した場合とで、異なる音声又は画像を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駅や空港などに設置されるゲートを通過する人物の入退出を管理する技術が知られている。特許文献1には、人物が、無線カードによるゲート通過の許可を得て、ゲートの入口からゲートへ進入した場合に、当該人物がゲートを通過したか否か(ゲートの入口へ戻ったりしていないか)を無線カードの位置の変化に基づいて追跡する装置が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入退出を管理するゲートでは、どの人物がゲートを通過したか否かを管理することが望まれる。以下では、この管理を「通過管理」又は「追跡管理」とも略称することがある。通過管理を簡易な構成にて実現する方法については、検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、ゲートに対する対象(例えば、人物)の通過管理を簡易な構成にて実現する情報処理装置、及び、情報処理方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、ゲートに進入する人物を前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した画像を取得する取得部と、前記ゲートに対して規定された第1のエリアにおいて撮影された第1画像における人物の顔画像に基づく第1の顔認証処理に成功した前記人物について、前記第1のエリアと前記ゲートの出口との間に規定された第2のエリアにおいて撮影された第2画像における前記人物の顔画像に基づく第2の顔認証処理を実行する処理部と、前記第2の顔認証処理により、前記第1の顔認証処理に成功した前記人物と前記第2画像に含まれる人物とが同一の人物であると判定された場合に、前記人物が前記ゲートを通過した旨を出力する出力部と、を備え、前記第1の顔認証処理が成功した場合と、前記第2の顔認証処理が成功した場合とで、異なる音声又は画像を出力する。
【0007】
本開示の一実施例に係る情報処理方法は、情報処理装置が、ゲートに進入する人物を前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した画像を取得し、前記ゲートに対して規定された第1のエリアにおいて撮影された第1画像における人物の顔画像に基づく第1の顔認証処理に成功した前記人物について、前記第1のエリアと前記ゲートの出口との間に規定された第2のエリアにおいて撮影された第2画像における前記人物の顔画像に基づく第2の顔認証処理を実行し、前記第2の顔認証処理により、前記第1の顔認証処理に成功した前記人物と前記第2画像に含まれる人物とが同一の人物であると判定された場合に、前記人物が前記ゲートを通過した旨を出力し、前記第1の顔認証処理が成功した場合と、前記第2の顔認証処理が成功した場合とで、異なる音声又は画像を出力する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の非限定的な実施例は、ゲートに対する対象(例えば、人物)の通過管理を簡易な構成にて実現できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2A】一実施の形態に係る通過管理システムの概念的な構成の一例を示す図
【
図2B】一実施の形態に係る通過管理システムの構成例を示すブロック図
【
図4】2段階の顔認証処理の流れの概要を示すフローチャート
【
図5】2段階の顔認証処理の流れの第1の例を示すフローチャート
【
図6】2段階の顔認証処理の流れの第2の例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
(一実施の形態)
<本開示に至った知見>
駅や空港といった施設に設置され、施設への入退出を管理するゲートでは、どの人物がゲートを通過したか否かを正確に管理する通過管理の利用が検討されている。通過管理が十分でない場合、例えば、ゲートの入口から入ったが、ゲートの出口へ向かわずに、ゲートの入口に引き返してしまった人を通過したと誤判定したり、実際に通過した人を通過していないと誤認識したりしてしまうことがある。このような誤りは、例えば、駅の改札機のようなゲートを通過した人に対価を請求するようなサービスにおいて、費用の誤請求につながり得る。
【0014】
通過管理を実施するためには、例えば、通過しようとする人を認証する認証処理(例えば、認証不能であると決定する処理が含まれてよい)と、その人の移動の履歴を記録する追跡処理とが実施される。これらの処理は、例えば、人の通過の記録、あるいは扉の開閉といった人の移動を規制するような処理を行う時間を確保するために早期に実施されることが望ましい。
【0015】
例えば、人及びゲートよりも上方(例えば、天井部)にカメラが設置され、天井部のカメラが人及びゲートを撮影し、撮影した画像の解析によって、撮影された人の追跡処理を行うことが検討される。
【0016】
しかしながら、天井部へカメラを設置する場合、設置場所の構造あるいは環境によっては、カメラの設置場所が制限され得る。また、設置が可能であっても、設置のために大規模な工事を要するような場合、設置コストが増大する。そのため、天井部へ設置するカメラを用いた通過管理システムの導入が困難となる場合がある。
【0017】
例えば、ゲートに、ゲートよりも上方に延びるアーチ型、又は、ポール型の支持部を設け、支持部にカメラを設置することが考えられるが、このような支持部を有するゲートは、支持部を有さないゲートよりも高さ方向のサイズが大きいため、ゲートの設置場所が制限され得る。また、デザイン面において、ゲートに支持部を設けることが、好ましくない場合もあり得る。
【0018】
本実施の形態では、ゲートを通過しようとする人の顔認証処理に用いるカメラが撮影した画像を用いて、追跡処理を行うことによって、認証処理と追跡処理とを含む通過管理処理を実施する。認証処理に用いるカメラを追跡処理と兼用とすることで、追跡処理のための装置(例えば、天井部等のカメラ)を別途設ける必要がない。したがって、通過管理の導入コストの増加を抑制できる。また、追跡処理に専用のカメラといった設備を設ける場合に比して、設置場所の制約が緩和されるので、設置場所の自由度が向上し、通過管理システムの導入が容易になる。
【0019】
<ゲートの構成例>
図1は、本実施の形態に係るゲート10の一例を示す図である。
図1は、ゲート10を上方から見た図であり、ゲート10の出入口E1から人物hが進入し、ゲート10の出入口E2から当該人物が退出する様子が例示される。なお、
図1に示すゲート10に対して、人物は、出入口E2から進入し、出入口E1から退出してもよい。別言すると、ゲート10は、双方向に人物が通過することを許容する。
【0020】
ゲート10は、例えば、互いに向き合う側壁Vを有し、側壁Vの間に、ゲート10を通過する人物を誘導する通路Lが形成される。高さ1m程度の1つの側壁Vの上部には、例えば、側壁Vの中央部よりも出入口E1及びE2のそれぞれに近い2つの位置にカメラ11が設けられ、2つの側壁Vに対して合計で4つのカメラ11(11-R1、11-R2、11-L1、11-L2)が設けられる。
【0021】
カメラ11-R1及び11-L1は、例えば、ゲート10の中央部よりも出入口E2に近い位置の側壁Vに設置されて、ゲート10を反対側の出入口E1から進入して出入口E2へ通過する人物の撮影に用いられる。
【0022】
一方、カメラ11-R2及び11-L2は、例えば、ゲート10の中央部よりも出入口E1に近い位置の側壁Vに設置されて、ゲート10を反対側の出入口E2から進入して出入口E1へ通過する人物の撮影に用いられる。
【0023】
例示的に、カメラ11-R1は、出入口E1から進入する人物の右前方から当該人物を撮影可能な位置に設置される。カメラ11-L1は、例えば、出入口E1から進入する人物の左前方から当該人物を撮影可能な位置に設置される。
【0024】
カメラ11-R2は、例えば、出入口E1とは反対の出入口E2から進入する人物の右前方から当該人物を撮影可能な位置に設置される。カメラ11-L2は、例えば、出入口E1とは反対の出入口E2から進入する人物の左前方から当該人物を撮影可能な位置に設置される。
【0025】
したがって、ゲート10を出入口E1から進入して出入口E2へ通過する人物は、例えば、2つの側壁Vの上部に通路Lを挟んで互いに離れた位置に設置された2つのカメラ11-R1及び11-L1によって2方向(例えば、左右方向)から撮影される。
【0026】
一方、ゲート10を逆方向に通過する人物、すなわち、ゲート10を出入口E2から進入して出入口E1へ通過する人物は、例えば、2つの側壁Vの上部に通路Lを挟んで互いに離れた位置に設置された2つのカメラ11-R2及び11-L2によって2方向(例えば、左右方向)から撮影される。
【0027】
なお、
図1は、ゲート10の出入口E1と出入口E2との両方から、人物が進入可能な構成例であるが、本開示はこれに限定されない。例えば、ゲート10は、人物が一方の出入口(例えば、出入口E1)から進入でき、他方の出入口(例えば、出入口E2)から進入できない構成であってもよい。ゲート10が出入口E2からの人物の進入を許容しない構成の場合、カメラ11-R2及びカメラ11-L2は設けられなくてよい。ゲート10が出入口E1からの人物の進入を許容しない構成の場合、カメラ11-R1及びカメラ11-L1は設けられなくてよい。
【0028】
また、
図1では、ゲート10の出入口から進入する人物が2つのカメラ11によって2方向から撮影される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ゲート10の出入口から進入する人物が1つのカメラ11によって一つの方向(ゲート10の出口から入口に向かう方向)から撮影されてもよい。あるいは、ゲート10の出入口から進入する人物が2つのカメラ11によって2方向から撮影される場合、2つのカメラ11が撮影した画像の1つが選択され、選択された画像に基づいて認証処理、追跡処理が実行されてよい。
【0029】
以下では、例示的に、
図1に示すゲート10において、出入口E1から進入して出入口E2へ通過する人物の通過管理を、カメラ11-R1又はカメラ11-L1によって撮影された画像を使用して行う例について説明する。なお、カメラ11-R1及びカメラ11-L1は、便宜的に纏めてカメラ11と記載する場合がある。
【0030】
また、ゲート10に進入する人物は、顔認証処理を含む処理対象の人物に相当する。以下、処理対象の人物は、「対象者」と記載する。
【0031】
なお、
図1のゲート10は、例示であり、本開示はこれに限定されない。例えば、ゲート10には、5つ以上のカメラ11が設けられてもよいし、3つ以下のカメラ11が設けられてよい。カメラ11の撮影方向及び/又は角度を異ならせることにより、より広い範囲で人物の顔を撮影することができる。
【0032】
なお、複数のカメラ11は、互いに同一でなくてもよい。例えば、複数のカメラ11は、互いに異なる解像度、画角、画質の画像を撮影する構成であってもよい。また、カメラ11の設置位置及び/又は撮影方向は、固定されてもよいし、調整可能であってもよい。
【0033】
<システム構成>
図2Aは、本実施の形態に係る通過管理システムの概念的な構成の一例を示す図である。
図2Bは、本実施の形態に係る通過管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る通過管理システム1は、例えば、空港、駅、イベント会場といった施設の出入口に設置されるゲート10(例えば、入場ゲート、改札ゲートなど)における人物の通過を管理するシステムである。
【0034】
本実施の形態に係る通過管理システム1では、例示的に、施設を利用する利用者の入退場の管理が、顔認証によって実行される。例えば、利用者がゲート10を通過して施設内へ入場する場合、利用者が施設内への入場を許可された人物であるか否かが顔認証によって判定される。また、利用者がゲートを通過して施設外へ退場する場合、どの利用者が施設外へ退場するかが顔認証によって判定される。なお、「顔認証」とは、「顔画像を用いた照合」に含まれる概念と捉えてよい。
【0035】
通過管理システム1は、例えば、
図1に例示したゲート10と、カメラ11(右カメラ11又は左カメラ11)と、顔認証機能部12と、通過管理機能部13と、顔認証サーバ14と、通過履歴管理サーバ15と、を含む。なお、通過管理システム1において、ゲート10は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0036】
ゲート10は、例えば、空港、駅、イベント会場といった施設に設置される。施設の利用を許可された利用者は、施設へ入場する場合及び/又は施設から退場する場合にゲート10を通過する。また、ゲート10は、施設への入場を許可されていない人物の通過を阻止するように制御を行う。
【0037】
カメラ11は、
図1にて示したように、例えば、ゲート10の側壁Vに設けられる。カメラ11は、ゲート10を通過する人物、及び、ゲート10を通過しようとする人物が存在した場合の当該人物の顔を含む撮影範囲を撮影する。例えば、カメラ11の撮影範囲は、人物の正面の顔を撮影可能な範囲である。
【0038】
顔認証機能部12は、画像に対して顔認証処理を行う。本実施の形態において、例示的に、顔認証機能部12は、少なくとも2段階の顔認証処理を行う。
【0039】
例えば、顔認証機能部12は、カメラ制御部121と、第1顔照合処理部122と、第2顔照合処理部123と、を有する。第1顔照合処理部122は、1段階目の顔認証処理を行い、第2顔照合処理部123は、2段階目以降の顔認証処理を行う。
【0040】
カメラ制御部121は、例えば、カメラ11の撮影タイミングを制御する。例えば、カメラ11は、カメラ制御部121の制御によって、5fps程度の速度で撮影する。また、右カメラ11と左カメラ11とは、例えば、カメラ制御部121の制御によって、同時にあるいは許容される範囲内の撮影タイミングの差をもって撮影を行ってよいし、互いの撮影タイミングの同期が図られてもよい。あるいは、右カメラ11と左カメラ11とは、例えば、カメラ制御部121の制御によって、非同期で、互いに独立した撮影タイミングで撮影を行ってもよい。
【0041】
カメラ制御部121は、例えば、カメラ11によって撮影された画像から、顔枠を検知する。顔枠を検知する方法については、特に限定されないが、例えば、画像から顔に含まれるパーツ(目、鼻及び口)を検知し、検知したパーツの位置と色の情報とに基づいて、顔の領域と顔の外の領域との境界を検知することで、顔の領域を囲む枠(顔枠)を検知する方法であってよい。カメラ制御部121は、例えば、顔枠が検知された場合、検知した顔枠に関する情報(顔枠情報)と撮影された画像とを第1顔照合処理部122及び/又は第2顔照合処理部123へ出力する。例えば、カメラ制御部121は、出力先を、ゲート10と人物との位置関係に応じて、第1顔照合処理部122及び第2顔照合処理部123の何れかに決定する。なお、以下では、「顔枠」という記載は、顔の領域を囲む枠を指しもよいし、枠に囲まれた顔の領域を指してもよい。
【0042】
第1顔照合処理部122は、例えば、顔枠情報に基づいて、画像に含まれる顔領域を切り出し、切り出した顔領域の情報を含む顔認証依頼を顔認証サーバ14に通知する。顔領域の情報は、例えば、顔領域の画像であってもよいし、顔領域の画像から抽出した特徴点を示す情報であってもよい。
【0043】
顔認証サーバ14には、例示的に、ゲート10の通過を許可する人物の顔画像が登録されている。顔認証サーバ14に登録された顔画像は、登録顔画像と記載される場合がある。登録顔画像には、例えば、登録された人物のIDといった人物を一意に識別あるいは特定することが可能な情報が関連付けられてもよい。また、登録顔画像は、例えば、画像から抽出された特徴点を示す情報であってもよい。
【0044】
顔認証サーバ14は、例えば、第1顔照合処理部122から顔認証依頼を受けた場合、顔認証依頼に含まれる顔領域の顔と同一人物の顔が、登録顔画像の中に含まれるか否かを判定する(照合する)。顔認証サーバ14は、例えば、判定結果を含む顔照合結果を第1顔照合処理部122へ通知する。なお、顔照合結果には、例えば、顔領域の顔と同一人物の顔が登録顔画像の中に含まれるか否かを示す情報(例えば、「OK」又は「NG」を示すフラグ)と、顔領域の顔と同一人物の顔が登録顔画像の中に含まれる場合には登録顔画像に関連付けられた人物の情報(例えば、ID)とが含まれてよい。
【0045】
照合とは、例えば、登録顔画像と、ゲート10を通過する人の顔画像とを照らし合わせることにより、事前に登録された登録顔画像とゲート10を通過する人の顔画像とが一致するか否か、あるいは、事前に登録された登録顔画像とゲート10を通過する人の顔画像とが同一人物の顔画像であるか否かを判定することである。
【0046】
一方、認証とは、例えば、事前に登録された顔画像に一致する顔画像の人が本人であること(別言すると、ゲート10の通過を許可してよい人物であること)を外部(例えば、ゲート10)に証明することである。
【0047】
ただし、本開示において、「照合」と「認証」とは相互に可換な用語として用いることがある。
【0048】
例えば、照合処理は、予め登録された登録顔画像の特徴点と、検知された顔領域から抽出された特徴点とを比較して、画像データにおける顔が誰であるかを特定する処理である。この照合処理には、例えば、機械学習を用いた手法が用いられてもよい。また、照合処理は、例えば、顔認証サーバ14において実施されてよいが、ゲート10のような他の装置内において実施されてもよいし、あるいは、複数の装置によって分散処理されたりしてもよい。
【0049】
第1顔照合処理部122は、例えば、照合処理結果を含む情報を、第2顔照合処理部123及び通過管理機能部13へ出力する。照合処理結果には、例えば、登録顔画像に関する情報、照合スコアが含まれてよい。また、第1顔照合処理部122から出力される情報には、例えば、顔枠検知情報、顔枠を検知した顔撮影カメラ画像の撮影時刻、第1顔照合処理部122において切り出された顔領域の情報が含まれてよい。
【0050】
なお、第1顔照合処理部122の出力先は、第2顔照合処理部123及び通過管理機能部13に限られない。例えば、第1顔照合処理部122は、照合処理結果を含む情報を、ゲート10を通過しようとする人物に画像情報を提示する表示装置、及び/又は、当該人物に音声情報を提示する音声出力装置へ出力する。
【0051】
第2顔照合処理部123は、例えば、顔枠情報に基づいて、画像に含まれる顔領域を切り出し、切り出した顔領域の情報を用いて、顔照合を行う。
【0052】
例えば、第2顔照合処理部123は、第2顔照合処理部123において切り出した顔領域の情報と、第1顔照合処理部122において切り出された顔領域の情報とを照合し、第2顔照合処理部123において切り出した顔領域に相当する人物が、第1顔照合処理部122において切り出された顔領域に相当する人物と同一であるか否かを判定してよい。
【0053】
あるいは、第2顔照合処理部123は、第2顔照合処理部123において切り出した顔領域の情報と、照合処理結果に含まれる登録顔画像に関する情報とを照合し、第2顔照合処理部123において切り出した顔領域に相当する人物が、照合処理結果に含まれる登録顔画像に相当する人物と同一であるか否かを判定してよい。
【0054】
第2顔照合処理部123は、2つの顔領域に相当する人物が同一であるか否かの判定結果を含む情報を、通過管理機能部13へ出力する。なお、第2顔照合処理部123の出力先は、通過管理機能部13に限られない。例えば、第2顔照合処理部123は、判定結果を含む情報を、ゲート10を通過しようとする人物に画像情報を提示する表示装置、及び/又は、当該人物に音声情報を提示する音声出力装置へ出力する。
【0055】
通過管理機能部13は、例えば、顔認証機能部12から出力される情報に基づいて、ゲート10の周辺に位置する人物の通過を管理する。ゲート10の周辺に位置する人物とは、例えば、ゲート10を通過する人物、通過しようとする人物、及び、ゲート10の周辺を通りかかる人物を含む。ここで、ゲート10を通過しようとする人物とは、ゲート10の通過を許可されている人物(例えば、顔画像が顔認証サーバ14に登録済みの人物)に限られず、例えば、顔画像が顔認証サーバ14に未登録であるが、通過を試みる人物であってよい。また、ゲート10の周辺を通りかかる人物とは、例えば、ゲート10を通過しようとはしていないが、カメラ11の撮影範囲を通過したり、ゲート10を通過しようとはしていないが撮影範囲に進入したりしている人物である。また、人物の状態とは、例えば、人物が移動しているか、静止しているか、及び、人物が移動している場合の移動方向といった人物の動きに関する状態であってよい。
【0056】
通過管理機能部13は、例えば、通過管理状態遷移処理部131と、履歴管理部132と、履歴データベース(DB)133と、を有する。
【0057】
通過管理状態遷移処理部131は、例えば、人物の通過管理処理において、ゲート10の通過を許可された人物が通過する場合のゲート10の制御に関する制御情報をゲート10へ送信する。また、通過管理状態遷移処理部131は、例えば、ゲート10の通過を許可されない人物が通過しようとする場合のゲート10の制御に関する制御情報をゲート10へ送信する。
【0058】
履歴管理部132は、例えば、ゲート10を通過した人物の履歴を示す情報(通過履歴情報)を記憶し、管理する。また、履歴管理部132は、例えば、通過履歴情報を履歴DB133に格納し、通過履歴情報を通過履歴管理サーバ15へ送信する。例えば、鉄道網において、履歴管理部132は、1つの駅(又は1箇所の改札)単位のローカルな通過履歴情報を管理してよい。
【0059】
通過履歴管理サーバ15は、例えば、ゲート10を通過した人物の履歴を示す情報(通過履歴情報)を記憶し、管理する。例えば、通過履歴管理サーバ15は、複数のゲート10の通過履歴情報を管理してよい。例えば、複数の出入口が存在する大型施設では、複数の出入口のそれぞれに設けられるゲート10の通過履歴情報が、通過履歴管理サーバ15に集約されて管理されてよい。また、例えば、鉄道網では、複数の駅の改札に設置されたゲート10それぞれの通過履歴情報が、通過履歴管理サーバ15に集約されて管理されてよい。
【0060】
なお、通過管理機能部13は、例えば、通過管理に関する情報(通過管理情報)を、図示を省略した表示装置へ出力してもよい。通過管理情報は、例えば、顔認証機能部12から出力される情報を含んでよい。表示装置は、例えば、人物の状態(例えば、当該人物の顔認証の結果、及び、移動方向)を表示してよい。例えば、表示装置は、画像を表示し、検知された顔枠を画像に重畳してもよい。また、表示装置は、例えば、顔認証によって得られた当該人物に関する情報(人物のID)を画像に重畳して表示してもよい。
【0061】
上述した顔認証機能部12は、例えば、通過管理機能部13と同期して動作してもよいし非同期で動作してもよい。非同期の場合、例えば、顔認証機能部12は、カメラ制御部121において顔枠が検知された場合に動作してよい。
【0062】
上述した顔認証機能部12の機能及び通過管理機能部13の機能の少なくとも一部が、互いに置き換えられてよい。例えば、通過管理機能部13の機能の一部が、顔認証機能部12に含まれてよい。例えば、顔認証機能部12には、2つの顔領域に相当する人物が同一であると判定した場合、判定対象の人物がゲート10を通過した旨を出力する出力部が含まれてよい。出力部から出力される情報には、ゲート10の通過を許可された人物が通過する場合のゲート10の制御に関する制御情報、例えば、ゲート10の通過を許可されない人物が通過しようとする場合のゲート10の制御に関する制御情報が含まれてよい。
【0063】
上述した顔認証機能部12、及び、通過管理機能部13の構成は、それぞれが1つの情報処理装置(例えば、サーバ装置)の形態を有してもよいし、2つが、1つの情報処理装置の中に含まれてもよい。例えば、顔認証機能部12が1つの情報処理装置の形態を有し、通過管理機能部13が、1つの情報処理装置の中に含まれてもよい。また、情報処理装置の形態を有する顔認証機能部12、及び/又は、通過管理機能部13は、ゲート10に含まれてもよい。
【0064】
なお、上述した情報処理装置は、プロセッサと、メモリと、各種情報の伝送に利用される入出力インタフェースとを備えてよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置である。メモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される記憶装置である。プロセッサ、メモリ及び入出力インタフェースは、バスに接続され、バスを介して、各種情報の受け渡しを行う。プロセッサは、例えばROMに記憶されたプログラム、データなどを、RAM上に読み出し、処理を実行することで、情報処理装置に含まれる構成の機能を実現する。
【0065】
上述した顔認証機能部12では、例えば、人物がゲート10の周辺に規定されたゾーンのどこに存在するかに応じて、顔認証処理のタイミングが決定されてよい。以下では、ゲート10に規定されるゾーンの一例を以下に説明する。
【0066】
<ゲート領域管理>
図3A及び
図3Bは、ゲート10に対して規定されるゾーンの例を示す図である。
図3A、
図3Bでは、ゲート10を上から俯瞰で見た場合の、複数のゾーンの例が示される。なお、
図3A及び
図3Bでは、通路Lを形成するゲート10の側壁Vが、紙面の上下方向に沿って延在する例が示される。
【0067】
なお、
図1に示したように、ゲート10の出入口E1及びE2のうち、例えば、特定の進入方向(例えば、入場方向)に沿った上流側が入口に対応し、下流側が出口に対応する。
【0068】
図3Aには、人物が出入口E1とE2との両方から進入できるゲート10において、人物が出入口E2から進入する場合に規定されるゾーンの一例が示される。また、
図3Bには、人物が出入口E1から進入する場合に規定されるゾーンの一例が示される。
【0069】
ゲート10が双方向に進入可能な場合、進入する出入口に応じて、移動方向が正常な方向か否かが異なることが考えられる。例えば、人物の出入口E1から出入口E2への移動方向が、出入口E1から入場した人物の場合には正常な移動方向である一方で、出入口E2から入場した人物の場合には正常ではない移動方向となる。このような規定の違いに対して、通過管理機能では、例えば、出入口E1の方を「北側(North側)」と規定し、出入口E2の方を「南側(South側)」と規定する。
【0070】
なお、北側及び南側という表現は、一例であり、本開示はこの表現に限定されない。例えば、北側及び南側という表現は、ゲート10の配置を地理的な南北方向に沿った配置に限定するものではない。例えば、南北方向と異なる方向に沿ってゲート10の通路Lが位置する場合、又は、通路に曲線が含まれる場合でも、一方を「北側」と規定し、他方を「南側」と規定してよい。
【0071】
例えば、
図3Aは、人物が出入口E2から進入する場合に規定されるゾーンの一例を示す。
図3Aでは、ゲート10に対して、「Zone outside-S」(南側ゾーン外エリア)、「Zone A」(ゾーンA)、「Zone B」(ゾーンB)、「Zone C」(ゾーンC)が規定される。
【0072】
これに対し、
図3Bは、人物が出入口E1から進入する場合に規定されるゾーンの一例を示す。
図3Bでは、ゲート10に対して、「Zone outside-N」(北側ゾーン外エリア)、「Zone A」(ゾーンA)、「Zone B」(ゾーンB)、「Zone C」(ゾーンC)が規定される。
【0073】
以下では、
図3Aの例を挙げて各ゾーンについて説明する。なお、
図3Bの例は、人物が出入口E1から進入する点、及び、「Zone outside-S」(南側ゾーン外エリア)が「Zone outside-N」(北側ゾーン外エリア)に置き換わっている点を除いて、
図3Aと同様である。
【0074】
南側ゾーン外エリアとゾーンAとの間の境界は、例えば、「顔認証開始ライン」と称されてよい。
【0075】
「顔認証開始ライン」は、例えば、第1顔照合処理部122における顔認証処理(顔照合処理)を開始するか否かの判定に用いられる。例えば、人物が「顔認証開始ライン」を越えてゲート10に進入した場合、顔認証処理が開始される。例えば、第1顔照合処理部122が、顔枠情報から顔認証依頼を発行し、照合結果(顔認証ID)と人物検知情報とのリンク付けを行い、人物の追跡を開始する。なお、「顔認証開始ライン」は、「Aライン(A LINE)」と称される場合がある。
【0076】
「顔認証開始ライン」は、ゲート10の外(例えば、ゲート10の経路に沿った上流側)に設けられてもよい。また、「顔認証開始ライン」は、1つの線分に限らず、例えば、コの字型のように、複数の線分を有してもよい。なお、複数の線分を有する形状としては、コの字型のような長方形状の一部の辺に相当する形状に限らず、他の多角形形状の一部の辺に相当する形状であってもよい。あるいは、「顔認証開始ライン」は、円弧を有してもよいし、直線と曲線が混在する形状であってもよい。例えば、「顔認証開始ライン」が複数の線分及び/又は円弧を有することによって、ゲート10の正面に限らず、側面のように正面からずれた方向から人物が進入する場合に、顔認証処理を開始できる。
【0077】
ゾーンAとゾーンBとの間の境界は、例えば、「閉扉限界ライン」と称されてよい。
【0078】
「閉扉限界ライン」は、例えば、閉扉指示に応答した出口側ゲート扉の閉扉が、人物が通過するまでに間に合う位置を示す。「閉扉限界ライン」は、例えば、人がゲート10を通過する速度として想定される最大の速度(例えば、6km/h。以下、「最大通過可能速度」)と、ゲート扉を物理的に閉じるまでに要する時間(例えば、0.5秒)とを考慮して決定される。例えば、「閉扉限界ライン」は、物理的なゲート扉の位置(「ゲート扉位置」)より、最大通過速度×ゲート扉を物理的に閉じるまでに要する時間に相当する距離の分、手前に設定される。このようにすることで、ゲート10の通過が許可されていない人物が、「閉扉限界ライン」を通過し、最大通過可能速度で移動した場合に、当該人物が出口側ゲート扉を通過する前に、出口側ゲート扉が閉じられる。
【0079】
なお、「閉扉限界ライン」は、「不正侵入検知ライン」又は「Bライン(B LINE)」と称されてもよい。
【0080】
ゾーンBとゾーンCとの間の境界は、「退場ライン」と称されてよい。
【0081】
「退場ライン」は、例えば、当該人物がゲート10を退場したと判定する位置を示す。「退場ライン」は、例えば、上述した「顔認証開始ライン」と同様に、ゲート10の外に設けられてもよい。また、「退場ライン」は、例えば、1つの線分に限らず、例えば、コの字型のように、複数の線分を有してもよい。あるいは、「退場ライン」は、円弧を有してもよい。なお、「退場ライン」は、例えば、「Zライン(Z LINE)」と称されてもよい。
【0082】
通過管理において、物理的なゲート扉の位置(「ゲート扉位置」)はあくまで通過点であってもよく、この場合、物理的なゲート扉の位置は、論理的に設定される「退場ライン」とは異なってもよいし、同一であってもよい。例えば、実運用では、「ゲート扉位置」と「退場ライン」とは同一に設定されてよい。
【0083】
例えば、通過する人物に対して課金を行うゲート10の場合、「退場ライン」は、「課金ライン」に相当してよい。
【0084】
例えば、ゲート10に進入した人物が課金ラインを越えた場合(例えば、ゾーンBからゾーンCに進入した場合)、当該人物に対して課金する。別言すると、人物が課金ラインを越えていない段階(例えば、ゾーンCに進入していない段階)では、人物に対して課金は行われない。この課金ラインを設けることにより、ゲート10に進入したが、課金ラインを越える前に引き返した人物に対して課金するという誤りを回避できる。
【0085】
なお、上述では、「課金ライン」が、「Zライン」(「退場ライン」)に相当する例を示したが、例えば、「課金ライン」は、「Bライン」に相当してもよい。
【0086】
なお、上述の例では、北側ゾーン外エリア及び南側ゾーン外エリアを除いて、3つのゾーンが規定される例を示したが、本開示はこれに限定されない。ゾーンの数、サイズ、位置、及び、形状は、本開示を適用するシチュエーションに応じて変更されてよい。
【0087】
本実施の形態における顔認証機能部12は、例えば、人物が上述したゾーンAに進入した場合に、1段階目の顔認証処理を実行し、人物がゾーンAからゾーンBに進入した場合に、2段階目の顔認証処理を実行する。2段階で認証処理を行うことによって、1段階目で認証された人物が、ゲート10を通過したか否かを2段階目の顔認証処理によって確認できる。以下では、2段階の顔認証処理の流れを説明する。
【0088】
図4は、2段階の顔認証処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図4に示すフローは、例えば、通行者が接近する毎に開始されてよい。
【0089】
顔認証処理部12は、通行者がゲート10に接近し、通行者が第1認証エリア(例えば、ゾーンA)に進入したことを検知する(S101)。なお、第1認証エリアは、
図3A、
図3Bに示したゾーンAに限られない。第1認証エリアは、ゲート10の課金ラインよりも上流側のエリアのうち、例えば、撮影された画像において、顔認証処理が可能なサイズの顔枠を取得できるエリアであってよい。なお、通行者が第1認証エリアに進入したか否かは、例えば、ゲート10に設けられたセンサ(例えば、光電センサ)によって判定されてよい。
【0090】
顔認証機能部12は、第1認証エリアに進入した通行者に対して、第1顔認証処理を実行する(S102)。例えば、顔認証機能部12は、カメラ11によって撮影された画像の中の顔枠に関する情報を含む顔認証依頼を顔認証サーバ14に送信する。顔認証サーバ14は、顔認証依頼を受信した場合、例えば、顔枠に関する情報に基づいて、登録者の中に通行者が存在するか否かを判定する。判定の結果、登録者の中に通行者が存在する場合、顔認証サーバ14は、例えば、該当する登録者を示す情報を顔認証機能部12へ送信する。一方、登録者の中に通行者が存在しない場合、顔認証サーバ14は、その判定の結果を示す情報を顔認証機能部12へ送信する。
【0091】
顔認証機能部12は、第1顔認証処理の結果、認証に成功したか否かを判定する(S103)。
【0092】
認証に失敗した場合(S103にてNO)、顔認証機能部12は、S102の処理を再び実行する。ここで、認証に失敗した場合とは、例えば、通行者が顔認証サーバ14に保持されている登録者の中に含まれていない場合である。通行者が顔認証サーバ14に保持されている登録者の中に含まれていないことは、通行者がゲート10の通過を許可されていない人物であると扱われてもよい。あるいは、認証に失敗した場合とは、通行者が登録者の中に含まれているにも関わらず、顔認証処理において通行者と登録者とが同一人物ではない、と誤って判定された場合であってもよい。
【0093】
認証に成功した場合(S103にてYES)、通行者の第2認証エリア(ゾーンB)への進入を検知するまで待機する(S104)。なお、第2認証エリアは、
図3Aおよび
図3Bに示したゾーンBに限られない。例えば、第2認証エリアは、ゲート10に設けられた課金ラインを越えたエリアであってもよい。
【0094】
顔認証処理部12は、通行者が第2認証エリアに進入したことを検知する(S105)。通行者が第2認証エリアに進入したか否かは、例えば、光電センサといったセンサによって判定されてよい。
【0095】
顔認証機能部12は、第2認証エリアに進入した通行者に対して第2顔認証処理を実行する(S106)。例えば、顔認証機能部12は、第2顔認証処理を顔認証サーバ14へ顔認証処理を要求する代わりに、第2顔認証処理をゲート10自身(又は顔認証機能部12自身)がローカルにおいて実行してよい。
【0096】
顔認証機能部12は、第2顔認証処理の結果、認証に成功したか否かを判定する(S107)。
【0097】
認証に失敗した場合(S107にてNO)、顔認証機能部12は、例えば、通行者を通過不可である、と判定する(S109)。この場合、ゲート10の扉を閉じる処理(閉扉処理)が実行される。なお、認証に失敗した場合(S107にてNO)、通行者を通過不可である、と判定する前に、S103と同様の第1顔認証処理を再び行ってもよい(再認証又は再照合)。なお、この場合、S103と同様に、顔認証機能部12は、顔認証依頼を顔認証サーバ14に送信するが、顔認証依頼に含まれる情報は、S107における画像の中の顔枠に関する情報であってよい。そして、
図4に示すフローは終了する。
【0098】
認証に成功した場合(S107にてYES)、顔認証機能部12は、通行者のゲート10の通過を許可してよい、と判定する(S108)。この判定に応じて、顔認証機能部12は、例えば、ゲート10に対して、ゲート10の通行を規制するドアの開扉を指示してよい。そして、
図4に示すフローは終了する。
【0099】
以上のような2段階の顔認証処理によって、1段階目で認証に成功した人物が、ゲート10を通過したか否かを2段階目の顔認証処理によって確認できる。
【0100】
なお、2段階で顔認証処理を行う場合、2段階目の顔認証処理の方法及び/又はタイミングが異なる複数の方式が存在する。例えば、以下に示すように、多重ローカル認証方式、ローカル顔認証追跡方式、及び、後バッチ方式が存在する。
【0101】
多重ローカル認証方式では、最初の段階の顔認証処理において顔認証サーバから取得した情報がローカル顔認証エンジンに登録され、2段階目以降の顔認証処理では、登録された情報が利用される。
【0102】
例えば、多重ローカル認証方式では、顔認証サーバ14から顔照合結果を受信する場合に、当該候補者の顔の特徴量の情報を含む顔照合結果を受信する。そして、候補者の顔の特徴量の情報をローカル顔認証エンジンに登録する。ローカル顔認証エンジンに情報を登録した後の顔認証処理では、通行者を撮影した画像と登録された情報とによって、通行者と候補者とが同一人物であるか否かを示す一致度を確認する。なお、多重ローカル認証方式において、候補者の顔の特徴量の情報は、必ずしも顔照合結果に含まれていなくてもよい。顔認証機能部12は、候補者の顔の特徴量の情報を、顔照合結果と別の情報として受信してもよいし、顔照合結果と異なるタイミングで受信してもよい。すなわち、顔認証サーバ14において、第1顔画像領域の画像情報と登録者の情報との照合が成功した場合、その登録者に該当する候補者の顔の特徴量を顔認証機能部12が受信できるのであれば、受信する情報のデータ構造及び/又はタイミングは、限定されない。
【0103】
多重ローカル認証方式では、複数回の顔認証処理を行うため、通行者がゲート10の通過を許可された人物であることの正当性を向上できる。ここで、多重ローカル認証方式では、顔認証サーバ14に登録されている特徴量を用いて2段階目以降の顔認証処理を行うため、2段階目以降の顔認証処理も顔認証サーバ14を用いた顔認証処理と同等の精度で実施される。したがって、通行者がゲート10の通行を許可された人物であることをより確実に確認できる。
【0104】
ローカル顔認証追跡方式では、最初の顔認証処理において使用した画像に含まれる通行者に関する情報がローカル顔認証エンジンに登録され、2段階目以降の顔認証処理では、登録された情報が利用される。
【0105】
例えば、ローカル顔認証追跡方式では、顔認証サーバ14への顔認証依頼を送信するタイミングにおいて、ローカル顔認証エンジンに対して、通行者の顔登録を実行する。ここで、通行者の顔登録とは、通行者を撮影した画像から、通行者の顔の領域を抽出し、抽出した領域の画像(つまり、顔画像)の情報を登録することに相当してもよいし、抽出した顔画像から得られる特徴量を登録することに相当してもよい。ローカル顔認証エンジンに情報を登録した後の顔認証処理では、通行者を撮影した画像と、登録された顔画像との顔照合(1:1顔照合)を実行し、撮影された通行者と登録された通行者とが同一人物であることを確認する。そして、通行者を撮影した画像における顔枠のサイズおよび撮影領域が指定サイズ以上で、かつ、指定領域内に入り、さらに、顔認証サーバ14からの照合結果がOKであった場合に通行可とする。
【0106】
ローカル顔認証追跡方式では、最初の顔認証処理においてゲート10の通過を許可された人物であることの認証に成功した通行者が、2段階目以降の認証処理において、ゲート10に進入し、通過したことを追跡できるため、ゲート10の通過を保証できる。また、ローカル顔認証追跡方式では、2段階目以降の認証処理において、最初の顔認証処理で使用した特徴量を用いるため、2段階目以降の認証処理において直近の環境(例えば、照明、日当たり)等を反映した認証を行うことができる。これにより、ゲート10の近傍の影の影響及び経年変化等により、顔認証サーバ14に登録されている顔画像と最新の顔画像(例えば、カメラ11において撮影された画像中の顔領域)との間に乖離がある場合にも、通過管理を適切に行うことができる。
【0107】
後バッチ方式は、上記のローカル顔認証追跡方式と同様に、最初の顔認証処理において使用した画像に含まれる通行者に関する情報がローカル顔認証エンジンに登録され、2段階目以降の顔認証処理では、登録された情報が利用される。ただし、ローカル顔認証追跡方式と異なり、後バッチ方式では、2段階目以降の顔認証処理がリアルタイムで実行されない。例えば、2段階目以降の顔認証処理は、或る特定のタイミングに、一括で実行される。或る特定のタイミングとは、ゲート10を通過する人物が少ない時間帯(例えば、夜間)、あるいは、月末等のタイミングであってもよい。
【0108】
後バッチ方式では、リアルタイム性を追求しないため、制御装置、サーバ等において、顔認証処理に係る計算機資源(例えば、CPUの処理能力)の浪費を抑制できる。
【0109】
なお、2段階認証方式の例は、上記の例に限定されない。また、上記の例では、2段階目以降の認証は、顔認証サーバ14に顔認証依頼を送信する代わりに、ローカル顔認証エンジンによって実行される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、2段階目においても、顔認証サーバに顔認証依頼を送信し、顔認証サーバ14において、通行者と同一人物の候補者が存在するか否かが判定されてよい。
【0110】
なお、
図4では、2段階認証方式において、認証を行うタイミングは、通行者が或る特定のエリアに進入したことを光電センサによって検知する例を示したが、本開示はこれに限定されない。
【0111】
例えば、カメラ11は、ゲート10の出口から入口に向かう方向から、ゲート10の入口から進入する人物を撮影する。そのため、1段階目の顔認証を行うエリア(例えば、
図3AにおけるゾーンA)に存在する人物の顔枠よりも、2段階目の顔認証を行うエリア(例えば、
図3AにおけるゾーンB)に存在する人物の顔枠の方が、大きなサイズを有する。
【0112】
1段階目の顔認証を行うエリアと2段階目の顔認証を行うエリアとで顔枠のサイズが異なることを用いて、光電センサの代わりに、顔枠のサイズに基づいて、認証を行うタイミングが特定されてもよい。以下では、顔枠のサイズに基づく2段階の顔認証処理の例を説明する。
【0113】
図5は、2段階の顔認証処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
図5に示すフローは、例えば、通行者が接近する毎に開始されてよい。
【0114】
顔認証機能部12は、画像を取得し、顔枠を検出する(S201)。
【0115】
顔認証機能部12は、顔枠のサイズが、所定の第1閾値以上か否かを判定する(S202)。なお、顔枠のサイズ及び顔枠のサイズと比較される第1閾値は、画像領域における面積によって規定されてもよいし、顔枠の縦方向の長さ又は横方向の長さによって規定されてもよい。また、第1閾値は、例えば、後述するS203における顔認証処理において用いられる顔枠のサイズの下限、又は、上限のサイズに基づいて規定されてよい。
【0116】
顔枠のサイズが第1閾値以上ではない場合(S202にてNO)、顔認証機能部12は、S201の処理を実行する。
【0117】
顔枠のサイズが第1閾値以上である場合(S202にてYES)、顔認証機能部12は、検出した顔枠について第1顔認証処理を実行する(S203)。第1顔認証処理では、顔認証依頼を顔認証サーバ14に送信し、顔認証サーバ14において、登録者の中に、通行者と同一人物である候補者が存在するか否かを判定する。
【0118】
第1顔認証処理の結果、顔認証機能部12は、認証に成功したか否かを判定する(S204)。認証の失敗、成功については、
図4のS104と同様であってよい。
【0119】
認証に失敗した場合(S204にてNO)、顔認証機能部12は、S201の処理を実行する。
【0120】
認証に成功した場合(S204にてYES)、顔認証機能部12は、次のタイミングの画像を取得し、顔枠を検出する(S205)。
【0121】
顔認証機能部12は、タイムアウトが発生したか否かを判定する(S206)。例えば、S206の処理では、S203における第1顔認証処理にて認証に成功したタイミングにてタイマが起動し、タイマが示す時間が所定時間以上の場合、タイムアウトが発生したと判定する。ここで、タイマが示す時間は、S203おける第1顔認証処理にて認証に成功したタイミングから、S206の判定を実行するタイミングまでの時間である。また、例えば、所定時間は、第1顔認証処理において、認証に成功した通行者が、ゲート10を通過するまでに許容される上限時間であってよい。このタイムアウトの判定によって、例えば、1段階目にて認証に成功した通行者が、ゲート10の通路内で留まってしまう状況に対して、適切な処理(例えば、通行者に対する警告)を実行できる。
【0122】
タイムアウトが発生した場合(S206にてYES)、フローは終了する。
【0123】
タイムアウトが発生しなかった場合(S206にてNO)、顔認証機能部12は、顔枠のサイズが、所定の第2閾値以上か否かを判定する(S207)。例えば、第2閾値は、第1閾値よりも大きい。例えば、第2閾値は、後述するS208の顔認証処理において用いられる顔枠のサイズの下限、又は、上限のサイズであってよい。あるいは、第2閾値は、平均的な顔のサイズを有し、課金ラインに到達した人物を撮影した画像の顔枠のサイズによって規定されてよい。また、第2閾値は、S203における処理対象の顔枠のサイズに、1より大きい係数を乗算した値によって規定されてもよい。
【0124】
顔枠のサイズが、第2閾値以上ではない場合(S207にてNO)、顔認証機能部12は、S205の処理を実行する。
【0125】
顔枠のサイズが、第2閾値以上である場合(S207にてYES)、顔認証機能部12は、S205にて検出した顔枠について、第2顔認証処理である1:1の顔認証処理を実行する(S208)。
【0126】
例えば、多重ローカル認証方式の第2顔認証処理では、S203にて取得した候補者の顔の特徴量の情報と、S205にて検出した通行者の顔枠の情報とを照合し、候補者と通行者とが同一人物であるか否かを判定する。
【0127】
また、例えば、ローカル顔認証追跡方式の第2顔認証処理では、S203にて第1顔認証処理を実行した顔枠の情報と、S205にて検出した通行者の顔枠の情報とを照合し、候補者と通行者とが同一人物であるか否かを判定する。
【0128】
第2顔認証処理の結果、顔認証機能部12は、認証に成功したか否かを判定する(S209)。
【0129】
認証に失敗した場合(S209にてNO)、顔認証機能部12は、通行者を通過不可である、と扱う(S211)。この場合、ゲート10の扉を閉じる処理(閉扉処理)が実行される。なお、認証に失敗した場合(S209にてNO)、通行者を通過不可である、と扱う前に、S203と同様の第1顔認証処理を再び行ってもよい(再認証又は再照合)。なお、この場合、S203と同様に、顔認証機能部12は、顔認証依頼を顔認証サーバ14に送信するが、顔認証依頼には、S208における画像の中の顔枠に関する情報が含まれてよい。そして、フローは終了する。
【0130】
ここで、認証に失敗した場合とは、例えば、S203における第1顔認証処理によって特定された候補者の情報と、通行者を撮影した画像の情報とが、一致しない場合であってよい。情報が一致しない場合とは、例えば、顔認証処理によって得られるスコアが、同一人物であると判定される閾値よりも低い場合であってよい。なお、特定された候補者の情報と、通行者を撮影した画像の情報とが、一致しない場合とは、特定された候補者と、画像に含まれる通行者とが同一人物ではない場合(例えば、途中で入れ替わっている場合)であってよい。あるいは、特定された候補者の情報と、通行者を撮影した画像の情報とが、一致しない場合とは、特定された候補者と、画像に含まれる通行者とが同一人物であるにも関わらず、特定された候補者と、画像に含まれる通行者とが同一人物ではないと誤って判定された場合であってもよい。
【0131】
認証に成功した場合(S209にてYES)、顔認証機能部12は、通行者のゲート10の通過を許可すると判定してよい(S210)。この判定に応じて、顔認証機能部12は、例えば、ゲート10に対して、ゲート10の通行を規制するドアの開扉の指示を出力してよい。そして、フローは終了する。
【0132】
なお、
図5では、2段階目の顔認証処理がローカルで実行される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、以下に
図6を用いて示すように、2段階目の顔認証処理において、顔認証サーバ14に顔認証を依頼してもよい。このようにすることで、ゲート10から顔認証を行う機能を省略できるため、ゲート10の構成を簡易なものにすることができる。
【0133】
図6は、2段階の顔認証処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
図6に示すフローは、例えば、通行者が接近する毎に開始されてよい。なお、
図6において、
図5に示した処理と同様の処理については、同一の符番を付し説明を省略する。
図6では、
図5におけるS208が、S301に置き換わる。
【0134】
顔枠のサイズが、第2サイズ以上である場合(S207にてYES)、顔認証機能部12は、S205にて検出した顔枠について、第2顔認証処理を実行する(S301)。ここで、S301では、顔認証機能部12は、顔認証依頼を顔認証サーバ14に送信する。顔認証依頼には、例えば、S205にて検出した顔枠の情報が含まれる。また、顔認証サーバ14では、登録者の中に、通行者と同一人物である候補者が存在するか否かが判定されてもよい。あるいは、顔認証サーバ14は、S203における顔認証依頼に基づいて実行した照合結果を用いて、処理を簡略に行ってもよい。例えば、S203における顔認証依頼に基づいて実行した照合結果によって絞り込まれた登録者の情報と、新たに受信した顔認証依頼に含まれる顔枠の情報とを照合してもよい。
【0135】
以上、本実施の形態の通過管理システム1では、第1認証エリアに存在する人物を撮影した画像における顔枠に基づいて、第1顔認証処理が実行され、第1顔認証処理に成功した人物について、第1認証エリアとゲートの出口との間の第2認証エリアに存在する当該人物を撮影した画像における顔枠に基づいて、第2顔認証処理が実行される。この構成によって実行される2段階の顔認証処理によって、ゲートに対する対象(例えば、人物)の通過管理を簡易な構成にて実現できる。
【0136】
なお、上述した実施の形態では、2段階の顔認証処理を行う例を示したが、本開示はこれに限定されず、3段階以上の顔認証処理を行ってもよい。例えば、1段階目の顔認証処理に成功した人物について、1段階目の顔認証処理を行った後に撮影される画像のそれぞれに対して、顔枠の検出及び顔認証処理が実行され、当該人物が追跡されてよい。この場合、2段階目以降の顔認証処理は、ローカルで実行されてよい。この構成により、当該人物の移動を逐次追従でき、当該人物がゲート10を通過したか否かを精度良く判定できる。例えば、当該人物が追従される構成では、ゲート10の出口(又はゲート10の課金ライン)に設けられたセンサが、当該人物の通過を検知した場合に、顔認証処理を停止し、追跡を終了してよい。
【0137】
なお、1段階目の顔認証処理では、顔認証(顔照合)の精度が担保されるため、2段階目の顔認証処理では、処理を簡略にしてもよい。例えば、2段階目の顔認証処理において使用する顔の特徴量の数は、1段階目の顔認証処理において使用する顔の特徴量の数よりも減らしてよい。例えば、1段階目の顔認証処理では顔のパーツのそれぞれの特徴量が使用される場合、2段階目の顔認証処理では、顔の目の特徴量が使用され、目以外のパーツの特徴量は使用されなくてよい。これにより、特徴量の比較に係る処理負荷を低減でき、2段階目の処理速度が向上する。
【0138】
また、例えば、顔認証処理において、2つの顔(例えば、登録者の顔と通行者の顔)の特徴量を比較することによって算出されるスコアが閾値と比較され、スコアが閾値以上である場合に2つの顔は同一人物の顔である、と判定される場合、閾値が顔認証処理の段階に応じて調整されてよい。2段階目の顔認証処理において使用する閾値は、1段階目の顔認証処理において使用する閾値より小さくてよい。閾値を調整することによって、スコアの比較に係る処理負荷を低減でき、2段階目の処理速度が向上する。
【0139】
なお、上述した本実施の形態では、2段階目の顔認証処理において、認証に失敗した場合、閉扉処理を行う例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、2段階目の顔認証処理において、認証に失敗した場合に、ゲート10の設置状況、及び/又は、混雑状況に応じて、閉扉処理を行わなくてよい。例えば、鉄道の駅に設けられたゲートの場合、ゲートを通過する人数が多いため、閉扉処理によって人の流れを止めてしまうと混雑が生じてしまう。このような場合、ゲートを不正に通過する人物を検出するよりも、人の流れを止めないように閉扉処理を行わなくてよい。
【0140】
また、上述した本実施の形態では、顔枠のサイズが、第1の閾値及び/又は第2の閾値以上となったか否かによって、人物が第1のエリア及び/又は第2のエリアに進入したか否かを判定していたが、これに限られない。顔枠のサイズに基づいて得られる顔枠のサイズの変化率が、人物が第1のエリア及び/又は第2のエリアに進入したか否かの判定に用いられてよい。顔枠のサイズの変化率は、時間の経過(又は人物の移動)に伴って変化する画像内の顔枠のサイズの変化の割合を表す。例えば、或る時点tにおける顔枠のサイズの変化率は、時点tにおいて取得された顔枠のサイズと、時点tよりも1時点前(又は複数時点前)に取得され、時点tにおける顔枠と同一人物の顔枠のサイズとを比較することによって算出される。一般的に、顔枠のサイズの変化率は、カメラに顔が近づくほど大きくなるため、人物とカメラとの間の距離に応じて顔枠のサイズの変化率が変わる。また、顔枠のサイズの変化率は、変化の割合(又は変化量)を示すため、人物ごとの顔の大きさの違いによる影響を受けにくい。そのため、顔枠のサイズの変化率が所定の閾値以上であるか否かを判定することで、人物ごとの顔の大きさの差を吸収しつつ、顔の接近(例えば、人物がどのエリアに進入したか)を判定できる。
【0141】
また、上述した本実施の形態では、顔枠の情報を用いて人物が第1のエリア及び/又は第2のエリアに進入したか否かを判定していたが、これに限られない。顔のパーツ同士の間の距離に基づいて、人物が第1のエリア及び/又は第2のエリアに進入したか否かを判定してもよい。一般的に顔のパーツは、カメラに顔が近づくほど撮像画像内での距離が離れるため、目と目との間の距離、及び、目と口との間の距離等、顔のパーツ間の距離が所定の閾値以上であるか否かを判定することで顔の接近を判定できる。顔のパーツとしては、目、鼻、口、耳などの顔の器官が例として挙げられるが、シミ、ほくろ、しわなど、一般的な器官とは異なる特徴を顔のパーツとして使用してもよい。また、パーツ間の距離に替えて、撮像画像における顔のパーツのサイズが用いられてもよい。顔枠のサイズと同様、顔のパーツのサイズも、顔がカメラに近づくほど大きくなるためである。また、パーツ間の距離に替えて、顔のパーツのサイズの変化率が用いられてもよい。顔枠のサイズの変化率と同様、顔のパーツのサイズの変化率も、顔がカメラに近づくほどが大きくなるためである。
【0142】
なお、ゲート10を通過しようとする人物がどのエリアに進入したかの判定において、上述した各方法が組み合わせて用いられてもよいし、選択的に用いられてもよいし、同じ方法が常時用いられてもよい。
【0143】
また、上述した本実施の形態において、1段階目の顔認証処理と2段階目の顔認証処理それぞれの成否が、音声及び/又は画像によって出力されてもよい。この際、1段階目の顔認証処理の成否と2段階目以降の顔認証処理の成否とで異なる音声及び/又は画像が出力されてもよい。このようにすることで、ゲート10を通過しようとする人物に対し、2段階以上の認証が行われていることを意識させることができる。また、人物の顔認証処理が失敗した場合、ゲート10を通過する許可を得る段階(1段階目の顔認証処理の成否)と、ゲート10の通過確認の段階(2段階目以降の顔認証処理の成否)のどちらで失敗したのかを区別して通知することができる。
【0144】
また、例えば、鉄道の駅に設けられ、鉄道の利用者の駅構内への入退場を管理するゲートでは、駅構内への入場の際には課金されず、退場の際に課金される。そのため、鉄道の利用者がゲートを通過して駅構内に入場する場合には、顔認証処理を簡略にしてもよい。例えば、入場する利用者の認証に失敗した場合、認証に失敗した画像の情報を記録し、当該利用者が退場する際に、入場時に記録した画像の情報を用いて、入場した場所を特定し、遡って課金を行ってもよい。
【0145】
なお、上述した実施の形態では、ゲート10を通過する人物の通過を管理するシステムについて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、通行路の側壁、及び、人物の通過を規制する規制部(例えば、扉)を有さない場合に本開示が適用されてもよい。例えば、或るゾーンから、認証処理に応じて人物の進入が許容される別のゾーンに向かう移動経路であれば、本開示が適用されてよい。この場合、移動経路を通過する人物の顔を撮影するカメラが、例えば、移動経路上に設けられた支持部等に設置されてよい。
【0146】
また、本実施の形態では、認証対象が人物である例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、動物、車両等の移動体などに適用されてよい。また、本実施の形態では、顔認証を行う例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、本開示は、ゲートの通行権を有することを示すIDカードを用いた認証、及び、生体認証等の他の認証方法に適用されてよい。
【0147】
また、顔認証と他の認証方法とが併用されてもよい。上述した実施の形態の開示により顔認証では通過が許可されない場合であっても、IDカードの情報が入力されれば、例外的に通過が許可されてもよい。
【0148】
また、上述した実施の形態では、カメラ11は、ゲート10の側壁Vに設けられる例に限られない。例えば、カメラ11は、ゲート10に設けられる支持部に取り付けられてよい。支持部は、例えば、ゲート10から垂直方向に延びるポールであってもよいし、ゲート10の側壁を覆うように設けられるアーチ形状の部材であってもよい。
【0149】
また、上述した実施の形態では、ゲート10の通過を規制する手段として扉を用いていたが、他の手段により直接的又は間接的に通過を規制してもよい。例えば、警報を鳴らしたり、警告灯を点灯させたりすることによって、ゲート10を通過しようとする人物に対して、ゲート10の通過が規制されたことを提示してよい。また、ゲート10の近傍にいる従業員の所有する端末等に通知を送ることによって、当該従業員が通過を規制してもよい。
【0150】
また、混雑状況に応じて、通過を阻止する制御を行うか否か、又は、通過を規制する手段が切り替えられてもよい。例えば、多数の人物が入退場する場合など人物の通過を阻止又は規制すると安全性が低下し得るような環境では、ゲート10の通過は阻止せず、不正な通過があったことを示す情報が記録されるようにしてもよい。この場合、不正な通過を行った人物の顔画像又は顔認証の結果を、不正な通過があったことを示す情報と関連付けて記録されるようにしてもよい。これにより、不正な通過を行った人物を後から追跡して、通行権の対価などを請求することが可能となる。
【0151】
また、上述した実施の形態では、通過管理システム1は、空港、駅、イベント会場などの施設の出入口における、施設への入場及び施設からの退場の両方を管理していたが、入口又は出口において、施設への入場又は施設からの退場の一方を管理し、他方については管理しなくてもよい。
【0152】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0153】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0154】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0155】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0156】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0157】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0158】
また、近年、IoT(Internet of Things)技術において、フィジカル空間とサイバー空間の情報連携により新たな付加価値を作りだすという新しいコンセプトであるCPS(Cyber Physical Systems)が注目されている。上記の実施の形態においても、このCPSコンセプトを採用することができる。
【0159】
すなわち、CPSの基本構成として、例えば、フィジカル空間に配置されるエッジサーバと、サイバー空間に配置されるクラウドサーバとを、ネットワークを介して接続し、双方のサーバに搭載されたプロセッサにより、処理を分散して処理することが可能である。ここで、エッジサーバまたはクラウドサーバにおいて生成される各処理データは、標準化されたプラットフォーム上で生成されることが好ましく、このような標準化プラットフォームを用いることで、各種多様なセンサ群やIoTアプリケーションソフトウェアを含むシステムを構築する際の効率化を図ることができる。
【0160】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0161】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0162】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0163】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0164】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本開示の一実施例は、顔認証システムに好適である。
【符号の説明】
【0166】
1 通過管理システム
10 ゲート
11 カメラ
12 顔認証機能部
121 カメラ制御部
122 第1顔照合処理部
123 第2顔照合処理部
13 通過管理機能部
131 通過管理状態遷移処理部
132 履歴管理部
133 履歴DB
14 顔認証サーバ
15 通過履歴管理サーバ